JP4510551B2 - 生分解性難燃性不織布及びフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性に優れた生分解性不織布及びこれを用いたフィルターに関する。
空気フィルターとして不織布が多用されているが、台所の換気扇、レンジフード等の火を使用する場所で不織布フィルターが使用される場合、火炎が不織布に当たり火災発生の原因になることがある。そのため、このような用途に使用される不織布自体に難燃性を付与する必要がある。
従来の難燃性不織布においては、バインダー樹脂としてポリ塩化ビニルを主体とする樹脂が多く用いられており、また、難燃剤を用いて難燃性を付与する場合にはハロゲン含有難燃剤が多く用られている。しかし、ハロゲンを含有する不織布は燃焼時に有毒ガスが排出され、特に塩素含有物を燃焼することによりダイオキシンが発生して環境汚染につながる恐れがある。そのため、ハロゲンを使用せずに難燃化した不織布が求められている。
また従来、不織布はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維で作られているが、一般に、使用後に廃棄した場合に環境中で分解され難いため、生分解性繊維を用いた不織布の市場が拡大しつつある。例えば、生分解性繊維を用いた不織布は、ワイピング材、食品ラッピング材、紙おむつ、生理用品、生ゴミ用袋及び農業用シートなどで使用されるようになってきた。
上記の状況より、難燃性と生分解性を兼ね備えた不織布が要望されている。
ここで、特許文献1には、脂肪族ポリエステル繊維からなる布帛をリン酸エステルを含む処理液に浸漬し、乾燥及び熱処理することにより、脂肪族ポリエステル繊維に防炎加工を施す方法が開示されている。脂肪族ポリエステルとしてポリ乳酸のような生分解性の樹脂が例示されている。しかし、特許文献1により得られる布帛は、難燃性が不十分である。
特許文献2には、脂環式臭素化合物とリン酸エステル化合物とを併用してポリ乳酸繊維を難燃化する方法が開示されている。この方法は、ポリ乳酸繊維を上記成分を含む防炎加工剤に浸漬し、110〜130℃の温度で15〜90分熱処理するため、ポリ乳酸繊維の強度低下が大きいという問題がある。更には、臭素化合物は燃焼時に臭素系ダイオキシンが発生するので環境保護上好ましくない。
特許文献3には、ホスファゼン化合物を含有するエチレン系共重合体の水性エマルジョンからなる難燃性付与組成物を不織布に塗布又は含浸し、乾燥してなる耐水、難燃性不織布が開示されている。しかし、ホスファゼンは高価であるという難点がある。
特許文献4には、生分解性繊維からバインダーとしてポリビニルアルコール系樹脂を用いて生分解性不織布を作製し、さらに燐系化合物で難燃化することが開示されている。しかし、従来、産業資材として一般に使用されている水に不溶のポリビニルアルコールは生分解しないという難点がある。
特許文献5には、ポリ乳酸系重合体からなるスパンボンド不織布は難燃剤を付与することなく難燃性を有することが開示されている。しかし、難燃剤を使用しない場合には難燃性が不十分であり、そのために使用範囲が限定されるという欠点を有する。
特開2003−138481号公報 特開2001−164463号公報 特開2001−172863号公報 特開2002−105827号公報 特開2003−286645号公報
本発明は、生分解性及び難燃性に優れる不織布、及びこの不織布からなるフィルターを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを用いて生分解性の繊維または不織布を難燃処理してなる生分解性難燃性不織布であって、不織布構成繊維100重量部に対して非ハロゲンリン酸エステルを15〜50重量部使用して難燃処理されたものは、この比率で非ハロゲンリン酸エステルを含むことにより優れた難燃性を有するとともに、形態が安定しており、フィルターなどとして水平に設置して使用する場合にも変形し難い。また、この生分解性難燃性不織布は、不織布、難燃剤、及びバインダーである樹脂の全てが生分解性であるため、生分解性に優れる。
(ii) 特に、生分解性不織布として、レーヨン、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールを主構成繊維とするものを用いることにより、一層良好な難燃性を有する不織布となる。
(iii) 非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液用いて生分解性の不織布を難燃処理してなる生分解性難燃性不織布も同様の効果が得られる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の生分解性難燃性不織布及びフィルターを提供する。
項1. 非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを用いて生分解性の繊維または不織布を難燃処理してなる生分解性難燃性不織布であって、不織布構成繊維100重量部に対して非ハロゲンリン酸エステル化合物を15〜50重量部使用して難燃処理されたものである生分解性難燃性不織布。
