JP3773966B2 - 受像シート材料、転写画像形成方法及び積層体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、感熱転写記録システムにおいて有用な受像シート材料、及び色材を含有する感熱インキ層を熱ヘッドを用い、あるいはレーザー光を照射して受像シート材料上に転写して画像を形成し、次いで再転写して永久支持体上に画像を形成する画像形成方法に関する。本発明の方法による画像は、特に印刷物近似性に優れ、品質が高い。
【0002】
【従来の技術】
近年OA化の進展に伴い、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写記録方式等の各種記録方式を利用した複写機やプリンタ等がそれぞれの用途に応じて用いられている。この画像形成には色材が用いられ、通常、色材を含む組成物を溶融し、あるいは色材を蒸発、昇華させて粘着、吸着、染着等の作用により記録媒体、例えば紙やフィルムシート等の上に画像を得ている。
【0003】
これらのうち、特に感熱転写記録方式は操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能であること等の利点を有している。この感熱転写記録方式には、以下の2種類が従来から知られている。即ち、支持体上に熱溶融性インク層を有する転写シートをレーザーあるいは熱ヘッドによりイメージワイズに(像様に)加熱して、該溶融性インクを感熱転写記録用受像シートに溶融転写する熱溶融型転写方式と、支持体上に熱拡散性色素(昇華性色素)を含むインク層を有する感熱転写記録用インクシートを用いて、感熱転写記録用受像シートに前記熱拡散性色素を拡散転写する昇華型染料転写方式の2種類である。
【0004】
昇華型染料転写方式は、熱ヘッドの熱的エネルギーの変化に応じて色素の転写量を変化させて画像の階調をコントロールすることができるので、シアン、マゼンタ、イエローの重ね記録を行うことによって、色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像が得られる利点がある。しかし、この方式には以下のような問題点がある。
▲1▼主として濃度階調を利用して画像の階調を再現するものであり、写真に類似する階調を好む民生用の一部の目的には適しているが、例えば面積階調のみで階調再現をしている印刷分野で使用されているカラープルーフ用途には適してい
ない。
▲2▼画像形成が染料の昇華を利用しているため、出来上がり画像のエッジシャープネスが十分ではなく、又、太線に比べ細線のベタ濃度が低くなる。このことは
特に文字画像の品質に関して大きな問題点となる。
▲3▼画像の耐久性が低く耐熱性や耐光性が要求される分野への展開が限定される。
▲4▼感熱記録感度が熱溶融型転写方式に比べて低いため、将来期待されている高解像力サーマルヘッドを用いる高速記録材料として適していない。
▲5▼熱溶融型転写材料に比べ感材が高価である。
【0005】
一方、熱溶融型転写方式は昇華型染料転写方式に比べて、感熱感度が高い、画像の耐光性が優れている、材料が安価である、等の利点があるが、一般的に以下のような欠点がある。
▲1▼階調再現が濃度階調ではなく2値記録であるため多階調性に劣る。
▲2▼通常、低融点の結晶性ワックスをインク層の結合剤としているため熱印字の際の滲みにより解像力が低下し、転写画像の強度が低い。
▲3▼結晶性ワックス類を用いると結晶相の光散乱により透明な画像が得難い。
【0006】
このような状況に鑑み、本発明者等は従来の昇華型染料転写方式や熱溶融型転写方式とは異なる、2値記録の面積階調のみで多階調性の顔料カラー画像が得られる新しい感熱記録材料として熱接着薄膜剥離方式を先に提案した(特願平5−263695)。この方式によれば、面積階調のみの顔料転写方式で従来の感熱転写記録方式の問題点が大幅に改善された多階調高品質カラー画像やモノクロ画像が達成され、これまでの民生用のみならず印刷分野におけるカラープルーフ、版下原稿、あるいは顔料の耐光性を活かしてカード分野、屋外ディスプレー分野、メーターディスプレー分野などへの展開が可能となる。
【0007】
一方、これら各種の感熱転写記録材料に使用される被転写材についても種々の提案がなされている。昇華型染料転写方式の受像媒体としては普通紙を用いた場合には特に染着が起こり難く記録像の濃度が低いばかりでなく、経時によって著しく褪色現象を起こしてしまう。そのため、熱可塑性樹脂を主成分とする受像層を普通紙上に設けた受像紙も提案されており、記録感度、解像度、鮮明度、色濃度、等の改良が種々検討されてきている。また、熱溶融型転写方式の被転写材についても普通紙の使用が原理的には可能であるが転写表面の平滑性やインク受理性に起因して転写ムラやドット抜け等の欠点が生じ易く難点となっている。したがって、表面平滑性、インクの転写受理性、定着性、階調性、鮮鋭性、等を改良すべく種々の受像材料が検討されてきている。ここでこれら各種の受像媒体の支持体としては普通紙、合成紙、合成樹脂フィルムあるいは白色顔料等を充填した白色ベース、等の専用の被転写材が使われている。したがってこの方法では画像形成が可能な被転写材は受像層が設けてある専用の紙あるいは樹脂シート等に限定されるので、印刷物近似性を要求されるプルーフ用途には品質が不十分であった。又、任意の所望する被転写支持体に記録画像を転写する方法も公知である。特開昭52−27642には転写層を中間受容体に加熱付着させ、次にこの付着した転写物を紙等の被転写物に転写する方法が記載されているが画像品質向上に関しては何ら述べられていない。
【0008】
特開昭63−82786には、塗工層材料に含まれるブチラ−ル以外の塗膜を構成する材料として、熱転写層に含まれるブチラ−ル樹脂と同様に他の樹脂やワックス等を選ぶ技術が記載され、樹脂例としてはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ロジンやポリアミド樹脂、スルホンアミド樹脂等の記載がなされているがこれらを使用した場合、特にロジンやポリアミド樹脂の場合は著しくシャドウ部がつぶれてしまったり、ポリアミド樹脂を使用した場合は再現階調性に対する温湿度の影響が大きいといった問題が有った。また、添加量が多いと著しく受像層表面がベトツキ、ゴミ欠陥やむらが増大する問題点があった。
【0009】
このように、感熱転写記録材料の被転写材としてはこれまでに種々の受像シート材料が提案されているが、面積階調のみの熱転写方式で記録感度、ドット品質、階調再現性に優れた画像を得るにはいずれも不充分であった。特に熱記録感度を高くしようとすると受像層の熱接着温度を低くし粘着性が増す方向になり、ベトツキによるスティッキング現象の発生や記録後の画像保存での耐接着性に問題が生ずる。このため、特に多階調高品質カラー画像、例えば色校正用のカラープルーフとして使用する場合には印刷本紙の質感再現、等の印刷物近似性にも大きな問題があった。
【0010】
更に、熱転写インキ層についても検討がなされ、例えば特開平5−254256には、ポリアミド樹脂(ナイロン)バインダー中に顔料を添加したトナ−層処方の記載がなされているが、この様なトナ−層ではナイロンの凝集力が高いことによりドットのきれが悪く、更に階調再現性や温湿度変化に弱いといった問題点が有った。
【0011】
この様に記録感度、ドット品質(網点形状)、諧調再現性(網点再現性)が良く、ベタツキやスティキング、ゴミ欠陥も無く、更に記録感度の湿度依存性も少なく印刷物近似性の良い画像を提供することができる様な優れた多階調高品質カラー画像の形成が可能な感熱転写記録用受像シート材料は知られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、面積階調のみの熱転写方式で記録感度、ドット品質、階調再現性に優れ、ベトツキ、スティッキング現象やゴミ欠陥が無く、更に湿度依存性の無い多階調高品質カラー画像の形成を達成しうる感熱転写記録用受像シート材料及びそれを用いた転写画像形成方法を提供することにある。さらには印刷本紙に転写が可能で印刷本紙の質感再現、画像の光沢、等の印刷物近似性に優れた感熱転写記録用受像シート材料及び転写画像形成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、熱転写可能なインキ層を有する転写材料から受像シート材料上にインキ層を熱転写し、次いで永久支持体上に再転写する転写画像の形成に用いる受像シート材料において、該受像シート材料が、支持体上に少なくとも2層の受像層を有し、該受像層の少なくとも1層が永久支持体に転写され、少なくとも該インキ層が転写される受像層がポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量を下記一般式(I)で示される基に変換した樹脂を含有する事を特徴とする受像シート材料により達成された。
