JP3937600B2 - アミノベンゾニトリル化合物の製造方法 - Google Patents
アミノベンゾニトリル化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は置換または無置換アミノベンゾニトリル、特に一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物の製造方法に関する。アミノベンゾニトリル化合物は医薬、農薬、その他有機化学品などの合成原料または中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
アミノベンゾニトリル化合物の製法は古くから知られている。ここでは代表例としてp−アミノベンゾニトリルの製造方法を挙げる。p−アミノベンゾニトリルの製造方法としてp−フェニレンジアミンの片側のアミノ基をジアゾ化してニトリル基を導入するサンドマイヤー反応が知られている(米国特許第2575036号)。さらに公開特許公報(特開昭61−271255)に記載されているようなp−シアノベンズアミドのホフマン反応を用いる方法が知られている。また、p−シアノ安息香酸を出発原料として、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸との反応による方法も提案されている〔シンセシス(Synthesis),(1990年)1143頁−1144頁〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
p−アミノベンゾニトリルを製造する上記の方法において、p−フェニレンジアミンの片側のアミノ基をジアゾ化してニトリル基を導入するサンドマイヤー反応を用いる方法は、反応中間体に危険性の高いジアゾ化合物を含み、毒性の強いシアン化物を使用すること等の問題点があり、p−シアノベンズアミドのホフマン反応を用いる方法は、通常次亜塩素酸塩または次亜臭素酸塩溶液中、強アルカリ条件で加熱するため、ニトリルを置換基として含むp−アミノベンゾニトリルを高収率で製造することは、ニトリルが分解するため通常困難である。また、p−シアノ安息香酸を出発原料とする方法はp−シアノ安息香酸が高価であることからいずれも安価に大量に製造できる方法とはならない。
【0004】
本発明の目的は、一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物を工業的に有利な方法により高収率、高純度で製造することにあり、特に医薬の合成中間体として有用なm−アミノベンゾニトリルまたはp−アミノベンゾニトリルを高収率かつ高純度で製造することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は置換または無置換シアノベンズアミドとアルカリ性次亜ハロゲン酸および/またはアルカリ性亜ハロゲン酸とを反応させ、次いでベンゼン環上に置換基を有していてもよいフェノールと反応させ、得られる化合物を分解することを特徴とする置換または無置換m−またはpーアミノベンゾニトリルの製造方法に関する。
【0006】
また、本発明は、一般式(1)
【化3】
(式中、−CONH2 基はシアノ基のメタ位またはパラ位にあり、Xは塩素原子またはフッ素原子を表わし、mは0〜4の整数を表わす。ただし、mが2以上の場合、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で示されるシアノベンズアミド化合物とアルカリ性次亜ハロゲン酸および/またはアルカリ性亜ハロゲン酸とを反応させ、次いでベンゼン環上に置換基を有していてもよいフェノールと反応させ、得られるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を分解することにより、−CONH2 基をNH2 基に変換することを特徴とする、一般式(2)
【化4】
(式中、Xおよびmは前記と同様の意味を表わし、アミノ基はシアノ基のメタ位またはパラ位にある。)で示されるアミノベンゾニトリル化合物またはその塩の製造方法に関する。
【0007】
また、本発明は、前記一般式(1)で示されるシアノベンズアミド化合物がm−またはp−シアノベンズアミドであり、かつ前記一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物がm−またはp−アミノベンゾニトリルである前記の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明について説明する。
本発明は置換または無置換シアノベンズアミド、特に一般式(1)で示されるシアノベンズアミド化合物をアルカリ性次亜ハロゲン酸および/またはアルカリ性亜ハロゲン酸と反応させ、次いで中間体として生成したイソシアナートをベンゼン環上に置換基を有していてもよいフェノール、例えば下記一般式(3)
【化5】
(式中、Rはベンゼン環上の置換基を表わし、nは0〜5の整数を表わす。ただし、nが2以上の場合、Rは同一であっても異なっていても良い。)で示されるフェノール誘導体とを反応させることにより、得られるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物、例えば下記一般式(4)
【化6】
(式中、X、R、mおよびnは前記と同様の意味を表わし、基(5)
【化7】
はシアノ基のメタ位またはパラ位にある。)で示されるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を分解、例えば加水分解することを特徴とする置換または無置換アミノベンゾニトリル、特に前記一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物またはその塩の製造方法を提供する。