項2. 難燃処理が、非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを用いて生分解性繊維間を接着することにより行われている項1に記載の生分解性難燃性不織布。
項3. 難燃処理が、生分解性繊維を構成繊維とするウェブ又はこれを複数枚重ねたラップに非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを塗布、噴霧した後、又は生分解性繊維を構成繊維とするウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップを非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンに浸漬した後、乾燥により繊維間を結合して不織布を得ることにより行われている項2に記載の生分解性難燃性不織布。
項4. 難燃処理が、生分解性不織布に非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを塗布、噴霧した後、又は生分解性不織布を非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンに浸漬した後、乾燥することにより行われている項1に記載の生分解性難燃性不織布。
項5. 生分解性不織布が、レーヨン、綿、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を用いた不織布である項1〜4のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
項6. 非ハロゲンリン酸エステル化合物が、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ナフチルジフェニルホスフェート、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシンビス(ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である項1〜5のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
項7. JIS L1091 A-1法の区分3において合格とされる難燃性を有する項1〜6のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
項8. 非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液を用いて生分解性の繊維または不織布を難燃処理してなる生分解性難燃性不織布であって、不織布構成繊維100重量部に対して非ハロゲンリン酸エステルを15〜50重量部使用して難燃処理されたものである生分解性難燃性不織布。
項9. 難燃処理が、(iii)生分解性不織布に非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液を塗布、噴霧した後、若しくは生分解性不織布を非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液に浸漬した後、乾燥するか、又は
(iv)生分解性繊維を構成繊維とするウェブ又はこれを複数枚重ねたラップに非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液を塗布、噴霧した後、又は生分解性繊維を構成繊維とするウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップを非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液に浸漬した後、乾燥することによって繊維間を結合して不織布を得ることにより行われている項8に記載の生分解性難燃性不織布。
項10. 生分解性不織布が、レーヨン、綿、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を用いた不織布である項8又は9に記載の生分解性難燃性不織布。
項11. 非ハロゲンリン酸エステル化合物が、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ナフチルジフェニルホスフェート、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシンビス(ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である項8〜10のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
項12. JIS L1091 A-1法の区分3において合格とされる難燃性を有する項8〜11のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
項13. 項1〜12のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布を備えるフィルター。
