JP3794758B2 - 異形プロファイル導通体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の筐体の電磁波シールド性ガスケットや筐体内部のグランディング用導通材などの目的に好適な、D形またはP形の異形プロファイル導通体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の筐体の扉や窓などのスライド部分の隙間に設置する電磁波シールド性ガスケット、電子機器の筐体と基板との間などの隙間に設置するグランディング用導通材などの目的には、適度の弾力性を有する導通体が用いられる。
【0003】
米国特許第4857668号には、銀コートナイロン織布などの導電性織布を金型に挿入して空洞を作りつつ、その空洞に発泡性原料を充填しながら発泡させていくことにより連続的に電磁波シールド性ガスケットを製造する方法が示されており、断面視で矩形のもののほか、異形プロフィルのものについても開示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の米国特許第4857668号に記載の方法、すなわち、導電性織布を金型に挿入して空洞を作りつつ、そこに発泡性原料を充填しながら発泡させていくことにより連続的にガスケットを製造する方法(以下「連続発泡法」という)は、生産性が極めて高いという利点がある。
【0005】
しかしながらこの連続発泡法は、発泡性原料の調製、充填のタイミング、導電性織布の移動速度、温度条件などに細心の注意を払わないと失敗品が得られるので、高度の制御技術を要する上、装置コストも高くなるという問題点がある。加えて、発泡後の製品を金型から引き出した後も若干発泡が進むため、特に異形プロファイルのものを得ようとするときには寸法精度が劣るという問題があり、電子機器の筐体のスライド部分の隙間に設置する電磁波シールド性ガスケットや、電子機器の筐体と基板との間の隙間に設置するグランディング用導通材の目的に用いるときには、信頼性に不安があった。
【0006】
本出願人は、ポリウレタンスポンジに代表される弾性発泡体ブロックをスライサーにより所定の厚みにスライスした後、巾方向に所定巾にカットして断面視で矩形の短尺紐状体となし、その紐状体の端部同士を次々に接合して長尺紐状体にしてから、その周りに導電性織布やアルミニウム箔ラミネートフィルムからなる導電性シートを接着剤層を介して胴巻き状に貼着する方法により得た電磁波シールド性ガスケットを製造している。この方法は、手作業工程を伴なう製造法ではあるが、単純確実な方法であって、多品種少量生産の目的に適している。
【0007】
しかしながらこの単純スライス法は、断面視が矩形のものを製造するためには適しているが、断面視がD形やP形の異形プロファイルのものは円滑には得られがたいという問題点がある。またたとえそのような形状の導通体を作製しても、その導通体に粘着テープを設置して筐体に固定すると、粘着テープの存在により導通がうまくとれず、信頼性が低下することがあった。
【0008】
本発明は、このような背景下において、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体を用いながらも、寸法精度が高く、製造コスト的にも有利で、また電子機器の筐体の電磁波シールド性ガスケットや筐体内部のグランディング用導通材などとして用いるときに、信頼性ある導通性を確保することのできる異形プロファイルの導通体を製造する工業的な方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の異形プロファイル導通体の製造法の一つは、
導電性外被(1) 、後述の紐状スポンジ体 (3) よりも剛性が大のプラスチックステープ(2) 、および、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) を用いて作製された異形プロファイルの導通体を製造する方法であって、完成後の導通体の底面(対象物への接着固定面)となる面をA面、その反対面をB面とするとき、
上記導電性外被 (1) にはその片面全面に接着剤層 (ad) を設けておき、
上記紐状スポンジ体(3) のA面側の表面にそのA面の巾を越えない巾の上記プラスチックステープ(2) を接着すると共に、上記の接着剤層 (ad) 付き導電性外被(1) を上記の断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより、断面視でD形の導通体を得ること
を特徴とするものである。
【0010】
本発明の異形プロファイル導通体の製造法の他の一つは、上記と同じ前提条件において、
上記導電性外被 (1) にはその片面全面に接着剤層 (ad) を設けておき、
