JP3780393B2 - グリル - Google Patents

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兵衛 竹内
大典 加藤
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パロマ工業株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱庫内で魚等の被調理物を加熱するグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガステーブルこんろにおいては、魚等の被調理物を加熱調理できるグリルを備えたタイプのものがある。こうしたグリルは、図3に示すように、被調理物12を載せる焼網90と、焼網90を載せたまま手前にスライドさせて引き出す受け皿100と、燃料ガスを燃焼させて被調理物12を加熱するバーナ130と、これらを収める加熱庫70から構成される。
また、燃料ガスに着火する点火用電極130aの放電部130bは、左右のバーナ130の加熱庫70後方側位置に設けられ、バーナ130を固定する固定板兼用の放電板130cに、噴出する燃料ガスを斜めに横切りながら放電するように設けられる。
そして、点火操作が行われると、バーナ130から噴出される燃料ガスに着火して燃焼が開始され、被調理物12の加熱調理中には、油脂分、即ち焼き脂4が受け皿100へ落下して溜まっていく。
こうしたグリルは、焼き脂4がバーナ130の輻射熱により過熱されると発火し、その燃焼炎により被調理物12が焦げてしまうばかりでなく、グリルの排気口140より炎があふれてしまことがある。そのため、受け皿100には予め水を入れて焼き脂4による発火を防止している。
【0003】
しかし、調理に先立って毎回、受け皿100に水を入れ、調理終了時に排水することはたいへん手間がかかる。しかも、受け皿100に水を入れるのを忘れたり、繰り返し長時間使用して水が蒸発してしまった場合には、受け皿100に溜まった焼き脂4がバーナ130の輻射熱で過熱され発火してしまうことがある。そこで、本出願人は受け皿100に水がなくても焼き脂4の焦げ付きや発火が防止できる構成のものを先に出願している。
即ち、バーナ130の輻射面を上方に向けるとともに排気口140を焼網90より下方に設け、下方の受け皿100に溜まった焼き脂4への輻射加熱を低減しつつ、加熱庫70内で高温気体を上方から下方に対流させて被調理物12を加熱するようにしたものである。この構成のものは加熱調理性能を損なうことなく焼き脂4の温度を発火点以下に下げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、輻射熱ではなく対流熱を利用したこのような加熱調理器では、被調理物12の周囲に燃焼排ガスをこもらせているために、消火後に再点火を行う場合には、全1次空気式バーナ130であってもバーナ130の放電部130b周辺が燃焼排ガスで汚染され易くなり、点火性能が低下する問題があった。
そこで、本発明のグリルは、上記課題を解決し、点火・消火を繰り返す場合であっても、確実に着火できるグリルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のグリルは、
加熱庫の上段左右側面で奥行方向に延び、燃料ガスを燃焼する全1次空気式バーナと、
上記バーナの燃焼面に向けて放電部が設けられ、上記バーナから噴出する燃料ガスに着火する点火用電極と、
上記加熱庫内で上記バーナより下段に設けられ被調理物を載置する焼網と、
上記焼網の下方に設けられ上記被調理物からの焼き脂を受ける受け皿と、
上記加熱庫の背部に仕切壁を介して並設され、被調理物の載置面より下方の上記仕切壁に開口して加熱庫と連通する連通口を設け、連通口から流入した排気をドラフト力により上方に排出する排気室と、
上記連通口より下方で、かつ、上記加熱庫の前方下段に設けられドラフト力により、上記加熱庫内に新鮮な空気を取入れる空気流入口とを備えたグリルにおいて、
上記放電部は、上記バーナの中心より上記加熱庫の前方側に設けられたことを要旨とする。
【0006】
上記構成を有する本発明の請求項1記載のグリルは、バーナより下段に設けられた焼網の下方に排気室と連通する連通口が形成されているので、焼網に被調理物を載置して加熱庫上段のバーナに着火すると、高温の燃焼排ガスは一旦加熱庫に充満してからこの連通口から排気室へあふれる。
そして、被調理物は、加熱庫内に充満するこの燃焼排ガスによる対流加熱によって良好に加熱調理される。従って、被調理物の下方にたまった焼き脂が輻射加熱されることがなくなり、受け皿に水を張らなくても過熱による発火が防止される。
また、排気室へあふれた燃焼排ガスはドラフト効果により上昇して器具外へ排出され、同時に、加熱庫の前方に設けられる空気流入口から加熱庫内に新鮮な空気が流入される。
また、消火直後にもバーナの燃焼面には、このドラフト効果がしばらく続き、前方から後方へ向けて新鮮な空気が流れる。そして、燃料ガスに着火する点火用電極の放電部は、その上流位置、即ち、バーナの中心より前方側に設けられているため、放電部近傍は後方側に比べて燃焼排ガスによる汚染の程度が少なくなる。
従って、消火直後に再点火を行う場合であっても、確実に燃料ガスに着火させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明のグリルについて好適な実施例を説明する。
図1および図2は、一実施例としてのグリルの概略構成図である。
グリル1は、ガステーブルこんろに設けられ加熱庫7を備えて魚等を加熱調理するものである。加熱庫7内には、上段に燃料ガスを燃焼させて被調理物12を加熱する表面燃焼式のバーナ13と、中段に被調理物12を載せる焼網9と、下段に焼網9を載せたまま手前にスライドさせて引き出すことができる受け皿10とが設けられている。
