JP2995953B2 - クロムメッキロールおよびステンレス鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents

クロムメッキロールおよびステンレス鋼板の冷間圧延方法

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JP2995953B2
JP2995953B2 JP3262483A JP26248391A JP2995953B2 JP 2995953 B2 JP2995953 B2 JP 2995953B2 JP 3262483 A JP3262483 A JP 3262483A JP 26248391 A JP26248391 A JP 26248391A JP 2995953 B2 JP2995953 B2 JP 2995953B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ステンレス鋼板等の
金属板の冷間圧延用ワークロールとして使用するロー
ル、およびそれを利用した焼付疵等の発生がなく表面性
状の優れたステンレス鋼板の冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄鋼板、特にステンレス薄鋼板の
冷間圧延はゼンジミアミルで 100mmφ以下のワークロー
ルを用いて500m/min以下の低速度で圧延されてきたが、
最近、生産性の向上のため 200mmφ程度の中径ワークロ
ールを用いて600m/min以上の高速で圧延する試みがなさ
れている。また、表面品質についての要求がそれほど厳
しくない製品では普通鋼圧延用のタンデムミルで 200mm
φを超える大径ロールを用いて 1000m/min以上の超高速
圧延を行うことも検討されている。
【0003】ワークロールの径が大きくなると圧延油の
ロールバイト内への導入量が増し、潤滑性の向上が期待
できる。特に普通鋼用圧延機では圧延油として冷却能力
の大きい水溶性エマルションを使用するため高潤滑が期
待できる。しかし、実際には、ロール径が大きくなると
ロールと圧延材との接触弧長が大きくなり、かつ高速で
圧延するため摩擦発熱が著しく、焼付疵(ヒートスクラ
ッチ)が局部的に発生する。また、ロールバイト内での
圧延油量が増すと油圧により鋼板表面が部分的に凹状と
なる、いわゆるオイルピットと称される表面欠陥を生じ
表面光沢が低下する。
【0004】これまでにもこの高速圧延時に発生する焼
付疵、オイルピット等の問題を解決するためのいくつか
の提案がなされている。
【0005】例えば、特開平2−92402 号公報にはワー
クロールの平均粗さを 0.2μm以下と小さくし、かつ圧
延油濃度を2%以下として圧延する方法が提案されてい
る。
【0006】しかし、この方法では油膜厚が極めて薄
く、ロール面上の局部的な凸部で潤滑不足を生じ、油膜
切れから焼付を生じてしまい、高速圧延ができない。
【0007】特開昭62−137106号公報にはタンデムミル
の第1スタンドのワークロールを中心線平均粗さ(Ra)で
0.5μm以上とし、後続スタンドの粗さを順次小さくし
て、最終スタンドのワークロールではRa 0.15 μm以下
とする方法が開示されている。この方法では第1スタン
ドではロール粗さが大きいため、焼付を生じ易く、最終
スタンドではロール粗さが小さ過ぎるため、スリップが
発生し易く、圧延が安定しない。
【0008】特開昭60−227904号公報には圧延材表面に
存在する研削目の方向とワークロール表面の研削目の方
向を交叉させて圧延する方法が開示されている。しか
し、この方法は被圧延材に長手方向の研削目 (疵) があ
ることを前提としており、このような疵がない場合にわ
ざわざ改めて研削目をつけることは工程が増し非能率的
である。また、圧延方向に対し研削目が交叉しているた
めロール研削目の摩耗が著しく、効果が長続きしない欠
点がある。
