JP3385220B2 - 光沢の優れた金属板の冷間タンデム圧延方法 - Google Patents

光沢の優れた金属板の冷間タンデム圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板の冷間タン
デム圧延方法に係わり、特に光沢の優れた金属板を圧延
するのに好適な、冷間タンデム圧延方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、上下一対の圧延用ロールを用いた
金属板の冷間圧延、例えば、最も光沢が要求されるステ
ンレス鋼板の圧延は、ロール直径80mmφ程度で鏡面研磨
された小径の圧延用ロールを備えたクラスタ型圧延機を
用いて、低粘度(10cSt (40℃)程度) の鉱物系圧延潤滑
油を施しつつ、低速で行われていた。
【0003】近年、上記圧延法よりも一般に光沢が劣る
とされる生産コストの安価な大径ロールを用いたタンデ
ム圧延においても、光沢の改善が指向されるようになっ
てきた。一方、特開平8 −267109号公報には、光沢の改
善を目的として、円周方向に対して傾斜し、互いに交差
させてなる網目状のロール研磨目を付与した圧延用ロー
ルを用いて圧延することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷間タ
ンデム圧延機において、円周方向に対して傾斜し、互い
に交差した研磨目が付与された上下一対の圧延用ロール
を、幾つのスタンドに、またどの位置のスタンドに、配
置すれば光沢の優れた金属板が製造できるのか不明であ
るために、金属板の光沢を向上できなかった。
【0005】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記の問題点を解消することにあり、冷間タンデ
ム圧延機において、円周方向に対して傾斜し、互いに交
差した研磨目が付与された上下一対の圧延用ロールを、
適切に配置して、光沢の優れた金属板を圧延できる冷間
タンデム圧延方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者等は、上記課題の
解決に向けて鋭意検討を行った結果、本発明を完成さる
に到った。すなわち、本発明は、複数のスタンドを連続
して配置した冷間タンデム圧延機で金属板を圧延する冷
間タンデム圧延方法において、前記金属板を、熱間圧延
後に焼鈍、酸洗、予備処理圧延が施されたステンレス鋼
板とし、前記予備処理圧延を円周方向に対して傾斜し、
互いに交差した研磨目を有するクロス研磨目を付与して
なる上下一対の圧延用ロールを用いて施し、その後、
周方向に対して傾斜し、互いに交差した研磨目を有する
クロス研磨目を圧延用ロールの周面に付与し、該圧延用
ロールを上下一対として、第1スタンドおよび最終スタ
ンドそしてさらに中間スタンド1つ以上を含む3スタン
ド以上に設けて金属板を圧延する金属板の冷間タンデム
圧延方法である。前記圧延用ロールに付与するクロス研
磨目の傾斜角度及び/又は粗度Raを、傾斜角度に関して
は、上圧延用ロールの傾斜角度θ1 の平均値およびθ2
の平均値を下圧延用ロールより小さくするか、もしくは
上圧延用ロールの傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2
の平均値の和を下圧延用ロールよりも小さく、粗度Ra
に関しては、上圧延用ロールの粗度Raを下圧延用ロール
より大きくするようにしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に発明者等がこの発明を着想
