JP3896391B2 - 画像形成用積層体および画像形成方法 - Google Patents

画像形成用積層体および画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受像シート及び該受像シートと熱転写シートとを用いる画像形成方法に関する。特に本発明は、レーザ光を用いて熱転写シートに形成されたインキ画像を、面積階調記録により受像シート上に転写し、高品質の多階調のカラー画像(フルカラー画像)を形成するために有利な受像シート及びこれと熱転写シートとを用いる画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年OA化の進展に伴い、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写記録方式等の各種記録方式を利用した複写機やプリンタ等がそれぞれの用途に応じて用いられている。これらの画像形成には色材が用いられ、通常、色材を含む組成物を溶融し、あるいは色材を蒸発、昇華させて粘着、吸着、染着等の作用により記録媒体、例えば紙やフィルムシート等の上に画像を得ている。
【0003】
感熱転写記録方式は操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能であること等の利点を有している。
感熱転写記録方式には、従来から熱溶融型転写方式と昇華型染料転写方式の二方式が知られている。熱溶融型転写方式は、支持体上に溶融性インク層を有する転写シートをサーマルヘッドあるいはレーザ光により像様に加熱して、該溶融性インクを感熱転写記録用受像シートに溶融転写する方式であり、一方、昇華型染料転写方式は、支持体上に熱拡散性色素(昇華性色素)を含むインク層を有する感熱転写記録用インクシートを用いて、加熱により感熱転写記録用受像シートに前記熱拡散性色素を拡散転写する方式である。
【0004】
熱転写シートを用いて転写画像を形成する方法として、近年、レーザービームを用いる方法、即ち、デジタル画像形成方法が開発されている。この方法は、熱転写シートのインキ層(顔料及び熱可塑性樹脂を主体にした画像形成層)の上に受像シートを重ね、熱転写シートの背面からデジタル信号により変調されたレーザービームを照射し、受像シート上に転写画像を形成する方法である。この場合、レーザービームの光エネルギーを高効率で熱エネルギーに変換するために、熱転写シートのインキ層と支持体との間にカーボンブラック層、金属蒸着層などからなる光熱変換層を設けることも一般に行われている。そして更に、転写画像の画質(画像濃度の均一性、エッジシャープネスなど)を向上させるために、特開平6−219052号公報に記載されているように、光熱変換層とインキ層との間に、更に感熱剥離層を介在させ、局所的に剥離させて受像シートに転写させる、所謂アブレーション法も利用されている。
【0005】
上記のようなレーザーを用いる感熱転写方式において熱転写シートと組み合わせて用いる被転写材料(受像シート)としては、上記特開平6−219052号公報にも開示されているように、被転写面である受像表面の平滑性やインク受理性に起因した転写ムラやドット抜け等の発生を防止するために、有機高分子重合体を含む熱接着層(受像層)を設けた受像シートが一般的に利用されている。またその受像シートの支持体の材料としては、例えば、紙、合成紙、あるいは高分子フィルム(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体)などが使用されている。特に、二軸延伸したポリエチレンテレフタレートは水、熱に対する寸法安定性の点から好ましいと記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザ光を利用して得られる転写画像感度(感度が高くなるに従い記録線幅も広がる)は、なお充分とは言えない。またレーザー記録は、感熱転写シートのインキ層側と受像シートの受像層側とを加圧下に重ね合わせ、積層体を形成した後行われるが、この重ね合わせ工程における圧力の不均一さに伴うインキ層と受像層との密着不良による感度ムラが生じたり、また重ね合わせ工程で巻き込む塵埃による画像欠陥が生じる場合があることにも気付いた。このような感度ムラ、画像欠陥に対しては、受像シートの受像層を厚くすることによりある程度は改善はされるが、一方で層厚を厚くすることによる受像シートの製造上のコストが上昇するため好ましくない(通常層厚は50μm以下)。また比較的大きな塵埃による画像欠陥に対しては上記の方法では不十分である。
【0007】
従って、本発明の目的は、更に高感度であり、感度ムラや画像欠陥が低減され、高画質の転写画像を得ることができる受像シート及びこれを用いる画像形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者の研究の結果、内部に微小な気泡を含有するプラスチック製支持体を有する受像シートを用いることにより、高感度であり、良好な画質の転写画像が得られることを見い出し、本発明に到達したものである。このような特徴を有する支持体を持つ受像シートは、低熱伝導性となり、従って、感熱転写シート上で変換された熱エネルギーは熱拡散によるロスが少なく、熱転写界面での温度がより高温となり高感度化する。これにより高感度の転写画像を得ることができる。また受像シートには高いクッション性、柔軟性などの性質も付与されるため、転写シートと受像シートとの重ね合わせ工程では、より均一な圧力による重ね合わせ操作が実現される。そして積層体はインキ層と受像層とがより密着した状態で形成される。この結果、レーザービームによる熱情報に対する追随性が向上し、感度ムラを抑制することができる。また重ね合わせ工程で比較的大きな塵埃を巻き込んだ場合でも上記の性質により塵埃による接着面の変形は緩和され、塵埃による画像欠陥を低減することができる。
【0009】
本発明は、支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、感熱剥離層、及び30〜70重量%の顔料及び70〜30重量%の熱可塑性樹脂を含むインキ層が積層されてなる感熱転写シートと、内部に微小な気泡を有する、厚みが50〜300μmのプラスチック製支持体上に受像層が積層されてなる受像シートとが、感熱転写シートのインキ層と受像シートの受像層とが対面するように重ね合わされて一体化されてなる画像形成用積層体にある。
