JP3778620B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷の製造に適した新規な感光性組成物に関するものであり、更に詳しくは、支持体との接着性に優れ、耐刷力があり、耐薬品性の向上した画像部を与えることができ、現像浴中にスラッジを発生することなく現像できる感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ネガ型感光性印刷版は、アルミニウム板などの支持体上に感光性組成物を塗布し、これに陰画などを通して紫外線などの活性光線を照射することにより、光の照射部分を重合あるいは架橋させて現像液に不溶化させ、光の非照射部分を現像液に溶出させ、それぞれの部分を水に反発して油性インキを受容する画像部と、水を受容して油性インキを反発する非画像部にすることにより得られる。
【0003】
上記の感光性組成物(感光層)としては、p−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物などの感光性ジアゾ樹脂塩に高分子化合物を組み合わせたものが広く用いられている。高分子化合物としては、その分子中に水酸基を有するものが用いられている。このような感光性組成物の例としては、特公昭52−7364号に記載されたジアゾ樹脂塩とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの共重合体からなるもの、特公昭57−43890号に記載されたジアゾ樹脂塩と芳香族水酸基を有する共重合体からなるもの、特公昭57−51656号に記載されたジアゾ樹脂塩とヒドロキシ−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの共重合体からなるものなどが挙げられる。
しかしながら、上記の如き高分子化合物(共重合体)をバインダー樹脂として含む感光性組成物を平版印刷版として使用した場合、支持体との接着性が悪く、印刷時に使用する処理薬品やアルカリ湿し水などに対しても弱く、耐刷力が劣る。
【0004】
耐刷力を改善する試みとして、特公昭52−7364号には、バインダー樹脂として低分子ポリウレタン樹脂が、さらに特開昭62−123452号、特開昭62−123453号、特開平2−284143号には、水性アルカリ現像可能なポリウレタン樹脂が記載されている。しかし、いずれも支持体との接着性が悪く、現像時に画像が傷つきやすいなどの欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、支持体との接着性に優れ、耐刷力があり、耐薬品性の向上した画像部を与えることができ、現像浴中にスラッジを発生することなく現像できる感光性組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する共重合体と感光性ジアゾ樹脂塩とから成る組成物が、上記目的に適合しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)下記一般式(I)で表わされる単量体単位と、その他の単量体単位からなる共重合体と、(B)感光性ジアゾ樹脂塩とを含有する感光性組成物を提供するものである。
【化2】
(式中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、非置換アリール基、3−メトキシフェニル基、またはクロロフェニル基を示す。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物において、(A)成分として用いられる共重合体は、前記一般式(I)で表される単量体単位を含むアクリレート系共重合体である。
前記一般式(I)で表される単位を構成する単量体は、一般式(II)
【化3】
(式中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、非置換アリール基、3−メトキシフェニル基、またはクロロフェニル基を示す。)
で表される化合物である。
一般式(II)中のR2として、アルキル基の場合、エチル、n−ブチル、n−ヘキシルなどの炭素数2〜12の基が挙げられ、非置換アリール基の場合、フェニルが挙げられ、さらに3−メトキシフェニル、クロロフェニルが挙げられる。
【0008】
一般式(II)で表される化合物としては、例えばエチルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−ドデシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、ラウリルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、フェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、m−クロロフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、3−メトキシフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
(A)成分に用いられるその他の単量体単位を構成する単量体としては、下記(1)〜(9)に示す単量体が挙げられる。
(1)芳香族水酸基を有する単量体。例えば、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノール、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、o−,m−,p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−,m−,p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
(2)脂肪族水酸基を有する単量体。例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
(3)α,β−不飽和カルボン酸。例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
(4)(置換)アルキルアクリレート。例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。
【0010】
(5)(置換)アルキルメタクリレート。例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
(6)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類。例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどが挙げられる。
