JP3780429B2 - 薬剤揮散方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンの風力を利用して揮散性の薬剤を空気中に揮散するようにした薬剤揮散方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
揮散性の薬剤をファンの風力で空気中に揮散・放出するようにした薬剤揮散方法としては、薬剤を保持し、かつ適度な通気性を有する含浸体にファンからの風をあてるようにしたものが実開昭61−182273号公報にて、またファンの風力と通気度の関係を定義したものが特開平7−111850号公報として知られている。
【0003】
これら従来の技術における薬剤含浸体は、いずれも一体状に固化された形状となっており、そのため、これに含浸された薬剤が、蒸気圧の高い揮散しやすい薬剤である場合には有効な手段であるが、蒸気圧の低い難揮発性の薬剤を揮散させる場合や、一度に多量の薬剤を揮散させる場合などには、次のような工夫が必要となる。
【0004】
すなわち、(1)薬剤含浸体の揮散面積を大きくする。(2)薬剤含浸体内の空隙を大きくし、風の通過を促進する。(3)ファンの出力を強化する、等である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記各工夫を実施した場合、薬剤含浸体の全体の体積が大きくなり、またファンが大型化してエネルギー効率が悪くなる。そして特に薬剤含浸体の体積の増加は、以下のような問題を引き起こす。
【0005】
すなわち(1)薬剤含浸体の各部、特に風の吹き出し口からの距離が遠くなるに従って、薬剤含浸体の空気抵抗により、単位時間当たりの風量が小さくなることから、薬剤含浸体が風の流れ方向に大きい場合、薬剤含浸体が瞬間的に受ける風力に部分的に差が生じてしまい、これが薬剤含浸体各部からの揮散量の偏りにつながり、安定的な薬剤揮散の妨げとなる。
【0006】
(2)上記(1)の状況が生じた場合でも、含浸された薬剤が素早く均一化されれば、固化された形状の薬剤含浸体であっても、安定的な揮散が可能であるが、薬剤含浸体が大きくなると薬剤の移動距離が長くなり、均一化に長い時間を要することになる。
【0007】
(3)薬剤含浸体の大型化は、上記(1)に示した問題により含浸体容器の排気口(薬剤揮散口)からの単位時間当たりの風量の低下をも引き起こし、それは薬剤の部屋への揮散能力の低下、すなわち薬剤効力の低下につながる。またこれを解決するためのファンの風力強化は、エネルギーの浪費であり、かつ効率も悪く、経済的に不利である。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた結果、それぞれの問題に対する解決手段を見出した。
【0009】
すなわち、上記(1)の問題点を解決するため手段として、薬剤含浸体を粒状にして、この薬剤含浸体自身を撹拌させることにより、各薬剤含浸体への受風量を均一化することで、薬剤含浸体の風の流れ方向の部位によるばらつきを解消することが可能となった。以下にそれを証明する試験方法及び試験結果を示す。
【0010】
風の吹き出し口が8cm角のファンの吹き出し口に、内径8cm高さ10cmの筒の上下にネットを張った含浸体容器を設けて試験装置とした。その中に薬剤を300mg含浸させた直径4mmの粒状の薬剤含浸体2gを投入し、24時間連続で3日間駆動させた後の残存薬剤量の部分的なばらつきを測定した。
【0011】
また、対象として同じ8cm角のファンの吹き出し口側に、ハニカム状の一体型固定式の薬剤含浸体を置いた装置でも残存薬剤量の部分的なばらつきを測定した。その結果を表1に示した。
【0012】
【表1】
Figure 0003780429
【0013】
表中の数値は薬剤の仕込量を100としたときの薬剤の残存率を示す。また測定部位とは、薬剤含浸体中のファンの吹き出し口からの距離を示す。
【0014】
一体型固定式の薬剤含浸体を用いた場合、ファンの吹き出し口に近い部分がよく揮散し、遠い部分は殆ど揮散せず90%以上の薬剤が残存している。それに対して、粒状の薬剤含浸体を用いた場合は、薬剤含浸体が常に撹拌されながら薬剤を揮散しているので、部分的な残存量の差が殆どない結果が得られた。
【0015】
