JP4104697B2 - フェニルグリオキシル酸エステル類の製造法、それを用いたメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造法およびそれらの中間体 - Google Patents
フェニルグリオキシル酸エステル類の製造法、それを用いたメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造法およびそれらの中間体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用殺菌剤の重要な製造用中間体であるフェニルグリオキシル酸エステル類の製造方法、それを原料にした、フェニルグリオキシル酸アミド類および農業用殺菌剤として有用なメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造方法、ならびにそれらの中間体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しょうとする課題】
フェニルグリオキシル酸アミド類は、農業用殺菌剤として有用なアルコキシイミノアセトアミド類の重要な製造用中間体として知られている(特開平3−246268号参照)。
【0003】
その製造法として、例えば、対応するグリニャール試薬にオキサリルハライドを反応させて得られるフェニルグリオキシル酸ハライド類と、アミンの反応(特開平5−97768号)、又は対応するカルボン酸ハライドとイソシアニドの反応(特開平5−331124号)による製造法が知られている。しかしながら、これらの製造法に用いられるオキサリルハライドおよびイソシアニドの経済性、安全性が工業的な製造法として問題である。
【0004】
また、テトラヒドロフラン溶媒中、対応するグリニャール試薬にしゅう酸ジメチルを反応させて得られるフェニルグリオキシル酸メチルエステル類と、アミンの反応による製造法が知られている(特開平3−246268号)が、この製造法は以下の点で不十分であった。
【0005】
1)グリニャール反応工程の溶媒であるテトラヒドロフランと、反応で生成する1モルのメタノールが共沸し、溶媒回収が困難である。これは工業的な製造法として非常に問題である。
2)グリニャール反応工程の原料であるしゅう酸ジメチルが結晶であるため、取り扱いの面で工業的な製造法としては不都合である。
3)グリニャール反応工程で溶媒のテトラヒドロフラン量が少ない場合、しゅう酸ジメチルの結晶が残存し、副生成物の生成量が増加する。特に低温反応が要求される場合に問題である。
4)グリニャール反応工程で反応の進行とともに結晶が多量に析出し、攪拌が困難になる場合が多い。これも低温反応が要求される場合に問題である。
5)中間体のフェニルグリオキシル酸メチルエステル類を単離せずにアミド化した場合には、反応で生成するもう1モルのメタノールがテトラヒドロフラン溶媒中に混入する。
【0006】
本発明は、これらの問題点を改良したフェニルグリオキシル酸エステル類の工業的に有利な製造法を提供するとともに、それを原料にした、フェニルグリオキシル酸アミド類および農業用殺菌剤として有用なメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、フェニルグリオキシル酸アミド類のより優れた製造方法を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、フェニルグリオキシル酸n−プロピルエステル類、フェニルグリオキシル酸n−ブチルエステル類、フェニルグリオキシル酸イソブチルエステル類又はフェニルグリオキシル酸sec−ブチルエステル類を経由することにより目的とするフェニルグリオキシル酸アミド類を高い収率で、しかも容易に製造し得ることを見出し本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)一般式(I):
【0009】
【化14】
【0010】
[式中、Aは置換されていてもよいベンゼン環、Zは−O−又は−OCH2−、又はA−Z−はメチル基;Xはハロゲン原子を示す]で表わされるグリニャ−ル試薬に、一般式(II):
(COOR1)2 (II)
[式中、R1はn−プロピル、n−ブチル、イソブチル又はsec−ブチルを示す]で表わされるしゅう酸ジアルキルをテトラヒドロフラン溶媒中反応させることを特徴とする、一般式(III):
【0011】
【化15】
【0012】
[式中、A、ZおよびR1は前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸エステル類の製造方法、
(2)(1)に記載の製造方法により得たフェニルグリオキシル酸エステル類に、一般式(IV):
HNR2R3 (IV)
[式中、R2およびR3は同一又は異なって水素原子、低級アルキル又は低級アルコキシを示す]で表わされるアミンとを反応させることを特徴とする、一般式(V):
【0013】
【化16】
【0014】
[式中、A、Z、R2およびR3は前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸アミド類の製造方法、
(3)フェニルグリオキシル酸エステル類を単離せずに使用する(2)に記載の製造方法、
(4)フェニルグリオキシル酸エステル類を単離して、テトラヒドロフラン、R1OH[式中、R1は前記と同意義]で表わされるアルコ−ル、又はこれらの混合溶媒中で行う(2)に記載の製造方法、
(5)A−Z−がメチル基である(1)の記載の製造方法により得た一般式(IIIa):
【0015】
【化17】
【0016】
[式中、R1は前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸エステル類をハロゲン化して、一般式(VI):
【0017】
【化18】
【0018】
[式中、XおよびR1は前記と同意義]で表わされる化合物を得、次いで一般式(VII):
【0019】
【化19】
【0020】
[式中、R4は水素原子、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン原子;nは1〜4の整数を示す]で表わされるフェノ−ル類を反応させて、一般式(IIIb):
【0021】
【化20】
【0022】
[式中、R1、R4およびnは前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸エステル類を得、次いで一般式(IV):
HNR2R3 (IV)
[式中、R2およびR3は前記と同意義]で表わされるアミンとを反応させることを特徴とする、一般式(Va):
