JP3661719B2 - ガスグリル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱庫内で魚等の調理品を加熱するガスグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガステーブルこんろにおいては、中央部に魚等の調理品を加熱調理できるガスグリルを備えたタイプのものがある。こうしたガスグリルは、図4,図5に示すように、調理品12を載せる焼網19と、焼網19を載せたまま手前にスライドさせて引き出す受皿20と、ガスを燃焼させて調理品12を加熱するバーナ13と、これらを収める加熱庫27等から構成される。そして、調理の際、前もって受皿20に一定量の水を入れてから加熱を開始し、焼網19上で焼かれた魚等の調理品12から出る油脂分即ち焼き油4を水面2に落とすことによって、焼き油4の発火を防止するとともに焼き油4を水とともに排出しやすくする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、調理に先立ち、受皿20の水を確認し、水を交換あるいは補給することはたいへん手間がかかる。しかも、受皿20の水が蒸発してしまうと、この焼き油4が加熱され発火して燃焼することがある。この状態になると、焼き油4の燃焼煙により調理品12が焦げてしまって、うまく調理できないばかりでなく、ガスグリルの排気口14より炎があふれてしまう。
本発明のガスグリルは、上記課題を解決し、受皿に水を張らずに調理することで、調理開始前に水を入れる手間を無くして使い勝手を良くし安全なガスグリルの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のガスグリルは、
加熱庫内の調理品を加熱するバーナと、
調理品を載置する焼網と、
焼網の下部に設けられ調理品からの焼き油を受ける受皿とを備えたガスグリルにおいて、
上記焼網と上記受皿との間で調理品から落下した焼き油を受皿へ誘導する油受板を備え、該油受板により上記加熱庫を上下に仕切り、上段に調理品を加熱調理する高温室を、下段に上記受皿を収納する低温室を形成したことを要旨とする。
【0005】
本発明の請求項2記載のガスグリルは、請求項1記載のガスグリルにおいて、
上記加熱庫は、背部に上方へ開口した排気室を設け、上記高温室背面に該排気室へ開口した第1排気口と上記低温室背面に該排気室へ開口した第2排気口とを独立して形成したことを要旨とする。
【0006】
本発明の請求項3記載のガスグリルは、請求項1記載のガスグリルにおいて、
上記加熱庫は、背部に上方へ開口した排気室を設け、背面に上記油受板とほぼ同じ高さに該排気室へ開口した排気口を形成し、該排気口は上記低温室及び上記高温室にわたって開口したことを要旨とする。
【0007】
上記構成を有する本発明の請求項1記載のガスグリルは、加熱庫内において、焼網に調理品を載置しバーナにより加熱して調理を行う際、調理品より出る油脂分即ち焼き油をまずいったん油受板で受け、この油受板によって受皿へ誘導する。
加熱庫は、この油受板によって、焼き網及びバーナを設けた高温室と受皿を設けた低温室とに仕切られているので、受皿まで移動した焼き油は、バーナからの輻射熱がさえぎられるとともに、高温の燃焼排気も触れることがない。そのため、焼き油は、過熱されないので、発火することもない。
この結果、受皿に水を張らずに調理できるので、調理に先立ち、受皿の水を確認し水を交換あるいは補給する手間が省け、使い勝手がよい。
【0008】
また、請求項2記載のガスグリルは、加熱庫が油受板により高温室と低温室とに仕切られるとともに、背部に上方へ開口した排気室を設け、高温室背面に排気室へ開口した第1排気口と低温室背面に排気室へ開口した第2排気口とを独立して形成しているので、排気室へ流れ込んだ高温の燃焼排気のドラフト効果によって、低温室内の空気が第2排気口より排気室へ吸引される。
従って、第2排気口へ向かう空気が油受板の裏面に触れ常に冷却する。そのため、焼き油が高温の状態で油受板上に落下しても、油受板がよく冷却されているので、油受板を流れる途中で温度低下する。
さらに、受皿まで移動した焼き油は、バーナからの輻射熱がさえぎられるとともに、高温の燃焼排気も触れることがないので、過熱されず発火することはない。
【0009】
