JP3770024B2 - 高光沢金属帯板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス帯板やアルミニウム帯板等の光沢度の高い金属帯板の製造方法に関するもので、特に、熱間圧延後の金属帯板に大径ワークロールでの冷間圧延を施し、次いで小径ワークロールでの冷間圧延を施す、圧延能率の高い高光沢金属帯板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高光沢金属帯板の製造方法について、ステンレス帯板を例に説明する。
ステンレス帯板は、普通、所定の成分に調整された溶鋼を連続鋳造し、連続鋳造されたスラブを所定の厚みに熱間圧延し、焼鈍・酸洗を施し、この冷間圧延用素材を冷間圧延し、その後、所定の仕上処理を施して、製造されている。
【0003】
この仕上処理としては、一般に、フェライト系ステンレス帯板では、焼鈍・酸洗、調質圧延を施し、オーステナイト系ステンレス帯板では、焼鈍・酸洗、調質圧延後バフ研磨を施している。
従来の高光沢金属帯板を製造する冷間圧延工程においては、冷間圧延用素材を直径が150mm 以下の小径ワークロールを備えたクラスター圧延機で可逆圧延していた。このため、仕上処理を施したステンレス帯板の表面光沢度は良好であるが、冷間圧延工程の圧延能率は著しく低かった。
【0004】
一方、圧延能率の高い高光沢金属帯板の製造方法としては、近年、複数のスタンドで1方向に圧延できる冷間タンデム圧延機を用い、ワークロールの表面粗さを所定値とした圧延が試みられているが、直径が150mm 以上と大きいワークロールで冷間圧延するので、仕上処理を施したステンレス帯板の表面光沢度が低いという欠点を抱えていた。
【0005】
そこで、例えば特開昭61−49701 号公報には、圧延能率が高く、かつ表面欠陥が少ないステンレス帯板を得ることを可能とした、150mm 以上の大径ワークロールを有するタンデム圧延機で全圧下量の50%以上を冷間圧延し、次いで100mm 以下の小径ワークロールを有するゼンジミア圧延機で全圧下量の10%以上を境界潤滑条件で冷間圧延する冷間圧延方法が開示されている。
【0006】
また、特公昭57−13362 号公報には、ゼンジミア圧延機によるステンレス鋼帯の冷間圧延方法において、仕上パス以前のパスで表面粗さRa=0.2 〜1.0 μm のワークロールを使用し、かつ圧下率18〜25%にすることを特徴とするステンレス鋼帯の冷間圧延方法が開示されている。
しかしながら、特開昭61−49701 号公報に記載されている冷間圧延方法では、大径ワークロールのタンデム圧延機で冷間圧延を施し、次いで小径ワークロールのゼンジミア圧延機で冷間圧延を施しているので、圧延能率は高いけれども、ステンレス帯板の光沢度は、小径ワークロールでのみ冷間圧延した場合と大径ワークロールでのみ冷間圧延した場合との中間の値となり、光沢度が不十分であるという問題があった。
【0007】
また、特公昭57−13362 号公報に記載されている冷間圧延方法は、小径ワークロールでのみ冷間圧延しているため、仕上処理を施したステンレス帯板の光沢度は、大径ワークロールで冷間圧延を施し、次いで小径ワークロールで冷間圧延を施した場合より高いが、ロールの円周方向に平行な研磨目を付与した小径ワークロールでのみ冷間圧延しているので、光沢度が不十分であるうえ、圧延能率が著しく低くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、光沢度の高い金属帯板を高圧延能率で製造可能な高光沢金属帯板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、熱間圧延後のステンレス鋼帯板を、直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延し、次いで前記大径ワークロールの直径よりも小さい小径ワークロールで冷間圧延し、光沢度( Gs20 ゜)が 810 以上のステンレス鋼帯板を製造する高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法において、前記小径ワークロールの直径を20mm以上、150mm 以下とし、かつ前記小径ワークロールの表面にクロス研磨目を付与することを特徴とする高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法である。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、前記小径ワークロールを超硬合金製とすることを特徴とする請求項1に記載の高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法の発明である。