【0010】
また本発明は、本発明の画像形成用積層体の感熱転写シートの支持体側表面からデジタル信号により変調されたレーザービームを画像様に照射し、アブレーション法により、受像シートの受像層上に、レーザービームの照射を受けた部分のインキ層を転写することからなる画像形成方法にもある。
【0011】
本発明の画像形成用積層体の受像シートは、以下の態様であることが好ましい。
(1)内部に微小な気泡を有するプラスチック製支持体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート及び酢酸セルロースから選ばれる材料から形成されている。
【0012】
(2)内部に微小な気泡を有するプラスチック製支持体の厚みが、50〜300μm(更に好ましくは、75〜200μm)の範囲にある。
【0013】
(3)受像層が、第一受像層とこの上に設けられた第二受像層とからなる二層の積層構造を有し、第一受像層を構成する高分子重合体が、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/ビニルアルコール共重合体、及び塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸の共重合体から選ばれる樹脂である。
(4)受像層が、第一受像層とこの上に設けられた第二受像層とからなる二層の積層構造を有し、第二受像層を構成する高分子重合体が、ポリビニルブチラール及びアルキルアクリレート/アクリルアミド共重合体から選ばれる樹脂である。
(5)受像層が、第一受像層とこの上に設けられた第二受像層とからなる積層構造を有する場合において、第一受像層の層厚が、1〜50μm(好ましくは、5〜30μm)の範囲にあり、第二受像層の層厚が、0.1〜10μm(好ましくは、0.5〜5μm)の範囲にある。
【0014】
(6)熱転写シートと受像シートとの重ね合わせを加圧下で行い、該圧力が、1〜30kg/cm2 (更に好ましくは、2〜10kg/cm2 )の範囲にある。
【0015】
(7)インキ層が、30〜70重量%の顔料、及び70〜30重量%の熱可塑性樹脂(好ましくは、軟化点が40℃〜150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体)を含む。
【0016】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明の受像シートについて説明する。
本発明の受像シートは、プラスチック製支持体とこの上に設けられた受像層との積層構造を有している。
本発明の受像シートのプラスチック製支持体は、内部に微小な気泡を有する。
微小な気泡は、その気泡の大きさは特に制限はないが、プラスチック製支持体の全域にわたって均一に存在していることが好ましい。このような構成のプラスチック製支持体は、例えば、熱可塑性樹脂に無機又は有機微粒子を添加し、延伸し、微粒子周囲に空隙を発生させる方法、合成樹脂の有機溶媒溶液をオリフィスから押し出し、次いで、凝固浴中に導入して脱溶媒を行ない、凝固させ、溶媒離脱による空隙を発生させる方法、あるいは樹脂を発泡剤と共にオリフィスより押し出し、発泡させる方法などの種々の公知の方法を利用して製造することができる。
【0017】
本発明の受像シートに用いられる支持体のプラスチック材料としては例えば、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート及び酢酸セルロースを挙げることができる。
これらの中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンが好ましく、特に、寸度安定性などの点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0018】
本発明の受像シートに用いられるプラスチック製支持体の厚みは、50〜300μmの範囲あることが好ましく、更に好ましくは、75〜200μmの範囲である。
なお、本発明のプラスチック製の支持体は、上記のような内部に微小な気泡を有する層と内部に気泡を含まない層との2層以上からなる複数の層構造を有していてもよい。
また受像層を設ける側の支持体の表面は、塗布するのに有利なように下塗り処理、また接着力を上げるためにコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施してもよい。またアンダーコート層を設けることも可能である。アンダーコート層としては支持体と受像層の接着力を上げるものなら限定はないが、特にシランカップリング剤が好適である。更に、支持体は帯電防止処理、マット処理が施されていてもよい。
【0019】
上記支持体の上に設けられる受像層は、高分子重合体を含む層である。受像層は、一層からなる層から構成されていても良いし、あるいは二以上の積層状態で構成されていても良い。以下に、本発明の好ましい態様である二層の積層構成からなる受像層について説明する。
二層の積層構成からなる受像層は、支持体上に形成された第一受像層とこの層の上に形成された第二受像層からなる。第一受像層及び第二受像層は、共に高分子重合体を主体とする層である。本発明では、第一受像層もしくは第二受像層のいずれかがクッション性を有していることが好ましい。以下では、第一受像層がクッション性を有する場合の例を用いて説明する。
まず、第一受像層(クッション層)について説明する。
【0020】
第一受像層を構成する高分子重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;エチレンと酢酸ビニルあるいはエチレンとアクリル酸エステルの如きエチレン共重合体;ポリ塩化ビニル;塩化ビニルと酢酸ビニルの如き塩化ビニル共重合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル;共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロンの如きポリアミド樹脂;アクリルゴムなどの合成ゴム;塩化ゴム等の有機高分子重合体から少なくとも1つ選ばれるのが好ましい。
【0021】