また、請求項3記載のガスグリルは、加熱庫が油受板により高温室と低温室とに仕切られるとともに、背面に油受板とはぼ同じ高さに排気口を設け、排気口が低温室及び高温室にわたって開口しているので、この排気口より空気が排気室へ吸引される際、排気口へ向かう空気が油受板の裏面ばかりでなく表面にも触れ、効率良く油受板を冷却する。そのため、焼き油が高温の状態で油受板上に落下しても、油受板がよく冷却されているので、油受板を流れる途中で充分に温度低下し、受皿まで移動した焼き油は、過熱されず発火することはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明のガスグリルの好適な実施例について図を用いて説明する。
図1,図2は、一実施例としてのガスグリルの概略構成図である。ガスグリル1は、ガステーブルこんろの中央に設けられ加熱庫7を備えて魚等を加熱調理するものである。加熱庫7内には、中段に調理品12を載せる焼網9と、下段に焼網9を載せたまま手前にスライドさせて引き出す受皿10と、上段にガスを燃焼させて調理品12を加熱する表面燃焼式のバーナ13とが設けられる。
焼網9の下部には、加熱庫7を上下の部屋に仕切るとともに調理品12から落下する焼き油4を受けるための油受板3が設けられる。油受板3は、加熱庫7の正面(開閉扉側)からみて中央部前後に延びた長孔3aを形成し、その長孔3aに向かって左右から下り勾配の傾斜面3b,3cを設けた1枚の板で、その端部2b,2cは加熱庫側壁の切り起こし部5b,5cに載置される。加熱庫7は、この油受板3により上部の高温室7aと下部の低温室7bとに仕切られる。
【0011】
焼網9は、複数のステンレス棒を溶接して格子(調理品の載置部)を形成し、格子の前後に油受板3を貫通して受皿10まで延びた各2本(計4本)の脚9a,9bを、格子の左右に油受板3まで延びた数本の脚9p,9qを備え、脚9a,9bは受皿10に載置され、脚9p,9qは、油受板3に固定される。
加熱庫7の正面中央には、受皿10と一体的に固定され受皿10を手前に引き出す取手6と、受皿10を引き出す時に連動して開閉する開閉扉8が設けられ、その開閉扉8にはガラス製の覗き窓8aが設けられる。
取手6を手前に引き出すと、取手6に固定された受皿10と、受皿10に載置された焼網9と、焼網9に固定された油受板3とが、同時に引き出される。この時、受皿10は、加熱庫7底壁をスライドし、油受板3の端部2b,2cは加熱庫7側壁の切り起こし部5b,5cをスライドする。
加熱庫7の背部には、上方に開口し加熱庫7の排気を行なう排気室17が設けられ、高温室7aの後部壁に排気室17へ開口した第1排気口16と低温室7bの後部壁に排気室17へ開口した第2排気口18とが独立して形成される。加熱庫7の取手6の裏側下部は外気を取り入れる隙間11が設けられる。
バーナ13は、上段の高温室7aの左右側面に設けられ、このバーナ13からの輻射熱により調理品12が加熱される。
【0012】
焼網9に調理品12を載せバーナ13に点火して加熱調理を行なうと、調理品12は加熱され、水蒸気を発生するとともに調理品12の油脂分即ち焼き油4を焼網9の間より落下させる。焼き油4は、油受板3に落下し、その傾斜面3bを流れ長孔3aに達する。長孔3aに達した焼き油4は、受皿10へ落下する。こうして、受皿10まで移動した焼き油4は、バーナ13から見て、油受板3の背部に回り込むため、バーナ13からの輻射熱を、油受板3によってさえぎられる。
高温の燃焼排ガスと水蒸気は第1排気口16より排気室17へあふれ、排気室17でドラフト効果により上昇する。このドラフト力により、第2排気口18より低温室7bの空気が吸引される。このため、低温室7bへ、隙間11より冷たい外気が吸引される。つまり、外気が隙間11より低温室7bへ流れ、第2排気口18より排気室17へ流れる。排気室17へ流れ込んだこれらの空気や燃焼排ガスは上部開口から外部へ排出される。
【0013】
この結果、低温室7bには隙間11より冷たい外気が供給され、油受板3を常に冷却しているので、焼き油4は、油受板3の斜面3bを流れる間にこの冷却された油受板3により、熱を奪われ温度低下する。さらに、受皿10に達した焼き油4においても、この通過する空気によって冷却されるので、発火することもなく安全である。しかも、冷却用空気の通過により常に冷却するので、バーナ13の加熱が長時間であっても、油受板3が徐々に温度上昇してしまうということがない。焼き油4も発火することがないので、調理に先立ち、受皿10の水を確認し水を交換あるいは補給する手間が省け、長時間の使用であっても安全で使い勝手がよい。
