JP3815820B2 - 異形プロファイルの電磁波シールド性導通材の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の筐体のスライド部分の隙間を埋める目的に好適な異形プロファイルの電磁波シールド性導通材(EMIガスケットやグランディング用導通材)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
EMI(電磁干渉ないし電磁障害)またはRFI(電波障害)の対策のため、コンピュータやその周辺機器などの電子機器の金属筐体のスライド部分の隙間には、L字形、V字形、楔形などの異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を設置することが必要となる。
【0003】
米国特許第4857668号には、銀コートナイロン織布などの導電性織布を金型に挿入して空洞を作りつつ、その空洞に発泡性原料を充填しながら発泡させていくことにより連続的に電磁波シールド性ガスケットを製造する方法が示されており、断面視で矩形のもののほか、異形プロフィルのものについても開示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の米国特許第4857668号に記載の方法、すなわち、導電性織布を金型に挿入して空洞を作りつつ、そこに発泡性原料を充填しながら発泡させていくことにより連続的にガスケットを製造する方法(以下「連続発泡法」という)は、生産性が極めて高いという利点がある。
【0005】
しかしながらこの連続発泡法は、発泡性原料の調製、充填のタイミング、導電性織布の移動速度、温度条件などに細心の注意を払わないと失敗品が得られるので、高度の制御技術を要する上、装置コストも高くなるという問題点がある。加えて、発泡後の製品を金型から引き出した後も若干発泡が進むため、特に異形プロファイルのものを得ようとするときには寸法精度が劣るという問題があり、電子機器の金属筐体のスライド部分の隙間に設置して電磁波シールドを図るような目的に用いる場合に信頼性に不安があった。
【0006】
本出願人は、ポリウレタンスポンジに代表される弾性発泡体ブロックをスライサーにより所定の厚みにスライスした後、巾方向に所定巾にカットして断面視で矩形の短尺紐状体となし、その紐状体の端部同士を次々に接合して長尺紐状体にしてから、その周りに導電性織布やアルミニウム箔ラミネートフィルムからなる導電性シートを接着剤層を介して胴巻き状に貼着する方法により得た電磁波シールド性ガスケットを製造している。この方法は、手作業工程を伴なう製造法ではあるが、単純確実な方法であって、多品種少量生産の目的に適している。
【0007】
しかしながらこの単純スライス法は、断面視が矩形のものを製造するためには適しているが、断面視がL字形、V字形、楔形などの異形プロファイルのものは円滑には得られがたいという問題点がある。またたとえそのような形状のものを作製しても、筐体のスライド部分の隙間に設置する使い方をするときには、常態に比し過大な変形姿勢で設置することにより復元力を増大させて導通性を確保しなければならない上、そのような過大な変形姿勢にすると永久歪みを起こしやすくなって、使用期間が長くなると導通の信頼性が低下するという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような背景下において、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体を用いながらも、寸法精度が高く、製造コスト的にも有利で、また筐体のスライド部分の隙間に設置する使い方をするとき、比較的小さな変形姿勢で設置しても上下(または左右)の確実な導通性が確保されかつ永久歪みを生じがたいので導通の永続的な信頼性が得られる異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を製造する工業的な方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の異形プロファイルの電磁波シールド性導通材の製造法は、
導電性外被(1) 、適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) 、および、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) を用いて作製された異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を製造する方法であって、
(2) 上に(3) を配置した関係を(3)/(2) 、(3) 上に(2) を配置した関係を(2)/(3) と表示するとき、
