JP5210671B2 - 平版印刷版原版及び製版方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平版印刷版原版に関する。詳しくは、レーザーによる画像記録が可能であり、機上現像又はガム現像が可能な平版印刷版原版に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤含有現像液によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化又は簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、画像記録層不要部分の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で画像記録層の不要部分を除去して平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤又は湿し水とインキとの乳化物に溶解し又は分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤などの浸透によって画像記録層の凝集力又は画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
また、簡易な製版方法のもう一つの方法として、現像処理工程における画像記録層不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液に替えて、従来アルカリ現像の後に施されていたフィニッシング処理用のガム液で行うガム現像と呼ばれる方法も提案されている。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキ及び/又は湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法及び工程を指す。
上記「現像処理工程」を経る処理のうち、現像液としてガム液を使用する現像を特に「ガム現像」と呼ぶ。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述したような製版作業の簡素化、乾式化又は無処理化では、露光後の画像記録層が現像処理によって定着されていないので感光性を有し、印刷までの間にかぶってしまう可能性があるため、明室又は黄色灯下で取り扱い可能な画像記録層及び光源が必要とされる。
そのようなレーザー光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー及びYAGレーザー等の固体レーザーは、高出力かつ小型のものを安価に入手できるようになったことから、極めて有用である。また、UVレーザーも用いることができる。
この赤外線レーザーで画像記録をする機上現像型の平版印刷版原版として、例えば、特許文献1には、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層(画像記録層)を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この特許文献1には、上記平版印刷版原版を赤外線レーザーにより露光して、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水及び/又はインキにより機上現像することが可能である旨記載されている。
このような微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
また、特許文献2及び3には、親水性支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む平版印刷版原版が記載されている。
さらに、特許文献4には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する感光層を設けた平版印刷版原版が記載されている。
このような重合反応を用いる方法は、重合体微粒子の熱融着により形成される画像部に比べ、画像部の化学結合密度が高いため画像強度が比較的良好であるという特徴を有するが、耐刷性、機上現像性及び印刷時の汚れにくさ(汚れ性)を満足させるために支持体と画像記録層の間に中間層を設ける必要があった。
このような目的の中間層には、親水性を付与した水溶性樹脂が用いられることは一般に知られており、特許文献5には、基板吸着性基、重合性基及び親水性基を持つポリマーの中間層を設けた機上現像型の平版印刷版原版が記載されている。
しかしながら機上現像型及びガム現像型の平版印刷版原版においては、これらの中間層を設けても非画像部の汚れ性は未だ不十分であり、特に数μm〜数千μmの円形点状の汚れ(以下ポツ汚れと表現する)が発生することがあり、さらなる改良が必要であった。
特許第2938397号明細書 特開2001−277740号公報 特開2001−277742号公報 特開2002−287334号公報 特開2005−125749号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、赤外線レーザーによる画像記録が可能であり、機上現像性又はガム現像性、及び耐刷性に優れ、汚れ性、特にポツ汚れが改良された平版印刷版原版及びそれを用いた製版方法を提供することを目的としている。
〔1〕
アルミニウム支持体上に、中間層及び画像記録層をこの順に有し、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物を中間層又は画像記録層に含有する平版印刷版原版であって、前記官能基が、下記構造のいずれかを有するオニウム塩である平版印刷版原版。
Figure 0005210671

(上記式中、X は任意のアニオンを表す。)
〔2〕
前記官能基が下記構造を有するオニウム塩である、〔1〕に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671

(上記式中、X は任意のアニオンを表す。)
〔3〕
一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする〔2〕に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671

(式中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、X は任意のアニオンを表す。)
〔4〕
一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする〔2〕又は〔3〕に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671

(一般式(2)中、Wはn価の有機連結基を表す。nは2以上の整数を表す。X は任意のアニオンを表す。)
〔5〕
一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする〔2〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671

(一般式(3)中、Wは2価の有機連結基を表し、R は有機残基を表す。nは2〜3の整数を表し、mはn×m=2を満たす数を表す。)
〔6〕
前記中間層が基板吸着性基、重合性基、及び親水性基を有するポリマーを含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版
〔7〕
前記画像記録層が(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、及び(C)重合性化合物を含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
〔8〕
前記画像記録層が、さらに、(D)バインダーポリマーを含有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
〔9〕
前記画像記録層が、さらに(E)マイクロカプセル又はミクロゲルを含有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
〔10〕
前記画像記録層が、露光後に印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して未露光部分を除去するか、又は露光後にガム液で現像することにより画像形成可能な画像記録層であることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
〔11〕
〔10〕に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷機上で印刷インキと湿し水とを供給して印刷開始することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
〔12〕
〔10〕に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版をガム液で現像することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
本発明は、前記〔1〕〜〔12〕に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記1〜13)についても記載している。
1.アルミニウム支持体上に、中間層及び画像記録層をこの順に有し、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物を中間層又は画像記録層に含有することを特徴とする平版印刷版原版。
2.アルミニウム支持体上に、中間層及び画像記録層をこの順に有し、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物を中間層に含有することを特徴とする前記1記載の平版印刷版原版。
3.アルミニウム支持体と相互作用する官能基が、トリアルコキシシリル基、オニウム基、又はフェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、−SOH、−OSOH、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−及びCOCHCO−から選ばれる酸基もしくはその金属塩であることを特徴とする前記1又は2に記載の平版印刷版原版。
4.一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671
(式中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、Xは任意のアニオンを表す。)
5.一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671
(一般式(2)中、Wはn価の有機連結基を表す。nは2以上の整数を表す。Xは任意のアニオンを表す。)
6.一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
Figure 0005210671
(一般式(3)中、Wは2価の有機連結基を表し、Rは有機残基を表す。nは2〜3の整数を表し、mはn×m=2を満たす数を表す。)
7.前記中間層が基板吸着性基、重合性基、及び親水性基を有するポリマーを含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版
8.前記画像記録層が(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、及び(C)重合性化合物を含有することを特徴とする前記1〜7のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
9.前記画像記録層が、さらに、(D)バインダーポリマーを含有することを特徴とする前記1〜8のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
10.前記画像記録層が、さらに (E)マイクロカプセル又はミクロゲルを含有することを特徴とする前記1〜9のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
11.前記画像記録層が、露光後に印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して未露光部分を除去するか、又は露光後にガム液で現像することにより画像形成可能な画像記録層であることを特徴とする前記1〜10のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
12.前記11に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷機上で印刷インキと湿し水とを供給して印刷開始することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
13.請求項11に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版をガム液で現像することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
本発明によれば、赤外線レーザーによる画像記録が可能であり、機上現像性又はガム現像性、及び耐刷性に優れ、汚れ性、特にポツ汚れが改良された平版印刷版原版及びそれを用いた製版方法を提供できる。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、アルミニウム支持体上に中間層及び画像記録層をこの順に有し、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物を中間層又は画像記録層に含有することを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版は、中間層が、基板吸着性基、重合性基及び親水性基を有するポリマーを含有することが好ましい。また、本発明の平版印刷版原版は、画像記録層が(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、及び(C)重合性化合物を含有することが好ましい。さらに、本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層を有することが好ましい。
以下、本発明の平版印刷版原版について詳細に説明する。
<一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物>
本発明の一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物(以下では、特定化合物と称する。)は中間層あるいは画像記録層に含有される。特に好ましくは中間層に含有される。本発明の特定化合物は、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基をそれぞれ複数個有してもよい。
ここで、アルミニウム支持体とは、後述の陽極酸化処理及び/又は親水化処理を施したアルミニウム支持体を意味し、相互作用する官能基とは、該アルミニウム支持体上に存在する金属、金属酸化物、ヒドロキシル基などと、共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用する官能基を意味する。
