JPH0911653A - 受像シート、画像形成方法及び積層体 - Google Patents

受像シート、画像形成方法及び積層体

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JPH0911653A
JPH0911653A JP8131058A JP13105896A JPH0911653A JP H0911653 A JPH0911653 A JP H0911653A JP 8131058 A JP8131058 A JP 8131058A JP 13105896 A JP13105896 A JP 13105896A JP H0911653 A JPH0911653 A JP H0911653A
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JP
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Application number
JP8131058A
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English (en)
Inventor
Mikio Totsuka
三樹雄 戸塚
Toshiharu Tanaka
俊春 田中
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感熱転写シートのインキ層の受像層への転写
性をさらに改良し、良好な画像形成が実施できる受像シ
ートを提供する。 【解決手段】 顔料、及び軟化点が40℃〜150℃の
非晶質有機高分子重合体を30〜70重量%及び25〜
65重量%含み、層厚が、0.2μm〜1.0μmのイ
ンキ層を有する感熱転写シートのインキ層を、熱転写に
より受像シートに転写することからなる画像形成方法に
用いるための、内部に微小な気泡を有するプラスチック
製シートからなる支持体と受像層との積層体である受像
シート。上記感熱転写シートのインキ層の上に上記受像
シートの受像層を重ね、該転写シートの背面からサーマ
ルヘッドを押し当て、受像シートの受像層上に光学反射
濃度が1.0以上の面積階調で構成される転写画像を形
成する画像形成方法。感熱転写シートのインキ層と受像
シートの受像層とを密着させてなる積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受像シート、該受
像シートと感熱転写シートとを用いる画像形成方法、及
び両シートが一体成型された積層体に関し、特に、サー
マルヘッドプリンタを用いて、感熱転写シートのインキ
層を受像シート上に、面積階調記録により画像様に転写
し、高品質の多階調のカラー画像(フルカラー画像)を
形成するために有用な感熱転写シートと組み合わせて用
いられる受像シート、これらのシートを用いた画像形成
方法及び積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、サーマルヘッドプリンタを使用し
てカラー画像を形成する感熱転写記録方式としては、昇
華型染料転写方式と熱溶融型転写方式とが知られてい
る。昇華型染料転写方式は、昇華型染料と結合剤とから
なる転写層を支持体上に設けた転写シートを受像シート
と重ね、転写シートの支持体の裏側からサーマルヘッド
により画像様に熱を与え、昇華型染料を昇華させて受像
シートに転写し、受像シート上に画像を形成する方式で
ある。この方法において、イエロー、マゼンタ、シアン
の各々の昇華型染料を有する転写シートを使用すること
により、カラー画像(フルカラー画像)を形成すること
も出来る。
【0003】しかしながら、昇華型染料方式は以下のよ
うな欠点を有している。 (1)画像の階調表現が主として濃度階調(染料の種類
あるいは量を制御)を利用するもので有り、写真に類似
する階調の画像を得ることを目的とする場合には適して
いるが、例えば面積階調(多値記録)のみで階調表現を
する印刷分野で使用されているカラープルーフ用には適
していない。 (2)画像形成が染料の昇華を利用しているため、出来
上がり画像のエッジシャープネスが充分となりにくく、
また太線に比べ細線のベタ濃度が薄くなる傾向がある。
これらは文字画像の品質に関して重大な欠点となる。 (3)画像の耐久性が劣るので、耐熱性や耐光性を要求
する分野への利用が制限される。 (4)感熱記録感度が熱溶融型転写方式に比べ低いた
め、将来実用が期待されている高解像力サーマルヘッド
を用いる高速記録材料としては適していない。 (5)熱溶融型転写材料に比べ転写材料が高価である。
【0004】一方、熱溶融型転写方式は、支持体上に顔
料や染料などの色材とワックスなどの結合剤からなる熱
溶融性のインキ転写層を設けた感熱転写シートを用意
し、これを受像シートと重ね、転写シートの支持体の裏
側からサーマルヘッドにより画像様に熱を与え、該転写
層を溶融して受像シート上に転写融着させて画像を形成
する方式である。熱溶融型転写方式は昇華型染料転写方
式に比べて、感熱感度が高い、材料が安価である、また
画像の耐光性が優れている等の利点を有しているもの
の、次のような欠点を有している。すなわち、熱溶融転
写方式の大きな欠点は、昇華型染料転写方式に比べカラ
ー画像の品質が劣ることである。これは、この方式によ
る一般的な記録方式が濃度階調記録による階調再現では
なく、二値記録であることによる。勿論、熱溶融転写方
式において、二値記録を利用せず、多階調のカラー画像
を形成することを目的に、濃度階調記録を達成するため
のインキ転写層の改良の提案が種々なされてきた。しか
しながら、これらの改良の考え方の基本は、サーマルヘ
ッドによる加熱でインキ層の結合剤が溶融して粘度が低
下する結果、受像シートへの粘着力が増加して転写する
特性を利用し、サーマルヘッドの昇温を制御して、イン
キ層内部の凝集破壊を制御し、これによりインキ層の転
写量を制御すること、すなわち熱転写記録のガンマ特性
を軟調化することによって多階調記録を行なうことに有
る。しかし、このような方式を利用しても、熱溶融転写
方式は昇華染料転写方式に比べ、多階調性の点において
劣っている。また、一般に細線などの画像濃度の再現性
についても熱溶融転写方式は劣るとされている。
【0005】また熱溶融型転写方式では、通常低融点の
結晶性ワックスをインキ層の結合剤として用いているた
め、熱印字の際の感熱転写シート中でのインキのニジミ
によって、解像力の低下が発生しやすく、また転写画像
の定着強度が不充分となりやすいことも問題となる。更
には、結晶性ワックス類は結晶相の光散乱により透明な
画像を得難いという欠点を有している。このことは、イ
エロー画像、マゼンタ画像、シアン画像などの重なり画
像としてのフルカラー画像を形成する場合には大きな欠
点となる。更に、インキ層総量に対する顔料比率が高い
場合にも、このようなフルカラー画像の透明性の低下が
発生しやすい。従って、特公昭63−65029号公報
に述べられているごとく、通常着色剤はインキ層の総量
100重量部に対して20重量部以下で用いられ、これ
以上で使用される場合は透明性が低下する。
【0006】熱溶融転写方式のカラー画像の色再現を改
良するためには、種々の提案がなされてきた。例えば、
特開昭61−244592号公報(特公平5−1307
2号公報)には、連続階調性(濃度階調性)を持続した
上で透明性、定着画像強度等を改良する目的で、65重
量%以上の非晶質ポリマーと離型性物質と着色剤(染料
や顔料)よりなる感熱インキ層を有する感熱転写シート
が提案されている。この公報には、非晶質ポリマーが6
5重量%より少ない場合には感熱転写シートの透明性が
著しく悪化し、良好なカラー再現性が得られず、特に良
好な透明性を得るには、非晶質ポリマーの含有量は70
重量%が必要であると述べられている。そして透明性を
維持する上での感熱インキ層に含有される着色剤は20
重量%が限度であり、また実用上必要な画像濃度や画像
強度を得るためには、感熱インキ層の層厚は通常1μm
〜20μmが好ましいとされ、実施例では、感熱インキ
層の層厚として3μmが採用されている。なお、この公
報には、その発明の感熱転写シート(感熱記録材料)
は、二値記録や多値記録にも使用できる旨の示唆があ
る。しかしながら、本発明者の検討によると、上記の公
報に記載の感熱転写シートを用いる連続階調記録も、そ
の濃度階調の連続性および安定性の面で充分に満足でき
るものとはいえない。一方、上記の感熱転写シートを用
いて得られる多値転写画像や二値転写画像においては、
充分な濃度階調が得られにくい上に、透明性(特にフル
カラー画像の透明性)が充分でなく、またエッジシャー
プネスについても充分満足できるものとはいえない。
【0007】一方、感熱転写方式において、面積階調を
利用する多値記録(すなわち、面積が種々異なるドット
を利用して記録を行なう画像形成、VDS:バリアブル
・ドット・システム)で多階調のフルカラー画像を得る
方法が既に知られている。そして、この面積階調を利用
する多値記録に使用するための感熱転写シートは下記の
ような特性を有していることが望ましいことも知られて