するに到った経緯を含めて、図2に示す鋼板を圧延する
5スタンドからなる冷間タンデム圧延機の場合を例に説
明する。図2において、被圧延材である鋼板1は、図中
左方向から右方向に圧延される。各圧延スタンドはそれ
ぞれ上下一対の圧延用ロール(以下、ロールと呼ぶ。)
2A〜2E、バックアップロール3A〜3Eおよびクー
ラントノズル4A〜4Eを備えている。クーラントノズ
ル4A〜4Eからは圧延潤滑油が、ロール2A〜2Eお
よび鋼板1の上下に供給され、上下のロール2A〜2E
を冷却しつつ、上下の、圧延材1およびロール2A〜2
Eを潤滑する。
【0008】ここで、一般にタンデム圧延すると光沢が
劣る理由について説明する。タンデム圧延においては、
ロール径を大きくし、高速圧延とするために、高粘度の
圧延潤滑油を用いてロールと鋼板との焼き付きを防止し
ている。このため、ロールバイト内に引き込まれる潤滑
油量が増大し、油膜厚さが厚くなるので、深さ数μm 程
度のオイルピットと呼ばれるミクロ欠陥が発生する。し
かも、ロールと鋼板とのスリップを防止して安定圧延を
行うために、ロールを鏡面にできないので、ロールの研
磨目が転写して、深さ1μm 程度のスクラッチと呼ばれ
るミクロ欠陥も発生する。これらのミクロ欠陥により、
タンデム圧延された鋼板の粗度が大きくなるために、光
沢が劣るのである。
【0009】まず、円周方向に対して傾斜し、互いに交
差した研磨目を有するクロス研磨目を付与したロールを
用いることにより、鋼板の光沢が向上することについて
詳細に説明する。本発明に用いるロールは、例えば図1
に示すように、円周方向に対して、時計回り方向に傾斜
角度θ1 をなす研磨跡(以下、研磨目と称す。)と、反
時計回り方向に傾斜角度θ2 をなす研磨目とが、互いに
交差するように表面に付与されたものである。
【0010】ここで、図 1(a)は、研磨目の傾斜角度
θ1 及びθ2 をそれぞれ均一とした研磨目であって、傾
斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値が略同じ場
合を示しているが、クロス研磨目はこれに限られるもの
でない。クロス研磨目をロールに付与すると、ロールバ
イト内において鋼板表面近傍の圧延方向の剪断変形が大
きくなり、鋼板表面を平滑化して、スクラッチを削減で
きるとともに、クロスした研磨目であることから圧延油
の封入を防ぎ、オイルピットの発生を少なくできる。さ
らに圧延方向の剪断変形が大きいので、圧延前の鋼板粗
度も平滑化できて、圧延後の鋼板粗度を小さくする。こ
のため、鋼板の光沢を向上できるのである。
【0011】クロス研磨目の傾斜角度の平均値は、5 〜
85°とするのが好ましい。この理由は、クロス研磨目の
傾斜角度の平均値が5 °未満では、相対滑りが大きい大
径ロールであってもクロス研磨目の平滑化効果が小さく
なって光沢が向上せず、クロス研磨目の傾斜角度の平均
値が85°を超えると、クロス研磨目の圧延油封入抑制効
果が小さくなって光沢が向上しないためである。
【0012】さて、これらの状況下において、本発明者
らは、タンデム圧延機で光沢の優れた鋼板を製造するた
めに、クロス研磨目を付与したロールの適切な配置スタ
ンドを決定すべく圧延を行った(圧延実験Aとす
る。)。図2に示した5スタンドからなる冷間タンデム
圧延機を用いて、図1(a)に示した傾斜角度θ1 の平
均値および傾斜角度θ2 の平均値を40°、傾斜角度θ1
およびθ2 の標準偏差を10°、粗度Raを0.20μm とした
クロス研磨目を上下のロールに付与し、表1に示したよ
うに、適用するスタンド数および適用するスタンドを種
々変更して、熱延後、焼鈍、酸洗を施された素材厚さ4.
0mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を、厚さ2.0mm
に最終スタンドロール速度300m/minで圧延した。
【0013】但し、円周方向に平行な研磨目の粗度Ra
は、0.15〜0.25μm とし、ロールの直径550 〜600mm
φ、全スタンドのロール材質5%Cr鍛鋼( ヤング率21000k
g/mm2 )とした。圧延する際、クーラントノズル4A〜
4Eからは圧延油の粘度40cSt(40℃) 、濃度5 %の圧延
潤滑油が、ロール2A〜2Eおよび鋼板1の上下に供給
され、上下のロール2A〜2Eを冷却しつつ、上下の圧
延材1およびロール2A〜2Eを潤滑した。クロス研磨
目のロールで圧延しても、蛇行並びにロールと鋼板間の
焼き付き等の発生がなく、安定した圧延が可能であっ
た。
【0014】従来例は、第1〜第5スタンドの上下ロー
ルに粗度Ra0.2 μm の円周方向に平行な研磨目を付与し
て同様に圧延した。前記圧延機にて冷間圧延し、焼鈍、
酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度(GS20°、JIS Z874
1 光沢度測定方法)を調査した。その結果を表1に示
す。
【0015】
【表1】
【0016】この結果から、以下のことがわかった。 (1) クロス研磨目のロールを一つのスタンドに適用した
場合 いずれか一つのスタンドに適用することで、従来例に比
較して、格段に鋼板の光沢度を向上できる。第1スタン
ドまたは第5スタンドに適用した場合の鋼板の光沢度
は、第3スタンド(中間スタンド)に適用するよりも光
沢度が向上した。
【0017】(2) クロス研磨目のロールを二つのスタン
ドに適用した場合 二つのスタンドに適用することで、従来例に比較して、
格段に鋼板の光沢度を向上できる。第1スタンドおよび
第5スタンドに適用すると、第1スタンドおよび第2ス
タンド、または第4スタンドおよび第5スタンドに適用
した場合よりも鋼板の光沢度が向上した。また、第1ス
タンドおよび第2スタンド、または第4スタンドおよび
第5スタンドに適用した場合は、中間スタンドである第
2スタンドおよび第3スタンド、または第3スタンドお
よび第4スタンドに適用した場合よりも光沢が向上し
た。
【0018】(3) クロス研磨目のロールを三つのスタン
ドに適用した場合 三つのスタンドに適用することで、従来例に比較して、
格段に鋼板の光沢度を向上できる。第1スタンドおよび
第5スタンドを含む三つのスタンドに適用すると、第1
〜第3スタンドまたは第3〜第5スタンドに適用した場
合よりも光沢度が向上した。また、第1〜第3または第
3〜第5スタンドに適用した場合は、中間スタンドであ
る第2〜第4スタンドに適用した場合よりも、光沢度が
向上した。
【0019】(4) クロス研磨目のロールを四つのスタン
ドに適用した場合 四つのスタンドに適用することで、従来例に比較して、
格段に鋼板の光沢度を向上できる。第1スタンドおよび
第5スタンドを含む四つのスタンドに適用すると、第
〜第5スタンドまたは第〜第4スタンドに適用した場
合よりも光沢度が向上した。
【0020】(5) クロス研磨目のロールを五つの、第1
〜第5スタンドのスタンドに適用した場合 最も光沢度が向上した。 (6) 適用スタンド数が増大するほど、高光沢度となる。
したがって、光沢の優れた鋼板を得るためには、タンデ
ム圧延機の1スタンド以上にクロス研磨目のロールを適
用するのがよい。
【0021】一のスタンドに適用するときは、第1スタ
ンドまたは最終スタンドに適用するのが好ましい。二つ
のスタンドに適用する場合には、第1スタンドまたは最
終スタンドを含めた二つのスタンドに適用するのが好ま
しい。第1スタンドおよび最終スタンドに適用するのが
さらに好ましい。
【0022】三つまたは四つのスタンドに適用する場合
には、第1スタンドまたは最終スタンドを含めた三つ以
上のスタンドに適用するのが好ましい。第1スタンドお
よび最終スタンドを含む三つ以上のスタンドに適用する
のが、さらに好ましい。要求される光沢度が高い場合に
は全スタンドに適用するの好ましい。一方、必要な鋼板
の光沢度が決められた場合には、必要な光沢度が得られ
る最小のスタンド数で圧延でき、適用ロール数が少なく
できる。このために、通常の研磨に比して研磨コストが
高いクロス研磨目ロールを少なくできるので、生産コス
トを下げることが可能となる。