片面に接着剤層(ad)を形成した導電性外被(1) の接着剤層(ad)側の面に、(2) と(3) 、(2) と(3)/(2) 、(2) と(2)/(3) 、(3)/(2) と(3) 、(3)/(2) と(3)/(2) 、(3)/(2) と(2)/(3) 、(2)/(3) と(3) 、または、(2)/(3) と(2)/(3) の組み合わせから選ばれた2条を、後述の折り込みおよび導電性外被 (1) の耳端領域による被覆接着により紐状スポンジ体 (3) の角を変形させてその角の部分のスポンジ密度が高くなるように互いに接近させてまたは間隙gをあけて導電性外被(1) の長さ方向にその導電性外被(1) の少なくとも片方の耳端領域を残して並行配置し、
ついで2条の配置物が向かい合うように接近線または間隙gに沿って折り込んで異形プロファイルとなすと共に、導電性外被(1) の耳端領域にてその配置物を覆うように被覆接着することによりその異形プロファイルを固定すること
を特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
〈使用部材〉
本発明においては、異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を製造するために、導電性外被(1) 、適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) 、および、断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) を用いる。そのほか接着剤を用い、また望ましくは粘着テープ(4) や線条(5) を用いる。
【0012】
〈導電性外被(1) 〉
導電性外被(1) としては、導電性布状物(織布、編布、不織布)が好適に用いられ、アルミニウム箔などの金属箔を用いることもできる。金属箔の場合には、片面に合成樹脂フィルム層が設けることが好ましい。このうち導電性布状物としては、金属細線(モネル、カッパーウェルド、アルミニウム、スズメッキ銅等)あるいは金属コート繊維(合成繊維にメッキ、蒸着、スパッタリング等の手段により金属コートした繊維)からなるマルチフィラメント糸またはモノフィラメント糸を編織等したもの、合成繊維糸を用いて編織等した布状物に金属コート(メッキ、蒸着、スパッタリング等)や導電性樹脂コートを施したものなどがあげられる。
【0013】
〈プラスチックステープ(2) 〉
適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) としては、次に述べる紐状スポンジ体(3) よりも剛性が大のものが用いられる。プラスチックスの種類には特に限定はなく、たとえば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、セルローストリアセテートなどが用いられる。厚みは、たとえば0.05〜1.5mm 程度、殊に 0.1〜1mm程度が適当である。
【0014】
〈紐状スポンジ体(3) 〉
断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) としては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られるものが用いられ、特にブロック状の弾性発泡体をスライスしたものであることが好ましい。ブロック状の弾性発泡体をスライスするときは、一旦所定厚dよりも 1.3〜5倍程度厚い厚みにスライスして厚手シートとなした後、それを厚み方向に熱プレスして所定厚dの圧縮シートにすると、反発弾性がさらに向上する。上記における弾性発泡体としては、ポリウレタン、シリコーン、ネオプレンゴム、EPDMをはじめとするスポンジ状の弾力性を有する発泡体が用いられ、特にポリウレタン発泡体が重要である。弾性発泡体の密度は、樹脂の種類や導通材の使い方によっても異なるので一概には定められないが、たとえば30〜250kg/m3 程度、殊に50〜220kg/m3 程度とすることが多い。紐状スポンジ体(3) の厚みは、たとえば2〜8mm程度、殊に3〜5mm程度とすることが多い。
【0015】
〈導通材〉
本発明の異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を製造するときの態様は次の通りである。(2) 上に(3) を配置した関係を(3)/(2) 、(3) 上に(2) を配置した関係を(2)/(3) と表示することにする。
【0016】
すなわち、片面に接着剤層(ad)を形成した導電性外被(1) の接着剤層(ad)側の面に、(2) と(3) 、(2) と(3)/(2) 、(2) と(2)/(3) 、(3)/(2) と(3) 、(3)/(2) と(3)/(2) 、(3)/(2) と(2)/(3) 、(2)/(3) と(3) 、または、(2)/(3) と(2)/(3) の組み合わせ(特に最初の6つの組み合わせ)から選ばれた2条を、後述の折り込みおよび導電性外被 (1) の耳端領域による被覆接着により紐状スポンジ体 (3) の角を変形させてその角の部分のスポンジ密度が高くなるように互いに接近させてまたは間隙gをあけて導電性外被(1) の長さ方向にその導電性外被(1) の少なくとも片方の耳端領域を残して並行配置する。2条のうち少なくとも一方が(3)/(2) または(2)/(3) であるときは、上下の層は予め接着しておいてもよく、(1) 上に片方の層を設けてから、その上に他方の層を設けるようにしてもよい。(3)/(2) 、(2)/(3) の場合には、(2), (3)のいずれかの巾を他のものに比し広くまたは狭くして、上下の層の巾を変えることもできる。
