JP3286657B2 - 金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法 - Google Patents

金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板圧延用ワー
クロール(以下、単に「ロール」と略記する)に関し、
特に、冷間タンデム圧延に適用して、圧延したまま又は
さらに後処理を施した金属板の表面光沢を向上させるの
に好適な金属板圧延用ロール及びそれを用いた圧延方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上下一対のロールを用いた金属板の冷間
圧延において、特に高度な表面光沢が要求されるステン
レス鋼板の圧延は、従来から、ロール直径80mmφ程度の
小径で鏡面研磨されたロールを具えたクラスター型圧延
機を用い、低粘度(10 cSt(40℃)程度)の鉱物系圧延
潤滑油のニート潤滑を施しつつ、低速で行われるのが一
般的であった。これに対し、近年になって、生産コスト
の低減を指向して、大径ロールによるタンデム圧延が試
みられるようになってきた。しかし、タンデム圧延法で
は、上述した従来の圧延法に比しての圧延材の表面光沢
が得られがたく、タンデム圧延の実用化のためには、こ
の表面光沢の一層の向上が急務であった。かかる状況の
下で、タンデム圧延材の光沢改善に関する提案が、これ
までにも幾つかなされている。例えば、特開平8 −2671
09号公報には、ロール軸心に対して両側にほぼ等しい角
度で傾斜する網目状の研磨目を周面に付与したロールを
用いて圧延することが光沢向上にとって有効であること
が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、上記軸心に対して所定の角度をなす研磨目を、軸方
向(もしくは圧延方向)に対して両側にほぼ等しい角度
すなわち対称的に加工することは、研磨目付与方法の如
何を問わず難しく、製造しにくいという問題があった。
例えば、圧延方向に対して45°傾いた研磨目を±1°の
精度で両側に付与しようとすると、研磨条件(研磨材、
ロール径、ロール回転速度、砥石回転速度など)を微妙
に設定、調整する必要があり、前記精度の範囲内に加工
することは容易ではなかった。また、上記従来技術によ
るロールでは、圧延初期における圧延材の表面光沢を向
上させる効果は大きいものの、通常の圧延方向に平行な
研磨目と比較して磨耗が著しく早く進行するために、少
しの圧延量であっても光沢が低下してしまい、光沢の良
い鋼板をロール交換すること無しに長期間安定して圧延
することが難しいという問題もあった。
【0004】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記問題点を解消することにあり、工業的に製造
しやすく、しかも金属板の冷間タンデム圧延に用いた場
合に、優れた表面光沢の圧延材を製造することができる
圧延用ロールとそのロールを用いた圧延方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、磨耗が少な
く、圧延後の優れた表面光沢を長期間安定して維持でき
る、冷間タンデム圧延に用いて好適な金属板圧延用ロー
ルとそのロールを用いた圧延方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題の
解決に向けて、ロールの周面に形成する研磨目の角度
を、特にロール材質と関連させて詳細に検討し、本発明
を完成するに到った。すなわち、本発明の要旨構成は以
下のとおりである。 (1)ロールの周面に、該ロールの円周方向を挟んで、両
側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度でランダムに
傾斜した研磨目を編み目状に設けてなることを特徴とす
る金属板圧延用ロール。(2) 上記 (1)において、ロールは、周面材質を超硬合金
とすることが望ましく、とりわけロール胴部の軸心を鋼
にして、外層をヤング率35000kgf/mm以上の超硬合金
のスリーブとし、この外層の厚みをロール半径の3%以