いる。 (1)各色とも所定の画像濃度が有ること。特にプルー
フ用途などの点から最終的に得られるシアン、マゼンタ
およびイエロー画像濃度(白色支持体上での再転写画像
濃度)はその光学反射濃度がそれぞれ少なくとも1.0
以上有ることが必要であり、1.2以上、特に1.4以
上であることが望ましいとされている。そして、特にブ
ラックに関しては1.5以上有ることが望ましいとされ
ている。従って、感熱転写シートは、このような高濃度
の画像を形成できるものであることが望まれる。 (2)階調再現性に優れていること。 (3)線あるいは点の画像のエッジシャープネスに優れ
たドット形状を形成できるもの。 (4)転写されたインキ層の透明性が高いこと。 (5)高感度であること。 (6)印刷本紙(通常はコート紙などの白色支持体)に
転写された画像が、質感、画像の光沢度等において印刷
物に高い近似性を示すこと。
【0008】なお、近年において感熱転写シートへの熱
供給手段としてのサーマルヘッドプリンタの技術的進歩
は著しい。そして、サーマルヘッドそのものの高解像力
化を可能とし、かつ面積階調で多階調記録を可能にする
印字方式としては、特開平4−19163号公報、及び
特開平5−155057号公報に記載の副走査分割方式
や、「電子写真学会年次大会1992/7/6予稿集」に記載の
熱集中型方式などが提案されている。また、感熱転写方
式において感熱転写シートと組み合わせて用いる被転写
材料(受像シート)としては、従来からその被転写面で
ある受像表面の平滑性やインク層の受像性に起因した転
写ムラやドット抜け等の発生を防止するために、有機高
分子重合体を含む熱接着層(受像層)を設けた受像シー
トが有利に利用されている(米国特許第4482625
号、同第4766053号及び同第4933258号の
各明細書)。またその受像シートの支持体としては、
紙、合成紙、あるいは高分子フィルムなどが使用されて
いる。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、
低価格、耐熱性、表面の平面性などの点で優れており、
有利に利用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本願出願人は、特に面
積階調による多階調転写方式に適した感熱転写シートに
関する発明について、既に特許出願した(特願平5−2
63695号出願)。上記の特許出願の感熱転写シート
を使用することにより、面積階調のみの顔料転写方式で
多階調高品質カラー画像やモノクロ画像が得られ、通常
の画像形成のみならず印刷分野におけるカラープルー
フ、版下原稿あるいは顔料の耐久性を生かして、カード
分野や屋外ディスプレー分野やメーターディスプレィ分
野などへの展開も可能になった。
【0010】しかしながら、面積階調による多階調転写
方式に適した感熱転写シートを利用して更に良好な画像
を得るためには、感熱転写シートの改良と相まってイン
キ層を受像する受像シートの改良も求められている。こ
れは、転写画像の良否がその転写性、即ち、インキ層と
受像層との接着性(密着性)に大きく関係するからであ
る。特に、上記のような感熱転写シートを利用した画像
は、薄膜転写方式であるため、受像シートの材質やその
表面性に影響されることも多く、例えば、スジ、濃度ム
ラ等の発生による画像欠陥の発生は、受像シートに起因
して生じる場合も多いからである。このような画像欠陥
の発生は、最終的に得れる印刷本紙上への再転写画像の
画質の低下となって現れる。また熱転写による画像形成
時には、受像シートが複雑な構造のサーマルヘッドプリ
ンタ内の搬送系で詰まり、走行トラブルを起す場合もあ
り、このような給紙不良の解消も求められている。
【0011】従って、本発明の目的は、多階調転写方式
に適し、上記(1)〜(6)に示すような要件を満たす
優れた特性を有する感熱転写シートのインキ層の受像層
への転写性をさらに改良し、良好な画像形成が実施でき
る受像シートを提供することであり、特に本発明では、
画質(ドット品質、階調再現性)が良く、また最終的に
印刷物に近似した画像を得ることができる受像シート、
これを用いる画像形成方法、そして感熱転写シートと受
像シートを組み合わせた積層体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な良好な性能を有する感熱転写シートと組み合わせて用
いる受像シートを求めて鋭意研究を重ねた結果、従来の
昇華染料感熱転写方式や溶融転写方式に対して、本発明
の熱接着薄膜剥離方式とでもいうべき方式、すなわち、
顔料を高濃度に含有した薄膜インキ層を剥離転写する方
式を利用した転写シートに対して、内部に微小な気泡を
含有するプラスチック支持体を有する受像シートを用い
ることにより、画像欠陥のない良好な画質が得られるこ
とを見い出し、本発明に到達したものである。このよう
な支持体を有する受像シートを用いることにより、クッ
ション性が付与され、転写時のサーマルヘッドの押圧で
インキ層と受像層との高い密着性が確保される。この結
果、熱情報に対する追随性が向上し、画像欠陥の低減化
を図ることができる。また、受像シートの柔軟性も高め
られるため、上記のようなプリンタ内の走行トラブルの
発生も防止でき、良好な画像形成が実現できる。
【0013】本発明は、顔料、及び軟化点が40℃〜1
50℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそれ
ぞれ、30〜70重量%及び25〜65重量%含み、層
厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有
する感熱転写シートのインキ層を、熱転写により受像シ
ートに転写することからなる画像形成方法に用いるため
の受像シートであり、該受像シートが、内部に微小な気
泡を有するプラスチック製シートからなる支持体と受像
層との積層体である受像シートにある。
【0014】また、本発明は、顔料、及び軟化点が40
℃〜150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体
をそれぞれ、30〜70重量%及び25〜65重量%含
み、層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ
層を有する感熱転写シートのインキ層の上に、上記(段
落0013)に記載の受像シートの受像層を重ね、感熱
転写シートの背面からサーマルヘッドを押し当て、受像
シートの受像層上に光学反射濃度が1.0以上の面積階
調で構成される転写画像を形成することからなる画像形
成方法にもある。
【0015】更に本発明は、顔料、及び軟化点が40℃
〜150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体を
それぞれ、30〜70重量%及び25〜65重量%含
み、層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ
層を有する感熱転写シートのインキ層の上に、上記(段
落0013)に記載の受像シートの受像層を重ね、感熱
転写シートの背面からサーマルヘッドを押し当て、受像
シートの受像層上に面積階調で構成される転写画像を転
写し、次いで、該受像シート上の転写画像を、別に用意
した白色支持体の上に再転写して、該白色支持体上に光
学反射濃度が1.0以上の面積階調で構成される転写画
像を形成することからなる画像形成方法にもある。
【0016】本発明は又、顔料、及び軟化点が40℃〜
150℃の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそ
れぞれ、30〜70重量%及び25〜65重量%含み、
層厚が0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を
有する感熱転写シートのインキ層と、内部に微小な気泡
を有するプラスチック製シートからなる支持体上にイン
キ層を受像する受像層を有する受像シートの受像層とを
密着させてなる積層体にもある。
【0017】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)インキ層中の顔料の70重量%以上のものの粒径
が0.1〜1.0μmの範囲にある。 (2)内部に微小な気泡を有するプラスチック製シート
が、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリオレフィン、
ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアクリレート及び酢酸セルロースから選ばれる材料
から形成されている。 (3)支持体の厚みが、50〜250μm(更に好まし
くは、75〜150μm)の範囲にある。 (4)受像層が少なくとも二層から構成されている。 (5)該受像シートの支持体が、内部に微小な気泡を有
するプラスチック製シートと、その一方の面に設けられ
た裏面層及び他方の面に設けられたカール防止層とから
なる。 (6)インキ層中に含窒素化合物が含有されており、該
含窒素化合物が、一般式(I)で表わされるアミド化合
物である。
【0018】