【0009】一方、焼付疵を防止するためのロールの表
面処理として、例えば、特開昭60−261609号公報にはワ
ークロールにセラミックスなどの高硬度、高融点物質あ
るいは高硬度、高熱伝導物質をコーティングする方法が
提案されている。しかし、これらの物質のコーティング
技術が未だ完成されたものではなく、高コストであった
り、剥離し易い等の難点があって実用性に乏しい。
【0010】普通鋼圧延機用のロールでもその耐摩耗性
向上のためにクロムメッキを施すことが、例えば特開昭
61−202707号公報に提案されている。しかし、クロムメ
ッキロールはステンレス鋼板、特にクロム系ステンレス
鋼板の圧延に使用した場合、「材料とプロセス」No.2,v
ol.4,1991,p495に述べられているように、通常の鍛鋼ロ
ールに比べて焼付が発生し易く、実操業に使用するのは
難しい。
【0011】上記のように、これまでにも圧延後の鋼板
の表面性状を向上させるべくワークロールの表面粗さを
種々変更すること、あるいは表面コーティングの実施な
どいくつか提案されているが、実用性があってしかも効
果が確実な技術は未だ開発されていない。前記のような
油膜過大によるオイルピットの発生、局部的な潤滑不足
による焼付およびロール肌の転写等は、生産性の高い高
速圧延機を用いた時に特に顕著に見られ、それによる表
面性状の劣化は生産性が高いという利点を相殺してしま
う。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生産性の高
い高速圧延ミルを用いても、センジミアミルで低速圧延
した製品のそれに匹敵する優れた表面性状(光沢度)の
薄鋼板、特にステンレス薄鋼板を高能率で圧延し得る冷
間圧延技術の開発の一環としてなされたものである。
【0013】本発明の具体的な目的は、表面性状の優れ
た金属板を製造する場合に使用するワークロールと、こ
れを用いるステンレス鋼の冷間圧延方法を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1) のロールと(2) の圧延方法にある。
【0015】(1) 下記のRaθが 0.1〜0.3 μm で、下記
式を満足し、かつ式または/および式を満足する
表面粗さをもつ金属板の冷間圧延用クロムメッキロー
ル。
【0016】4≧(Raθ/RaL)>1 ・・・・・ 1.5 ≦(Rvθ/Rpθ) ・・・・・ 60 ≧ Smθ ・・・・・ ただし、Raθ:ロール周方向の中心線平均粗さ (μm) RaL:ロール軸方向の中心線平均粗さ (μm) Rpθ:ロール周方向の中心線山高さ (μm) Rvθ:ロール周方向の中心線谷深さ (μm) Smθ:ロール周方向の平均山間隔 (μm) (2) レバースミルでの圧延では少なくとも最終パス、タ
ンデムミルでの圧延で少なくとも最終スタンドのワーク
ロールとして上記(1) のクロムメッキロールを用いるこ
とを特徴とするステンレス鋼板の冷間圧延方法。
【0017】図1は本発明のロールの概念と上記の粗さ
の定義を説明する図で、(a)はロールの全体図、
(b)はその表面の一部(例えばイの部分)の拡大図、
(c)は(b)図のAーA線断面図(ロール軸方向断面
図)、(d)は同じくB−B線断面図(ロール周方向断
面図)である。本発明では、前記Raθ、RaL、Rpθ、Rv
θおよびSmθを図1の各図に示すように定義する。そし
て、本発明のロールは、クロムメッキが施されていて、
そのメッキ後のRaθが 0.1〜0.3 μm で、かつRaθとRa
Lとの関係が前記の式を満足しなければならない。ま
た、更に式と式のいずれか一方、または双方を満足
しなければならない。
【0018】本発明のロールは、高光沢度が必要とされ
る普通鋼の冷延鋼板、チタン薄板、アルミ薄板等の圧延
にも当然使用できるが、特に、ステンレス鋼を高速圧延
して高光沢度の製品を得るためのワークロールとして使
用するのに適している。上記(2) の方法はその圧延方法
