JP3298049B2 - 熱間粗圧延機用のワークロール - Google Patents
熱間粗圧延機用のワークロールInfo
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Description
うち、圧延条件の苛酷な粗圧延機において、圧延中のス
リップの発生を押さえ、ヒートクラックの深さを抑制し
たワークロールに関する。
ークロールには、胴部外層材として従来の高Cr鋳鉄や
Ni−Cr鋳鉄に代わって、高炭素系の高速度工具鋼
(以下ハイスという)を用いるのが主流となっている。
ハイスは、一般にC:1.00〜3.00%、V:2.
00〜7.00%、Cr:2.00〜7.00%、M
o:2.00〜7.00%、W:2.00〜7.00%
を含有し、従来の高Cr鋳鉄やNi−Cr鋳鉄に比較
し、5〜10倍の耐摩耗性を持ち、また、耐肌荒れ性に
優れている。このため、仕上圧延機のワークロールの胴
部外層材をハイスとすれば、ロール原単位の改善、ロー
ル取替え頻度の減少といったメリットが得られる。特
に、仕上圧延機前段では、国内の熱間圧延ミルでハイス
系のワークロールの適用率がほぼ100%となってい
る。
機のワークロールにも、前記の目的でハイスを適用しよ
うとする動きが現れてきている。従来、粗圧延機のワー
クロールの材質としては、特公平4−50082号公報
に示すように、鋳鍛鋼やアダマイトなどが用いられてい
た。粗圧延機のワークロールは、仕上圧延機に比較して
圧下率が高いため、圧延時のワークロールと被圧延材間
のスリップ防止を目的として、従来図5に示すように、
ワークロール41の表面加工時にロール旋盤により、ナ
ーリング加工42を施していた。
機においては、圧延中のワークロールの表面粗さが低い
と、被圧延材の噛み込み時、あるいは圧延中にワークロ
ールと被圧延材の間でスリップが発生する。ワークロー
ルの表面粗さが低い原因としては、ワークロールの表面
粗さが使用開始前の段階で低い場合と、圧延中にワーク
ロール胴部に被圧延材表面のスケールが付着して生じる
一般に黒皮といわれている酸化層(以下黒皮という)に
よって、表面粗さが低下した場合がある。
分な表面粗さを有しており、スリップを生じない場合で
あっても、圧延を継続するうちに黒皮が定着すると、黒
皮により表面粗さが低下し、スリップを誘発することが
多い。黒皮の発生原因としては、被圧延材表面のスケー
ルの転着、ロール表面の自己酸化等が挙げられる。この
黒皮層の厚みは、被圧延材表面のスケール生成状態、ロ
ール表面自体が酸化し易いか否かなどに左右されるが、
延べ圧延量の増加と共に増していく。このときの黒皮表
面粗さは、ロール生地の表面粗さに比較し、滑らかにな
っていくため、ワークロールと被圧延材の間でスリップ
が生じ易くなる。
プを防止するには、前記のとおり、ワークロール表面を
仕上研削するに際し、深さ0.2mm前後のナーリング
加工を施して十分な表面粗さを与えていた。従来の粗圧
延機のワークロールの材質としては、前記したとおり、
アダマイト、高Cr鋳鉄であり、ロール表面のショア硬
さは45HS〜60HSであるため、ロール旋盤により
ナーリング加工を施すのは容易であった。しかし、アダ
マイトや高Cr鋳鉄のワークロールは、摩耗が激しいた
め、ナーリング加工の凹凸は短期間で摩滅し、熱延コイ
ルの表面品質への影響は少ない反面、スリップが多発す
るという問題を有している。
ようとしているハイス系ロールは、ロール表面のショア
硬さは75HS以上であり、ロール旋盤によりナーリン
グ加工を施すのは容易でない。例えば、超硬合金のバイ
トを用いてハイス系ロールにナーリング加工を施した場
合は、ナーリング加工の凹凸はなかなか摩滅しないた
め、スリップの心配はないが、凹凸部にスケールを噛み
込み、熱延コイルの表面品質に問題を生じる恐れがあ
る。
は、研磨仕上のロールを用いることになる。研磨仕上の
高硬度ロールとしては、特公平4−50082号公報に
示すように、表面粗さRaが2〜10μm、表面のビッ
カース硬さHv600以上の胴部表面に、熱間圧延中に
被圧延材のスケールを強固に付着してなるロールが知ら
れている。
号公報に開示のロールは、ロールに適度な表面粗さを与
えることによって、ロール表面に高硬度の黒皮を安定し