ガスグリルは、従来、受皿に水を張って使用していたが、本実施例では、この油受板3を設け冷却用空気で冷却することにより、受皿10に水を張らずに調理できる。そのため、調理に先立ち、受皿10の水を確認し水を交換あるいは補給する手間が省けるので、使い勝手がよい。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例では、第2排気口18を低温室7bの後部壁に設けたが、その設ける位置を少し高くし、図3に示すように、油受板3とほぼ同じ高さに設けてもよい。この場合、第2排気口は、高温室7aと低温室7bとにわたって開口し、低温室7bに開口した部分は、先の実施例と同様に冷たい外気が通過し油受板3の裏面を冷却するが、高温室7aに開口した部分も、冷たい外気が通過し油受板3の表面をも冷却する。つまり、冷却用の空気が、油受板3の裏面ばかりでなく表面にも触れ効率良く油受板3を冷却する。そのため、焼き油4が高温の状態で油受板3上に落下しても、油受板3がよく冷却されているので、油受板3を流れる途中で充分に温度低下し、受皿4まで移動した焼き油4は、過熱されず発火することはない。
【0014】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のガスグリルは、焼網に調理品を載置しバーナで加熱して調理を行う際、受皿に水を張ってなくても、調理品より出る油脂分即ち焼き油が過熱発火することがない。従って、受皿に水を張らずに調理でき大変使い易い。
【0015】
また、請求項2記載のガスグリルは、ドラフト力により第2排気口へ向かう空気によって油受板が常に冷却されているので、焼き油が高温の状態で油受板上に落下しても、油受板を流れる途中で温度低下し過熱発火することがない。従って、受皿に水を張らずに調理でき、長時間使用しても焼き油が過熱されず安全で使い易い。
【0016】
また、請求項3記載のガスグリルは、第2排気口へ向かう空気によって油受板の裏面ばかりでなく表面も常に冷却されているので、焼き油が、高温の状態で油受板上に落下しても、油受板を流れる途中で充分に温度低下し長時間使用でも過熱発火することがない。
従って、受皿に水を張らずに調理でき、長時間安全に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例としてのガスグリルの概略構成図である。
【図2】一実施例としてのガスグリルの概略構成図である。
【図3】別の実施例としてのガスグリルの概略構成図である。
【図4】従来のガスグリルの概略構成図である。
【図5】従来のガスグリルの概略構成図である。
【符号の説明】
1 ガスグリル
2b,2c 端部
3 油受板
4 焼き油
5b,5c 切り起こし部
6 取手
7,27 加熱庫
7a 高温室
7b 低温室
8 開閉扉
9,19 焼網
10,20 受皿
11 隙間
12 調理品
13 バーナ
14 排気口
16 第1排気口
17 排気室
18 第2排気口
21 水面

Claims (3)

  1. 加熱庫内の調理品を加熱するバーナと、
    調理品を載置する焼網と、
    焼網の下部に設けられ調理品からの焼き油を受ける受皿とを備えたガスグリルにおいて、
    上記焼網と上記受皿との間で調理品から落下した焼き油を受皿へ誘導する油受板を備え、該油受板により上記加熱庫を上下に仕切り、上段に調理品を加熱調理する高温室を、下段に上記受皿を収納する低温室を形成したことを特徴とするガスグリル。
  2. 上記加熱庫は、背部に上方へ開口した排気室を設け、上記高温室背面に該排気室へ開口した第1排気口と上記低温室背面に該排気室へ開口した第2排気口とを独立して形成したことを特徴とする請求項1記載のガスグリル。
  3. 上記加熱庫は、背部に上方へ開口した排気室を設け、背面に上記油受板とほぼ同じ高さに該排気室へ開口した排気口を形成し、該排気口は上記低温室及び上記高温室にわたって開口したことを特徴とする請求項1記載のガスグリル。
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