である。即ち、本発明のクロムメッキロールを冷間圧延
の少なくとも最終パス、タンデムミルでは最終スタンド
でワークロールとして使用すれば、例えば、200 mmφ以
上の大径ワークロールを用いた高速圧延に際しても焼付
疵およびオイルピットを圧延材表面に残すことなく、表
面性状の優れたステンレス鋼板を高能率で得ることがで
きる。圧延方法は、上記のようにリバース圧延あるいは
タンデム圧延のいずれでもよい。また、使用する圧延油
はニート、エマルションのいずれでもよいが、冷却性が
高いエマルションの方が好ましい。さらにその圧延速度
は高能率を目的としているため、500 m/min 以上が好ま
しい。
【0019】
【作用】通常のロールの表面は、研磨方法の関係でRaθ
に比べてRaLが大きく、粗さの凹凸は周方向に連続して
いる。図2(a)はこのようなロールで金属板を圧延し
たときのロール表面粗さの圧延材への転写状態を説明す
る図である。即ち、通常のロールで圧延した場合には、
ワークロール1の回転により圧延材Sには長手方向に筋
目状にロール粗さが転写される。また、ロール研磨目の
方向とロール回転方向が一致しているため粗さが小さい
場合には圧延材とロールとの間でスリップが生じる。粗
さが大きい場合には圧延材とロールとの接触長さが長く
なり、焼付疵が生じる。
【0020】本発明のロールは、前記式で定義するよ
うに、通常のロールとは粗さの方向が異なり、RaθがRa
Lよりも大きい。言い換えれば、研磨目はロールの軸方
向に延びた形になっている。図2(b)は、このような
本発明のロールで金属板を圧延した場合のロール研磨目
の転写を説明する図である。
【0021】図2(c)に示すように、圧延材Sを厚さ
1 からt2 に圧延する場合、ロールバイトの入側では
圧延材の進行速度v1がロール周速Vよりも小さく、出
側では圧延の速度v2 がロール周速Vよりも大きくな
る。従って、図2(b)に示すように研磨目がロール軸
方向に連続している場合には、研磨目の凸部(山部)が
ロールバイト出側で圧延材表面を研削して平滑化する作
用が見られる。一方、凸部が図2(a)に示すように、
周方向に連続していればそのままに近い状態で転写され
る。
【0022】図3(a)〜(c)は、ロールと圧延材の
ロール入側での接触状態を示す模式的な拡大断面図であ
る。(a)および(b)図に示すように、RaθがRaLよ
り大きい場合、またはロール周方向の平均山間隔(Sm
θ)がかなり小さい場合は圧延材とロールとの各接触点
での接触長さ(L1、L2 )は、従来のRaLが大きい場
合の接触長さ((c)図のL3 )よりはるかに短くな
り、耐焼付性が大幅に向上する。(b)図に示すように
ロール周方向の中心線山高さ (Rpθ) が中心線谷深さ
(Rvθ) より小さい場合は、圧延材への食い込みが少な
く、一層焼付が起こりにくい。
【0023】なお、ワークロールの表面粗さは測定の容
易さから、また一般に研磨が周方向に行われることか
ら、従来は粗さが大きいバレル方向(ロール軸方向)の
平均粗さ(RaL)で表示され、周方向の平均粗さ(Ra
θ)は測定されることもなく、ほとんど注目されていな
かった。
【0024】次に、本発明のロールの表面状態に関する
数値限定の理由を説明する。
【0025】後述する実施例1で使用した圧延機により
クロムメッキロールのRaθ、RaL、SmθおよびRvθとRp
θの最適範囲を確認する試験を行った。
【0026】圧延に用いた材料は表2のスケジュール
で得られたSUS 430 ステンレス鋼の1.22mm厚、50mm幅の
薄板であり、これを圧下率18%、圧延速度500m/minで圧
延した。圧延油は、50℃での粘度が 60 cSt の合成エス
テル系圧延油の3%エマルジョンである。結果を図4お
よび図5に示す。
【0027】図4は、圧延後の表面状態および光沢度
(Gs45°)をRaθとRaθ/RaLで整理して示したもので
あり、Raθが 0.1〜0.3 μm の範囲で、かつ、Raθ/Ra
