JP4340996B2 - 薬剤揮散方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、取り替え可能なカートリッジに収納した粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体に遠心力を付与し且つこの際生じる風力を利用することにより、常温で薬剤を揮散させる薬剤揮散方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、例えば前記カートリッジをシロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着し、前記カートリッジをモーターで回転させることにより前記薬剤含浸体に遠心力を付与し、前記薬剤含浸体から一定の揮散速度で長時間連続して薬剤を揮散させることができる薬剤揮散方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
害虫、例えば蚊や蚋などを駆除するために、薬剤を閉鎖空間(例えば建築物や自動車の室内、アウトドアスポーツにおけるテント内)全体に揮散・放出させる薬剤揮散方法としては、熱エネルギーを利用した蚊取線香や電気蚊取マット、液体式電気蚊取(リキッド)が一般的であるが、常温でファン等の風力を利用して薬剤を揮散・放出させる方法も試みられている。
火や電源コンセントからの電気を使用する薬剤揮散方法は、安全性や電源の確保の点で使用することが困難な場合がある。例えば、テント内にて使用する場合には、常温で薬剤を揮散・放出させる方法を使用することが好ましく、この場合、薬剤の揮散にファン等の風力を利用すれば、そのまま薬剤(又は薬剤含浸体)を放置する場合に比べて、薬剤の揮散効率を非常に高めることができる。
【0003】
常温で薬剤を揮散・放出させる方法としては、従来、多くの方法が提案されている。例えば、実開昭61−182273号には、薬剤を保持し且つ適度な通気性を有する含浸体をファンの周囲に設置し、これにファンからの風をあてるように構成した器具が開示されている。また、特開平10−191862号には、粒状にした薬剤含浸体を含浸体容器に入れ、これにファンからの風をあててこの薬剤含浸体を風力により攪拌しながら、薬剤を揮散させる方法が開示されている。更に、特開平5−68459号には、揮散性薬剤を保持した拡散用材を回転させることにより、揮散性薬剤を気中に拡散させる揮散性薬剤の拡散方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭61−182273号の器具や特開平10−191862号の方法で用いられる器具においては、薬剤含浸体は、静止した収納容器に収納されている。特開平10−191862号に開示された方法では、ファンからの風を薬剤含浸体である粒状物にあてて風力により該粒状物を攪拌することが試みられているが、小型ファンの風力は大きなものではなく、それにより前記粒状物全体を充分に攪拌することは困難である。それ故、特開平10−191862号の方法では、薬剤含浸体である粒状物から長期間にわたり一定揮散量で薬剤を揮散させることが難しく、経時的に揮散薬量が減少することは避けられない。
一方、特開平5−68459号に開示された方法では、ガス透過性フィルムからなる膜部を有する袋又は容器或いは通気しうる微小孔を有する袋又は容器に揮散性薬剤を封入してなる拡散用材を採用しており、揮散性薬剤全体から効率良く薬剤を揮散させることが難しく、経時的に揮散薬量が減少することは避けられない。それ故、この方法で、10日間以上の長期間にわたり安定した揮散薬量を保持することは困難である。
【0005】
本発明は前記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とするところは、野外においても適用可能であり、長期間にわたってほぼ一定量の薬剤を安定して揮散することができ、従来に無い優れた殺虫効力を保持し、安全性が高く、使用性が良い等、多くの利点を有する薬剤揮散方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するため鋭意研究した結果、薬剤を揮散させるにあたり、粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体に遠心力を付与することにより、長期間にわたり(例えば1日12時間の使用で、30日間の期間にわたって)安定した揮散性能を奏し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の薬剤揮散方法は、粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体を、側面に通気部を有するカートリッジに収納し、該カートリッジの回転により前記薬剤含浸体に遠心力が作用する状況下で前記薬剤含浸体に含浸させた薬剤を揮散させる薬剤揮散方法であって、前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の平均外径を3mm〜10mmとし、前記薬剤含浸体が、前記カートリッジ内に空隙率20%〜70%で充填されており、前記遠心力の大きさが、9.8×10 -1 cm/s 2 〜9.8×10 