上とする複合ロールであることが望ましい。なお、前記
超硬合金としては、WCにCo, Ni, Cr, Tiなどを添加し
たWC合金が好適である。(3) ロールの周面に、該ロールの円周方向を挟んで、両
側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度でランダムに
傾斜した研磨目を編み目状に設けてなる上記 (1)又は
(2)に記載のロールを用いて金属板を圧延することを特
徴とする金属板の圧延方法。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態につい
て、発明者らがこの発明を着想するに到った経緯を含め
て、鋼板の冷間圧延の場合を例にとり説明する。鋼板表
面の光沢は表面の粗さに左右されるが、通常の圧延鋼板
の表面には、オイルピットと呼ばれる深さ数μm程度の
ミクロ欠陥と、スクラッチと呼ばれるロールの研磨目の
転写に起因する深さ1μm未満のミクロ欠陥が存在す
る。ところで、前述した、クラスタ圧延機により、小径
の鏡面ロールと低粘度ニート油を用いて低速圧延する場
合には、ロール表面が鏡面であるのでスクラッチの発生
を防ぐことができ、また、ロールが小径であるため、噛
み込み角が大きく、かつ、潤滑油が低粘度で圧延速度が
低速であるため、ロールバイト内に引き込まれた圧延油
の油膜が薄くなる。その結果、ロールと鋼板が充分に接
触してオイルピットの発生も少なくなるので、良好な表
面光沢が得られる。
【0007】これに対して、タンデム圧延の場合には、
ロールが大径であるとともに圧延により大きく偏平化し
て噛み込み角が小さくなること、圧延速度が高速である
こと、また、焼き付き(ヒートストリーク)防止のため
に高粘度の圧延油を用いることなどのために、ロールバ
イト内に引き込まれる圧延油の油膜が厚くなる。その結
果、オイルピットが大量に発生し、しかも、スリップ防
止のためにロール粗度を小さくできないことから、スク
ラッチも深くなる。これらの理由から、一般的なタンデ
ム圧延を行った後の鋼板の表面は、表面粗さが大きくな
り、小径のクラスタ圧延機による圧延の場合よりも表面
光沢が低下する。なお、ロール径や圧延油変更するこ
とは、タンデム圧延を高速で行い、光沢向上を図るとい
う必要性から困難である。
【0008】さて、上述した状況の下で、発明者らは、
タンデム圧延した鋼板の表面光沢を向上させるため、ロ
ール表面の研磨目を変更することを試みた。通常の圧延
用ロールの表面には、圧延方向とほぼ平行な研磨目が存
在するので、圧延時には、鋼板表面とロール表面との相
対滑り方向と、ロール表面の研磨目の方向とが一致す
る。このため、鋼板表面にはロール粗さが転写されてス
クラッチが生じる。そこで、発明者らは、研磨目を圧延
方向に対して傾けてロール表面に付与したところ、ロー
ルバイト内の表面近傍の圧延方向のせん断変形が大きく
なり鋼板表面が平滑化されて、光沢が良好となることを
見いだした。
【0009】発明者らの検討によれば、鋼板表面に存在
するオイルピットやスクラッチのようなミクロ欠陥は数
μm以下の大きさであるのに対し、ロールバイト内の圧
延方向の相対滑りはタンデム圧延機の大径のロールでは
数mm以上になる。そこで、発明者らは、数μmのミク
ロ欠陥を平滑にするための研磨目は連続的に付与される
必要はなく、断続的であっても相対滑り距離がその数百
倍以上にもなって光沢は向上する筈であると考え、本発
明ロールを着想した。
【0010】この発明ロールでは、図1に示すように、
その表面を、ロールの円周方向(圧延方向と同じ)を挟
んで、両側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度でラ
ンダムに傾斜した研磨目を互いに交差させて編み目状と
する。すなわち、ロールの研磨目は、円周方向に対して
上記の所定最多数角度で形成しておく必要があるが、そ
れぞれの研磨目の角度はランダムとし、ロールの円周方
向に対する最多数角度θ1 、θ2 は等しく(対称的に)
する必要はない。なお、「最多数角度」とは、長さ1m
m以上の研磨目についてそれぞれの円周方向に対する傾