Lが1〜4の範囲において焼付疵、スリップ疵、オイル
ピットの発生がないことがわかる。また、その範囲では
光沢度(Gs45°)が 300以上の高光沢を示すことがわか
る。
【0028】図5は、Raθが 0.1〜0.3 μm でかつ、Ra
θ/RaLが1〜4の範囲の表面粗さのクロムメッキロー
ルにおいて、圧延後の表面光沢度をRvθ/RpθとSmθと
の関係で整理したものである。
【0029】Rvθ/Rpθが 1.5以上で、かつSmθが60μ
m以下では光沢度が最も高い400 以上を示した。また、
Rvθ/Rpθが 1.5以上であるか、Smθが60μm以下であ
るか、いずれかの場合、光沢度は次に高い 350以上を示
した。
【0030】これらの結果から次のように結論づけるこ
とができる。即ち、圧延時に鋼板に転写されるロール研
磨目は粗さとしてはRaL成分であって、これを小さくす
ることで転写が少なくなる。しかし、この場合、Raθも
同様に小さくすると、オイルピットが生じ、またスリッ
プが発生し易くなるためRaθを適度な値にする必要があ
る。即ち、Raθは 0.1μm以上であることが必要であ
る。また、粗さのRaθ成分は圧延時に圧延材とロール表
面の周速差から、圧延材表面をならす、或いは削り取る
ように作用し、平滑な表面に仕上げる。しかし、Raθが
0.3μmを超えると摩耗粉の発生が増し、圧延材表面が
汚れ、光沢不良や焼付疵の原因になる。
【0031】粗さのRaθ成分によりロール周方向の圧延
材とロール表面とのミクロ的な接触長さが決定される。
図3(c)に示すようにRaθがRaLより小さい場合、接
触長さ(L3 )は同図(a)(b)に示したRaLの方が
小さい場合の接触長さ(L1 、L2 )に比べ著しく大き
くなる。焼付疵は接触長さが大きいほど発生するため、
Raθ/RaLを大きくすれば耐焼付性が向上する。さらに
RaθはRaLより常に大きくすることがオイルピットおよ
びスリップの発生防止のために必要である。しかし、Ra
θがRaLの4倍を超えるようになると、摩耗係数が高く
なり、焼付疵や摩耗量が増えて好ましくない。Raθ/Ra
Lの特に好ましい範囲は 2.0〜 3.5である。
【0032】ロール周方向の中心線山高さ(Rpθ)と中
心線谷深さ(Rvθ)については、Rvθ/Rpθが 1.5未満
では山高さが大きく、圧延時に図3(a)に示したよう
に、圧延材への山部のくい込みが甚だしくなり摩耗係数
が高くなって焼付の原因になる。Rvθ/Rpθを1.5以上
とすると図3(b)に示したように、食い込み量が小さ
くなり、かつ圧延後の表面の粗さも小さくなる。Rvθ/
Rpθの上限は特にないが、粗さを付与することの制限か
ら現状では10程度のものしかできない。
【0033】Smθの制限理由も同様であり、Smθが大き
すぎると接触長さ(Ln )が長くなり焼付が発生し易く
なる。これが60μm 以下のときに耐焼付性が向上する。
Smθの下限はRvθおよびRpθとの関係から必然的に限界
があり、せいぜい15〜20μmまでである。
【0034】なお、ワークロールの直径が 100mmφ以下
になると圧延時のマクロ的な接触弧の長さが短くなり粗
さのRaθ成分による圧延材表面をならす、あるいは削り
とる作用が少なくなるからワークロール径は 100 mm 以
上の方が好ましい。
【0035】本発明のロールは、例えば鍛鋼製のロール
に通常の電気メッキ法でクロムメッキを施して製造する
ことができる。メッキ前のロール表面を前述の表面状態
になるように研磨しておけば、メッキ被膜は表面の粗さ
に沿ってわずかづつ均一に積層されて形成されていくの
で、メッキ被膜が10μm 程度になってもメッキ後の表面
粗さはメッキ前の粗さとほぼ同じ状態になる。
【0036】ロールに関する条件については以上のとお
りであるが、ステンレス鋼の冷間圧延の際に少なくとも
最終パスまたは最終スタンドで上述のクロムメッキロー
ルを用いる理由は次のとおりである。