4 cm/s 2 であり、前記薬剤として、前記薬剤含浸体から薬剤を1時間当たり0.01〜0.5mgの揮散量で且つ180時間以上にわたり揮散可能である、以下の群:2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物A)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチルー3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物B)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物C)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物D)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物E)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物F)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物G)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物H)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチルー3−(2−クロロー2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物I)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(化合物J)から選択された少なくとも一種の化合物からなる薬剤を使用することを特徴とする〔以下、i)と称する〕。以下の本発明の方法は特に好ましい。
ii)前記カートリッジの回転を、モーターで行うことを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
iii)前記モーターの回転数が、100〜2000rpmであることを特徴とするii)の薬剤揮散方法。
iv)前記カートリッジを、シロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着することを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
v)前記カートリッジの形状が環状であり、且つ前記カートリッジを前記シロッコファンの空気流出側に装着することを特徴とするiv)の薬剤揮散方法。
vi)前記カートリッジの形状が円板状であり、且つ前記カートリッジを前記シロッコファンの空気流入側に装着することを特徴とするiv)の薬剤揮散方法。
vii)前記カートリッジの側面に設けられた通気部が、多数並設された開口スリットからなり、開口スリット幅が1mm以上で且つ前記薬剤含浸体の平均外径の0.7倍以下であることを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
viii)前記薬剤含浸体に薬剤を全体で100mg以上含浸させることを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
ix)前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の平均外径が3mm〜10mmであり、且つ前記薬剤含浸体が、前記カートリッジ内に空隙率30%〜60%で充填されていることを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
x)前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体が、紙、パルプ、セルロース系担体及び合成樹脂担体から選択された少なくとも一種からなることを特徴とするi)の薬剤揮散方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
<遠心力について>
本発明の方法においては、粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体に遠心力を作用させる。この場合遠心力は、以下に例示するような種々の効果を奏する。
1)粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体は、予めカートリッジ内に好適な状態(例えば、最密充填に近い状態)で充填されているが、個々の粒は固定されていないので、カートリッジに衝撃が加わったりカートリッジを動かした場合には、個々の粒が動くので前記薬剤含浸体の充填状態が変化する。しかし、使用に際して前記薬剤含浸体に遠心力が作用すると、遠心力によって粒状物が所定方向に押圧され、初期の好適な充填状態又はそれに近い充填状態が自動的に再現される。
2)カートリッジへの遠心力の作用を解除すると、カートリッジ内の個々の粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体はある程度自由に動き得る状態となり、回転又は移動によりその位置を変化させる。つまり、カートリッジへの遠心力の作用及び解除に伴って、粒状の薬剤含浸体は個々が動き、全体として攪拌される場合と同様の効果を奏する。
