JP2009197362A - 竹繊維シート及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高混率で竹繊維を混繊することが可能な不織布であって、消臭性、抗菌性を有する自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材等に最適な不織布であるところの、竹繊維シートを得る。
【解決手段】竹繊維シートであって、竹繊維と熱接着性複合繊維とを含有する不織布にて構成されている。この竹繊維シートは、竹繊維と熱接着性複合繊維とが分散されて堆積されているとともに、繊維同士が熱接着性複合繊維によって熱接着されており、竹繊維及び熱接着性複合繊維の繊維長が15mm以下であり、竹繊維の混率が5〜90質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は竹繊維シート及びその製造法に関し、特に、消臭性、抗菌性を有する自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材等に最適な不織布である竹繊維シート及びその製造法に関するものである。
近年、地球環境の悪化が世界的な問題になっており、特にCO等の温暖化ガスの増加が主原因と思われる異常気象は人類にとって深刻な問題になっている。温暖化ガスのCOは、石油、石炭に依存したエネルギーの消費時、あるいは石油によって開発された樹脂等の合成化学物質の燃焼時に、大量に発生している。
このような現状下において、生育時にCOを吸収し光合成によりOを放出する植物が見直され、焼却時にCOを発生するがCOを増加させないカーボンニュートラル素材として、植物由来の合成化学物質の開発が盛んに行われる様になって来た。
木材は植物素材の代表であるが、世界の森林が毎年日本の国土面積の1/3に等しいほど喪失し、この先、過去に伐採された勢いを続ければ、世界の森林は100年後には全滅するとさえ言われている。それに伴ない、植物によるCOの吸収量が減り、CO2の排出量は加速度的に増え、地球温暖化現象がさらに進むという問題を抱えている。
これに対し、竹は、地球上で最も成長の早い植物で、成長するのに20年から60年必要とする一般の樹木に比べて、草科の竹は1〜2年で成長し、カーボンニュートラル素材として最適の素材である。
竹は、従来から建材、家具、生活資材、日用品等の多くの分野に利用され、竹繊維についても多方面に利用されて来た。特に繊維状の竹は、その形態から生み出される機能性と竹の持つ環境への優しさとを備えた素材として注目され、自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材としての開発が進み、その開発について種々の提案がなされている。
たとえば、特許文献1には、竹材を高温高圧水蒸気の存在下で蒸煮する乾留を行った後に、蒸煮された竹材を、常圧下で常温を越える温度下で解繊することを特徴とする、綿状の竹繊維の製造法が開示されている。
特許文献2には、単繊維長が25〜75mmの乾留した竹繊維を使用した不織布が提案されている。更に、特許文献3には、自動車用内装シートに適用することが可能な、竹繊維を使用した不織布が開示されている。
特開2005−193405号公報 特開2005−350794号公報 特開2007−160742号公報
ところが特許文献1は、接着剤を使用して熱圧縮加工によりプレス成形するパーティクルボードやハードボード等の繊維板に適した竹繊維に関するものであり、竹繊維の不織布に関するものでない。
特許文献2は、乾留した竹繊維を使用して、消臭性、抗菌性、断熱性等の機能を有する不織布を得ることを目的とするものであるが、長い繊維を使用するために、不織布にすると表面に竹繊維が飛び出し、このため粗硬性の高いものとなり、かつ竹繊維とバインダー繊維との混合状態が不均一になりやすく、充填密度のばらつきが大きくなる欠点を有する。
特許文献3は、地球環境の保全や廃棄物処理に対処でき、製造が容易で、乗員が接触時に違和感を受けず、垂れ下がりのない天井基材としての自動車用内装ボードに関するものであり、竹繊維の不織布を天井基材の垂れ下り防止のために使用しているものである。しかしながら、特許文献2と同様に繊維長の長い竹繊維を使用することから、得られる不織布は、同様に竹繊維が表面に飛び出して粗硬になる。特許文献3では、この点を補うために竹以外の他繊維を混入することが記載されているが、粗硬性の改善に関する効果は僅かしか得られない。
