JP3984705B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版の製造に適した新規な感光性組成物に関するものであり、更に詳しくは、支持体との接着性に優れ、耐刷力があり、耐薬品性および初期インキ着肉性に優れたネガ型感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ネガ型感光性印刷版は、アルミニウム板などの支持体上に感光性組成物を塗布し、これに陰画などを通して紫外線などの活性光線を照射することにより、光の照射部分を重合あるいは架橋させて現像液に不溶化させ、光の非照射部分を現像液に溶出させ、それぞれの部分を水に反発して油性インキを受容する画像部と、水を受容して油性インキを反発する非画像部にすることにより得られる。
【0003】
上記の感光性組成物(感光層)としては、p−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物などの感光性ジアゾ樹脂塩に高分子化合物を組み合わせたものが広く用いられている。高分子化合物としては、その分子中に水酸基を有するものが用いられている。このような感光性組成物の例としては、特公昭52−7364号に記載されたジアゾ樹脂塩とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの共重合体からなるもの、特公昭57−43890号に記載されたジアゾ樹脂塩と芳香族水酸基を有する共重合体からなるもの、特公昭57−51656号に記載されたジアゾ樹脂塩とヒドロキシ−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの共重合体からなるものなどが挙げられる。なお、本明細書では、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
しかしながら、上記の如き高分子化合物(共重合体)をバインダー樹脂として含む感光性組成物を平版印刷版として使用した場合、初期インキ着肉性や支持体との接着性が悪く、また、印刷時に使用する処理薬品やアルカリ湿し水などに対しても弱く、耐刷性が劣っていた。
【0004】
耐刷力を改善する試みとして、特公昭52−7364号には、バインダー樹脂として低分子ポリウレタン樹脂、さらに特開昭62−123452号、特開昭62−123453号、特開平2−284143号には、水性アルカリ現像可能なポリウレタン樹脂が記載されている。しかし、いずれも支持体との接着性が悪く、現像時に画像が傷つきやすいなどの欠点がある。
また、本発明者らは、先に特開平10−31305号にて、新規な共重合体を提案したが、初期インキ着肉性には更なる向上に対するニーズがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、初期インキ着内性や支持体との接着性に優れ、耐刷性があり、耐薬品性の向上した画像部を与えることができる感光性組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する共重合体と感光性ジアゾ樹脂塩とを含む組成物が、上記目的に適合しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)下記一般式(I)で表わされる単量体単位と、その他の単量体単位からなる共重合体と、(B)感光性ジアゾ樹脂塩とを含有する感光性組成物を提供するものである。
【化2】
(式中、Rは水素またはメチル基を示す。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物において、(A)成分として用いられる共重合体は、前記一般式(I)で表される単量体単位を含むアクリレート系共重合体である。
前記一般式(I)で表される単位を構成する単量体は、一般式(II)で表される化合物である。
【化3】
(式中、Rは水素またはメチル基を示す。)
【0008】
一般式(II)で表される化合物としては、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート(ダイセル・ユーシービー社より商品名IRR−164にて市販されている。)、4−tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
【0009】
(A)成分に用いられるその他の単量体単位を構成する単量体としては、下記(1)〜(9)に示す単量体が挙げられる。
(1)芳香族水酸基を有する単量体。例えば、N−(p−ヒドロキジフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノール、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
(2)脂肪族水酸基を有する単量体。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
(3)α,β−不飽和カルボン酸。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
(4)(置換)アルキルアクリレート。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルカルバミン酸エチルアクリレートなどが挙げられる。なお、本明細書では、「(置換)」は、「置換又は非置換」を意味する。
(5)(置換)アルキルメタクリレート。例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フェニルカルバミン酸エチルメタクリレートなどが挙げられる。
(6)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類。例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどが挙げられる。
(7)ウレタン(メタ)アクリレート。例えば、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(8)スチレン類。例えば、スチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。