3)粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体に遠心力を作用させると、前記薬剤含浸体がある程度の柔軟性を有する場合には、前記薬剤含浸体は押圧されて収縮し、遠心力の付与を解除すると前記薬剤含浸体は膨張してもとの大きさに戻る。それ故、カートリッジの回転(使用)及びカートリッジの回転停止(不使用)の繰り返しにて前記薬剤含浸体は収縮と膨張を繰り返すこととなり、このポンプ作用により前記薬剤含浸体内部の薬剤も表面に押し出され、その結果、薬剤が有効に利用される。
4)粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体があまり柔軟性を有しない場合でも、前記薬剤含浸体に遠心力を作用させると、前記薬剤含浸体の内部の薬剤が遠心力により表面に押し出され、且つ遠心力を作用させる際に生じる風力によって搬送されるので、薬剤含浸体の内部の薬剤を有効に利用することができる。
【0008】
遠心力の大きさは、カートリッジ及び薬剤含浸体の大きさや形状、薬剤の種類や揮散量等の諸条件を考慮し、重力加速度(9.8×102cm/s2)の1/1000〜100倍、具体的には9.8×10-1cm/s2〜9.8×104cm/s2である。前記薬剤含浸体は、前記カートリッジ内に空隙率20%〜70%の範囲で適量充填されるが、好ましくは25%〜65%、特に好ましくは30%〜60%で充填するとよい。空隙率が20%未満の場合には空気流の流れが悪くなるので、充分な薬剤揮散量を確保できず、反対に空隙率が70%を超える場合には、空気流が薬剤含浸体と接触する時間が短くなるので、充分な薬剤揮散量を確保できない。それ故、前記範囲内で、より好適な空隙率が選択される。薬剤含浸体を収納したカートリッジを回転させることにより、前記薬剤含浸体に遠心力が作用し、且つこの際に生じる風力を利用することができる。前記カートリッジの回転は、例えば、モーターで行ってよい。前記モーターは、交流電源又は乾電池のいずれでも駆動できるのが好ましく、例えば、電圧1.5Vの乾電池1個で、100〜2000rpmの回転数を300時間以上持続可能なものが適している。
【0009】
前記カートリッジをシロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着すると、前記薬剤含浸体に遠心力が作用するとともに、前記薬剤含浸体にシロッコファンにより生じた風(シロッコファンから流出する空気流及び/又はシロッコファンに流入する空気流)があたるので、薬剤の揮散効率を高めることができる。前記カートリッジは、シロッコファンの空気流出側のみに又は空気流入側のみに装着してもよいし、或いは、シロッコファンの空気流出側及び空気流入側の双方に装着してもよい。シロッコファンに装着するカートリッジの数は1個以上であればよく、例えば、複数のカートリッジをシロッコファンの空気流出側又は空気流入側に適宜配分して装着することができる。この場合、前記複数のカートリッジは、同一又は異なる薬剤を含浸させた薬剤含浸体を収納したものであってよい。
【0010】
<薬剤、薬剤含浸体、カートリッジ等について>
本発明で用いられる薬剤としては、1時間当たりの揮散量を0.01〜0.5mgに調整することができ、且つこの薬量で十分な殺虫効力を奏し得る揮散性ピレスロイド系殺虫剤を選択することが好ましい。このような薬剤としては、例えば、一般式(I):
【化1】
(式中、X及びYは同一又は相異なって水素原子、メチル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基を表し、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物を例示することができる。
【0011】
本発明で用いられる一般式(I)で表される化合物としては、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以降、化合物Aと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチルー3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Bと称す)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Cと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以降、化合物Dと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Eと称す)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Fと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(以降、化合物Gと称す)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Hと称す)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Iと称す)又は4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以降、化合物Jと称す)を挙げることができる。これらの化合物(薬剤)は一種類を使用してもよいし、又は二種類以上の化合物(薬剤)を組み合わせて使用してもよい。