本発明の生分解性難燃性不織布は、構成成分である繊維及び難燃剤の双方が生分解性を有し、さらにバインダーを用いる場合にはこのバインダーが生分解性のポリ乳酸エマルジョンであるため、廃棄時の環境保護の点で好ましい。また、本発明で使用する難燃剤はハロゲンを含まないため、使用済みの生分解性難燃性不織布を焼却する際にダイオキシンを始めとする有害ハロゲン化合物が排出されない。
また、生分解性繊維として、レーヨン、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる繊維を使用する場合は、これらの繊維は、生分解性繊維の中でも難燃性、自己消化性、ないしは燃え広がり難い性質を有することから、本発明の生分解性難燃性不織布は、一層難燃性の高いものとなる。
以上より、本発明の生分解性難燃性不織布は、フィルター、特に燃焼の恐れがある場所に使用されるフィルターとして好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
不織布を構成する繊維
短繊維不織布は、一般的に、合成繊維、天然繊維、半合成繊維または再生繊維などの繊維を、絡合させたり、結合剤の使用や熱融着により互いに接着させたりして作られる。
本発明においては、不織布を構成する主繊維は生分解性を有する物で有れば特に限定されない。生分解性繊維としては、天然繊維、再生繊維、生分解性合成繊維が挙げられる。
天然繊維としては、麻、綿等の植物繊維、及び羊毛、絹、カシミヤ等の動物繊維が挙げられる。再生繊維としては、レーヨン類、セルロース繊維などをケン化処理したケン化繊維等が挙げられる。
生分解性合成繊維としては、脂肪族ポリエステルや生分解可能な水溶性のポリビニールアルコールからなる繊維が挙げられる。脂肪族ポリエステルは、例えばオキシカルボン酸及び/又はラクトンの単独重合又は共重合、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、オキシカルボン酸及び/又はラクトンとの共重合により得ることができる。
オキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などの炭素数2〜8の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を例示できる。
ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの炭素数3〜10のラクトンを例示できる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの炭素数2〜8の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの炭素数4〜8の脂肪族不飽和ジカルボン酸を例示できる。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの炭素数2〜6のアルキレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどの炭素数2〜4のポリオキシアルキレングリコールを例示できる。
これらのポリエステル形成成分はそれぞれ単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また本発明において、水溶性ポリビニルアルコールとは、ケン化度80〜95モル%程度の部分ケン化ポリビニルアルコールであって20〜100℃程度の水に速やかに溶解するものをいう。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルのアセトキシ基を酸またはアルカリにより加水分解(ケン化)して水酸基とすることにより得られる。しかし、ポリビニルアルコールはケン化度が95モル%より高くなってくると経時的に結晶化が進行して冷水不溶性となり、また、ケン化度が80モル%を下回ってくると、結晶化度が抑制されて疎水度が高くなり、水不溶性となる。水溶性ポリビニルアルコールの市販品としては、株式会社クラレ製の商品名クラロンK−IIを例示することが出来る。
生分解性繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。例えば、生分解性合成繊維と天然繊維及び/又は再生繊維とを組み合わせて用いてもよい。
生分解性繊維としては、レーヨン、綿、羊毛、ポリ乳酸、及び水溶性ポリビニルアルコールが好ましく、更に、レーヨン、羊毛、ポリ乳酸、及び水溶性ポリビニルアルコールがより好ましい。レーヨンは難燃剤である非ハロゲンリン酸エステルを吸収する能力が高い点で好ましい。また羊毛は、着火しても自己消火性を有するために好ましい。またポリ乳酸は、高度の難燃性は有していないが自己消火性を有するために好ましい。また、水溶性のポリビニールアルコールは着火しても燃え広がり難い性質を有する点で好ましい。
中でも、主構成繊維として、羊毛、ポリ乳酸、及び水溶性ポリビニールアルコールを用いた不織布が最も好ましい。この場合、繊維の全体量に対して、羊毛が5〜60重量%程度、ポリ乳酸が10〜90重量%程度、水溶性ポリビニールアルコールが5〜40重量%程度含まれることが好ましく、羊毛が10〜50重量%程度、ポリ乳酸が20〜80重量%程度、水溶性ポリビニールアルコールが10〜30重量%程度含まれることがより好ましい。上記の比率で生分解性繊維を使用することにより、難燃性、自己消化性、燃え広がり防止、及び難燃剤の吸収力などの点でバランスのよい難燃性不織布となる。