本発明の特定化合物のアミノ基としては第2級アミノ基又は第3級アミノ基が好ましく、第3級アミノ基がより好ましい。アルミニウム支持体と相互作用する官能基の具体例としては、トリアルコキシシリル基、オニウム基、又はフェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、−SOH、−OSOH、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−及びCOCHCO−から選ばれる酸基もしくはその金属塩が挙げられ、なかでもトリアルコキシシリル基、オニウム基、−POもしくはその金属塩、及びOPOもしくはその金属塩がより好ましい。
トリアルコキシシリル基としては、炭素数1〜18のトリアルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基であることが特に好ましい。オニウム基としては、アンモニウム基及びホスホニウム基が好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。オニウム基の好ましい対アニオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば塩素イオン、臭素イオン)、スルホン酸イオン(例えばメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン)、カルボン酸イオン(例えば酢酸イオン、プロピオン酸イオン)、水酸化物イオン、硫酸モノアルキルイオン(硫酸モノメチルイオン、硫酸モノエチルイオン)、PF 、BF 等が挙げられる。これらの中では、PF 、BF 、スルホン酸イオン、カルボン酸イオンが特に好ましい。
アンモニウム基及びホスホニウム基の好ましい具体例を下記に示す。
Figure 0005210671
上記の中でも本発明の特定化合物としては下記一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0005210671
Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、Xは任意のアニオンを表す。
置換基としては、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、置換ヒドロキシル基、チオール基、置換チオール基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホ基、置換スルホニル基、スルホナト基、置換スルフィニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、等が挙げられ、導入可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。
Rで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素原子数1から12までの直鎖状のアルキル基、炭素原子数3から12までの分岐状のアルキル基、及び炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び2−ノルボルニル基を挙げられる。
Rで表されるアルキル基が置換基を有する場合(すなわち、置換アルキル基である場合)、置換アルキル基のアルキル部分の好ましい炭素原子数の範囲は、上記アルキル基と同様である。
Rで表される置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、アセチルオキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、
カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、等を挙げることができる。
Rで表されるアルキル基に導入可能な置換基としては、上記置換アルキル基の説明中に記載された置換基の他、以下に例示する非金属原子から構成される1価の置換基も挙げられる。上述した置換基を含む好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称する。)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))「alkyl=アルキル基、以下同」、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))「aryl=アリール基、以下同」、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称する。)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称する。)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称する。)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称する。)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基、等が挙げられる。
Rで表されるアルキル基に導入可能な置換基におけるアルキル部分の具体例としては、上述したRが置換アルキル基である場合と同様であり、好ましい範囲も同様である。
また、Rで表されるアルキル基に導入可能な置換基におけるアリール部分の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、等を挙げることができる。
Rで表されるアルケニル基としては、炭素原子数2から20のアルケニル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素原子数2から10までのアルケニル基が好ましく、炭素原子数2から8までのアルケニル基がより好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基を挙げることができ、ハロゲン原子、炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が好ましい。アルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、シンナミル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニルメチル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられる。
Rで表されるアルキニル基としては、炭素原子数2から20のアルキニル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素原子数2から10までのアルキニル基が好ましく、炭素原子数2から8までのアルキニル基がより好ましい。その具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基、等が挙げられる。
Rで表されるアリール基としては、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものなどが挙げられる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、Rで表されるアリール基は、環を形成する炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、非金属原子から構成される1価の置換基が挙げられる。導入される置換基の好ましい例としては、前述したアルキル基、置換アルキル基、及び、置換アルキル基における置換基の説明において、記載したものを挙げることができる。
Rで表されるヘテロ環基としては、3員環から8員環のヘテロ環基が好ましく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む3乃至6員環のヘテロ環基がより好ましく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む5乃至6員環のヘテロ環基がさらに好ましい。具体的には、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基、等が挙げられる。
また、Rで表されるヘテロ環基は、環を形成する炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、非金属原子から構成される1価の置換基が挙げられる。導入される置換基の好ましい例としては、前述したアルキル基、置換アルキル基、及び、置換アルキル基における置換基の説明において、記載したものを挙げることができる。
Rの好ましい態様を以下に挙げる。
Rは水素原子又は炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜5の置換基を有してもよいアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜3の置換基を有してもよいアルキル基がさらに好ましい。
は、任意のアニオンであり、酸アニオンであることが好ましい。具体例としては、ハロゲン原子アニオン、BF 、BCl 、ZnCl 、SbCl 、FeCl 、GaCl 、GaBr 、AlI 、AlCl 、SbF 、CFSO 、PF 、BPh 、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸、アントラセン−1−スルホン酸等の縮合多核スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、N−シクロヘキシルアミド硫酸アニオン、N−フェニルアミド硫酸アニオン、スルホ基含有染料(スルホ基と発色原子団とを有するアニオン)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物には、一般式(1)のRを介して複数のカチオン骨格部分が結合し、一分子中にカチオン骨格部分が2個以上含まれる化合物も包含され、このような化合物も好適に用いられる。
カチオン骨格部分を一分子中に2個以上有する化合物としては、特に、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005210671
一般式(2)中、Wはn価の有機連結基を表す。nは2以上の整数を表す。Xは任意のアニオンを表す。
は一般式(1)の Xと同義である。Wで表されるn価の有機連結基は、非金属原子から構成される多価の有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から構成されるものが好ましい。より具体的な例としては、下記の構造(連結基単位構造)が単独で又は複数組み合わさって構成される有機連結基を挙げることができる。
Figure 0005210671
Wで表される有機連結基は、さらに置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
カチオン骨格部分を一分子中に2個以上有する化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物も好ましい。
Figure 0005210671
一般式(3)中、Wは2価の有機連結基を表し、Rは有機残基を表す。nは2〜3の整数を表し、mはn×m=2を満たす数を表す。
で表される有機残基としては、炭素原子数20以下の、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素残基及びヘテロ環化合物の残基が挙げられる。なかでも、芳香族炭化水素残基が好ましく、ベンゼン及びナフタレンの2価又は3価の残基が特に好ましい。これらの残基を含むアニオン部の特に好ましい具体例としては、1,5−ナフタレンジスルホン酸アニオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸アニオン、2,7−ナフタレンジスルホン酸アニオン、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸アニオン、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸アニオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸アニオンなどが挙げられる。Wは、一般式(2)において2価の有機連結基を表す場合のWと同義である。
さらに、一般式(1)で表される化合物としては、Rを介して、カチオン骨格部分がポリマー側鎖に導入されていている化合物も、好ましい態様として挙げられる。
カチオン骨格部分がポリマー側鎖に導入されていている化合物としては、特に、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005210671
一般式(4)中、Lは単結合又は2価の有機連結基を表す。mは1以上の整数を表し、Xはアニオンを表す。Pはポリマー主鎖を表す。
Pで表されるポリマー主鎖には特に制限はないが、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート鎖、ポリスチレン鎖、ポリビニル鎖、ポリウレタン鎖、ポリアセタール鎖等が挙げられる。その中でも、平版印刷版原版の記録層に適用した際の耐刷性等の観点からは、特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート鎖、ポリスチレン鎖等が挙げられる。
Lで表される2価の有機連結基としては、非金属原子から構成される2価の有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から構成されるものが好ましい。より具体的な例としては、前述の連結基単位構造が単独で又は複数組み合わさって構成される有機連結基を挙げることができる。
Lで表される有機連結基は、さらに置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
mは1以上の整数であり、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
一般式(4)におけるXは、前記一般式(1)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(1)〜一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
上記の本発明の特定化合物の中間層への含有量は、中間層固形分の10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜75質量%が最も好ましい。画像記録層に含有させる場合の含有量は、画像記録層固形分の0.1〜90質量%が好ましく、0.2〜80質量%がより好ましく、0.3〜70質量%が最も好ましい。この範囲で良好な汚れ改良効果が得られる。
(中間層)
本発明の平版印刷版原版において画像記録層と支持体との間に設けられる中間層には、前記の特定化合物以外に、従来公知の中間層用の化合物を用いることができる。そのような中間層用化合物としては、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい化合物としては、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーを共重合した中間層用ポリマーが挙げられる。