【0023】
【化21】
【0024】
[式中、R2、R3、R4およびnは前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸アミド類の製造方法、
(6)(2)ないし(5)に記載のいずれかの製造方法により得たフェニルグリオキシル酸アミド類に、メトキシルアミン又はその塩を反応させることを特徴とする、一般式(VIII):
【0025】
【化22】
【0026】
[式中、A、Z、R2およびR3は前記と同意義、結合〜はE体、Z体またはE体とZ体の混合物のいずれかの配置を示す]で表わされるメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造方法、
(7)(2)ないし(5)に記載のいずれかの製造方法により得たフェニルグリオキシル酸アミド類に、ヒドロキシルアミン又はその塩を反応させて、一般式(IX):
【0027】
【化23】
【0028】
[式中、A、Z、R2、R3および結合〜は前記と同意義]で表わされるヒドロキシイミノアセトアミド誘導体を得、次いで一般式(X):
CH3−L (X)
[式中、Lは脱離基を示す]で表わされるメチル化剤を反応させることを特徴とする、一般式(VIII):
【0029】
【化24】
【0030】
[式中、A、Z、R2、R3および結合〜は前記と同意義]で表わされるメトキシイミノアセトアミド誘導体の製造方法、
(8)R1がn−ブチルであるしゅう酸ジアルキルを反応させる(1)ないし(7)に記載の製造方法。
(9)R2またはR3のいずれかが水素であり、もう一方がメチルであるアミンを反応させる(2)ないし(7)に記載の製造方法、
(10)一般式(III):
【0031】
【化25】
【0032】
[式中、A、ZおよびR1は前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸エステル類、
(11)R1がn−ブチルである(10)に記載のフェニルグリオキシル酸エステル類、および
(12)一般式(VI):
【0033】
【化26】
【0034】
[式中、XおよびR1は前記と同意義]で表わされる化合物を提供するものである。
【0035】
本発明によると、対応するグリニャ−ル試薬に反応させるしゅう酸ジn−プロピル、しゅう酸ジn−ブチル、しゅう酸ジイソブチルおよびしゅう酸ジsec−ブチルが液体で取り扱いが容易であり、また、それらのしゅう酸ジアルキル類および生成したフェニルグリオキシル酸エステル類がグリニャール反応工程の溶媒であるテトラヒドロフランに溶けやすいため溶媒量を低減することができる。特に、反応で生成するn−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールおよびsec−ブチルアルコールがテトラヒドロフランと共沸しないため溶媒の回収が容易であることが挙げられる。
また、本発明は、テトラヒドロフラン溶媒中グリニャ−ル反応工程とアミド化工程を連続して実施するか、又はフェニルグリオキシル酸エステル類を単離後無溶媒もしくは適当な溶媒中でアミド化することもできる工業的に非常に有利な製造法である。
【0036】
本発明は、上記のような一連の製造方法において種々の反応溶媒と、種々の原料(しゅう酸ジアルキル)又は反応工程で生じる種々のアルコ−ルとの無数の組み合わせの中から、工業的製法として現実的に選択しうる組み合わせの1つを特定し提供するものである。
【0037】
なお、この製法の別途合成として一般式(III):
【0038】
【化27】
【0039】
[式中、A、ZおよびR1は前記と同意義]で表わされるフェニルグリオキシル酸エステル類においてA−Z−がメチルである一般式(IIIa):
【0040】
【化28】
【0041】
[式中、R1は前記と同意義]であるフェニルグリオキシル酸エステル類から当該メチル基をハロゲン化した後フェノキシ化し、続いてアミド化してフェニルグリオキシル酸アミド類を製造することが挙げられる。従って、一般式(VI):
【0042】
【化29】
【0043】
[式中、XおよびR1は前記と同意義]で表わされる化合物は新規化合物であるとともにこの別途合成法の重要な中間体である。
【0044】
フェニルグリオキシル酸アミド類は、公知の方法により農業用殺菌剤として有用なメトキシイミノアセトアミド誘導体に誘導することができる(特開平3−246268号参照)。
なお、フェニルグリオキシル酸n−プロピルエステル類、フェニルグリオキシル酸n−ブチルエステル類、フェニルグリオキシル酸イソブチルエステル類及びフェニルグリオキシル酸sec−ブチルエステル類は新規化合物であり、重要な中間体である。
【0045】
本明細書中で用いる用語および記号について以下に説明する。
本明細書中で用いる「低級」なる語は、別に定めのない限り、炭素数1〜8個、好ましくは炭素数1〜6個、より好ましくは炭素数1〜4個の基を表す。
Aで示される置換されていてもよいベンゼン環は、非置換であってもよいし、次に示す置換基で置換されていてもよい。例えば、低級アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)、低級アルケニル(例、ビニル、アリル、2−ブテニル等)、低級アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等)、トリフルオロメチル等が挙げられる。該置換基は、ベンゼン環のいずれの位置で置換されていてもよい。置換基の数は1〜4個、好ましくは1〜3個であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。Aで示される置換されていてもよいベンゼン環の好ましい具体例としては、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニルおよび非置換のフェニル等が挙げられる。
【0046】
Zは、−O−、−OCH2−、又はA−Z−はメチル基として定義される。
R1は、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル又はsec−ブチルとして定義される。これらの中ではn−ブチルが好ましい。
R2、R3は、同一又は異なって水素原子、低級アルキル又は低級アルコキシとして定義される。R2、R3で示される低級アルキルとしては、前記Aで示されるベンゼン環に置換されていてもよい低級アルキルとして例示したものと同様のものが挙げられる。R2、R3で示される低級アルコキシとしては、前記Aで示されるベンゼン環に置換されていてもよい低級アルコキシとして例示したものと同様のものが挙げられる。これらの場合で特に好ましいのは、R2またはR3のいずれかが水素であり、もう一方がメチルである場合である。