上記紐状スポンジ体(3) のA面側の表面の全体またはA面側の表面の大部分にその紐状スポンジ体(3) 部のA面の巾よりも広巾の上記プラスチックステープ(2) を紐状スポンジ体(3) から一方向にはみ出すように接着すると共に、上記の接着剤層 (ad) 付き導電性外被(1) を上記の断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより、断面視でP形の導通体を得ること
を特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。なお本明細書においては、完成後の導通体の底面(対象物への接着固定面)となる面をA面、その反対面をB面と称することにする。
【0012】
《使用部材》
本発明においては、D形またはP形の異形プロファイル導通体を製造するために、導電性外被(1) 、プラスチックステープ(2) 、および、断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) を用いる。そのほか接着剤を用い、また通常は粘着テープ(4) を用い、さらにはもし必要なら線条(5) を用いる。
【0013】
〈導電性外被(1) 〉
導電性外被(1) としては、導電性布状物(織布、編布、不織布)が好適に用いられ、アルミニウム箔などの金属箔を用いることもできる。金属箔の場合には、片面に合成樹脂フィルム層を設けることが好ましい。このうち導電性布状物としては、金属細線(モネル、カッパーウェルド、アルミニウム、スズメッキ銅等)あるいは金属コート繊維(合成繊維にメッキ、蒸着、スパッタリング等の手段により金属コートした繊維)からなるマルチフィラメント糸またはモノフィラメント糸を編織等したもの、合成繊維糸を用いて編織等した布状物に金属コート(メッキ、蒸着、スパッタリング等)や導電性樹脂コートを施したものなどがあげられる。
【0014】
導電性外被(1) には、その片面全面に、予め接着剤層(ad)を設けておく。接着剤層(ad)形成用の接着剤としては、好適には、ポリエステル系、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、ポリウレタン系をはじめとする各種のホットメルト接着剤、粘着剤(感圧接着剤)、通常の接着剤などが用いられる。
【0015】
〈プラスチックステープ(2) 〉
プラスチックステープ(2) としては、次に述べる紐状スポンジ体(3) よりも剛性が大のものが用いられる。プラスチックスの種類には特に限定はなく、たとえば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、セルローストリアセテートなどが用いられる。厚みは、完成後の導通体の大きさやプラスチックスの材質にもよるが、たとえば0.05〜1.5mm 程度、殊に 0.1〜1mm程度とすることが多い。
【0016】
〈紐状スポンジ体(3) 〉
断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) としては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られるものが用いられ、特にブロック状の弾性発泡体をスライスしたものであることが好ましい。紐状スポンジ体(3) の厚みは、完成後の導通体の大きさに依存するので一概には決められないが、たとえば2〜20mm程度、殊に3〜10mm程度とすることが多い。なお弾性発泡体の材質に関しては、ポリウレタン、シリコーン、ネオプレンゴム、EPDMをはじめとするスポンジ状の弾力性を有する発泡体が用いられ、特にポリウレタン発泡体が重要である。
【0017】
〈粘着テープ(4) 〉
電子機器等への装着を容易にするため、完成後の導通体のA面には、離型シート(4b)で保護した粘着剤層(4a)からなる粘着テープ(4) を設けるのが通常である。粘着テープ(4) の巾は、導通体のA面からはみ出さない限りにおいて適宜に設定できる。粘着剤層(4a)は、これを導電性を有する粘着剤の層で構成することもできる。
【0018】
〈線条(5) 〉
完成後の導通体のA面の導電性外被(1) の内側に線条(5) を長さ方向に位置させて、そのA面に盛り上がり部を生ずるようにすると、A面に非導電性の粘着剤層(4a)が存在していても、筐体に取り付けたときの導通がより確実となる。線条(5) としては、たとえば径または厚みが 0.1〜1mm程度の糸、フィラメント、帯などが用いられる。線条(5) は、単線のみならず複線状に設けてもよい。
【0019】
《D形の導通体》
断面視でD形の導通体は、紐状スポンジ体(3) のA面側の表面にそのA面の巾を越えない巾のプラスチックステープ(2) を接着すると共に、導電性外被(1) を断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより得られる。
【0020】