て付着させ、ロールの耐摩耗性を高めるものである。し
かしながら、粗圧延機のワークロールに黒皮が安定して
付着すると、仕上圧延機に比較して圧下率が高いため、
被圧延材の噛み込み時、または圧延中に被圧延材とワー
クロール間でスリップを生じる原因となる。
消し、熱間圧延ラインの粗圧延機のワークロールにおい
て、適度な表面粗さを与えることにより、圧延中のロー
ル表面に黒皮剥離を生じさせ、スリップを防止しつつ、
ヒートクラックが深くなるのを防止できる熱間粗圧延機
用のワークロールを提供することである。
のワークロールは、少なくとも胴部外層材にハイスを用
い、使用開始前の胴部の表面粗さRaを2〜10μmと
することを特徴とする。このように、ハイスからなる胴
部外層材の使用開始前の表面粗さRaを2〜10μmと
することによって、胴部表面への黒皮の定着を防止して
黒皮の剥離、脱落を促進すると共に、ヒートクラックが
深くなるのが抑制される。この結果、被圧延材の噛み込
み時、または圧延中に被圧延材とワークロール間でのス
リップが防止できると共に、ヒートクラックに起因する
肌荒れを抑制でき、ロール原単位の改善と、ロール取替
え頻度を低減できる。
酷な摩擦環境下にあり、さらに、被圧延材による加熱、
ロール冷却水による冷却がロール1回転毎の高速サイク
ルで繰り返される。このため、ワークロール表面には、
黒皮が安定せずに付着、剥離、脱落を繰り返すと考えら
れる。
は、少なくとも胴部外層材にハイスを用いる。ロール全
体をハイスとすることもできるが、ロールが高価となっ
て経済的ではない。胴部外層材にハイスを用いたワーク
ロールの表面粗さRaを2〜10μmとするには、研磨
加工が一般的であるが、ショットブラスト処理、放電加
工により行うこともできる。
胴部の表面粗さRaを2〜10μmとしたのは、表面粗
さRaが2μm未満では、凹凸が少ないため、付着する
黒皮の厚みの変化も滑らかなものとなり、脱落しにくく
なり、ワークロールと被圧延材間でスリップが発生し易
くなる。また、表面粗さRaが高いと、粗圧延中のワー
クロールは激しい加熱、冷却の繰り返しを受けるため、
ヒートクラックを生じ、肌荒れの一因となるが、表面粗
さRaが10μmを超えると、凹部を伝わって生じるヒ
ートクラックも深くなるため、被圧延材の表層スケール
を噛み易くなり、肌荒れによるロール取替え頻度の増加
を招くからである。
る。図1は表面粗さRaの高いロールの表面に黒皮が付
いた場合、図2は表面粗さRaの低いロールの表面に黒
皮が付いた場合を比較する。表面粗さRaの高いロール
の表面に黒皮が付いた場合は、図1に模式的に示すよう
に、凹凸が大きいため黒皮1の厚みの変化が大きく、黒
皮1の薄い部分も発生する。この黒皮1の薄い部分より
生じる割れ2によって、黒皮1が容易に離脱するように
なる。これに対し、表面粗さRaが2μm未満のロール
の表面に黒皮が付いた場合は、図2に模式的に示すよう
に、凹凸が小さいため黒皮11の厚みの変化も小さくな
り、黒皮11の割れによる脱落が生じにくくなり、ワー
クロールと被圧延材間でスリップが発生しやすくなる。
の繰り返しを受けるため、ヒートクラックを生じ、肌荒
れの一因となる。このため、表面粗さRaが10μmを
超えるロールは、図3に示すように、凹部21を伝わっ
て生じるクラック22も深くなるため、被圧延材の表層
スケールを噛み易くなり、肌荒れによるロール取替え頻
度の増加を招くからである。一方、表面粗さRaが小さ
いと、図4に示すように、凹部21を伝わって生じるク
ラック22も浅くなるため、被圧延材の表層スケールを
噛みにくく、肌荒れによるロール取替え頻度も減少す
る。
(2重式圧延機)に、C:2.0%、V:4.0%、C
r:7.2%、W:3.0%のハイス系外層材厚さが5
0mm、胴部芯材がCr−Mo鍛鋼の胴径1160m
m、胴長2030mmのワークロールを使用するに際
し、使用前の胴部の表面粗さRaを表1に示すとおり1
〜12μmに変化させたワークロールを使用し、幅12
00mm、平均単重16tonのスラブを、入側板厚2
27mm、出側板厚184mmに1パスで粗圧延した。
そして、表面粗さRa毎に、スリップ発生の有無と、ロ
ール肌損傷の結果としてのロール取替え周期について調
査した。その結果を表1に示す。なお、比較のため、同