中間層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/mであるのが好ましく、1〜50mg/mであるのが耐刷性及び汚れにくさを両立させる観点より好ましい。
このような中間層によって、汚れ性(特にポツ汚れ)が良化し、機上現像性又はガム現像性、耐刷性及び汚れ性を満足させることができる。中間層は、未露光部において、画像記録層の剥離を生じやすくさせるため、機上現像性又はガム現像性が向上する。また、赤外線レーザー露光の場合は、中間層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。さらに、印刷後も基板に残存し、かつ親水的であることから汚れ性も保たれる。
また、経時により、特に基板界面で起こる暗重合反応による残膜を抑制し、ポツ状の汚れを防ぐことが可能である。
<基板吸着性基、重合性基、及び親水性基を有する中間層用ポリマー>
中間層用ポリマーの必須成分は、親水性支持体表面への吸着性基である。親水性支持体表面への吸着性の有無に関しては、例えば以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布夜を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
親水性支持体表面への吸着性基は、親水性支持体表面に存在する物質(例えば、金属、金属酸化物)あるいは官能基(例えば、ヒドロキシル基)と、化学結合(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基又はカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、−SOH、−OSOH、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−及びCOCHCOCHを含む。なかでもOPO及びPOが特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基を含む。アンモニウム基、ホスホニウム基及びスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基及びホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
吸着性基を有するモノマーの特に好ましい例としては、下記式(U1)又は(U2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005210671
上式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である。
上式において、Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。Lは、2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリレン基、置換アリレン基)又は2価のヘテロ環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(―S―)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基)又はカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及びヘテロ環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及びヘテロ環基を含む。
ヘテロ環基は、ヘテロ環として5員環又は6員環を有することが好ましい。ヘテロ環に他のヘテロ環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。ヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基)、脂肪族基、芳香族基及びヘテロ環基を含む。
上記の中でも、Lは複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCHCH)−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
式(U2)において、Yは炭素原子又は窒素原子である。Yが窒素原子で、Y上にLが連結しピリジニウム基になった場合は、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではなく、Zが水素原子でもよい。
以下に、式(U1)又は(U2)で表される代表的な化合物の例を示す。
Figure 0005210671
本発明に用いることができる中間層用ポリマーの親水性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。なかでも高親水性を示すスルホ基を有するモノマーが好ましい。スルホ基を有するモノマーの具体例としては、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルスルホン酸のナトリウム塩、アミン塩が挙げられる。なかでも親水性能及び合成の取り扱いから2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
本発明の中間層用の水溶性ポリマーは、架橋性基を有することが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。中間層用のポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、ポリマーの極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又はCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH)CR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CH)NH−CO−O−CHCR=CR、−(CH)−O−CO−CR=CR、及び(CHCHO)−X(式中、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、RとR又はRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CHCH=CH(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCHNHCOO−CHCH=CH、及びCHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCHO−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CHCHOCO−CH=CHが挙げられる。
中間層用ポリマーの架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドが好適である。
中間層用ポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、ポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、及び良好な保存安定性が得られる。
中間層用のポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
中間層用のポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
中間層用ポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよく、アミンも単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。中間層用塗布液は、上記中間層用のポリマーを有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)及び/又は水に溶解して得られる。中間層用塗布液には、赤外線吸収剤を含有させることもできる。
中間層塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
中間層用ポリマーは2種類以上を中間層に含有してもよい。中間層への中間層用ポリマーの添加量は、中間層固形分の10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましく、25〜75質量%が最も好ましい。
(画像記録層)
本発明の画像記録層の画像形成要素及び成分に関して詳細に説明する。
好ましく使用可能な画像形成要素は、(イ)重合を利用する画像形成要素、及び(ロ)疎水化前駆体の熱融着や熱反応を利用する画像形成要素の少なくともいずれかである。(イ)重合を利用する画像形成要素としては、(A)赤外線吸収剤と(B)重合開始剤と(C)重合性化合物とを含有し、赤外線レーザーで画像記録が可能であるものが好ましい。また、(ロ)疎水化前駆体の熱融着や熱反応を利用する画像形成要素としては、(A)赤外線吸収剤と(D)疎水化前駆体とを含有し、赤外線レーザーで画像記録が可能であるものが好ましい。また、(イ)の画像形成要素に付加的に(D)疎水化前駆体を含有させてもよい。
さらに、本発明の画像記録層は、これらの要素の他に、必要に応じて他の成分を含有することができる。
以下、これらの画像記録層構成成分及び画像記録層の形成について説明する。
<(A)赤外線吸収剤>
本発明の平版印刷版原版を、760〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源にして画像形成する場合には、通常、赤外線吸収剤を用いることが必須である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述の重合開始剤(ラジカル発生剤)に電子移動/エネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号の各公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)及び(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 0005210671
これらの染料のうち中でも好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(i)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0005210671
一般式(i)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は下記構造式で表される基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子、セレン原子を示す。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表し、X -は後述するZ -と同様に定義される。
Figure 0005210671
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar及びArは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素原子数12個以下の炭化水素基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が最も好ましい。Y及びYは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられ、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が最も好ましい。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z は、対アニオンを示す。ただし、一般式(i)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ は必要ない。好ましいZ は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(i)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の画像記録層を設けそこへ添加してもよいが、ネガ型平版印刷版原版を作製した際に、画像記録層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.3〜1.2の範囲にあるように添加する。好ましくは、0.4〜1.1の範囲である。この範囲で、画像記録層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
画像記録層の吸光度は、画像記録層に添加する赤外線吸収剤の量と画像記録層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの画像記録層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
<(B)重合開始剤>
本発明に用いられる重合開始剤としては、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明に使用できる重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができ、本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。本発明に係る熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