【化1】 [式中、R1 は炭素数8〜24のアルキル基を表し、R
2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1
〜12のアルキル基を表す;ただし、いずれのアルキル
基も、エーテル結合を含むか、あるいはヒドロキシ基で
置換されていてもよく、また、R2 及びR3 がともに水
素原子の場合には、R1 のアルキル基は少なくとも一つ
のエーテル結合もしくはヒドロキシ基を含む。] (7)前記非晶質有機高分子重合体が、ブチラール樹脂
あるいはスチレン/マレイン酸半エステル樹脂である。 (8)インキ層の層厚が、0.2〜0.6μmの範囲に
ある。
【0019】さらに本発明は、上記画像形成方法に有利
に使用することができる、支持体とその上に設けられた
受像層からなる受像シートにおいて、該支持体が、内部
に微小な気泡を有するプラスチック製シートと、その一
方の面に設けられた裏面層および他方の面に設けられた
カール防止層とからなる受像シートにもある。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の受像シートについ
て説明する。本発明の受像シートは、プラスチック製シ
ートからなる支持体とこの上の受像層とからなる積層体
の構成を有している。上記受像シートの基本的な構成例
を図4に示す。プラスチック製シートからなる支持体4
1の上に受像層42が形成されている。受像層は後述す
るように二層以上の層からなっても良い。本発明の受像
シートのプラスチック製シートからなる支持体は、内部
に微小な気泡を有する。微小な気泡は、その気泡の大き
さは特に制限はないが、プラスチック製シートの全域に
わたって均一に存在していることが好ましく、このよう
な構成のプラスチック製シートは、例えば、熱可塑性樹
脂に無機又は有機微粒子を添加し、延伸し、微粒子周囲
に空隙を発生させる方法、合成樹脂の有機溶媒溶液をオ
リフィスから押し出し、次いで、凝固浴中に導入して脱
溶媒を行ない、凝固させ、溶媒離脱による空隙を発生さ
せる方法、あるいは樹脂を発泡剤と共にオリフィスより
押し出し、発泡させる方法などの種々の公知の方法を利
用して製造することができる。
【0021】本発明の受像シートに用いられる支持体の
プラスチック材料としては例えば、ポリエステル(例、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリイミド、ポリオレフィン(例、ポリエチ
レン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート及び酢酸セ
ルロースを挙げることができる。これらの中では、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリプロピレンが好ましく、
特に、寸度安定性などの点からポリエチレンテレフタレ
ートが好ましい。
【0022】本発明の受像シートに用いられるプラスチ
ック製支持体の厚みは、50〜250μmの範囲あるこ
とが好ましく、更に好ましくは、75〜150μmの範
囲である。本発明の支持体は、内部に微小な気泡を有す
るプラスチック製シートと、その一方の表面(受像層が
設けられない側の表面)に設けられた裏面層及び他方の
表面(受像層が設けられ側の表面)に設けられたカール
防止層とから構成されることが好ましい。このプラスチ
ック製シートと上記二層とからなる支持体と受像層とか
らなる本発明の受像シートの構造を図5に示す。図5に
おいて、プラスチック製シート51の一方の側に裏面層
52が設けられ、もう一方に側にカール防止層53が設
けられ、支持体が構成されている。そしてカール防止層
53上に受像層54が設けられ、本発明の受像シートが
形成される。裏面層52は滑り層として機能し、サーマ
ルヘッドプリンター等のプリンター内における走行性を
改善する。裏面層42を設けることにより支持体がカー
ル性を示すようになるので、これを軽減あるいは防止す
るためにカール防止層53が一般に設けられる。
【0023】裏面層は、バインダー樹脂と微粒子からな
り、所望により添加剤を含んでいも良い。バインダー樹
脂の例としては、ポリエステル(例、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリ
イミド、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリアクリレート及び酢酸セルロース(例、
三酢酸セルロース)を挙げることができる。プラスチッ
ク製シートとの密着の点でポリエステルが好ましい。上
記微粒子の例としては、硫酸バリウム、水酸化アルミニ
ウム、二酸化チタン、合成非晶質シリカ、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アル
ミニウム及びケイ酸マグネシウム等の無機微粒子;及び
フッ化炭素及びポリ4フッ化エチレン等の有機微粒子を
挙げることができる。上記微粒子の平均粒子径は、分散
安定性、マット効果及び滑り性の観点から0.1〜10
μmの範囲が好ましく、特に0.3〜3μmの範囲が好
ましい。
【0024】カール防止層も、裏面層で使用されたバイ
ンダー樹脂及び微粒子と類似あるいは同じ材料から構成
されることが好ましく、特に同一の材料から構成される
ことが好ましい。またこれらの層(裏面層及びカール防
止層)は、帯電防止剤、界面活性剤等の添加剤を含んで
も良く、更にこれらの層の上に、帯電防止層等を積層し
ても良い。上記裏面層又はカール防止層の層厚は、0.
5〜3mの範囲が好ましいが、目的に応じて適宜設定す
ることができる。
【0025】上記内部に微小な気泡を有するプラスチッ
ク製シートとその両側に設けられた裏面層及びカール防
止層とからなるプラスチック製支持体は、例えば、内部
に微小な気泡を有するプラスチック製シートの一方の表
面に裏面層形成用塗布液を、もう一方の表面にカール防
止層形成用塗布液を、塗布乾燥することにより;あるい
はそのプラスチック製シートの一方の表面に裏面層のフ
ィルムを、もう一方の表面にカール防止層のフィルムを
ラミネートすることにより;作製することができる。さ
らに、上記裏面層及びカール防止層を有するプラスチッ
ク製支持体は、次の工程からなる方法によっても作製す
ることができる。即ち、内部に微小な気泡を有するプラ
スチック製シート用の樹脂を、溶融押出しした後一軸延
伸して、一軸延伸フィルムを得、別に裏面層及びカール
防止層の樹脂を溶融押出しし、前記一軸延伸フィルムの
両側にそれぞれ積層した後、前記一軸延伸方向と直角の
方向に延伸して、裏面層及びカール防止層を有するプラ
スチック製支持体を得ることができる。上記溶融押出し
積層による方法が、高い生産性を有することから好まし
い。上記溶融押出し積層により得られる裏面層及びカー
ル防止層を有するプラスチック製支持体としては、市販
のポリエステルフィルムを用いることができる。市販の
ポリエステルフィルムの例としては、ルミラーE60、
E60L及びE68L(東レ(株)製);W900E
(ダイアホイル(株)製);及びクリスパーG1212
(東洋紡績(株)製)の商品名で販売されているフィル
ムを挙げることができる。上記ルミラーE60L及びE
68Lは下記の特性を有する。 密度:0.8〜0.9g/cm3 、表面粗さ:SRa約
0.1μm、ベック平滑度:約13,000秒。 尚、上記裏面層及びカール防止層は、さらに微小な気泡
を有していても良い。このような気泡は、例えば、微粒
子を含む樹脂層を延伸する際、その材料、延伸条件等を
適宜選択することにより発生させることができる。
【0026】また受像層を設ける側の支持体の表面は、
塗布するのに有利なように下塗り処理、また接着力を上
げるためにコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面
処理を施してもよいし、あるいはアンダーコート層を設
けることも可能である。アンダーコート層としては支持
体と受像層の接着力を上げるものなら限定はないが、特
にシランカップリング剤が好適である。更に、支持体は
帯電防止処理、マット処理が施されていてもよい。
【0027】上記支持体の上に設けられる受像層は、高
分子重合体からなる層であり、一層構成であっても良い
し、二層以上から構成されていても良い。以下に二層構
成にした場合の受像層について説明する。まず、第一受
像層について説明する。第一受像層は、200kg・f
/cm2 以下の弾性率で形成されていることが好まし
い。この理由は、弾性率を小さくすることにより、受像
層にクッション性が生じて、記録感度、ドット品質、階
調再現性が向上する。さらに熱転写記録する際に感熱転
写シートと受像シートの間にゴミ等の異物が存在した場
合にも第一受像層のクッション性がある為に画像欠陥に
なりにくいという利点がある。また、受像シートに転写
された画像を、紙などの印刷本紙上に加熱、加圧下で再
転写する際には、該第一受像層が紙の凹凸に従って埋め
込まれるため、紙との高い密着性が得られ、第二受像層
を剥離した後に表面をマット化等の特別な処理をしなく
とも表面光沢が印刷物に近似した画像となる。