また、上記した(2)の問題点を解決する手段として次のような研究を行った。すなわち、薬剤含浸体を粒状にし、その数を殖やすことで個々の薬剤含浸体は小型になり、薬剤の移行距離は短くなる。その結果、薬剤含浸体の表面からの薬剤の揮散に伴って中心部からの薬剤の補充(薬剤濃度の均一化)が速やかに行われ、薬剤の安定揮散が可能となった。さらに、個々の含浸体内での薬剤の均一化を促す手段として各種溶剤を添加する方法も考えられる。これは粘度が高く移行速度が遅い薬剤を用いる場合有効な手段である。
【0016】
表2と図1に、上記と同様の試験装置を用いて粒状の薬剤含浸体と一体型固定式の薬剤含浸体を使用したときの薬剤の揮散パターンについて調査した結果を示す。それぞれの薬剤含浸体には同種、同量の薬剤を含浸させ、15日間連続して駆動したときの単位時間当たりの揮散量を開始から5日目、10日目、15日目における薬剤残存量から推定した。
【0017】
【表2】
Figure 0003780429
【0018】
その結果、一体型固定式の薬剤含浸体が駆動開始から略比例的に揮散量が落ち込む傾向を示しているのに対し、粒状にした薬剤含浸体の場合は、安定した揮散量を保っている。これは、薬剤含浸体を粒状にし、これを撹拌することで、薬剤含浸体全体の薬剤濃度が均一になると共に、個々の薬剤含浸体内での薬剤の移行が行われると共に、薬剤が揮散して重量が減少することによって薬剤含浸体及び薬剤の比重が小さくなり、薬剤含浸体の運動量が増えた結果、薬剤濃度が低くなった場合でも一定の揮散量が得られることが、長期間の揮散量の安定性に起因していると考えられる。
また、表2に示した薬剤の仕込み量に対する15日目の残存量の割合である有効揮散率を見ても、一体型固定式の薬剤含浸体が72.58%であるのに対して、粒状の薬剤含浸体の場合は89.46%と非常に効率よく薬剤を揮散していることが分かる。
【0019】
さらに、上記(3)の問題点を解決する手段として次のような研究を行った。すなわち、薬剤含浸体が受ける風は、ファンから受ける風と、自身が回転する際に受ける風となり、エネルギーの有効利用となる。その結果、薬剤含浸体の総表面積は従来のものより小さくてすみ、風力の損失が少なくなる。表3に、粒状の薬剤含浸体と一体型のハニカム状の薬剤含浸体のそれぞれの真の体積を同じくした場合の、薬剤揮散口から上方へ5cmと、10cmの距離における風速を測定した結果を示す。この試験においても粒状の薬剤含浸体は、一体型固定式の薬剤含浸体との比較において良好な結果を示し、風速が大きく、風力の損失が少ないことが証明された。
【0020】
【表3】
Figure 0003780429
【0021】
上記した各試験及びその結果から、以下のようなことがわかった。すなわち、薬剤含浸体の部位によるばらつきを解消し、ファンの風力エネルギーを有効に活用しつつ、長期間安定した揮散量を維持するためには、この薬剤含浸体自身が適度に撹拌されなければならない。そのためには、この薬剤含浸体はいくつかの条件を満たす必要がある。その条件として以下にあげる。
【0022】
まず第1に、薬剤含浸体の形状に関する事項である。本発明をなすために必要な薬剤含浸体の形状は、撹拌の際にエネルギーの損失につながる摩擦抵抗の小さい形状、すなわち、薬剤含浸体相互の接する最大面積が総表面積の1/2以下になる立体であることが好ましい。具体的には、摩擦の最も小さい形状である球形が最も好ましい。
【0023】
第2に、薬剤含浸体に必要な条件としては、この薬剤含浸体が薬剤の適度な含浸能力と揮散能力(放出能力)、及び薬剤含浸体内での速やかな均一化を促す能力を有することである。薬剤の含浸能力は薬剤含浸体の真の体積に依存し、揮散及び均一化を促す能力は、薬剤含浸体の密度、すなわち、空隙率に依存する。
【0024】
本発明をなすために必要な薬剤含浸体の真の体積は、薬剤含浸体の空隙率と見かけの体積より求まり、使用する薬剤の蒸気圧及び粘度等の物性に応じて次に示す範囲で任意に調整すればよい。その範囲は、この薬剤含浸体の真の体積、すなわち、[見かけの体積×(1−空隙率/100)]が、一粒当たり5×10-5〜5×105 mm3 、好ましくは5×10-3〜5×103 mm3 、さらに好ましくは、5×10-2〜5×10-1mm3 となる。そして求める揮散量及び効力の持続日数は、使用する粒状の薬剤含浸体の粒数及びこれに含浸する薬剤濃度で調整すればよい。
【0025】
第3に、本発明に使用する薬剤含浸体の比重が、この薬剤が含浸体を収納する含浸体容器内を通過する単位時間当たりの風量が0.01〜1.0m/minのとき、0.005〜0.5であることである。ただし、単位時間当たりの風量が1.0m/min以上の大型のファンを使用した場合には比重が0.5以上でも使用することが可能である。そして、このときにおける薬剤含浸体の構成材料には、後述する発明の実施の形態で検証したようにパルプ、ビスコース、リンターといった植物由来の物質が用いられる。
