JP2964160B2 - シクロプロパンカルボン酸の単離方法及びその中間体の製造方法 - Google Patents

シクロプロパンカルボン酸の単離方法及びその中間体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は一般式(IV) Cl−CH2CH2CH2−Z (IV) (式中、Zはハロゲン原子を示す。) で表されるハライド類と一般式(III) M−(CN)n (III) (式中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原
子を示し、nは1又は2の整数を示す。) で表されるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と反
応させ、構造式(II) Cl−CH2CH2CH2−CN (II) で表される4−クロロブチロニトリルを製造し、該4−
クロロブチロニトリルを、単離し若しくは単離せずし
て、塩基性条件下に閉環及び加水分解反応することによ
り 構造式(I) で表されるシクロプロパンカルボン酸を製造する方法に
おいて、反応終了後の反応系より生成物をハロゲン化炭
化水素により抽出することを特徴とするシクロプロパン
カルボン酸の単離方法及びその中間体である前記構造式
(II)で表される4−クロロブチロニトリルの製造方法
に関するものである。
構造式(I)で表されるシクロプロパンカルボン酸の
製造方法としては、Org.Synthesis,Coll.Vol.3,221に開
示されているが、この方法は反応終了後に目的物の単離
のためにエーテルにより抽出を行い、抽出後蒸留により
74−79%の収率で目的物を得ている。
又、同Vol.1,156にはその中間体である4−クロロブ
チロニトリルの製造方法が開示されている。
しかし、該反応は反応終了後の反応系内に未反応原料
である一般式(IV)で表されるハライド類と目的物であ
る構造式(II)で表される4−クロロブチロニトリルの
他に、一般式(IV)で表されるハライド類の両方のハロ
ゲン原子が置換された1,3−ジシアノプロパンが生成す
ることから、目的物の単離のために数回の蒸留を繰り返
して行っている。
本発明者等はシクロプロパンカルボン酸を高収率で製
造する方法を鋭意検討した結果、構造式(I)で表され
るシクロプロパンカルボン酸を製造し、単離する際にハ
ロゲン化炭化水素を使用することにより、目的とするシ
クロプロパンカルボン酸が高収率で単離できることを見
出したものであり、且つ該シクロプロパンカルボン酸を
製造するための中間体である、構造式(II)で表される
4−クロロブチロニトリルを製造する際に、その不活性
溶媒として水及び水に相溶性を有する有機溶媒として、
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチ
ルホルムアミド及びスルホランから選択される有機溶媒
との混合物を使用し、反応温度が30〜60℃の範囲で反応
させることにより、選択的に目的とする4−クロロブチ
ロニトリルが高収率で得られることを見出し、本発明を
完成させたものである。
本発明を図式的に示すと下記の通りである。
(式中、Z、M及びnは前記に同じ。) 即ち、一般式(IV)で表されるハライド類と一般式
(III)で表されるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金
属塩とを不活性溶媒の存在下に反応させ、構造式(II)
で表される4−クロロブチロニトリルを製造し、該4−
クロロブチロニトリルを単離し、若しくは単離せずして
塩基性下に閉環及び加水分解反応することにより構造式
(I)で表されるシクロプロパンカルボン酸を製造し、
該シクロプロパンカルボン酸を単離する際に反応系より
ハロゲン化炭化水素により抽出することよりなるもので
ある。
一般式(IV)構造式(II) 本反応で使用できる不活性溶媒としては水及び水と相
溶性を有するジメチルスルホキシド、ジメチルホルムア
ミド、ジエチルホルムアミド及びスルホランから選択さ
れる有機溶媒との混合溶媒を使用することができ、有機
溶媒としては、好ましくはジメチルスルホキシド又はジ
メチルホルムアミドを使用するのが良い。
水及び水と相溶性を有する有機溶媒との混合割合は特
に限定されるものではなく、任意の割合で混合すれば良
いが、好ましくは水1重量部に対して0.5〜5重量部の
範囲から選択すれば良い。
本発明で使用するアルカリ金属塩又はアルカリ土類金
属塩としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カ
リ等のアルカリ金属シアン化物、シアン化カルシウム等
のアルカリ土類金属シアン化物を使用することができ、
その使用量は等モル反応であるので、各反応試剤を等モ
ル使用すればよいが、いずれかの反応試剤を過剰に使用
することもできる。
反応温度は30℃乃至60℃の範囲から適宜選択すれば良
い。
反応時間は、反応規模、反応温度等により一定しない
が1乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応液から常法、例えば溶
媒抽出等の方法で単離し、必要に応じて蒸留等の精製を
行うことにより目的物を選択的に、且つ高収率で製造す
ることができる。
構造式(II)構造式(I) 本反応はOrg.Synthesis,Coll.Vol.3,221と同様にして
反応を行えば良い。
反応終了後、目的物を含む反応液からハロゲン化炭化
水素を使用して抽出することにより、目的物を高収率で
単離することができ、ハロゲン化炭化水素としては、例
えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等を使
用することができる。
以下に本発明の代表的な実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1.4−クロロブチロニトリルの製造 Cl−CH2CH2CH2−Br→Cl−CH2CH2CH2−CN 1−1. 1−ブロモ−3−クロロプロパン3.2g(20ミリモル)
