JP3781655B2 - 台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
台所用の換気扇やレンジには、空気清浄や異物除去を目的としてエアフィルターが使用されている。エアフィルターに必要な性能としては、圧力損失、捕集効率、粉塵保持容量の3つが挙げられ、これらの性能を容易に得られることから、エアフィルター基材として不織布が使用されている。
【0003】
エアフィルター基材は、蒸気や煙や埃などの汚れが付着し、特に台所用の換気扇やレンジに使用される場合には、油を用いる料理などのために油滴などの落ち難い汚れが付着するため使い捨てであり、使用後のものは焼却処理や埋立処理により廃棄処理されている。
【0004】
しかしながら、エアフィルター基材を構成するポリエチレンテレフタレート等からなる芳香族ポリエステル繊維や、ナイロン繊維、アクリル繊維などは、焼却処理を行うと、焼却時の発熱量が高いためその処理中に焼却炉を傷めたり、有害ガスを発生する恐れがある。また、埋立処理を行うと、その化学的、生物学的安定性のために殆ど分解せずに残留し、特に換気扇やレンジ用のエアフィルター基材は、使用期間のサイクルが短く、通常は3ヶ月〜6ヶ月で廃棄されるため、1つ1つは小さい部材ではあるが、使用量が増えるに従い廃棄物としての量も増加していることから埋立地不足を招いている。
【0005】
さらに、台所で使用される換気扇やレンジ用のエアフィルター基材には、着火が生じた場合に、その火を大きくしない程度の難燃性が要求されるため、例えば、ポリエステル繊維からなる不織布にリン系難燃剤を含浸させて、難燃性を付与しているが、このようなリン系難燃剤を含む不織布を自然環境中に廃棄すると、リンによる環境汚染が生じるという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、エアフィルターとして好適に使用でき、しかも生分解性を有し、良好に廃棄処理を行える、台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、本発明に至ったものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸系重合体からなる生分解性繊維を用いた不織布にて構成され、前記ポリ乳酸系重合体が、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体であり、前記不織布の構成繊維は難燃剤を含有しておらず、前記不織布の構成繊維の単糸繊度が2.2〜100デシテックスであることを特徴とする台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のエアフィルター基材は、生分解性繊維からなる不織布にて構成される必要がある。このようにエアフィルター基材を生分解性繊維にて形成することで、使用後のコンポスト処理や埋め立て処理により最終的には炭酸ガスと水に分解することができる。
【0009】
本発明において、エアフィルター基材は、通風時に圧力がかかり、さらに、使用するにつれてその表面に異物や油滴などが付着して重くなることから、これらの圧力や重みによる変形を防ぐだけの機械的強力および剛性を有することが要求される。機械的強力や剛性に劣るものであると、使用の際に変形量が大きくなり、変形したフィルターは風圧で送風ファンの側に吸い込まれ、ファンに当ることがある。従って、本発明においては、機械的特性に優れた繊維を用いることが好ましい。
【0010】
本発明の不織布の構成繊維を形成するポリ乳酸系重合体は、機械的特性や剛性に優れるだけでなく難燃性をも有するものである。具体的には、45°ミクロバーナ法による区分3程度の難燃性を有するため、リン系難燃剤を使用することなくエアフィルター基材にリン系難燃剤が配合された従来品と同等の難燃性を付与できる。
【0011】
また、ポリ乳酸系重合体は、芳香族ポリエステル繊維にくらべて発熱量が低いため焼却炉を傷める恐れが少なく、また、有害ガスを発生することもないため、埋め立て処理だけでなく焼却処理も好適に行える。さらに、ポリ乳酸系重合体は、他の脂肪族ポリエステルと比較して剛性が高く、使用時の変形量を少なくできる。
【0012】
ポリ乳酸系重合体として、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体とから選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約180℃であるが、ポリ乳酸系重合体として前記コポリマーを用いる場合には、実用性と融点等を考慮してポリマー成分の共重合量比を決定することが好ましく、L−乳酸とD−乳酸との共重合比が、モル比で、(L−乳酸)/(D−乳酸)=100/0〜90/10、あるいは(L−乳酸)/(D−乳酸)=10/90〜100/0であることが好ましい。
【0013】
乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられ、中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることが生分解性および低コストの点から好ましい。
【0014】