【0023】本発明に用いるクロス研磨目は、図1
(a)に示したものの他に、図1(b)に示すように、
研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2 をそれぞれ均一とし、傾
斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値を異ならせ
てもよい。また、図1(c)に示すように研磨目の傾斜
角度θ1 及びθ2 を不均一とし、傾斜角度θ1 の平均値
と傾斜角度θ2 の平均値を同じとしてもよいし、異なら
せてもよい。いずれのクロス研磨目としても上記タンデ
ム圧延の結果と、同様な結果が得られた。
【0024】本発明者らは、さらに、光沢を向上させる
ためステンレス鋼板に予備処理圧延を施した後、冷間タ
ンデム圧延を行った(圧延実験B)。前記圧延実験Aに
用いたのと同じ成分、同じ熱延、焼鈍、酸洗を施された
SUS430フェライト系ステンレス鋼板に、通常の円周方向
に平行な研磨目を付与したロールで圧下率3%の予備処理
圧延を施したものを、素材(イ)とした。また、同じ
く、圧延実験Aに用いたのと同じ成分、同じ熱延、焼
鈍、酸洗を施されたSUS430フェライト系ステンレス鋼板
に、クロス研磨目を付与したロールで圧下率3%の予備処
理圧延を施したものを、素材(ロ)とした。素材(イ)
および素材(ロ)に、圧延実験Aと同じ圧延条件でタン
デム圧延を施し、同様にして焼鈍、酸洗、調質圧延後、
鋼板の光沢を測定した。
【0025】その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】この表2の結果と前記表1の結果から、タ
ンデム圧延に供される素材に、予備処理圧延を施した場
合は、表1に示した予備処理圧延を施さない場合に比較
して、タンデム圧延後の鋼板の光沢が、顕著に向上して
いることがわかる。また、表2から、タンデム圧延に供
される素材に、クロス研磨目を付与したロールで予備処
理圧延を施した場合は、通常の研磨目を付与したロール
で予備処理圧延を施した場合に比較して、さらにタンデ
ム圧延後の鋼板の光沢が向上していることがわかる。
【0029】従って、光沢を向上するには、タンデム圧
延に供されるステンレス鋼板素材に、予備処理圧延を施
すことが好ましい。その予備処理圧延を、クロス研磨目
を付与した上下一対のロールを用いて行うことがさらに
好ましい。タンデム圧延前に予備処理圧延を施すと、ス
テンレス鋼板表面の凹部が効果的に低減され、その凹部
が低減した効果とクロス研磨目の表面平滑化および圧延
油の封入防止とが相乗的に作用して、光沢の向上に寄与
したと考えられる。
【0030】予備処理圧延は、タンデム圧延機で圧延す
るよりも凹部を効果的に平滑化するために、タンデム圧
延機とは別な圧延機で施す。圧延機は、焼鈍、酸洗ライ
ンに連続して設置してもよいが、連続していなくてもよ
い。予備処理圧延条件は、タンデム圧延とは異なり、ロ
ール径250 〜650mm φ、ロール粗度Ra0.10〜2.00μm 、
圧延速度100 〜500m/min、無潤滑または圧延油の粘度10
〜50cSt(40℃) 、濃度3 〜10%の鉱物系圧延潤滑油で行
うのが好ましい。
【0031】本発明者らは、さらに、圧延実験Aおよび
圧延実験Bの結果を検討し、上下ロールに同じクロス研
磨目を付与したのでは、鋼板の上下面に光沢差が発生す
ることを知見した。この原因について、鋭意検討したと
ころ、従来の円周方向に平行に研磨したロールを用いて
タンデム圧延した場合と原因は同じであった。
【0032】即ち、鋼板の下面に供給された圧延潤滑油
が、重力によって下方に落下してしまうのに対し、鋼板
の上面に供給された圧延潤滑油は、鋼板の上面に滞留す
ることとなり、鋼板上面とロールとの間に引き込まれる
油分量が、鋼板下面よりも多くなる。このため、鋼板上
面の油膜厚みが、鋼板下面よりも厚くなり、オイルピッ
トと呼ばれる深さ数μm 程度のミクロ欠陥の発生が多く
なって、鋼板上面の粗度が増大し、光沢度が低下するの
である。
【0033】そこで、本発明者等は、鋼板上面のオイル
ピットの発生を抑制するとともに、ロールの研磨目の転
写に起因するスクラッチと呼ばれる欠陥を減少すべく、
クロス研磨目の傾斜角度および研磨目の凹凸形状を変化
させてタンデム圧延をおこなった(圧延実験C)。回転
砥石の粒度を変えて研磨することで、研磨目の凹凸形状