【0009】
本発明を更に詳細に説明する。
先ず、本反応で用いられるシアノベンズアミド化合物については、置換または無置換シアノベンズアミドを使用することができる。無置換シアノベンズアミドとしては好適にm−シアノベンズアミド、p−シアノベンズアミドが例示される。それぞれイソフタロニトリルおよびテレフタロニトリルの片側ニトリル基の水和反応で容易に入手できる。次に置換シアノベンズアミドとしては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが1乃至4置換したシアノベンズアミドが挙げられる。2以上置換した場合は同一又は相異なる置換基であってもよい。
【0010】
ハロゲン原子で置換されたシアノベンズアミド化合物について説明する。4−シアノ−2,3,5,6−テトラクロロベンズアミド、3−シアノ−2,4,5,6−テトラクロロベンズアミドなどの塩素化シアノベンズアミド化合物はテレフタロニトリルおよびイソフタロニトリルの塩素化により得られるテトラクロロテレフタロニトリルなどの塩素化テレフタロニトリル化合物およびテトラクロロイソフタロニトリルなどの塩素化イソフタロニトリル化合物の片側ニトリル基の水和反応で製造できる。4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド、3−シアノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンズアミドなどのフッ素化シアノベンズアミド化合物はテトラクロロテレフタロニトリルなどの塩素化テレフタロニトリル化合物およびテトラクロロイソフタロニトリルなどの塩素化イソフタロニトリル化合物のフッ素化反応で得られるテトラフルオロテレフタロニトリルなどのフッ素化テレフタロニトリル化合物およびテトラフルオロイソフタロニトリルなどのフッ素化イソフタロニトリル化合物の片側ニトリル基の水和反応で製造できる。
本発明は対応する置換または無置換のイソフタロニトリルもしくはテレフタロニトリルの水和反応で得られる対応のシアノベンズアミド化合物を含む反応液をそのまま使用して本発明の反応を行うこともできる。
【0011】
次に、前記一般式(3)および(4)で示される化合物について更に説明する。式中、Rはハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素など)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、ナフトキシ基など)、アルケニル基(例えばビニル基、アリル基、iso−プロペニル基、ブテニル基など)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、オクチルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基など)、ニトロ基、シアノ基などを表わす。nは0〜5の整数であり、特に0〜2の整数であることが好ましく、特に0であることが好ましい。
【0012】
本発明に従って一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物またはその塩を製造するには、先ず一般式(1)で示されるシアノベンズアミド化合物をそれに対して等モル以上のアルカリの存在下、等モル以上のアルカリ性次亜ハロゲン酸またはアルカリ性亜ハロゲン酸とを−15〜50℃好ましくは0〜20℃で反応させ、次いで一般式(3)で示されるフェノール誘導体と、0〜80℃好ましくは20〜60℃で反応させて一般式(4)で示されるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を得る。反応時間はシアノベンズアミド化合物の種類、アルカリ性次亜ハロゲン酸またはアルカリ性亜ハロゲン酸の種類、反応温度によって選択されるが、好ましくは0.5〜10時間である。
【0013】
本反応で使用するアルカリ性次亜ハロゲン酸またはアルカリ性亜ハロゲン酸としては、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸バリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜臭素酸ナトリウム、亜臭素酸カリウム、亜臭素酸カルシウムまたは亜臭素酸バリウム等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。また、例えば塩化ナトリウムと亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウムと塩素を使用して反応系内でアルカリ性次亜ハロゲン酸を形成するものを使用することもできる。
【0014】
シアノベンズアミド化合物とアルカリ性次亜ハロゲン酸またはアルカリ性亜ハロゲン酸との反応は不活性溶媒あるいは相間移動触媒を使用して反応を行っても良く、その際使用する溶媒として、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。また、相間移動触媒として、例えばベンジルトリアルキルアンモニウム塩類、ベンジルトリアルキルホスホニウム塩類、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩類、テトラアルキルアンモニウム塩類およびテトラアルキルホスホニウム塩類等の四級塩、クラウンエーテル類、クリプタン類またはポリエチレングリコール類等が挙げられる。
【0015】