生分解性不織布には、生分解性を損なわない範囲で、生分解し難い繊維が含まれていてもよい。このような繊維が含まれる場合の使用比率は、生分解性繊維100重量部に対して通常20重量部以下、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下とすればよい。
不織布
短繊維不織布は、通常、ウェブ形成と繊維間接着の2工程で製造される。本発明における不織布の繊維長さは特に限定されないが、例えば15〜100mm程度の短繊維よりシート状のウェブを作成すればよい。次いで、ウェブを、用途に応じた枚数、通常4〜200枚程度重ねてラップを形成する。ラップの目付量は、用途により異なるが、10〜2000g/m2程度が好ましい。
本発明の生分解性難燃性不織布の目付量は、フィルターとして用いる場合は、10〜500g/m2程度が好ましく、20〜300g/m2程度がより好ましく、30〜200g/m2程度がさらにより好ましい。上記の範囲であれば、雰囲気中の油煙成分などを効率的に捕集できる。また、上記の範囲であれば、油煙成分がフィルターを通り抜けてしまったり、通気抵抗が大きくなってフィルター機能が低下するということがない。
繊維間を結合させる方法は、特に限定されず、繊維に応じて公知の方法の中から選択すればよい。公知の繊維間結合方法としては、例えば、樹脂接着剤を用いて繊維間を接着させる方法(浸漬方式、泡方式及びスプレー法);熱により繊維を融解させて互いに接着させる熱接着法(サーマルボンド);ニードルパンチ、スパンレース(ウオーターニードル)のように繊維間を絡める方法等が挙げられる。
省エネルギーの観点より広く用いられるようになっている熱接着(サーマルボンド)について説明すれば、熱接着は構成繊維の全部又は一部を低融点繊維としておき、ラップを加熱することによりこの低融点繊維を溶融して繊維間を接着する方式で、熱ロール法と熱風法(エアースルー法)とがある。低融点繊維としては、融点が100〜150℃程度のものが作業効率がよい点で好ましい。このような融点を有する生分解性繊維として、ポリ乳酸などが挙げられ、市販品としてはユニチカファイバー社のテラマックPL−80が例示できる。また、生分解性を損なわない範囲で配合されることがある非生分解性繊維として上記の融点を有する繊維を用いることも好ましく、このような繊維として、例えばポリエチレン、ES繊維(チッソ社製;ポリプロピレンを含む芯とポリエチレンを含む鞘とからなる芯鞘型繊維)、低融点ポリエステル(東レ社製・東洋紡社製)などが挙げられる。構成繊維中に占める低融点繊維の比率は5〜50重量%程度が好ましく、10〜40重量%程度がより好ましく、20〜35%程度が最も好ましい。加熱時間は、エアースルー法の場合には10秒間〜1分間程度とすればよい。
更には、低融点繊維を用いた熱接着とバインダーを用いた樹脂接着とを併用することも出来る。バインダーとしてはポリ乳酸エマルジョン等がある。
難燃処理
本発明において、生分解性不織布の難燃処理は、以下の(i)〜(iv)のいずれかの方法で行う。
(i) ポリ乳酸エマルジョン中に非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む難燃性付与エマルジョンを接着剤(バインダー)として用いて樹脂接着法により繊維間を接着させて不織布を作製する方法。
具体的には、生分解性繊維を用いたウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップに、上記難燃性付与エマルジョンを塗布、噴霧した後、乾燥して繊維間を結合させることにより不織布にするか、又はこのエマルジョンに前記のウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップを浸漬した後、乾燥により繊維間を結合させて不織布にする方法。
(ii) 生分解性不織布に、ポリ乳酸エマルジョン中に非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む難燃性付与エマルジョンを塗布、噴霧した後乾燥するか、又はこのエマルジョンに生分解性不織布を浸漬した後乾燥する方法。
(iii) 生分解性不織布に、非ハロゲンリン酸エステル化合物を含む溶液からなる難燃性付与溶液を塗布、噴霧した後、乾燥するか、又はこの溶液に生分解性不織布を浸漬した後、乾燥する方法。
(iv) 生分解性繊維を用いたウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップに、上記難燃性付与溶液を塗布、噴霧し、乾燥することによって繊維間を結合させるか、又はこの溶液に前記のウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップを浸漬し、乾燥することによって繊維間を結合させることにより、不織布にする方法。この場合、使用する生分解性繊維の一部を低融点生分解性繊維にすればよい。
難燃性付与エマルジョン
非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョン(難燃性付与エマルジョン)は、媒体である水中に、バインダーとしてのポリ乳酸、難燃剤としての非ハロゲンリン酸エステル、その他の添加剤を分散させたエマルジョンである。
