JP3574987B2 - 感光性平版印刷版材料及び平版印刷版の作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性平版印刷版材料及びそれを用いる平版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、親水性表面を有する支持体の該親水性表面上に可視光感光性の光重合性層及び保護層を積層した感光性平版印刷版材料は知られている。これは、露光部を重合硬化せしめ、未重合の非露光部を現像液(一般にはアルカリ成分や、水溶性有機溶剤を含有する水溶液)を用いて溶解除去して印刷版を作成する。この様な光重合性感光層を有する感光性平版印刷版材料は非常に高感度とすることができ、レーザーによる書き込み用に多く用いられている。
【0003】
光重合性層は一般に(メタ)アクリル系単量体とアルカリ可溶性重合体及び光重合開始剤を含有する。アクリル系単量体及びその重合物は一般的に親油性であるため親水性支持体上に画像形成したものは平版印刷版として好適に用いられる。しかし一般には光重合性層と親水性支持体との接着性が必ずしも十分でなく、大部数の印刷をした場合、画像が欠落するなどの不具合を生じることがあった。
【0004】
親水性支持体と光重合性層間の接着性を高める試みとして、例えば特開平4−161957号には特定構造のシランカップリング剤を感光層中に含有させる技術が開示されているが、感光層中にシランカップリング剤を含有せしめた場合、平版印刷版作成後、経時で感光層と支持体との接着力が増加したり、感光層内でシランカップリング剤同士の結合が起こって非画像部の溶出性が徐々に低下し、印刷時に非画像部に汚れが発生する場合がある。
【0005】
特開昭59−192250号には支持体と感光層との間にシランカップリング剤を含有する非感光性中間層を設ける技術が開示されている。しかし光重合性の感光層にこの様な中間層を組み合わせると、露光部と非露光部の現像性の差が十分大きく得られず、耐刷性と非画像部の溶出性の両立が難しい場合がある。
【0006】
特開平7−159983号にはラジカル付加重合可能な官能基を有するシランカップリング剤を親水性表面に結合させた支持体上に光重合性感光層を設ける事が記載されているが、安定な耐刷性等を得るのが難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情によりなされたものであり、その目的は、レーザー記録に適し保存性及び形成した印刷版の耐刷性に優れる感光性平版印刷版材料及び平版印刷版の作成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
(1) 表面を砂目立て、陽極酸化処理、封孔処理を施したアルミニウム板上に、アミノ基、グリシジル基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基から選ばれる少なくとも1種を有するシランカップリング剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有する光重合性中間層、400〜1200nmの波長の光に感度を有する光重合性感光層及び保護層をこの順に有し、かつ保護層側から画像露光された後に現像液で処理され、非画像部を除去され平版印刷版とされる感光性平版印刷版材料、
(2) 前記中間層が前記シランカップリング剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有する溶液を用いて形成された前記(1)に記載の感光性平版印刷版材料、
(3) 前記中間層が前記シランカップリング剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有する非水溶性有機溶剤の溶液を用いて形成された(2)に記載の感光性平版印刷版材料及び、
(4) (1)〜(3)に記載の感光性平版印刷版材料の保護層側からレーザーを走査して画像露光を行い、現像処理により非露光部の感光層を除去する平版印刷版の作成方法により達成される。
【0009】
以下、本発明について項目毎に詳述する。
【0010】
《中間層》
本発明の感光性平版印刷版材料は、第1に中間層がアミノ基、グリシジル基及びメルカプト基から選ばれる少なくとも1種を有するシランカップリング剤を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の感光性平版印刷版材料は、第2にラジカル付加重合可能な基を有するシランカップリング剤を有する中間層を形成後少なくとも30分間のエージング処理を施して後、光重合性感光層及び保護層が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明においてシランカップリング剤は、4価のケイ素原子に少なくとも2種の反応性基又は反応性原子が、直接或いは連結基を介して結合している化合物を言う。
【0013】
本発明のシランカップリング剤は反応性基として、置換又は非置換のアミノ基、メルカプト基、エポキシエチル基やエポキシエチレン基の様なグリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等を1分子中に1種又は2種以上有する。
【0014】
他の反応性基として、ケイ素原子に直接結合した少なくとも1つのアルコキシ基(好ましくはメトキシ基、エトキシ基の様な炭素原子数1〜4のもの)、アシルオキシ基(好ましくはアセチルオキシ基、ブチリルオキシ基の様な炭素原子数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基)、アンモニウム化合物残基(例えばオクタデシルメチルアンモニウムクロライド残基等の第4級アンモニウム化合物残基)、ハロゲン原子(好ましくはクロル原子)を有することが好ましい。
【0015】
連結基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素原子数1〜5のアルキレン基;トリメチレンオキシメチレン基、エチレンオキシエチレン基等の炭素原子数2〜8のアルキレンオキシアルキレン基;トリメチレンアミノエチレン基の様な炭素原子数2〜8のアルキレンアミノアルキレン基;エチレンオキシカルボニル基;トリメチレンオキシカルボニル基、アルキレンアミノアルキレンアミノフェニレン基等を挙げることができる。
【0016】
本発明に用いるシランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−((3−トリメトキシシリル)プロピル)トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、γ−アニリノトリメトキシシラン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、3−(N−アリル−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−メタクリロイル)アミノプロピルトリメトキシシラン、p−(N−(2−アミノエチル)アミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス(3−(メチルジメトキシシリル)プロピル)アミン、N−グリシジル−N,N−ビス(3−トリメトキシシリル)プロピル)アミン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリメトキシシリルビニルビシクロ(2,2,1)へプタン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