これらの中では、特に重合度が200〜2000の高分子重合体(ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとビニルアルコールの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとマレイン酸の共重合体)が好適である。その理由として、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニル共重合体は、常温での粘着性が殆ど無いこと、弾性率が比較的小さく、熱転写時に転写画像の凹凸に容易に追従可能なこと、共重合成分中の水酸基あるいはカルボキシル基の効果で層間密着力のコントロールが容易なこと、そして特に、可塑剤により弾性率のコントロールが容易なことなどが挙げられる。
【0022】
第一受像層の厚さは、1μm〜50μm(更にこの好ましくは、5μm〜30μm)の範囲にあることが好ましい。その理由としては、受像シート上に転写された画像を永久支持体に転写する場合に永久支持体の表面の凹凸より厚くする必要があること、4色のカラー画像が重なる部分のレリーフ段差を充分に吸収しうる厚みが必要なこと、画像形成時にゴミが付着した場合でもゴミによる画像欠陥が生じないような(ゴミを吸収しうる)厚みが必要なこと、更に充分なクッション性を得る為には、この程度の厚みが必要なことなどを挙げることができる。
【0023】
第一受像層は、200kg・f/cm2 以下の弾性率で形成されていることが好ましい。弾性率を小さくすることにより、受像層にクッション性が生じて、記録感度、ドット品質、階調再現性が向上する。さらに熱転写記録する際に熱転写シートと受像シートの間にゴミ等の異物が存在した場合にも第一受像層のクッション性がある為に画像欠陥になりにくいという利点がある。また、受像シートに転写された画像を、紙などの印刷本紙上に加熱、加圧下で再転写する際には、該第一受像層が紙の凹凸に従って埋め込まれるため、紙との高い密着性が得られ、第二受像層を剥離した後に表面をマット化等の特別な処理をしなくとも表面光沢が印刷物に近似した画像となる。
【0024】
上記有機高分子重合体中には、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル類(例、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ブチルベンジル)、脂肪族二塩基酸エステル(例、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル))、リン酸トリエステル類(例、リン酸トリクレジル)、ポリオールエスエル類(例、ポリエチレングリコールエステル)、エポキシ化合物(例、エポキシ脂肪酸エステル)、及びアクリル酸エステル類(例、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート)を挙げることができる。また有機高分子重合体中には、支持体や第二受像層との接着力を調整する為に、各種のポリマーや密着改良剤あるいは界面活性剤や離型剤を加えることも可能である。また弾性率を下げる目的で粘着性ポリマーの一部併用も非常に有効である。
【0025】
更に高分子重合体として、塩化ビニル系樹脂を使用する場合には、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニル共重合体の安定化剤として一般に知られるブチル錫系安定剤あるいはオクチル錫系安定剤等の有機錫系安定剤を添加することも有効である。
【0026】
次に、第二受像層について説明する。
第二受像層の目的は、熱転写による画像を受容できること、永久支持体への再転写時に受像シートを剥離する際、第一受像層と第二受像層の間で層間剥離をさせ、永久支持体上の画像上に薄い第二受像層のみを残し、永久支持体の凹凸により、特別なマット化処理を施すことなく実際の印刷物の光沢に近似した画像を得ること、また画像の耐傷性を向上させることにある。
【0027】
第二受像層は前記第一受像層と同様に樹脂材料で構成されていることが好ましい。第二受像層を構成することができる樹脂材料としては、例えば、前記第一受像層で使用した種々の有機高分子重合体の他に、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、アルキルアクリレート/アクリルアミド共重合体、変成ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、ヒドロキシスチレン共重合体、スルフォンアミド樹脂、セルロース樹脂、エステルガム及びロジンを挙げることができる。特に、第二受像層は、ポリビニルブチラール及びアルキルアクリレート/アクリルアミド共重合体を用いて構成されていることが好ましい。
【0028】
これらの樹脂の中には、各種界面における接着力の関係を満たす為に他の密着改良剤、可塑剤、離型剤、界面活性剤を添加することができる。第二受像層に用いる塗布溶剤は、塗布時における塗布溶剤の下層への浸透による第一受像層と第二受像層の混ざり込みを防ぐ目的で、第一受像層に用いた樹脂を溶解もしくは膨潤させないような塗布溶剤を用いることが好ましい。例えば、各種の溶剤に対して比較的溶解性の良好な塩化ビニル系の樹脂を第一受像層に用いた場合には、アルコール系もしくは水系の塗布溶剤を使用することが好ましい。
【0029】
第二受像層の膜厚は、0.1μm〜10μmの範囲(更に好ましくは、0.5μm〜5μm)にあることが好ましい。膜厚が厚すぎると永久支持体の表面の凹凸感が損なわれ、光沢が出過ぎて印刷物近似性が低下し易くなる。
なお、受像シートが、二層に構成されている場合には、第一受像層と第二受像層の厚みは、上記の膜厚の範囲で任意に設定することができる。
【0030】
永久支持体への転写時に受像シートの剥離で層間剥離を第一受像層の有機高分子物質と第二受像層の有機高分子物質の間で起こさせるには、各層間の密着力のバランスが重要である。層間密着力をコントロールするには、重層塗布時の混合を防ぐ為に塗布溶剤の選択の他に、親水性ポリマーと親油性ポリマーあるいは極性ポリマーと非極性ポリマーの組み合わせといった素材の選択、シランカップリング剤等の密着改良剤、フッ素系やシリコーン系の離型硬化を有する各種添加剤、界面活性剤を第一受像層あるいは第二受像層に添加することが有効である。
【0031】
第二受像層の上には、受像層の滑り性や耐傷性を向上させる目的で、上塗層として、種々の離型剤や滑剤の層を設けることができる。