【0047】
R4は、例えば、低級アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)、低級アルケニル(例、ビニル、アリル、2−ブテニル等)、低級アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等)、ハロゲン化低級アルキル(例、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロメチル、クロロメチル、2−ブロモエチル、1,2−ジクロロプロピル等)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。該置換基は、ベンゼン環のいずれの位置で置換されていてもよい。置換基の数nは1〜4個、好ましくは1〜3個であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。R4の好ましい具体例としては、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−クロロ−2−メチルフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニルおよび非置換のフェニル等が挙げられる。
【0048】
Xで示されるハロゲン原子としては、前記R4で示される置換基のハロゲン原子として例示したものと同様のものが挙げられる。
一般式(VIII)および(IX)で表わされる化合物にはイミノ部分によるE体およびZ体の二種の異性体が存在するが、本発明は、これらの異性体およびこれらの異性体の任意の比率の混合物を包含する。本明細書では、一般式中に波線(〜)を使用してこれを示す。
Lで表される脱離基としては、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)およびメトキシスルホニルオキシ等が挙げられる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造法の好ましい具体例を各工程毎に説明する。
[ステップ1]
【0050】
【化30】
【0051】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す。]
即ち、グリニャール試薬(I)は、乾燥テトラヒドロフラン中、ハロゲン化物(XI)にマグネシウムを反応させることにより製造することができる。
通常、ハロゲン化物(XI)に対して1〜4当量、好ましくは1〜2当量のマグネシウムを反応させる。
テトラヒドロフランの使用量は、ハロゲン化物(XI)に対して、通常、約1〜10重量倍である。
反応温度は通常20℃ないし反応混合物の還流温度、好ましくは30〜85℃である。
反応時間は10分〜24時間、好ましくは30分〜10時間である。
必要ならば反応の活性化剤としてヨウ素、1,2−ジブロモエタン、エチルブロミド等を少量用いる。また、グリニャール試薬(I)そのものを活性化剤として用いてもよい。それらの量は、ハロゲン化物に(XI)に対して0.001〜0.4当量、好ましくは0.005〜0.2当量である。
得られたグリニャール試薬(I)は、単離してもよいが、通常、反応液のまま次工程で使用することができる。
【0052】
[ステップ2]
【0053】
【化31】
【0054】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(III)で示されるフェニルグリオキシル酸エステル類は、グリニャール試薬(I)としゅう酸ジアルキル(II)をテトラヒドロフラン中で反応させ製造することができる。
反応は、通常、しゅう酸ジアルキル(II)を約1〜10重量倍のテトラヒドロフランに溶解した溶液中にグリニャール試薬(I)のテトラヒドロフラン溶液を滴下する。
しゅう酸ジアルキル(II)は、しゅう酸ジn−プロピル、しゅう酸ジn−ブチル、しゅう酸ジイソブチル、しゅう酸ジsec−ブチルのいずれかを用い、グリニャール試薬(I)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜3当量使用することができる。
滴下は−100〜50℃、好ましくは−80〜30℃にて5分〜5時間、好ましく15分〜3時間かけて行う。ついで、必要ならば−100〜50℃、好ましくは−80〜30℃にて30分〜5時間反応させればよい。
または、逆にグリニャール試薬(I)のテトラヒドロフラン溶液中にしゅう酸ジアルキル(II)を約1〜10重量倍のテトラヒドロフランで希釈するか、もしくは希釈せずに滴下して反応させてもよい。該反応条件は、上記と同一である。
得られたフェニルグリオキシル酸エステル類(III)は、反応液のままか粗製物として、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)により精製して次工程で使用することができる。
【0055】
フェニルグリオキシル酸エステル類(III)は、新規化合物であり、本発明に包含される。この一般式で示される化合物群の中ではR1がn−ブチルである場合が好ましい。
【0056】
[ステップ3]
【0057】
【化32】
【0058】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(V)で示されるフェニルグリオキシル酸アミド類は、フェニルグリオキシル酸エステル類(III)とアミン(IV)を無溶媒または適当な溶媒中(単一もしくは混合)、反応させ製造することができる。反応は、常圧下、加圧下、いずれでも実施できる。
アミン(IV)としては、一級アミン(例、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、メトキシルアミン等)、二級アミン(例、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジn−プロピルアミン等)およびアンモニアが挙げられる。アミン(IV)の使用量はフェニルグリオキシル酸エステル類(III)を単離せずに使用するか、単離して使用するかによっても異なるが通常フェニルグリオキシル酸エステル類(III)に対して1〜12当量、好ましくは1〜8当量使用することができる。
アミン(IV)は溶媒で希釈してフェニルグリオキシル酸エステル類(IV)に滴下するか、アミン(IV)が液体の場合には溶媒で希釈せず滴下してもよい。また、アミン(IV)が気体の場合には反応溶液中に直接導入してもよい。