なお、一般式(I)で表される化合物には、その酸部の不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、これらの各々やそれらの任意の混合物の使用も本発明に含まれるのは勿論である。
【0012】
加熱蒸散用殺虫剤の有効成分として使用されるアレスリンやプラレトリンは本発明の使用条件では揮散性に乏しく、一方、ピレスロイド系殺虫剤のなかで最も蒸気圧の高いエムペントリンは、殺虫効力の点から1時間当たり2mg以上の揮散量を必要とするため好ましくない。それ故、本発明の方法においては、常温で好適な揮散性を有する前述のような化合物を使用する。
【0013】
本発明で用いられる薬剤含浸体の材質としては、例えば紙、パルプ、ビスコース等のセルロース系担体、エチレン−酢酸ビニール系樹脂、オレフィンボリマー等の合成樹脂担体、ケイ酸カルシウム等の無機質担体等が挙げられるが、なかでも天然由来の紙、パルプ、セルロース系担体が好ましい。これらは粒状若しくは略粒状で、その平均外径が例えば3mm〜10mmとなるように成形することが好ましい。薬剤含浸体のこのような形状及び大きさを採用することによって、薬剤含浸体内部の前記ピレスロイド系殺虫剤が徐々に表面に移行し、長期間にわたり安定した揮散量を保持することが可能となる。これに対し、例えば平均外径が3mmより小さいと、薬剤の揮散がすみやかで殺虫効力の持続性に問題を生じる場合がある。
【0014】
前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の具体的な形状は、例えば球状、楕円体状、卵状、円柱状、角柱状、棒状、円板状、角板状、不定形状、等の種々の形状であってよく、またその大きさは種々の大きさであってよい。更に種々の材質の薬剤含浸体を組み合わせて使用してもよい。
薬剤含浸体をカートリッジに収納する場合、特定の大きさ、形状及び材質の薬剤含浸体をカートリッジに収納してもよいし、又は、大きさ、形状及び材質が異なる多種類の薬剤含浸体を好適な比率で混合して、カートリッジに収納してもよい。
【0015】
薬剤含浸体に関して、その大きさ、形状、材質、及び数が異なる多種類の薬剤含浸体を組み合わせて使用することに加えて、含浸された薬剤の種類が異なる多種類の薬剤含浸体を組み合わせて使用してもよい。また、大きさ、形状、材質、、数及び含浸された薬剤の種類が異なる多種類の薬剤含浸体を混合するなど、複合的に使用することもできる。
それ故、このような薬剤含浸体を収納した極めて多種類の取り替え可能なカートリッジを得ることができ、用途に応じて、これらのカートリッジを適宜組み合わせて使用するとよい。
例えば、前記シロッコファンの空気流出側に装着するには、前記カートリッジの形状が環状であるものが好ましく、前記シロッコファンの空気流入側に装着するには、前記カートリッジの形状が円板状であるものが好ましい。
【0016】
本発明では、前記薬剤含浸体に前述の薬剤を全体で100mg以上含浸させることが好ましい。薬剤の含浸量が100mgより少ないと、殺虫効力の持続性に不足が生じる場合がある。薬剤の含浸に際しては、必要に応じ溶剤、希釈剤、界面活性剤、分散剤、徐放化剤等を用い、また従来から知られている各種含浸手段を採用することができる。更に、前記薬剤含浸体に安定剤、香料、着色剤、帯電防止剤等を適宜配合してもよく、また薬剤組成物に、揮散性能に支障を来さない限りにおいて、揮散性の高い他の殺虫、忌避成分(例えばヒノキチオール、カルボン、サフロール、シトロネロール、ケイ皮アルデヒド等の防虫香料等)、殺ダニ剤、殺菌剤、消臭剤等を添加して多目的薬剤組成物とすることもできる。
また、薬剤含浸体に使用の終点を示すインジケーター機能(例えば変色機能)を付与すれば一層便利である。
【0017】
本発明で使用するカートリッジに通気部を設ける方法としては、例えば開口スリットを多数並設する方法や、並設したホルダーにネットを固定して構成する方法等があるがこれらに限定されるものではない。但し、薬剤の凝縮が揮散性能に影響を及ぼさないよう充分な通気性を確保すると同時に、薬剤含浸体の散逸を防止するために、開口スリットの場合、開口スリット幅を1mm以上で且つ薬剤含浸体の平均外径の0.7倍以下とするのが好ましい。総開口スリット面積のカートリッジ側面面積に対する開口比率は、例えば0.1〜0.5に設定するのが好ましく、一方ネットの場合、線間距離は、例えば1mm以上で且つ薬剤含浸体の平均外径の0.7倍以下に設定するのが好ましい。
【0018】
前記カートリッジの形状や大きさは、薬剤含浸体収納部の構造を考慮して任意に決定することができる。前述の如く、カートリッジをシロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着することが好ましいが、これ以外のものであっても勿論よい。