【0026】
さらに第4の条件としては、この薬剤含浸体または含浸体容器、あるいはその双方に、静電気の発生防止、または除去するための処理を施すことがある。なぜなら、静電気は、薬剤含浸体相互、あるいは薬剤含浸体と含浸体容器の間に撹拌を妨げる抵抗として働く可能性があるからである。
【0027】
上記のことから本発明に係る薬剤揮散方法は、粒状であり、かつパルプ、ビスコース、リンターといった植物由来の材質が用いられ、さらに比重が0.005〜0.5である薬剤含浸体を含浸体容器に入れ、これにファンから単位時間当たりの風量が0.01〜1.0m /minの風を当てて、この薬剤含浸体を風力により撹拌しながら、この薬剤含浸体に含浸した薬剤を揮散するようにした。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様を説明する。なお、本発明はこの記載した内容に限定されるものではない。本発明において粒状の薬剤含浸体に含浸させて用いる薬剤は、使用目的に応じて種々の揮発性薬剤を使用することができる。
【0033】
例えば、殺虫を目的として使用する場合、従来より用いられている各種の揮散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等をあげることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられており、それらの具体例として以下のものが例示できる。なお、この各例示は一般名、化学名(商品名、メーカー)の順に記載する。
【0034】
・アレスリン;3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル dl−シス/トランス−クリサンテマート。(ピナミン、住友化学工業(株))
・dl・d−T80−アレスリン;3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−シス/トランス−クリサンテマート。(ピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
・dl・d−T−アレスリン;3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート。(バイオアレスリン)
・d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート。(エスビオール)
・d・d−T80−プラレトリン;d−2−メチル−4−オキソ−3−プロパルギルシクロペント−2−エニル d−シス/トランス−クリサンテマート。(エトック、住友化学工業(株))
・フタルスリン;N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチルdl−シス/トランス−クリサンテマート。(ネオピナミン、住友化学工業(株))
・d−T80−フタルスリン;(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチル d−シス/トランス−クリサンテマート。(ネオピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
・レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル dl−シス/トランス−クリサンテマート。(クリスロン、住友化学工業(株))
・d・d−T80−レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート。(クリスロンフォルテ、住友化学工業(株))
・ペルメトリン;3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−2,2−ジメチル−3−(2,2,ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシラート。(エクスミン、住友化学工業(株))
・フェノトリン;3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート。(スミスリン、住友化学工業(株))
