JP2995950B2 - 冷間圧延用ロールおよび金属板の圧延方法 - Google Patents

冷間圧延用ロールおよび金属板の圧延方法

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JP2995950B2
JP2995950B2 JP3258086A JP25808691A JP2995950B2 JP 2995950 B2 JP2995950 B2 JP 2995950B2 JP 3258086 A JP3258086 A JP 3258086A JP 25808691 A JP25808691 A JP 25808691A JP 2995950 B2 JP2995950 B2 JP 2995950B2
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pass
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淳 富沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特殊な表面研磨状態
の冷間圧延用ワークロールと、それを使用して表面性状
の優れた薄鋼板の冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面光沢を重視するステンレス薄鋼板等
の冷間圧延は 100mmφ以下の小径ワークロールを使用す
るセンジミアミルで行われるのが普通である。しかし、
近年、生産性の向上を狙って高速圧延が可能な 150φmm
以上というような大径のワークロールを用いる普通鋼圧
延用のタンデムミルやレバースミルによる圧延が行われ
るようになってきた。これらのミルでは上記のような径
の大きいロールをワークロールとし、かつ圧延油に冷却
能力の大きい水溶性エマルションを使用するため高速圧
延が可能となり、高生産性が期待できるからである。
【0003】しかし、普通鋼用圧延機で圧延した金属板
はセンジミアミルによる圧延で得られるものに比較して
表面の光沢度が劣る。これは上述のような大径ワークロ
ールで高速圧延するとワークロールと被圧延材との間に
油膜ができ、この時圧延材の表面は拘束されずに自由変
形してオイルピットと呼ばれる微少欠陥が発生するから
である。
【0004】これまでにも、かかる表面光沢度の劣化の
問題を解決するため、いくつかの提案がなされている。
例えば、特開平2−92402 号公報には、ワークロールの
中心線平均粗さ(Ra)を 0.2μm 以下と小さくし、かつ
圧延油濃度を2%以下として圧延する方法が提案されて
いる。しかし、この方法では油膜厚が極めて薄く、ロー
ル面上の局部的な凸部で潤滑不足を生じ、油膜切れから
焼付を生じてしまい、高速圧延ができない。また、特開
昭60−227904号公報には圧延材表面に存在する研削目の
方向とワークロール表面の研削目の方向を交又させて圧
延する方法が開示されている。この方法は圧延材表面に
長手方向の研削目がついていることを前提として、この
研削目をロールの研削目で切断してオイルピットを無く
しようというものである。従って、圧延材表面に長手方
向の研削目 (疵) がないものには適用できず、また、わ
ざわざこのような研削目を予めつけるのは工程が増し非
能率的である。
【0005】上記のように、これまでにも圧延後の金属
板の表面光沢を向上させるべく、ワークロールの表面粗
さの調整等の提案されているが、未だ工業的に実施でき
て効果のある方法はない。また、製品全体として、光沢
度をある程度向上できても、通常の圧延では板の方向
(圧延方向とそれに直角の方向)によって、光沢度に差
が出る。この問題も未解決である。
【0006】油膜過大によるオイルピットの発生、ロー
ル肌の転写、局部的な潤滑不足による焼付、およびワー
クロール粗さの過少によるスリップ等は、特に、生産性
の高い高速圧延機を用いたときに顕著に見られ、それに
よる圧延製品の表面光沢度の劣化や光沢度の異方性は商
品価値を減じて生産性の高さを相殺してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生産性の高
い高速圧延機を用いても、センジミアミルで低速圧延し
た製品のそれに匹敵する優れた表面性状(特に光沢度)
をもつ金属板、特にステンレス薄鋼板を高能率で圧延す
ることができる技術の開発を課題としてなされたもの
で、その具体的な目的は、特殊な表面研磨状態のロール
と、これを用いる冷間圧延方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1) のロ
ールと、これを使用する(2) 〜(4) の圧延方法を要旨と
する。
【0009】(1) ロールの回転軸に平行な研磨目を有
し、かつロール周方向の中心線平均粗さ(Raθ)が0.10
〜0.60μm である直径が 150mm以上の金属板の冷間圧延
用ロール。
【0010】(2) レバースミルでの圧延の場合は少なく
とも最終パス、タンデムミルでの圧延の場合は少なくと
も最終スタンドで上記(1) のロールをワークロールとし
て使用する金属板の冷間圧延方法。
【0011】(3) レバースミルで金属板を冷間圧延する
方法であって、第1パスではロールの周方向の中心線平
均粗さ(Raθ)が0.25〜0.60μm である上記(1) のロー
ルを、最終パスではロール周方向の粗さRaθが 0.1〜0.