(7)ウレタン(メタ)アクリレート。例えばポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(8)スチレン類。例えばスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。
(9)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明の組成物に用いられる共重合体(A)は、前記一般式(I)で表わされる単量体単位を5〜50重量%の範囲で包含するものが好ましい。この含有量が5重量%未満では、本発明の目的である耐刷力の向上が認められず、50重量%を超えるとゲル化しやすくなり実用的でない。特に10〜40重量%の範囲が実用的である。
【0012】
前記共重合体の製造方法については、特に制限はなく、通常のアクリル系共重合体の製造方法と同様にして製造することができる。例えば各単量体成分を適当な溶媒に溶解し、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じ加熱して重合を行うことにより所望の共重合体を得ることができる。
このようにして得られた共重合体は、重量平均分子量が1万〜20万、好ましくは2万〜15万の範囲にあるものが用いられる。この重量平均分子量が1万未満では画像部の膨潤や機械的強度の不足が生じやすく、20万を超えると現像不良による汚れが発生しやすくなるため好ましくない。
【0013】
前記共重合体の重合のために用いられる溶媒としては、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
また、前記共重合体の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。添加量としては、単量体の全量に対して0.1〜1.0重量%である。
重合の際に加熱する場合、加熱温度は、一般に70〜120℃程度である。
【0014】
本発明の感光性組成物における(A)成分の共重合体の含有量は、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。40重量%未満では耐刷力が悪くなり、95重量%を超えると光硬化性が悪くなる。
【0015】
本発明の組成物において、(B)成分として用いられる感光性ジアゾ樹脂塩は、4−ジアゾジフェニルアミン骨格、4−ジアゾジフェニルエーテル骨格または4−ジアゾジフェニルスルフィルド骨格を有するジアゾ単量体とアルデヒドまたはカルボキシル基を有するアルデヒド類との縮合物、あるいは前記アルデヒド類と縮合可能な2価の芳香族化合物との共縮合体などとして知られているジアゾ樹脂を、有機塩または無機塩の形にしたものを用いる。
【0016】
上記ジアゾ単量体の具体例としては、4−ジアゾジフェニルアミン、4′−ヒドロキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−エトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4´−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジアゾジフェニルアミン、3−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3′−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾジフェニルエーテル、4′−メトキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、4′−カルボキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、4−ジアゾジフェニルスルフィド、4′−メチル−4−ジアゾジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0017】
上記アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキシル酸などが挙げられる。また、上記アルデヒド類の代わりに、4,4′−ジメトキシメチルジフェニルエーテルを用いて縮合することもできる。
【0018】
上記2価の芳香族化合物の具体例としては、フェノール、o,m,p−クレゾール、キシレノール、o,m,p−メトキシフェノール、p−t−ブチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、p−ヒドロキシシンナミリデン酢酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0019】
上記ジアゾ樹脂と反応して有機塩を形成する有機化合物の例としては、特公昭40−2203号、特公昭41−6813号、特公昭47−1167号などに記載された化合物、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,5−キシレンスルホン酸、直鎖あるいは側鎖ドデシルベンゼンスルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、上記ジアゾ樹脂と反応して無機塩を形成する無機化合物の例としては、特公昭40−2203号、特開昭54−98613号、米国特許4093465号などに記載された化合物、具体的にはホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、リンタングステン酸、チオシアン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0020】
本発明の感光性組成物における(B)成分のジアゾ樹脂塩の含有量は、通常1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。1重量%未満では、光硬化力が悪く画像になりにくい。また、60重量%を超えると、感度が遅くなったり、耐刷力が悪くなる。
本発明の感光性組成物には、上記のごとき(A)、(B)の各成分のほか、必要に応じてさらに他の高分子化合物、着色剤、保存安定剤、可塑剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0021】
必要に応じて添加することができる上記高分子化合物としては、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これら高分子化合物の感光性組成物中における含有量は、50重量%以下であり、50重量%を超えると、本発明の目的である耐刷力の向上や、耐薬品性が悪くなり、現像浴中にスラッジが発生しやすくなる。
【0022】