【0059】
アミン(IV)を溶媒で希釈する場合の溶媒としては、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、 n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。特に反応で生成するアルコール類(n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール)、水およびそれらの混合溶媒等が好ましい。
フェニルグリオキシル酸エステル類(III)を単離せずに使用する場合には、新たな溶媒を追加せずに反応させるか、必要ならば、アミン(IV)を溶媒で希釈する場合の溶媒として例示したものと同様の溶媒で希釈して反応させてもよい。
単離したフェニルグリオキシル酸エステル類(III)を使用する場合の反応溶媒としては、アミン(IV)を溶媒で希釈する場合の溶媒として例示したものと同様の溶媒が挙げられる。特にテトラヒドロフラン、反応で生成するアルコール類(n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール)、およびそれらの混合溶媒等が好ましい。
アミン(IV)の滴下および導入は、−75〜60℃、好ましくは−30〜40℃にて、5分〜12時間、好ましくは30分〜6時間かけて行う。ついで−50〜100℃、好ましくは0〜60℃にて、1分〜24時間、好ましくは30分〜12時間反応させてフェニルグリオキシル酸アミド類(V)を得る。
得られたフェニルグリオキシル酸アミド類(V)は、反応液のままか粗製物で、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製して次工程で使用することができる。
【0060】
[ステップ4]
【0061】
【化33】
【0062】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(VIII)で示されるメトキシイミノアセトアミド類は、フェニルグリオキシル酸アミド類(V)にメトキシルアミンまたはその塩を適当な溶媒中(単一または混合)、反応させ製造することができる。
メトキシルアミンまたはその塩は、フェニルグリオキシル酸アミド類(V)に対して1〜4当量、好ましくは1〜2.5当量使用することができる。
メトキシルアミンの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩等が挙げられる。
使用出来る溶媒としては、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は、0〜160℃、好ましくは20〜130℃である。
反応時間は、通常、15分〜24時間程度である。
得られた所望のメトキシイミノアセトアミド類(VIII)は、要すれば常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)により精製することができる。
なお、所望のメトキシイミノアセトアミド類(VIII)は、以下のステップ5とステップ6に従い、一般式(IX)で示されるヒドロキシイミノアセトアミド類を経由して製造することができる。
【0063】
[ステップ5]
【0064】
【化34】
【0065】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、ヒドロキシイミノアセトアミド類(IX)は、フェニルグリオキシル酸アミド類(V)にヒドロキシルアミンまたはその塩を適当な溶媒中(単一または混合)、反応させ製造することができる。
ヒドロキシルアミンまたはその塩は、フェニルグリオキシル酸アミド類(V)に対して1〜4当量、好ましくは1〜2.5当量使用することができる。
ヒドロキシルアミンの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩等が挙げられる。
使用出来る溶媒としては、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は、0〜160℃、好ましくは20〜130℃である。
反応時間は、通常、15分〜24時間程度である。
得られたヒドロキシイミノアセトアミド類(IX)は、反応液のままか粗製物で、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製して次工程で使用することができる。
【0066】
[ステップ6]
【0067】
【化35】
【0068】
[式中、Lはハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)またはメトキシスルホニルオキシ等の脱離基を示し、他の記号は前記と同じ意味を示す]即ち、一般式(VIII)で示されるメトキシイミノアセトアミド類は、ヒドロキシイミノアセトアミド類(IX)と化合物(X)を塩基の存在下、適当な溶媒中(単一または混合)、反応させ製造することができる。
メチル化剤である化合物(X)としては、ジメチル硫酸、メチルハライド(例、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル)等が挙げられる。
本反応において、化合物(X)は、ヒドロキシイミノアセトアミド類(IX)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜3当量使用することができる。使用することができる塩基としては、例えば、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)等が挙げられ、化合物(IX)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜3当量使用することができる。
使用できる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレン等)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は−30〜150℃、好ましくは−10〜100℃である。反応時間は化合物により異なるが30分〜70時間反応させればよい。
得られた所望のメトキシイミノアセトアミド類(VIII)は、要すれば常法(例、クロマトグラフィー、再結晶など)により精製することができる。
【0069】
[ステップ7]
【0070】
【化36】
【0071】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(VI)で示される化合物は、一般式(IIIa)で示されるフェニルグリオキシル酸エステル類のベンゼン環のメチル基をハロゲン化して製造することができる。