上記有機ハロゲン化物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に好ましいものとして、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基が結合したs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−フルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−クロロ−4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−シアノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アセチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシカルボニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−フェノキシカルボニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルスルホニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルスルホニウムフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン・テトラフルオロボレート、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ジエトキシホスホリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)フェニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(p−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−(o−メトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(3,4−エポキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−〔1−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ヒドロキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(3,4−ジヒドロキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−t−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、及び、Kunz,Martin”Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2003−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。具体例としては下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005210671
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
特に反応性、安定性の面から上記オキシムエステル化合物あるいはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好適なものとして挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明に好適なオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 0005210671
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、焼き出し画像の視認性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21、Ar22は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、焼き出し画像の視認性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、焼き出し画像の視認性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましくは特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
以下に、本発明において重合開始剤として好適に用いられるオニウム塩の例を挙げるが、本発明はこれら制限されるものではない。
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
また、本発明の重合開始剤として下記一般式(RI−IV)のアジニウム構造塩の重合開始剤を使用してもよい。式中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の置換基を表す。Xはアニオンを表す。
Figure 0005210671
上記一価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホ基、置換スルホニル基、スルホナト基、置換スルフィニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、等が挙げられ、導入可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。
また、一般式(RI−IV)で表される化合物としては、一般式(RI−IV)で表される化合物における特定構造の骨格(カチオン部)が、Rを介して結合し、カチオン部が分子中に2個以上含まれる化合物(多量体型)も包含され、このような化合物も好適に用いられる。
さらに、一般式(RI−IV)で表される化合物は、R〜Rのいずれかを介して、ポリマー側鎖に導入された化合物(ポリマー型)でもよく、好ましい態様の一つとして挙げられる。
以下に、一般式(RI−IV)で表される化合物の具体例〔例示化合物AZ−1〜AZ−34〕を列挙するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましい。また、これらの中でも赤外線吸収剤との組み合わせで焼き出し画像の視認性向上を図る観点からは、オニウム塩であって、対イオンとして無機アニオン、例えば、PF 、BF など、を有するものが好ましい。さらに、発色に優れていることから、オニウムとしては、ジアリールヨードニウムが好ましい。
これらの重合開始剤は、各々画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこに添加してもよい。
<(C)重合性化合物>
本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートとヒドロキシル基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(ii)で示されるヒドロキシル基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (ii)
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂とアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号、各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
付加重合性化合物は、画像記録層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
<疎水化前駆体>
本発明において疎水性化前駆体とは、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子である。この微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、及び熱反応性ポリマー微粒子から選ばれる少なくともひとつの粒子であることが好ましい。
上記画像記録層に用いられる疎水性熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。かかるポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。このような疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の合成方法としては、乳化重合法、懸濁重合法の他に、これら化合物を非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に固化させる方法(溶解分散法)がある。
本発明に用いられる熱反応性ポリマー微粒子としては、熱硬化性ポリマー微粒子及び熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられる。
上記熱硬化性ポリマーとしては、フェノール骨格を有する樹脂、尿素系樹脂(例えば、尿素又はメトキシメチル化尿素など尿素誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、メラミン系樹脂(例えば、メラミン又はその誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。なかでも、特に好ましいのは、フェノール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びエポキシ樹脂である。
好適なフェノール骨格を有する樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾールなどをホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及びN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリレートなどのフェノール骨格を有するメタクリルアミドもしくはアクリルアミド又はメタクリレートもしくはアクリレートの重合体又は共重合体を挙げることができる。
本発明に用いられる熱硬化性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。このような熱硬化性ポリマー微粒子は、溶解分散法で容易に得られるが、熱硬化性ポリマーを合成する際に微粒子化してもよい。しかし、これらの方法に限らない。
本発明に用いる熱反応性基を有するポリマー微粒子の熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)、縮合反応を行うカルボキシル基及び反応相手であるヒドロキシル基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシル基などを好適なものとして挙げることができる。
これらの官能基のポリマー微粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
重合時に導入する場合は、上記の官能基を有するモノマーを乳化重合又は懸濁重合ることが好ましい。上記の官能基を有するモノマーの具体例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p−ビニルオキシスチレン、p−{2−(ビニルオキシ)エチル}スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアナートエチルアクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、これらのモノマーと、これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性基をもたないモノマーとの共重合体も用いることができる。熱反応性基をもたない共重合モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、熱反応性基をもたないモノマーであれば、これらに限定されない。
熱反応性基の導入を重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応を挙げることができる。
上記熱反応性基を有するポリマー微粒子の中で、ポリマー微粒子同志が熱により合体するものが好ましく、その表面は親水性で水に分散するものが特に好ましい。ポリマー微粒子のみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製した皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度より高い温度で乾燥して作製した皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。このようにポリマー微粒子表面を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーもしくはオリゴマー又は親水性低分子化合物をポリマー微粒子表面に吸着させてやればよい。しかし、表面親水化の方法は、これに限定されない。
これらの熱反応性基を有するポリマー微粒子の凝固温度は、70℃以上が好ましいが、経時安定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。ポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。この範囲内で良好な解像度及び経時安定性が得られる。
<(D)バインダーポリマー>
本発明の画像記録層には、画像記録層の膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレン等が挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又はCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2 n CR1 =CR2 3 、−(CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n NH−CO−O−CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n −O−CO−CR1 =CR2 3 及び(CH2 CH2 O)2 −X(式中、R1 〜R3 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1 とR2 又はR3 とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2 CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 OCOCH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 −NHCOO−CH2 CH=CH2 及びCH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と良好な保存安定性が得られる。
また、画像記録層未露光部の機上現像性又はガム現像性向上の観点から、バインダーポリマーは、インキ及び/又は湿し水に対する溶解性又は分散性が高いことが好ましい。インキに対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性又は分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。このため、本発明においては、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。
親水的なバインダーポリマーとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
バインダーポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、市販品を購入するか、あるいは公知の方法で合成することによって入手できる。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、(C)重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
<(E)マイクロカプセル及び/又はミクロゲル>