斜角度を測定し、求めた傾斜角度の度数分布において、
度数(頻度)が最も多い傾斜角度を意味するものとす
る。このときの、測定面積は25mm2 (5mm角) 以
上の範囲であればよい。
【0011】このように、本発明によるロールは、研磨
目はランダムでよく、しかもθ1 とθ2 とを対称的とす
る必要もないので、研磨目を加工付与する際の製造性が
著しく改善される。また、これらの研磨目は断続的でよ
いので、研磨の前にロール表面を鏡面仕上げする必要が
なく、研磨目を容易かつ効率的に付与できる。さらに、
研磨目の角度がランダムに分布していると、従来技術で
ある、編み目状をなす、ほぼ平行な研磨目に比べて光沢
度が向上する。この理由は次のように考えられる。すな
わち、ショット目残りやオイルピットを防ぐための最適
な研磨目の角度は、欠陥の大きさ、深さ、形状などによ
って異なる。そして、本発明によるロールで圧延する
と、ある一つの欠陥に対して、周方向からランダムな角
度で傾斜した研磨目がロールバイト内で数本通過するこ
とになり、効率的に圧延油が排出されて鋼板表面が平滑
になるのである。
【0012】発明者らは、このような研磨目を表面に有
するロールにおいて、さらに、ロールの材質についても
検討した。ロール材質を通常の鋼系(5%Cr鍛鋼)にし
た場合には、比較的短期間の圧延でも圧延材表面の光沢
が低下することが避けられなかった。この現象は、図2
の模式図で、図2(a) に示す初期状態から、図2(b)の
ように、研磨目の凸部が急速に磨耗し、研磨目を安定し
て維持するのが困難になることで説明される。そこで発
明者らは、磨耗に耐えうるロール材質についても検討し
た。その結果、ロールの表層部に超硬合金を採用したロ
ールが優れた耐摩耗性を有し、圧延材の表面光沢を長期
間安定して維持することが可能になるとの結論を得た。
【0013】次に、本発明の根拠となった実験結果によ
り具体的に説明する。図3に示す4段5スタンドの冷間
圧延機にて、素材厚4.0 mmのSUS 430 フエライト系ス
テンレス鋼を2.0 mm厚まで、圧延速度(最終スタンド
のロール速度)300m/min で圧延した。なお、図3
において、被圧延材である金属板1は、図中左方から右
方に圧延される。各圧延スタンドは、それぞれ上下一対
のロール2A〜2E、バックアップロール3A〜3Eに
より構成される。この圧延機にて、第5スタンドのロー
ルの研磨目の最多数角度θ1 、θ2 および研磨目の角度
分布を、表1のように、また発明例のロールについて
は、図4に示す研磨目角度分布になるように種々変更し
た。また、該ロール材質を5%Cr鍛鋼(ヤング率:2100
0 kgf/mm2 )又はWC超硬合金(ヤング率35000 kgf/mm
2 以上)とした。 表1において、条件Aのロールは通
常の研磨ロールであり、条件Bのロールは特開平8 −26
7109号公報に記載の従来技術によって一定角度の研磨目
を付与したものである。条件C〜Eのロールは本発明に
したがい最多数角度θ 1 、θ2 でランダムな方向に研磨
目を加工したものであり、それぞれの研磨目角度の角度
別の数量分布は図4(a) 〜図4(c) に対応する。上記の
圧延を30コイルづつ行い、焼鈍、酸洗、調質圧延の後処
理をした。このようにして得られた鋼板について、表面
の光沢度(JIS Z 8741 光沢度測定方法(GS 20°) によ
る) を調査した。その結果を、鍛鋼ロールの場合につい
て図5に、超硬合金の場合について図6に示す。なお、
研磨目の傾斜角度の違いに拘わらず、蛇行や焼き付きな
どの問題はなく安定した圧延ができた。
【0014】
【表1】
【0015】以上の結果から、次のことがわかった。
編み目状に研磨した研磨目の角度は、円周方向を挟んで
両側に等しい角度で傾斜させる必要はなく、また平行に
する必要もない。むしろ、ランダムな傾斜角度の研磨目
が平行なものよりも光沢は向上する。円周方向を挟む
最多数角度は、円周方向に対して極わずか傾斜しておれ
ばよい。このような編み目状の研磨目で得られる光沢
向上効果は、ロール材質が従来の鋼系の場合でも得られ
るが、これを超硬合金にすれば、この効果を、鋼系のも
のに比べて飛躍的に長期間持続させることができる。