本発明のエアフィルター基材を構成する不織布としては、構成繊維間を接着剤(バインダー)により接着したもの、構成繊維同士をニードルパンチやウォータージェットにより三次元的に交絡したもの、主体となる繊維(以下、「主体繊維」と称す。)と熱融着繊維とからなり、熱融着繊維の熱融着により構成繊維間を接着したもの、あるいはこれらの不織布化手段を組み合わせたもの等を用いることができる。このとき熱融着繊維を用いて熱融着してなる不織布は、強力と剛性に優れるため好適である。なお、構成繊維間を接着剤(バインダー)により接着する場合には、この接着剤も生分解性を有することが好ましい。
【0015】
不織布が主体繊維と熱融着繊維とからなる場合には、主体繊維はもちろんのこと熱融着繊維も生分解性を有し、かつ、熱融着繊維を構成繊維全体に対し20質量%以上配合することが好ましい。熱融着繊維の配合割合を20質量%以上配合することにより、構成繊維間の接着強力が向上し、所望する不織布強力および剛性を得ることができ、通風時の圧力、あるいはフィルター表面に付着する異物や油滴などの重みによる変形量を小さくできる。また、不織布の強力を考慮すると、熱融着繊維の配合割合は80質量%程度とすることがより好ましい。
【0016】
本発明における熱融着繊維としては、生分解性繊維であり、かつ主体繊維の融点あるいは軟化点よりも低い融点あるいは軟化点を有するものであれば、特に限定されるものではないが、不織布の機械的強力などを考慮すると、高融点の芯成分と低融点の鞘成分とからなる芯鞘構造であることが好ましい。
【0017】
芯成分と鞘成分を構成する重合体としては、脂肪族ポリエステルから2種の重合体を選択すればよいが、生分解性能および融点や実用性等を考慮すると、化学構造的に種々の融点のポリマーを作ることができるポリ乳酸系重合体であって、20℃以上の融点差を有する2種の重合体を選択するのが好ましい。
【0018】
ポリ乳酸の融点の制御は、乳酸モノマーは光学活性の炭素を有しており、D−乳酸とL−乳酸の光学異性体が存在することから、D−乳酸とL−乳酸の共重合比を調整することで行える。例えば、L−乳酸にD−乳酸を1モル%共重合させると融点が170℃、D−乳酸を3モル%共重合させると融点が150℃、D−乳酸を7モル%共重合させると融点が130℃、D−乳酸を12モル%共重合させると融点が110℃といった具合に、ポリ乳酸の融点のコントロールが可能である。
【0019】
より具体的には、L−乳酸に2モル%未満のD−乳酸を共重合させた融点が165℃以上のポリ乳酸系重合体を芯成分とし、L−乳酸にD−乳酸を10モル%以上共重合させた融点が140℃以下のポリ乳酸系重合体を鞘成分とした芯鞘型ポリ乳酸繊維を熱融着繊維として使用することが好ましい。
【0020】
このように熱融着繊維の芯部と鞘部の融点あるいは軟化点の温度差を20℃以上とすることで、熱処理により鞘部のみを溶融させて構成繊維同士を接着させる一方、芯部は熱による影響を受けることなく繊維形態を維持させて不織布の機械的強力を向上させることができる。また、鞘部のみ溶融させて芯部のみ繊維形態を維持させるための熱処理条件のコントロールが容易となる。
【0021】
このようにポリ乳酸系重合体からなる熱融着繊維を用いると、ポリ乳酸系重合体からなる主体繊維との親和性が高くなり優れた接着強力が得られるため、それにともなって不織布強力および剛性が高くなり、エアフィルター基材として要求される機械的強力および剛性を十分に満たすことができる。なお、主体繊維と熱融着繊維とは同じ繊維であってもよく、互いに異なる繊維であってもよい。
【0022】
本発明におけるエアフィルター基材には、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリ乳酸系重合体からなる生分解性繊維の他に、綿、麻、絹、ウール等の天然繊維や、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生セルロース繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維等の生分解性繊維を含んでいても良い。
【0023】
本発明におけるエアフィルター基材を構成する不織布の目付は、特に限定されるものではないが、20〜500g/m2の範囲であることが好ましい。不織布の目付が20g/m2未満であると、不織布の構成繊維本数が少なく目が粗くなり、エアフィルター本来の機能が損なわれるとともに強力及び剛性に劣る傾向となる。不織布の目付が500g/m2を越えると、圧力損失が大きくなりすぎてエアフィルターとしての機能が低下し、加えてコストも高くなるため好ましくない場合がある。
【0024】
本発明に用いる構成繊維の単糸繊度は、0.5〜100デシテックスのものが好適に使用できる。単糸繊度が0.5デシテックスよりも小さいと機械的強力や剛性に劣るものとなり、100デシテックスを超えると、捕集効率や粉塵保持容量が低下してエアフィルター基材としての性能が低下する。
【0025】
構成繊維の繊維形状は特に限定されるものではなく、繊維横断面は、通常の丸断面の他にも異形断面等、その使用状況に応じた要求特性に基づいて適宜決めればよい。
【0026】
また、繊維形態は、短繊維であっても長繊維であってもよいが、埋め立てゴミとされた場合の分解性を考慮すると、短繊維であることが好ましい。短繊維の繊維長は150mm以下であることが好ましく、100mm以下であることがより好ましい。