上記着色剤としては、染料、顔料などを使用することができる。上記染料の具体例としては、クリスタルバイオレット、マラカイドグリーン、ビクトリアブルー、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンBなど、およびこれらの誘導体である塩基性染料を挙げることができる。このような染料は、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学工業株式会社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製)などとして市販されている。これら染料の感光性組成物中における含有量は、0.1〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜4.0重量%である。0.1重量%未満であると、感光層の着色が不十分で画像が見ずらくなり、5.0重量%を超えると、非画像部に染料の残渣が残りやすくなるので好ましくない。
【0023】
上記保存安定剤としては、リン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、ベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。これら保存安定剤の含有量は、ジアゾ樹脂塩に対して、2〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。2重量%未満であると、保存性の効果がなく、20重量%を超えると、光硬化力が悪くなるので好ましくない。
【0024】
本発明の感光性組成物は通常、溶剤に溶解した後、適当な支持体に塗布し、乾燥して使用される。その塗布量は乾燥重量で約0.1〜5g/m2 、好ましくは0.5〜3g/m2 である。
かかる溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトンなど、およびこれらの混合物が使用される。
【0025】
また、本発明の感光性組成物が塗布される支持体としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)ラミネート紙、アルミニウム、亜鉛、銅などのような金属板、これら金属の多層板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのようなプラスチックフィルムなどが挙げられ、これらのうち特にアルミニウムおよびアルミニウム被覆された複合支持体が好ましい。
【0026】
アルミニウム材の表面は、保水性を高め、感光層との密着性を向上させる目的で粗面化処理されていることが望ましい。
粗面化方法としては、一般に公知のブラシ研磨、ボール研磨、電解エッチング、化学エッチング、液体ホーニング、サンドブラストなどの方法およびこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは、ブラシ研磨、電解エッチング、化学エッチングを組み合わせた粗面化方法が好ましい。
電解エッチングの際に用いられる電解浴としては、酸、アルカリまたはそれらの塩を含む水溶液が用いられ、これらのうちで特に塩酸、硝酸またはそれらの塩を含む電解液が好ましい。
さらに粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて酸またはアルカリの水溶液にてデスマット処理される。
【0027】
こうして得られたアルミニウム板は、陽極酸化処理されることが望ましく、特に硫酸またはリン酸を含む浴で処理する方法が好ましい。また、さらに必要に応じて封孔処理、下引液の被覆あるいはアルカリ金属ケイ酸水溶液への浸漬などによる表面処理を行うことができる。
また、本発明においては、フィルムとの真空密着性をよくする目的で、感光層上にマット層を設けたり、感光層中に有機溶剤不溶性のマット剤あるいは有機溶剤不溶性の高分子化合物を含有させることもできる。
【0028】
支持体上に塗布された本発明の感光性組成物は線画像、網点画像などを有する透明原画を通して露光し、次いで水性現像液で現像することにより、原画に対してネガのレリーフ像を与える。
露光に使用される光源としては、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザーなどが挙げられる。
【0029】
上記水性現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、弱酸の金属塩(例えばケイ酸、メタケイ酸、オルトケイ酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、炭酸、酒石酸、ホウ酸、オクタン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などの金属塩)、アンモニウムおよびその誘導体(例えばアルキルアミン類(例えばモノメチル、ジメチル、トリメチル、モノエチル、ジエチル、トリエチルなどのアミン化合物)、アルカノールアミン類(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン)およびテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)などのアルカリ性化合物の水溶液が用いられる。
【0030】
上記アルカリ性化合物の水溶液には、必要に応じて界面活性剤および/または溶剤を添加することができる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤あるいは両性界面活性剤を使用することができる。上記陰イオン界面活性剤としては、炭素数が8〜22のアルコールの硫酸エステル類(例えばポリオキシエチレンアルキルサルフェートソーダ塩)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシルフェニルサルフェートソーダ塩、アルカリナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物)、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどを用いることができる。
【0031】
また、上記両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型またはアルキルイミダゾリン型活性剤が好ましい。
上記溶剤としては、アルコール類、エーテル類が好ましいが、水中(20℃)に10%以上溶解しない溶剤が好ましく、この種の溶剤として、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブなどが挙げられる。