本発明においては、上記の画像記録層構成成分(A)〜(C)及びその他構成成分を画像記録層に含有させる方法として、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、該構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する分子分散型画像記録層である。他の一つの態様は、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層に含有させるマイクロカプセル型画像記録層である。さらに、マイクロカプセル型画像記録層において、該構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。ここで、マイクロカプセル型画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
さらに他の態様として、画像記録層に架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様が挙げられる。該ミクロゲルは、その中及び/又は表面に該構成成分(A)〜(C)の一部を含有することが出来る。特に(C)重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
より良好な機上現像性を得るためには、画像記録層は、マイクロカプセル型もしくはミクロゲル型画像記録層であることが好ましい。
画像記録層構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、後述のバインダーポリマーに導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
一方、ミクロゲルを調製する方法としては、特公昭38−19574号、同42−446号明細書に記載されている界面重合による造粒、特開平5−61214号明細書に記載されているような非水系分散重合による造粒を利用することが可能である。但し、これらの方法に限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明に用いられる好ましいミクロゲルは、界面重合により造粒され3次元架橋を有するものである。このような観点から、使用する素材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
<その他の画像記録層成分>
本発明の画像記録層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
<1>界面活性剤
本発明の画像記録層には、機上現像性又はガム現像性を促進するため、及び塗布面状を向上させるため界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
さらに好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
<2>着色剤
本発明の画像記録層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤を用いると、画像形成後の画像部と非画像部の区別がつきやすくなるので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
<3>焼き出し剤
本発明の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸又はラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、画像記録層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
<4>重合禁止剤
本発明の画像記録層には、画像記録層の製造中又は保存中において(C)重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<5>高級脂肪酸誘導体等
本発明の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<6>可塑剤
本発明の画像記録層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<7>無機微粒子
本発明の画像記録層は、硬化皮膜強度向上及び機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5μm〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、40質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましい。
<8>低分子親水性化合物
本発明の画像記録層は、機上現像性又はガム現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有してもよい。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩等が挙げられる。
これらの中でも有機スルホン酸、有機スルファミン酸や有機硫酸のナトリウム塩やリチウム塩が好ましく使用される。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、ノルマルブチルスルホン酸ナトリウム、イソブチルスルホン酸ナトリウム、sec−ブチルスルホン酸ナトリウム、tert−ブチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルペンチルスルホン酸ナトリウム、1−エチルプロピルスルホン酸ナトリウム、ノルマルヘキシルスルホン酸ナトリウム、1、2−ジメチルプロピルスルホン酸ナトリウム、2−エチルブチルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、ノルマルヘプチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルオクチルスルホン酸ナトリウム、tert−オクチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルノニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、2−メチルアリルスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸トリナトリウム、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、2−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフチルジスルホン酸ジナトリウム、2,6−ナフチルジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフチルトリスルホン酸トリナトリウム、及びこれらのリチウム塩交換体などが挙げられる。
有機スルファミン酸塩の具体的な化合物としては、ノルマルブチルスルファミン酸ナトリウム、イソブチルスルファミン酸ナトリウム、tert−ブチルスルファミン酸ナトリウム、ノルマルペンチルスルファミン酸ナトリウム、1−エチルプロピルスルファミン酸ナトリウム、ノルマルヘキシルスルファミン酸ナトリウム、1、2−ジメチルプロピルスルファミン酸ナトリウム、2−エチルブチルスルファミン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム、及びこれらのリチウム塩交換体などが挙げられる。
これらの化合物は疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどなく、長鎖アルキルスルホン酸塩や長鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などが良好に用いられる前述の界面活性剤とは明確に区別される。
有機硫酸塩としては特に下記一般式(iii)で示される化合物が好ましく使用される。
Figure 0005210671
上記一般式(iii)中、Rは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、mは1〜4の整数を表し、Xはナトリウム、カリウム又はリチウムを表す。
Rは、好ましくは、置換もしくは無置換の、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数20以下のアリール基が挙げられる。置換基としては、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、ハロゲン原子、炭素数20以下のアリール基が挙げられる。
一般式(iii)で表される化合物の好ましい例としては、オキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸カリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸リチウム、トリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、テトラオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンオクチルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。最も好ましい化合物としては、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸カリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸リチウムが挙げられる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上8質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性又はガム現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<9>感脂化剤
本発明の平版印刷版原版では、着肉性向上のため、画像記録層及び/又は保護層にホスホニウム化合物を添加することができる。好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報に記載の下記一般式(iv)又は特開2007−50660号公報に記載の下記式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005210671
一般式(iv)において、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ヘテロ環基又は水素原子を表す。R1〜R4の少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを示す。
(v)において、Ar1〜Ar6は、各々独立してアリール基又はヘテロ環基を表し、Lは2価の連結基を表し、Xn−はn価のカウンターアニオンを表し、nは1〜3の整数を表し、mはn x m=2を満たす数を表す。ここでアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノフェニル基などが好適なものとして挙げられる。ヘテロ環基としては、ピリジル基、キノリル基、ピリミジニル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。Lは2価の連結基を表す。連結基中の炭素数は6〜15が好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12の連結基である。Xn−はn価のカウンターアニオンを表し、好ましいものとしては、Cl、Br、Iなどのハロゲンアニオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、硫酸エステルアニオン、PF 、BF 、過塩素酸アニオンなどが挙げられる。中でも、Cl、Br、Iなどのハロゲンアニオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンが特に好ましい。
上記一般式(iv)又は(v)で表されるホスホニウム化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0005210671
画像記録層又は保護層へのホスホニウム化合物の添加量としては、各層の固形分中0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がさらに好ましく、0.1〜5質量%がもっとも好ましい。これらの範囲内で良好なインキ着肉性が得られる。
<画像記録層の形成>
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の画像記録層は、同一又は異なる上記各成分を同一又は異なる溶剤に分散又は溶解した塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版には、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層での傷の発生防止、高照度レーザー露光時のアブレーション防止などの機能も有する。以下では保護層成分等について説明する。
通常、平版印刷版の露光処理は大気中で実施する。露光処理によって生じる画像記録層中での画像形成反応は、大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物によって阻害され得る。保護層は、この酸素、塩基性物質等の低分子化合物が画像記録層へ混入することを防止し、結果として大気中での画像形成阻害反応を抑制する。従って、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性を低くすることであり、さらに、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の機上現像処理工程で容易に除去することができるものである。このような特性を有する保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。
保護層に用いられる材料としては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水溶性セルロース誘導体、ゼラチン、デンプン誘導体、アラビアゴム等の水溶性ポリマーや、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等のポリマー等が挙げられる。これらは、必要に応じて2種以上を併用して用いることもできる。
上記材料中で比較的有用な素材としては、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸等の水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等が好適であり、なかでも、水を溶媒として塗布可能であり、かつ、印刷時における湿し水により容易に除去されるという観点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾールが好ましい。その中でも、ポリビニルアルコール(PVA)は、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。
保護層に用い得るポリビニルアルコールは、必要な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するかぎり、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を含有していてもよい。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、さらにはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等も好ましく用いられる。