−O−W (I)
〔式中、Wは−CONH−Y1 、−Y3 、−CO−Z1−COOH、−COCH2COMe、Y1 、Y 3 は炭素数1〜20の1価の有機基、Z1は炭素数1〜20の2価の有機基、を示す。〕
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
受像シートの支持体としては、化学的及び熱的に安定であり、かつ撓曲性を有する物質が用いられる。必要に応じて化学光線透過性であってもよい。具体的には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル類、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セロハン等のセルロース誘導体、ポリアミド類、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド類、場合によりポリエチレンフイルムをラミネートした紙なども使用可能である。これらの中で特に好ましい物は、寸度安定性及び透過性において優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムであるが、これらに限定されるものではない。また、支持体の上に少なくとも2層を設けるが、好ましくは支持体に接する層(以下受像一層と記す)及びその上に設ける層(以下受像二層と記す)からなることが好ましい。
【0015】
これら支持体と受像一層の接着力をあげる為にコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理やあるいはアンダーコート層を設けることも可能である。アンダーコート層としては支持体と受像一層の接着力を上げるものなら限定はないが、特にシランカップリング剤等が好適である。
【0016】
次に受像一層について説明する。受像一層の弾性率は200kg・f/cm2 以下であることが好ましい。この理由は弾性率の小さいポリマーを用いることにより受像層にクッション性が生じて、記録感度、ドット品質、階調再現性の向上が得られる。さらに記録する際に感熱記録材料と受像シート材料の間にゴミ等の異物が存在した場合にも受像一層のクッション性がある為に画像欠陥になりにくいという利点がある。また、画像を受像シート材料に転写後、紙などの印刷本紙上に熱と圧で再転写する際に該層が紙の凹凸に従って埋め込まれるので、紙との密着をよくし、受像二層を剥離した後に表面をマット化等の特別な処理をしなくとも表面光沢が印刷物に近似した画像が得られる。
【0017】
具体例としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニルあるいはエチレンとアクリル酸エステルの如きエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの如き塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロンの如きポリアミド樹脂、合成ゴム、塩化ゴム等の有機高分子物質から少なくとも1つ選ばれるのが好ましい。これらの中で特に重合度が200〜2000の、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとビニルアルコールの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとマレイン酸の共重合体等が特に好適である。その理由としてポリ塩化ビニル及び塩化ビニル共重合体は(1)常温での粘着性がほとんど無いこと、(2)弾性率が比較的小さく、熱転写時に転写画像の凹凸に容易に追従可能なこと、(3)相溶性の良好な可塑剤が豊富で実質的な弾性率のコントロールが容易なこと、(4)共重合成分中の水酸基あるいはカルボキシル基の効果で層間密着力のコントロールが容易なこと、等が挙げられる。もちろんこれらの有機高分子中に受像シート支持体や、受像二層との接着力を調整する為に、各種のポリマーや密着改良剤あるいは界面活性剤や離型剤を加えることも可能である。また弾性率を下げる目的で常温での粘着性が生じない範囲で粘着性ポリマーの一部併用も非常に有効である。
【0018】
例えば、フッ素系の界面活性剤等を各層中に利用することができ、添加により層間密着力が低下すると同時に熱転写インキ層と受像層表面の濡れ性が向上し、ドット形状は良化する。但し、添加量が多すぎると熱転写インキ層と受像層表面の接着力が低減するためにドット形状が悪化してしまうので、離型剤や界面活性剤の添加量は好ましくは0.0001〜5%、特に好ましくは0.001〜3%である。塗布面状を良くするためには、少量の界面活性剤の添加が好ましい。
【0019】
塩化ビニル系樹脂を使用する場合には、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニル共重合体の安定化剤として一般に知られるブチル錫系安定剤あるいはオクチル錫系安定剤等の有機錫系安定剤を添加することも有効である。
【0020】
受像一層の厚さは1μm〜50μmが好ましく、特に5μm〜30μmが好ましい。この理由の1つは受像シート材料上に転写された画像を永久支持体に転写する場合に永久支持体の表面の凹凸より厚くする必要があること、第2の理由は4色のカラー画像が重なる部分のレリーフ段差を充分に吸収しうる厚みが必要な為である。さらに第3の理由は充分なクッション性を得る為である。
【0021】
次にこの上に設ける受像二層について説明する。受像二層の目的は永久支持体への再転写時に受像シート材料を剥離する際、受像一層と受像二層の間で層間剥離をさせ、永久支持体上の画像上に薄い受像二層のみを残し、永久支持体の凹凸により、特別なマット化処理をほどこすことなく実際の印刷物の光沢に近似した画像を得ることにある。さらに第2の目的は画像の耐傷性の向上にある。従って、このような効果を有する限り、受像二層が2層以上の積層された層により構成されていても良い。
【0022】
受像二層の素材としては、ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量を下記一般式(I)で示される基に変換した樹脂(以下、変性ポリビニルアセタール樹脂と記す)が用いられる。
−O−W (I)
〔式中、Wは−CONH−Y 1 、−Y3、−CO−Z1−COOH、−COCH2COMe、 Y1 、Y 3は炭素数1〜20の1価の有機基、Z1は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。〕
【0023】
Y 1 、Y 3 は炭素数1〜20の1価の有機基であれば特に限定は無いが具体例としてはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アミル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、デシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−メトキシプロピル、2−クロロエチル、トリクロロエチル、メトキシエトキシエチル、シアノエチル、2−アミノカルボニルエチル、ベンジル、フェネチル、メトキシベンジル、α−メチルベンジル、フェニル、ナフチル、メトキシフェニル、フロロフェニル、トリル、スチリル、トリフロロメチルフェニル、ビニルベンジル、3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アセチルメチル等が挙げられる。更にこれらの基に置換基を有していても良い。Z1 は炭素数1〜20の2価の有機基であれば特に限定は無いが具体例としてはエチレン、プロピレン、ビニレン、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセレン等が挙げられる。更にこれらの基に置換基を有していても良い。