4 μm のロールをワークロールとして使用し、その他の
第2パス以降に上記(1) のロールをワークロールとして
使用する場合には該ロールの周方向の中心線平均粗さ
(Raθ)が0.10〜0.40μmであって、しかも第1パスで
使用するロールよりもRaθが小さいロールを用いること
を特徴とする冷間圧延方法。
【0012】(4) タンデムミルで金属板を冷間圧延する
方法であって、第1スタンドではロールの周方向の中心
線平均粗さ(Raθ)が0.25〜0.60μm である上記(1) の
ロールを、最終スタンドではロール周方向の粗さRaθが
0.1 〜 0.4μm のロールをワークロールとして使用し、
その他の第2スタンド以降に上記(1)のロールをワーク
ロールとして使用する場合には該ロールの周方向の中心
線平均粗さ(Raθ)が0.10〜0.40μm であって、しかも
第1スタンドで使用するロールよりもRaθが小さいロー
ルを用いることを特徴とする冷間圧延方法。
【0013】なお、上記 (2)〜(4) の圧延方法の実施に
際しては、レバースミルでは1パス当たり、タンデムミ
ルでは1スタンド当たりの圧下率を15%以上とするのが
望ましい。
【0014】
【作用】本発明は、直径が 150mm以上で高速圧延が可能
なワークロールの研磨状態を工夫して、ロール表面の研
磨目(粗さのパターン)を調整することによって、前述
の多くの問題が一挙に解決されるのではないかという着
想から生まれたものである。
【0015】冷間圧延を行う前の圧延材の表面は、通
常、中心線平均粗さ (以下、Raと記す) で2〜3μm 程
度の粗さを有している。この粗さの凹部に捕捉された潤
滑油は、圧延材の表面に静水圧を及ぼし、凹部は消滅せ
ず、ワークロールと鋼板は油膜で隔てられる。この時、
圧延材表面は拘束されず自由変形し新たな微小欠陥(オ
イルピット)が発生し光沢度が低下する。この微小欠陥
を減少させるためには、比較的粗さの大きなロールを用
い、ロールと圧延材表面の接触率を高くして圧延するの
がよいとされている。しかし、その方法では微小欠陥は
減少するもののロールの粗さが表面に転写され光沢度は
向上しない。
【0016】図1は、本発明の基本概念を説明するため
の図で、(a)はロール表面の研磨目の傾き (傾斜角
α) を説明する図、(b)は通常のロール表面の研磨目
の方向を示す図、(c)は本発明のロールの研磨目の方
向を示す図、(d)は圧延の際のロールバイト部の断面
を示す図、である。
【0017】(a)に示すように、研磨目とロールの周
方向との角度(ここでは傾斜角という)をαとすれば、
通常のロールでは(b)に示すようにαはほぼ0であ
る。即ち、研磨目がロール周方向 (軸に直角の方向) に
ついている。この研磨目は、圧延材には長手方向に延び
た形で転写される。このロール粗さの転写は圧延材幅方
向の光沢度に悪影響を与え、表面の光沢度を測定した場
合、圧延材長手方向に測定した方が巾方向より高い数値
を示す。
【0018】図1の(c)が研磨目がロール軸方向に平
行な本発明のロールである。以下、このロールを「平行
研磨ロール」と呼ぶことがある。この場合のαはほぼ90
°である。以下、このようなロールを使用したときの光
沢改善機構について説明する。
【0019】図2(a)は、図1の(b)に示した通常
のロールで圧延する場合を示す。図1の(d)に示した
ように、圧延材Sが厚さt1 からt2 に圧延される場
合、N点(中立点)では圧延材の速度vとロール周速V
とは同じである。それよりも後方(ロール入側。後進域
という)のA点の圧延材速度をv1 、前方 (ロール出
側。先進域という) のB点の圧延材速度をv2 とする
と、v1 <V、v2 >Vとなる。従って、ロール表面の
研磨目の圧延材表面での動きは、図2の(b)に示すよ
うにA→N→Bとなる。研磨目が圧延方向に並んでいる
限り圧延材にはロール研磨目の転写とは別にすべり疵が
つき、両者は重なり合って強調されることになる。この
ロール表面粗さの転写パターンを圧延材の幅方向の断面
で見ると、図2(c)のように凹凸が急峻である。しか
も、図2(d)に示すように、通常のロールで圧延した
場合には幅方向粗さの谷部に油膜が存在し、対応する鋼
板表面の斜線部に新たな凹み(微小欠陥)が発生する。
【0020】図3に本発明のロールで圧延する状態を示