【0027】
本発明のエアフィルター基材の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下のような手順により作製される。不織布の形態は、特に限定されるものではなく、通常行われている乾式不織布の製造方法あるいは湿式不織布の製造方法で得られたものでよい。例えば、構成繊維を乾式法(カード法やエアレイ法等)や湿式法によりウエブ形成あるいはシート形成した後、ニードルパンチやウォーターニードル加工により機械的に繊維の三次元交絡を生じさせて不織布とすることができる。
【0028】
特に構成繊維に熱融着繊維が含まれている場合には、主体繊維と熱融着繊維とを用途あるいはその要求特性により決定した割合にて混合し、乾式法(カード法やエアレイ法等)や湿式法によりウエブ形成あるいはシート形成し、熱エンボス装置や熱カレンダー装置に通して熱圧着する方法や超音波融着装置に通して繊維間を接着する方法、あるいは、熱風循環装置に通して繊維交点を熱接着する方法等により、主体繊維と熱融着繊維とを繊維どうしの接触点で点接合させ、これによって効率良く製造することができる。熱圧着法により処理する場合のロール設定温度は、ロール線圧、処理速度にもよるが、熱融着成分の融点以下とすることが好ましい。ロール設定温度が熱融着成分の融点を超えると、繊維集合体がロールに巻き付いて操業性が著しく劣るため好ましくない。
【0029】
上記のように作製されたエアフィルター基材は、機械的強力や剛性に優れ、変形量が小さく、捕集効率が高いといったエアフィルター基材として要求される特性を有する。また本発明のエアフィルター基材は、ポリ乳酸系重合体からなるものであり、前記の特性に加えて難燃剤を使用しなくても難燃性を有している。
【0030】
また、使用後のエアフィルター基材は、生分解性を有するため、埋め立て処理を行うことで自然環境を損なうことなく良好に廃棄処理できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各種物性値の測定は以下の方法により実施した。
【0032】
(1)融点(℃):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
【0033】
(2)単糸繊度(デシテックス):ウエブの状態における繊維径を50本顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた繊度の平均値を単糸繊度とした。
(3)目付(g/m2):標準状態の試料から試料長が10cm、試料幅が10cmの試料各10点を作成し、平衡水分に至らしめた後、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して、目付とした。
【0034】
(4)不織布強力(N):JIS-L-1913-6.3に記載の方法に準じて測定した。
(5)ホコリ捕集性(%):NaCl粒子(平均粒径0.3μm)を風速100cm/secでフィルターを通過させてパーティクルカウンターでその捕集効率を測定した。本発明においては、ホコリ捕集性が10%以上あることが望ましい。
【0035】
(6)フィルター変形量(mm):図1に示すように、エアフィルター基材2を備えた換気扇の1.5m下部に蒸発皿1を配置した。この蒸発皿1に水を900ml/min、食用油を300ml/minで各々送液するとともに300℃に加熱し、空中に飛んだ油滴や蒸気を換気扇に設けられたエアフィルター基材2を介して室外に排気し、この排気を12時間継続して実施した。その後、図2に示すようにエアフィルター基材2の両端部の変形量Xを測定し、フィルターの変形量を求めた。
【0036】
(7)難燃性:JIS-L-1091-A−1 45°ミクロバーナ法に記載の方法に準じて測定した。
(8)生分解性:フィルターを6ヶ月間土中に埋設し、その後フィルターの形状が維持されているか観察した。そして、6ヶ月経過後に原型をとどめていないものを○、ほぼそのままの形状であったものを×で表した。
【0037】
実施例1
主体繊維として、ポリ乳酸(融点170℃、共重合モル比:D−乳酸/L−乳酸=2/98)からなる単糸繊度が4.4デシテックス、繊維長が51mmの短繊維を用いた。
【0038】
また、熱融着繊維として、融点が170℃であるポリ乳酸(共重合モル比:D−乳酸/L−乳酸=2/98)が芯部に、融点が130℃のポリ乳酸(共重合モル比:D−乳酸/L−乳酸=8/92)が鞘部となるように質量比1:1で芯鞘型に複合された、単糸繊度が2.2デシテックス、繊維長が51mmの芯鞘型熱融着短繊維を用いた。
【0039】
そして主体繊維と熱融着繊維とを質量比で、(主体繊維)/(熱融着繊維)=60/40(質量%)となるようにして混綿し、カード機に通した後、クロスラッパーで積層して、目付40g/m2の短繊維ウエブを得た。
【0040】
得られた短繊維不織ウエブを140℃の熱風循環装置に60秒間保持させて熱処理し、目付が40g/m2、厚みが1mmの不織布を得た。得られた不織布の物性などを表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例2
短繊維ウエブの目付を60g/m2とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして不織布を作製した。