シロッコファンを用いるもの以外のものとしては、例えば、通常外径が3〜6cm、高さが2〜5cm程度の円筒状のカートリッジが使いやすいが、例えば、カートリッジの中心軸部分を中空状となし、この中空部分を本体の回転軸に嵌め込むような形状にすれば、カートリッジを薬剤揮散装置本体に装填しやすく便利である。この他、カートリッジの形状は略円錐状であったり、回転軸が横方向に設けられた装置に装填されるタイプであってもよい。
【0019】
前記カートリッジの周囲には、スリット状、メッシュ状等の保護カバーを装着し、指等が回転するカートリッジに触れないような構成にするとよい。前記カートリッジを収納する薬剤揮散装置の一部に前記保護カバーの機能を持たせてもよい。また、使用前に、カートリッジに収納した薬剤含浸体から薬剤が揮散することを防止するため、カートリッジの通気部には遮蔽部材(例えば、シールテープなど)を貼付することが好ましい。前記遮蔽部材は、使用直前に剥離するとよい。前記シールテープとして粘着テープを用いると、簡単に剥離することができるので便利である。なお、前記カートリッジのスリットバーや保護カバーのスリットバー部分は、風どおしを良くするためにブレード状に好適なひねりの角度をつけてもよい。
【0020】
前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の平均外径が3mm〜10mmであり、且つ前記薬剤含浸体が、前記カートリッジ内に空隙率20%〜70%で充填されているカートリッジは、使用しやすく、且つ長期間にわたりほぼ一定量の薬剤を安定して揮散することができる。前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の材質は特に限定されないが、例えば、紙、パルプ、セルロース系担体及び合成樹脂担体から選択された少なくとも一種からなる材料(単一の材料又はこれらを組み合わせた材料)は、前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体を構成する材料として好ましい。
【0021】
【実施例】
以下の実施例及び試験例により本発明を更に具体的に説明するが、前記実施例及び試験例は単に説明のためのみのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
実施例1〜2:
以下に、粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体を収納したカートリッジを、シロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着する場合の例を示す。
A)シロッコファン
図4に、シロッコファンの一例の概略構成図を示す。図4(a)は上面図、図4(b)は図4(a)をA−A線に沿って切断した側部断面図、図4(c)は下面図である。シロッコファン12は、例えばプラスチック製の円筒の内周に沿って一定間隔で内側に突出した翼部13(少し湾曲している)が設けられており、各翼部13の間には開口スリット4(図示せず)が設けられた構成を有する。シロッコファン12の中央部には、4個の腕部14によって支持されたモーター装着部15が設けられている。モーターによりシロッコファン12を回転させると、翼部13により生じた風力により、シロッコファン12の上面側から流入した空気は開口スリット4を通過して流出する。
B)カートリッジの調製(実施例1)
シロッコファン12の空気流入側に装着するカートリッジの一例を示す。化合物A(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート)200mgを、平均外径が約6mmの粒状発泡セルロースビーズ〔商品名:ビスコパール(レンゴー株式会社製)〕3gに含浸させて得られた薬剤含浸体1を、外径3cm、高さ1cmの円板状カートリッジ2の薬剤含浸体収納部3に収納した。円板状カートリッジ2の内部容積は40cm3であり、空隙率(薬剤含浸体が充填されずに空隙として残っている内部容積の比率,%)は50%である。なお、円板状カートリッジ2は、その側面に高さ方向ほぼ全長に幅2mmの開口スリット4(図示せず)を3mmおき(ピッチ間隔)に備えている。
図2に、実施例1の円板状カートリッジ2をシロッコファン12の空気流入側に装着した状態の側部断面図を示す。円板状カートリッジ2の中心部及びその近傍は円板状カートリッジ2の回転に際して遠心力が作用しないか又はほとんど作用しないため、薬剤含浸体1を収納せず、空隙として残す。
図3に、薬剤含浸体1を収納しない状態の実施例1の円板状カートリッジ2を示す。図3(a)は円板状カートリッジ2の上面図、図3(b)は、図3(a)をA−A線に沿って切断した場合の円板状カートリッジ2の側部断面図である。図3(a)に示される如く、円板状カートリッジ2の上面には、楔形や矩形などの開口スリット4が多数設けられている。
図2に示す如く、実施例1の円板状カートリッジ2をシロッコファン12の空気流入側に取り付けるためには、円板状カートリッジ2をシロッコファン12の空気流入側に保持するための保持部(例えば、蓋部)が必要となる。図5に、この蓋部の一例を示す。図5(a)は蓋部16の上面図、図5(b)は蓋部16の側面図、図5(c)は蓋部16を実施例1の円板状カートリッジ2に装着した状態を示す側部断面図である。蓋部16にも、円板状カートリッジ2の上面と同様に、楔形や矩形などの開口スリット4が多数設けられている。