を変化させ、研磨方法を変えることで、傾斜角度の平均
値と傾斜角度のばらつきを変えて、表3に示すクロス研
磨目をロールに付与した。ロールの凹凸形状は、粗度で
測定した。その測定方向は、2つの傾斜角度のθ1 とθ
2 の平均値について、その和の1/2が45°未満の場合は
軸方向に、45°以上の場合は円周方向に測定した。
【0034】これらのロールを図2に示した冷間タン
圧延機の第5スタンドに適用して、熱延後、焼鈍、酸
洗を施した素材厚さ4.0mm のSUS430フェライト系ステン
レス鋼板を、厚さ2.0mm に圧延した。但し、第1〜第4
スタンドの上下ロールには粗度Ra0.25〜0.15μm の円周
方向に平行な研磨目を付与し、ロールの直径550 〜600
mmφ、全スタンドのロール材質5%Cr鍛鋼( ヤング率2100
0kg/mm2 ) とし、第5スタンド圧下率20%、最終スタン
ドロール速度300m/minとした。
【0035】圧延する際、クーラントノズル4A〜4E
からは圧延油の粘度20cSt(40℃) 、濃度7 %の圧延潤滑
油が、ロール2A〜2Eおよび鋼板1の上下に供給さ
れ、上下のロール2A〜2Eを冷却しつつ、上下の圧延
材1およびロール2A〜2Eを潤滑した。本発明の圧延
方法で圧延しても、蛇行並びにロールと鋼板間の焼き付
き等の発生がなく、安定した圧延が可能であった。
【0036】また、上下ロールに同じクロス研磨目を付
与して同様に圧延した。前記圧延機にて冷間圧延し、焼
鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度(GS20°、JIS
Z8741 光沢度測定方法)を調査した。その結果を表3
に示す。
【0037】
【表4】
【0038】この結果から、上下ロールに異なるクロス
研磨目を付与して圧延された鋼板は、上下ロールを同じ
クロス研磨目として圧延された鋼板に比較して、以下の
場合に光沢差が改善していることがわかる。 (1) 上下ロールに異なるクロス研磨目を付与する。 (2) 上ロールに付与したクロス研磨目の粗度を下ロ
ールよりも大きくする。 (3) 上ロールに付与したクロス研磨目の傾斜角度θ
1 の平均値および傾斜角度θ2 の平均値を、下ロールよ
りも小さくする。 (4) 上ロールに付与したクロス研磨目の粗度を下ロ
ールよりも大きくし、且つ上ロールに付与したクロス研
磨目の傾斜角度θ1 の平均値および傾斜角度θ2の平均
値を、下ロールよりも小さくする。 (5) 上ロールに付与したクロス研磨目の傾斜角度θ
1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値の和を、下ロールよ
りも小さくする。 (6) 上ロールに付与したクロス研磨目の粗度を下ロ
ールよりも大きくし、且つ上ロールに付与したクロス研
磨目の傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値の
和を、下ロールよりも小さくする。
【0039】従って、鋼板の光沢度差を改善するには、
ロールに付与するクロス研磨目を上下で異ならせるとよ
い。クロス研磨目の傾斜角度及び/又は凹凸形状を、上
下で異ならせるのが好ましい。上ロールに付与するクロ
ス研磨目の粗度を下ロールよりも大きくするのがさらに
好ましい。上ロールに付与するクロス研磨目の傾斜角度
θ1 の平均値および傾斜角度θ2 の平均値を、下ロール
よりも小さくするのがさらに好ましい。上ロールに付与
するクロス研磨目の粗度を下ロールよりも大きくし、且
つ上ロールに付与するクロス研磨目の傾斜角度θ1 の平
均値および傾斜角度θ2 の平均値を、下ロールよりも小
さくするのがさらに好ましい。上ロールに付与するクロ
ス研磨目の傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均
値の和を、下ロールよりも小さくするのがさらに好まし
い。上ロールに付与するクロス研磨目の粗度を下ロール
よりも大きくし、且つ上ロールに付与したクロス研磨目
の傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値の和
を、下ロールよりも小さくするのがさらに好ましい。
【0040】また、傾斜角度のばらつきである標準偏差
が変わっても、光沢度は大きく変わらなかったので、研
磨目の傾斜方向は、均一としても、不均一としてもよ
い。クロス研磨目の傾斜角度を小さくすると上面の光沢