これら変性ポリビニルアルコールは71〜100モル%加水分解された重合度300〜2400の範囲の化合物が好適に挙げられる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105,PVA−110, PVA−117, PVA−117H,PVA−120,PVA−124, PVA−124H, PVA−CS, PVA−CST, PVA−HC, PVA−203, PVA−204, PVA−205, PVA−210, PVA−217, PVA−220, PVA−224, PVA−217EE, PVA−217E, PVA−220E, PVA−224E, PVA−405, PVA−420, PVA−613, L−8等が挙げられる。また変性ポリビニルアルコールとしては、アニオン変性部位を有すKL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、カチオン変性部位を有すC−318、C−118、CM−318、末端チオール変性部位を有すM−205、M−115、末端スルフィド変性部位を有すMP−103、MP−203、MP−102、MP−202、高級脂肪酸とのエステル変性部位を末端に有すHL−12E、HL−1203、その他反応性シラン変性部位を有すR−1130、R−2105、R−2130等が挙げられる。
また保護層には無機質の層状化合物を含有することが好ましい。層状化合物とは薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2−510(OH,F,O)
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、B及びCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSi又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。また合成スメクタイトも有用である。
上記の層状化合物の中でも、合成の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、雲母、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘土鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩等の有機カチオンの陽イオンを吸着している。これらの層状化合物は水により膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はこの傾向が強い。
層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。粒子径が0.3μmよりも小さいと酸素や水分の透過の抑制が不十分であり、効果を十分に発揮できない。また20μmよりも大きいと塗布液中での分散安定性が不十分であり、安定的な塗布を行うことができない問題が生じる。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
次に、層状化合物を保護層に用いる場合の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
上記無機層状化合物は、保護層だけではなく画像記録層に添加することもできる。無機層状化合物の画像記録層への添加は、耐刷性、重合効率(感度)及び経時安定性の向上に有用である。
画像記録層への無機層状化合物の添加量は、画像記録層の固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.3〜30質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
保護層の他の添加物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を上記水溶性又は水不溶性ポリマーに対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を添加することができる。これら活性剤の添加量は上記水溶性又は水不溶性ポリマーに対して0.1〜100質量%添加することができる。
また、画像部との密着性を良化させるため、例えば、特開昭49−70702号公報及び英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。
さらに、保護層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
保護層の形成は、上記保護層成分を溶媒に分散又は溶解して調製された保護層塗布液を、画像記録層上に塗布、乾燥して行われる。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。
この保護層塗布液には、塗布性を向上させためのアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤や皮膜の物性改良のため水溶性可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、画像記録層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書又は特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、アルミニウム板を用いる。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、さらに、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/mであるのが好ましく、1.5〜4.0g/mであるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れにくさ、断熱性などを一層改良するため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろん、これら拡大処理、封孔処理はこれらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。例えば、封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔でも可能である。
本発明に用いられる封孔処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
<1>無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。なかでも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
水溶液中の無機フッ素化合物の濃度は、陽極酸化皮膜のマイクロポアの封孔を十分に行う点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上であるのがより好ましく、また、汚れ性の点で、1質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以下であるのがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、さらに、リン酸塩化合物を含有するのが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像性及び汚れ性を向上させることができる。
リン酸塩化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン酸塩が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。なかでも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性及び汚れ性の向上の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるのがより好ましく、また、溶解性の点で、20質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
水溶液中の各化合物の割合は、特に限定されないが、無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の質量比が、1/200〜10/1であるのが好ましく、1/30〜2/1であるのがより好ましい。
また、水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、40℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましい。
また、水溶液は、pH1以上であるのが好ましく、pH2以上であるのがより好ましく、また、pH11以下であるのが好ましく、pH5以下であるのがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回又は複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
<2>水蒸気による封孔処理
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧又は常圧の水蒸気を連続的に又は非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であるのが好ましく、95℃以上であるのがより好ましく、また、105℃以下であるのが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×105 〜1.043×105 Pa)であるのが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
<3>熱水による封孔処理
熱水による封孔処理としては、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)又は有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であるのが好ましく、95℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましい。
また、熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
本発明において、好ましい親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理又は電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲で、画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れにくさが得られる。
(バックコート層)
支持体に表面処理を施した後又は前述の中間層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。なかでも、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔製版方法〕
本発明の平版印刷版原版の製版方法には2通りの態様がある。1つ目は機上現像であり、2つ目はガム現像である。
(機上現像方法)
平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷インキと湿し水とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は、まず、平版印刷版原版を印刷機に装着して行ってもよく、露光後の平版印刷版原版を印刷機に装着してもよく、その後、該印刷機を用い、印刷インキと湿し水とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出して湿し水受容領域となり、印刷することができる。
以下、さらに詳細に説明する。
本発明において画像露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザー及び半導体レーザーなどが好適に挙げられる。
赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cmであるのが好ましい。レーザーにおいては、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像露光される。
平版印刷版原版を赤外線レーザーで画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく湿し水と印刷インキとを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/又は印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。湿し水及び印刷インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
(ガム現像方法)
画像様露光後、ガム液を用いて未露光部画像記録層の除去(現像)を行ってもよい。その後印刷に用いられる。本発明において、ガム液とは親水性樹脂を含有する水溶液を意味する。親水性樹脂を含有させることにより、未露光部画像記録層が除去され露出した親水性支持体を保護したり、画像部を保護したりすることが可能である。
ガム液には一般的に不感脂化作用の強いアラビアガムがしばしば使われ、アラビアガムの約15〜20%の水溶液をガム液とすることが多い。アラビアガム以外にも種々の水溶性樹脂が不感脂化剤として用いられる。例えば、デキストリン、ステラビック、ストラクタン、アルギン酸塩類、ポリアクリル酸塩類、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース塩、大豆のオカラから抽出した水溶性多糖類が好ましく、また、プルラン又はプルラン誘導体、ポリビニルアルコールも好ましい。
さらに、変成澱粉誘導体としてブリティッシュガム等の焙焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変成デキストリン、可溶化澱粉に示される酸化澱粉、変成アルファー化澱粉及び無変成アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、燐酸澱粉、脂肪澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、スルフォアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、ジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、燐酸架橋澱粉、ジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリロアミド共重合体、澱粉ポリアクリル酸共重合体、澱粉ポリ酢酸ビニル共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カオチン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カオチン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉ポリスチレンマレイン酸共重合体、澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体、澱粉ポリプロピレン共重合体等の澱粉グラフト重合体が好ましい。