本反応で使用する一般式(3)で示されるフェノール誘導体は、シアノベンズアミド化合物に対して等モル以上加えることにより一般式(4)で示されるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を効果的に得ることができる。本発明で使用する一般式(3)で示されるフェノール誘導体はベンゼン環上に置換基があってもよいが、フェノールが特に好ましい。
【0016】
一般式(4)で示されるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を分解して一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物またはその塩を製造するには、得られた反応液をそのまま、例えば不活性溶媒の存在下、シアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物に対して等モル以上のアルカリとともに0〜120℃、好ましくは20〜80℃で反応させることにより目的のアミノベンゾニトリル化合物を製造することができる。あるいは、例えば不活性溶媒の存在下、シアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物に対して等モル以上のアルカリとともに−15〜60℃、好ましくは10〜40℃で反応させた後、加えたアルカリと等モル以上の酸とともに0〜100℃、好ましくは20〜60℃で反応することにより目的のアミノベンゾニトリル化合物またはその塩を製造することができる。またシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を例えば、濾過により単離もしくは再結晶により精製してから不活性溶媒の存在下、シアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物に対して等モル以上のアルカリとともに0〜120℃、好ましくは20〜80℃で反応させる。あるいは不活性溶媒の存在下、シアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物に対して等モル以上のアルカリとともに−15〜60℃、好ましくは10〜40℃で反応をさせた後、加えたアルカリと等モル以上の酸とともに0〜100℃、好ましくは20〜60℃で反応をさせるという条件で分解して目的のアミノベンゾニトリル化合物またはその塩を製造してもよい。
【0017】
シアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物の分解反応に使用する溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の炭化水素類、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
【0018】
本発明で使用するアルカリはアルカリ金属、アルカリ土類金属などの水酸化物であり、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム等が挙げられ、酸は硫酸、硝酸、塩酸、リン酸等が挙げられる。反応時間は好ましくは0.5〜5時間である。
分解して得られた目的のアミノベンゾニトリル化合物は、例えば減圧蒸留あるいは再結晶によって単離精製を行うことにより、高純度の目的物が得られる。
アミノベンゾニトリル化合物の塩は、例えば再結晶によって単離精製を行うことにより高純度の目的物が得られる。代表的な塩としては、例えばp−アミノベンゾニトリル塩酸塩が挙げられる。
【0019】
【実施例】
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。
実施例1
(1)p−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの合成
p−シアノベンズアミド29.2g(0.2mol)と水100mlを混合して氷水で冷却し、10℃以下で水酸化ナトリウム8g(0.2mol)と水50mlとの溶液、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素13.51%)105.2g(0.2mol相当)を順に加える。攪拌させながら反応温度を10℃以下に保ち3時間反応させた後、亜硫酸水素ナトリウム2.08g(0.02mol)、フェノール37.6g(0.4mol)を加え、徐々に加熱する。50℃で約1時間反応させた後冷却し、析出した結晶を濾過し乾燥すると42.4gのp−シアノフェニルカルバミン酸フェニルを得た。高速液体クロマトグラフでの分析によるとp−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの純度は96%であった。
(2)p−アミノベンゾニトリルの合成
上記(1)により得られたp−シアノフェニルカルバミン酸フェニル23.8gをトルエン100mlと混合し、水酸化ナトリウム8g(0.2mol)と水40mlとの溶液を加えて3時間室温で攪拌する。次いで濃硫酸20.6g(0.2mol)を加えて析出した結晶を濾過し、結晶を水50mlと混合して水酸化ナトリウムで中和する冷却後、結晶を濾過して乾燥すると10.4gのp−アミノベンゾニトリルを得た。収率78.5%(p−シアノベンズアミド基準)。
高速液体クロマトグラフでの分析によるとp−アミノベンゾニトリルの純度は98%であった。
【0020】
実施例2
(1)p−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの合成