例えば、四塩化炭素、シクロヘキサン、ベンゼン、クロロベンゼン等の溶媒中、塩素、臭素、N−クロロこはく酸イミドもしくはN−ブロモこはく酸イミド等のハロゲン化剤と必要ならば水銀燈を用いて光照射下で反応させるか、または2,2′−アゾビス(イソブチリロニトリル)、過酸化ジベンゾイル等のラジカル開始剤の存在下で反応させて製造することができる。本反応において、ハロゲン化剤は、フェニルグリオキシル酸エステル類(IIIa)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜1.5当量使用することができる。ラジカル開始剤は、フェニルグリオキシル酸エステル類(IIIa)に対して0.01当量またはそれ以上、好ましくは0.03〜0.5当量使用することができる。
反応温度は20〜120℃、好ましくは50〜90℃である。
反応時間は化合物により異なるが5分〜3時間反応させればよい。
得られた化合物(VI)は、反応液のままか粗製物で、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製して次工程で使用することができる。
化合物(VI)は、新規化合物であり、本発明に包含される。
【0072】
[ステップ8]
【0073】
【化37】
【0074】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(IIIb)で示されるフェニルグリオキシル酸エステル類は、化合物(VI)と一般式(VII)で示されるフェノール類を塩基の存在下、無溶媒または適当な溶媒中(単一もしくは混合)、反応させ製造することができる。
本反応において、フェノール類(VII)は、化合物(VI)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜2当量使用することができる。
使用することができる塩基としては、例えば、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等)、金属水素化物(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)等が挙げられ、塩基は化合物(VI)に対して1当量またはそれ以上、好ましくは1〜3当量使用することができる。
使用できる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレン等)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は−20〜130℃で、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は化合物により異なるが10分〜24時間反応させればよい。
得られたフェニルグリオキシル酸エステル類(IIIb)は、反応液のままか粗製物で、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製して次工程で使用することができる。
【0075】
[ステップ9]
【0076】
【化38】
【0077】
[式中、各記号は前記と同じ意味を示す]
即ち、一般式(Va)で示されるフェニルグリオキシル酸アミド類は、一般式(IIIb)で示されるフェニルグリオキシル酸エステル類にアミン(IV)をステップ3と同条件で反応させることにより製造することができる。
得られたフェニルグリオキシル酸アミド類は(Va)は、反応液のままか粗製物で、または常法(例、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)により精製して次工程で使用することができる。
上記ステップ4および6により得られた一般式(VIII)で示されるメトキシイミノアセトアミド誘導体は、優れた殺菌活性を有しており、農業用殺菌剤として有用である(特開平3−246268号参照)。
【0078】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中に記載した1H−NMR値は、重クロロホルム中、テトラメチルシランを内部標準として、270MHzで測定し、ケミカルシフト値をδ(ppm)で表した。結合定数(J)はHzで標記した。データ中、sは一重線、dは二重線、tは三重線、mは多重線、brsは幅の広い一重線を意味する。
【0079】
[実施例1]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの製造
窒素ガス雰囲気下でマグネシウム1.34g(55mmol)、乾燥テトラヒドロフラン25mlと臭化エチル0.19ml(2.5mmol)の混合物に1−ブロモ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン14.56g(50mmol)を乾燥テトラヒドロフラン10mlに溶解した溶液を少量滴下して加温し、グリニャール試薬の生成が始まった後、残りの溶液を内温50〜60℃に保ちながら30分間で滴下した。続いて50〜60℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。
反応液を乾燥テトラヒドロフラン6mlを使って滴下ロートに移し、しゅう酸ジn−ブチル15.17g(75mmol)を乾燥テトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液に−10〜0℃で30分間にわたって滴下した。滴下ロートを乾燥テトラヒドロフラン4mlで洗浄した後、−10〜0℃で1時間撹拌した。
この反応溶液に40%メチルアミン水溶液17.2ml(200mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。
反応後、2N塩酸水溶液100mlを加えて15分間撹拌し、酢酸エチル150mlで抽出、水150mlで3回洗浄、さらに飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの粗結晶を得た。この結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン/ジクロロメタン)で精製して9.67g(収率65.0%)の結晶を得た。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.16(3H, s), 2.31(3H, s), 2.80(3H, d, J=4.9), 5.29(2H, s), 6.69-7.99(8H, m).
