JP2536221Y2 - 電磁波シールド用部材 - Google Patents

電磁波シールド用部材

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JP2536221Y2
JP2536221Y2 JP1991050080U JP5008091U JP2536221Y2 JP 2536221 Y2 JP2536221 Y2 JP 2536221Y2 JP 1991050080 U JP1991050080 U JP 1991050080U JP 5008091 U JP5008091 U JP 5008091U JP 2536221 Y2 JP2536221 Y2 JP 2536221Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、電子部品を電磁波から
遮蔽する電磁波シールド用ガスケット等の電磁波シール
ド用部材に関する。
【0002】
【従来技術】近年、マイクロコンピュータ等の電子部品
を用いた各種装置、例えば電子タイプライタやプリンタ
などの事務機,洗濯機,掃除機等の家庭用電気機器、又
は燃料噴射などを電子制御する自動車等が急速に普及し
ている。そして、使用されるマイクロコンピュータの個
数も増加し、それとともにクロック周波数の高周波数化
が進められている。
【0003】ところが、この高周波数化のために、電子
部品等の発生する電磁波ノイズが、各電子部品を収納す
る筐体の開閉部,接合部等の隙間から放射されて周辺の
信号線にのり、或は電子部品に直接作用して、電子部品
の故障や誤動作等の不具合を生じることがある。更に、
電子部品のうちの磁気的記録素子は、小さな磁気エネル
ギにて高密度に磁性体を磁化させたものであるため、電
磁石等による外部磁界によって記録情報の消失といった
悪影響をうけることがある。
【0004】この様な電磁波による障害を防止するため
に、従来より、例えば良導電性金属粒子又はカーボンブ
ラック粒子を含有するエラストマからなる電磁波シール
ド用ガスケット(以下、エラストマガスケットと称す)
が、筐体の隙間に装填されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様なエラストマガスケットを例えば筐体などに用いた場
合には、必ずしも筐体の電磁波の遮蔽性は十分でなく、
次の様な課題が残されている。
【0006】エラストマガスケットは、含有する良導電
性金属粒子又はカーボンブラック粒子(以下導電性粒子
という)により付与された高い導電性と、母材であるエ
ラストマ自身の弾性とを備えている。しかしながら、導
電性粒子の含有量の増加に伴って電気抵抗率が低下する
反面、導電性粒子の含有量が所定値を越えると、エラス
トマ自身の弾性が損なわれてしまう。このため、導電性
粒子の含有量は一定の上限値に制限されるが、それでも
弾性の低下は避けられない。
【0007】従って、例えば筐体の開閉部分を押圧する
力が小さいと、蓋がエラストマガスケットを十分に縮ま
せることができず、よってエラストマガスケットと蓋と
の間に隙間ができることがあった。その結果、十分な電
磁気シールドができないという問題があった。
【0008】本考案は、上記課題を解決するためになさ
れ、その目的は、電子部品を収納する筐体等において、
弱い押圧力の場合でも隙間をなくすことができ、それに
よって十分な電磁気シールドを行うことができる電磁波
シールド用部材を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
なされた請求項1の考案は、複数の部材が接する部分に
用いられて前記部材間を通過する電磁波を遮蔽する電磁
波シールド用部材において、当接する部材の移動を規制
する所定以上の硬さを有するストッパと、弱い弾性を有
し、前記ストッパの少なくとも頂部を取り巻いて、該頂
部との間に圧縮空間を有する様に配置された金属メッシ
ュと、前記ストッパから前記頂部と反対方向に突出し
て、電磁波シールド部材自身を前記一方の部材の凹部に
固定する固定部と、を備え、前記金属メッシュの一部が
前記ストッパと固定部とからなる本体部材の内部に入り
込んで固定されるとともに、前記ストッパの頂部は、前
記当接する部材が移動して前記金属メッシュが前記圧縮
空間にて圧縮される場合に該金属メッシュの圧縮率が5
0%以下となる様に設けられていることを特徴とする電
磁波シールド用部材を要旨とする。
【0010】また、請求項2の考案は、複数の部材が接
する部分に用いられて上記部材間を通過する電磁波を遮
蔽する電磁波シールド用部材において、当接する部材の
移動を規制する所定以上の硬さを有するストッパと、該