テレフタロニトリル38.4g(0.3mol)、t−ブタノール480mlを混合し加熱還流させる。ここに0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液30gを加えて1時間加熱還流する。反応液を高速液体クロマトグラフで分析したところ、p−シアノベンズアミドの純度は76%であった。濃硫酸0.78gと水30mlとの溶液と水200mlを加えてから溶媒を420ml留去する。反応液を氷水で冷却し、10℃以下で水酸化ナトリウム12g(0.3mol)と水75mlとの溶液、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素14.2%)150g(0.3mol相当)を順に加える。攪拌させながら反応温度を10℃以下に保ち、90分間反応させた後、亜硫酸水素ナトリウム3.12g(0.03mol)、フェノール56.4g(0.6mol)を加え、減圧下、攪拌しながら徐々に加熱する。50℃で約30分反応させた後、析出した結晶を濾過し乾燥すると60.2gのp−シアノフェニルカルバミン酸フェニルを得た。高速液体クロマトグラフでの分析によるとp−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの純度は86%であった。
【0021】
(2)p−アミノベンゾニトリルの合成
上記(1)により得られたp−シアノフェニルカルバミン酸フェニル19.04gをトルエン60mlと混合し、水酸化ナトリウム6.4g(0.16mol)と水30mlとの溶液を加えて3時間室温で攪拌する。次いで濃硫酸16.6g(0.16mol)を加えて析出した結晶を濾過し、結晶を水150mlと混合して30分加熱する。不溶結晶を濾去し、得られた濾液を濃縮後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して析出する結晶を濾過して乾燥すると7.0gのp−アミノベンゾニトリルを得た。収率62.5%(テレフタロニトリル基準)。
高速液体クロマトグラフでの分析によるとp−アミノベンゾニトリルの純度は98%であった。
【0022】
実施例3
(1)m−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの合成
イソフタロニトリル38.4g(0.3mol)、t−ブタノール450mlを混合し加熱還流させる。ここに0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液30gを加えて1時間還流を続ける。反応液を高速液体クロマトグラフで分析するとm−シアノベンズアミドの純度は78%であった。濃硫酸0.78gと水30mlとの溶液と水200mlを加えてから溶媒を360ml留去する。反応液を氷水で冷却し、10℃以下で水酸化ナトリウム12g(0.3mol)と水75mlとの溶液、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素13.53%)157.1g(0.3mol相当)を順に加える。攪拌させながら反応液を10℃以下に保ち、120分間反応させた後、亜硫酸水素ナトリウム3.12g(0.03mol)、フェノール56.4g(0.6mol)を加え、減圧下、攪拌しながら徐々に加熱する。50℃で約30分反応させた後、析出した結晶を濾過し乾燥し、58.4gのm−シアノフェニルカルバミン酸フェニルを得た。高速液体クロマトグラフの分析によるとm−シアノフェニルカルバミン酸フェニルの純度は86%であった。
【0023】
(2)m−アミノベンゾニトリルの合成
上記(1)により得られたm−シアノフェニルカルバミン酸フェニル38.08gをトルエン100mlと混合し、水酸化ナトリウム12.8g(0.32mol)の60ml水溶液を加えて3時間室温で攪拌する。濃塩酸65g(0.64mol)を加え、不溶結晶を濾去した後に水層を分離する。水層に水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出する(150mlで3回)。酢酸エチル抽出液を飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮すると17.7gのm−アミノベンゾニトリル粗結晶を得た。これを水から再結晶化して12.74gのm−アミノベンゾニトリルを得た。収率55.2%(イソフタロニトリル基準)。
高速液体クロマトグラフでの分析によるとm−アミノベンゾニトリルの純度は98%であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、一般式(1)で示されるシアノベンズアミド化合物を出発原料として中間体として一般式(4)で示されるシアノフェニルカルバミン酸フェニル化合物を得て、これを分解することにより一般式(2)で示されるアミノベンゾニトリル化合物またはその塩を高純度、高収率で製造できる。
Claims (3)
- シアノベンズアミドまたはベンゼン環上に置換基を有するシアノベンズアミドとアルカリ性次亜ハロゲン酸および/またはアルカリ性亜ハロゲン酸とを反応させ、次いでベンゼン環上に置換基を有していてもよいフェノールと反応させ、得られる化合物を分解することを特徴とするアミノベンゾニトリルまたはベンゼン環上に置換基を有するアミノベンゾニトリルの製造方法。
- 下記一般式(1)
- 一般式(1)で示されるシアノベンズアミド化合物がm−またはp−シアノベンズアミドであり、一般式(2)のアミノベンゾニトリル化合物がm−またはp−アミノベンゾニトリルである請求項2に記載のアミノベンゾニトリル化合物またはその塩の製造方法。
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