【0080】
[実施例2]
2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチルの製造
2−クロロジフェニルエーテル20.46g(100mmol)を乾燥テトラヒドロフラン20mlに溶解し、マグネシウム3.16g(130mmol)、エチルブロミド0.75ml(10mmol)を加えて加熱すると反応が開始し、内温が70〜80℃になるように氷水で調節すると約30分で発熱がおさまった。乾燥テトラヒドロフラン20mlを追加して80℃の油浴で6時間加熱した(内温72〜73℃)。
反応液を室温まで冷却した後、乾燥テトラヒドロフラン30mlで滴下ロートに移し、しゅう酸ジn−ブチル22.25g(110mmol)を乾燥テトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液中に−10〜−5℃で1時間かけて滴下した。続いて−10〜−5℃で1時間撹拌後、さらに室温で2時間撹拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてエーテル100mlで3回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して粗製2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル32.34g得た。純度82.3%(HPLC定量)、換算収率88.9%。
粗製物の一部をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン/n−ヘキサンと酢酸エチル/n−ヘキサン)で繰返し精製して淡黄色の低融点結晶を得た。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 0.81(3H, t, J=7.3), 1.22-1.36(2H, m), 1.48-1.58(2H, m), 4.12(2H, t, J=7.3), 6.86(1H, d, J=8.8), 7.07-7.55(7H, m), 7.98(1H, d, J=7.8).
【0081】
[実施例3]
2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチルの製造
2−クロロジフェニルエーテル20.46g(100mmol)を乾燥テトラヒドロフラン20mlに溶解し、マグネシウム3.16g(130mmol)、エチルブロミド0.75ml(10mmol)を加えて加熱すると反応が開始し、内温が70〜80℃になるように氷水で調節すると約30分で発熱がおさまった。乾燥テトラヒドロフラン20mlを追加し、80℃の油浴で3時間加熱した(内温70〜72℃)。
反応液を室温まで冷却した後、乾燥テトラヒドロフラン30mlで滴下ロートに移し、しゅう酸ジn−ブチル22.25g(110mmol)を乾燥テトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液中に5〜10℃で1時間かけて滴下した。続いて5℃で1時間撹拌後、さらに室温で2時間撹拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてエーテル100mlで3回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して粗製2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル32.27g得た。純度78.7%(HPLC定量)、換算収率85.1%。
【0082】
[実施例4]
2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの製造2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル597mg(2mmol)をn−ブタノール2mlに溶解し、氷冷下で40%メチルアミン水溶液0.39ml(5mmol)を添加した。室温で1.5時間撹拌後、減圧濃縮し、残渣に水30mlを加えてトルエン30mlで2回抽出、水20mlで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮して2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの粗結晶を得た。この結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して480mg(収率94.0%)の結晶を得た。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.87(3H, d, J=4.9), 6.63(1H, brs), 6.86-7.78(9H, m).
【0083】
[実施例5]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドの製造
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミド0.27g(0.9mmol)にメタノール2mlと塩酸メトキシルアミン0.15g(1.8mmol)を加えて4時間加熱還流した。
反応後、水100mlを加え、塩化メチレンで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、減圧下で濃縮して2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドのE体とZ体の混合物(約1:1)を0.28g(収率98.9%)得た。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 3.95(1.5H, s), 4.01(1.5H, s), 4.92(1H, s), 5.17(1H, s).