【0043】
得られた不織布の物性などを表1に示す。
実施例3
主体繊維と熱融着繊維の配合割合を(主体繊維)/(熱融着繊維)=90/10(質量%)となるようにした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして不織布を作製した。
【0044】
得られた不織布の物性などを表1に示す。
実施例4
主体繊維として、単糸繊度が5.6デシテックス、繊維長が51mmのレーヨン短繊維を用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして不織布を作製した。
【0045】
得られた不織布の物性などを表1に示す。
実施例5
ポリ乳酸(融点170℃、共重合モル比:D−乳酸/L−乳酸=2/98)からなる単糸繊度が4.4デシテックス、繊維長が51mmの短繊維を用いて、カード機を通してクロスラッパーで積層して、目付100g/m2の短繊維ウエブを得、このウエブにニードルパンチ加工(パンチ密度192回/cm2)を施して、目付が100g/m2、厚み2.5mmの不織布を得た。
【0046】
得られた不織布の物性などを表1に示す。
実施例1〜5は、いずれも生分解性繊維にて構成されていたため、良好な生分解性を有するものであった。また、いずれも適度な目付を有していたため、フィルターとして要求されるホコリ捕集率を有するものであった。また、いずれも主体繊維あるいは熱融着繊維としてポリ乳酸系重合体が使用されていたため、機械的強力や剛性に優れており、変形量の小さいものが得られ、さらに、難燃剤を使用することなく難燃性に優れるものであった。また、実施例1と実施例3は、構成繊維が主体繊維と熱融着繊維とから構成されていたため、特に不織布強力に優れたものであった。従って、台所で使用される換気扇用やレンジ用のエアフィルター基材として好適に使用できるものであった。
【0047】
比較例1
熱融着繊維としてユニチカファイバー社製のポリエステルバインダー繊維「メルティ」2.2デシテックス×51mmを用い、主体繊維としてレギュラーポリエステル短繊維4.4デシテックス×51mmを用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして不織布を作製し、この不織布にリン系難燃剤を30質量%含浸させた。
【0048】
得られた不織布の物性などを表1に示す。
比較例1は、主体繊維と熱融着繊維のいずれもが生分解性を持たないため、土中へ埋設しても分解することがなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明のエアフィルター基材は、生分解性繊維にて形成されるため、使用後のコンポスト処理や埋めたてにより最終的には炭酸ガスと水まで分解でき、良好に廃棄処理することができる。また、生分解性繊維がポリ乳酸系重合体であるため、機械的強力や剛性に優れるだけでなく、難燃剤を使用することなく従来のリン系難燃剤を使用したものと同程度の難燃性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるエアフィルター基材の変形量を求める試験方法を説明する模式図である。
【図2】 エアフィルター基材の変形量を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 蒸発皿
2 エアフィルター基材
X 変形量
Claims (5)
- ポリ乳酸系重合体からなる生分解性繊維を用いた不織布にて構成され、前記ポリ乳酸系重合体が、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体であり、前記不織布の構成繊維は難燃剤を含有しておらず、前記不織布の構成繊維の単糸繊度が2.2〜100デシテックスであることを特徴とする台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材。
- 不織布が、主体となる繊維とこの主体となる繊維間を融着する熱融着繊維とからなり、前記熱融着繊維は不織布を構成する繊維全体に対し20質量%以上含まれることを特徴とする請求項1記載の台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材。
- 熱融着繊維は、芯成分および鞘成分のポリ乳酸系重合体が、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体である芯鞘型熱融着繊維であり、鞘成分を構成するポリ乳酸系重合体は、芯成分を構成するポリ乳酸系重合体の融点または軟化点よりも20℃以上低い融点または軟化点を有することを特徴とする請求項2記載の台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材。
- 不織布の目付が20〜500g/m2であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材。
- 45°ミクロバーナ法による難燃性が区分3であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の台所用の換気扇やレンジのためのエアフィルター基材。
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