(9)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらは、一種の化合物単独で用いてもよいし、(1)〜(9)の同じグループの化合物を二種以上を組み合わせて、又は異なるグループの化合物を二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0010】
本発明の組成物に用いられる共重合体(A)は、前記一般式(I)で表される単量体単位を、共重合体中に5〜30重量%の範囲で包含するものが好ましい。この含有量が5重量%未満では、本発明の目的である、初期インキ着肉性や耐刷力の向上が認められず、30重量%を超えると逆に画像強度が弱くなり実用的でない。特に8〜25重量%の範囲が実用的である。
【0011】
前記共重合体の製造方法については、特に制限はなく、通常のアクリル系共重合の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、各単量体成分を適当な溶媒に溶解し、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じ加熱して重合を行うことにより所望の共重合体を得ることができる。
このようにして得られた共重合体は、重量平均分子量が1万〜20万、好ましくは2万〜15万の範囲にあるものが用いられる。この重量平均分子量が1万未満では画像部の膨潤が起こりやすく、機械的強度が不足してくる。20万を超えると現像不良による汚れが発生しやすくなるため好ましくない。
【0012】
前記共重合体の重合のために用いられる溶媒としては、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
また、前記共重合体の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。添加量としては、単量体の全量に対して0.1〜1.0重量%である。
【0013】
本発明の感光性組成物を感光層にした場合、当該感光層における(A)成分の共重合体の含有量は、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%である。40重量%未満では耐刷力が悪くなり、95重量%を超えると光硬化性が悪くなる。
【0014】
本発明組成物において、(B)成分として用いられる感光性ジアゾ樹脂塩は、4−ジアゾジフェニルアミン骨格、4−ジアゾジフェニルエーテル骨格または4−ジアゾジフェニルスルフィド骨格を有するジアゾ単量体とアルデヒドまたはカルボキシル基を有するアルデヒド類との縮合物、あるいは前記アルデヒド類と縮合可能な芳香族化合物との共縮合体などで知られているジアゾ樹脂を、有機塩または無機塩の形にしたものを用いる。
【0015】
上記ジアゾ単量体の具体例としては、4−ジアゾジフェニルアミン、4’−ヒドロキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4’−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4’−エトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4’−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4’−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジアゾジフェニルアミン、3−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3’−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾジフェニルエーテル、4’−メトキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、4’−カルボキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、4−ジアゾジフェニルスルフィド、4’−メチル−4−ジアゾジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0016】
上記アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキシル酸などが挙げられる。また、上記アルデヒド類の代わりに、4,4’−ジメトキシメチルジフェニルエーテルを用いて縮合することもできる。
【0017】
上記アルデヒド類と縮合可能な芳香族化合物の具体例としては、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ケイ皮酸、p−ヒドロキシケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、p−ヒドロキシシンナミリデン酢酸などが挙げられる。
【0018】
上記ジアゾ樹脂と反応して有機塩を形成する有機化合物の例としては、特公昭40−2203号、特公昭41−6813号、特公昭47−1167号などに記載された化合物、具体的には、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,5−キシレンスルホン酸、直鎖あるいは分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、上記ジアゾ樹脂と反応して無機塩を形成する無機化合物の例としては、特公昭40−2203号、特開昭54−98613号、米国特許4093465号などに記載された化合物、具体的にはホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、リンタングステン酸、チオシアン酸、およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0019】
本発明の感光性組成物を感光層にした場合、当該感光層における(B)成分のジアゾ樹脂塩の含有量は、通常1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。1重量%未満では、光硬化力が悪く画像になりにくい。また、60重量%を超えると、感度が遅くなったり、耐刷力が悪くなる。
【0020】