が向上するのは、傾斜角度を小さくしても、相対滑りが
大きいことから研磨目の相対滑りによる表面平滑化の効
果によってスクラッチが減少し、さらにクロスした研磨
目であることから圧延潤滑油の封入を防ぎ、オイルピッ
トが減少するという大きな効果を奏するためである。タ
ンデム圧延機の大径ロールでは、ロールバイト内の相対
滑り距離が数mmになり、数μm のオイルピット欠陥の大
きさの数百倍以上になっている。
【0041】本発明のクロス研磨目の傾斜角度の平均値
は、5 〜85°とするのが好ましい。この理由は、クロス
研磨目の斜角度の平均値が5 °未満では、相対滑りが
大きい大径ロールであっても平滑化効果が小さくなって
光沢が向上せず、一方、クロス研磨目の斜角度の平均
値が85°を超えると、クロス研磨目の圧延油封入抑制効
果が小さくなり光沢が向上しないからである。また、ク
ロス研磨目の傾斜角度の上下の差( 下ロールの傾斜角度
−上ロールの傾斜角度)は、5 〜80°の範囲とするのが
好ましい。クロス研磨目の傾斜角度の上下の差が 5°未
満では光沢差を低減する効果が十分でなく、クロス研磨
目の傾斜角度の上下の差が80°を超えると、下ロールの
傾斜角度が85°を超えるかまたは上ロールの傾斜角度が
5 °未満となって、いずれか一方の光沢の向上効果が得
られなくなるからである。
【0042】また、上ロールのクロス研磨目の粗度を大
きくすると上面の光沢が向上するのは、研磨目の粗度が
大きくなると、潤滑油膜を貫いて十分鋼板上面に接触す
るので、鋼板上面近傍の圧延方向の剪断変形が増大し、
鋼板上面の粗度を平滑化できるという大きな効果を奏す
るからである。本発明のクロス研磨目の粗度は、中心線
平均粗さRaで0.04〜4.0 μm の範囲とするのが好まし
い。クロス研磨目の粗度が中心線平均粗さRaで0.04μm
未満では、平滑化効果が小さいために光沢が向上せず、
クロス研磨目の粗度が中心線平均粗さRaで4.0 μm を超
えると、クロス研磨目の平滑化効果よりもスクラッチが
転写する効果が大きくなって、光沢が向上しないからで
ある。
【0043】また、クロス研磨目の上下ロールの粗度差
( 上ロールの粗度−下ロールの粗度)は、スタンド入側
の鋼板の上下面の粗度差と同程度にすることが、光沢差
を減少できるので好ましい。本発明者らは、予備処理圧
延を施されたステンレス鋼板についても、同様に上下の
クロス研磨目を異ならせることで、上下面の光沢差を改
善できた。
【0044】本発明の研磨目は、連続的でなく、断続的
としている。研磨目が断続的でよいので、連続するスパ
イラルマーク状の研磨目のように、研磨前にロール表面
を鏡面仕上げする必要がなく、研磨目を深くする必要も
ないので、研磨目を容易かつ効率的に付与できる。タン
デム圧延機の大径ロールでは、研磨目を断続としても、
ロールバイト内の相対滑り距離が数mmになり、数μm の
オイルピット欠陥の大きさの数百倍以上になっているの
で、オイルピット欠陥を平滑化できる。このため、研磨
目は連続的でなくてよい。
【0045】以上の説明は、鋼板を圧延する5スタンド
からなるタンデム圧延機について説明したが、3スタン
ド以上6スタンド以下のタンデム圧延機にも同様に適用
できる。また、4段圧延機について説明したが、2段圧
延機や6段圧延機でも良く、圧延機の型式に限定されな
い。鋼板以外のアルミニウムやの圧延にも適用でき
る。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【実施例】熱延後、焼鈍、酸洗されたSUS430フェライト
系ステンレス鋼板に、クロス研磨目を付与したロールを
用いて圧下率20% で予備処理圧延を施し、厚み2.0mm の
素材として図2に示した5スタンドからなるタンデム圧
延機に供給した。タンデム圧延機の第2および第4スタ
ンドの上下ロールに粗度Ra0.2 μm の通常の研磨目を付
与し、第1、第3および第5スタンドの上下ロールに、
図1(a)に示した傾斜角度θ1 の平均値および傾斜角
度θ2 の平均値を40°、傾斜角度θ1 およびθ2 の標準
偏差を10°、粗度Raを0.20μm としたクロス研磨目(表
1に用いたものと同じ)を付与して厚さ0.35mmに圧延
し、発明例とした。
【0050】その他のタンデム圧延条件は、ロールの直
径400 〜500mm φ、全スタンドのロール材質WC-Co 系超
硬合金(Co:35wt% 、ヤング率40000kg/mm2 ) とし、最終