C)薬剤揮散装置1
図1に、実施例1の円板状カートリッジ2を装着したシロッコファン12を備えた薬剤揮散装置の一例を示す。図1(a)は薬剤揮散装置の上面図、図1(b)は前記薬剤揮散装置の側部断面図、図1(c)は前記薬剤揮散装置の下面図である。この薬剤揮散装置は全体が小型で且つ軽量であり、容易に持ち運ぶことができる。また、乾電池8にて作動するので、野外で、例えばテント内で使用することもできる。
D)カートリッジの調製(実施例2)
シロッコファン12の空気流出側に装着するカートリッジの一例を示す。化合物B〔2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート〕400mgを、平均外径が約3mmのパルプ3gに含浸させて得られた薬剤含浸体1を、外径6.5cm、内径4cm、高さ2cmの環状カートリッジ2の薬剤含浸体収納部3に収納した。環状カートリッジ2の内部容積は40cm3であり、空隙率は20%である。なお、環状カートリッジ2は、その側面に高さ方向ほぼ全長に幅2mmの開口スリット4(図示せず)を3mmおきに備えている。
図6に、実施例2の環状カートリッジ2をシロッコファン12の空気流出側に装着し、更にシロッコファン12にモーター9を装着する状態を示す。
E)薬剤揮散装置2
図7に、実施例2の環状カートリッジ2を装着したシロッコファン12を備えた薬剤揮散装置の一例を示す。図7(a)は薬剤揮散装置の上面図、図7(b)は前記薬剤揮散装置の側部断面図、図7(c)は前記薬剤揮散装置の下面図である。環状カートリッジ2はシロッコファン12の空気流出側(外周部)に装着されるため、シロッコファン12の回転に伴う遠心力及び風力が有効に作用し、薬剤の揮散効率が非常に良い。
【0023】
試験例1:(実施例3〜12及び比較例1〜4を含む)
前記実施例1,2の薬剤含浸体に加えて、実施例2に準じ、下記表1に示す各種薬剤含浸体(実施例3〜12及び比較例1〜4)を調製した。これを実施例2と同じカートリッジ(図6のカートリッジ)に収納し、前記カートリッジを図7の薬剤揮散装置に装着して、1日12時間使用する条件下で、1日目、15日目及び30日目に、薬剤揮散量測定と下記の試験方法(連続通気法)による殺虫効力試験を行った。その結果を併せて下記表1に示す。
なお、殺虫効力は、dl,d−シス,トランス−アレスリン(ピナミンフォルテ)を含有する蚊取マットを発熱体放熱板温度160℃の条件で蒸散させた時の初期仰転効果を1.00として相対有効比で示した。
【0024】
試験方法(連続通気法)
内径20cm、高さ43cmのプラスチック製円筒を2段に重ね、その上に16メッシュの金網で上下に仕切った内径及び高さが共に20cmの円筒(供試蚊を入れる場所)を載せ、さらに内径20cm、高さ20cmの円筒を載せる。この4段重ねの円筒を台に載せ、台の中央(最下段の円筒の中)に薬剤揮散装置を置いて薬剤含浸体中の殺虫成分を揮散させる。そして、上から2段目の円筒に供試蚊約20匹を放ち、時間の経過に伴う該供試蚊の仰転数を観察する。暴露20分後に全供試蚊を清潔なポリエチレン容器に移し、3%砂糖水を与え、保存24時間後に死虫率を調べる。
【0025】
【表1】
表1に示すとおり、本発明の薬剤揮散方法によれば、薬剤の揮散量は30日間の長期間にわたり安定し、この間高い殺虫効力を保持することが認められた。すなわち、実施例1のタイプのカートリッジを備えた図1の薬剤揮散装置、特に実施例2のタイプのカートリッジを備えた図7の薬剤揮散装置を使用すると、揮散量の経時変化がほとんどなく、30日間にわたって、殺虫効果はほぼ一定であり、優れた経時的安定性を有することが判る。
【0026】
これに対し、比較例1のように、薬剤の含浸量が100mg未満であると、殺虫効力の持続性が不足し、また比較例2のように、薬剤含浸体の粒径が3mmより小さい場合も、揮散量が経時的に低下し安定した揮散性能を奏しえなかった。更に、比較例3のように、薬剤としてdl,d−シス,トランス−アレスリン(ピナミンフォルテ)のような従来電気蚊取用ピレスロイドを使用すると、この薬剤は遠心力に伴う風力では常温でほとんど揮散しなかった。更に、比較例4のように、薬剤として蒸気圧の高いエムペントリンを使用すると、薬剤の揮散性能の調整が難しく、また蚊に対する基礎殺虫活性が低いために、本発明の薬剤揮散方法のような効果は奏しなかった。
【0027】
実施例13:
以下、図8,図9に基づいて実施例13を説明する。化合物A(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート)200mgを、平均外径が約6mmの粒状発泡セルロースビーズ〔商品名:ビスコパール(レンゴー株式会社製)〕3gに含浸させて得られた薬剤含浸体1(図9参照)を、図8(b)に示す外径5cm、高さ3cmの円筒状カートリッジ2の薬剤含浸体収納部3(図9参照)に収納した。なお、カートリッジ2は、その側面に高さ方向ほぼ全長に幅3mmの開口スリット4を3mmおきに備え、外周面から内方1cm幅の外筒部が薬剤含浸体収納部3となっている。このカートリッジ2を、図8(c)に示す薬剤揮散装置本体5の回転軸部6に嵌め込み(図9参照)、更に図8(a)に示す保護カバー7を装着した後、単一乾電池8を用いてモーター9を500rpmで回転させた。この薬剤揮散装置を6畳の部屋の中央に置いて使用したところ、1日12時間あたりの薬剤揮散量(約4mg)がほとんど変化することなく安定して推移し、30日間にわたり蚊の防除に有効であった。なお、使用中、回転音が気になることはなく、また回転するカートリッジに誤って触れる恐れもないことから、使用性についても満足のいくものであった。