プラスチックステープ(2) の巾は、紐状スポンジ体(3) の巾と同じでもよく、それよりも狭巾とすることもできる。後者の場合には、紐状スポンジ体(3) のA面の中央寄りにプラスチックステープ(2) を接着するのが通常である。
【0021】
大型筐体の扉や窓などの開口部の電磁波シールド性ガスケットとして使用することを目的とするときは、低圧縮力での変形が要求されるので、紐状スポンジ体(3) としてはできるだけ圧縮応力が低い(つまり柔らか目の)弾性発泡体でできたものを用いることが望ましい。そこで、紐状スポンジ体(3) のA面側の表面にそのA面の巾と同じ巾(若干狭巾であってもよい)のプラスチックステープ(2) を接着してから、導電性外被(1) を断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着する。このときは、紐状スポンジ体(3) とプラスチックステープ(2) との間の剛性の差が大きいため、得られる導通体のA面側の両端部にはプラスチックステープ(2) のエッジが出てくる。
【0022】
小型筐体内部のグランディング強化のための導通体として使用することを目的とするときは、確実な接触が要求されるので、紐状スポンジ体(3) としては圧縮応力が高い弾性発泡体でできたものを用いることが望ましい。そこで、紐状スポンジ体(3) のA面側の表面にそのA面の巾と同じかそれよりも狭い巾のプラスチックステープ(2) を接着してから、導電性外被(1) を断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) B面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着する。このときは、紐状スポンジ体(3) とプラスチックステープ(2) との間の剛性の差が小さいため、使用時に導通体が圧縮されたとき、得られる導通体のA面側の両端部においては、紐状スポンジ体(3) がプラスチックステープ(2) のエッジからはみ出すようにさせることができる。
【0023】
紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように導電性外被(1) を巻き付けて接着するためには、たとえば次のような手段を講じることが操作的に有利である。すなわち、後述の実施例1(図1)や実施例2(図3)のように、導電性外被(1) の巻き付け接着を、プラスチックステープ(2) 付きの紐状スポンジ体(3) をD形(つまりU字形)の溝に押し込みながら行うのである。
【0024】
導電性外被(1) を巻きつけたときの継ぎ目jの位置は任意であるが、外観および性能を考慮して通常はA面に位置させる。この場合、継ぎ目jの位置はA面のどこに位置させてもよい。なお導通体の大きさがある程度大きいときは、A面の中央よりも偏った位置に継ぎ目jがくるようにすることが望ましい。というのは、その継ぎ目jによる重なり部分からずれた部位に粘着テープ(4) を設置することができるので、粘着テープ(4) の粘着剤層(4a)により生ずる段差を小さくできるからである。ただし粘着テープ(4) の粘着剤層(4a)として導電性のものを用いるときは、粘着テープ(4) を上記の継ぎ目jにかかるように設けても差し支えない。
【0025】
さらに説明すると、紐状スポンジ体(3) として柔らか目のものを用いる場合でかつ導通体の巾が狭い場合は、導通体を圧縮したときに、プラスチックステープ(2) の変形に至らず、粘着剤層(4a)の厚みが筐体との接触を妨げることがあるので、粘着剤層(4a)としては導電性の粘着剤を用いることが望ましい。一方紐状スポンジ体(3) として硬目のものを用いる場合は、導通体を圧縮したときに、A面において紐状スポンジ体(3) の両端部がプラスチックステープ(2) の両端部からはみ出るので、粘着剤層(4a)の厚みが筐体との接触の妨げになることは少ない。
【0026】
《P形の導通体》
断面視でP形の導通体は、紐状スポンジ体(3) のA面側の表面の全体またはA面側の表面の大部分にその紐状スポンジ体(3) 部のA面の巾よりも広巾のプラスチックステープ(2) を紐状スポンジ体(3) から一方向にはみ出すように接着すると共に、導電性外被(1) を断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより得られる。
【0027】
プラスチックステープ(2) の巾は、紐状スポンジ体(3) 部のA面の巾よりも広巾であれば任意であるが、たとえばその紐状スポンジ体(3) 部のA面の巾より 1.5〜3倍程度に設定することが多い。
【0028】
紐状スポンジ体(3) としてどの程度の硬柔のものを選択するかに関しては、用途に応じて、D形の導通体の個所で述べたような配慮がとられる。
【0029】
紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように導電性外被(1) を巻き付けて接着するためには、たとえば次のような手段を講じることが操作的に有利である。すなわち、後述の実施例3(図4)のように、導電性外被(1) の巻き付け接着を、プラスチックステープ(2) 付きの紐状スポンジ体(3) をP形の溝に押し込みながら行うのである。
【0030】
導電性外被(1) を巻きつけたときの継ぎ目jの位置は任意であるが、外観および性能を考慮して通常はA面に位置させる。この場合、継ぎ目jの位置はA面のどこに位置させてもよいが、その継ぎ目jが完成後の導通体のA面の紐状スポンジ体(3) 部に位置するようにすることが多い。この場合、粘着テープ(4) は、完成後の導通体のA面の紐状スポンジ体(3) 部からはみ出た部位に設置するのが通常である。
【0031】
《用途》
上述のようにして得られたD形またはP形の異形プロファイルの電磁波シールド性導通体は、電子機器の筐体の電磁波シールド性ガスケットや筐体内部のグランディング用導通材などの目的に好適に用いることができる。そのほか、電磁波シールドまたは導通を目的とする他の使い方をすることもできる。
【0032】
《作用》
本発明においては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視で矩形の紐状スポンジ体を用いているので、単純確実であり、発泡性原料を充填しながら発泡させる方法におけるような寸法変化などのトラブルを生じない。また製造コストの点でも有利となる。
【0033】
そして本発明により得られる導通体は、紐状スポンジ体 (3) よりも剛性が大のプラスチックステープ(2) により適度の変形が可能な範囲で形状の保持がなされている上、紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように導電性外被(1) を巻き付け接着してあるので、電子機器の筐体の電磁波シールド性ガスケットや筐体内部のグランディング用導通材などとして用いるとき、信頼性ある導通性が確保される。
【0034】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0035】
〈諸材料の準備〉
導電性外被(1) として、ポリエステル繊維糸の平織り布に銅メッキを施した後、その上からさらにニッケルメッキを施した導電性織布(表面抵抗は 0.1Ω/□以下)を準備した。そしてこの導電性織布の片面にフィルム状のポリエステル系ホットメルト接着剤を適用して接着剤層(ad)を形成させた。
【0036】
プラスチックステープ(2) として、厚み0.38mmのポリカーボネートフィルムでできたテプであって、次に述べる硬柔2種の紐状スポンジ体(3) よりも剛性の大のテープを準備した。
【0037】
高さ1m×横巾1m×縦幅1mの(60kg/m3 )のポリウレタン気泡発泡体からなる弾性発泡体ブロックを準備し、一つはこれをスライサーによりスライスしたシートとなし、もう一つはこれを同じようにスライスした後に厚み方向に熱プレスして密度が90kg/m3 のシートとなした。ついでこれらのシートをカッターを用いて所定巾にカットして、断面矩形の硬柔2種の紐状スポンジ体(3) となした。
【0038】
実施例1(D形の導通体)
図1は本発明の導通体の製造工程の一例を示した説明図である。図2は導通体の使い方の一例を示した説明図である。
【0039】
図1の(イ)のように、密度90kg/m3 の硬目の高さ8mmの紐状スポンジ体(3) のA面側の表面の中央寄りに、そのA面の巾(8mm)よりも若干狭巾(6mm)の厚み0.38mmのプラスチックステープ(2) を粘着テープ(t) により接着した。
【0040】
ついで図1の(ロ)のように、紐状スポンジ体(3) のB面側の表面に、広巾テープ状の接着剤層(ad)付き導電性外被(1) の中央側の部分を接着した。接着後の導電性外被(1) は、紐状スポンジ体(3) から両脇にはみ出した状態にある。
【0041】
図1の(ハ)のように、この状態の部材をプラスチックステープ(2) 側が上になるようにして型(8) の横D字形(つまりU字形)の溝(9) に押し込み、溝(9) からはみ出した導電性外被(1) の一方の領域を治具(10)でプラスチックステープ(2) 上に押しつけることにより接着し、続いて図1の(ニ)のように、溝(9) からはみ出した導電性外被(1) のもう一方の領域を治具(10)でプラスチックステープ(2) 上に押しつけることにより接着した。これにより、紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁側が丸く変形するように導電性外被(1) が巻き付け接着され、そのときの導電性外被(1) の継ぎ目jがA面に位置した断面視でD形の導通体が得られた。この導通体の寸法は、A面の巾が7mm、山の高さが 4.5mmであった。なおこの導通体の圧縮応力は、熱プレス時の圧縮倍率や紐状スポンジ体(3) を押し込む溝(9) の深さにより変更することができる。