請求項3に記載の本発明は、前記超硬合金を質量百分率で炭化タングステン50〜95%とし、残部コバルト、ニッケル、クロム、チタンの1種または2種類以上とすることを特徴とする請求項2に記載の高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法の発明である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明実施の形態について、発明者らがこの発明に至った経緯を含めて、ステンレス帯板を製造する場合を例にとり説明する。
本発明の高光沢金属帯板の製造方法に用いるステンレス帯板は、所定の成分に調整された溶鋼を連続鋳造してスラブとし、このスラブを所定の厚みに熱間圧延し、焼鈍・酸洗を施したものが好ましい。本発明の高光沢金属帯板の製造方法の特徴は、熱間圧延後の金属帯板を直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延し、次いで小径ワークロールで冷間圧延することにある。その後、所定の仕上処理を施し、ステンレス帯板を製造するようにされている。仕上処理としては、フェライト系ステンレス帯板では、焼鈍・酸洗、調質圧延を施し、オーステナイト系ステンレス帯板では、焼鈍・酸洗、調質圧延後バフ研磨を施すとよい。
【0012】
ここで、仕上処理を施されたステンレス帯板の表面光沢度は、冷間圧延後の帯板の表面粗さに左右されることが知られている。
冷間圧延後のステンレス帯板の表面粗さは、深さ数μm程度のオイルピットと、ロールの研磨目の転写に起因する凹凸が1μm程度のスクラッチとからなり、一方のスクラッチの凹凸は、冷間圧延後の仕上げ焼鈍・酸洗または仕上げ光輝焼鈍し、調質圧延することによって著しく低減されるので、ステンレス帯板の表面光沢度に及ぼす影響は比較的小さいが、他方のオイルピットは、通常の研磨目を付与したロールで圧延しても凹みが残り、ステンレス帯板の表面光沢度に比較的大きな影響を及ぼしている。
【0013】
また、直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延したステンレス帯板の表面には、小径ワークロールで冷間圧延した場合に比較して、深くて大きいオイルピットが生じることもよく知られている。
そして、従来は、直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延した後、円周方向に平行な研磨目を付与した小径ワークロールで冷間圧延していたため、圧延能率は高いが、大径ワークロールで生成したオイルピットの凹み量を充分に小さくできず、ステンレス帯板の光沢度が不十分となっていたのである。
【0014】
そこで、本発明者らは、熱間圧延後の金属帯板を直径が150mm を超える大径ワークロールでタンデム冷間圧延し、次いで小径ワークロールで可逆圧延する高圧延能率な製造方法を採用するとともに、小径ワークロールの直径を20mm以上、150mm 以下とし、かつ小径ワークロールの表面にクロス研磨目を付与することで、大径ワークロールで生成したオイルピットを効果的に減少させ、小径ワークロールで冷間圧延する際のオイルピットの発生を抑制したのである。
【0015】
ここで、本発明に用いる小径ワークロールの表面に付与するクロス研磨目は、図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、ロールの円周方向に対して、一方に傾斜した研磨目と他方に傾斜した研磨目とが互いに交差し、それぞれ断続した研磨目となっているものである。クロス研磨目は、それぞれの方向に傾斜した研磨目が図1(a)に示すように平行であっても、図1(b)に示すように平行でなくとも良い。また、クロス研磨目は、一方に傾斜した研磨目と他方に傾斜した研磨目とが、円周方向に対して左右対称でも、図1(c)に示すように、円周方向に対して対称でなくても良い。
【0016】