更に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウムなどの水溶性亜硫酸塩を当該現像液に添加することもできる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の共重合体の合成例および実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例:
<1> 共重合体(a)の合成
攪拌機、コンデンサーを備えた1Lの四ツ口フラスコに反応溶媒としてメチルセロソルブ200gと下記の表1の組成の混合物を加えた。フラスコ内を100℃に加温してから、アゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて、窒素ガス置換したのち100℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水10Lに投入したのち、濾過、乾燥した。収量約85g、重量平均分子量約4.5万であった。
【表1】
【0033】
<2> 共重合体(b)の合成
下記の表2の組成の混合物を使用する以外は共重合体(a)と同様の条件で共重合させて、共重合体(b)を得た。収量約80g、重量平均分子量約5万であった。
【表2】
【0034】
<3> 共重合体(c)の合成
下記の表3の組成の混合物を使用する以外は共重合体(a)と同様の条件で共重合させて、共重合体(c)を得た。収量約90g、重量平均分子量約6万であった。
【表3】
【0035】
<4> 共重合体(d)の合成
下記の表4の組成の混合物を使用する以外は共重合体(a)と同様の条件で共重合させて、比較用共重合体(d)を得た。収量約85g、重量平均分子量約5万であった。
【表4】
【0036】
実施例1〜4および比較例1
厚さ0.24mmのアルミニウム板をよく脱脂したのち、ナイロンブラシとパーミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、水でよく洗浄した。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液で表面をエッチングしたのち、流水で水洗し、1N%塩酸浴中で200クーロン/dm2 で電解研磨し、水洗した。その後、水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行ったのち、硫酸水溶液に浸漬して、デスマットした。ひきつづいて10%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.0g/m2 の酸化皮膜を形成させた。水洗したのち、JIS3号ケイ酸ナトリウム5重量%水溶液で、70℃、30秒間浸漬処理し、水洗乾燥した。
次に、下記のような組成の感光液を調製し、上記アルミニウム板上に塗布し、80℃で10分乾燥して、それぞれの感光性平版印刷版(実施例1〜4および比較例1)を作成した。この時の塗布量は、それぞれ1.8g/m2 であった。
【0037】
感光液の調合
(1)共重合体樹脂:種類および使用量を、次の表5に示す。
【表5】
【0038】
(2)感光性ジアゾ樹脂塩:
4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物の2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸 3g
(3)保存剤:
シュウ酸 0.4g
(4)染料:
ビクトリアピュアブルーBOH 0.8g
(5)溶剤:
メチルセロソルブ 200g、およびN,N′−ジメチルホルムアミド 15g
【0039】
このようにして得られた感光性平版印刷板に、ネガフィルムを真空密着させて、2KW高圧水銀灯を用いて、距離1mで30秒間紫外線を照射したのち、下記組成の現像液を用いて25℃、30秒間浸漬し、平版印刷版試料を得た。
【表6】
【0040】
続いて、次の性能テストを行った。その結果を表7に示す。
耐刷力の評価
得られた平版印刷版をハイデルベルグGTO印刷機にセットし、湿し水としてアルカリ性湿し水(LRH−ALKY(東洋インキ製)200倍希釈液)を、印刷インキとして平版印刷用インキ(Fグロス墨(大日本インキ化学製))を使用し、上質紙に印刷し、印刷物の画像部のベタ部に着肉不良が現れるかまたは細線が消滅するまで印刷を続け、その時の印刷枚数で耐刷力を評価した。
【0041】
耐薬品性の評価
画像部のベタ部および細線部にウルトラプレートクリーナー(大日精化製)を垂らし、20分後に洗い落とした後、セロテープ(商標名)で画像部のベタ部および細線部の剥離テストを行い、剥離の程度を調べて、耐薬品性を評価した。
現像浴中のスラッジの有無の評価
感光性平版印刷版を15m2 /L現像処理した後、3日たってから現像液を濾紙濾過し、スラッジが発生したか否かで評価した。
【0042】
【表7】
表7中の「耐薬品性」での○、×は、下記を意味する。
○:画像部のベタ部および細線部に剥がれた部分もなく良好である。
×:画像部のベタ部あるいは細線部に剥離された部分が出る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の感光性組成物は、支持体との接着性に優れ、耐刷力のある感光性印刷版が得られ、また、優れた耐薬品性を有し、現像浴中にスラッジを発生することなく現像することができる。
Claims (1)
- (A)下記一般式(II)
で表わされる単量体と、その他の単量体を重合して得られた共重合体と、
(B)感光性ジアゾ樹脂塩とを含有することを特徴とする感光性組成物であって、
上記(A)成分に用いられるその他の単量体が、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノール、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、o−,m−,p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−,m−,p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、α,β−不飽和カルボン酸、アルキルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、アルキルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート、スチレン、クロロメチルスチレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルから選ばれる単独または2種以上の組み合わせのみからなる感光性組成物。
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