【0042】
最後に、この導通体のA面に、図1の(ホ)のように、離型シート(4b)で保護した粘着剤層(4a)からなる3mm巾の粘着テープ(4) を取り付けた。
【0043】
得られた導通体は、たとえば図2の(イ),(ロ)のようにして使うことができる。図2において、(6) は筐体、(7) は基板である。この導通体には図2の(ロ)のように上の方から圧力がかかるが、そのときA面側において紐状スポンジ体(3) がプラスチックステープ(2) の横にはみ出すように変形するので、グランディングに必要な導通がとれやすい。
【0044】
実施例2(D形の導通体)
図3は本発明の導通体の製造工程の他の一例を示した説明図である。
【0045】
図3の(イ)のように、未圧縮の密度60kg/m3 の柔らか目の高さ5mmの紐状スポンジ体(3) のA面側の表面に、そのA面の巾と同じ巾(5mm)の厚み0.38mmのプラスチックステープ(2) を粘着テープ(t) により接着した。ついで図3の(ロ)のように、紐状スポンジ体(3) のB面側の表面に、広巾テープ状の接着剤層(ad)付き導電性外被(1) の中央側の部分を接着した。さらに、図3の(ハ)、(ニ)のようにして導電性外被(1) の巻き付け接着を行い、継ぎ目jがA面に位置した断面視でD形のA面の巾5mm、山の高さ3mmの導通体を得た。
【0046】
最後に、この導通体のA面に、図3の(ホ)のように、離型シート(4b)で保護した導電性の粘着剤層(4a)からなる3mm巾の粘着テープ(4) を設けた。この導通体は、たとえば、筐体の扉や窓などの開口部の電磁波シールド性ガスケットとして用いることができる。
【0047】
実施例3(P形の導通体)
図4は本発明の導通体の製造工程のさらに他の一例を示した説明図である。図5は導通体の使い方の他の一例を示した説明図である。
【0048】
図4の(イ)のように、未圧縮の密度60kg/m3 の柔らか目の高さ5mmの紐状スポンジ体(3) のA面側の表面全体に、そのA面の巾5mmの2倍強の巾(13mm)の厚み0.38mmのプラスチックステープ(2) を紐状スポンジ体(3) から一方向(図では右側)にはみ出すように粘着テープ(t) により接着した。
【0049】
ついで図4の(ロ)のように、紐状スポンジ体(3) のB面側の表面に、広巾テープ状の接着剤層(ad)付きの導電性外被(1) の一側寄りの部分を接着した。接着後の導電性外被(1) は、紐状スポンジ体(3) から片脇にある程度はみ出し、他脇に大きくはみ出した状態にある。
【0050】
さらに図4の(ハ)のように、この状態の部材をプラスチックステープ(2) 側が上になるようにして型(8) の横P字形の溝(9) に押し込み、溝(9) からはみ出した導電性外被(1) の一方の領域を治具(10)で紐状スポンジ体(3) 上のプラスチックステープ(2) 上に押しつけることにより接着し、ついで図4の(ニ)のように、溝(9) からはみ出した導電性外被(1) のもう一方の領域を治具(10)でプラスチックステープ(2) 上に押しつけることにより接着した。これにより、紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁側が丸く変形するように導電性外被(1) が巻き付け接着され、そのときの導電性外被(1) の継ぎ目jが紐状スポンジ体(3) 部のA面に位置した断面視でP形のA面の巾(はみ出し部を含む巾)13mm、山の高さ3mmの導通体が得られた。
【0051】
最後に、この導通体のA面の紐状スポンジ体(3) よりはみ出した部位に、離型シート(4b)で保護した粘着剤層(4a)からなる6mm巾の粘着テープ(4) を取り付けた。
【0052】
得られた導通体は、たとえば図5のように筐体のスライド部分に取り付けて使うことができる。図5において、(6) は筐体、(6')は扉または窓である。
【0053】
実施例4(P形の導通体の製造)
図6は本発明により得られる導通体の別の一例を示した説明図である。
【0054】
図4の(ロ)のように紐状スポンジ体(3) のB面側の表面に接着する導電性外被(1) の短かい方の張り出し片に、予め接着剤層(ad)の上から径 0.3mmの糸からなる線条(5) を接着しておいたほかは実施例3を繰り返し、導通体を得た。この導通体にあっては、継ぎ目j近くの部位に線条(5) の存在による盛り上がりがあるので、一段と導通をとりやすくなっている。
【0055】
【発明の効果】
作用の項でも述べたように、本発明においては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視で矩形の紐状スポンジ体を用いているので、単純確実であり、発泡性原料を充填しながら発泡させる方法におけるような寸法変化などのトラブルを生じない。また製造コストの点でも有利となる。
【0056】