<ポリ乳酸>
ポリ乳酸の分子量は、エマルジョンを調製できる範囲であれば良い。
エマルジョン中のポリ乳酸の濃度は、繊維又は不織布を難燃処理した場合に、繊維100重量部に対して5〜100重量部程度、好ましくは10〜80重量部程度、より好ましくは15〜60重量部程度のポリ乳酸が付与される濃度とすればよい。上記のバインダー量の範囲であれば、繊維間を十分に接着させることができる。また、余りにバインダー量を多くしても接着効果は変わらないため、不経済なだけである。
ポリ乳酸エマルジョンは市販品を使用することもでき、市販品としては第一工業製薬株式会社の「プラセマL110」、ミヨシ油脂株式会社の「ランディPLシリーズ」などを例示できる。ポリ乳酸樹脂エマルジョンの濃度は、これらの市販品では40〜50重量%程度である。
<非ハロゲンリン酸エステル化合物>
本発明においては、生分解され易い非ハロゲンリン酸エステル化合物を難燃剤として使用する。
非ハロゲンリン酸エステルには、モノフォスフェート及び縮合リン酸エステルが含まれる。モノホスフェートとしては、炭素数6〜24のホスフェートが好ましく、炭素数6〜24のモノフォスフェートの具体例として、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ナフチルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。また、縮合リン酸エステルとしては、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシンビス(ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート)等が挙げられる。
生分解し易い点で、モノホスフェートが好ましい。モノホスフェートの中では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ナフチルジフェニルホスフェートがより好ましい。
エマルジョン中の非ハロゲンリン酸エステルの濃度は、繊維100重量部に対する非ハロゲンリン酸エステルの使用量が、通常15〜50重量部程度、好ましくは17〜45重量部程度、より好ましくは20〜40重量部程度となるようにすればよい。上記の範囲であれば、十分な難燃効果が得られるとともに、非ハロゲンリン酸エステルにより製造後の不織布間が剥がれ難くなるということがない。また、非ハロゲンリン酸エステル濃度が余りに高いと得られ生分解性難燃性不織布の形態安定性が悪くなるが、上記の範囲であれば、形態安定性に優れた生分解性難燃性不織布となる。さらに、余りに多量を使用しても、使用量に見合って難燃性が向上しないために不経済である。
また、エマルジョン中の非ハロゲンリン酸エステルの濃度は、生分解性難燃性不織布全体に対する非ハロゲンリン酸エステルの使用量が、11〜30重量%程度、好ましくは13〜25重量%程度、より好ましくは15〜20重量%程度となるようにすればよい。上記の範囲であれば、十分な難燃効果が得られるとともに、非ハロゲンリン酸エステルにより製造後の不織布間が剥がれ難くなるということがない。また、非ハロゲンリン酸エステル濃度が余りに高いと得られ生分解性難燃性不織布の形態安定性が悪くなるが、上記の範囲であれば、形態安定性に優れた生分解性難燃性不織布となる。さらに、余りに多量を使用しても、使用量に見合って難燃性が向上しないために不経済である。
ポリ乳酸エマルジョン中には、生分解性を妨げない範囲で、不織布、特にフィルターとして使用される不織布に通常添加される添加剤が含まれていてよい。このような添加剤として、その他の難燃剤、防かび剤、抗菌防臭剤、消臭剤、撥水剤、親水剤、柔軟剤、帯電防止剤、防汚剤、浸透剤、消泡剤、増粘剤、架橋剤等が挙げられる。これらの添加剤は、生分解性を妨げないものであれば、公知のものを制限なく使用できる。
その他の難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような金属水酸化物、シリコーン系難燃剤、メラミンのような窒素系化合物、硼酸亜鉛のようなホウ素化合物等が挙げられる。防かび剤としては、イミダゾール化合物が挙げられる。抗菌防臭剤としては、銀、錫、亜鉛系、有機燐系等が挙げられる。消臭剤としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムのようなセラミックス系消臭剤が挙げられる。撥水剤としては、シリコーン系、フッ素系などの撥水剤が挙げられる。親水剤としては、ポリエチレングリコール系親水剤が挙げられる。柔軟剤としては、シリコーン系、ワックス系の柔軟剤が挙げられる。帯電防止剤としては、ポリエチレングリコール系、金属系の帯電防止剤が挙げられる。防汚剤としては、シリコーン系、フッ素系の防汚剤が挙げられる。浸透剤としては、各種の界面活性剤を使用すればよい。消泡剤としては、シリコーン系、高級アルコール系の消泡剤が挙げられる。増粘剤としては、アクリル系、CMC系の増粘剤が挙げられる。架橋剤としては、メラミン系、エポキシ系の架橋剤が挙げられる。
(i)バインダーを用いた繊維間接着