上記シランカップリング剤を有する中間層を支持体上に設けるには、シランカップリング剤を溶媒に溶解して適当な濃度に調製した溶液を用いればよい。
【0018】
溶媒としては、水、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロパンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0019】
アミノ基を有するシランカップリング剤の様に特異的に水溶媒中で安定性が高いもの以外は、中間層形成溶液の安定性を得るために、十分に脱水されたアルコール類、或いは非水溶性溶媒を用いることが好ましい。非水溶性溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。
【0020】
溶媒は単独又は2種以上の併用で用いることができる。更に界面活性剤を添加してもよい。
【0021】
中間層形成溶液を塗布するには、従来公知の、面順次塗別け塗布法、押出し塗布法、ワイヤーバー塗布法、ロール塗布法、ディップ塗布等を適宜採用することができる。
【0022】
シランカップリング剤を有する中間層の膜厚は、0.001〜0.5μm程度、好ましくは0.01〜0.3μmである。
【0023】
中間層を感光層と同様の光重合性にすることにより平版印刷版の耐刷性のみならず解像度を向上させることができる。光重合性とするには、感光層と同様にエチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有せしめる。
【0024】
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知の重合性モノマー類を使用することができる。具体的化合物として、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル及びその誘導体或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエート等に代えた化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル及びその誘導体或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエート等に代えた化合物、或いはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル及びその誘導体或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエート等に代えた化合物等を挙げることができる。
【0025】
また適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタアクリル酸を導入し、光重合性を付与した、所謂プレポリマーと呼ばれるものも好適に使用できる。
【0026】
この他に特開昭58−212994号、同61−6649号、同62−46688号、同62−48589号、同62−173295号、同62−187092号、同63−67189号、特開平1−244891号公報等に記載の化合物等を挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物等も好適に用いることができる。
【0027】
これらの中で、分子内に2個以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が好ましく、更に分子量が10,000以下、更には5,000以下のものが好ましい。また本発明ではこれらのモノマー或いはプレポリマーのうち1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
光重合開始剤としては、例えばJ.Kosar著“Light sensitive systems”第5章に記載されている様なカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化物、光還元性色素等を挙げることができ、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロルアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノン;ベンジル;フルオレノン;キサントン;ウラニル化合物の他、特公昭59−1281号、同61−9621号並びに特開昭60−60104号に記載のトリアジン誘導体;特開昭59−1504号、同61−243807号に記載の有機過酸化物;特公昭43−23684号、同44−6413号、同44−6413号、同47−1604号並びに米国特許第3,567,453号に記載のジアゾニウム化合物;米国特許第2,848,328号、同2,852,379号、同2,940,853号に記載の有機アジド化合物;特公昭36−22062号、同37−13109号、同38−18015号、同45−9610号に記載のオルトキノンジアジド類;特公昭55−39162号、特開昭59−14023号、“Macromolecules”10,p.1307(1977)に記載の各種オニウム化合物;特開昭59−142205号に記載のアゾ化合物;特開平1−54440号、欧州特許第109,851号、欧州特許第126712号、“Journal of Imaging Science”30,p.174(1986))に記載の金属アレン錯体、特願平4−56831号、同4−89535号に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体;特開昭61−151197号に記載のチタノセン類;“Coordination Chemistry Review”84,p.85〜277(1988)、特開平2−182701号に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体;特開平3−209477号に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、4臭化炭素;特開昭59−107344号に記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
【0029】
中間層を光重合性とするときの感光波長領域は、光重合性感光層と実質的に同じであっても良いし、異なっていても良いが、同じである方が画像露光のみで印刷版として十分な特性を得ることができるために好ましい。
【0030】
中間層を光重合性とするときの好ましい組成は、シランカップリング剤0.1〜60重量部、より好ましくは1〜50重量部、エチレン性不飽和結合を有する化合物5〜95重量部、より好ましくは5〜80重量部、光重合開始剤0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。更に必要に応じて、バインダー樹脂、重合禁止剤、界面活性剤等を含有せしめてもよい。