このクロス研磨目を付与したワークロールで冷間圧延することにより、オイルピットの凹み量を小さくできるのは、ロールバイト内でステンレス帯板の表面近傍の圧延方向のせん断変形が大きくなり、ワークロールにより帯板表面が平滑化されるためである。
なお、クロス研磨目は、一方に傾斜した研磨目と他方に傾斜した研磨目とがそれぞれ断続した研磨目となっているので、スパイラル状の模様が発生することはない。研磨目が連続してスパイラル状になると、このワークロールで圧延したステンレス帯板にスパイラル状の模様が発生し、好ましくない。
【0017】
本発明に用いる小径ワークロールに付与するクロス研磨目は、図2に示すように、中空円盤状砥石2を用い、砥石回転軸2Aのオフセット量Xをロール法線1Nに対して0を超え砥石2の外径Dの1/2 未満の範囲とし、かつ砥石回転軸2Aをロール法線1Nに対して平行として砥石2を配置することによって、図3に示すように、砥石研磨面をロール軸1A方向に半分に分割が可能な分割可能線2Dの両側で砥石研磨面を小径ワークロール1に接触させ、砥石2を回転させつつ、回転させた小径ワークロール1のロール軸1A方向に移動させ、分割可能線2Dの両側におけるロール1と砥石2との接触面3L、3Rで付与するようにしてもよい。
【0018】
そして、中空円盤状砥石2を用い、小径ワークロール1にクロス研磨目を付与した場合には、図3に示す砥石2の周速度ベクトルの傾斜角度θ1 とθ2 とが異なるため、接触面3L、3Rで付与される研磨目は平行でないが、鋼帯表面の平滑化効果は充分にある。
ここで、小径ワークロールの直径を20mm以上、150mm 以下とする理由は、直径が150mm を超えた場合には、鋼帯表面の平滑化効果が不充分となり、一方、小径ワークロールの直径を20mm未満とした場合には、ロールの水平方向の撓みが大きくなって、良好な形状のステンレス帯板が製造できないからである。
【0019】
よって、本発明における高光沢金属帯板の製造方法においては、熱間圧延後の金属帯板を直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延し、次いで直径を20mm以上、150mm 以下とし、かつロールの表面にクロス研磨目を付与した小径ワークロールで冷間圧延したので、大径ロールでのみ冷間圧延した場合よりも光沢度の高い金属帯板を高圧延能率で製造できる。
【0020】
また、小径ワークロールを超硬合金製とする理由は、次のとおりである。 本発明に用いる小径ワークロールに付与したクロス研磨目は、冷間圧延の初期においては、一方に傾斜した研磨目と他方に傾斜した研磨目とが互いに交差しているので、大幅な光沢向上効果が得られる。しかし、小径ワークロールを鋼系製とした場合には、冷間圧延を続けていくと、150mm 以下、20mm以上の小径ワークロールであるので研磨目が摩耗し、光沢が低下してしまう。そこで、小径ワークロールを超硬合金製とすることにより、耐摩耗性を改善できるとともに、超硬合金は、セラミックやサーメットよりも良好な靭性を有するからである。
【0021】
また、本発明に用いる超硬合金は金属炭化物を含有し、金属炭化物としては、WCやTiC や、CrC を用いるのが、耐摩耗性やロール強度の点で好ましい。
また、本発明に用いる小径ワークロールの超硬合金の金属炭化物を炭化タングステンとし、炭化タングステン含有量の質量百分率を50〜95%とするのが好ましい。
【0022】
炭化タングステン含有量の質量百分率を50〜95%とする理由は、50%未満とした場合には、小径ワークロールの強度が不十分で圧延中にロールが変形してしまい、一方、炭化タングステンの含有量の質量百分率が95%を超えると、小径ワークロールの脆性が大きくなってロールが破損してしまうためである。本発明に用いる超硬合金製の小径ワークロールは、金属粉末にコバルト、ニッケル、クロム、チタン等の1種または2種類以上の金属粉末を混合して製造することができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
熱間圧延後、焼鈍・酸洗を施した厚み4.0mm のSUS 430 のフェライト系ステンレス帯板を、表1に示すように、大径ワークロールを有する5スタンドからなる冷間タンデム圧延機で1.5mm の中間厚に所定の圧延速度で冷間圧延し、次いで直径を150mm 以下、20mm以上とした小径ワークロールを有する可逆式圧延機を用い、5パスで0.8mm に所定の圧延速度で冷間圧延した。
【0024】