バインダーを用いて繊維間を接着する場合、通常、繊維をシート状にしたラップにバインダーと難燃剤の混合液を樹脂接着し、乾燥することにより不織布を作成する。本発明においては、バインダーとして前述した難燃性付与エマルジョンを、繊維に対するポリ乳酸及び非ハロゲンリン酸エステルの使用量が前述した範囲になるようにして使用する。その他は、常法に従い、不織布を作製すればよい。
この方法は、1工程で、難燃処理された生分解性不織布が得られる点で、好ましい。
具体的には、前述した公知の方法でウェブ又はさらにラップを作製した後、上記の難燃性付与エマルジョンを塗布若しくは噴霧するか、または上記の難燃性付与エマルジョンにウェブまたはラップを浸漬し、乾燥して繊維間を結合させることにより不織布を作製することもできる。
難燃性付与エマルジョンの繊維に対する使用量は、前述した通りである。不織布の乾燥は、通常100℃以上、繊維の軟化点又は溶融点よりも30〜60℃程度低い温度で行えばよい。不織布の繊維の種類にもよるが、105〜160℃程度で乾燥するのが好ましい。乾燥時間は6秒間〜10分間程度、好ましくは0.5〜5分間程度とすればよい。
(ii)不織布を難燃性付与エマルジョンを用いて難燃性を付与する方法
前述した公知の不織布を作製した後、上記の難燃性付与エマルジョンを塗布若しくは噴霧するか、またはこのエマルジョンに不織布を浸漬した後、乾燥する。塗布には、グラビアなどの印刷や、泡加工も含まれる。
難燃性付与エマルジョンの使用量、乾燥条件については(i)の方法について説明した通りである。
難燃性付与溶液
難燃性付与溶液は、非ハロゲンリン酸エステルを水、有機溶媒、又はこれらの混合液中に溶解させた溶液である。本発明の生分解性難燃性不織布は、この溶液を用いて生分解性不織布を難燃処理したものであってもよい。
溶液中の非ハロゲンリン酸エステルの濃度は、繊維100重量部に対する非ハロゲンリン酸エステルの使用量(難燃剤量:OWF)が、通常15〜50重量部程度、好ましくは17〜45重量部程度、より好ましくは20〜40重量部程度となるようにすればよい。上記の範囲であれば、十分な難燃効果が得られるとともに、非ハロゲンリン酸エステルにより製造後の不織布間が剥がれ難くなるということがない。また余りに多量を使用しても、使用量に見合って難燃性が向上しないために不経済である。
また、溶液中の非ハロゲンリン酸エステルの濃度は、生分解性難燃性不織布全体に対する非ハロゲンリン酸エステルの使用量が、11〜30重量%程度、好ましくは13〜25重量%程度、より好ましくは15〜20重量%程度となるようにすればよい。上記の範囲であれば、十分な難燃効果が得られるとともに、非ハロゲンリン酸エステルにより製造後の不織布間が剥がれ難くなるということがない。また余りに多量を使用しても、使用量に見合って難燃性が向上しないために不経済である。
非ハロゲンリン酸エステルを溶解させる溶媒としては、この化合物の種類に応じて水、公知の有機溶媒、又はこれらの混合液を適宜選択して用いればよい。使用可能な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ−ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、シクロヘキサノールのようなアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなアルキレングリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなアルキレングリコールアセテート類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチルのようなエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル形溶媒;ホルムアミド、N−メチルホルムアミドのようなアミド系溶媒などが挙げられる。
この難燃性付与溶液には、不織布の生分解性を妨げない範囲で、不織布に通常添加される添加剤が含まれていてもよい。添加剤については、前述した通りである。
(iii)不織布を難燃性付与溶液を用いて難燃性を付与する方法
前述した公知の不織布を作製した後、上記の難燃性付与溶液を塗布若しくは噴霧するか、またはこの溶液に不織布を浸漬する。難燃性付与溶液の繊維に対する使用量は、前述した通りである。乾燥は、自然乾燥によることもできるが、エマルジョンを使用する場合と同様の温度、時間で乾燥させてもよい。
(iv) ウェブ又はラップを難燃性付与溶液を用いて難燃処理する方法
前述した公知の方法でウェブ又はさらにラップを作製した後、上記の難燃性付与溶液を塗布若しくは噴霧するか、または上記の難燃性付与溶液にウェブまたはラップを浸漬し、乾燥することにより繊維間を結合して不織布を作製することもできる。難燃性付与溶液の使用量は、前述した通りである。乾燥は、自然乾燥によることもできるが、エマルジョンを使用する場合と同様の温度、時間で乾燥させてもよい。
フィルター
本発明のフィルターは、前述した本発明の不織布を用いたフィルターである。フィルターとしては、エアフィルターのような気体フィルター又は液体フィルターが挙げられる。本発明の生分解性難燃性不織布は、エアフィルター、特に排気口フィルターとして好適に使用できる。
実施例