【0031】
光重合性の中間層も、その成分を適当な溶媒に溶解、分散して塗布乾燥すればよい。溶媒としてはメタノール,エタノール,イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を用いることができる。
【0032】
光重合性の中間層の膜厚は0.005〜2.0μm、好ましくは0.01〜1.0μmの範囲である。
【0033】
中間層形成溶液を所定の乾燥膜厚になる様に塗布した後、加熱して溶媒を蒸発させる。加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜100℃の範囲、加熱時間は10〜120秒、好ましくは15〜90秒である。
【0034】
安定な性能を得るために、中間層形成後、エージング処理を行って後に光重合性感光層及び保護層を形成することが好ましい。エージング処理の条件は中間層を形成した支持体の形状によって異なるが、処理温度20〜100℃程度、好ましくは25〜80℃、処理時間1分〜14日間程度、好ましくは30分〜7日間である。
【0035】
《支持体》
親水性表面を有する支持体としては、例えばアルミニウム,ステンレス,クロム,ニッケル等の金属板、例えばポリエステルフィルム,ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムや紙、合成紙及び樹脂コーティングした紙に前述の金属の薄膜をラミネート又は蒸着したもの、例えばポリエステルフィルム,塩化ビニルフィルム,ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が挙げられる。その様なプラスチックフィルムの親水化処理方法としては、硫酸処理、酸素プラズマエッチング処理、コロナ放電処理、水溶性樹脂層塗布層を設ける、等が好ましく用いられる。印刷版として用いるには、表面を砂目立て、陽極酸化処理、封孔処理を施したアルミニウム板が特に好ましい。
【0036】
砂目立て処理の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えば、ボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独もしくは組合せて用いることができる。中でも好ましいのは、電解エッチングによる方法である。
【0037】
電解エッチングは、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸を単独ないし2種以上混合した浴で行われる。砂目立て処理の後、必要に応じて、アルカリ或いは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0038】
陽極酸化処理は、電解液として硫酸、クロム酸、シュウ酸、燐酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解して行われる。形成される酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。この酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム:20gを1リットルの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の重量変化測定等から求められる。
【0039】
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム板支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0040】
親水性表面の水に対する接触角は60度以下、より好ましくは40度以下である。また支持体の厚さは、50〜1000μm程度、好ましくは75〜500μmの範囲である。
【0041】
《光重合性感光層》
光重合性感光層は少なくとも、エチレン性不飽和結合を有する化合物及び400〜1200nmの波長の光でラジカルを発生する光重合開始剤を含有する。
【0042】
エチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤は、前述の中間層を光重合性とする場合に採用するものと同様のものを用いることができる。エチレン性不飽和結合を有する化合物として特に好ましいのはアクリル酸エステル系及びメタクリル酸エステル系のモノマーである。
【0043】
感光層には必要に応じてバインダー樹脂が用いられる。バインダー樹脂としては、バインダーとして機能するものであればその種類は任意であるが、酸価が20〜250の範囲のアルカリ可溶性でかつ親油性高分子化合物であることが好ましい。その様な高分子化合物としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロライド、及びそのコポリマー、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、下記(1)〜(17)に記載のモノマーの混合物を共重合して得られた共重合高分子化合物である。
【0044】
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えば、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0045】
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0046】
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えば、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0047】
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えば、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0048】
(5)α、β−不飽和カルボン酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等。
【0049】
(6)置換又は無置換のアルキルアクリレート、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等。
【0050】
(7)置換又は無置換のアルキルメタクリレート、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリルデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等。
【0051】
(8)アクリルアミド若しくはメタクリルアミド類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0052】