ここで、冷間タンデム圧延機は、4段ミルであり、可逆式圧延機は、12段クラスターミルである。また、可逆式圧延機の小径ワークロールでの圧延長さは18kmとした。また、一部小径ワークロールでの圧延長さを2倍の36kmとして、光沢度を調査したものもある。
なお、発明例(区分A04 〜A13 )では、可逆式圧延機の小径ワークロール直径を150mm 以下、20mm以上の範囲で変え、かつ小径ワークロール材質を変え、さらに小径ワークロール表面にクロス研磨目を付与している。クロス研磨目の傾斜角度は、円周方向に対し約30゜とし、鋼系の小径ワークロール表面粗さは、全パス0.3 μmRaとし、超硬合金製の小径ワークロールの表面粗さは、全パス0.25μmRaとした。
【0025】
従来例(区分A01 )では、発明例と同じ、熱間圧延後、焼鈍・酸洗を施した厚み4.0mm のSUS 430 のフェライト系ステンレス帯板を冷間タンデム圧延機でのみ板厚0.8mm に冷間圧延し、従来例(区分A02 )では、小径ワークロールに円周方向に平行な研磨目を付与し、この小径ワークロールでのみ板厚0.8mm に冷間圧延した。また、比較例(区分A03 )では、可逆式圧延機の小径ワークロールに、円周方向に平行な研磨目を付与し、1パスから3パスのロール粗度を0.35μmRa 、4パス、5パスのロール粗度を0.10μmRa とし、その他は発明例と同様にし、冷間圧延した。
【0026】
そして、それぞれの圧延機における圧延量と所要圧延時間から冷間圧延能率を求め、またそれぞれの冷間圧延後のステンレス帯板を、同一条件にて焼鈍・酸洗、調質圧延し光沢度(Gs20゜)を測定した。
冷間圧延能率および光沢度(Gs20゜)の結果を表1に合わせて示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示した冷間圧延能率および光沢度(Gs20゜)の結果から、発明例では、熱間圧延後の金属帯板を、直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延し、次いで直径を150mm 以下、20mm以上とし、かつ小径ワークロールの表面にクロス研磨目を付与した小径ワークロールで冷間圧延したので、小径ワークロールでのみ冷間圧延した従来例(区分A02 )よりも高い光沢度の金属帯板を高圧延能率で製造できることがわかった。なお、発明例では、比較例(区分A03 )よりも高い光沢度の金属帯板を同程度の圧延能率で製造できる。一方、従来例(区分A01 )は、光沢度が発明例よりも低く、光沢が不十分であった。
【0029】
また、発明例に用いる小径ワークロールの材質を超硬合金製とした場合には、鋼系製とした場合に比し、長い距離圧延しても光沢度が維持できることがわかった。
(実施例2)
熱間圧延後、焼鈍・酸洗を施した厚み3.0mm のSUS 304 のオーステナイト系ステンレス帯板を、表2に示すように、大径ワークロールを有する4スタンドからなる冷間タンデム圧延機で1.2mm の中間厚に所定の圧延速度で冷間圧延し、次いで直径を150mm 以下、20mm以上とした小径ワークロールを有する可逆式圧延機を用い、7パスで0.5mm に所定の圧延速度で冷間圧延した。
【0030】
ここで、冷間タンデム圧延機は、6段ミルであり、可逆式圧延機は、20段クラスターミルである。また、可逆式圧延機の小径ワークロールでの圧延長さは31kmとした。また、小径ワークロールでの圧延長さを2倍として、光沢度を調査したものもある。
なお、発明例(区分B04 〜B08 )では、可逆式圧延機の小径ワークロールの直径を150mm 以下、20mm以上の範囲で変え、かつ小径ワークロールの材質を変え、さらに小径ワークロール表面にクロス研磨目を付与している。クロス研磨目の傾斜角度は、円周方向に対し約5゜とし、鋼系の小径ワークロールの表面粗さは全パス0.3 μmRaとし、超硬合金製の小径ワークロールの表面粗さは全パス0.25μmRaとした。
【0031】
従来例(区分B01 )では、発明例と同じ、熱間圧延後、焼鈍・酸洗を施した厚み3.0mm のSUS 304 のオーステナイト系ステンレス帯板を冷間タンデム圧延機でのみ板厚0.5mm に冷間圧延し、従来例(区分B02 )では、小径ワークロールに円周方向に平行な研磨目を付与し、この小径ワークロールでのみ板厚0.5mm に冷間圧延した。
【0032】