をジメチルスルホキシド7mlに溶解し、95%シアン化ナ
トリウム1.0g(20ミリモル)を水3mlに溶解した溶液を
加え、50℃で3時間反応を行った。
反応終了後、水40mlを加え、酢酸エチル(30ml×2)
で抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧
下に濃縮し、得られた残渣を蒸留することにより目的物
1.9gを得た。
物性 沸点195−197℃、 収率 92% 1−2. 1−ブロモ−3−クロロプロパン3.2g(20ミリモル)
をジメチルホルムアミド6mlに溶解し、これに95%シア
ン化カリウム1.4g(20ミリモル)を水4mlに溶解した溶
液を加え、50℃で4時間反応を行った。
反応終了後、水40mlを加え、酢酸エチル(30ml×2)
で抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧
下に濃縮し、得られた残渣を蒸留することにより目的物
2.0gを得た。
収率 96% 実施例2.シクロプロパンカルボン酸の製造 2−1. 4−クロロブチロニトリル5.2g(50ミリモル)と水酸
化ナトリウム粉末7.5g(190ミリモル)を混合し、100℃
で1時間加熱反応を行い、更に水1mlを加え10分間加熱
反応を行った。その後水3mlを10分おきに8回加えた
後、100℃で1.5時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を氷冷し、塩酸でpH
を3に調整し、ジクロロメタン(100ml×3)で抽出
し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃
縮し、得られた残渣を減圧蒸留することにより目的物4.
0gを得た。
物性 沸点95℃/26mmHg、収率 93% 2−2. 1−ブロモ−3−クロロプロパン1.6g(10ミリモル)
をジメチルスルホキシド7mlに溶解し、95%シアン化ナ
トリウム0.6g(12ミリモル)を水2mlに溶解した溶液を
加え、室温で21時間反応を行った。
反応終了後、水20mlを加え、酢酸エチル(20ml×2)
で抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧
下に濃縮し、得られた残渣に水酸化ナトリウム粉末1.2g
(30ミリモル)を加え、100℃で1時間加熱反応を行
い、更に水0.3mlを加え100℃で10分間加熱反応を行っ
た。その後水1mlを10分おきに8回加えた後、100℃で1.
5時間反応を行った。
反応終了後、目的物を含む反応液を氷冷し、塩酸でpH
を3に調整し、ジクロロメタン(100ml×3)で抽出
し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃
縮し、得られた残渣を減圧蒸留することにより目的物0.
7gを得た。
収率 80%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 255/10 C07C 255/10 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 61/04 C07C 51/08 C07C 51/48 C07C 255/10 C07C 253/14 C07C 253/34

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(IV) Cl−CH2CH2CH2−Z (IV) (式中、Zはハロゲン原子を示す。) で表されるハライド類と一般式(III) M−(CN)n (III) (式中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原
    子を示し、nは1又は2の整数を示す。) で表されるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と不
    活性溶媒の存在下に反応させ、構造式(II) Cl−CH2CH2CH2−CN (II) で表される4−クロロブチロニトリルを製造し、該4−
    クロロブチロニトリルを単離し若しくは単離せずして、
    塩基性条件下に閉環及び加水分解反応することにより、
    構造式(I) で表されるシクロプロパンカルボン酸を製造する方法に
    おいて、反応終了後の反応系より生成物をハロゲン化炭
    化水素により抽出することを特徴とするシクロプロパン
    カルボン酸の単離方法。
  2. 【請求項2】ハロゲン化炭化水素がジクロロメタン、ク
    ロロホルム又は四塩化炭素である請求項第1項記載のシ
    クロプロパンカルボン酸の単離方法。
  3. 【請求項3】一般式(IV) Cl−CH2CH2CH2−Z (IV) (式中、Zはハロゲン原子を示す。) で表されるハライド類と一般式(III) M−(CN)n (III) (式中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原
    子を示し、nは1又は2の整数を示す。) で表されるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と反
    応させ、構造式(II) Cl−CH2CH2CH2−CN (II) で表される4−クロロブチロニトリルを製造する方法に
    おいて、不活性溶媒として水及び水に相溶性の有機溶媒
    として、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
    ド、ジエチルホルムアミド及びスルホランから選択され
    る有機溶媒との混合物を使用し、反応温度が30〜60℃の
    範囲で反応させることを特徴とする4−クロロブチロニ
    トリルの製造方法。
  4. 【請求項4】Zが臭素原子を示し、水に相溶性の有機溶
    媒がジメチルホルムアミドである請求項第3項記載の4
    −クロロブチロニトリルの製造方法。
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