そして本発明により得られる導通体は、紐状スポンジ体 (3) よりも剛性が大のプラスチックステープ(2) により適度の変形が可能な範囲で形状の保持がなされている上、紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように導電性外被(1) を巻き付け接着してあるので、電子機器の筐体の電磁波シールド性ガスケットや筐体内部のグランディング用導通材などとして用いるとき、信頼性ある導通性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導通体の製造工程の一例を示した説明図である。
【図2】 導通体の使い方の一例を示した説明図である。
【図3】 本発明の導通体の製造工程の他の一例を示した説明図である。
【図4】 本発明の導通体の製造工程のさらに他の一例を示した説明図である。
【図5】 導通体の使い方の他の一例を示した説明図である。
【図6】 本発明により得られる導通体の別の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …導電性外被、
(ad)…接着剤層、
(j) …継ぎ目、
(2) …プラスチックステープ、
(3) …紐状スポンジ体、
(4) …粘着テープ、
(4a)…粘着剤層、(4b)…離型シート、
(5) …線条、
(6) …筐体、
(6')…扉または窓、
(7) …基板、
(8) …型、
(9) …溝、
(10)…治具、
(t) …粘着テープ
Claims (8)
- 導電性外被(1) 、後述の紐状スポンジ体 (3) よりも剛性が大のプラスチックステープ(2) 、および、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) を用いて作製された異形プロファイルの導通体を製造する方法であって、完成後の導通体の底面(対象物への接着固定面)となる面をA面、その反対面をB面とするとき、
上記導電性外被 (1) にはその片面全面に接着剤層 (ad) を設けておき、
上記紐状スポンジ体(3) のA面側の表面にそのA面の巾を越えない巾の上記プラスチックステープ(2) を接着すると共に、上記の接着剤層 (ad) 付き導電性外被(1) を上記の断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより、断面視でD形の導通体を得ること
を特徴とする異形プロファイル導通体の製造法。 - 導電性外被(1) の巻き付け接着を、完成後の導通体のA面に継ぎ目jが位置するように行うことを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 導電性外被(1) の巻き付け接着を、プラスチックステープ(2) 付きの紐状スポンジ体(3) をD形の溝に押し込みながら行うことを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 完成後の導通体のA面に粘着テープ(4) を設置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
- 導電性外被(1) 、後述の紐状スポンジ体 (3) よりも剛性が大のプラスチックステープ(2) 、および、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) を用いて作製された異形プロファイルの導通体を製造する方法であって、完成後の導通体の底面(対象物への接着固定面)となる面をA面、その反対面をB面とするとき、
上記導電性外被 (1) にはその片面全面に接着剤層 (ad) を設けておき、
上記紐状スポンジ体(3) のA面側の表面の全体またはA面側の表面の大部分にその紐状スポンジ体(3) 部のA面の巾よりも広巾の上記プラスチックステープ(2) を紐状スポンジ体(3) から一方向にはみ出すように接着すると共に、上記の接着剤層 (ad) 付き導電性外被(1) を上記の断面視で矩形の紐状スポンジ体(3) のB面側の両端縁が丸く変形するように巻き付けて接着することにより、断面視でP形の導通体を得ること
を特徴とする異形プロファイル導通体の製造法。 - 導電性外被(1) の巻き付け接着を、完成後の導通体のA面に継ぎ目jが位置するように行うことを特徴とする請求項5記載の製造法。
- 導電性外被(1) の巻き付け接着を、プラスチックステープ(2) 付きの紐状スポンジ体(3) をP形の溝に押し込みながら行うことを特徴とする請求項5記載の製造法。
- 完成後の導通体のA面の紐状スポンジ体(3) よりはみ出した部位に粘着テープ(4) を設置したことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の製造法。
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