す。この場合は、(b)に示すように、圧延方向に直角
な研磨目が前記のA→N→Bの動きをする。転写されて
残る研磨目は出側近傍でのものであり、入側で転写され
た研磨目および新たに発生した微小欠陥は、隣り合う研
磨目の山の部分が圧延材表面をすべることにより押しつ
ぶされてほとんど消滅するとになる。即ち、(b)の圧
延材表面の斜線部では、連続した圧延において前のパス
あるいは前のスタンドでの圧延で表面に発生したヒート
スクラッチやスリップ疵等も併せて押しつぶされ平滑化
される。従って、板幅方向の凹凸は(c)に示すように
緩やかになり、鋼板巾方向の光沢は著しく向上するので
ある。
【0021】図4は、上記のロールと圧延材との相対的
な滑り(位置関係の経時的な変化)の状態を模式的に示
した図である。図示のようにロール粗さの頂部と圧延材
の接触点は時間とともに(a)から(d)と移動し、こ
の移動量すなわち図中の矢印の長さにあたる滑り量の分
だけ圧延材全幅にわたって微小欠陥が減少して平滑化さ
れ、鋼板表面は図3(c)に示すように凹凸の少ないも
のとなる。
【0022】上記の効果は、傾斜角αが大きいほど顕著
になる。このαが最大の90°であるロールが本発明のロ
ール、即ち、研磨目がロール軸方向に対して平行なロー
ルである。
【0023】本発明のロールは、前記のように研磨目が
ロール軸に平行であると同時に、ロール周方向のRaθが
0.10〜0.60μm でなければならない。ロール軸に平行な
研磨目をもつロールによる表面の平滑化等の作用は、前
記のように研磨目による表面欠陥および研磨目転写マー
クの研削または押しつぶしによるものである。Raθが0.
10μm 未満では油膜厚に対して粗さが小さすぎてオイル
ピットの発生が多く、かつオイルピットの谷部までロー
ル粗さの山部が届かないため、研削、押しつぶしの効果
が見られない。一方、Raθが0.60μm を越えると、ロー
ル粗さの谷部まで圧延材がめり込み、深い転写マークが
ついて圧延後の粗さが粗くなる。また、局部的な焼付疵
(ヒートスクラッチ) やロール研磨目の山部の摩耗粉に
よる疵の発生も多くなり平滑化等の効果が減少する。
【0024】次に、本発明のロールを製造する研磨方法
の一例について説明する。
【0025】図6は、研磨を行う場合のロールと砥石と
のセッティング方法を示すもので、(a)が側面図、
(b)が平面図である。図示のように、半径rのカップ
状または円盤状の砥石3の回転軸4をロールの法線5に
対してψだけ傾け片端のみを接触させ、かつ砥石の回転
軸をロール軸に対しXだけオフセットして取り付ける。
【0026】ここで、ロール回転速度(VR ) と、接触
点Pでの砥石回転速度のロール回転方向成分 (VT cos
α) とが等しくなるようにXおよびVT を選定すれば、
図中にVX で示す速度成分によりロール軸方向に平行な
研磨目が付与できる。
【0027】これまでに述べた本発明のロールを使用し
て冷間圧延を行う場合は、このロールを圧延の全パス
(タンデムミルの場合は全スタンド)のワークロールと
して使用してもよいが、前半パス(タンデムミルの場
合、前段パス)で表面の平滑化、美麗化、高光沢化が進
むと、後半パスまたは後段スタンドでの作用、効果が飽
和してしまうため、不経済でもある。なお、本発明のロ
ールをワークロールとして使用する圧延機としては、2
Hiまたは4Hiミルおよび6Hiミル、また6段以上の多段
クラスターミルなどのレバース方式およびタンデム方式
の圧延機などで、特に圧延機の種類に限定されるもので
はない。また、ワークロールとしてだけでなく、中間ロ
ール、バックアップロールに本発明のロールを使用する
こともできる。
【0028】次に、軸方向に対し平行な研磨目をもつ本
発明のロールを冷間圧延に使用するに際してのロールの
適正周方向粗さの選定方法、即ち、請求項3および4の
圧延方法について説明する。
【0029】鋼板を圧延する場合、本発明のロールを効
果的に使用するには、ロールの周方向粗さの頂部が鋼板
表面粗さの谷部に接する必要がある。またロールの周方
向粗さは鋼板表面に転写されるので、その粗さに上限を
設け、転写される鋼板表面の粗さを管理する必要があ
る。
【0030】通常の圧延における鋼板表面粗さの形態
は、図5に示すように次のように変化する。すなわち、