【0024】
この様にポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の一部又は全部をその他の官能基に変換した樹脂を熱転写材料に用いた例としては例えば特開昭61−14983号公報、同61−14991号公報、同61−14992号公報、同62−259889号公報等にポリビニルアセタール樹脂とイソシアネート類の付加物を用いる記載が有る。しかしながらこれらのイソシアネート類としては何れも多官能イソシアネート類の例しか記載がなく、前記一般式(I)示される基に変換した樹脂とは異なるものである。又、これらの例の樹脂は何れも支持体上の熱転写層を有しない面に設けられるものであり、本発明の形態とは異なるものである。この他例えば特開昭61−211094号公報にはブチラール樹脂と架橋剤の反応物を用いる記載が有る。しかしながらこの場合においても前記一般式(I)示される基に変換した樹脂とは異なるものである。又、この例の樹脂はインク層の樹脂として用いられるものであり、本発明の形態とは異なるものである。
【0025】
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルアセタール樹脂を適当な溶剤中で、適当な官能基を有する化合物、及び必要に応じて反応触媒を用いる高分子反応によって合成可能である。ポリビニルアセタール樹脂とは、例えばポリビニルアルコールを少なくとも1種の適当なアルデヒドとの反応によりアセタール化した樹脂であり具体的にはポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールや部分的にホルマール化した部分を含むポリビニルブチラール、ポリビニルブチラールアセタール等の共重合アセタール等がある。これらは例えば電気化学工業(株)製デンカブチラール#2000L、#3000−1、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−C、デンカホルマール#20、#100、#200、積水化学工業(株)製エスレックBシリーズBL−1、BL−2、BL−S、BM−1、BM−2、BH−1、BX−1、BX−10、BL−1、BL−SH、BX−L、エスレックKシリーズKS−10等として入手が可能である。又、これらの樹脂はその他の繰り返し単位を含有していても良い。
【0026】
これらのポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は約50〜85mol%が好ましく、更に好ましくは約60〜80mol%である。アセタール化度が50mol%未満では原料樹脂の溶解性が劣り、85mol%を越えるものは理論上合成が困難である。重合度としては約50〜2000が好ましく、更に好ましくは100〜1000である。重合度が50未満のものは合成が困難であり、2000を越えるものは溶解性が劣る。適当な溶剤としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、クロロホルム、酢酸エチル、メトキシプロピルアセテート、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。
【0027】
次に各官能基毎に変性ポリビニルアセタール樹脂の合成方法について述べる。ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量をウレタン基(−OCONH−Y1 )に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は、例えばポリビニルアセタール樹脂と単官能イソシアネートとの付加反応により得られる。単官能イソシアネートの具体例としてはエチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、i−プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、3−i−プロペニルクミルイソシアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、2−フロロフェニルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、2−トリフロロメチルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート、α−メチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。これらの反応においてはジブチル錫ジアセテート等の錫触媒の使用が有効である。反応温度としては室温から80℃付近が好ましい。
【0028】
ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量をカーボネート基(−OCOO−Y2 )に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は例えばポリビニルアセタール樹脂とハロギ酸エステルとの反応により得られる。ハロギ酸エステルの具体例としてはクロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸アリル、クロロギ酸n−プロピル、クロロギ酸ブチル、クロロギ酸アミル、クロロギ酸ヘキシル、クロロギ酸−2−エチルヘキシル、クロロギ酸−2−クロロエチル、クロロギ酸−2−メトキシエチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸−2−ナフチル等が挙げられる。これらの反応においてはトリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム等の塩基を併用する事が好ましい。反応温度としては0℃〜40℃付近が好ましい。
【0029】
ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量をエーテル基(−OY3 )に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は例えばポリビニルアセタール樹脂又はこの樹脂の金属アルコラートと有機ハライドとの反応によって得られる。有機ハライドの具体例としてはヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ベンジルブロマイド、ベンジルクロリド等が挙げられる。これらの反応においては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の使用が有効である。反応温度としては室温から120℃付近が好ましい。又ポリビニルアセタール樹脂とアクリロニトリル等のα、β不飽和化合物やエポキシ化合物との付加反応によっても得られる。これらの反応においては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の使用が有効である。反応温度としては室温から100℃付近が好ましい。
【0030】
ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量をシリルエーテル基(−OSiY4Y5Y6 )に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は例えばポリビニルアセタール樹脂とハロゲン化シランとの脱ハロゲン化水素反応によって得られる。ハロゲン化シランの具体例としてはトリメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド等が挙げられる。これらの反応においては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等の使用が好ましい。反応温度としては0℃から40℃付近が好ましい。