ストッパの頂部と反対方向に該ストッパから突出して、
電磁波シールド部材自身を前記一方の部材の凹部に固定
する固定部と、弱い弾性を有し、前記ストッパと固定部
とからなる本体部材の周囲を覆うとともに、前記ストッ
パの頂部との間に圧縮空間を有する様に配置された金属
メッシュと、を備え、前記金属メッシュの一部が前記本
体部材の表面にて固定されるとともに、前記ストッパの
頂部は、前記当接する部材が移動して前記金属メッシュ
が前記圧縮空間にて圧縮される場合に該金属メッシュの
圧縮率が50%以下となる様に設けられていることを特
徴とする電磁波シールド用部材を要旨とする。
【0011】ここで、電磁波シールド用部材とは、例え
ば筐体の開閉部や間隙に、電磁波の遮蔽のために用いら
れる電磁波シールド用ガスケットなどの部材である。上
記弾性シールド部材としては、例えばφ0.1〜0.5
mmの線材からなる金属メッシュを採用でき、その材料と
しては、例えばステンレス,モネル,銅等が考えられ
る。この弾性シールド部材は、特に圧縮率が40%以下
の範囲にてより良好な形状復元能力を有するので好適で
ある。
【0012】また、ストッパの形状としては、例えば長
手方向に伸びる柱状や環状のものがあり、その断面も円
形,楕円形,多角形等各種の形状のものを用いることが
できる。その材料としては、例えばスプリング硬さHs
(JIS:A)60度以上のゴムを使用することができ
る。
【0013】固定部材は、例えばプラスチックから形成
することができ、その形状は、電磁波シールド用部材を
取り付ける位置によって様々であるが、例えば断面が矢
印状や矩形状等であって長手方向に伸びる柱状のものを
採用できる。
【0014】
【作用】請求項1の考案の電磁波シールド用部材は、例
えば筐体の蓋等の部材が接する部分に用いられて、部材
間を通過する電磁波を遮蔽するものである。そして、少
なくともストッパの頂部の周囲には、弱い力で曲げるこ
とができる弱い弾性を有する金属メッシュが配置される
とともに、金属メッシュは本体部材内に入り込んだ状態
で固定されている。しかも、ストッパの頂部は、金属メ
ッシュが圧縮された場合にその圧縮率が50%以下とな
る様に設けられている。つまり、当接する部材が移動す
ることによって、金属メッシュが圧縮空間にて圧縮され
るが、その場合に金属メッシュの圧縮率が50%以下と
なる様に、ストッパの頂部が設けられている
【0015】従って、金属メッシュが例えば蓋によって
外側から押圧されると、金属メッシュはしなやかにたわ
むことになる。この結果、金属メッシュは、たわんだ状
態でストッパで停止して蓋と密着することになるので、
蓋との隙間が密閉されて、電磁波をシールドする能力が
向上することになる。また、金属メッシュは、ストッパ
によってその圧縮率が決められて所定量を越えてたわま
ないので、その復元性が高いという利点がある。
【0016】更に、ストッパに固定部材が設けられてい
ので、電磁波シールド部材自身を筐体等に取り付ける
ことが容易になる。 また、請求項2の考案は、基本的な
構成は、前記請求項1と同様であり、大きく異なる点
は、金属メッシュが本体部材の全体を覆うとともに、金
属メッシュは本体部材の表面にて、例えば糸等によって
固定されているという点である。この構成よって、スト
ッパと固定部材とを一体にて形成できるので、その製造
が容易であるという利点がある。
【0017】
【実施例】以下に本考案による電磁波シールド用部材
を、筐体の開閉部分に適用した実施例について説明す
る。図1は、第1実施例の電磁波シールド用ガスケット
1が電子部品を収納する筐体(ケース)3に取り付けら
れた状態を示す一部破断斜視図である。
【0018】上記ケース3は金属製で直方体形状をして
おり、電子部品を収納する様に開口部4が設けられてい
る。この開口部4には金属製の蓋体5が、蝶番7を介し
て回動自在に取り付けられている。またケース3の蓋体
5と合わさる縁部9には、上記電磁波シールド用ガスケ
ット1が導電性の接着剤によって貼り付けられている。
更に、蓋体5を閉じたときに、電磁波シールド用ガスケ
ット1を挟んでケース3と蓋体5とが締め付け合うこと
によってケース3の内部を密閉できる様に、蓋体締め付
け部11がケース3及び蓋体5に設けられている。また
ケース3の側面には、ケース3内に収納された電子部品
の信号線(図示せず)を外部に取り出すための防水コネ
クタ13が取り付けられている。
【0019】上述した電磁波シールド用ガスケット1
は、図2に示す様に、円筒状の金属メッシュからなる弾
性シールド部材20と、その貫通孔21内に配置された
ゴム製のストッパ23と、ストッパ23と接合された固
定部材25とから構成されている。
【0020】弾性シールド部材20は、φ0.1〜0.