具体的には、例えばパルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、脂肪酸アミド類等の脂肪酸誘導体、高級アルコール類、多価アルコール類のエテル等誘導体、パラフインワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ミツロウ、木ロウ、キヤンデリラワックス等のワックス類、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或いは同様に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面活性剤、パーフロロ系界面活性剤等から1種以上選択して用いることができる。
【0032】
上記第一受像層と第二受像層の間には、密着性の向上等の目的で、中間層を設けることもできる。
上記説明は、受像層の第一受像層にクッション性を持たせた場合の例であるが、後述の実施例1で示すように、第二受像層を第一受像層より厚く、柔らかくなるように構成することにより、この第二受像層にクッショクン性機能と画像形成機能との両機能を持たせることも可能である。なお、そのような場合には、第一受像層は剥離層としての機能を担うことになる。そして受像層をこのような構成にする場合においても、上記で説明した材料と同じ種類の材料を使用することができる。
【0033】
本発明の受像シートは、受像層を一層で構成することもできる。この場合には前述した第二受像層を直接支持体上に設けて受像層とする。
受像層が単一層の層で構成されている場合の受像層の層厚は、0.2〜50μm(好ましくは、0.5〜20μm)の範囲にあることが好ましい。
【0034】
次に、感熱転写シートについて説明する。
本発明で利用される感熱転写シートは、支持体上に、顔料及び熱可塑性樹脂を主体とするインキ層を有する構成である。この感熱転写シートは、感熱転写により、特に面積階調による多階調の画像(特にフルカラー画像)を形成するのに有利に用いられる。
【0035】
感熱転写シートの支持体材料としては、レーザ光を透過させる透明な合成樹脂材料から形成することが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体などのポリマーを挙げることができる。特に、二軸延伸したポリエチレンテレフタレートが機械的強度、熱に対する寸法安定性の点で好ましい。なお、支持体表面にはグロー放電処理、コロナ放電処理などの物理的な表面処理が為されていても良い。支持体は、その厚みが、一般に10〜200μmの範囲にあることが好ましく、特に20〜150μmの範囲にあることが好ましい。
なお、必要により支持体表面には下塗り層を設けても良い。下塗り層の材料は密着性、耐熱性が大きな材料が好ましい。また支持体への熱伝導による感度低下を小さくするためには、ポリスチレンなどの熱伝導率の小さな材料が好ましい。下塗り層の厚みは、通常0.01〜2μmの範囲である。
【0036】
本発明で用いられる感熱転写シートのインキ層に含まれる顔料としては、種々の公知の顔料が使用できる。これらの例としては、カーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系等の顔料が挙げられる。
これらは二種類以上組み合わせて使用することも可能であり、また色相調整のため公知の染料を添加してもよい。
本発明で用いられる感熱転写シートにおいて、薄膜で所定の濃度を出すためには、インキ層中の顔料の含有量は、30重量%〜70重量%(好ましくは、30〜50重量%)である。顔料比率が30重量%未満では上記所定の膜厚で濃度を出すことが困難になる。
また顔料の粒径は、顔料の70重量%以上が0.1〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。粒径が大きい場合にはカラー再現性時の各色の重なり部の透明性が損なわれやすく、かつ先の層厚と濃度の関係の両者を満たすことが困難になる場合がある。
【0037】
本発明で用いられる感熱転写シートのインキ層に含まれる熱可塑性樹脂は、軟化点が40℃〜150℃の非晶質有機高分子重合体が好ましく、例えばブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレン、αーメチルスチレン、2ーメチルスチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、αーエチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独あるいは他の単量体等の共重合体を挙げることができる。これらの樹脂は二種以上混合して用いることもできる。
これらのうち、分散性の観点からブチラール樹脂やスチレン/マレイン酸半エステル樹脂等が好ましい。これら樹脂の軟化点は40℃〜150℃の範囲で選ばれる。150℃を越えると熱記録感度が低くなり易く、他方40℃未満ではインキ層の耐傷性が劣る傾向にある。
なお、ブチラール樹脂の具体例としては、デンカブチラール#2000−L(重合度:約300)、#4000−1(重合度:約920)(以上、電気化学工業(株)製))、エスレックBX−10(Tg:74℃、重合度:80、アセタール化度:69モル%)、エスレックBL−S(Tg:61℃、エタノール/トルエン=1/1の5%濃度の時の粘度:12cps、以上積水化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0038】
本発明では、受像層との接着性との観点からインキ層のポリマーバインダは、受像層(第二受像層)に含まれるポリマーバインダと同じポリマーバインダを含むことが好ましい。
【0039】
本発明で用いられる感熱転写シートにおいて、インキ層中の非晶質有機高分子重合体の含有量は70〜30重量%(好ましくは、50〜30重量%)である。
【0040】
本発明で用いられる感熱転写シートには、そのインキ層に含窒素化合物が含有されていることが好ましい。含窒素化合物としては、例えば、アミド化合物、アミン類、第四級アンモニウム塩類、ヒドラジン類、芳香族アミン類、複素環芳香族化合物を挙げることができる。これらのうちでは、アミド化合物及び第四級アンモニウム塩類が好ましい。
上記含窒素化合物は、インキ層中に、0.1〜20重量%(好ましくは、1〜10重量%)含有されていることが好ましい。
【0041】