【0031】
ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量を二塩基酸半エステル基(−OCO−Z1−COOH)に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は例 えばポリビニルアセタール樹脂と二塩基酸無水物との付加反応によって得られる。二塩基酸無水物の具体例としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの反応においてはトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の使用が好ましい。反応温度としては室温から100℃付近が好ましい。
【0032】
ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量をアセトアセテート基(−OCOCH2COMe)に変換した変性ポリビニルアセタール樹脂は例えば ポリビニルアセタール樹脂とジケテンとの付加反応によって得られる。この反応においては酢酸ナトリウム、イミダゾール等の使用が好ましい。反応温度としては室温から80℃付近が好ましい。
【0033】
これらの変性ポリビニルアセタール樹脂の変性の割合(原料ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基に対する変換した官能基の当量)は0.1〜1当量が好ましく、更に好ましくは0.2〜1当量である。0.1当量未満では記録感度の湿度依存性が大きい。又これらの反応の際には反応を効率的に進行させる為に反応試薬を原料ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基に対して1当量以上用いる事も可能である。この場合においては反応終了後に過剰の反応試薬を性能上で影響の無い範囲で残存させたままでも、又必要に応じて精製除去しても良い。また、一般にポリビニルアセタール樹脂中には水分を含有する為、反応時には水との反応生成物も混入する場合がある。この様な水との反応生成物は性能上で影響の無い範囲で残存させたままでも、又必要に応じて精製除去しても良く、又反応時又は反応前に脱水処理を施しても良い。これらの変性ポリビニルアセタール樹脂は単独で用いても、あるいは2種以上の変性ポリビニルアセタール樹脂を併用してもよい。これらの変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、受像二層の全固形分中、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である。
【0034】
また更に少なくとも下記一般式(II)及び/又は一般式(III)の繰り返し単位を有する高分子化合物と併用することが好ましい。
【0035】
【化2】
【0036】
〔式中のR1は水素原子もしくはメチル基、Aはアミド結合を有する置換基もし くは含窒素ヘテロ環、R4は水素原子もしくはメチル基、R6、R7、R8は、同一でも異なってもよい炭素数1〜25のアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基もしくは炭素数6〜25のアリール基(該アルキル基、アラルキル基、アリール基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基及びこれらの2種以上の組合せで置換されても良く、途中にエーテル結合、−OCO−、−COO−及びこれらの2種以上の組合せを介していてもよい)、XはCl、BrもしくはIを示す。〕
【0037】
一般式(II)及び/又は一般式(III)の繰り返し単位を有する高分子化合物は下記一般式(IV)及び/又は(V)で示される単量体を常法に従い適当な溶媒中又は無溶媒で重合開始剤の存在下で重合、もしくは他の単量体と共重合させることにより得られる。
【0038】
【化3】
【0039】
〔式中の記号は一般式(II)、(III)と同義である。〕
【0040】
一般式(IV)のAがアミド結合を有する置換基の場合としては例えばCONHR2、CONR2R3が挙げられる。R2、R3は例えば各々独立に水素原子、炭 素原子数1〜18のアルキル基もしくは炭素数6〜20のアリール基(該アルキル基、アリール基はヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基の1つ以上、及びこれらの2種以上の組合せで置換されてても良い)、R2とR3が結合して炭素数1〜20のアルキレン、アラルキレン(該アルキ レン、アラルキレンは分岐を有してもよく、またエーテル結合、−OCO−、−COO−、及びこれらの2種以上の組合せを含んでもよい)、又、Aが含窒素ヘテロ環の場合、イミダゾール類、ピロリドン類、ピリジン類、カルバゾール類等が挙げられ、それらは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン、シアノ基、及びこれら2種以上の組み合わせで置換されていてもよい。
【0041】
一般式(IV)のAのより好ましい範囲はアミド結合を有する置換基の場合、CONHR2、CONR2R3;R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数6〜15のアリール基(該アルキル基、アリール基はヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基)、Aが含窒素ヘテロ環の場合は、イミダゾール類、トリアゾール類が挙げられ、それらは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基で置換されていてもよい。
【0042】
一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基などがある)、N−アリール(メタ)アクリルアミド(該アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等がある)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある)、N,N−ジアリール(メタ)アクリルアミド、(該アリール基としては、例えばフェニル基がある)、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチル(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、2および3および4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−ビニルトリアゾール、1−ビニル−3,5ジメチルイミダゾール、ビニルピロリドン、4−ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、等が挙げられる。
【0043】
一般式(V)のR4は水素原子もしくはメチル基、R6、R7、R8は、同一でも異なってもよい炭素数1〜25のアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基もしくは炭素数6〜25のアリール基(該アルキル基、アラルキル基、アリール基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基及びこれらの2種以上の組合せで置換されても良く、途中にエーテル結合、−OCO−、−COO−及びこれらの2種以上の組合せを介していてもよい)XはCl、BrもしくはIを表す。
【0044】