本発明は、上記のような現状に鑑み、高混率で竹繊維を混繊することが可能な不織布であって、消臭性、抗菌性を有する自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材等に最適な不織布であるところの、竹繊維シート及びその製造法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)竹繊維と熱接着性複合繊維とを含有する不織布にて構成され、竹繊維と熱接着性複合繊維とが分散されて堆積されているとともに、繊維同士が熱接着性複合繊維によって熱接着されており、竹繊維及び熱接着性複合繊維の繊維長が15mm以下であり、竹繊維の混率が5〜90質量%であることを特徴とする竹繊維シート。
(2)竹繊維が、表皮を除去した天然竹を乾留することにより発現した微捲縮を有していることを特徴とする(1)の竹繊維シート。
(3)熱接着性複合繊維が、融点の異なる低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とで構成された複合繊維であることを特徴とする(1)または(2)の竹繊維シート。
(4)熱接着性複合繊維の熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリ乳酸から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの竹繊維シート。
(5) 上記(1)から(4)までのいずれかの竹繊維シートを製造するに際し、竹繊維と熱接着性複合繊維とをエアレイド法により積層した後に熱処理することを特徴とする竹繊維シートの製造法。
本発明の竹繊維シートは、竹繊維を高混率で含ませることが可能であるため、消臭性、抗菌性、断熱性、吸音性を発揮することができる。かつ、微細孔を備えた多孔質であるため、優れた遮音性を発揮することができる。このため、自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材等に最適に用いることができる。
また本発明の竹繊維シートは、竹繊維に表皮部分が含まれていないので、硬い繊維が除去され表面が滑らかで柔軟な不織布とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の竹繊維シートは、竹繊維と熱接着性複合繊維とが分散されて堆積されているとともに、繊維同士が熱接着性複合繊維によって熱接着されている不織布にて構成されている。
使用する竹繊維は、表皮を除去した天然竹を乾留することにより発現した微捲縮を有することが好適である。ここに用いる天然竹とは、イネ科タケ亜科に属する多年生常緑草本植物で、真竹、孟宗竹、淡竹、女竹、慈竹等の、自然界に存在する全ての竹を言う。
竹の表皮の除去は、研磨、又はプレーナーで削ることによって、行うことができる。表皮を除去することにより、竹繊維シートへの硬い表皮の混入を避けるとともに、表皮周辺に密集している非常に細い繊維を解繊することができる。表皮の除去を行わないと、完全な解繊ができず、かつ竹繊維シートに硬い表皮が含まれてしまう。
乾留とは、真竹、孟宗竹等の天然竹を高温かつ高圧水蒸気の存在下に蒸煮することをいう。この竹材の乾留処理は、100℃以上の高温高圧の条件で行うものであり、100〜200℃、好ましくは、130〜160℃の温度、及び0.1〜1.6MPa、好ましくは、0.28〜0.64MPaの加熱蒸気圧力の雰囲気で、5〜60分間、好ましくは20〜30分間行うことが好ましい。
乾留によって、本発明の目的とする消臭性、抗菌性が向上する。かつ乾留で柔軟化した後に竹を50〜80℃の温度に保持した状態で解繊すると、剪断作用により細かく解繊した竹繊維が微捲縮を発現することができる。ここでの解繊は、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等の公知の装置で行えば良い。解繊のための装置については、本発明では特に限定しない。
本発明の竹繊維シートにおいて、竹繊維の混率は5〜90質量%であることが必要である。5質量%未満であると、竹の持つ機能が発現できないとともに、環境に優しい素材とは言えなくなる。反対に90質量%を越えると、それに応じて熱接着性複合繊維の混率が極端に低くなるので、不織布の形態保持が困難になる。