・フェンバレレート;α−シアノ−3−フェノキシベンジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート。(スミサイジン、住友化学工業(株))
・シペルメトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート。(アグロスリン、住友化学工業(株))
・シフェノトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート。(ゴキラート、住友化学工業(株))
・エンペントリン;1−エチニル−2−メチルペント−2−エニル d−シス/トランス−クリサンテマート。(ベーパースリン、住友化学工業(株))
・テラレスリン;2−アリル−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン−4−イル−2,2,3,3,テトラメチル−シクロプロパンカルボキシラート。(ノックスリン、住友化学工業(株))
・イミプロスリン;2,4−ジオキソ−1−(プロプ−2−イニル)イミダゾリジン−3−イルメチル(IR)−シス/トランス−クリサンテマート。(プラル、住友化学工業(株))
・エトフェンプロックス;2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル
【0035】
また、その他の薬剤(殺虫剤、忌避剤、効力増強剤、成長制御剤など)として以下のものが例示できる。
・アセタミプロリド;N’−[(6−クロロ−3−ピリジイル)メチル]−N2 −シアノ−N’メチルアセトンアミジイン。(モスピラン)
・ダイアジノン;(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート。(ダイアジノン)
・フェニトロチオン、MEP;0,0−ジメチル−0−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート。(スミチオン)
・ピリダフェンチオン;0,0−ジメチル−0−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート。(オフナック)
・マラソン;ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート。(マラソン)
・イミダクロブリド;1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(ハチクサン)
・DDVP;0,0−ジメチル 0−(2,2−ジクロロ)ビニルホスフェート
・ベンジルベンゾエート
・イソボニールチオシアノアセテート。(IBTA)
・デヒドロ酢酸
・ピペロニルブトキサイド。(P.B.)
・パラオキシ安息香酸
・サリチル酸フェニル
・S−421
・N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド。(サイネピリン222)
・N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)
・ピリプロキシフェン;4−フェノキシフェニル(RS)−2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテル。(スミラブ)
【0036】
次に本発明に使用可能な薬剤含浸体の材質としては、例えばパルプ、ビスコース、リンター、またはケイ酸カルシム等の無機物、またはポリプロピレン等の合成繊維等を原料として成型した多孔質体、または活性炭等があげられる。中でもパルプ、ビスコース、リンターといった植物由来の物質が比重および薬剤含浸能を考慮すると薬剤含浸体の原料として最も好ましい。市販されている材質としては、パルプとビスコースを主原料としたレンゴー株式会社製の発泡セルロースビーズ(商品名:ビスコパール)がある。
【0037】
上述したとおり、薬剤含浸体には速やかな撹拌を促すために、比重の軽い材質を用いることが好ましく、その含浸体容器の材質には導電性のない軽量で価格的にも有利な、プラスチックを用いることが好ましい。ただしプラスチックは、接触や摩擦により表面に静電気を帯びやすく一度帯電すると漏洩しにくい性質を持つ。従って比重の軽い薬剤含浸体にとっては、撹拌の際の大きな抵抗となりエネルギー効率に悪い影響を及ぼすことも有り得る。そこで本発明の薬剤含浸体、または含浸体容器には帯電防止処理を施すことが好ましい。一般的にプラスチックの帯電防止処理法として広く使用されているのは添加剤による処理方法であり、この目的には界面活性剤が主に用いられる。帯電防止剤による処理方法にはプラスチックの表面に塗布する方法(表面塗布法)とプラスチックに練込む方法(練り込み法)があり、それぞれ特徴を持ったアニオン、カチオン、非イオン、両性活性剤が利用できる。またそれぞれの方法に応じて界面活性剤を主成分とする製剤が各社から市販されている。例えば三洋化成工業株式会社製の「サンスタットAA」、「サンスタット 2012A」、「サンスタット249」、導電塗料として透明性を特徴とするコルコート株式会社製の「コルコートSP−2001」「コルコートSP−2002」などがある。