本発明の感光性組成物には、上記のごとき(A)、(B)の各成分のほか、必要に応じてさらに他の高分子化合物、着色剤、保存安定剤、可塑剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0021】
必要に応じて添加することができる上記高分子化合物としては、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これら高分子化合物の感光層中における含有量は、50重量%以下であり、50重量%を超えると、現像性や保存性が悪くなるので好ましくない。
【0022】
上記着色剤としては、染料、顔料などを使用することができる。上記染料の具体例としては、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ビクトリアブルー、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンBなど、およびこれらの誘導体である塩基性染料を挙げることができる。このような染料は、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学工業社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業社製)などとして市販されている。これら着色剤の感光層における含有量は、0.1〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜4.0重量%である。0.1重量%未満であると、感光層の着色が不十分で画像が見ずらくなり、5.0重量%を超えると、非画像部に染料の残渣が残りやすくなるので好ましくない。
【0023】
上記保存安定剤としては、リン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、ベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。これら保存安定剤の含有量は、ジアゾ樹脂塩に対して、2〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。2重量%未満であると、保存性の効果がなく、20重量%を超えると、光硬化力を悪くするので好ましくない。
【0024】
本発明の感光性組成物は、通常、溶剤に溶解した後、適当な支持体に塗布し、乾燥して使用される。その時の感光層の塗布量は、乾燥重量で約0.1〜5g/m2 、好ましくは0.5〜3g/m2 である。
かかる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上の混合物として使用してもよい。
【0025】
また、本発明の感光性組成物が塗布される支持体としては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)ラミネート紙、アルミニウム、亜鉛、銅などのような金属板、これら金属の多層板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのようなプラスチックフィルムなどが挙げられ、これらのうち、特にアルミニウムおよびアルミニウム箔が被覆された複合支持体が好ましい。
【0026】
アルミニウム板の表面は、保水性を高め、感光層との密着性を向上させる目的で粗面化処理されていることが望ましい。
粗面化方法としては、一般に公知のブラシ研磨、ボール研磨、電解エッチング、化学エッチング、液体ホーニング、サンドブラストなどの方法およびこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは、ブラシ研磨、電解エッチング、化学エッチングを組み合わせた粗面化方法が好ましい。
電解エッチングの際に用いられる電解浴としては、酸、アルカリまたはそれらの塩を含む水溶液が用いられ、これらのうちで、特に塩酸、硝酸またはそれらの塩を含む電解液が好ましい。
さらに粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、酸またはアルカリの水溶液にてデスマット処理される。
【0027】
こうして得られたアルミニウム板は、陽極酸化処理されることが望ましく、特に硫酸またはリン酸を含む浴で処理する方法が好ましい。さらに必要に応じて、封孔処理、下引液の被覆あるいはアルカリ金属ケイ酸水溶液への浸漬などによる表面処理を行うことができる。
また、本発明においては、フィルムとの真空密着性をよくする目的で、感光層上にマット層を設けたり、感光層中に有機溶剤不溶性のマット剤あるいは有機溶剤不溶性の高分子化合物を含有させることもできる。
【0028】
本発明の感光性組成物を上記のようなアルミニウム支持体上に塗布して得られる感光性平版印刷版(以下、「PS版」と略す。)は、透明原画を通して、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、赤外レーザー、半導体レーザーなどを光源とする活性光線により露光された後、現像処理される。かかるPS版の現像液および補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属ケイ酸塩、オクタン酸ナトリウム、アルキルアミン類およびテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが使用できる。これらのアルカリ剤は、単独もしくは2種以上を組み合せて用いられる。
【0029】
上記現像液および補充液には、必要に応じて界面活性剤および/または溶剤を添加することができる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤あるいは両性界面活性剤を使用することができる。上記陰イオン界面活性剤としては、炭素数が8〜22のアルコールの硫酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンアルキルサルフェートソーダ塩)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシルフェニルサルフェートソーダ塩、アルカリナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物)、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどを用いることができる。