(9)フッ化アルキル基を含有するモノマー、例えば、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0053】
(10)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル類。
【0054】
(11)ビニルエステル類、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0055】
(12)スチレン類、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0056】
(13)ビニルケトン類、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0057】
(14)オレフィン類、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0058】
(15)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0059】
(16)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−シアノスチレン、m−シアノスチレン、p−シアノスチレン等。
【0060】
(17)アミノ基を有するモノマー、例えばN、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0061】
上記モノマーの混合物には、上記モノマーと共重合し得る他のモノマーを混合してもよい。又、高分子化合物は、上記モノマーの共重合によって得られる共重合体を例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等によって修飾したものであってもよい。
【0062】
用いる共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、測定された重量平均分子量が1万〜20万であるものが好ましいが、重量平均分子量はこの範囲に限定されるものではない。
【0063】
上記高分子化合物には、必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等、他の任意の高分子化合物を併用してもよい。感光性組成物中におけるこれら高分子化合物の含有量は、20〜90重量%の範囲が好ましく、30〜70重量%の範囲が更に好ましい。
【0064】
感光層を支持体の親水性表面上に設けるには、感光層組成物を適当な溶媒に溶解して塗布、乾燥すれば良い。溶媒としては、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ジアセトンアルコール)、セロソルブ類(例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル)、芳香族類(例えばトルエン、キシレン、クロルベンゼン)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ジエチルケトン)、エステル系溶剤(例えば乳酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)、塩素系溶剤(例えばクロロホルム、トリクロルエチレン)、アミド系溶剤(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒はその溶解物又は分散物に合わせて、1種或いは2種以上混合したものを用いる。
【0065】
塗工には、グラビアロールによる塗布法、押し出し塗布法、ワイヤーバー塗布法、ロール塗布法等従来から公知の方法を採用することができる。
【0066】
感光性層の厚みは通常0.2〜10.0μm、好ましくは0.5〜5.0μmの範囲である。
【0067】
《保護層》
光重合系における酸素による反応阻害を防止するために保護層を設ける。保護層は後述する現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミンポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等を適当な溶剤に溶解し、感光層上に塗布乾燥して保護層を形成する。
【0068】
保護層の厚みは0.1〜5.0μm程度、好ましくは0.5〜3.0μmである。
【0069】
保護層には、必要に応じて更に、界面活性剤、マット剤等を含有せしめることができる。
【0070】
《平版印刷版の作成》
本発明の感光性平版印刷版材料は、保護層側から画像露光した後に現像液で処理し、非画像部を除去して平版印刷版とする。
【0071】
画像露光には、通常のアナログ光源も使用可能であるが、レーザー光の走査露光が特に適している。画像露光を行うレーザー光源は、感光層の感光波長や感度に合わせて任意のものが使用できる。
【0072】
レーザー光源としてはヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、YAGレーザーと光学素子を組み合わせて半波長にしたもの、等を好適に用いることができる。
【0073】
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査等がある。円筒外面走査では、感光性平版印刷版材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に感光性平版印刷版材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、感光性平版印刷版材料の移動により副走査を行う。円周外面走査及び円周内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0074】
現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤の水溶液が挙げられる。又、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は、単独もしくは、二種以上組合せて用いられる。
【0075】
又、該現像液中に必要に応じ、アニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0076】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0077】
比較例1及び参考例(実験No.1〜7)
《感光層形成組成物に用いるアクリル系共重合体バインダーの合成》
窒素気流下の三つ口フラスコにメタアクリル酸12重量部、メタアクリル酸メチル70重量部、アクリロニトリル8重量部、メタアクリル酸エチル10重量部、エタノール500重量部、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル3重量部を投入し、窒素気流中、80℃のオイルバスで6時間反応させた後、トリエチルアンモニウムクロライド3重量部、グリシジルメタクリレート1重量部を加え、3時間反応させて目的の化合物を得た。重量平均分子量50,000。
【0078】
《支持体の作成》