【0016】発明者らは、編み目を構成する研磨目の最
多数角度について、さらに詳細に検討した結果、最多数
角度が0.5 〜90°未満、好ましくは、研磨目付与の容易
さから5〜85°であれば光沢の改善が得られることが分
かった。というのは、最多数角度が0.5 °に満たないと
スクラッチが転写されてしまい光沢が改善されないから
であり、90°では軸方向と平行となり研磨が困難になる
からである。
【0017】また、発明者らは、ロールの材質について
も、さらに詳細に調査した。図7は、編み目状研磨目の
最多数角度を表1中Cの条件とし、ロール素材のヤング
率を種々変更して、前述の方法と同様の圧延を行い、そ
の後、焼鈍、酸洗、調質圧延した後の鋼板表面の光沢度
を測定した結果である。図7より、ヤング率を鋼系ロー
ルの21000 kgf/mm2 、ジルコニア(ZrO2 )の25000 kg
f/mm2 、サイアロンの30000 kgf/mm2 と高めるに従い光
沢は徐々に向上し、超硬合金の35000 kgf/mm2 以上にす
ると光沢は顕著に向上することがわかった。超硬合金の
ヤング率を35000 kgf/mm2 以上にまで高めるためには、
WC(タングステンカーバイド)系の超硬合金が好まし
く、特にCoを50wt%以下の範囲で添加した、WC−Co合
金が好ましい。
【0018】このように、冷間圧延用のワークロール
に、WC−Co合金に代表される超硬合金を適用する際
に、ロール全体をWC合金一体としても鋼板の表面光沢
を得るという面からは問題はないが、タンデム圧延機用
の大径ロールに適用することを想定した場合、製造コス
トが極めて高くなるという問題がある。そこで、スリー
ブ材を超硬合金素材とし、心材を鋼系材質として、両者
を嵌合した構造のスリーブ型複合ロールにして、このロ
ール表層部分を超硬合金にすれば、上記問題が解決で
き、コスト低減の上で極めて有効となる。
【0019】ただし、このような複合ロールを圧延に用
いる場合、圧延中のロールの偏平はWC合金の一体ロー
ルの場合と異なることが考えられる。圧延後の鋼板表面
の光沢は偏平ロール半径に大きく係わっているので、複
合ロールを使用して圧延する場合には、WC合金一体ロ
ールと偏平半径が大きく異ならず、かつ、製造コストを
も考慮した上で、外層肉厚を適正に設定する必要があ
る。
【0020】発明者らは、この観点から、鋼系材質の心
材に、ヤング率35000 kgf/mm2 以上のWC系超硬合金を
スリーブとして嵌合した複合ロールにおいて、表1中C
の条件で研磨目を施すとともに、スリーブの肉厚を種々
変更したロールを作製し、その影響を調べた。ここで、
WCスリーブのヤング率は、肉厚に関係なく、すべて35
000 kgf/mm2 とした。このロールを用いて、図6の実験
と同様の圧延を行い、次いで焼鈍、酸洗、調質圧延した
鋼板の表面光沢度を測定した。その結果を図8に示す。
【0021】図8は、WCスリーブの厚みtとロール半
径rとの比t/rが3%以上であれば、WC一体ロール
との光沢度の差が10%以内に収まり、WC一体ロールに
匹敵する十分な光沢向上効果を得ることが可能であるこ
とを示している。したがって、この発明において、複合
ロールの外層である超硬合金スリーブの厚みは、ロール
半径の3%以上とすることが望ましい。t/rの上限に
ついては、ロール製造コストの余裕度に応じて適宜設定
すればよい。なお、超硬合金としては、WCにCo、Ni、
Cr、Tiなどを添加して破壊靱性を向上させたWC合金が
好適であり、なかでもCoを10〜50wt%添加したWC−Co
合金がより好ましい。
【0022】上述したように、ロールの周面に、円周方
向を挟んで両側に、それぞれ0.5 〜90°未満の最多数角
度でランダムに傾斜した研磨目を編み目状に設けること
により、金属板の光沢を向上させることが可能になる。
そして、このロール材質を超硬合金とすることにより、
一層長期にわたり安定した表面光沢をうることが可能と
なり、とくに、軸心を鋼とし、外層を、肉厚がロール半
径の3%以上、ヤング率35000kgf/mm2以上の超硬合金ス
リーブとすることによって、かかる効果をもたらすロー