5mmの範囲(例えばφ0.3mm)のステンレス線が編ま
れた直径10mmの筒状のメッシュである。この弾性シー
ルド部材20は、圧縮率が50%以下の範囲で復元性が
あり、特に40%以下の範囲では高い復元性を有するも
のである。
【0021】ゴム製のストッパ23は、直径が6mmの円
柱状の部材であり、硬度Hsは70度以上である。この
ストッパ23は、弾性シールド部材20の貫通孔21内
に、その一端(下部)23aを接触する様に、接着剤に
よって弾性シールド部材20と接合されている。
【0022】従って、上記ストッパ23の(弾性シール
ド部材20と)接合していない一端(上部=頂部)23
bと、それに対応する弾性シールド部材20の内周面2
0aとは、約4mm離れている。それによって、弾性シー
ルド部材20が、圧縮率50%以下の範囲で内側にたわ
むことができる圧縮空間27が形成されている。即ち、
弾性シールド部材20の圧縮率が50%以下となる様
に、ストッパ23の頂部23bが設けられている。
【0023】固定部材25は、弾性シールド部材20を
挟んで、接着剤によってストッパ23に接合されるもの
であり、その先端(下端)には、係止用の突起25aが
形成されている。上記構成の電磁気シールド用ガスケッ
ト1は、次の様にして使用される。
【0024】図3(A)に示す様に、蓋体5が閉められ
ていない場合には、弾性シールド部材20とストッパ2
3との間には、所定の間隔を有する圧縮空間27があ
る。そして、蓋体5が閉められると、図3(B)に示す
様に、弾性シールド部材20が上下にたわんで左右に広
がり、圧縮空間27の間隔が無くなる。それによって、
弾性シールド部材20がストッパ23に当接し、また蓋
体5もストッパ23で止められることになる。尚、蓋体
5が再度開けられる場合には、図3(A)の状態とな
り、弾性シールド部材20は自身の弾性によって元の状
態に戻る。
【0025】この様に、本実施例の電磁波シールド用ガ
スケット1では、ストッパ23の周囲に柔軟な弾性シー
ルド部材20を配置するとともに、ストッパ23と弾性
シールド部材20との間には所定の間隔の圧縮空間27
を設けてある。従って、蓋体5の押圧力が小さい場合に
も、容易に弾性シールド部材20がたわんで蓋体5に広
い面積で密接し、それによって蓋体5と電磁波シールド
用ガスケット1との隙間を完全に密閉して、十分な電磁
気シールドを行なうことができる。
【0026】また、弾性シールド部材20は、ストッパ
23によって一定の圧縮率を超えて小さく縮まない様に
されているので、蓋体5を開けた場合には、迅速にその
外形を復元できるという利点がある。つまり、ストッパ
23によって、弾性シールド部材20の変形範囲が規定
されていることによって、最も復元性の高い範囲を使用
できるので、容易に復元が可能になるのである。
【0027】更に、ストッパ23には、固定部材25が
接合されているので、固定部材25をケース3の固定溝
30に嵌め込むだけで、容易に電磁気シールド用ガスケ
ットを1を、ケース3に取り付けることができる。次
に、本実施例の効果を確認するために行った実験例につ
いて説明する。
【0028】(実験例) この実験では、実施例の電磁波シールド用ガスケット1
と、比較例のシリコーンフォームを用いたエラストマガ
スケットとを使用し、その両ガスケットを押圧して50
%圧縮する試験を5回行ない、その時の応力と残留歪み
とを測定した。その結果を表1に記す。
【0029】
【表1】
【0030】この表1から明かな様に、本実施例の電磁
波シールド用ガスケット1は、圧縮回数に係わらず50
%圧縮までの応力は少なくて済み、極めて柔軟なことが
分かる。また、残留歪みが少なく復元性が高いので好適
である。それに対して比較例のエラストマガスケット
は、残留歪みは実施例とほぼ同等であるが、50%圧縮
させるためには、大きな押圧力が必要であり好ましくな
い。
【0031】次に、第2実施例の電磁波シールド用ガス
ケット40について説明する。図4に示す様に、本実施
例の電磁波シールド用ガスケット40は、ストッパ41
と固定部材42が一体に形成されたものであり、このス
トッパ41と固定部材42の周囲を覆うように、金属メ
ッシュからなる弾性シールド部材43が配置されてい
る。
【0032】そして、この場合にも、ストッパ41の上