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間脱脂処理を行った後水洗した。脱脂したアルミニウム板を25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後水洗した。次いで、このアルミニウム板を1.0重量%の塩酸水溶液において、温度25℃、電流密度100A/dm2の条件で交流電流により60秒間電界粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。更に20%硫酸溶液中で、温度30℃、電流密度4A/dm2の条件で6分間陽極酸化処理を行い、珪酸ナトリウムで封孔処理を行って支持体を作成した。
【0079】
《中間層の形成》
下記組成の中間層形成溶液を、各々調製30分後にワイヤーバーを用いて、乾燥付量0.1mg/m2になる様に塗布し、中間層付支持体1〜7を作成した。
【0080】
(中間層形成溶液1)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 1重量部
メチルエチルケトン 99重量部
(中間層形成溶液2)
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン 1重量部
シクロペンタノン 99重量部
(中間層形成溶液3)
ビニルトリエトキシシラン 1重量部
イソプロピルアルコール 99重量部
(中間層形成溶液4)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1重量部
メチルエチルケトン 99重量部
(中間層形成溶液5)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 1重量部
水 98重量部
フッ素系界面活性剤 1重量部
〔大日本インキ製造(株)製:メガファックF−120〕
(中間層形成溶液6)
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン 1重量部
メチルエチルケトン 99重量部
(中間層形成溶液7)
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 1重量部
メチルエチルケトン 99重量部
《感光性平版印刷版材料の作成》
作成した中間層付支持体を25℃、50%RHの環境下で60分放置後、遮光しながら下記感光層形成組成物を乾燥後の塗布量が、1.4g/m2になる様に塗布し、95℃で60秒乾燥して感光層を形成した。次いで、該感光層上に下記処方の保護層形成組成物を乾燥後の塗布量が1.4g/m2になる様に塗布し、60℃で60秒乾燥して感光性平版印刷版材料1〜7を作成した。
【0081】
シクロペンタノン/メチルエチルケトン=1/4溶液にて固形分が8重量%になる様に調製した。
【0082】
(保護層形成組成物)
《平版印刷版の作成及び評価》
作成した各感光性平版印刷版材料について、保護層側に光源がくるようにドラムに巻き付け、ドラムを回転させながら、30mWアルゴンイオンレーザーでビーム径を5.0μmに集光して露光し、コニカ(株)製PS版用現像液:KD−52を水で6倍に希釈したものを用いて30℃で20秒間現像して非露光部の感光層を溶出したものを、水洗後乾燥して画像を形成し平版印刷版を作成した。
【0083】
ドラムの回転数を一定にして、レーザー光強度の1/e2に相当するところの線幅と形成された画像の線幅が等しいところの光強度(μW/cm2)を求め、照射時間との積を感度とした。
【0084】
この様にして求めた適性な露光量で、175線で2〜98%相当の網点パッチをレーザー露光し、同じ条件で現像処理して得た平版印刷版を用いて耐刷性の評価を行った。即ち、ハイデル社製印刷機:GTOで、東洋インキ製造(株)製印刷インキ:ハイプラスM紅及びコニカ(株)製湿し水:SEU−3の2.5%水溶液を用いてコート紙上に連続印刷を行い、175線2%の小点が印刷できなくなるまで、或いは非画像部に汚れが発生するまでの枚数をもって耐刷性とした。
【0085】
更に、遮光下で50℃、80%RHの条件で36時間保存した感光性平版印刷版材料についても同様にして評価した。
【0087】
実施例1(実験No.23〜25)
下記組成の感光性中間層形成溶液を、各々調製30分後にワイヤーバーを用いて、遮光しながら乾燥付量0.5mg/m2になる様に塗布し、感光性中間層付支持体23〜25を作成した。
【0088】
(中間層形成溶液9)
中間層形成溶液8において、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代えてビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを同量で用いた以外は同様にして調製した。
【0089】
(中間層形成溶液10)
中間層形成溶液8において、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代えてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを同量で用いた以外は同様にして調製した。
【0090】
作成した中間層付支持体を遮光下で25℃、50%RHの環境下60分放置後、比較例1と同様にして感光層、保護層を形成し感光性平版印刷版材料23〜25を作成し評価した。
【0093】
比較例2
中間層を設けなかった以外は感光性平版印刷版材料1と同様にして作成した比較の材料について比較例1と同様にして評価した。
【0094】
以上の結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】
本発明により、光重合性の感光層を用いる平版印刷版材料の保存性及び形成した平版印刷版の耐刷性を向上することができる。
Claims (4)
- 表面を砂目立て、陽極酸化処理、封孔処理を施したアルミニウム板上に、アミノ基、グリシジル基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基から選ばれる少なくとも1種を有するシランカップリング剤、エチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有する光重合性中間層、400〜1200nmの波長の光に感度を有する光重合性感光層及び保護層をこの順に有し、かつ保護層側から画像露光された後に現像液で処理され、非画像部を除去され平版印刷版とされることを特徴とする感光性平版印刷版材料。
- 前記中間層が前記シランカップリング剤を含有する溶液を用いて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版材料。
- 前記中間層が前記シランカップリング剤を含有する非水溶性有機溶剤の溶液を用いて形成されたことを特徴とする請求項2に記載の感光性平版印刷版材料。
- 請求項1乃至3に記載の感光性平版印刷版材料の保護層側からレーザーを走査して画像露光を行い、現像処理により非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作成方法。
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