また天然高分子化合物としては、かんしょ澱粉、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の澱粉類、カラジーナン、ラミナラン、海ソウマンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、トロロアオイ、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、キャロブガム、ベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、レバン等のホモ多糖ならびにサクシノグルカン及びサンタンガム等のヘトロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン及びコラーゲン等の蛋白質が好ましい。
これらの水溶性樹脂は2種以上組み合わせても使用でき、ガム液中に好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%の範囲で含有させることができる。
本発明に使用されるガム液には、上記の不感脂化剤の他にpH調整剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、親油性物質、湿潤剤、キレート剤、消泡剤などを含有させておくことができる。
ガム液はpH3〜12の範囲で使用することが有利であり、そのため一般にpH調整剤が添加されている。pHを中性〜弱酸性にするためには一般的にガム液中に鉱酸、有機酸又は無機塩等を添加し調節する。その添加量は0.01〜2質量%である。例えば鉱酸としては硝酸、硫酸、リン酸、メタリン酸等が挙げられる。有機酸としては酢酸、蓚酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、レブリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、またグリシン、α−アラニン、β−アラニンなどのアミノ酸等が挙げられる。無機塩としては硝酸マグネシウム、第1リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、硫酸ニッケル、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上を併用してもよい。
本発明のガム液に含有させる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらのなかでもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類及びα−オレフィンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、が特に好ましく用いられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が用いられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルイミダゾリン類、アルキルアミノカルボン酸類等が用いられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリプロピレングリコールの分子量200〜5000、トリメチロールプロパン、グリセリン又はソルビトールのポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの付加物、アセチレングリコール系等が挙げられる。又、弗素系、シリコン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
該界面活性剤は二種以上併用することができる。使用量は特に限定する必要はないが、好ましい範囲としてはガム液の全質量に基づいて0.01〜20質量%が適当であり、好ましくは0.05〜10質量%である。
また、防腐剤としては繊維、木材加工、食品、医薬、化粧品、農薬分野等で使用されている公知の物が使用できる。例えば第4級アンモニウム塩、一価フェノール誘導体、二価フェノール誘導体、多価フェノール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾロピリミジン誘導体、一価ナフトール、カーボネート類、スルホン誘導体、有機スズ化合物、シクロペンタン誘導体、フェニル誘導体、フェノールエーテル誘導体、フェノールエステル誘導体、ヒドロキシルアミン誘導体、ニトリル誘導体、ナフタリン類、ピロール誘導体、キノリン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、第2級アミン、1,3,5トリアジン誘導体、チアジアゾール誘導体、アニリド誘導体、ピロール誘導体、ハロゲン誘導体、二価アルコール誘導体、ジチオール類、シアン酸誘導体、チオカルバミド酸誘導体、ジアミン誘導体、イソチアゾール誘導体、一価アルコール、飽和アルデヒド、不飽和モノカルボン酸、飽和エーテル、不飽和エーテル、ラクトン類、アミノ酸誘導体、ヒダントイン、シアヌール酸誘導体、グアニジン誘導体、ピリジン誘導体、飽和モノカルボン酸、ベンゼンカルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸誘導体、ビフェニル、ヒドロキサム酸誘導体、芳香族アルコール、ハロゲノフェノール誘導体、ベンゼンカルボン酸誘導体、メルカプトカルボン酸誘導体、第4級アンモニウム塩誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒノキチオール、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、イソキノリン誘導体、アルシン誘導体、チオカルバミン酸誘導体、リン酸エステル、ハロゲノベンゼン誘導体、キノン誘導体、ベンゼンスルホン酸誘導体、モノアミン誘導体、有機リン酸エステル、ピペラジン誘導体、フェナジン誘導体、ピリミジン誘導体、チオファネート誘導体、イミダゾリン誘導体、イソオキサゾール誘導体、アンモニウム塩誘導体等の公知の防腐剤が使用できる。特に好ましい防腐剤として、ピリジンチオール−1−オキシドの塩、サリチル酸及びその塩、1,3,5−トリスヒドロキシエチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,3,5−トリスヒドロキシメチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールが挙げられる。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時のガム液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
ガム液には親油性物質を含有させておくこともできる。好ましい親油性物質には、例えばオレイン酸、ラノリン酸、吉草酸、ノニル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などのような炭素数が5〜25の有機カルボン酸、ひまし油などが含まれる。これらの親油性物質は単独もしくは2以上を組み合わせて使用することができる。ガム液中に含ませる親油性物質は、その総質量に対して0.005〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%の範囲である。
その他、ガム液には必要により湿潤剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等を添加することができる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。これらの湿潤剤の好ましい使用量としては0.1〜5質量%である。
また、ガム液にはキレート化合物を添加してもよい。通常、ガム液は通常濃縮液として市販され、使用時に水道水、井戸水等を加えて希釈して使用される。この希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもあるので、キレート化合物を添加して、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることが出来る。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。これらキレート剤はガム液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時のガム液に対して0.001〜1.0質量%が適当である。
また、ガム液には消泡剤を添加することもでき、特にシリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化型等がいずれも使用できる。好ましくは使用時のガム液に対して0.001〜1.0質量%の範囲が最適である。
ガム液の残余の成分は水である。ガム液は、使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。ガム液は乳化分散型として調製してもよく、その油相としては有機溶剤が用いられ、又、前述したような界面活性剤の助けを借りて、可溶化型(乳化型)にしてもよい。
有機溶剤としては、20℃で水に対する溶解性が5質量%以下で沸点160℃以上の有機溶剤であることが好ましい。例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸ジエステル剤、例えば、ジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、例えば、エポキシ化大豆油などのエポキシ化トリグリセリド類、例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェートなどの燐酸エステル類、例えば、安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル類などの凝固点が15℃以下で、1気圧下での沸点が300℃以上の可塑剤が含まれる。
その他アルコール系としては、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。グリコール系としてはエチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテルエチレングリコールヘキシルエーテル、オクチレングリコール等が挙げられる。
上記化合物を選択するときの条件としては臭気が特に挙げられる。これら溶剤の使用量の好ましい範囲は版面保護剤の0.1〜5質量%でより好ましい範囲は0.5〜3質量%である。これらの溶剤は1種もしくは2種以上併用することもできる。
本発明に用いられるガム液は、水相を温度40℃±5℃に調製し、高速攪拌し、水相の中に調製した油相をゆっくり滴下し充分攪拌後、圧力式のホモジナイザーを通して乳化 分散することによって作製される。
本発明の製版方法としては、上記のガム液を用いた未露光部画像記録層の除去工程に続いて、水洗工程や、さらに引き続いてガム液による非画像部の不感脂化工程、を適宜行うことが出来る。
本発明のガム現像処理は、ガム液などの供給手段及び擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開2006−235227号公報等に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。
上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、及び、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、未露光部の画像記録層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本発明のガム現像に用いられるガム液や、後工程の水洗水の温度は、それぞれ別々に任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
なお、本発明のガム現像方法において、ガム現像後の任意の場所に乾燥工程を設けることも可能である。乾燥工程は、一般にローラーニップで処理液のほとんどを除去した後に、任意の温度の乾燥風を吹き付けることにより行われる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<特定化合物(A−1)の合成方法>
1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン50g(東京化成工業(株)製)のアセトニトリル150mlの溶液に、0℃下で、メチルp-トルエンスルホネート(東京化成工業(株)製)83.1gのアセトニトリル30mlの溶液を滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌後、析出した結晶をろ過し、アセトニトリル200mlで洗浄、乾燥し、本発明の特定化合物(A−1)130g(収率98%)を得た。構造同定は、1H-NMR(DMSO)にて行った。
1H−NMR(400 MHz, DMSO-d6): δ 7.52(d, J= 7.0 Hz, 2H), 7.13 (d, J= 7.0 Hz, 2H), 3.24(t, J = 7.0Hz, 6H), 2.99 (t, J = 7.0Hz, 6H), 2.94(s, 3H), 2.29 (s, 3H)
<特定化合物(A−2)の合成方法>
1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン50g(東京化成工業(株)製)のアセトニトリル160mlの溶液に、0℃下で、エチルp-トルエンスルホネート(東京化成工業(株)製)89.3gのアセトニトリル30mlの溶液を滴下した。滴下後、0℃で7時間攪拌の後、室温でさらに1時間撹拌させ、本発明の特定化合物(A−2)135g(収率97%)を得た。構造同定は、1H-NMR(DMSO)にて行った。
1H−NMR(400 MHz, DMSO-d6): δ 7.52(d, J= 7.0 Hz, 2H), 7.13 (d, J= 7.0 Hz, 2H), 3.24(t, J = 7.0Hz, 6H), 3.19(q, J = 7.0Hz, 2H), 2.99 (t, J = 7.0Hz, 6H), 2.29 (s, 3H), 1.18(t, J = 7.0Hz, 3H)
1.平版印刷版原版(1)〜(19)の作製
(1)支持体の作製(その1)
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に1.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて70℃で12秒間、シリケート処理を施した。蛍光X線でSi量を定量すると、Siの付着量は6mg/m2であった。その後、水洗して、支持体(2)を得た。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)中間層の形成