一般式(V)のより好ましい範囲はR4は水素原子もしくはメチル基、R6、R7、R8は同一でも異なってもよく炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基もしくは炭素数6〜20のアリール基(該アルキル基、アラルキル基、アリール基は、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基及びこれらの2種以上の組合せで置換されても良く、途中にエーテル結合、−OCO−、−COO−及びこれらの2種以上の組合せを介していてもよい)、XはCl、BrもしくはIを表す。
【0045】
一般式(V)で表される化合物の具体例としてはN,N,N−(トリアルキル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド、N,N,N−(トリアルキル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムブロミド、N,N,N−(トリアルキル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムヨーダイド(該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ドデシル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある)、N,N−(ジメチル)−N−(ドデシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド、N,N−(ジメチル)−N−(ベンジル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド、N,N,N−(トリメトキシエチル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド、N,N−(ジメチル)−N−(フェニル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド等が挙げられる。
【0046】
次に一般式(IV)及び/又は一般式(V)で示される単量体と共重合可能な他の単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。具体的には(メタ)アクリル酸エステル類、例えばアルキル(メタ)アクリレート、又は置換(メタ)アルキルアクリレート、(例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレートなど)、スチレン類、例えばスチレン、アルキルスチレン(例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲノスチレン(例えばクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンなど)、ヒドロキシスチレン等;クロトン酸エステル類、例えば、クロトン酸アルキル(例えばクロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネートなど)、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリルがある。
【0047】
この様な一般式(II)及び/又は一般式(III)で示される繰り返し単位を有する重合体の好ましい具体例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N−ブチル(メタ)アクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N−ブチル(メタ)アクリルアミド/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N−ブチル(メタ)アクリルアミド/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、(メタ)アクリロイルモルホリン/ブチル(メタ)アクリレ−ト共重合体、(メタ)アクリロイルモルホリン/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、(メタ)アクリロイルモルホリン/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、1−ビニルイミダゾ−ル/ブチル(メタ)アクリレ−ト共重合体、1−ビニルイミダゾ−ル/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、1−ビニルイミダゾ−ル/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト共重合体、N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリヘキシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリオクチル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリドデシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリヘキシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムヨーダイド共重合体、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリヘキシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、(メタ)アクリロイルモルホリン/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト/N,N−(ジメチル)−N−(ベンジル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、N−ブチル(メタ)アクリルアミド/ヘキシル(メタ)アクリレ−ト/N,N,N−(トリメトキシエチル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド共重合体、N,N,N−(トリヘキシル)−N−(スチリルメチル)−アンモニムクロリド重合体等が挙げられる。また、好ましい(II)及び/又は(III)の単位の含有率は5〜100モル%であり、更に好ましくは10〜100モル%である。(II)及び/又は(III)の単位の含有率が5モル%未満では画質品質が劣る。好ましい重量平均分子量の範囲としては1000〜200000であり更に好ましくは2000〜100000である。分子量が1000未満では製造が難しく20万を越えると溶剤への溶解性が低下する。
【0048】
受像二層中の一般式(II)及び/又は(III)の繰り返し単位を有する高分子化合物の添加量は、全固形分に対して、好ましくは0〜50重量%でありこれ以上の添加では受像二層表面がべとつき取扱い上支障をきたす。更に好ましくは0〜40重量%、特に好ましくは5〜40重量%の範囲である。
【0049】
受像二層中には更に必要に応じて、性能を損なわない範囲でその他の樹脂を併用してもよい。これらの樹脂と併用が可能な樹脂は種々あるが例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニルあるいはエチレンとアクリル酸エステルあるいはエチレンとアクリル酸の如きエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの如き塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンとマレイン酸エステルの如きスチレン共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート(共)重合体、アルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸等の共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド(共)重合体、酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、変性されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン 如きポリアミド樹脂、合成ゴム、塩化ゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、ヒドロキシスチレン共重合体、スルフォンアミド樹脂、エステルガム、セルロース樹脂、ニトロセルロース、ロジン、でんぷん、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0050】