【0037】本発明の圧延方法は表面性状に優れた製品
を得ることが目的であり、そのためには圧延が終了する
パス(スタンド)に適用するだけでも十分である。即
ち、それ以前のパス(スタンド)で焼付疵、オイルピッ
ト等が発生して表面性状が低下していても、本発明のク
ロムメッキロールを用いた圧延を1パス実施するだけで
目的が達成される。圧延材の表面粗さが粗いとオイルピ
ットが発生し易いから、この粗さを早期にならす、ある
い削り取るため可能ならば最終パスより前の圧延に本発
明のロールを適用してもよい。初期の圧延で圧延材表面
を平滑にすると、後続パスで圧延しても平滑さは維持さ
れる。最終パスを含めて全パス (スタンド) に本発明の
ロールをワークロールとして使用すれば、更に優れた表
面性状の鋼板が得られることは言うまでもない。
【0038】
【実施例1】380 mmφ×400 mmLのロールを備える2段
レバース圧延機において、フェライト系ステンレス鋼(S
US 430) の 3.2 mm 厚×50 mm 幅の熱延焼鈍材(酸洗
済)を供試材として次に示す圧延を行った。
【0039】まず、表1にAで示す表面粗さに仕上げた
ワークロール (従来のロール) を使用し、表2に示す圧
延スケジュールで40℃で 90cStの鉱油系圧延油の濃度3
%のエマルションを用いて冷間圧延を行った。その結果
が表3のNo.1およびNo.2である。即ち、圧延スケジュー
ルで圧延した表面にはオイルピットが発生し、また、
圧延スケジュールで圧延した表面には焼付疵が発生
し、いずれも表面性状の極めて悪い鋼板となった。
【0040】次に、この2種類の鋼板を用い表1のB〜
Dに示す表面粗さに仕上げたロールでさらに圧下率18%
(仕上板厚 1.0mm)、圧延速度500m/minの圧延を行っ
た。Bのロールはクロムメッキを施してあるが、表面状
態は従来のロールと同じである。C、Dのロールは本発
明のロールである。Cのロールの軸方向および周方向の
表面粗さの実測値を図6の(a)および(b)に示す。
なお、これらのロールの研磨方法も表2中に記載した。
ロール素材は鍛鋼でクロムメッキは電気メッキ法で施し
た。圧延の結果を表3に示す。
【0041】表3から明らかなように、本発明のロール
を用いた圧延 (No.4〜6)では焼付の発生もなく、かつオ
イルピット、前の圧延で生じた焼付疵が圧延により減少
し、高光沢の製品が得られている。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例2】実施例1と同様の圧延機、圧延材、圧延条
件で図7 中に、、で示した粗さ条件(ただし、Ra
θ=0.24μm 、RaL=0.08μm )のクロムメッキロール
との表面粗さであるがクロムメッキをしていないロー
ル、およびRaθ=0.08μm 、RaL=0.24μm の従来の研
磨方法によるクロムメッキロールについて連続して圧延
し、圧延長さと光沢度との関係を検討した。図7にその
結果を示す。
【0046】従来のクロムメッキロールおよび本発明で
定めた粗さの条件範囲外のクロムメッキロールはいず
れも圧延長さ20 km 未満で焼付が発生するが、本発明の
クロムメッキロールは焼付疵やスリップ疵の発生がな
く、30〜60 km の圧延長さまで高光沢を維持できロール
寿命が大幅に向上した。
【0047】なお、粗さが本発明で定める範囲にあって
も、クロムメッキロールでないとロール摩耗が進行し、
オイルピットやスリップ疵が発生して圧延長さは20 km
程度までであった。
【0048】このように本発明のクロムメッキロールは
従来のクロムメッキロールより大幅に耐焼付性が向上
し、かつロール寿命が長くなることがわかる。
【0049】なお、実施例で使用した圧延材はSUS 430
鋼であるか、その他のフェライト系ステンレス鋼および
オーステナイトステンレス鋼に対しても本発明ロールの
効果は同じである。
【0050】
【発明の効果】本発明のクロムメッキロールをワークロ