【0084】
[実施例6]
2−(2−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドの製造
2−(2−フェノキシフェニル)−2−オキソ−N−メチルアセトアミド1.28g(5mmol)にメタノール10mlと塩酸ヒドロキシルアミン0.69g(10mmol)を加え、13.5時間加熱還流した。
反応後、食塩水150mlを加えて塩化メチレン150mlで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、減圧下で濃縮して2−(2−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドのE体とZ体の混合物(約99:1)1.33g(収率97.8%)を得た。融点183〜184.5℃。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.84(3H, d, J=4.9), 6.77(1H, brs), 6.88-7.37(9H, m).
【0085】
[実施例7]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドの製造
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミド11.90g(40mmol)にエタノール120mlと塩酸ヒドロキシルアミン5.56g(80mmol)を加え、13時間加熱還流した。
反応後、食塩水400mlを加えて塩化メチレン200mlで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、減圧下で濃縮して得られた結晶を酢酸エチル/n−ヘキサンから再結晶して(E)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドの結晶5.58g(収率44.7%)を得た。さらに、再結晶の母液をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製をして(E)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドの結晶3.59g(収率28.7%)と(Z)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミドの結晶3.25g(収率26.0%)を得た。
E体:融点154〜155.5℃
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.17(3H, s), 2.29(3H, s), 2.86(3H, d, J=4.9), 4.96(2H, s), 6.64-7.61(8H, m).
Z体:融点139〜141℃
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.15(3H, s), 2.31(3H, s), 2.77(3H, d, J=4.9), 5.06(2H, s), 5.79(1H, brs), 6.69-7.68(7H, m).
【0086】
[実施例8]
(E)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドの製造
(E)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミド6.25g(20mmol)にアセトン60ml、炭酸カリウム8.29g(60mmol)とジメチル硫酸3.78ml(40mmol)を加えて室温で14時間撹拌した。
反応後、不溶物を除去し、減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製をして(E)−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドの結晶6.12g(収率93.7%)を得た。融点136〜137℃。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.18(3H, s), 2.29(3H, s), 2.88(3H, d, J=4.9), 3.95(3H, s), 4.92(2H, s), 6.62-7.57(8H, m).
【0087】
[実施例9]
(E)−2−(2−フェノキシフェニル)−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドの製造
(E)−2−(2−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−N−メチルアセトアミド0.54g(2mmol)にアセトン6ml、炭酸カリウム0.83g(6mmol)とジメチル硫酸0.38ml(4mmol)を加えて室温で65時間撹拌した。
反応後、不溶物を除去し、減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製をして(E)−2−(2−フェノキシフェニル)−2−メトキシイミノ−N−メチルアセトアミドの結晶0.54g(収率94.7%)を得た。融点83〜84℃。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 2.87(3H, d, J=4.9), 3.91(3H, s),6.63(1H, brs), 6.88-7.36(9H, m).
【0088】
[実施例10]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ酢酸n−ブチルの製造
窒素ガス雰囲気下でマグネシウム0.30g(12.3mmol)、乾燥テトラヒドロフラン4mlと臭化エチル0.05ml(0.7mmol)の混合物に1−ブロモ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン2.91g(10.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン10mlに溶解した溶液を少量滴下して加温し、グリニャール試薬の生成が始まった後、残りの溶液を内温50℃以下に保ちながら10分間で滴下し、続いて50℃で1時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、しゅう酸ジn−ブチル3.03g(15.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン10mlに溶解した溶液に−30〜−20℃で10分間にわたって滴下した。続いて−30〜−20℃で1時間撹拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて10分間攪拌し、エーテル30mlで3回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して粗製2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ酢酸n−ブチルを得た。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して無色結晶1.91g(収率56.2%)を得た。融点64〜67℃。
1H-NMR(CDCl3)δppm : 0.93(3H, t, J=7.3),1.32-1.46(2H, m), 1.61-1.75(2H, m), 2.26(3H, s), 2.31(3H, s), 4.26(2H, t, J=7.3), 5.39(2H, s), 6.70(1H, d, J=7.6), 6.72(1H, s), 7.04(1H, d, J=7.6), 7.46(1H, t, J=7.9), 7.66(1H, t, J=7.9), 7.82(1H, d, J=7.9), 7.84(1H, d, J=7.9).