【0028】
実施例14:
以下、図10,図11に基づいて実施例14を説明する。化合物H(4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート)300mgと、安定剤ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)20mgを、パルプ製で平均外径が約3mmの略粒状ビーズ4gに含浸させて薬剤含浸体1を得た。図10に示すように、外径3cm、高さ5cmの円筒状で、その側面を10本の並設ホルダー10と線間距離2mmのネット11で構成したカートリッジ2に薬剤含浸体1を収納し、このカートリッジ2を図11の薬剤揮散装置本体5に装填した。薬剤揮散装置本体5には、図11(a)に示すように、カートリッジ2の外側に相当する部分に薬剤を揮散させるための開口部が設けられており、前記薬剤揮散装置本体5の開口部は、カートリッジ2に対する保護カバーの機能も有する。なお、図11の薬剤揮散装置は、図11(b)に示すように回転軸が横方向に備設されたものであり、図11(a)が斜視図を示し、図11(b)が側部断面図を示す。この薬剤揮散装置は、部屋のインテリアにもマッチし、1日12時間の使用で30日間にわたり充分な蚊防除効果を示した。
【0029】
試験例2:(実施例15〜21及び比較例5〜8を含む)
前記実施例13,14の薬剤含浸体に加えて、実施例13に準じ、下記表2に示す各種薬剤含浸体(実施例15〜21及び比較例5〜8)を調製した。これを実施例13と同じ薬剤揮散装置(図8、図9の薬剤揮散装置)に装填して、1日12時間使用する条件下で、1日目、15日目及び30日目に、薬剤揮散量測定と前述の試験方法(連続通気法)による殺虫効力試験を行った。その結果を併せて下記表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
表2に示すとおり、本発明の薬剤揮散方法によれば、薬剤の揮散量は30日間の長期間にわたり安定し、この間高い殺虫効力を保持することが認められた。
これに対し、比較例5のように、薬剤の含浸量が100mg未満であると、殺虫効力の持続性が不足し、また比較例6のように、薬剤含浸体の粒径が3mmより小さい場合も、揮散量が経時的に低下し安定した揮散性能を奏しえなかった。更に、比較例7のように、薬剤としてdl,d−シス,トランス−アレスリン(ピナミンフォルテ)のような従来電気蚊取用ピレスロイドを使用すると、この薬剤は遠心力に伴う風力では常温でほとんど揮散しなかった。更に、比較例8のように、薬剤として蒸気圧の高いエムペントリンを使用すると、薬剤の揮散性能の調整が難しく、また蚊に対する基礎殺虫活性が低いために、本発明の薬剤揮散方法のような効果は奏しなかった。
【0032】
表1の結果と表2の結果とを比較すると明らかな如く、カートリッジを、シロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側、特に空気流出側に装着する場合が特に優れた経時的安定性を有することが判る。
【0033】
【発明の効果】
本発明の薬剤揮散方法は、非加熱で粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体に遠心力を付与し且つその際生じる風力により薬剤を揮散・放出させる方式なので使用に際して火傷の心配がなく、また長期間にわたってほぼ一定量の薬剤を安定して揮散することができ、従来に無い優れた殺虫効力を保持し、しかも安全性、使用性等にも優れているため、蚊、ハエ等の衛生害虫、ブユ、ユスリカ、イガ、コイガ、カツオブシムシ等の不快害虫、特に蚊の防除用途に極めて有用である。
また本発明の薬剤揮散方法は、乾電池で作動する小型・軽量な薬剤揮散装置を使用し得るので、屋内や屋外をとわず適用可能であり、例えば、旅行先の室内やキャンプにおけるテント内での衛生害虫や不快害虫の防除に非常に役立つ。
更に本発明の薬剤揮散方法は、目的に応じて、各種の異なる薬剤含浸体を含む異なるカートリッジを取り替えて使用することができるので、一つの薬剤揮散装置で多種類の有害虫に対応することができ、適用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のカートリッジを装着したシロッコファンを備えた薬剤薬剤揮散装置の一例を示す図である。
【図2】 実施例1のカートリッジをシロッコファンの空気流入側に装着した状態を示す側部断面図である。
【図3】 薬剤含浸体を収納しない状態の実施例1のカートリッジを示す図である。
【図4】 本発明の方法で使用するシロッコファンの一例の概略構成図である。
【図5】 実施例1のカートリッジをシロッコファンに取り付ける際に使用する蓋部、及び実施例1のカートリッジに前記蓋部を装着した状態を示す図である。