熱接着性複合繊維は、融点の異なる低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とで構成された複合繊維であることが好適である。具体的には、融点に20℃以上の差がある2成分の熱可塑性樹脂が、芯鞘構造、海島構造、サイドバイサイド構造等を呈するように構成された複合繊維であることが好ましい。低融点熱可塑性樹脂が、芯鞘構造の鞘部や、海島構造の海部や、サイドバイサイド構造のいずれか片側の部分などに配されることによって、熱処理を行うと軟化あるいは溶融して熱接着バインダーとして機能することになる。熱処理に際して、高融点熱可塑性樹脂は軟化あるいは溶融せずに繊維形態を維持し、したがって得られる不織布の強度を保持することができる。低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂との配合比は、特に限定されるものでない。
低融点熱可塑性樹脂及び高融点熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ乳酸から選ばれた少なくとも1種類であることが好ましい。すなわち、熱接着性複合繊維としては、融点の異なるポリエステル同士で複合された繊維や、融点の異なるポリオレフィン同士で複合された繊維や、融点の異なるポリ乳酸同士で複合された繊維や、低融点熱可塑性樹脂をポリオレフィンとし高融点熱可塑性樹脂をポリエステルとして複合された繊維等を挙げることができる。
ポリエステルは、高融点成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いることができる。なかでも、寸法安定性に優れ安価で汎用性があるポリエチレンテレフタレートが好ましい。低融点成分としては、高融点成分のポリエステルと相溶性のある共重合ポリエステルが好ましい。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸等の2塩基酸又はその誘導体の1種もしくは2種以上と、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系の1種もしくは2種以上とを反応させて得られるものが良い。
ポリオレフィンは、高融点成分としては、結晶性ポリプロピレンを用いることができる。低融点成分としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、あるいはポリエチレンとポリプロピレンのブレンド体等を挙げることができる。
ポリ乳酸は、高融点成分としては、ポリL乳酸とポリD乳酸とを配合してステレオコンプレックスを形成したポリ乳酸系重合体を用いることができる。低融点成分としては、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のようなポリグリコール酸やポリ乳酸からなる重合体、または、これらの共重合体等を挙げることができる。
本発明においては、竹繊維及び熱接着性複合繊維の繊維長が、いずれも15mm以下であることが重要である。繊維長が15mmを超えると、竹繊維と熱接着性複合繊維とを解繊して混合し、たとえば後述するエアレイド法で積層する時に、混率ばらつき、目付ばらつきが大きくなり、均斉度が悪くなる。なお、竹繊維の繊維径は、本発明では特に限定するものでないが、5〜100μmの範囲が望ましい。同様に、熱接着性繊維の繊度も、本発明では特に限定するものでないが、1.0〜5.0dtex(デシテックス)の範囲が望ましい。
次に、本発明の竹繊維シートの製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、まず、竹繊維と熱接着性複合繊維とをエアレイド法により積層する。ここで用いるエアレイド法は、繊維長が15mm以下の竹繊維と熱接着性複合繊維とを空気で混合・解繊し、その後に搬送しながら積層することで、ウエブを連続的に形成する方法である。
代表的方法としては、細孔スクリーンの円筒内で回転するローターによって繊維塊を解繊し、この繊維を細孔スクリーンから排出してウエブを形成する方法(本州製紙法)や、フォーマットハウジングで回転する撹拌羽根車によって細孔スクリーンから繊維を排出してウエブを形成する方法(クロイヤー法)や、ニードルロールを内在し相反回転する円筒スクリーンから繊維を排出してウエブを形成する方法(ダンウエブ法)などを挙げることができる。
両繊維を積層した後は、熱処理することにより、本発明の竹繊維シートを得ることができる。その熱処理は、熱接着性複合繊維の低融点熱可塑性樹脂を溶融軟化して各繊維を接着することで、不織布の形態保持強化を行うことを目的として、実施するものである。
熱処理温度、熱処理時間は、使用する低融点熱可塑性樹脂が溶融軟化しかつ高融点熱可塑性樹脂が溶融軟化しない条件に設定する必要がある。具体的には、熱処理温度は100〜200℃の範囲、熱処理時間は1〜10分の範囲で行うことができる。そのための装置としては、公知の連続処理装置を使用すればよい。