【0017】
上記の2条は、上記のように互いに接近させてまたは間隙gをあけて並行配置するが、左右ともプラスチックステープ(2) がある場合で左右を折り込んだときに(2), (2)同士が突き合って邪魔をするような場合は、間隙gを(2) の厚みのほぼ2倍を目安にすると、L字形、V字形、楔形を形成しやすくなる。左右を折り込んだときに(2), (2)同士が突き合わない組み合わせのときは、間隙をさらに小さくするか間隙がなくなるようにする方がベターである。
【0018】
そして上記のように並行配置した後は、2条の配置物が向かい合うように接近線または間隙gに沿って折り込んでL字形、V字形、楔形などの異形プロファイルとなすと共に、導電性外被(1) の耳端領域にてその配置物を覆うように被覆接着することによりその異形プロファイルを固定する。
【0019】
〈継ぎ目j〉
導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jは導通材のどこに位置させてもよいが、その継ぎ目jを、完成後の導通材の底面(筐体などの対象物への接着固定面)に位置するようにすることが特に望ましい。その方が後述の粘着テープ(4) の粘着剤層(4a)により生ずる段差を小さくできるからである。
【0020】
〈接着剤層(ad)〉
上記において接着剤層(ad)形成用の接着剤としては、好適には、ポリエステル系、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、ポリウレタン系をはじめとする各種のホットメルト接着剤、粘着剤(感圧接着剤)、通常の接着剤などが用いられる。
【0021】
〈粘着テープ(4) 〉
電子機器等への装着を容易にするため、完成後の導通材の底面(筐体などの対象物への接着固定面)には、離型シート(4b)で保護した粘着剤層(4a)からなる粘着テープ(4) を設けることが望ましい。このときの粘着テープ(4) の巾は、上記導通材の底面の巾の25〜75%、好ましくは30〜70%、殊に40〜70%の範囲に設定することが望ましい。この場合、完成後の導通材の底面に粘着テープ(4) を上述の継ぎ目jにかからないように設けることが望ましい。なお、粘着テープ(4) の粘着剤層(4a)として導電性のものを用いるときは、継ぎ目jの位置は必ずしも完成後の導通材の底面にある必要はなく、また導通材の底面に継ぎ目jがある場合、粘着テープ(4) をその継ぎ目jにかかるように設けても特に支障とはならない。
【0022】
〈線条(5) 〉
完成後の導通材の底面(対象物への接着固定面)の導電性外被(1) の内側に線条(5) を長さ方向に位置させることにより、その底面に盛り上がり部を生ずるようにすると、より確実な筐体上下(または左右)の導通が確保されるので好ましい。
【0023】
線条(5) としては、たとえば径または厚みが 0.1〜1mm程度の糸、フィラメント、帯などが用いられ、単線のみならず複線状に設けてもよい。
【0024】
線条(5) は、導電性外被(1) の接着剤層(ad)側に設けるか、底面となる側のプラスチックステープ(2) (または紐状スポンジ体(3) )側に設ける。
【0025】
〈用途〉
上述のようにして得られた異形プロファイルの電磁波シールド性導通材は、電子機器の筐体、蓋体、扉などのスライド部分の隙間を埋める目的の導通材(EMIガスケットやグランディング用導通材)として好適であり、電磁波シールドを目的とする他の使い方をすることもできる。
【0026】
〈作用〉
本発明においては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体を用いているので、単純確実であり、発泡性原料を充填しながら発泡させる方法におけるような寸法変化などのトラブルを生じない。また製造コストの点でも有利となる。
【0027】
そして、接近線または間隙gに沿っての折り込みおよび導電性外被(1) の耳端領域による被覆接着により断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) の角を変形させているので、その角の部分ではスポンジの密度が高くなると共にその部分の反発力が高くなっている上、適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) により、適度の変形が可能な範囲で形状の保持がなされている。そのため、本発明の導通材を筐体のスライド部分の隙間に設置する使い方をするとき、比較的小さな変形姿勢で設置しても筐体上下(または左右)の確実な導通性が確保され、かつ永久歪みを生じがたいので導通の永続的な信頼性が得られる。
【0028】