ルの低コスト化が可能になる。本発明によりもたらされ
るこうした効果は、研磨目の相対滑りに起因するスクラ
ッチが低減すること、ランダムな方向に編み目状に配置
された研磨目によって、圧延油の封入が防がれてオイル
ピットが低減すること、さらに研磨目の磨耗がほとんど
生じないことなどによってもたらされるものである。そ
して、本発明ロールによれば、蛇行などの問題を招くこ
ともない。
【0023】なお、研磨目は必ずしも連続的である必要
はなく、製造性の上では、むしろ断続的であるほうが好
ましい。ロール表面の研磨目は、例えば、回転砥石や遊
離砥粒などによる研磨、研削バイトによる研削、あるい
はエッチングなどいかなる加工方法で付与されたもので
もよい。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明する。実施例1 図3に示す4段5スタンドからなる冷間圧延機の第5ス
タンドに、材質がCo20wt%を添加したWC−Co合金、ヤ
ング率が35000 kgf/mm2 であり、肉厚がロール半径の3
%であるスリーブを、鋼心材に嵌合した複合ロールの周
面に、回転砥石加工により、表1中Cの条件で研磨目を
編み目状に付与したロール(発明例)と、5%Crの鍛鋼
一体の上下ロールの表面に、回転砥石加工により、圧延
方向に対して両側にそれぞれ45°傾斜させた角度で、平
行かつ対称的に加工した研磨目を、網目状に具えたロー
ル(従来例)を適用し、素材厚4.0 mmのSUS 430 フエラ
イト系ステンレス鋼を、それぞれ2.0 mmまで 100コイル
づつ圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後の鋼板の表面光沢
を調査した。
【0025】その結果、従来技術では、20コイル圧延毎
にロールを交換して、計5セットのロールを必要とした
上、平均光沢度(Gs20°)は 432ポイントであり、各セ
ットの1コイル目と20コイル目との平均光沢度の差はい
ずれも 100ポイント以上であった。これに対し、発明ロ
ールでは、ロールを 100コイルすべてを1セットのロー
ルで圧延できた。その平均光沢度(Gs20°)は 550ポイ
ントと良好な値を示し、1コイル目と 100コイル目との
平均光沢度の差はたかだか30ポイントであり、安定した
光沢が得られた。
【0026】実施例2 図3に示す4段5スタンドからなる冷間圧延機の第5ス
タンドに、材質がCo35wt%を添加したWC−Co合金、ヤ
ング率が50000 kgf/mm2 であり、肉厚がロール半径の3
%であるスリーブを、鋼心材に嵌合した複合ロールの周
面に、回転砥石加工により、上下とも表1中Dの条件で
研磨目を編み目状に付与したロール(発明例)と、5%
Crの鍛鋼一体ロールの表面に、回転砥石加工により、圧
延方向に対して両側にそれぞれ30°傾斜させ、対称的か
つ平行に加工した研磨目を、網目状に具えたロール(従
来例)を適用し、素材厚 4.0 mm のSUS 304 オーステナ
イト系ステンレス鋼を、それぞれ2.0 mmまで100 コイル
づつ圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延、バフ研磨(1パ
ス)した。このようにして得られた鋼板の表面光沢を調
査した。
【0027】その結果、従来技術では、18コイル圧延毎
にロールを交換して、計6セットのロールを必要とした
上、平均光沢度(Gs20°)は 550ポイントであり、ま
た、各セットの1コイル目と18コイル目との平均光沢度
の差はいずれも 120ポイント以上であった。これに対
し、発明ロールでは、ロールを 100コイルすべてを1セ
ットのロールで圧延でき、その平均光沢度(Gs20°)は
700ポイントと良好な値を示し、1コイル目と 100コイ
ル目との平均光沢度の差は43ポイントであり、安定した
光沢が得られた。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ロール周面に設ける編み目状の研磨目が圧延方向に対し
てランダムに分布しているので、研磨が容易で製造しや
すく、金属板の冷間タンデム圧延に用いて、優れた表面