以下、本発明を実施例及び試験例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、%は重量%を指し、部は重量部を指す。
<材料>
実施例で使用した材料を以下に示す。
(1)生地
羊毛/ポリ乳酸/ビニロン(重量比)=45:30:25の組成のラップを使用した。ラップを形成する繊維の羊毛は株式会社トーメン社のウールブロークントップ60番手、ポリ乳酸 はユニチカ株式会社製の商品名「テラマックPL−80」、ビニロンは株式会社クラレ製の商品名「クラロンK−II WN8」を使用した。
(2)バインダー成分
ポリ乳酸エマルジョンとして、第一工業製薬株式会社製、商品名「プラセマL110」(不揮発分50%)を使用した。
(3)難燃剤成分
大八化学株式会社製、商品名「トリクレジルホスフェート(TCP)」を使用した。
<難燃性試験>
実施例及び比較例で得られた各不織布について、JIS L1091 A−1法 区分3に準じて、以下の(a)〜(f)の手順で難燃性を評価した。
(a) サンプルより約350mm×250mmの試験片を、長さ方向と幅方向とに各3枚ずつカットする。
(b) カットした試験片を乾燥剤入りのデシケータに入れて2時間放置する。
(c) 試験片を1枚ずつ取り出し、45度傾斜のフレームに弛みのないように張り付ける。
(d) 予めガスバーナーに火を付け、空気穴を閉鎖して炎の高さを4.5cmに調整しておく。
(e) ガスバーナーを所定の位置に置き試験片を1分間加熱する。
(f) 残炎時間(加熱終了時から、試験片が炎をあげて燃え続ける時間)、残じん時間(加熱終了時から、試験片が無炎燃焼を停止するまでの時間)、燃焼長さ、及び炭化面積を測定する。
合格基準は以下の通りである。
・残炎時間 :3秒間以下
・残じん時間:5秒間以下
・燃焼長さ :20cm以下
・炭化面積 :30cm2以下
燃焼試験の合否は、炭化面積が10cm2以下である場合を「非常に良好:◎」とし、10cm2 を超えて20cm2以下である場合を「良好:○」とし、20cm2 を超えて30cm2以下である場合を「やや不良:△」とし、30cm2 を超える場合を「不良:×」とした。
<形態安定性試験>
本発明の不織布を、例えば台所のレンジフードのフィルターとして用いる場合に、使用中に下方に垂れてくるか否かを調べるために、実施例及び比較例で得られた各不織布について、以下の(a)〜(g)の手順で形態安定性を簡易評価した。
(a) サンプルより50mm×200mmの試験片をカットし、その試験片の中央に100mmの間隔で2本の線A及びBを入れる。
(b) 内径105mm、内容量1000mlのビーカーに水200mlを入れる。
(c) 上記(a)の試験片をビーカーの上部の解放部分にゴムバンド等で固定する。
(d) ビーカーに固定した試験片の中央に、6mm角、長さ5cm、重さ4.9gのアルミ棒の重しを乗せる。
(e) 試験片を固定したビーカーをガスレンジで加熱し、2分間沸騰後、火を止めて1分間そのまま放置する。
(f) テスト後の試験片をビーカーから取り外し、2本の線AとBとの間隔Cをmm単位まで測定する。
(g) 形態安定率を下記の式により算出する。
形態安定率(%)=(C−100)÷100×100
上記で求めた形態安定率より下記の評価基準にてフィルターとして使用した場合の形態安定性を評価した。
◎ 形態安定率6%未満、使用して全く問題ない
○ 形態安定率6〜12%未満、使用して問題ない
× 形態安定率12%以上、使用できない
<上市可否>
難燃性試験及び形態安定性試験の結果を総合勘案して、上市可能であるか否かを以下のように評価した。
◎全く問題ない
○問題ない
×商品として販売不可
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比80:20で混合して難燃性付与エマルジョンを作成した。次いで、前述したウェブを目付21.0g/m2となるように重ねた生地(ラップ)に難燃性付与エマルジョンを噴霧して110℃で5分間乾燥することにより、表1に示す難燃剤比率(難燃処理した後の生分解性難燃性不織布中の難燃剤の重量比を百分率で表した値)及びOWF(繊維の目付量に対する難燃剤の重量比を百分率で表した値)の難燃性不織布を得た。
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比60:40で混合し、目付23.8g/m2の生地を用いた以外は実施例1と同様にして難燃性不織布を得た。
目付19.2g/m2の生地を用いた以外は実施例2と同様にして難燃性不織布を得た。
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比50:50で混合し、及び目付18.6g/m2の生地を用いた以外は実施例1と同様にして難燃性不織布を得た。
比較例1
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比30:70で混合し、目付18.6g/m2の生地を用いた以外は実施例1と同様にして難燃性不織布を得た。
比較例2
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比80:20で混合し、目付24.5g/m2の生地を用いた以外は実施例1と同様にして難燃性不織布を得た。