本発明で用いられる感熱転写シートのインキ層には、熱印字の際のインキ層の支持体からの離型性及び熱感度向上の観点から種々の離型剤や軟化剤をインキ層中に20重量%以下の量で加えることも可能である。
具体的には、例えばパルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、脂肪酸誘導体、高級アルコール類、多価アルコール類のエテル等誘導体、パラフィンワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ミツロウ、木ロウ、キャンデリラワックス等のワックス類、粘度平均分子量が約1、000から10、000程度の低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフイン類、或いはオレフイン、αーオレフイン類と無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸、酢酸ビニル等との低分子量共重合体、低分子量酸化ポリオレフイン、ハロゲン化ポリオレフイン類、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等長鎖アルキル側鎖を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル又はパーフロロ基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類の単独もしくはスチレン類等のビニル系単量体との共重合体、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等の低分子量シリコーンレジン及びシリコーン変性有機物質等、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或いは同様に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面活性剤、パーフロロ系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、一種あるいは二種以上選択して用いることができる。
【0042】
前記の顔料の非晶質有機高分子重合体への分散に関しては、適切な溶剤を加えてボールミルをはじめとする、塗料分野で使用される種々の分散方法が適用される。得られた分散液に、含窒素化合物、離型剤等を加え、塗布液を調製し、そしてこのようにして調製した塗布液を公知の方法で支持体上に塗布し、インキ層を形成することができる。
【0043】
本発明で用いられる感熱転写シートのインキ層は、層厚が0.2〜1.5μm(好ましくは、0.2〜1.0μm、更に好ましくは、0.2〜0.6μm)の範囲にある。1.5μmよりも厚いインキ層の層厚では、面積階調再現性においてシャドウ部がつぶれやすかったり、ハイライト部がとびやすかったりして、結果的に階調再現性が劣ることなる。一方、層厚が0.2μm未満では、目的の濃度を出すことが難しくなる。
【0044】
本発明で用いられる感熱転写シートのインキ層は主成分が顔料と非晶質の有機高分子重合体であり、かつ従来のワックス溶融型に比べ顔料比率も高く、通常の溶融型に比べ熱転写時の粘度が102 〜103 cpsのように低くなることはなく、150℃の温度において少なくとも104 cpsよりも高い。このため、上記感熱転写シートを用いた感熱転写による画像形成方法は、受像シートへの熱接着性、あるいはカラー画像作成の場合はインキ層間の熱接着性を利用した薄膜剥離現像タイプの画像形成であるということもできる。このことがインキ層の薄層化の効果とあいまって、高解像力性を維持した上でシャドウ部からハイライト部に至る広い階調再現を可能にし、かつエッジシャープネスを良好にし、更に100%の画像の転写を可能にする。
【0045】
前述のように、アブレーション法に利用する感熱転写シートには、支持体とインキ層との間には、光熱変換層が設けられていることが好ましい。また、アブレーション法を更に有利に実施するためにはこの光熱変換層の上に、更に感熱剥離層が設けられていることが好ましい。なお、光熱変換層が感熱剥離層の機能を兼ね備えている場合には、感熱剥離層は必ずしも必要ではない。以下これらの層について詳述する。
一般に光熱変換層は、レーザ光を吸収することのできる色材とバインダとからなる基本構成を有する。
使用できる色材の例としては、カーボンブラックのような黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニンのような可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の顔料、光ディスクなどの高密度レーザ記録のレーザ吸収材料として使用される有機染料(インドレニン染料等のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色素、フタロシアニン系染料)及びジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物色素を挙げることができる。なお、記録感度を高めるために光熱変換層はできるだけ薄いことが好ましく、そのためレーザ光波長領域において大きい吸光係数を示すシアニン系色素やフタロシアニン系色素を用いることが望ましい。
【0046】
光熱変換層のバインダの材料としては特に限定はないが、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのアクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合物の共重合体、ポリエステル、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物などの光重合性または熱重合性化合物を重合・架橋させたポリマーなどを挙げることができる。
【0047】
光熱変換層が色材とバインダとからなる場合には、重量比で1:5〜10:1(色素:バインダ)とすることが好ましく、特に1:3〜3:1とすることが好ましい。バインダの量が少なすぎると、光熱変換層の凝集力が低下し、形成画像が受像シートに転写される際に、一緒に転写されやすくなり、画像の混色の原因となる。また、バインダが多すぎると、一定の光吸収率を達成するためには光熱変換層の層厚を大きくする必要があり、感度低下を招きやすい。