光沢が得られる圧延ロールを提供できる。また、本発明
によれば、ロールの表層部材質を超硬合金とすることに
より、安定した金属板の表面光沢を長期にわたり維持で
きる圧延ロールを提供できる。とくに、軸心を鋼とし、
外層を超硬合金のスリーブとして嵌合した複合ロールに
すれば、このような効果が低コストで達成可能となり、
金属板の製造コストの大幅な低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ロールのロール周面における研磨目の配
置状況を示す図である。
【図2】ロール周面に加工した研磨目の磨耗過程を説明
するための摸式図である。
【図3】本発明ロールを適用したタンデム圧延機を示す
図である。
【図4】研磨目の角度別の度数分布を示す図である。
【図5】研磨目の最多数角度が異なる鋼系ロールで圧延
したステンレス鋼板における光沢度の経時変化を示す図
である。
【図6】研磨目の最多数角度が異なるWC合金系ロール
で圧延したステンレス鋼板における光沢度の経時変化を
示す図である。
【図7】ロール素材のヤング率とステンレス鋼板の光沢
度との関係を示すグラフである。
【図8】複合ロールのスリーブ厚み(t)/ロール半径
ロール(r)とステンレス鋼板の光沢度との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 被圧延材 2 ロール 3 バックアップロール 4 クーラントノズル 5 クーラント(圧延油)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 星野 将史 兵庫県西宮市朝凪町1番50号 川崎製鉄 株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−267716(JP,A) 特開 平10−249403(JP,A) 特開 平11−285705(JP,A) 特開 平6−246313(JP,A) 特開 平11−129009(JP,A) 特開 平9−323103(JP,A) 特開 平10−263628(JP,A) 特開 平5−253604(JP,A) 特開2000−51905(JP,A) 特開 平8−267109(JP,A) 特開 平7−265913(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 27/00 B21B 1/22 B21B 27/03 510 B21B 27/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロールの周面に、該ロールの円周方向を
    挟んで、両側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度で
    ランダムに傾斜した研磨目を編み目状に設けてなること
    を特徴とする金属板圧延用ロール。
  2. 【請求項2】 ロール胴部の軸心を鋼にして、外層をヤ
    ング率35000kgf/mm 以上の超硬合金のスリーブとし、
    この外層の厚みをロール半径の3%以上とした複合ロー
    ルであって、該ロールの周面に、該ロールの円周方向を
    挟んで、両側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度で
    ランダムに傾斜した研磨目を編み目状に設けてなること
    を特徴とする金属板圧延用ロール。
  3. 【請求項3】 ロールの周面に、該ロールの円周方向を
    挟んで、両側にそれぞれ0.5 〜90°未満の最多数角度で
    ランダムに傾斜した研磨目を編み目状に設けてなる請求
    項1又は2に記載のロールを用いて金属板を圧延するこ
    とを特徴とする金属板の圧延方法。
JP23713698A 1998-08-24 1998-08-24 金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法 Expired - Fee Related JP3286657B2 (ja)

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