比較例3
バインダー成分のプラセマL110と難燃剤成分のTCPを重量比90:10で混合し、目付28.0g/m2の生地を用いた以外は実施例1と同様にして難燃性不織布を得た。
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた生分解性難燃性不織布の不織布の目付、バインダーの使用量、難燃剤であるTCPの使用量、難燃性試験結果、形態安定性、及び上市の可否を、以下の表1に示す。
表1中、難燃剤比率は、難燃処理した後の生分解性難燃性不織布中の難燃剤(TCP)の重量比を百分率で表した値であり、OWFは、繊維の目付量に対する難燃剤(TCP)の重量比を百分率で表した値である。また、「製品」は、難燃処理した後の生分解性不織布を示す。
Figure 0004510551
表1に示すように、実施例1〜4により得られた不織布では、燃焼性試験及び形態安定性ともに非常に良好又は良好な値が得られ、その結果、上市可能性に全く問題ないか、又は問題ない状態であった。
一方、比較例1では、難燃剤の比率が多いために燃焼試験は良好であったが、形態安定性が不良であり、その結果、商品として販売できない状態であった。これは、バインダー樹脂中に含まれる難燃剤が空気中の水蒸気を吸収してバインダー樹脂を膨潤させ、樹脂による繊維間接着力を弱めるため、不織布に付着した水分や油脂分の重みで不織布の垂れが発生したものと考えられる。
また、比較例2及び3は、難燃剤の比率が少ないために難燃性が不良であり、その結果、商品として販売できない状態であった。
本発明の生分解性難燃性不織布は、良好な難燃性を有するため、台所の換気扇やレンジフード等の排気口フィルター、自動車のエアーフィルタ、エアコンのフィルターのように燃焼の恐れがある場所で使用するフィルターとして、更には液体フィルターとしても好適に使用できる。また、本発明の生分解性難燃性不織布は、鉄道車両の車体中に備えられる吸音材、トンネルや船舶等の吸音材、建材中に備えられる断熱材、土木資材、農業資材などとしても好適に使用できる。

Claims (9)

  1. 非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを用いて生分解性の繊維または不織布を難燃処理してなる生分解性難燃性不織布であって、不織布構成繊維100重量部に対して非ハロゲンリン酸エステル化合物を15〜50重量部使用して難燃処理されたものである生分解性難燃性不織布。
  2. 難燃処理が、非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを用いて生分解性繊維間を接着することにより行われている請求項1に記載の生分解性難燃性不織布。
  3. 難燃処理が、生分解性繊維を構成繊維とするウェブ又はこれを複数枚重ねたラップに非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを塗布、噴霧した後、又は生分解性繊維を構成繊維とするウェブ若しくはこれを複数枚重ねたラップを非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンに浸漬した後、乾燥により繊維間を結合して不織布を得ることにより行われている請求項2に記載の生分解性難燃性不織布。
  4. 難燃処理が、生分解性不織布に非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンを塗布、噴霧した後、又は生分解性不織布を非ハロゲンリン酸エステル化合物を含むポリ乳酸エマルジョンに浸漬した後、乾燥することにより行われている請求項1に記載の生分解性難燃性不織布。
  5. 生分解性不織布が、レーヨン、綿、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を用いた不織布である請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
  6. 生分解性不織布が、レーヨン、綿、羊毛、ポリ乳酸、水溶性ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる2種以上の繊維を用いた不織布である請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
  7. 非ハロゲンリン酸エステル化合物が、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ナフチルジフェニルホスフェート、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシンビス(ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
  8. JIS L1091 A-1法の区分3において合格とされる難燃性を有する請求項1〜のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の生分解性難燃性不織布を備えるフィルター。
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