上記支持体(2)上に、下記中間層塗布液(1)を乾燥塗布量が8mg/m2になるよう塗布して中間層を形成した。
中間層塗布液(1)
・下記の中間層用ポリマー(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・蒸留水 1.00g
・特定化合物(表1記載) 0.017g
Figure 0005210671
(3)画像記録層の形成
中間層を有する表1記載の支持体に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
感光液(1)
・下記のバインダーポリマー(1) 0.162g
・下記の赤外線吸収剤(1) 0.030g
・下記の重合開始剤(1) 0.162g
・重合性化合物(アロニックスM215、東亞合成(株)製) 0.385g
・パイオニンA−20(竹本油脂(株)製) 0.055g
・下記の感脂化剤(1) 0.044g
・下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.008g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
ミクロゲル液(1)
・下記の通り合成したミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
Figure 0005210671
(ミクロゲル(1)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
(4)保護層の形成
上記画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成して平版印刷版原版(1)〜(19)を得た。
保護層塗布液(1)
・下記の通り調製した無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、 重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA-405、けん化度81.5モル% 、
重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤(エマレックス710)、
1質量%水溶液 8.60g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
2.平版印刷版原版(23)の作製
上記中間層塗布液(1)を、特定化合物を含まない下記の中間層塗布液(23)に変更した以外は平版印刷版原版(1)の作製と同様にして比較例用の平版印刷版原版(23)を得た。
中間層塗布液(23)
・上記の中間層用ポリマー(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・蒸留水 1.00g
3.平版印刷版原版(24)の作製
上記平版印刷版原版(1)の作製に記載の中間層を設けなかった以外は平版印刷版原版(1)の作製と同様にして比較例用の平版印刷版原版(24)を得た。
4.平版印刷版原版(20)の作製
支持体(2)上に平版印刷版原版(23)の作製に使用した中間層塗布液(23)を使用し、画像記録層塗布液(1)の代わりに、画像記録層塗布液(1)にさらに特定化合物(A−1)を0.017g添加した塗布液を使用した以外は平版印刷版原版(1)の作製と同様にして平版印刷版原版(20)を得た。
5.平版印刷版原版(21)の作製
(1)画像記録層の形成
画像記録層塗布液(1)の代わりに下記の画像記録層塗布液(21)を用いた以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(21)
・下記の通り製造したポリマー微粒子(疎水化前駆体)水分散液 33.0g
・下記の赤外線吸収剤(3) 1.0g
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 0.5g
・1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム 0.1g
・メタノール 16.0g
Figure 0005210671
(ポリマー微粒子(疎水化前駆体)水分散液の製造)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ蒸留水350mLを加えて内温が80℃となるまで加熱した。分散剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.5g添加し、さらに開始剤として過硫化アンモニウム0.45gを添加し、次いでグリシジルメタクリレート45.0gとスチレン45.0gとの混合物を滴下ロートから約1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で未反応単量体を除去した。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、最後に不揮発分が15質量%となるように純水を添加してポリマー微粒子(疎水化前駆体)水分散液を得た。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径60nmに極大値を有していた。
ここで、粒径分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
(2)保護層の形成
上記のようにして形成した画像記録層上に下記保護層塗布液(2)をバー塗布した後、60℃、120秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.3g/m2の保護層を形成して平版印刷版原版(21)を得た。
保護層塗布液(2)
・カルボキシメチルセルロース(質量平均モル質量2万) 5.0g
・水 50.0g
6.平版印刷版原版(22)の作製
(1)支持体の作製(その2)
非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)を、液温50℃のポリビニルホスホン酸1質量%水溶液の入った処理槽中に10秒間浸漬させ、支持体(3)を得た。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
上記支持体(3)上に、特定化合物(A−1)を用いた中間層塗布液(1)を乾燥塗布量が8mg/m2になるよう塗布して、支持体Bを作製した。
支持体Aの代わりに支持体Bを用いた以外は平版印刷版原版(1)の作製と同様にして平版印刷版原版(22)を作製した。
7.平版印刷版原版の評価(1)−機上現像
以下、実施例11〜15は、それぞれ、参考例11〜15に読み替えるものとする。
[実施例1〜22及び比較例1〜2]
得られた平版印刷版原版(1)〜(24)を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
(A)機上現像性
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。これらの結果を表1に示す。
(B)耐刷性
上述した機上現像性の評価を行った後、さらに印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
(C) 汚れ性
得られた平版印刷版原版を、60℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に2日間放置した後、上記と同様にして露光、印刷し、非画像部に表れたポツ状の汚れを倍率5倍のルーペを使用し、目視でカウントした。結果を表1に示す。
Figure 0005210671
表1からわかるように本発明によれば、機上現像性、耐刷性に優れ、汚れ性を向上させた平版印刷版原版を提供可能である。
8.平版印刷版原版の評価(2)−ガム現像(1)
以下、実施例33〜37は、それぞれ、参考例33〜37に読み替えるものとする。
[実施例23〜44及び比較例3〜4]
得られた平版印刷版原版(1)〜(24)を露光後にガム現像し、下記の印刷評価を行った。
(A)細線再現性(現像性)
赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力6.4Wで外面ドラム回転数150rpm、解像度2400dpiの条件で、得られた平版印刷版原版に画像露光した。露光画像にはベタ画像及び細線画像を含むようにした。
得られた露光済み原版を、図1に示す自動現像装置を使用し、現像および不感脂化処理を同一工程で行った。下記処方のガム液1を用いた。
<ガム液1>下記組成
アラビアガム 1.6%
酵素変成馬鈴薯澱粉 8.8%
燐酸化ワキシー玉蜀黍澱粉 0.80%
ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.10%
クエン酸 0.14%
αアラニン 0.11%
EDTA−四ナトリウム塩 0.10%
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸2Na塩 0.18%
エチレングリコール 0.72%
ベンジルアルコール 0.87%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.04%
エマルジョン型シリコン消泡剤 0.01%
水を加えて 全量を100%とする
pH 5.0
上記のように製版して得た平版印刷版をハイデルベルグ社製印刷機Speedmaster52のシリンダーに取り付け、湿し水〔IF102(富士フイルム(株)製エッチ液)/水=3/97(容量比)〕とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を100枚行った。
上記現像処理で画像記録層未露光部の除去が所望の画像通りに行われているかどうかを評価する手法として、露光された細線画像(10μmから50μmまで2μmおきに白細線(画像部の中の細線状非画像部)の太さを変えたテストチャート)が印刷用紙上でどの太さの白細線まで再現できているかを、印刷用紙を目視して再現している白細線の太さで評価した。すなわち、値が小さい方がより細い細線まで良好に現像されていることを表しており好ましい結果を示す。これらの結果を表2に示す。
(B)耐刷性
上述した細線再現性の評価を行った後、さらに印刷を続け、前述の機上現像した印刷版の場合と同様に耐刷性を評価した。結果を表2に示す。
(C) 汚れ性
実施例1の場合と同様に、平版印刷版原版を、60℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に2日間放置した後、上記細線再現性の評価と同様にして露光、ガム現像による製版及び印刷し、非画像部に表れたポツ状の汚れを倍率5倍のルーペを使用し、目視でカウントした。結果を表2に示す。
Figure 0005210671
9.平版印刷版原版の評価(3)−ガム現像(2)
以下、実施例55〜59は、それぞれ、参考例55〜59に読み替えるものとする。
[実施例45〜66及び比較例5及び6]
現像部に使用した処理液を弱アルカリ性ガム液1として、水酸化ナトリウムを加え、PH9.7としたガム液2を使用した。実施例23〜44と同様にして平版印刷版原版(1)〜(24)を製版し、細線再現性(現像性)、耐刷性及び汚れ性を評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 0005210671
表3からわかるように本発明によれば、良好なガム現像性(細線再現性)と耐刷性を示し、汚れ性を向上させた平版印刷版原版を提供可能である。
本発明に係る平版印刷版の自動現像装置の構成を示す図である。
符号の説明
1:回転ブラシロール
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
100:現像液タンク
101:循環ポンプ
102:版

Claims (12)

  1. アルミニウム支持体上に、中間層及び画像記録層をこの順に有し、一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物を中間層又は画像記録層に含有する平版印刷版原版であって、前記官能基が、下記構造のいずれかを有するオニウム塩である平版印刷版原版。
    Figure 0005210671

    (上記式中、X は任意のアニオンを表す。)
  2. 前記官能基が下記構造を有するオニウム塩である、請求項1に記載の平版印刷版原版。
    Figure 0005210671

    (上記式中、X は任意のアニオンを表す。)
  3. 一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版原版。
    Figure 0005210671

    (式中、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、Xは任意のアニオンを表す。)
  4. 一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の平版印刷版原版。
    Figure 0005210671

    (一般式(2)中、Wはn価の有機連結基を表す。nは2以上の整数を表す。Xは任意のアニオンを表す。)
  5. 一分子内にアミノ基及びアルミニウム支持体と相互作用する官能基を有する化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
    Figure 0005210671

    (一般式(3)中、Wは2価の有機連結基を表し、Rは有機残基を表す。nは2〜3の整数を表し、mはn×m=2を満たす数を表す。)
  6. 前記中間層が基板吸着性基、重合性基、及び親水性基を有するポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の平版印刷版原版
  7. 前記画像記録層が(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、及び(C)重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記画像記録層が、さらに、(D)バインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記画像記録層が、さらに(E)マイクロカプセル又はミクロゲルを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記画像記録層が、露光後に印刷機上で印刷インキと湿し水を供給して未露光部分を除去するか、又は露光後にガム液で現像することにより画像形成可能な画像記録層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  11. 請求項1に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷機上で印刷インキと湿し水とを供給して印刷開始することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
  12. 請求項1に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版をガム液で現像することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
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