【0028】第一受像層を構成する高分子重合体として
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリ
オレフィン;エチレンと酢酸ビニルあるいはエチレンと
アクリル酸エステルの如きエチレン共重合体;ポリ塩化
ビニル;塩化ビニルと酢酸ビニルの如き塩化ビニル共重
合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン共重合体、
ポリ(メタ)アクリル酸エステル;共重合ナイロン、N
−アルコキシメチル化ナイロンの如きポリアミド樹脂;
合成ゴム;塩化ゴム等の有機高分子重合体から少なくと
も1つ選ばれるのが好ましい。
【0029】これらの中では、特に重合度が200〜2
000の、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの
共重合体、塩化ビニルとビニルアルコールの共重合体、
塩化ビニルと酢酸ビニルとマレイン酸の共重合体が好適
である。その理由として、ポリ塩化ビニル及び塩化ビニ
ル共重合体は、常温での粘着性がほとんど無いこと、弾
性率が比較的小さく、熱転写時に転写画像の凹凸に容易
に追従可能なこと、相溶性の良い可塑剤が豊富にあり、
実質的な弾性率のコントロールが容易なこと、そして共
重合成分中の水酸基あるいはカルボキシル基の効果で層
間密着力のコントロールが容易なことが挙げられる。勿
論、これらの有機高分子中に、支持体や第二受像層との
接着力を調整する為に、各種のポリマーや密着改良剤あ
るいは界面活性剤や離型剤を加えることも可能である。
また弾性率を下げる目的で常温での粘着性が生じない範
囲で粘着性ポリマーの一部併用も非常に有効である。
【0030】例えば、フッ素系の界面活性剤を添加する
ことにより、層間密着力が低下すると同時に熱転写イン
キ層と受像層表面の濡れ性が向上し、ドット形状が改良
される。但し、添加量が多すぎると熱転写インキ層と受
像層表面の接着力が低減するためにドット形状が悪化し
てしまうので、離系剤や界面活性剤の添加量は好ましく
は0.0001〜5重量%、特に好ましくは0.001
〜3重量%である。塗布面状を良くするためには、少量
の界面活性剤の添加が好ましい。
【0031】塩化ビニル系樹脂を使用する場合には、ポ
リ塩化ビニル及び塩化ビニル共重合体の安定化剤として
一般に知られるブチル錫系安定剤あるいはオクチル錫系
安定剤等の有機錫系安定剤を添加することも有効であ
る。
【0032】第一受像層の厚さは、1μm〜50μm
(更にこの好ましくは、5μm〜30μm)の範囲にあ
ることが好ましい。その理由は、受像シート上に転写さ
れた画像を永久支持体に転写する場合に永久支持体の表
面の凹凸より厚くする必要があること、4色のカラー画
像が重なる部分のレリーフ段差を充分に吸収しうる厚み
が必要なこと、更に充分なクッション性を得る為には、
この程度の厚みが必要なこと、である。
【0033】次に、第二受像層について説明する。第二
受像層の目的は、永久支持体への再転写時に受像シート
を剥離する際、第一受像層と第二受像層の間で層間剥離
をさせ、永久支持体上の画像上に薄い第二受像層のみを
残し、永久支持体の凹凸により、特別なマット化処理を
施すことなく実際の印刷物の光沢に近似した画像を得る
こと、また画像の耐傷性を向上させることにある。従っ
て、受像層を一層で構成する際には、この第二受像層を
直接支持体上に形成する。
【0034】第二受像層は、種々の材料で構成すること
が可能であるが、樹脂で構成されていることが好まし
い。第二受像層を構成することできる樹脂材料として
は、例えば、前記第一受像層で使用した種々の有機高分
子重合体の他に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、
マレイン酸樹脂、ヒドロキシスチレン共重合体、スルフ
ォンアミド樹脂、セルロース樹脂、エステルガム及びロ
ジンを挙げることができる。
【0035】これらの樹脂の中には、各種界面における
接着力の関係を満たす為に他の密着改良剤、離型剤、可
塑剤、界面活性剤を添加することができる。第二受像層
に用いる塗布溶剤は、塗布時における塗布溶剤の下層へ
の浸透による第一受像層と第二受像層の混ざり込みを防
ぐ目的で、第一受像層に用いた樹脂を溶解もしくは膨潤
させないような塗布溶剤を用いることが必要である。例
えば、各種の溶剤に対して比較的溶解性の良好な塩化ビ
ニル系の樹脂を第一受像層に用いた場合には、アルコー
ル系もしくは水系の塗布溶剤を使用することが好まし
い。
【0036】第二受像層の膜厚は、0.1μm〜10μ
mの範囲(更に好ましくは、0.5μm〜5μm)にあ
ることが好ましい。膜厚が厚すぎると永久支持体の表面
の凹凸感が損なわれ、光沢が出過ぎて印刷物近似性が低
下し易くなる。
【0037】永久支持体への転写時に受像シートの剥離
で層間剥離を第一受像層の有機高分子物質と第二受像層
の有機高分子物質の間で起こさせるには、各層間の密着
力のバランスが重要である。層間密着力をコントロール
するには、重層塗布時の混合を防ぐ為に塗布溶剤の選択
の他に、親水性ポリマーと親油性ポリマーあるいは極性
ポリマーと非極性ポリマーの組み合わせといった素材の
選択、シランカップリング剤等の密着改良剤、フッ素系
やシリコーン系の離型硬化を有する各種添加剤、界面活
性剤、可塑剤等を第一受像層あるいは第二受像層に添加
することが有効である。
【0038】第二受像層(即ち、熱転写可能なインキ層
を受容する層)の上には、受像層の滑り性や耐傷性を向
上させる目的で、上塗層として、種々の離型剤や滑剤の
層を設けることができる。具体的には、例えばパルミチ
ン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛
の如き脂肪酸金属塩類、脂肪酸エステル類もしくはその
部分ケン化物、脂肪酸アミド類等の脂肪酸誘導体、高級
アルコール類、多価アルコール類のエテル等誘導体、パ
ラフインワックス、カルナバワックス、モンタンワック
ス、ミツロウ、木ロウ、キヤンデリラワックス等のワッ
クス類、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウム塩、
ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或いは同様
に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面活性
剤、パーフロロ系界面活性剤等から1種以上選択して用
いることができる。
【0039】上記第一受像層と第二受像層の間には、転
写性の調整等の目的で、中間層を設けることもできる。
【0040】次に、感熱転写シートについて説明する。
本発明で利用される感熱転写シートは、前述のように、
顔料及び軟化点が40℃〜150℃の温度範囲にある非
晶質有機高分子重合体をそれぞれ、30〜70重量%及
び25〜65重量%含み、膜厚が0.2μm〜1.0μ
mの範囲に有るインキ層を有する構成である。この感熱
転写シートは、感熱転写により、特に面積階調による多
階調の画像(特にフルカラー画像)を形成するのに有利
に用いられるが、二値記録にも利用することができるこ
とは勿論である。
【0041】本発明で用いられる感熱転写シートは、顔
料、及び非晶質有機高分子重合体を含むインキ層を支持
体上に有する。感熱転写シートの支持体としては、従来
の溶融転写や昇華転写用感熱転写シートの支持体として
公知の種々の支持体が使用されるが、通常のサーマルヘ
ッド転写シートと同様に裏面に離型処理を施した、厚み
5μm前後のポリエステルフイルムが特に好ましい。
【0042】本発明で用いられる感熱転写シートのイン
キ層に含まれる顔料としては、種々の公知の顔料が使用
でき、例えばカーボンブラック、アゾ系、フタロシアニ
ン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノ
ン系、イソインドリノン系等の顔料が挙げられる。これ
らは二種類以上組み合わせて使用することも可能であ
り、また色相調整のため公知の染料を添加してもよい。
本発明で用いられる感熱転写シートにおいて、薄膜で所
定の濃度を出すためには、インキ層中の顔料の含有量
は、30重量%〜70重量%(好ましくは、30〜50
重量%)である。顔料比率が30重量%未満では上記所
定の膜厚で濃度を出すことが困難になる。また本発明に
おいて、顔料の粒径は、顔料の70重量%以上が0.1
〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。粒径が大き
い場合にはカラー再現性時の各色の重なり部の透明性が
損なわれやすく、かつ先の層厚と濃度の関係の両者を満
たすことが困難になる場合がある。
【0043】本発明で用いられる感熱転写シートのイン
キ層に含まれる軟化点が40℃〜150℃の非晶質有機
高分子重合体としては、例えばブチラール樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スルホンアミド樹
脂、ポリエステルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレ
ン、αーメチルスチレン、2ーメチルスチレン、クロル
スチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸
ソーダ、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体、
置換体の単独重合体や共重合体、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリ
レート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、αーエチルヘキシルアクリレート等のアクリ
ル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソジエ
ン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニ
ルエーテル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、
無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等
のビニル系単量体の単独あるいは他の単量体等の共重合
体を挙げることができる。これらの樹脂は二種以上混合
して用いることもできる。これらのうち、分散性の観点
からブチラール樹脂やスチレン/マレイン酸半エステル
樹脂等が好ましい。これら樹脂の軟化点は40℃〜15
0℃の範囲で選ばれる。150℃を越えると熱記録感度
が低くなり易く、他方40℃未満ではインキ層の耐接着
性が劣る傾向にある。尚、ブチラール樹脂の具体例とし
ては、デンカブチラール#2000−L[軟化温度:5
7℃(DSC(Differential Scanning Calorimeter )
により測定)、重合度:約300]、#4000−1
[軟化温度:57℃、重合度:約920](以上、電気
化学工業(株)製));及びエスレックBX−10[軟
化温度:72℃、Tg:74℃、重合度:80、アセタ
ール化度:69モル%]、エスレックBL−S[Tg:
61℃、エタトル粘度:12cps、以上積水化学
(株)製]を挙げることができる。
【0044】本発明で用いられる感熱転写シートにおい
て、インキ層中の非晶質有機高分子重合体の含有量は2
5〜65重量%(好ましくは、30〜50重量%)であ
る。
【0045】本発明で用いられる感熱転写シートには、
そのインキ層に含窒素化合物が含有されていることが好
ましい。含窒素化合物としては、例えば、前記一般式
(I)で表されるアミド化合物、アミン類、後述する一
般式(II)または(III)で表わされる第四級アンモニウ
ム塩類、ヒドラジン類、芳香族アミン類、複素環芳香族
化合物を挙げることができる。これらのうちでは、前記
一般式(I)で表されるアミド化合物が含有されている
ことが好ましい。
【0046】以下に、含窒素化合物について更に詳しく
説明する。まず、一般式(I)で表わされるアミド化合
物について詳述する。
【0047】
【化2】 [式中、R1 は炭素数8〜24のアルキル基を表し、R
2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1
〜12のアルキル基を表す;ただし、いずれのアルキル
基も、エーテル結合を含むか、あるいはヒドロキシ基で
置換されていてもよく、また、R2 及びR3 がともに水
素原子の場合には、R1 のアルキル基は少なくとも一つ
のエーテル結合もしくはヒドロキシ基を含む。] 一般式(I)において、R1 で表わされるアルキル基
は、炭素数8〜18(更に好ましくは、炭素数12〜1
8)のアルキル基であることが好ましい。R2 で表わさ
れるアルキル基は、炭素数1〜10(更に好ましくは、
炭素数1〜8)のアルキル基であることが好ましい。ま
たR3 で表わされるアルキル基は、炭素数1〜4(更に
好ましくは、炭素数1〜3)のアルキル基が好ましい。
3 は、水素原子であることも好ましい。
【0048】一般式(I)で表されるアミド化合物は、
例えばSchotten-Baumann法として知られているように、
アミンのアルカリ水溶液にハロゲン化アシルを添加して
反応させてアシル基を導入する方法により得られる。こ
の場合の反応条件は、アミンのアルカリ水溶液を氷冷
し、この溶液中にハロゲン化アシルを温度が15℃以下
に保つように滴下混合して反応させるような条件が選ば
れる。この際、アミン、アルカリ、ハロゲン化アシルの
当量比が1:1:1になるようにして生成する固体が、
アミド化合物である。
【0049】一方、水に難溶のアミンを使用するとき
は、エーテル溶液とし、アルカリの代わりにトリエチル
アミンに代表される第三アミンを加えた系で反応させる
こともできる。この場合は、アミンとトリエチルアミン
のエーテル溶液にハロゲン化アシルのエーテル溶液を滴
下混合して反応させるような反応条件が選ばれる。この
際、アミン、トリエチルアミン、ハロゲン化アシルの当
量比が1:1:1になるようにする。そして、生成する
固体がアミド化合物である。こうして得られたアミド化
合物は、必要に応じて再結晶による精製を行うことによ
り、より高純度のアミド化合物を得ることができる。
【0050】一般式(I)で表される使用するアミド化
合物を生成させるために使用するアミン及びハロゲン化
アシルの具体的な組み合わせとしては、表1に示される
ものが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0051】
【表1】 表1:アミン及びハロゲン化アシルの組み合わせの例 ──────────────────────────────────── ハロゲン化アシル アミン ──────────────────────────────────── CH3(CH2)5 CH( OH)(CH2)10COCl H2 NC24 0H CH3(CH2)5 CH( OH)(CH2)10COCl NH3 n−C919COCl CH3 NH2 n−C1531COCl CH3 NH2 n−C1735COCl CH3 NH2 n−C1735COCl C25 NH2 n−C1735COCl n−C49 NH2 n−C1735COCl n−C613NH2 n−C1735COCl n−C817NH2 n−C1735COCl H2 NC24 OC24 OH n−C1735COCl (CH3)2 NH n−C1735COCl (C25)2 NH ────────────────────────────────────
【0052】また、生成されるアミド化合物を示す一般
式(I)におけるR1 、R2 およびR3 の具体的な組み
合わせとしては、表2に示されるものが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0053】
【表2】 表2:R1 〜R3 の具体的組み合わせの例 ──────────────────────────────────── R123 ──────────────────────────────────── CH3(CH2)5 CH(OH)(CH2)1024 OH H CH3(CH2)5 CH(OH)(CH2)10 H H n−C919 CH3 H n−C1531 CH3 H n−C1735 CH3 H n−C173525 H n−C1735 n−C49 H n−C1735 n−C613 H n−C1735 n−C817 H n−C173524 OC24 OH H n−C1735 CH3 CH3 n−C17352525 ────────────────────────────────────
【0054】次に、一般式(II)で表わされる第四級ア
ンモニウム塩について述べる。
【0055】
【化3】 [式中、R4 は炭素数1〜18のアルキル基或はアリー
ル基を表わし、R5 、R6 およびR7 は、それぞれ独立
に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキ
ル基、またはアリール基を表わし、Xは陰イオンを表わ
す。]
【0056】一般式(II)において、R4 で表わされる
アルキル基、そしてR5 、R6 及びR7 で表わされるア
ルキル基は、それぞれ炭素数1〜12(更に好ましく
は、炭素数1〜8)のアルキル基が好ましい。またアリ
ール基としては、例えば、フェニル基そしてナフチル基
を挙げることができる。上記アルキル基およびアリール
基は、置換基を有していても良い。Xで表わされる陰イ
オンとしては、ハロゲンイオンが好ましく、特に塩素イ
オン、臭素イオンが好ましい。本発明において、一般式
(II)で表わされる第四級アンモニウム塩の例として
は、アンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモ
ニウムブロミド、トリエチルメチルアンモニウムクロリ
ドなどを挙げることができる。
【0057】次に、一般式(III)で表わされる第四級ア
ンモニウム塩について述べる。
【0058】
【化4】 [式中、R8 、R9 、R10、R11、R12およびR13は、
それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜
12のアルキル基またはアリール基を表わし、R14は炭
素数1〜12のアルキレン基を表わし、Xは陰イオンを
表わす。]
【0059】上記一般式(III)で表わされる第四級アン
モニウム塩は、いわゆるビスタイプの第四級アンモニウ
ム塩であり、その例としては、ヘキサメトニウムブロミ
ド[すなわち、ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモ
ニウムブロミド)]を挙げることができる。
【0060】本発明で用いられるアミン類としては、例
えば、シクロヘキシルアミン、トリオクチルアミン、エ
チレンジアミンを挙げることができる。本発明で用いら
れるヒドラジン類としては、例えば、ジメチルヒドラジ
ンを挙げることができる。本発明で用いられる芳香族ア
ミン類としては、例えば、p−トルイジン、N,N−ジ
メチルアニリン、N−エチルアニリンを挙げることがで
きる。本発明で用いられる複素環芳香族化合物として
は、例えば、N−メチルピロール、N−エチルピリジニ
ウムブロミド、イミダゾール、N−メチルキノリニウム
ブロミド及び2−メチルベンゾチアゾールを挙げること
ができる。
【0061】本発明に用いられる前記含窒素化合物は、
インキ層中に、0.1〜20重量%(好ましくは、1〜
10重量%)含有されている。また前記含窒素化合物の
使用量は、通常、感熱転写シートの支持体1m2 当たり
0. 001g〜2gであり、好ましくは0. 01g〜
0. 5gである。
【0062】本発明で用いられる感熱転写シートのイン
キ層には、熱印字の際のインキ層の支持体からの離型性
及び熱感度向上の観点から種々の離型剤や軟化剤をイン
キ層中に20重量%以下の量で加えることも可能であ
る。具体的には、例えばパルミチン酸、ステアリン酸等
の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩
類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、脂肪
酸誘導体、高級アルコール類、多価アルコール類のエテ
ル等誘導体、パラフィンワックス、カルナバワックス、
モンタンワックス、ミツロウ、木ロウ、キャンデリラワ
ックス等のワックス類、粘度平均分子量が約1、000
から10、000程度の低分子量ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブチレン等のポリオレフイン類、或いは
オレフイン、αーオレフイン類と無水マレイン酸、アク
リル酸、メタクリル酸等の有機酸、酢酸ビニル等との低
分子量共重合体、低分子量酸化ポリオレフイン、ハロゲ
ン化ポリオレフイン類、ラウリルメタクリレート、ステ
アリルメタクリレート等長鎖アルキル側鎖を有するメタ
クリル酸エステル、アクリル酸エステル又はパーフロロ
基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル
類の単独もしくはスチレン類等のビニル系単量体との共
重合体、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロ
キサン等の低分子量シリコーンレジン及びシリコーン変
性有機物質等、更には長鎖脂肪族基を有するアンモニウ
ム塩、ピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、或い
は同様に長鎖脂肪族基を有するアニオン、ノニオン界面
活性剤、パーフロロ系界面活性剤等を挙げることができ
る。これらは、一種あるいは二種以上選択して用いるこ
とができる。
【0063】前記の顔料の非晶質有機高分子重合体への
分散に関しては、適切な溶剤を加えてボールミルをはじ
めとする、塗料分野で使用される種々の分散方法が適用
される。得られた分散液に、含窒素化合物、離型剤等を
加え、塗料を調製し、そしてこのようにして調製した塗
料を公知の方法で支持体上に塗布し、インキ層を形成す
ることができる。
【0064】本発明で用いられる感熱転写シートのイン
キ層は、層厚が0.2μm〜1.0μm(好ましくは、
0.2〜0.6μm)の範囲にある。1.0μmよりも
厚いインキ層の層厚では、面積階調再現性においてシャ
ドウ部がつぶれやすかったり、ハイライト部がとびやす
かったりして、結果的に階調再現性が劣ることなる。一
方、層厚が0.2μm未満では、目的の濃度を出すこと
が難しくなる。
【0065】本発明で用いられる感熱転写シートのイン
キ層は主成分が顔料と非晶質の有機高分子重合体であ
り、かつ従来のワックス溶融型に比べ顔料比率も高く、
通常の溶融型に比べ熱転写時の粘度が102 〜103
psのように低くなることはなく、150℃の温度にお
いて少なくとも104 cpsよりも高い。このため、本
発明の感熱転写シートを用いた感熱転写による画像形成
方法は、受像シートへの熱接着性、あるいはカラー画像
作成の場合はインキ層間の熱接着性を利用した薄膜剥離
現像タイプの画像形成であるということもできる。この
ことがインキ層の薄層化の効果とあいまって、高解像力
性を維持した上でシャドウ部からハイライト部に至る広
い階調再現を可能にし、かつエッジシャープネスを良好
にし、更に100%の画像の転写を可能にする。これに
より、例えば4ポイントの小さな文字とベタ部の濃度の
均一性さえも再現することができる。
【0066】本発明の積層体は、下記の本発明の画像形
成方法において有利に使用することができる。本発明の
積層体は、上記で得られる感熱転写シートが、内部に微
小な気泡を有するプラスチック製シートからなる支持体
とその上に設けられた受像層からなる上記で得られる受
像シートに積層された構成を有する。この積層体の構成
を図6に示す。図6において、プラスチック製シートか
らなる支持体61上に受像層62が設けられた受像シー
トに、感熱転写シート63が、受像層上に積層され、本
発明の積層体が構成されている。この積層は前述の様に
感熱転写シートの感熱インク層と受像層が密着するよう
にして行なわれる。
【0067】次に、本発明の画像形成方法について説明
する。本発明の画像形成方法は、前記特徴を有する受像
シートと感熱転写シートを用いて、サーマルヘッドプリ
ンタを利用して実施することができる。まず、サーマル
ヘッドプリンタを利用する場合には、感熱転写シートの
インキ層の上に前記のような本発明の受像シートを重
ね、感熱転写シートの背面からサーマルヘッドを押し当
て、印字した後、該転写シートの支持体を受像シートか
ら剥離することにより実施され、これにより、受像シー
ト上にその光学反射濃度が1.0以上の面積階調による
転写画像を形成することができる。なお、上記の画像形
成に際して、予め受像シートの受像層と感熱転写シート
のインキ層とをラミネーターなどを使用して密着させ、
積層体としたものを使用することもできる。また、上記
のようにして得られた受像シート上の転写画像を更に、
別に用意した印刷本紙となる白色支持体に重ね、この状
態で加圧、加熱処理することによって、白色支持体上に
再転写画像を得ることができる。これにより、その光学
反射濃度が1.0以上の面積階調で構成される再転写画
像を形成することができる。上記の画像形成方法は、具
体的には、従来から感熱転写シートを用い、サーマルヘ
ッドプリンタを利用した画像形成方法として知られてい
る方法を利用して実施することができる。
【0068】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。 [実施例1] (感熱転写シートの作成)それぞれ下記の組成を有する
三種類のインキ層用顔料・非晶質有機高分子重合体分散
液A、B、およびCを調製した。 ポリビニルブチラール 12重量部 (デンカブチラール#2000−L、電気化学工業(株)製) 着色顔料 A B C シアン顔料(C. I. PB. 15:4) 12重量部 − − マゼンタ顔料(C. I. PR. 57:1) − 12重量部 − イエロー顔料(C. I. PY. 14) − − 12重量部 分散助剤 0. 8重量部 (ソルスパースS−20000、ICIジャパン(株)製) 溶剤(n−プロピルアルコール) 110重量部
【0069】上記のA、B、Cの分散液の各々10重量
部に対して、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシ
ステアリン酸アミド0. 24重量部、界面活性剤(メガ
ファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
0.01重量部、そしてn−プロピルアルコール60重
量部を加え塗布液A、B、Cとし、裏面に離型処理され
た厚み5μmのポリエステルフィルム(帝人(株)製)
に回転塗布機(ホワイラー)を使用して、乾燥層厚が、
塗布液Aが0. 36μm、塗布液Bが0. 38μm、そ
して塗布液Cが0. 42μmになるようにそれぞれ塗布
し、シアン感熱転写シート、マゼンタ感熱転写シート、
そしてイエロー感熱転写シートをそれぞれ作成した(サ
ンプル1)。使用したシアン着色顔料の粒度(粒径)分