(=頂部)41aと弾性シールド部材43の内周面4
3aとの間には、圧縮率が50%以下となる様な圧縮空
間44が設けられている。即ち、弾性シールド部材43
の圧縮率が50%以下となる様に、ストッパ41の頂部
41aが設けられている。尚、固定部材42の周囲の弾
性シールド部材43が、固定部材42から離れない様
に、糸45によって縫いつけられている。
【0033】本実施例では、上記第1実施例と同様な効
果を奏するとともに、ストッパ41と固定部材42とが
一体にて形成できるので、その製造が容易であるという
利点がある。尚、本考案は上記実施例に何等限定される
ことなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において各種
の態様で実施できることは勿論である。
【0034】例えば弾性シールド部材が、必ずしも完全
に筒状で、しかも周囲がつながっている必要はなく、例
えば固定部材の近傍で一部が離れていてもよい。
【0035】
【考案の効果】以上詳述したことから明らかな様に、本
考案の請求項1及び請求項2の電磁波シールド用部材
は、上記ストッパと金属メッシュと圧縮空間とを備えて
いるので、電磁波シールド用部材を押圧する力が弱い場
合にも、金属メッシュが容易にたわんで、確実に隙間を
密閉して十分な電磁気シールドを行なうことができる。
また金属メッシュは、ストッパによって所定量以上たわ
まない様に抑止されているので、その復元性が高いとい
う利点がある。更に電磁波シールド用部材には、固定部
材が設けてあるので、筐体等への取り付けが容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例を説明するためのケースの
一部破断斜視図である。
【図2】第1実施例の電磁波シールド用ガスケットの一
部破断斜視図である。
【図3】第1実施例の電磁波シールド用ガスケットの使
用方法を示す説明図である。
【図4】第2実施例の電磁波シールド用ガスケットの断
面図である。
【符号の説明】
1,40…電磁波シールド用ガスケット 3…ケース 5…蓋体 20,43…
弾性シールド部材 23,41…ストッパ 25,42…
固定部材 27,44…圧縮空間

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の部材が接する部分に用いられて前
    記部材間を通過する電磁波を遮蔽する電磁波シールド用
    部材において、 当接する部材の移動を規制する所定以上の硬さを有する
    ストッパと、 弱い弾性を有し、前記ストッパの少なくとも頂部を取り
    巻いて、該頂部との間に圧縮空間を有する様に配置され
    た金属メッシュと、 前記ストッパから前記頂部と反対方向に突出して、電磁
    波シールド部材自身を前記一方の部材の凹部に固定する
    固定部と、 を備え、 前記金属メッシュの一部が前記ストッパと固定部とから
    なる本体部材の内部に入り込んで固定されるとともに、前記ストッパの頂部は、前記当接する部材が移動して前
    記金属メッシュが前記圧縮空間にて圧縮される場合に該
    金属メッシュの圧縮率が50%以下となる様に設けられ
    ている ことを特徴とする電磁波シールド用部材。
  2. 【請求項2】 複数の部材が接する部分に用いられて上
    記部材間を通過する電磁波を遮蔽する電磁波シールド用
    部材において、 当接する部材の移動を規制する所定以上の硬さを有する
    ストッパと、 該ストッパの頂部と反対方向に該ストッパから突出し
    て、電磁波シールド部材自身を前記一方の部材の凹部に
    固定する固定部と、 弱い弾性を有し、前記ストッパと固定部とからなる本体
    部材の周囲を覆うとともに、前記ストッパの頂部との間
    に圧縮空間を有する様に配置された金属メッシュと、 を備え、 前記金属メッシュの一部が前記本体部材の表面にて固定
    されるとともに、前記ストッパの頂部は、前記当接する部材が移動して前
    記金属メッシュが前記圧縮空間にて圧縮される場合に該
    金属メッシュの圧縮率が50%以下となる様に設けられ
    ている ことを特徴とする電磁波シールド用部材。
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