上記の色素とバインダとからなる光熱変換層の層厚は、一般に0.05〜2μm、好ましくは0.1〜1μmである。また、光熱変換層は光記録に用いるレーザ光の波長での光吸収率として70%以上を示すことが好ましい。
【0048】
感熱剥離層は、感熱材料が含まれてなる層である。そのような感熱材料としては、それ自身が熱により分解もしくは変質して気体を発生する化合物(ポリマーまた低分子化合物)、あるいはその材料の特性として水分などの易気化性気体を相当量吸収もしくは吸着している化合物(ポリマーまた低分子化合物)などを用いることができる。なお、それらは併用することも可能である。
熱により分解もしくは変質して気体を発生するポリマーの例としては、ニトロセルロースのような自己酸化性ポリマー、塩素化ポリオレフィン、塩素化ゴム、ポリ塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのようなハロゲン含有ポリマー、水分などの揮発性化合物が吸着されているポリイソブチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、水分などの揮発性化合物が吸着されているエチルセルロースなどのセルロースエステル、水分などの揮発性化合物が吸着されているゼラチンなどの天然高分子化合物などを挙げることができる。
熱により分解もしくは変質して気体を発生する低分子化合物の例としては、ジアゾ化合物やアジド化合物のような発熱分解して気体を発生する化合物を挙げることができる。
上記のような、熱による感熱材料による分解や変質等は、280℃以下で発生することが好ましく、特に230℃以下で発生することが好ましい。
【0049】
なお、感熱剥離層で、感熱材料として低分子化合物を用いる場合には、バインダと組合せることが望ましい。その場合のバインダとしては、上記のそれ自身が熱により分解もしくは変質して気体を発生するポリマーでもよく、あるいはそのような性質を持たない通常のポリマーバインダでも良い。感熱性の低分子化合物とバインダとを併用する場合には、前者と後者の重量比で、0.02:1〜3:1、特に0.05:1〜2:1の範囲にあることが好ましい。
感熱剥離層は、光熱変換層を、そのほぼ全面にわたって被覆していることが望ましく、その厚さは一般に0.03〜1μm、特に0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0050】
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、前記特徴を有する受像シートと感熱転写シートを用いて、レーザー光を利用して実施することができる。
レーザー光を用いる画像形成方法としては、例えば、米国特許第5352562号明細書、及び前記特開平6−219052号公報などに開示されている所謂「アブレーション」を利用した画像形成方法が利用できる。
この方法は、具体的には、支持体とインキ層(画像形成層)との間にレーザ光を吸収して熱に変換する層(光熱変換層)及びこの光熱変換層で発生した熱の作用により気体を発生させる感熱材料を含む層(感熱剥離層)を設けた感熱転写シート(あるいは光熱変換層に感熱材料が含まれる場合には、感熱剥離層の機能をも兼ね備えた光熱変換層を設けた感熱転写シート)と、インキ層の上に積層させた受像シートとを用い、レーザ光の照射により、光熱変換層の昇温による該変換層の変質、融解等によりアブレーションを起こして、感熱剥離層が一部分解して気化し、インキ層と光熱変換層との結合力が弱まり、その領域のインキ層が受像シートに転写される現象を利用するものである。
【0051】
上記の画像形成方法を実施する際には、レーザ記録装置が用いられるが、まずレーザ記録ドラム上に、受像シートの受像層を外側にして真空引きなどの手段で受像シートを密着、固定する。次に、転写シートのインキ層を上記受像シートの受像層に接触させた状態で加圧(必要に応じて加熱)ローラに通し、受像シートと転写シートとを一体化させ、積層体を形成する。なお、積層体は、レーザ記録ドラム上でなく、予め受像シートと転写シートをその膜面同士を接触させて加圧(必要に応じて加熱)ローラに通し、重ね合わせることにより形成することもできる
【0052】
上記積層体を形成する際の加圧条件は、通常1〜30kg/cm2 、好ましくは、2〜10kg/cm2 である。またこの加圧ローラーに通す際には、加熱しながら行うことも好ましい。加熱条件は、ローラの場合その表面温度が250℃以下、好ましくは、60〜150℃の範囲である。本発明の受像シートには、内部に微小な気泡を有するプラスチック製の支持体が用いられているから、上記の積層体を形成する際の加圧処理は、付与された支持体のクッション性、柔軟性などの性質により、より均一な加圧状態で実施され、従って均一で密着性の高い積層体が形成される。また積層体の形成時に比較的大きな塵埃が巻き込まれた場合でも塵埃による接着面の変形度は緩和され、これによる画像欠陥も低減される。
【0053】
次に、この記録ドラムを回転させながら、色分解された画像信号に変調されたレーザービームを走査し、記録する。なお、予め得られた積層体をレーザー記録ドラムに装着し、上記の手順で記録することもできる。その後、レーザー記録された転写シートを受像シートから引き剥すことにより、受像シート上にインキ画像からなる転写画像を形成することができる。このようにして得られた転写画像は、その光学反射濃度が0.5以上の面積階調で構成される。
なお、上記の方法を利用した画像形成方法においては、レーザ光の吸収により生じた熱によりインキ層を溶融させ、その領域を受像シートへ溶融転写させることにより、受像シートの上に転写画像を形成することもできる。
また、上記のようにして得られた受像シート上の転写画像を更に、別に用意した印刷本紙となる白色支持体に重ね、この状態で加圧、加熱処理することによって、白色支持体上に再転写画像を得ることができる。これにより、その光学反射濃度が1.0以上の面積階調で構成される再転写画像を形成することができる。
【0054】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の「部」は、重量部を表わす。
【0055】
[実施例1]
(1)受像シートの作成
1)第一受像層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで撹拌下に混合して第一受像層形成用塗布液を調製した。