また、上記両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型またはアルキルイミダゾリン型活性剤が好ましい。
【0030】
上記溶剤としては、アルコール類、エーテル類が好ましいが、水中(20℃)に10%以上溶解しない溶剤が好ましく、この種の溶剤として、ベンジルアルコール、フェニルグリコールなどが挙げられる。更に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウムなどの水溶性亜硫酸塩の還元剤を添加することもできる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の共重合体の合成例および実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
合成例1:共重合体(a)合成
攪拌機、コンデンサーを備えた1リットルの四ツ口フラスコに反応溶媒としてメチルセロソルブ200gと下記の組成(1)の混合物を加えた。フラスコ内を100℃に加温してから、アゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて、窒素ガス置換したのち100℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水10リットルに投入したのち、濾過、乾燥した。収量約97g、重量平均分子量約5.2万であった。
組成(1)
4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート 15g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 50g
メタクリル酸 5g
メチルメタクリレート 10g
アクリロニトリル 20g
【0032】
合成例2:共重合体(b)の合成
下記の組成(2)の混合物を使用する以外は共重合体(a)の合成と同様の条件で共重合させて、共重合体(b)を得た。収量約95g、重量平均分子量約4.8万であった。
組成(2)
4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート 20g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 40g
メタクリル酸 5g
フェニルカルバミン酸エチルメタクリレート 10g
メチルメタクリレート 5g
アクリロニトリル 20g
【0033】
合成例3:共重合体(c)の合成
下記の組成(3)の混合物を使用する以外は共重合体(a)の合成と同様の条件で共重合させて、共重合体(c)を得た。収量約96g、重量平均分子量約6.1万であった。
【0034】
合成例4:共重合体(d)の合成
比較用の共重合体として、下記の組成(4)の混合物を使用し、共重合体(a)の合成と同様の条件で共重合させて、共重合体(d)を得た。収量約93g、重量平均分子量約5万であった。
組成(4)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 50g
メタクリル酸 5g
メチルメタクリレート 20g
アクリロニトリル 25g
【0035】
実施例1〜3および比較例1
厚さ0.24mmのアルミニウム板をよく脱脂したのち、ナイロンブラシとパーミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液で表面をエッチングしたのち、流水で水洗し、1N塩酸浴中で200クーロン/dm2 で電解エッチングし、水洗した。その後、水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行ったのち、硫酸水溶液に浸漬して、デスマットした。ひきつづいて10%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.0g/m2 の酸化皮膜を形成させた。水洗したのち、JIS3号ケイ酸ナトリウム5重量%水溶液で、70℃、15秒間浸漬処理し、水洗乾燥した。
次に、下記のような組成の感光液を調製し、上記アルミニウム板上に塗布し、80℃で10分乾燥して、それぞれの感光性平版印刷版、実施例1〜3および比較例1を作成した。この時の塗布量は、それぞれ1.8g/m2 であった。
また、下記感光液に使用した共重合体の種類は表1に示す。
【0036】
【0037】
このようにして得られた感光性平版印刷版に、ネガフィルムを真空密着させて、3KWメタルハライドランプを用いて、距離1mで50秒間紫外線を照射したのち、下記組成の現像液を用いて25℃、30秒間浸漬し、平版印刷版試料を得た。
【0038】
現像液
ケイ酸カリウム20%水溶液 50g
フェニルグリコール 40g
イソプロピルナフタレンスルホン酸カリウム 5g
亜硫酸カリウム 2g
水 903g
【0039】
続いて、次の性能テストを行った。その結果を表1に示す。
(初期インキ着肉性の評価)
得られた平版印刷版をハイデルベルグGTO印刷機にセットし、湿し水にはアルカリ性湿し水(LRH−ALKY(東洋インキ社製)200倍希釈液)を、印刷インキには平版印刷用インキ(Fグロス墨(大日本インキ化学社製))を使用し、上質紙に印刷し、刷り出しから画像部に均一にインキが着肉するまでの枚数を数える。
枚数の数が少ないほど初期インキ着肉性が良いことになり、損紙の減少に有利である。
(耐刷力の評価)
上記印刷条件において印刷し、印刷物の画像部のベタ部に着肉不良が現れるかまたは細線が消滅するまで印刷を続け、その時の印刷枚数で耐刷力を評価した。
(耐薬品性の評価)
画像部のベタ部および細線部にウルトラプレートクリーナー(大日精化社製)を垂らし、30分後に洗い落とした後、セロテープで画像部のベタ部および細線部の剥離テストを行い、剥離の程度を調べて、耐薬品性を評価した。
評価基準
○:画像部のベタ部および細線部に剥がれた部分もなく良好である。
×:画像部のベタ部あるいは細線部に剥離された部分が出る。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明の感光性組成物より得られた感光性平版印刷版は、初期インキ着肉性や耐刷力に優れ、また同時に耐薬品性にも優れているものになる。
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