布を図1に、マゼンタ顔料の粒度分布を図2に、そして
イエロー顔料の粒度分布を図3に示す。
【0070】(受像シートの作成)下記の組成を有する
第一層受像層形成用の塗布液及び第二受像層形成用の塗
布液を調製した。 第一受像層用塗布液 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 25重量部 (MPR−TSL、日信化学(株)製) ジブチルオクチルフタレート 12重量部 (DOP、大八化学(株)製) 界面活性剤 4重量部 (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) 溶剤(メチルエチルケトン) 75重量部
【0071】 第二受像層用塗布液 ポリビニルブチラール 16重量部 (デンカブチラール#2000−L、電気化学工業(株)製) N, N−ジメチルアクリルアミド/ブチル アクリレート共重合体 4重量部 界面活性剤 0. 5重量部 (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) 溶剤(n−プロピルアルコール) 200重量部
【0072】厚さ100μmの微小な気泡を含有するポ
リエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーE60、
東レ(株)製)支持体の上に、回転塗布機を使用して上
記の第一受像層形成用塗布液を乾燥膜厚が20μmにな
るように塗布し、100℃のオーブン中で2分間乾燥し
た。さらに第一受像層の上に、回転塗布機を使用して第
二受像層用塗布液を乾燥膜厚が2μmになるように塗布
し、100℃のオーブン中で2分間乾燥した。このよう
にして受像シートを作成した(サンプル1)。
【0073】[実施例2]〜[実施例4] 実施例1の受像シートの作成において使用したプラスチ
ック製支持体を下記の表3のように変えた以外は、前記
の実施例1と同様にして、それぞれに対応する受像シー
トを作成した(サンプル2〜4)。
【0074】[比較例1]〜[比較例2] 実施例1の受像シートの作成において使用したプラスチ
ック製支持体を下記の表3のように変えた以外は、前記
の実施例1と同様にして、それぞれに対応する受像シー
トを作成した(比較サンプル1〜2)。
【0075】以下に、得られた各受像シート(サンプル
1〜4、及び対照サンプル1〜2)において、使用した
プラスチック製の支持体の特徴を表3に示す。
【0076】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 二層構成の受像層を有する受像シートのプラスチック製の支持体 材質 厚み(μm) ──────────────────────────────────── サンプル1 微小な気泡を有するポリエステルフィルム 100 (ルミラーE60、東レ(株)製) サンプル2 微小な気泡を有するポリエステルフィルム 100 (ルミラーE68L、東レ(株)製) サンプル3 微小な気泡を有するポリエステルフィルム 100 (W900E、ダイアホイル(株)製) サンプル4 微小な気泡を有するポリエステルフィルム 125 (クリスパーG1212、東洋紡績(株)製) ──────────────────────────────────── 比較サンプル1 クリアポリエチレンテレフタレートフィルム 100 (ルミラー#100、東レ(株)製) 比較サンプル2 微小な気泡を有しない白色ポリエチレンフィルム テレフタレートフィルム 125 (ルミラーX−20、東レ(株)製) ────────────────────────────────────
【0077】[サーマルヘッドを用いた画像形成及び評
価]前記で得た感熱転写シートと各種の受像シート(サ
ンプル1〜4、及び比較サンプル1〜2)とを用い、以
下の手順で画像形成方法を実施した。 (1)転写画像の形成(工程1) まず、シアン感熱転写シートと受像シートとを重ね合
せ、副走査分割法によるサーマルヘッド記録装置により
感熱印字した。この原理は75μm×50μmのヘッド
を50μm方向に、微小送り3μmピッチでオンオフす
ることにより、面積階調のみの多段階記録を行う方式で
ある。次いで、シアン感熱転写シートのポリエステルフ
ィルム(支持体)を剥離し、受像シート上に面積階調の
みよりなる画像を形成させた。次にマゼンタ感熱転写シ
ートを、シアン画像が形成されている受像シートの上に
重ね合せ、位置を合わせて同様に印字し、該マゼンタ転
写シートのポリエステルフィルムを剥離することによ
り、受像シート上にマゼンタ画像した。さらに同様にし
てマゼンタ画像の上に、イエロー画像を形成させ、受像
シート上に面積階調のみよりなるカラー画像(フルカラ
ー画像)を形成した。
【0078】(2)再転写画像の形成(工程2) 次に、カラー画像が形成された上記受像シートを、アー
ト紙と重ね合せ、4.5kg/cm2 の圧力、130
℃、4m/秒のスピードで熱ローラーを通したのち、受
像シートのポリエステルフィルムを剥がし取って、転写
インク画像を載せた受像第二層をアート紙上に残し、カ
ラー画像を得た。得られたカラー画像(再転写画像)
は、リス原稿から作成したケミカルプルーフ(カラーア
ート、富士写真フィルム(株)製)とカラー画像の近似
性が非常に良好であった。なお、得られたカラー画像に
おける各単色の反射濃度は下記の通りであった。 光学濃度(ベタ部) シアン 1. 53 マゼンタ 1. 43 イエロー 1. 58
【0079】1)上記の画像形成工程1において得られ
たカラー画像(転写画像)に対して、画像のスジ及び濃
度ムラについて下記の評価基準に従い、10人の視覚評
価による相対比較で示した。評価は、比較対照のサンプ
ル1を用いて得られたカラー画像を標準(CC)に対し
て、以下の基準で評価した。 AA:比較対照に比べ、非常に良好である。 BB:比較対照に比べ、良好である。 2)また、画像形成工程1において、受像シートをプリ
ンターカセットに10枚セットし、自動給紙を行ない、
その走行性についても評価した。評価は、比較対照のサ
ンプル1を用いて得られたカラー画像を標準(CC)に
対して、以下の基準で評価した。 AA:比較対照に比べ、非常に良好である。 BB:比較対照に比べ、良好である。 3)「ドット形状」については、比較対照のサンプル1
を用いて得られたカラー画像を標準(AA:非常に良好
である)にして評価した。 4)「耐接着性」の評価は、以下の方法で行った。5c
m角のサンプル5枚用意し、これを23℃、60%RH
の環境下で1時間調湿した。調湿後のサンプルを同じ向
きに積み重ね、ガラス板に挟んで、固定し防湿包装し
た。これを2kgの荷重をかけて40℃の環境に24時
間放置した。放置後のサンプルの接着の有無を評価した
(接着しない方が良い)。評価は、比較対照のサンプル
1を用いて得られたカラー画像を標準(CC)にに対し
て、以下の基準で評価した。 AA:比較対照に比べ、非常に良好である。 BB:比較対照に比べ、良好である。 結果を表3に示す。
【0080】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── ドット形状 スジの発生 濃度ムラ 耐接着性 自動給紙性 ──────────────────────────────────── サンプル1 AA AA AA AA AA サンプル2 AA AA AA AA AA サンプル3 AA AA AA AA AA サンプル4 AA AA AA AA AA ──────────────────────────────────── 比較 サンプル1 AA CC CC CC CC サンプル2 AA CC CC BB BB ────────────────────────────────────
【0081】上記表3の結果から、微小な気泡を有する
支持体を用いた受像シートを利用した場合には、非常に
良好な転写画像を得ることができる。またこの転写画を
利用して得られた再転写画像(アート紙上の画像)は、
紙の凹凸に追随した表面がマット化されて表面光沢が印
刷物に近似した画像であった。なお、予め感熱転写シー
トのインキ層と受像シートの受像層とを密着させた積層
体を調製し、これを利用して上記と同様な画像形成を行
った場合にも、同様な結果が得られた。
【0082】[実施例5]実施例1の受像シートの作成
において第一受像層を設けることなく、支持体上に直接
第二受像層形成用塗布液をその乾燥膜厚が5μmになる
ように塗布した以外は、前記の実施例1と同様にして、
受像シートを作成した(サンプル5)。
【0083】[比較例3]〜[比較例4] 実施例5の受像シートの作成において使用したプラスチ
ック製支持体を下記の表2のように変えた以外は、前記
の実施例5と同様にして、それぞれに対応する受像シー
トを作成した(比較サンプル3〜4)。
【0084】以下に、得られた各受像シート(サンプル
5、及び対照サンプル3〜4)において、使用したプラ
スチック製の支持体の特徴を表4に示す。