【0038】
また本発明には、安定性向上効果、共力効果および付加機能の追加を目的として薬剤の他に一種以上の酸化防止剤、紫外線吸収剤、芳香剤、消臭剤などを使用することが可能である。
また難揮散性の薬剤をさらに有効に揮散させたい場合、含浸体容器またはファン自身または周辺部材を加熱し揮散を促進する方式も考えられる。
【0039】
【実施例1】
8cm角の株式会社シコー技研製DCブラシレス軸流ファンモータの吹き出し口側に、内径8cm高さ10cmの筒の上下をネットで覆った薬剤カートリッジを設け、その中にプラレスリンを300mg含浸させた直径2mmの粒状の薬剤含浸体(発泡セルロースビーズ)2gを投入した。そしてこの装置を12時間駆動、12時間休止させるインターバルで30回繰り返したときの経時的な揮散量の推移について図2に、そのときのアカイエカに対するノックダウン効力について表4に示した。なおこのときの揮散量は、一定時間毎に薬剤含浸体から抽出し定量した薬剤残量より単位時間あたりの値を計算して示し、効力は8畳の閉鎖空間において25℃の恒温条件で試験した結果を示した。
【0040】
上記〔実施例1〕を実施するための装置としては図3に示すように、ファンモータを内装すると共に、これの図示しない吹き出し口を上方へ向けて開口した本体1上に、上下をネット2a,2bで覆った含浸体容器3を一体状に設けた構成になっている。この構成において、ファンが回転することにより収納容器3の底側のネット2bより風が吹き上がり、この含浸体容器3内に入れた粒状の薬剤含浸体4が流動され、この間に薬剤含浸体4に含浸されている薬剤が揮散して上側のネット2aより外部へ上記風と共に揮散されていく。
【0041】
【実施例2】
〔実施例1〕と同様の装置で直径2mmの発泡セルロースビーズ2gにアレスリンを1200mg含浸し、〔実施例1〕と同様の試験条件で揮散量の推移およびアカイエカに対するノックダウン効力について図2と表4に示した。
【0042】
【実施例3】
〔実施例1〕と同様の装置で直径4mmの発泡セルロースビーズ2gにテラレスリンを1000mg含浸し、〔実施例1〕と同様の試験条件で揮散量の推移及びアカイエカに対するノックダウン効力について図2と表4に示した。
【0043】
【実施例4】
〔実施例1〕と同様の装置で直径4mmの発泡セルロースビーズ2gにエンペンスリンを2000mg含浸し、〔実施例1〕と同様の試験条件で揮散量の推移およびアカイエカに対するノックダウン効力について図2と表4に示した。
【0044】
【表4】
Figure 0003780429
【0045】
【発明の効果】
上記したように、本発明方法によれば、種々の害虫に対して殺虫、忌避、成長制御の機能を有する揮散性の薬剤をその薬剤が持つ蒸気圧や、目標とする揮散量に関わりなく、風力によって長期間安定した分散作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる薬剤含浸体の使用日数に対する薬剤揮散量を示す線図である。
【図2】異なる薬剤を含浸させた各薬剤含浸体の経時的な薬剤揮散量を示す線図である。
【図3】粉状の薬剤含浸体から薬剤を揮散するための装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…本体、2a,2b…ネット、3…含浸体容器、4…薬剤含浸体。

Claims (1)

  1. 粒状であり、かつパルプ、ビスコース、リンターといった植物由来の材質が用いられ、さらに比重が0.005〜0.5である薬剤含浸体を含浸体容器に入れ、これにファンから単位時間当たりの風量が0.01〜1.0m /minの風を当てて、この薬剤含浸体を風力により撹拌しながら、この薬剤含浸体に含浸した薬剤を揮散するようにしたことを特徴とする薬剤揮散方法。
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