初期パスでは鋼板の表面凹凸が大きいためその谷全部が
潤滑油で満たされることはない。図5(a)のA−A′
線、図5(b)のB−B′線より下は油が充満している
が、これらの線より上には油がないため、山部は速やか
に押し潰される。一方、A−A′線、B−B′線より下
の部分はほとんど潰れない。
【0031】図5の(c)のように表面凹凸が全て潤滑
油で満たされる程度の粗さになった中期パス以降は、潤
滑油が静水圧の作用を鋼板表面に及ぼし凹凸は減少せず
粗さは大きく変化しない。すなわち圧延条件等による差
はあるが、多パスあるいは複数スタンドでの圧延におけ
る鋼板表面は、はじめの1パスあるいは1スタンドの圧
延後までは比較的大きな粗さを有し、2パスあるいは2
スタンド以降は多少の増減はあるが比較的小さな粗さを
有しているということができる。
【0032】ロール周方向粗さの鋼板表面への転写によ
る影響を考慮すると、その周方向粗さは必要最小限であ
ることが望ましい。本発明のロールによる材料表面平滑
化機構を考えると、必要最小限の粗さとは鋼板表面粗さ
の底部に接する大きさである。上述の鋼板表面粗さの変
化から、鋼板表面粗さが大きい1パスあるいは1スタン
トにRaθの大きいロールを、鋼板表面粗さが小さくなる
2パスあるいは2スタンド以降にRaθの小さいロールを
用いることにより微小欠陥の発生が少なく、かつRaθの
鋼板表面への転写を極力抑えた圧延が可能になると考え
られる。
【0033】以上の考察に基づき種々の周方向粗さのワ
ークロールを用いて圧延したところ、本発明の平行研磨
ロールの周方向表面中心線平均粗さ(Raθ)が 第1パスあるいは第1スタンドにおいて0.25〜0.60μm
の範囲 ・・・ 第2パスあるいは第2スタンド以降において0.10〜0.40
μm の範囲・・・ にあって、第1パスあるいは第1スタンドで使用するワ
ークロールのRaθが、それ以降のパスあるいはスタンド
で使用するワークロールのRaθよりも大きい時、鋼板表
面の大幅な光沢改善が達成できた。
【0034】図5に示したように、一般に初期パス入側
での鋼板の表面凹凸は大きく、圧延パス回数が増えるに
従い鋼板表面粗さは小さくなる。初期パスでのロール表
面の周方向表面中心線平均粗さ(Raθ)を大きくし、圧
延時にロールの表面の山部が鋼板の谷部に接するように
すれば、圧延時にロールと鋼板が相対的に滑ることによ
り鋼板表面の微小欠陥の発生が抑えられ光沢がよくなる
のである。このように第1パスで凹凸が小さくなるの
で、第2パス以降のロール粗さ(Raθ)は小さくなった
鋼板の谷部にロール表面の山部が接する程度に小さくす
るのである。
【0035】前述のとおり、圧延材表面の種々の欠陥
(凹凸)の減少はワークロールと鋼板の相対的な滑りに
よってなされる。本発明のワークロールの軸方向表面粗
さは小さければ小さいほどよく、ワークロールと鋼板は
略圧延材の全幅にわたって接触し、欠陥減少面積は鋼板
の幅と滑り量の積で表される。従来のワークロールにお
いては、その軸方向の表面粗さの凹凸は急峻であって、
その頂部のみが圧延材表面と接触し、ワークロール粗さ
の頂部と接触しない鋼板表面には微小欠陥が発生する。
【0036】本発明のワークロールにおいて、図4の
(d)に示すようにワークロールと鋼板の滑り量がワー
クロール表面周方向粗さの山間隔以上であれば、ワーク
ロール表面粗さの頂部は鋼板表面全域と接触することと
なり表面欠陥はほとんど消滅する。
【0037】ワークロールと圧延材の滑り量はドラフト
量、ロール径、中立点位置、圧延荷重等で決まるが、簡
易的にパス当たりの圧下率でワークロールと鋼板の滑り
量を変え圧延実験を重ねたところ、 Re.≧15% (ただしRe.はパス当たりの圧下率) ・
・・ の時、表面欠陥が激減し鋼板表面の光沢度が顕著に向上
することがわかった。
【0038】先に示したおよびの条件を満たす圧延
によって鋼板の光沢度は大幅に向上するが、さらにの
条件も併せて満足させることにより極めて光沢度の高い
冷延金属板板を得ることができる。
【0039】次に実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0040】
【実施例1】表1に示すようにオイルピット、ヒートス
クラッチ、スリップ疵等の表面欠陥が発生した各種金属
板をロール径 380mmの2Hi圧延機で市販の合成エステル