比較例(区分B03 )では、可逆式圧延機の小径ワークロールに、円周方向に平行な研磨目を付与し、1パスから6パス目のロール粗度を0.30μmRa、7パス目のロール粗度を0.05μmRaとし、その他は発明例と同様にし、冷間圧延した。また、比較例(区分B09 、区分B10 )では、小径ワークロールにおける超硬合金の炭化タングステン含有量が本発明の範囲を外れたものとし、その他は発明例と同様にし、冷間圧延した。
【0033】
そして、それぞれの圧延機における圧延量と所要圧延時間から冷間圧延能率を求め、またそれぞれの冷間圧延後のステンレス帯板を、同一条件にて焼鈍・酸洗、調質圧延し光沢度(Gs20゜)を測定した。
冷間圧延能率および光沢度(Gs20゜)の結果を表2に合わせて示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示した冷間圧延能率および光沢度(Gs20゜)の結果から、発明例では、熱間圧延後の金属帯板を、150mm を超える直径の大径ワークロールで冷間圧延し、次いで直径を150mm 以下、20mm以上とし、かつ小径ワークロールの表面にクロス研磨目を付与した小径ワークロールで冷間圧延しているので、小径ワークロールでのみ冷間圧延した従来例(区分B02 )よりも、高い光沢度の金属帯板を高圧延能率で製造できることがわかった。なお、発明例では、比較例(区分B03 )よりも高い光沢度の金属帯板を同程度の圧延能率で製造できる。一方、従来例(区分B01 )は、光沢度が発明例よりも低く、光沢が不十分であった。
【0036】
また、発明例に用いる小径ワークロールの材質を超硬合金製とした場合には、鋼系とした場合に比し、長い距離圧延しても光沢度が維持できることがわかった。また、超硬合金の金属炭化物粉末を炭化タングステンとし、炭化タングステン含有量の質量百分率が50〜95%を外れた比較例(区分B09 、区分B10 )では、所定荷重を加えた直後の破損、もしくは圧延中のロール変形により、圧延不可になった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、光沢度の高い金属帯板を高圧延能率で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)、図1(b)、図1(c)は、本発明に用いる小径ワークロールに付与するクロス研磨目の傾斜角度を示すロール表面の概略図である。
【図2】図2は、ワークロールにクロス研磨目を付与するための砥石の配置図および砥石の断面図であり、図1(a)は部分正面図、図1(b)は部分平面図、図1(c)は図1(b)のA−A断面図である。
【図3】図3は、ワークロールにクロス研磨目を付与する原理を説明する部分平面図である。
【符号の説明】
1 ワークロール(ロール)
1A ロール軸
1B ロールの回転方向
1N ロール法線
2 中空円盤状砥石(砥石)
2A 砥石回転軸
2B 砥石の回転方向
2C 砥石の移動方向
2D 砥石の研磨面の分割可能線
3L、3R 砥石とロールとの接触面
X オフセット量
θ1 、θ2 砥石とロールとの接触面での砥石の外周および内周の速度ベクトルの傾斜角度
α、β クロス研磨目の一方および他方の傾斜角度
Claims (3)
- 熱間圧延後のステンレス鋼帯板を、直径が150mm を超える大径ワークロールで冷間圧延し、次いで前記大径ワークロールの直径よりも小さい小径ワークロールで冷間圧延し、光沢度( Gs20 ゜)が 810 以上のステンレス鋼帯板を製造する高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法において、前記小径ワークロールの直径を20mm以上、150mm 以下とし、かつ前記小径ワークロールの表面にクロス研磨目を付与することを特徴とする高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法。
- 前記小径ワークロールを超硬合金製とすることを特徴とする請求項1に記載の高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法。
- 前記超硬合金を質量百分率で炭化タングステン50〜95%とし、残部コバルト、ニッケル、クロム、チタンの1種または2種類以上とすることを特徴とする請求項2に記載の高光沢ステンレス鋼帯板の製造方法。
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