特に、導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jが完成後の導通材の底面に位置するようにし、さらにはその完成後の導通材の底面に粘着テープ(4) を底面の巾の25〜75%になるように設けると共に、完成後の導通材の底面に粘着テープ(4) を継ぎ目jにかからないようにすると、接着性を確保しつつ導通をとりやすくなるため、より小さな変形姿勢で設置しても上下(または左右)の確実な導通性が確保される。
【0029】
また完成後の導通材の底面の導電性外被(1) の内側に線条(5) を長さ方向に位置させて、その底面に盛り上がり部を生ずるようにすると、より確実な筐体上下(または左右)の導通が確保される。
【0030】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0031】
〈導電性外被(1) 、接着剤層(ad)〉
導電性外被(1) として、ポリエステル繊維糸の平織り布に銅メッキを施した後、その上からさらにニッケルメッキを施した導電性織布(表面抵抗は 0.1Ω/□以下)を準備した。そしてこの導電性織布の片面にフィルム状のポリエステル系ホットメルト接着剤を設けて接着剤層(ad)となした。
【0032】
〈プラスチックステープ(2) 〉
プラスチックステープ(2) として、厚み 0.2mmのポリカーボネートフィルム製の適度の剛性(次に述べる紐状スポンジ体(3) よりも剛性の大のもの)のあるテープを準備した。
【0033】
〈紐状スポンジ体(3) 〉
高さ1m、横巾1m、縦幅1mの大きさの密度60kg/m3 のポリウレタン連続気泡発泡体からなる弾性発泡体ブロックを準備し、これをスライサーを用いて6mm、9mm厚みにスライスし、厚手シートとなした。この厚手シートの厚み方向の寸法公差は±3.0mm であった。この厚手シートを熱プレス装置に供給し、厚み方向に1/2または1/3に圧縮した状態で熱プレスを行った。これにより、厚み3mm、密度120kg/m3 または180kg/m3 の圧縮シートが得られた。この圧縮シートの厚み方向の寸法公差は±0.15mmであった。ついでこの圧縮シートをカッターを用いて10mm巾にカットし、断面矩形の長さ1mの紐状スポンジ体(3) となした。次にその端部同士を熱融着により次々に接合して長尺の紐状スポンジ体(3) となした。
【0034】
〈粘着テープ(4) 〉
粘着テープ(4) として、離型シート(4b)で保護した粘着剤層(4a)からなる両面接着テープを準備した。粘着テープ(4) の巾は、導通材の底面の巾の1/2〜2/3の範囲に設定した。
【0035】
〈線条(5) 〉
径または厚みが 0.3mmの糸からなる線条(5) を準備した。
【0036】
実施例1
図1は本発明の導通材の製造工程の一例を示した説明図である。図11は本発明の導通材の使い方の一例を示した説明図である。
【0037】
図1の(A)のように、導電性外被(1) の接着剤層(ad)上に、右側の耳端領域を大きく残して、左端に端面を合わせてプラスチックステープ(2) を長さ方向に配置して接着し、そのプラスチックステープ(2) に接近させて紐状スポンジ体(3) を長さ方向に並行に配置し、接着させた。なお導電性外被(1) の右側の耳端領域の端部側には、長さ方向に、接着剤層(ad)の上から線条(5) を予め接着しておいた。
【0038】
ついで、図1の導電性外被(1) の右側の耳端領域を紐状スポンジ体(3) 上に巻き込んで(B)のように接着した。この際、導電性外被(1) の端部側の余剰部分の接着剤層(ad)は上を向くようにしておいた。
【0039】
次に2条の配置物が向かい合うように接近線に沿って折り込むと共に、上記の導電性外被(1) の端部側の余剰部分をプラスチックステープ(2) の上面に当てて接着し、さらに導電性外被(1) の端部側を底面にまで回り込むようにして接着した。
【0040】
これにより、(C)に示したように、断面視でL字形ないしV字形の目的とする導通材が得られた。この導通材の屈曲部分においては、紐状スポンジ体(3) が左側のプラスチックステープ(2) に接触して変形して起き上がろうとする付勢力が働く。
【0041】
得られた導通材は、たとえば図11のようにして使うことができる。図11において、(5) はスライド部分を有する筐体である。
【0042】
この実施例1によれば、導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jが完成後の導通材の底面に位置しており、かつ粘着テープ(4) が継ぎ目jにかからないようにしてあり、さらには底面の継ぎ目j近くの部位に線条(5) の存在による盛り上がりがあるので、接着性を確保しつつ導通をとりやすくなっている。また小さい変形姿勢で筐体(6) に設置しても、上下の確実な導通性が確保されるようになっている。
【0043】
なお図1の矢印の部位がなだらかになるので、電子機器のスライド部分に装着したときに筐体(6) との接触面積が大きくなるという利点がある。
【0044】
実施例2
図2は本発明の導通材の製造工程の他の一例を示した説明図である。図12は本発明の導通材の使い方の他の一例を示した説明図である。