スタンドロール速度150m/minとした。タンデム圧延する
際、クーラントノズル4A〜4Eからは圧延油の粘度20
cSt(40℃) 、濃度5 %の圧延潤滑油が、ロール2A〜2
Eおよび鋼板1の上下に供給され、上下のロール2A〜
2Eを冷却しつつ、上下の圧延材1およびロール2A〜
2Eを潤滑した。本発明の圧延方法で圧延しても、蛇行
並びにロールと鋼板間の焼き付き等の発生がなく、安定
した圧延が可能であった。
【0051】従来例として、第1〜第5スタンドの上下
ロールに粗度Ra0.1 〜0.3 μm の通常の研磨目を付与し
た以外は、前記発明例と同じとして圧延した。前記圧延
機にて冷間圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の
光沢度(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)を調査
した。その結果は、次のようであった。
【0052】 従来例の光沢度:上面792 、下面812 、平均802 発明例の光沢度:上面930 、下面948 、平均939 本発明例の光沢度は、従来例に比較して良好であった
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、冷間タンデム圧延にお
いて、クロス研磨目が付与された上下一対のロールを適
切なスタンドに配置できるので、光沢の優れた金属板を
製造できる。予備処理圧延が施された素材を用いて、冷
間タンデム圧延することにより、さらに光沢を向上でき
る。
【0057】上下ロールに異なるクロス研磨目を付与す
ることにより、上下面の光沢差が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるクロス研磨目の傾斜を概念的に
示すロール表面の一部拡大図である。
【図2】本発明に係わる5スタンドからなるタンデム圧
延機のスタンド配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被圧延材(鋼板) 2 ロール(圧延用ロール) 3 バックアップロール 4 クーラントノズル 5 クーラント(圧延潤滑油)
フロントページの続き (72)発明者 砂盛 泰理 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平5−253604(JP,A) 特開 平8−267109(JP,A) 特開 平8−267105(JP,A) 特開 平6−142703(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/00 - 11/00 B21B 27/00 B21B 27/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のスタンドを連続して配置した冷間
    タンデム圧延機で金属板を圧延する冷間タンデム圧延方
    法において、前記金属板を、熱間圧延後に焼鈍、酸洗、
    予備処理圧延が施されたステンレス鋼板とし、前記予備
    処理圧延を円周方向に対して傾斜し、互いに交差した研
    磨目を有するクロス研磨目を付与してなる上下一対の圧
    延用ロールを用いて施し、その後、 円周方向に対して傾斜し、互いに交差した研磨目を有す
    るクロス研磨目を圧延用ロールの周面に付与し、該圧延
    用ロールを上下一対として、第1スタンドおよび最終ス
    タンドそしてさらに中間スタンド1つ以上を含む3スタ
    ンド以上に設けて金属板を圧延することを特徴とする金
    属板の冷間タンデム圧延方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記圧延用ロールに
    付与するクロス研磨目の傾斜角度及び/又は粗度Raを、
    傾斜角度に関しては、上圧延用ロールの傾斜角度θ1 の
    平均値およびθ2 の平均値を下圧延用ロールより小さく
    するか、もしくは上圧延用ロールの傾斜角度θ1 の平均
    値と傾斜角度θ2 の平均値の和を下圧延用ロールよりも
    小さく、粗度Raに関しては、上圧延用ロールの粗度Ra
    を下圧延用ロールより大きくすることを特徴とする金属
    板の冷間タンデム圧延方法。
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