これら樹脂の中には各種界面における接着力の関係を満たす為に他の密着改良剤、離型剤、可塑剤、界面活性剤等を添加することができるのは当然である。
【0051】
受像二層に用いる塗布溶剤としては塗布時における塗布溶剤の下層への浸透による受像一層と受像二層の混ざり込みを防ぐ目的で、受像一層に用いた樹脂を溶解もしくは膨潤させないような塗布溶剤を用いることが必要である。例えば、各種の溶剤に対して比較的溶解性の良好な塩化ビニル系の樹脂を受像一層に使った場合にはアルコール系もしくは水系の塗布溶剤を使用することが好ましい。
【0052】
受像二層の膜厚としては、0.1μm〜10μm位が好ましく特に0.5μm〜5μmが好ましい。膜厚が厚すぎると永久支持体の表面の凹凸感が損なわれ、光沢が出過ぎて印刷物近似性を悪くする。
【0053】
永久支持体への転写時に受像シート材料を剥離する際、受像一層の有機高分子物質と受像二層の有機高分子物質の間で層間剥離を起こさせるには、各層間の密着力のバランスが重要であるが、層間密着力のコントロールにおいて本発明で利用した重層塗布時の混合を防ぐ為に塗布溶剤の選択の他に、親水性ポリマーと親油性ポリマーあるいは極性ポリマーと非極性ポリマーの組み合わせといった素材の選択、シランカップリング剤等の密着改良剤、フッ素系やシリコーン系の離型効果を有する各種添加剤、界面活性剤.可塑剤等を受像一層あるいは受像二層に添加することが有効である。
【0054】
受像二層、即ち、熱転写可能なインキ層を受容する層の上には、受像層の滑り性や耐傷性を向上させる目的で、上塗層として、種々の離型剤や滑剤の層を設けることができる。具体的には、例えばパルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、脂肪酸アミド類等の脂肪酸誘導体、高級アルコール類、多価アルコール類のエテル等誘導体、パラフインワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ミツロウ、木ロウ、キヤンデリラワックス等のワックス類、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或いは同様に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面活性剤、パーフロロ系界面活性剤等、から1種以上選択して用いることができる。
【0055】
上記受像一層と受像二層の間には、転写性の調整等の目的で、中間層を設けることもできる。又、支持体の受像一層と受像二層を設けていない側に受像シート同士の滑り性や耐傷性を向上させる目的の層を設けてもよい。
【0056】
次に、本発明に有用な、支持体上に熱転写可能なインキ層を有する転写材料(以下、「熱転写シート」と称する)について説明する。
【0057】
熱転写シートの支持体としては、従来の溶融転写や昇華転写用支持体として公知の種々の支持体が使用されるが、通常のサーマルヘッド転写感材と同様に厚み5μm前後の裏面に離型処理を施したポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0058】
熱転写シートのインキ層は、主成分として着色材(主に顔料)、非晶質有機高分子結合体を含有する。顔料としては種々の公知の顔料が使用でき、例えばカーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。これらは2種以上組み合わせて使用することも可能であり、又色相調整のため公知の染料を添加しても良い。
【0059】
非晶質有機高分子結合体は、軟化点が50℃〜150℃の範囲にあることが好ましく、例えばブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独あるいは他の単量体等との共重合体を用いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用いることもできる。
【0060】
これらの内、後に述べる本発明の特徴である分散性の観点からブチラール樹脂やスチレン/マレイン酸ハーフエステル樹脂などが特に好ましい。これら樹脂の軟化点は50℃〜150℃の範囲にあるのが好ましい。150℃を越えると熱記録感度が低く、他方50℃未満ではインキ層の耐接着性が劣る。
【0061】
これらインキ層には、熱印字の際のインキ層の支持体からの離型性及び熱感度向上の観点から種々の離型剤や軟化剤をインキ層総量に対して1重量%から20重量%の範囲で加えることも可能である。具体的には、例えばパルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、脂肪酸アミド類等の脂肪酸誘導体、高級アルコール類、多価アルコール類のエテル等誘導体、パラフインワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ミツロウ、木ロウ、キヤンデリラワックス等のワックス類、粘度平均分子量が約1,000から約10,000程度の低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフイン類、或いはオレフイン、α−オレフイン類と無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸、酢酸ビニル等との低分子量共重合体、低分子量酸化ポリオレフイン、ハロゲン化ポリオレフイン類、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等長鎖アルキル側鎖を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル又はパーフロロ基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類の単独もしくはスチレン類等のビニル系単量体との共重合体、ポリジメチルシロキサン、ポリジフエニルシロキサン等の低分子量シリコーンレジン及びシリコーン変性有機物質等、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或いは同様に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面活性剤、パーフロロ系界面活性剤等、から1種以上選択して用いることができる。
【0062】
これら熱転写可能なインキ層の光学濃度は、先に述べた理由により、白色支持体上に熱転写した際にその反射濃度が1.0以上なければならない。また、膜厚は0.2μmから1.0μmの範囲が好ましい。1.0μmよりも大きな厚いインキ層においては面積階調のみによる階調再現性において、シャドウ部がつぶれやすかったり、ハイライト部がとびやすかったりして、結果的に階調再現性が劣ることになる。一方、0.2μmより下の膜厚では、所定の濃度を出すことが難しい。
【0063】
これらの薄膜で所定の濃度を出すためには、該インキ層中、顔料が30重量部〜70重量部、非晶質有機高分子結合体が25重量〜60重量部で、必要に応じ添加される離型性物質や軟膜剤の総量が1重量部〜15重量部であることが好ましい。顔料比率がこれ以下では上記所定の膜厚で所定の濃度を出すことが難しい。また、顔料の粒径は顔料の70%以上が1.0μm以下であることが必要である。粒径が大きい場合にはカラー再現時の各色の重なり部の透明性が損なわれ、かつ先の膜厚と濃度の関係の両者を満たすことが困難になる。
【0064】
これら顔料の、非晶質有機高分子結合体への分散に関しては、適切な溶剤を加えて、ボールミルを初めとする塗料分野で使用される種々の分散方法が適用される。