寸法の鋳鍛鋼の胴部に深さ0.2mmのナーリング加工
を施したワークロールを使用し、同条件で粗圧延した。
そして、スリップ発生の有無と、ロール肌損傷の結果と
してのロール取替え周期について調査した。その結果を
従来技術として表1に示す。
0.2mmのナーリング加工を施したワークロールを使
用の従来技術においては、スリップの発生はなかった
が、累積圧延量120000tonでロールに肌荒れが
発生し、ロール取替えが必要であった。この時のロール
の外径摩耗量は、1.8mmであった。これに対し、ハ
イス系外層材の表面粗さRaを本発明の範囲外である1
μmとした比較例1では、使用開始から使用中止までの
間、ワークロールと被圧延材間で重度のスリップが発生
し、ロール取替えが必要であった。また、ハイス系外層
材の表面粗さRaを本発明の範囲外である12μmとし
た比較例2では、初期表面粗さの影響でヒートクラック
に起因する表面の損傷が激しくなり、ロール肌の悪化が
早まっている。ハイス系外層材の表面粗さRaを2〜1
0μmとした本発明例1〜3では、表面粗さRaを上げ
ていくとスリップの程度が緩和され、表面粗さRaが8
μm以上では全く発生しておらず、ロール寿命の延長を
図ることができる。
は、少なくとも胴部外層材にハイスを用い、使用開始前
の胴部の表面粗さRaを2〜10μmとすることによっ
て、ハイス系ワークロールを粗圧延機適用が容易かつ効
果的となり、スリップの程度を緩和してロール原単位を
改善でき、ロール取替え頻度を減少することができる。
場合の断面模式図である。
場合の断面模式図である。
クが生じた場合の断面模式図である。
クが生じた場合の断面模式図である。
加工を施したワークロールの平面図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 熱間粗圧延機用のワークロールであっ
て、少なくとも胴部外層材に高炭素系の高速度工具鋼を
用い、使用開始前の胴部の表面粗さRaを2〜10μm
としたことを特徴とする熱間粗圧延機用のワークロー
ル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20123498A JP3298049B2 (ja) | 1998-06-30 | 1998-06-30 | 熱間粗圧延機用のワークロール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20123498A JP3298049B2 (ja) | 1998-06-30 | 1998-06-30 | 熱間粗圧延機用のワークロール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000015307A JP2000015307A (ja) | 2000-01-18 |
JP3298049B2 true JP3298049B2 (ja) | 2002-07-02 |
Family
ID=16437570
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20123498A Expired - Fee Related JP3298049B2 (ja) | 1998-06-30 | 1998-06-30 | 熱間粗圧延機用のワークロール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3298049B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010105050A (ja) * | 2010-02-19 | 2010-05-13 | Jfe Steel Corp | オンラインロールグラインダを備えた熱間仕上圧延機列および熱間圧延機列 |
-
1998
- 1998-06-30 JP JP20123498A patent/JP3298049B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JP2000015307A (ja) | 2000-01-18 |
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