また、熱処理後に2本の金属ロール同士を所定の間隔に設定したプレス装置で上記不織布をプレスすることで、その不織布すなわち竹繊維シートの高密度化、その厚みの均一化を図ってもよい。
本発明の竹繊維シートの目付は、その用途の応じて決定すべきものである。具体的には、50〜5000g/mの範囲であればよい。
また、本発明の竹繊維シートの表裏あるいはいずれか片面に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等を用いて、スパンボンド法やメルトブロー法で製造された不織布を貼り合わせてもよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、下記の条件によって、乾留された竹繊維を得た。
すなわち、30〜50cmの長さに切出した真竹を周方向に8分割した縦割りとし、分割された竹片を平行に並べて圧砕することにより平板状の竹片とした。これらの圧砕された竹片の表皮を研磨して除去した後、温度135℃、圧力0.31MPaに設定された高圧釜内で30分間乾留処理した。続いて、竹片を、温度60℃、水分率15質量%の状態として粗解繊機で粗解繊し、更にシングルディスクリファイナーで精解繊を行った後、スクリーンにて分繊することで、平均繊維長5mm、繊維径20〜50μmの、微捲縮を有し乾留した竹繊維とした。
熱接着性複合繊維としては、ユニチカファイバー社製のポリエステル系熱接着性複合繊維である、商品名「メルティー」、2.2デシテックス、平均繊維長5mmのものを使用した。
エアレイド法は、本州製紙法を用いた。すなわち、前記の乾留した竹繊維が70質量%、前記の熱接着性複合繊維が30質量%の配合比とし、これらを空気中で混合、解繊して、マットフォーマに送った(目付1200g/m)。支持シートとして、ユニチカ社製の、ポリエチレンとポリエステルの複合繊維で製造されているスパンボンド不織布(目付30g/m、商品名「エルベス」)を使用した。この支持シート上に積層マットを形成させ、更に同様の支持シートを重ね、温度160℃に調整された加熱炉で2分間の熱処理を実施し、更に隙間を50mmとし80℃に調整したプレスロールで熱プレスして、実施例1の竹繊維シートを得た。
(実施例2)
実施例1と同一の条件で乾留した、平均繊維長5mmで微捲縮を有した竹繊維を使用した。熱接着性複合繊維には、チッソ社製のポリオリオレフィン系熱接着性複合繊維である、2.2デシテックス、平均繊維長5mmの、商品名「ES」を使用した。
そして、エアレイド法はクロイヤー法を用い、前記の乾留した竹繊維が60質量%、前記の熱接着性複合繊維が40質量%の配合比とし、これらを空気中で混合、解繊して、マットフォーマに送った(目付2000g/m)。さらに、スクリーンより紡出し積層マットを形成させ、温度160℃に調整された加熱炉で2分間の熱処理を実施し、更に隙間を100mmとし80℃に調整したプレスロールで熱プレスして、実施例2の竹繊維シートを得た。
(実施例3)
実施例1と同一の条件で乾留した、平均繊維長3mmで微捲縮を有した竹繊維を使用した。熱接着性複合繊維には、ユニチカファイバー社製のポリ乳酸系熱接着性複合繊維である、2.2デシテックスで平均繊維長5mmの、商品名「テラマック」を使用した。
そして、エアレイド法はダンウエブ法を用い、前記の乾留した竹繊維が65質量%、前記の熱接着性複合繊維が35質量%の配合比とし、これらを空気中で混合、解繊して、マットフォーマに送った(目付2400g/m)。さらに、スクリーンより紡出し積層マットを形成させ、温度160℃に調整された加熱炉で2分間の熱処理を実施し、更に隙間を50mmとし80℃に調整プレスロールで熱プレスして、実施例3の竹繊維シートを得た。
(比較例1)
実施例1と同一の条件で乾留処理まで行った後、湿潤状態の竹を、ローラープレス機で竹が繊維状になるまで繰り返し圧縮して解繊し、乾燥して、平均繊維長30〜40mmの竹繊維を得た。
この竹繊維をカード機で更に解繊してから計量ホッパーに投入した。同時に、熱接着性複合繊維として、実施例1と同様のユニチカファイバー社製のポリエステル系熱接着性複合繊維である商品名「メルティー」であって、2.2デシテックスで平均繊維長52mmのものを投入した。これにより、竹繊維70質量%、熱接着性複合繊維30質量%の配合比で混合した。
続いて再度カード機で混合・解繊し、クロスレイヤで積層した後、熱処理及び熱プレス処理を行うことで、実施例1と同様の、目付1200g/m、厚さ50mmの、比較例1の竹繊維シートを得た。
(比較例2、3)