【0045】
図2の(A)のように、導電性外被(1) の接着剤層(ad)上に、右側の耳端領域を大きく残して、左端に端面を合わせてプラスチックステープ(2) を長さ方向に配置して接着し、そのプラスチックステープ(2) との間に間隙gをあけて紐状スポンジ体(3) /プラスチックステープ(2) 積層物を長さ方向に並行に配置し、接着させた。間隙gはプラスチックステープ(2) の厚みdの2倍とした。なお導電性外被(1) の左側の端部側には、プラスチックステープ(2) を接着する前に、長さ方向に、接着剤層(ad)の上から線条(5) を予め接着しておいた。
【0046】
ついで、図2の導電性外被(1) の右側の耳端領域を紐状スポンジ体(3) /プラスチックステープ(2) 積層物上に巻き込んで(B)のように接着した。この際、導電性外被(1) の端部側の余剰部分の接着剤層(ad)は上を向くようにしておいた。
【0047】
次に2条の配置物が向かい合うように間隙gに沿って折り込むと共に、上記の導電性外被(1) の端部側の余剰部分をプラスチックステープ(2) の上面に当てて接着し、さらに導電性外被(1) の端部側を底面にまで回り込むようにして接着した。
【0048】
これにより、(C)に示したように、断面視でL字形ないしV字形の目的とする導通材が得られた。この導通材の屈曲部分においては、紐状スポンジ体(3) が左側のプラスチックステープ(2) に接触して変形して起き上がろうとする付勢力が働く。得られた導通材は、たとえば図12のようにして使うことができる。
【0049】
この実施例2によれば、導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jが完成後の導通材の底面に位置しており、かつ粘着テープ(4) が継ぎ目jにかからないようにしてあり、さらには底面の継ぎ目j近くの部位に線条(5) の存在による盛り上がりがあるので、接着性を確保しつつ導通をとりやすくなっている。また小さい変形姿勢で筐体(6) に設置しても、上下の確実な導通性が確保されるようになっている。
【0050】
実施例3〜9
図3〜図9は本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。これら図3〜図9の導通材は、実施例1(図1)や実施例2(図2)に準じて製造されるので、最終構造から製造工程は容易に理解されるであろう。線条(5) の位置は種々変えてある。
【0051】
図3の導通材(実施例3)にあっては、実施例2(図2)における(3)/(2) の配置物のうち(1) 側に接する方の(2) の巾を(3) よりも狭くしてあるため、図3の矢印の部位がなだらかになり、電子機器のスライド部分に装着したときに筐体との接触面積が大きくなる。
【0052】
図4の導通材(実施例4)にあっては、実施例2(図2)における右側の(3)/(2) の配置物の上下を反対にして(2)/(3) とし、その(2)/(3) のうち(2) の巾を(3) の巾よりも狭くし、また間隙gをなくしてある。矢印の部位はなだらかになっている。
【0053】
図5の導通材(実施例5)にあっては、実施例1(図1)の左側の配置物(2) を(3)/(2) で置換してある。
【0054】
図6の導通材(実施例6)にあっては、(3)/(2) と(3)/(2) の組み合わせを採用している。
【0055】
図7の導通材(実施例7)にあっては、(3)/(2) と(2)/(3) の組み合わせを採用している。
【0056】
図8の導通材(実施例8)にあっては、(2)/(3) と(3) の組み合わせを採用している。
【0057】
図9の導通材(実施例9)にあっては、(2)/(3) と(2)/(3) の組み合わせを採用している。
【0058】
実施例10
図10は本発明の導通材の製造工程の別の例を示した説明図である。
【0059】
この実施例10においては、実施例2(図2)の場合と同様に(2) と(3)/(2) の組み合わせを採用しているが、間隙gに沿っての折り込みを大にして楔形の形状が得られるようにしてある。
【0060】
【発明の効果】
作用の項でも述べたように、本発明においては、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体を用いているので、単純確実であり、発泡性原料を充填しながら発泡させる方法におけるような寸法変化などのトラブルを生じない。また製造コストの点でも有利となる。
【0061】
そして、接近線または間隙gに沿っての折り込みおよび導電性外被(1) の耳端領域による被覆接着により断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) の角を変形させているので、その角の部分ではスポンジの密度が高くなると共にその部分の反発力が高くなっている上、適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) により、適度の変形が可能な範囲で形状の保持がなされている。そのため、本発明の導通材を筐体のスライド部分の隙間に設置する使い方をするとき、比較的小さな変形姿勢で設置しても筐体上下(または左右)の確実な導通性が確保され、かつ永久歪みを生じがたいので導通の永続的な信頼性が得られる。