第一受像層用塗布液組成
ポリ塩化ビニル(ゼオン25、日本ゼオン(株)製) 9部
界面活性剤 0.1部
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 130部
トルエン 35部
シクロヘキサノン 20部
ジメチルホルムアミド 20部
【0056】
2)支持体表面への第一受像層の形成
厚さ100μmの微小な気泡を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーE60L、東レ(株)製)の一方の表面上に、上記の塗布液を回転塗布機を使用して塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に第一層受像層(厚さ1μm)を形成した。
【0057】
3)第二受像層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで撹拌下に混合して第二受像層形成用塗布液を調製した。
第二受像層用塗布液組成
メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸
共重合体
(ダイヤナールBR−77、三菱レーヨン(株)製) 17部
アルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体
(ダイヤナールRB−64、三菱レーヨン(株)製) 17部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(A−TMMTN、新中村化学(株)製) 22部
界面活性剤 0. 4部
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 100部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05部
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 1.5部
(光重合開始剤)
【0058】
4)第一受像層表面への第二受像層形成
支持体上の第一受像層の表面に、上記の塗布液をホワイラーを用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、第一受像層の表面に第二受像層を形成した(厚さ25μm)。
以上の工程により、内部に微小な気泡を有するプラスチック製支持体上に、二層の受像層が積層された構造の受像シートを作成した。
【0059】
(2)画像記録転写シート(感熱転写シート)の作成
1)光熱変換層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで撹拌下に混合して光熱変換層形成用塗布液を調製した。
【0060】
Figure 0003896391
【0061】
2)支持体表面への光熱変換層形成
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の表面上に、スチレン・ブタジエン共重合体下塗層(厚さ0.5μm)とゼラチン下塗層(厚さ0.1μm)とをこの順に形成して支持体を作成した。次に、この支持体の下塗層の上に上記の光熱変換層形成用塗布液を回転塗布機(ホワイラー)を用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層(厚さ0.2μm:触針式膜厚計による測定値、波長830nmでの吸光度1.4)を形成した。
【0062】
3)感熱剥離層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで撹拌下に混合して感熱剥離層形成用塗布液を調製した。
【0063】
Figure 0003896391
【0064】
4)光熱変換層表面への感熱剥離層形成
上記の支持体上に設けた光熱変換層の表面に、上記塗布液をホワイラーを用いて塗布したのち、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に感熱剥離層(厚さ0.1μm:同一の塗布液を同一条件で硬質シート平面に塗布し、同一条件で乾燥して得た層を触針式膜厚計によって測定した値)を形成した。
【0065】
5)マゼンタ画像形成層形成用塗布液の調製
下記の各成分をペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で二時間分散処理して、マゼンタ顔料分散母液を調製した。そして得られた分散母液をn−プロピルアルコールで希釈し、粒子径測定器(レーザ光散乱方式)で測定したところ、顔料の粒度分布は、粒子の70重量%以上が、180〜300nmの範囲にあった。
Figure 0003896391
【0066】
下記の各成分をスターラーで撹拌下に混合して、マゼンタ画像形成層形成用塗布液を調製した。
Figure 0003896391
【0067】
6)感熱剥離層表面へのマゼンタ画像形成層形成
前記の感熱剥離層の表面に、上記塗布液をホエラーを用いて塗布したのち、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、感熱剥離層の上にマゼンタ画像形成層(厚さ0.3μm:同一の塗布液を同一条件で硬質シート平面に塗布し、同一条件で乾燥して得た層を触針式膜厚計によって測定した値)を形成した。得られた画像形成層の光学濃度は、0.7(グリーンフィルタ、マクべス濃度計での測定値)であった。
以上の工程により、支持体の上に、光熱変換層表面、感熱剥離層、そしてマゼンタ画像形成層がこの順に積層されたマゼンタ画像記録転写シートを作成した。
【0068】
[レーザーによる画像形成及び評価]
(3)画像形成用積層体の作成
上記のようにして作成した受像シート及び画像記録転写シートをそれぞれ室温で一日放置したのち、画像記録転写シートのマゼンタ画像形成層の上に、受像シートの受像層側を重ね、この状態で、表面温度70℃、圧力4.5kg/cm2 のヒートローラに速度200cm/秒で通して、それらを一体化し、積層体を作成した。なお、画像記録転写シートと受像シートとがヒートローラを通過する際にそれぞれのシートが到達する温度を熱電対で測定したところ、約50℃であった。
【0069】
(4)画像形成用積層体の画像記録形成装置への装着