【図6】 実施例2のカートリッジをシロッコファンの空気流出側に装着し、更にシロッコファンにモーターを装着する状態を示す図である。
【図7】 実施例2のカートリッジを装着したシロッコファンを備えた薬剤薬剤揮散装置の一例を示す図である。
【図8】 実施例13のカートリッジを備えた薬剤揮散装置の一例を示す斜視図である。
【図9】 図8の薬剤揮散装置の側部断面図である。
【図10】 実施例14のカートリッジを示す斜視図である。
【図11】 実施例14のカートリッジを備えた薬剤揮散装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:薬剤含浸体、2:カートリッジ、3:薬剤含浸体収納部、4:開口スリット5:薬剤揮散装置本体、6:回転軸部、7:保護カバー、8:乾電池、9:モーター10:ホルダー、11:ネット、12:シロッコファン、13:翼部、14:腕部、15:モーター装着部、16:蓋部
Claims (10)
- 粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体を、側面に通気部を有するカートリッジに収納し、該カートリッジの回転により前記薬剤含浸体に遠心力が作用する状況下で前記薬剤含浸体に含浸させた薬剤を揮散させる薬剤揮散方法であって、前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の平均外径を3mm〜10mmとし、前記薬剤含浸体が、前記カートリッジ内に空隙率20%〜70%で充填されており、前記遠心力の大きさが、9.8×10 -1 cm/s 2 〜9.8×10 4 cm/s 2 であり、前記薬剤として、前記薬剤含浸体から薬剤を1時間当たり0.01〜0.5mgの揮散量で且つ180時間以上にわたり揮散可能である、以下の群:2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物A)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物B)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物C)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物D)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物E)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物F)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−クリサンテマート(化合物G)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物H)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物I)、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(化合物J)から選択された少なくとも一種の化合物からなる薬剤を使用することを特徴とする薬剤揮散方法。
- 前記カートリッジの回転を、モーターで行うことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散方法。
- 前記モーターの回転数が、100〜2000rpmであることを特徴とする請求項2記載の薬剤揮散方法。
- 前記カートリッジを、シロッコファンの空気流出側及び/又は空気流入側に装着することを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散方法。
- 前記カートリッジの形状が環状であり、且つ前記カートリッジを前記シロッコファンの空気流出側に装着することを特徴とする請求項4記載の薬剤揮散方法。
- 前記カートリッジの形状が円板状であり、且つ前記カートリッジを前記シロッコファンの空気流入側に装着することを特徴とする請求項4記載の薬剤揮散方法。
- 前記カートリッジの側面に設けられた通気部が、多数並設された開口スリットからなり、開口スリット幅が1mm以上で且つ前記薬剤含浸体の平均外径の0.7倍以下であることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散方法。
- 前記薬剤含浸体に薬剤を全体で100mg以上含浸させることを特徴とする、請求項1記載の揮散方法。
- 前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体の平均外径が3mm〜10mmであり、且つ前記薬剤含浸体が、前記カートリッジ内に空隙率30%〜60%で充填されていることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散方法。
- 前記粒状若しくは略粒状の薬剤含浸体が、紙、パルプ、セルロース系担体及び合成樹脂担体から選択された少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散方法。
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