【0065】
上記熱転写可能なインキ層は主成分が顔料と非晶質の有機高分子結合体であり、かつ従来のワックス溶融型に比べ、顔料比率も高く、通常の溶融型に比べ熱転写時の粘度が102〜103cps のように低くなることはなく、150℃の温度において少く共104cpsよりも高いので、本発明は、受容シートの熱接着性、あるいはカラー像作成の場合はインキ層間の熱接着性を利用した薄膜剥離現像タイプの画像形成であるということができる。このことがインキ層の薄層化の効果と相いまって、高解像力性を維持した上で、シャドウ部からハイライト部に到る広い階調再現を可能にし、かつエッジシャープネスを良好にし、更に100%の画像の転写を可能にすることにより、例えば4ポイントの小さな文字とベタ部の濃度の均一性を実現した。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
【実施例】
<変性ポリビニルアセタール樹脂の合成>
合成例1
ポリビニルブラチール(積水化学工業(株)製、エスレックB BX−10)105.1部をアセトン389.7部に溶解した。ここにブチルイソシアネート24.8部(水酸基に対して0.5当量)を添加した。更にジブチル錫ジアセテート0.03部を加え、30℃で10時間加熱撹拌を行なった。この溶液を水5lに注いで再沈精製し、更に水洗、乾燥する事によりポリビニルブチラール中の水酸基をウレタン基に変換した樹脂(樹脂No.1)120.6部を得た。
【0067】
合成例2〜13
表−1に示した樹脂、イソシアネートを用いて合成例1と同様にして変性ポリビニルアセタール樹脂(樹脂No.2〜13)を得た。
【0068】
合成例14
ポリビニルブラチール(積水化学工業(株)製、エスレックB BX−10)105.1部をメチルエチルケトン232.1部に溶解した。ここにブチルイソシアネート49.6部(水酸基に対して1.0当量)を添加した。更にジブチル錫ジアセテート0.09部を加え、40℃で6時間加熱撹拌を行なう事によりポリビニルブチラール中の水酸基をウレタン基に変換した樹脂(樹脂No.14)の40重量%メチルエチルケトン溶液を得た。
【0069】
合成例15〜17
合成例6、10、12に用いた樹脂、イソシアネートを用いて合成例14と同様にして変性ポリビニルアセタール樹脂(樹脂No.15〜17)の40重量%メチルエチルケトン溶液を得た。
【0070】
合成例18
ポリビニルブラチール(積水化学工業(株)製、エスレックB BX−10)63.1部、トリエチルアミン22.8部、ジメチルアミノピリジン0.7部をアセトン189.3部に溶解した。ここに無水フタル酸44.4部(水酸基に対して1.0当量)を添加した。室温で10時間反応させた後、この溶液を水5lに注いで再沈精製し、更に水洗、乾燥する事によりポリビニルブチラール中の水酸基をフタル酸半エステル基に変換した樹脂(樹脂No.18)87.6部を得た。
【0071】
合成例19
乾燥テトラヒドロフラン136部に水素化ナトリウム(油性)8.8部を添加した。ここにポリビニルブラチール(積水化学工業(株)製、エスレックB BX−10)42.0部を少しずつ添加した。1時間室温で撹拌した後ベンジルブロマイド34.2部(水酸基に対して1.0当量)を滴下した。この溶液を還流下で10時間加熱撹拌した。反応液を塩酸9mlを含む水3lに注いで再沈精製し、更に水洗、乾燥する事によりポリビニルブチラール中の水酸基をベンジルエーテル基に変換した樹脂(樹脂No.19)43.9部を得た。
【0072】
合成例20
ポリビニルブラチール(積水化学工業(株)製、エスレックB BX−10)63.1部、酢酸ナトリウム0.49部をアセトン189.3部に溶解した。ここにジケテン25.2部(水酸基に対して1.0当量)を添加した。この溶液を還流下で10時間加熱撹拌した。反応液を水5lに注いで再沈精製し、更に水洗、乾燥する事によりポリビニルブチラール中の水酸基をアセチルアセトネート基に変換した樹脂(樹脂No.20)75.3部を得た。
【0073】
<一般式(II)及び/又は(III)の繰り返し単位を有する高分子化合物の合成>
合成例21
プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル170部を窒素気流下80℃にて加熱攪拌し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07部を加え30分間攪拌した。これにブチルアクリレート31.6部、N,N−ジメチルアクリルアミド24.4部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07部を30分間かけて滴下した。滴下終了の30分後と1時間後に更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をそれぞれ0.15部添加し、更に4時間加熱攪拌し、高分子化合物(樹脂No.21)の28%プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル溶液を得た。重量平均分子量は(ポリスチレン換算)13000であった。
【0074】
合成例22〜24
表−2.に示したモノマーを用いて合成例21と同様に処理する事で高分子化合物(樹脂No.22〜24)を得た。
【0075】
実施例1
<受像シ−ト材料の作成>
下記の組成を有する受像一層及び受像二層用の塗布液を調整した。
(受像一層用塗布液)
・結合剤 塩ビ・酢ビ共重合体 25重量部
(MPR−TSL、日信化学(株)製)
・可塑剤 ジブチルオクチルフタレ−ト 12重量部
(DOP、大八化学(株)製)
・界面活性剤 4重量部
(商品名メガファックF−177P、大日本インキ化学工業(株)製)
・溶剤 メチルエチルケトン 75重量部
(受像二層用塗布液)
・樹脂No.1 16重量部
・樹脂No.24 4重量部
・ポリエチレンイミン樹脂 0.5重量部
(商品名 ポリエチレンイミンSP−200 日本触媒(株)製)
・界面活性剤 0.5重量部
(商品名メガファックF−177P、大日本インキ化学工業(株)製)
・溶剤 n−プロピルアルコ−ル 200重量部
【0076】
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム支持体上に、回転塗布機(ホエラ−)を使用して上記受像一層用塗布液を300rpmで塗布し、100℃のオ−ブン中で2分間乾燥した。得られた受像一層の膜厚は20μmであった。上記受像一層上に、回転塗布機(ホエラ−)を使用して上記受像二層用塗布液を200rpmで塗布し、100℃のオ−ブン中で2分間乾燥した。得られた受像二層の膜厚は2μmであった。
【0077】
<熱転写シートの作成>
次いで下記の3種のインキ層用顔料分散液を調整した。
【0078】
上記A,B,Cの顔料分散液各々10重量部に対しステアリン酸アミド0.24重量部、n−プロピルアルコ−ル60重量部を加え塗布液とし、厚み5μmの裏面に離型処理されたポリエステルフィルム(帝人(株)製)に乾燥膜厚Aが0.36μm、Bが0.38μm、Cが0.42μmになるように塗布し熱転写シートを作成した。
まずシアンの熱転写シ−トと受像シ−ト材料を重ね、副走査分割法によるサ−マルヘッド記録装置(試作実験機)により印字した。この原理は75μmX50μmのヘッドを50μm方向に微小送り3μmピッチでオンオフする事により面積階調のみの多段階変調を行う方式である。このシアンの熱転写シ−トを剥離し、受像シ−ト材料上に面積階調のみよりなる画像を形成させた。次にマゼンタの熱転写シ−トをシアン画像が形成されている受像シ−ト材料に重ね、位置を合わせて同様に印字し、該熱転写シ−トを剥離する事により受像シ−ト材料上にマゼンタ画像、同様にしてイエロ−画像を形成させ受像シ−ト材料上に面積階調のみよりなるカラ−画像を形成させた。次にカラ−画像が形成された受像シ−ト材料をア−ト紙と重ね130℃、4.5Kg/cmの圧で4m/secの熱ロ−ラ−を通した後、受像シ−ト材料のポリエステルフィルムを剥しインク画像がのった受像二層をア−ト紙上に転写し、カラ−画像形成させた。このカラ−画像はリス原稿から作成したケミカルプル−フ(富士写真フィルム(株)製、商品名カラ−ア−ト)とカラ−画像の近似性が非常に良好であった。 なおこの際の各単色の 反射濃度は下記の通りであった。