【0062】
特に、導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jが完成後の導通材の底面に位置するようにし、さらにはその完成後の導通材の底面に粘着テープ(4) を底面の巾の25〜75%になるように設けると共に、完成後の導通材の底面に粘着テープ(4) を継ぎ目jにかからないようにすると、接着性を確保しつつ導通をとりやすくなるため、より小さな変形姿勢で設置しても上下(または左右)の確実な導通性が確保される。
【0063】
また完成後の導通材の底面の導電性外被(1) の内側に線条(5) を長さ方向に位置させて、その底面に盛り上がり部を生ずるようにすると、より確実な筐体上下の導通が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導通材の製造工程の一例を示した説明図である。
【図2】 図2は本発明の導通材の製造工程の他の一例を示した説明図である。
【図3】 本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。
【図4】 本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。
【図5】 本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。
【図6】 本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。
【図7】 本発明により得られる導通材のさらに他の例を示した説明図である。
【図8】 本発明の導通材の製造工程のさらに他の一例を示した説明図である。
【図9】 本発明の導通材の製造工程のさらに他の一例を示した説明図である。
【図10】 本発明の導通材の製造工程の別の例を示した説明図である。
【図11】 本発明の導通材の使い方の一例を示した説明図である。
【図12】 本発明の導通材の使い方の他の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …導電性外被、
(2) …プラスチックステープ、
(3) …紐状スポンジ体、
(4) …粘着テープ、
(4a)…粘着剤層、(4b)…離型シート、
(5) …線条、
(6) …筐体、
(ad)…接着剤層、
(g) …間隙、
(j) …継ぎ目
Claims (4)
- 導電性外被(1) 、適度の剛性を有するプラスチックステープ(2) 、および、ブロック状またはシート状の弾性発泡体をスライスまたはスリットして得られる断面視でほぼ矩形の紐状スポンジ体(3) を用いて作製された異形プロファイルの電磁波シールド性導通材を製造する方法であって、
(2) 上に(3) を配置した関係を(3)/(2) 、(3) 上に(2) を配置した関係を(2)/(3) と表示するとき、
片面に接着剤層(ad)を形成した導電性外被(1) の接着剤層(ad)側の面に、(2) と(3) 、(2) と(3)/(2) 、(2) と(2)/(3) 、(3)/(2) と(3) 、(3)/(2) と(3)/(2) 、(3)/(2) と(2)/(3) 、(2)/(3) と(3) 、または、(2)/(3) と(2)/(3) の組み合わせから選ばれた2条を、後述の折り込みおよび導電性外被 (1) の耳端領域による被覆接着により紐状スポンジ体 (3) の角を変形させてその角の部分のスポンジ密度が高くなるように互いに接近させてまたは間隙gをあけて導電性外被(1) の長さ方向にその導電性外被(1) の少なくとも片方の耳端領域を残して並行配置し、
ついで2条の配置物が向かい合うように接近線または間隙gに沿って折り込んで異形プロファイルとなすと共に、導電性外被(1) の耳端領域にてその配置物を覆うように被覆接着することによりその異形プロファイルを固定すること
を特徴とする異形プロファイルの電磁波シールド性導通材の製造法。 - 導電性外被(1) の耳端領域にて配置物を覆ったときに表面に現われる継ぎ目jが、完成後の導通材の底面(対象物への接着固定面)に位置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 完成後の導通材の底面(対象物への接着固定面)に粘着テープ(4) を継ぎ目jにかからないように設けると共に、その粘着テープ(4) の巾を底面の巾の25〜75%に設定したことを特徴とする請求項1または2記載の製造法。
- 完成後の導通材の底面(対象物への接着固定面)の導電性外被(1) の内側に線条(5) を長さ方向に位置させることにより、その底面に盛り上がり部を生ずるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の製造法。
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