【0089】
[実施例11]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの製造
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ酢酸n−ブチル1.00g(2.94mmol)をメタノール5mlに溶解し、40%メチルアミンメタノール溶液0.60g(7.7mmol)を添加して室温で4時間反応した。
【0090】
反応後、減圧濃縮して2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの結晶0.90gを得た。
【0091】
[実施例12]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの製造
窒素ガス雰囲気下でマグネシウム0.67g(27.5mmol)、乾燥テトラヒドロフラン3mlと1,2−ジブロモエタン0.11ml(1.3mmol)の混合物に1−ブロモ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン7.28g(25mmol)を乾燥テトラヒドロフラン20mlに溶解した溶液を少量滴下して加温し、グリニャール試薬の生成が始まった後、残りの溶液を内温50〜60℃に保ちながら15分間で滴下した。続いて60℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。
反応液を乾燥テトラヒドロフラン2mlを使って滴下ロートに移し、しゅう酸ジn−ブチル10.21ml(50mmol)を乾燥テトラヒドロフラン45mlに溶解した溶液に−65〜−60℃で20分間にわたって滴下した。滴下ロートを乾燥テトラヒドロフラン5mlで洗浄した後、−60℃で1時間撹拌した。反応後、塩化アンモニウム水溶液100mlとトルエン100mlを加えて室温で5分間攪拌した後、トルエン層と水層を分液した。水層をさらにトルエン100mlで抽出し、トルエン層を合わせて水100mlと200mlで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して粗製2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ酢酸n−ブチル17.72g得た。
この粗製物をメタノール25mlに溶解し、40%メチルアミンメタノール溶液9.71g(125mmol)を氷冷下で添加し、室温で一夜撹拌した。
反応後、200mlの水を添加し、濃塩酸でpH2以下に調整してトルエン200mlで2回抽出、水200mlで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して得られた結晶を酢酸エチル/n−ヘキサンから再結晶して2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミド4.58g(収率61.6%)を得た。さらに、再結晶の母液をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して0.52g(収率7.0%)の結晶を得た。
【0092】
[実施例13]
2−(2−メチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチルの製造
窒素ガス雰囲気下でマグネシウム2.91g(0.12mol)、乾燥テトラヒドロフラン10mlと臭化エチル0.04ml(0.5mmol)の混合物に2−ブロモトルエン17.10g(0.10mol)を乾燥テトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を少量滴下して加温し、グリニャール試薬の生成が始まった後、残りの溶液を内温50℃以下に保ちながら20分間で滴下し、続いて50℃で1時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、しゅう酸ジn−ブチル26.30g(0.13mol)を乾燥テトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液に−78℃で40分間にわたって滴下した。続いて−78℃で1時間撹拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、エーテル100mlで3回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して粗製2−(2−メチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチルを得た。
1H-NMR(CDCl3)δppm :0.96(3H, t, J=7.3), 1.40-1.48(2H, m), 1.72-1.78(2H, m), 2.61(3H, s), 4.37(2H, t, J=7.3), 7.31(2H, t, J=7.6), 7.45(1H, t, J=7.6), 7,68(1H,d, J=7.6).
【0093】
[実施例14]
2−(2−ブロモメチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチルの製造
実施例13で得られた粗製の2−(2−メチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル5.00g(22.7mmol)をベンゼン20mlに溶解し、N−ブロモこはく酸イミド4.44g(25.0mmol)と2,2’−アゾビス(イソブチリロニトリル)0.15g(0.9mmol)を添加して3時間加熱還流した。
反応溶液を冷却し、不溶物を除去した後、減圧下で濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して2−(2−ブロモメチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル5.20g(収率76.6%)を油状物として得た。
【0094】
1H-NMR(CDCl3)δppm :0.93(3H, t, J=7.3), 1.40-1.49(2H, m), 1.71-1.80(2H, m), 4.39(2H, t, J=7.3), 4.90(2H, s), 7.44-7.48(1H, m), 7.56-7.60(2H, m), 7.73(1H, d, J=8.6).
【0095】
[実施例15]
2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの製造
2−(2−ブロモメチルフェニル)−2−オキソ酢酸n−ブチル2.00g(6.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド6mlに溶解し、2,5−キシレノール0.98g(8.0mmol)と炭酸カリウム1.84g(13.3mmol)を添加して室温で3時間攪拌した。
反応後、水40mlを加えてエーテル100mlで3回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製して2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−オキソ−N−メチルアセトアミドの結晶1.20g(収率52.6%)を得た。
【0096】
【発明の効果】
本発明によると、グリニャール反応工程で生成するn−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールおよびsec−ブチルアルコールが反応溶媒のテトラヒドロフランと共沸しないため溶媒の回収が容易である。さらに、対応するグリニャール試薬に反応させる、しゅう酸ジn−プロピル、しゅう酸ジn−ブチル、しゅう酸ジイソブチルおよびしゅう酸ジsec−ブチルが液体で取り扱いが容易であり、また、それらのしゅう酸ジアルキル類および生成したフェニルグリオキシル酸エステル類がグリニャール反応工程の溶媒であるテトラヒドロフランに溶けやすいため溶媒量を低減することができる。
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