また、4Pの文字の濃度をミクロデンシトメ−タ−で測定したが、ベタ部の濃度と同様であった。階調再現性は5%〜95%が再現され、ゴミによる欠陥もなくドット形状が良好で更に、紙の凹凸に追随した表面がマット化され表面光沢が印刷物に非常に近似した画像であった。
【0079】
実施例2〜25、比較例1〜9
実施例1における合成例1の変性ポリビニルブチラール樹脂(樹脂NO.1)、高分子化合物(樹脂NO.24)を表−2.に示した組成に変更する他は実施例1と同様にして受像シートを作成した。この受像シートを用い実施例1と同様にカラー画像を形成し、画像の評価を行なった。評価結果を表−3に示す。
【0080】
【0081】
【0082】
<湿度依存性の評価方法>
25℃、相対湿度20%の低湿条件下で実施例1に示した様に画像を形成した。この条件下で網点面積率が50%となる印字エネルギーを求める。この印字エネルギーを用いて25℃、相対湿度80%の高湿条件下において画像印字を行ない、その際の網点面積率を測定した。この網点面積率が68%以下(湿度10%当たりの変化率として3%以下)のものを良好、それ以上のものを不良と評価した。
【0083】
実施例26
(1)熱転写シ−トの作成
(a)光熱変換層の作成
上記の成分を、ペイントシェ−カ−(東洋精機株式会社製)を使用して2時間分散処理して母液を調製した。
【0084】
上記の成分をスタ−ラ−で撹拌しながらに混合して、光熱変換層用塗布液を調製した。
【0085】
<支持体の準備>
光熱変換層の塗布厚さ75μmのポリエチレンテレフタレ−トの上に、下塗り層として、スチレン−ブタジエン共重合体(厚さ0.5μm)、ゼラチン(厚さ0.1μm)をこの順に設けたフィルムを、熱転写シ−ト用支持体として準備した。この支持体の上に、上記光熱変換層用塗布液を、回転塗布機(ホエラ−)を使用して1分間塗布し、塗布物を100℃のオ−ブン中で2分間乾燥して、光熱変換層(触針式膜厚計による膜厚:0.3μm、波長488nmでの光吸収率90%)を作成した。同じ試料を、走査型電子顕微鏡により断面観察したところ、平均膜厚は0.3μm であった。
【0086】
(b)熱剥離層の積層
<塗布液の調製>
・ニトロセルロ−ス(ダイセル株式会社製、タイプ RS1/2) 1重量部
・メチルエチルケトン 100重量部
・プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト 20重量部
上記の成分をスタ−ラ−で撹拌下に混合して、熱剥離層塗布液を調製した。
【0087】
<熱剥離層の塗布と膜厚測定>
上記熱転写シ−ト用支持体に設けた光熱変換層の表面に、上記熱剥離層用塗布液を、回転塗布機(ホエラ−)を使用して1分間塗布し、塗布物を100℃のオ−ブン中で2分間乾燥した。また、上記熱剥離層塗布液を用い、平滑な表面を有するポリエステルフィルム上に同条件で塗布乾燥した。触針式膜厚計でその時の膜厚を測定したところ0.1μmであった。
【0088】
(c)画像形成層(マゼンタ)の積層
上記の成分を、ペイントシェ−カ−(東洋精機株式会社製)を使用して2時間分散処理して母液を調製した。
【0089】
上記の成分をスタ−ラ−で撹拌下に混合して、マゼンタ用画像形成層塗布液を調製した。
【0090】
<マゼンタ用画像形成層塗布液の塗布、膜厚の測定>
上記熱転写シ−ト用支持体に設けた熱剥離層の表面に、上記画像形成層用塗布液を、回転塗布機(ホエラ−)を使用して1分間塗布し、塗布物を100℃のオ−ブン中で2分間乾燥して、マクベス濃度計での光学濃度は0.7の画像形成層 を積層し、熱転写シ−トを作成した。上記画像形成層用塗布液を同条件でポリエステルフィルム(100μm厚)に塗布、乾燥し、膜厚を測定したところ0.3μmであった。走査型電子顕微鏡により、熱転写シ−トのマゼンタ画像形成層の膜厚を、断面観察法により測定したところ、平均はほぼ0.3μmであった。
【0091】
(2)受像シート材料の作成
実施例1と同様にして、受像シート材料を作成した。
【0092】
(3)積層体の作成
上記のようにして作成した熱転写シートと受像シート材料を、表面温度70℃、圧力4.5kg/cm2のヒートローラに速度200cm/分の速度で通し、受像層と熱転写可能なインキ層とが実質的に均一に接触するように積層体を作成した。ここで圧力は、富士写真フィルム株式会社製の圧力測定用感圧発色材料(プレスケ−ル)を用い、室温のロ−ラを通して測定した。
【0093】
(4)上記のようにして得られた積層体を、熱転写シート支持体がレーザ光入射面、受像シート材料支持体が回転ドラム面と接するように、真空吸着用のサクション穴の開いた回転ドラムに巻き付け、真空引き、固定した。波長830nmの半導体レーザ光を、光熱変換層上で8μmのスポット状に集光し、回転ドラムの回転方向(主走査方向)に対し直角方向に移動(副走査)しつつ記録画像に応じてレーザー光を変調し、下記の条件でレーザ記録を行なった。
レーザパワー 100mW
主走査速度 8m/秒
副走査ピッチ(1回転当たりの副走査量) 5μm
【0094】
(5)記録後、上記積層体をドラムから取り外し、受像シート材料と熱転写シートを手により、引き離したところ、レーザ照射部のみの画像形成層が受像層に転写していることが、明瞭に観察された。更に、光学顕微鏡により転写画像を観察したところ、200線/インチの網点が3〜98%の範囲で再現されていた。網点形状も良好であった。
【0095】
【発明の効果】
本発明の受像シート材料、転写画像形成方法及び積層体により、記録感度、ドット品質(網点形状)、諧調再現性(網点再現性)が良く、ベタツキやスティキング、ゴミ欠陥も無く、更に記録感度の湿度依存性も少なく印刷物近似性の良い画像を提供することができる。
Claims (5)
- 熱転写可能なインキ層を有する転写材料から受像シート材料上にインキ層を熱転写し、次いで永久支持体上に再転写する転写画像の形成に用いる受像シート材料において、該受像シート材料が、支持体上に少なくとも2層の受像層を有し、該受像層の少なくとも1層が永久支持体に転写され、少なくとも該インキ層が転写される受像層がポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0.1〜1当量を下記一般式(I)で示される基に変換した樹脂を含有する事を特徴とする受像シート材料。
−O−W (I)
〔式中、Wは−CONH−Y1、−Y3、−CO−Z1−COOH、−COCH2COMe、Y1、Y3は炭素数1〜20の1価の有機基、Z1は炭素数1〜20の2価の有機基、を示す。〕 - 請求項1においてポリビニルアセタール樹脂中の水酸基を変換した樹脂がポリビニルアセタール樹脂と単官能イソシアネートの付加物である事を特徴とする受像シート材料。
- 請求項1又は請求項2において、該ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラールである事を特徴とする受像シート材料。
- 支持体上に設けた、30〜70重量部の顔料、25〜60重量部の軟化点が50〜150℃の非晶質有機高分子重合体を含み、膜厚が0.2μm〜1.0μmである熱転写可能なインキ層を請求項1、請求項2又は請求項3に記載の受像シート材料に密着させ、熱転写により該受像シート材料上にインキ画像を形成し、次いで該インキ画像及び少なくとも受像層の1層を永久支持体上に転写することを特徴とする転写画像形成方法。
- 支持体上に設けた、30〜70重量部の顔料、25〜60重量部の軟化点が50〜150℃の非晶質有機高分子重合体を含み、膜厚が0.2μm〜1.0μmである熱転写可能なインキ層を有する転写材料と、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の受像シート材料とを、該転写材料のインキ層と該受像シート材料の受像層とが均一に接触するように積層したことを特徴とする積層体。
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