【0008】
加熱庫7の背部には、仕切壁を介して並設され、上方に開口した開口部31を備えた排気室17が設けられ、この仕切壁に開口して加熱庫7と連通する連通口16が設けられる。また、連通口16は焼網9における被調理物12の載置面より低い位置に開口している。
【0009】
また、加熱庫7の正面中央には、受け皿10と一体的に固定され、受け皿10を手前に引き出す取手6と、受け皿10を引き出す時に連動して開閉する開閉扉8とが設けられ、その開閉扉8にはガラス製の覗き窓8aが設けられる。
取手6を手前に引き出すと、取手6に固定された受け皿10が加熱庫7底面をスライドし、受け皿10に載置された焼網9が同時に引き出される。
また、加熱庫7の手前の底面には外部空気が進入できる隙間11が設けられている。
【0010】
バーナ13は、加熱庫7の上部左右側面に設けられ、このバーナ13からの輻射熱と燃焼排ガスにより被調理物12が加熱される。バーナ13は、多孔質セラミックスの平面プレートに多数の小炎口を貫通させた燃焼面を有する全1次空気式のバーナ13で、燃焼面は、垂直面に対して角度を付け、上方向に傾斜させて設置される。
また、燃料ガスに着火する点火用電極13aの放電部13bは、左右のバーナ13の手前側(加熱庫の前方側)の位置にそれぞれ設けられ、バーナ13を固定する固定板兼用の放電板13cに、噴出する燃料ガスを横切って放電するように設けられる。放電は、点火操作時に、図示しない操作レバーを押動している間中、図示しないイグナイタの作動により連続放電するように設けられる。
【0011】
点火操作によって、バーナ13から噴出される燃料ガスに点火され、燃焼を開始すると、高温の燃焼排ガスは、加熱庫7上部にたまり、連通口16へあふれてから、ドラフト効果により排気室17内を上昇する。同時に、このドラフト効果により加熱庫7の手前の隙間11から外部の新鮮な空気が吸引され、後方の連通口16から排出される。
【0012】
バーナ13は上方向に傾斜されているため、被調理物12、受け皿10に溜まった焼き脂4への輻射加熱は弱くなる。しかも、新鮮な外気が隙間11から供給され、加熱庫7内に流入し、受け皿10を冷却するため、受け皿10に溜まった焼き脂4の温度は発火点以下に保持される。
従って、受け皿10に水を入れなくても受け皿10中の焼き脂4が過熱によって発火するようなことはない。
また、焼網9の載置面に置かれた被調理物12は、バーナ13の輻射に頼ることなく、一旦、加熱庫7上部に充満する高温の燃焼排ガスの対流によってすみずみまで加熱され、良好に調理される。
そして、排気室17に発生するドラフト効果により加熱庫7の手前の隙間11から流入する新鮮な空気は、バーナ13の燃焼面上をバーナ13の前方下部から後方下部へ向けて流れる。
【0013】
消火直後のバーナ燃焼面には、このドラフト効果がしばらく続き、前方から後方へ向けて新鮮な空気が流れる。そして、燃料ガスに着火する点火用電極の放電部は、その上流位置、即ち、バーナの中心より前方側に設けられているため、放電部近傍は後方側に比べて燃焼排ガスによる汚染の程度が少なくなる。
従って、消火直後に再点火を行う場合であっても、確実に燃料ガスに着火させることができる。
一方、バーナは、後方に充満する燃焼排ガスによる影響が部分的にあっても、燃焼に必要な空気全てを1次空気として供給する全1次空気式バーナであり、かつ、隣接する小炎口(図略)から容易に火移りできるので、良好な燃焼を開始できる。
【0014】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0015】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のグリルは、対流による加熱調理を行うことで、輻射による焼き脂の過熱を防止したので、わざわざ受け皿に水を張る必要はなくなり、その手間が省けて使い勝手が向上する。 また、点火用電極の放電部は、バーナの中心より前方側に設けられ、燃焼排ガスによる影響を少なくするため、点火・消火を繰り返す場合であっても、確実に燃料ガスに着火できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るグリルの概略図である(側面図)。
【図2】本発明の実施例に係るグリルの概略図である(正面図)。
【図3】従来例に係るグリルの概略図である(側面図)。
【符号の説明】
1 グリル
4 焼き脂
7 加熱庫
9 焼網
10 受け皿
12 被調理物
13 バーナ
13a 点火用電極
13b 放電部
13c 放電板
16 連通口
17 排気室

Claims (1)

  1. 加熱庫の上段左右側面で奥行方向に延び、燃料ガスを燃焼する全1次空気式バーナと、
    上記バーナの燃焼面に向けて放電部が設けられ、上記バーナから噴出する燃料ガスに着火する点火用電極と、
    上記加熱庫内で上記バーナより下段に設けられ被調理物を載置する焼網と、
    上記焼網の下方に設けられ上記被調理物からの焼き脂を受ける受け皿と、
    上記加熱庫の背部に仕切壁を介して並設され、被調理物の載置面より下方の上記仕切壁に開口して加熱庫と連通する連通口を設け、連通口から流入した排気をドラフト力により上方に排出する排気室と、
    上記連通口より下方で、かつ、上記加熱庫の前方下段に設けられドラフト力により、上記加熱庫内に新鮮な空気を取入れる空気流入口とを備えたグリルにおいて、
    上記放電部は、上記バーナの中心より上記加熱庫の前方側に設けられたことを特徴とするグリル。
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