【0085】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 一層構成の受像層を有する受像シートのプラスチック製の支持体 材質 厚み(μm) ──────────────────────────────────── サンプル5 微小な気泡を有するポリエステルフィルム 100 (ルミラーE60、東レ(株)製) ──────────────────────────────────── 比較サンプル3 クリアポリエチレンテレフタレートフィルム 100 (ルミラー#100、東レ(株)製) 比較サンプル4 微小な気泡を有しない白色ポリエチレンフィルム テレフタレートフィルム 125 (ルミラーX−20、東レ(株)製) ────────────────────────────────────
【0086】[サーマルヘッドを用いた画像形成及び評
価]前記で得た感熱転写シートと各種の受像シート(サ
ンプル5、及び比較サンプル3〜4)とを用い、前記と
同様にして画像形成方法を実施した。そして前記と同様
な方法で相対評価した。但し、比較対照のサンプル3を
用いて得られたカラー画像を標準(CC)に、以下の基
準で評価した。 BB:比較対照に比べ、良好である。 結果を表5に示す。
【0087】
【表5】 表5 ──────────────────────────────────── ドット形状 スジの発生 濃度ムラ 耐接着性 自動給紙性 ──────────────────────────────────── サンプル5 BB BB BB BB BB ──────────────────────────────────── 比較 サンプル3 CC CC CC CC CC サンプル4 CC CC CC BB BB ────────────────────────────────────
【0088】上記表5の結果から、微小な気泡を有する
支持体上に、一層構成の受像層を有する受像シートを用
いた場合には、良好な画像を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】本発明の微小気泡を含有した支持体を有
する受像シートには、クッション性や柔軟性が付与され
るために、サーマルヘッドによる転写時の押圧による受
像層とインキ層との密着性が更に高められる。従ってス
ジ、濃度ムラなどが低減された良好な画質を得ることが
できる。従って、この転写画像を最終的に印刷本紙に再
転写した場合にも良好な画質となる。更に、本発明の受
像シートは支持体の軽量化も図れ、上記の高い柔軟性と
共に複雑な構造のプリンタ内の搬送性や給紙性も改良さ
れ、従って、走行トラブルを更に減少させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたシアン顔料の粒度分布を示す
グラフである。グラフの横軸は粒子径(μm)を、そし
て左縦軸は各粒径の粒子の%、そして右縦軸は累積%を
示す。
【図2】実施例1で用いたマゼンタ顔料の粒度分布を示
すグラフである。グラフの表示方法は図1と同じであ
る。
【図3】実施例1で用いたイエロー顔料の粒度分布を示
すグラフである。グラフの表示方法は図1と同じであ
る。
【図4】本発明の受像シートの基本的な構成例を示す断
面図である。
【図5】本発明の受像シートの代表的な構成例を示す断
面図である。
【図6】本発明の積層体の代表的な構成例を示す断面図
である。
【符号の説明】
41、61 支持体 42、54、62 受像層 51 プラスチック製シート 52 裏面層 53 カール防止層 63 感熱転写シート
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/30 7416−2H B41M 5/26 J 7416−2H L

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料、及び軟化点が40℃〜150℃の
    温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそれぞれ、3
    0〜70重量%及び25〜65重量%含み、層厚が0.
    2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する感熱
    転写シートのインキ層を、熱転写により受像シートに転
    写することからなる画像形成方法に用いるための受像シ
    ートであり、該受像シートが、内部に微小な気泡を有す
    るプラスチック製シートからなる支持体と受像層との積
    層体である受像シート。
  2. 【請求項2】 インキ層中の顔料の70重量%以上のも
    のの粒径が0.1〜1.0μmの範囲にある請求項1に
    記載の受像シート。
  3. 【請求項3】 内部に微小な気泡を有するプラスチック
    製シートが、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネ
    ート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリオレ
    フィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニ
    リデン、ポリアクリレート及び酢酸セルロースから選ば
    れる材料から形成されている請求項1に記載の受像シー
    ト。
  4. 【請求項4】 該受像シートの支持体の厚みが、50〜
    250μmの範囲にある請求項1に記載の受像シート。
  5. 【請求項5】 該受像シートの支持体が、内部に微小な
    気泡を有するプラスチック製シートと、その一方の面に
    設けられた裏面層及び他方の面に設けられたカール防止
    層とからなる請求項1に記載の受像シート。
  6. 【請求項6】 受像層が少なくとも二層から構成されて
    いる請求項1に記載の受像シート。
  7. 【請求項7】 支持体とその上に設けられた受像層から
    なる受像シートにおいて、該支持体が、内部に微小な気
    泡を有するプラスチック製シートと、その一方の面に設
    けられた裏面層及び他方の面に設けられたカール防止層
    とからなる受像シート。
  8. 【請求項8】 顔料、及び軟化点が40℃〜150℃の
    温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそれぞれ、3
    0〜70重量%及び25〜65重量%含み、層厚が0.
    2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する感熱
    転写シートのインキ層の上に、請求項1に記載の受像シ
    ートの受像層を重ね、感熱転写シートの背面からサーマ
    ルヘッドを押し当て、受像シートの受像層上に光学反射
    濃度が1.0以上の面積階調で構成される転写画像を形
    成することからなる画像形成方法。
  9. 【請求項9】 顔料、及び軟化点が40℃〜150℃の
    温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそれぞれ、3
    0〜70重量%及び25〜65重量%含み、層厚が0.
    2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する感熱
    転写シートのインキ層の上に、請求項1に記載の受像シ
    ートの受像層を重ね、感熱転写シートの背面からサーマ
    ルヘッドを押し当て、受像シートの受像層上に面積階調
    で構成される転写画像を転写し、次いで、該受像シート
    上の転写画像を、別に用意した白色支持体の上に再転写
    して、該白色支持体上に光学反射濃度が1.0以上の面
    積階調で構成される転写画像を形成することからなる画
    像形成方法。
  10. 【請求項10】 顔料、及び軟化点が40℃〜150℃
    の温度範囲にある非晶質有機高分子重合体をそれぞれ、
    30〜70重量%及び25〜65重量%含み、層厚が
    0.2μm〜1.0μmの範囲に有るインキ層を有する
    感熱転写シートのインキ層と、内部に微小な気泡を有す
    るプラスチック製シートからなる支持体上にインキ層を
    受像する受像層を有する受像シートの受像層とを密着さ
    せてなる積層体。
JP8131058A 1995-04-25 1996-04-25 受像シート、画像形成方法及び積層体 Pending JPH0911653A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7479470B2 (en) 2004-08-04 2009-01-20 Ricoh Company, Ltd. Thermal transfer receiver, method for producing the same, method for recording image, and recorded image

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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