ールとして用いれば、金属板、特にステンレス薄鋼板の
高速圧延を実施してもオイルピット、ロール肌の転写、
焼付疵(ヒートスクラッチ)、スリップ疵等の発生がな
く、高光沢で優れた表面性状の薄鋼板を高能率で、かつ
長時間安定して圧延できる。また、ロール自体の摩耗も
著しく減少しその使用寿命が長くなるから、補修研磨の
手間が省けロールの原単位、ひいては金属板の製造コス
トが低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロールの概念を説明する図で、(a)
はロールの全体図、(b)はその表面の一部(例えばイ
の部分)の拡大図、(c)は(b)図のAーA線断面図
(ロール軸方向断面図)、(d)は同じくB−B線断面
図(ロール周方向断面図)である。
【図2】(a)は通常のロールの場合、(b)は本発明
ロールの場合の圧延時のロール粗さの圧延材への転写状
態を説明する図である。(c)はロールバイトの圧延材
速度とロール周速との関係を示す図である。
【図3】ロールと圧延材の接触状態を説明する模式的拡
大断面図で(a)はRvθ/Rpθ≒1、Raθ>RaLの場
合、(b)はRvθ/Rpθ≒3、Raθ>RaLの場合、
(c)はRaθ>RaLの場合である。
【図4】圧延後の表面状態および光沢度に及ぼすRaθ/
RaLとRaθの関係を示すグラフである。
【図5】ロールのRaθとRaθ/RaLが本発明で定める範
囲内である場合の圧延後の表面光沢度に及ぼすRvθ/Rp
θとSmθとの関係を示すグラフである。
【図6】実施例で用いた本発明のロールの表面粗さの実
測値を示す図である。
【図7】本発明のクロムメッキロールおよび比較用のロ
ールを用いて長時間圧延した際の圧延可能長さと光沢度
の関係および表面性状を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−92402(JP,A) 特開 平3−264102(JP,A) 特開 平7−265912(JP,A) 特開 平4−285149(JP,A) 特開 平2−192802(JP,A) 特開 昭63−255320(JP,A) 特開 昭63−112086(JP,A) 特開 昭63−49311(JP,A) 特開 昭62−168605(JP,A) 特開 平2−175005(JP,A) 特開 平2−127903(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 27/00 B21B 1/22 B21B 3/02 C25D 3/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のRaθが 0.1〜0.3 μm で、下記式
    を満足し、かつ式または/および式を満足する表面
    粗さをもつ金属板の冷間圧延用クロムメッキロール。 4≧(Raθ/RaL)>1 ・・・・・ 1.5 ≦(Rvθ/Rpθ) ・・・・・ 60 ≧ Smθ ・・・・・ ただし、Raθ:ロール周方向の中心線平均粗さ (μm) RaL:ロール軸方向の中心線平均粗さ (μm) Rpθ:ロール周方向の中心線山高さ (μm) Rvθ:ロール周方向の中心線谷深さ (μm) Smθ:ロール周方向の平均山間隔 (μm)
  2. 【請求項2】レバースミルでの圧延では少なくとも最終
    パス、タンデムミルでの圧延で少なくとも最終スタンド
    のワークロールとして請求項1記載のクロムメッキロー
    ルを用いることを特徴とするステンレス鋼板の冷間圧延
    方法。
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WO2008108044A1 (ja) * 2007-03-01 2008-09-12 Jfe Steel Corporation 高張力冷延鋼板およびその製造方法

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