長さ約1mに切断した真竹を周方向に8分割した縦割りとし、これを、そのまま、炭酸ナトリウムでpH9に調整した水槽に入れ、5日間の浸漬処理を実施した。続いて、炭酸ナトリウムの1g/L水溶液で2時間煮沸することでアルカリ処理を行い、水洗、脱水した後、湿潤状態の竹をローラープレス機で繊維状になるまで圧縮を繰り返して解繊し、乾燥して、平均繊維長50〜60mmの竹繊維とした。
この竹繊維を用いるとともに、熱接着性複合繊維は比較例1と同一のものを用いて、比較例1と同一の方法により、目付1200g/m、厚さ50mmの竹繊維シート(比較例2)と、目付2400g/m、厚さ50mmの竹繊維シート(比較例3)とを得た。
以上のようにして得られた実施例1〜3、比較例1〜3の竹繊維シートは、上述のように目付、厚さを測定するとともに、下記評価を実施した。その結果を表1に示す。
1.表面の滑らかさ
シートの表面を手で触れ、官能検査により下記基準で評価した。
○ : 滑らかで全くチクチクしない
△ : ややチクチクして肌触りが悪い
× : チクチクして肌触りが非常に悪い
2.シートの均一性
シートを検反し、竹繊維と熱接着性複合繊維の混合状態を目視して、下記の基準により判定した。
○ : 竹繊維の茶色と熱接着性複合繊維の白色が均一に分散されてベージュ色になっており、ムラがない。
△ : 竹繊維の茶色と熱接着性複合繊維の白色がやや不均一に分散しムラがある。
× : 竹繊維の茶色と熱接着性複合繊維の白色が不均一に分散し非常にムラがある。
3.抗菌性
JIS L1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法 抗菌効果」にもとづき試験し、評価した。
4.消臭性
竹繊維シートを10gに裁断して試料とし、絶乾・調湿後、3リットルのテドラーバックに入れ、100ppm濃度のアンモニアを投入し、2時間後のアンモニアの残存濃度を検知管法によって求めた。それにもとづきアンモニアの減少率(%)を計算により求めた値により、消臭性を評価した。
5.断熱性
JIS A 1412−2 「平板熱流計法」にもとづき、性能を評価した。
6.吸音性
JIS A 1045 「管内法による建築材料の垂直入射吸音率測定方法」にもとづき、性能を評価した。
Figure 2009197362
表1から明らかな様に、本発明の竹繊維シートは、竹繊維が高混率で含有され、竹繊維及び熱接着性複合繊維の繊維長が15mm以下であり、エアレイド法で積層された後に熱処理されているので、竹繊維と熱接着性複合繊維が均一に分散され堆積し、繊維が熱接着され、表面が滑らかな不織布であった。そして竹繊維が微捲縮を有し乾留されたものであるので、微巻縮によってエアレイド法での積層時の繊維同士の交絡が良好となり、均一なシートであった。さらにシートが非常に微細孔の多孔質材料の乾留竹繊維で構成されているために、良好な消臭性、抗菌性、断熱性、吸音性を有していた。
こうして得られた竹繊維シートは、地球環境に優しい素材として、消臭性、抗菌性を有する自動車内装材、建築断熱材、吸音材、遮音材等として最適に用いることができるものであった。

Claims (5)

  1. 竹繊維と熱接着性複合繊維とを含有する不織布にて構成され、竹繊維と熱接着性複合繊維とが分散されて堆積されているとともに、繊維同士が熱接着性複合繊維によって熱接着されており、竹繊維及び熱接着性複合繊維の繊維長が15mm以下であり、竹繊維の混率が5〜90質量%であることを特徴とする竹繊維シート。
  2. 竹繊維が、表皮を除去した天然竹を乾留することにより発現した微捲縮を有していることを特徴とする請求項1記載の竹繊維シート。
  3. 熱接着性複合繊維が、融点の異なる低融点熱可塑性樹脂と高融点熱可塑性樹脂とで構成された複合繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の竹繊維シート。
  4. 熱接着性複合繊維の熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリ乳酸から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の竹繊維シート。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の竹繊維シートを製造するに際し、竹繊維と熱接着性複合繊維とをエアレイド法により積層した後に熱処理することを特徴とする竹繊維シートの製造法。
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