上記で得られた積層体を室温で約10分間放置して充分に冷却した。次いで、この積層体を、真空吸着用のサクション穴が設けられた回転ドラムに、受像シート面側がドラム表面に接するようにして積層体を巻き付け、ドラム内部を真空にすることによって、積層体をドラム表面に固定した。
【0070】
(5)画像形成用積層体への画像記録
上記のドラムを回転させ、ドラム上の画像形成用積層体の表面に外側から波長830nmの半導体レーザ光を、光熱変換層の表面で径が7μmのスポットとなるように集光し、回転ドラムの回転方向(主走査方向)に対して直角方向に移動させながら(副走査)、積層体へのレーザ画像(画線)記録を行なった。レーザ照射条件は次の通りである。
レーザパワー:110mW
主走査速度:10m/秒
副走査ピッチ(1回転当りの副走査量):5μm
【0071】
(6)転写画像の形成
上記のレーザ画像記録を行なった積層体をドラムから取り外し、受像シートと画像記録転写シートとを手で引きはがしたところ、画像(画線)形成層のレーザ照射部のみが記録線幅5.0μmで転写シートから受像シートに転写された。
その結果、得られた転写画像は、高濃度画像であり、感度ムラも少なく、また白抜け状の画像欠陥も少なく、良好な画質を有していた。
【0072】
[実施例2]
(1)受像シートの作成
1)第一受像層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで攪拌下に混合して第一受像層形成用の塗布液を調製した。
第一受像層形成用塗布液
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 25部
(MPR−TSL、日信化学(株)製)
ジブチルオクチルフタレート 12部
(DOP、大八化学(株)製)
界面活性剤 4部
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
溶剤(メチルエチルケトン) 75部
【0073】
2)支持体表面への第一受像層の形成
厚さ100μmの微小な気泡を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーE60L、東レ(株)製)の一方の表面上に、上記の塗布液を回転塗布機を使用して塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に第一受像層(厚さ20μm)を形成した。
【0074】
3)第二受像層形成用塗布液の調製
下記の各成分をスターラーで攪拌下に混合して第二受像層形成用の塗布液を調製した。
第二受像層形成用塗布液
ポリビニルブチラール 16部
(デンカブチラール#2000−L、電気化学工業(株)製)
N, N−ジメチルアクリルアミド/ブチル
アクリレート共重合体 4部
界面活性剤 0. 5部
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
溶剤(n−プロピルアルコール) 200部
【0075】
4)第一受像層表面への第二受像層形成
支持体上の第一受像層の表面に、上記の塗布液をホワイラーを用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、該第一受像層の表面に第二受像層(厚さ2μm)を形成した。
以上の工程により、内部に微小な気泡を有するプラスチック製支持体上に、二層の受像層が積層された構造の受像シートを作成した。
【0076】
[レーザーによる画像形成及び評価]
得られた受像シートを用いて上記実施例1の(3)〜(6)の工程を繰り返して実施した以外は、同様にして受像シート上に転写画像を形成した。
その結果、得られた転写画像は、上記実施例1の受像シートと同様に、高濃度画像であり、感度ムラも少なく、また白抜け状の画像欠陥も少なく、良好な画質を有していた。
【0077】
[比較例1]
実施例1において、(1)の受像シートを作成する際に、厚さ100μmの微小な気泡を含有するポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーE60L、東レ(株)製)の代わりに、厚さ100μmの微小な気泡を有しないクリアポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー#100、東レ(株)製)を使用した以外は、実施例1の(1)と同様にして比較用の受像シートを作成した。
【0078】
[レーザーによる画像形成及び評価]
得られた比較用の受像シートを用いて上記実施例1の(3)〜(6)の工程を繰り返して実施した以外は、同様にして受像シート上に転写画像を形成した。
その結果、得られた転写画像には、上記実施例1及び2の受像シート上に得られた転写画像に比べ、感度ムラ、また白抜け状の画像欠陥も多く認められた。また、転写画像の画線幅は、4μmであり、実施例1に比べて劣っていた。
【0079】
【発明の効果】
本発明の受像シートを用いることにより、高濃度画像が得られ(高感度であり)、感度ムラ、画像欠陥の少ない、良好な画質の転写画像を得ることができる。また得られた転写画像は、面積階調のみで構成され、色再現性に優れており、カラープルーフ用途などに有利な転写画像である。

Claims (3)

  1. 支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、感熱剥離層、及び30〜70重量%の顔料及び70〜30重量%の熱可塑性樹脂を含むインキ層が積層されてなる感熱転写シートと、内部に微小な気泡を有する、厚みが50〜300μmのプラスチック製支持体上に受像層が積層されてなる受像シートとが、感熱転写シートのインキ層と受像シートの受像層とが対面するように重ね合わされて一体化されてなる画像形成用積層体
  2. 受像シートの内部に微小な気泡を有するプラスチック製の支持体が、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート及び酢酸セルロースから選ばれる材料から形成されている請求項1に記載の画像形成用積層体
  3. 請求項1に記載の画像形成用積層体の感熱転写シートの支持体側表面からデジタル信号により変調されたレーザービームを画像様に照射し、アブレーション法により、受像シートの受像層上に、レーザービームの照射を受けた部分のインキ層を転写することからなる画像形成方法
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