系圧延油(粘度60cSt/50℃) の3%エマルションを用い
て圧下率25%、圧延速度400m/minの条件で本発明のロー
ルを使用して冷間圧延し、圧延後の表面状態および表面
光沢を入射角20°、測定角20°の反射型光沢度計で測定
した。なお、比較例として本発明のロールではないもの
を使用し、同じ条件で圧延する試験も行った。
【0041】表2に本発明例および比較例の圧延条件お
よび結果を示す。
【0042】本発明のロールを使用する圧延によれば、
圧延後の金属表面の美麗化が進み、高光沢になり、その
効果は金属の材質にはほとんど関係がないことがわか
る。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例2】ワークロール径 105mm、バックアップロー
ル径 330mmのバックアップロール駆動の4Hiレバースミ
ルにおいて、表3に示した従来のロール粗さ条件でSUS4
30鋼、厚さ2.5mm 、幅250mm の熱間圧延、焼鈍材(酸洗
済) を表4の圧延スケジュールで4パスまで圧延し、続
いて表5に示すロール粗さ条件で5パス目の圧延を実施
した。圧延は圧延長さ10kmになるまで実施した。
【0046】この際使用した圧延油は、鉱油系圧延油
(粘度40cSt/40℃) でニート (原液のまま) でワークロ
ールに供給した。なお圧延速度は各パスとも100m/minで
あった。圧延後の表面状態および表面光沢を実施例1と
同様の方法で測定し、表5に併記示した。なお4パス後
の表面光沢は250(Gs20°) であった。
【0047】本発明の圧延方法の中で、平行研磨ロール
をワークロールだけでなくバックロールにも使用した場
合において、圧延後の光沢が最も長時間安定して高い値
を示していることが判る。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【実施例3】ワークロール径 450mm、バックアップロー
ル径1450mmの5スタンド4Hiタンデムミルにおいて表6
に示したパススケジュールでSUS430鋼、厚さ2.5mm 、幅
1000mmの熱間圧延焼鈍材(酸洗済) を圧延した。その
際、各スタンドで使用するロールは表7に示した如くに
組合せ、また、圧延油は合成エステル系圧延油(粘度60
cSt/50℃) の3%エマルションとして用いた。
【0052】圧延後の表面光沢を表7に併記した。
【0053】本発明の圧延方法をタンデムミルで実施す
る場合、最終スタンドで実施するのが最も効果的である
ことが判る。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【実施例4】径 380mm、バレル長 400mmのワークロール
をもつ2段式圧延機を用い、フェライト系ステンレス鋼
(SUS 430) の厚さ3.2mm 幅50mmの熱間圧延−焼鈍材(酸
洗済)を供試材としてレバース圧延による冷間圧延を行
った。圧延スケジュールを表8に示す。潤滑油としては
粘度が40℃で 90cStの鉱油系圧延油(ニートで使用)を
用い、圧延速度20m/min で圧延した。使用したワークロ
ールの表面粗さと研磨目の傾斜角 (前述のα) を表9に
示す。が本発明のロールに相当し、が従来のロール
に相当する。なお、この場合は全パス終了までロール交
換は行わなかった。
【0057】各パス終了ごとに鋼板表面の長手方向およ
び幅方向の光沢度を入射角20°、測定角20°の反射型光
沢度計により測定した。その結果を図7にグラフで示
す。
【0058】図7に示すように、本発明のロールを用い
て圧延した場合は、鋼板長手方向および幅方向のいずれ
においても表面の光沢度が飛躍的に向上する。しかも、
両方向の光沢度の差が殆どない。
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【実施例5】径 380mm、バレル長1450mmのワークロール
の6段レバースミルを用い、実施例4と同じフェライト
系ステンレス鋼(SUS430) の厚さ3.2mm 幅1000mmの熱間
圧延−焼鈍材(酸洗済)を供試材としてレバース圧延に
よる冷間圧延を行った。圧延油は40℃で 45cStの合成油
系、3%エマルジョン、粒径 3.5μm を使用した。ワー
クロールの表面粗さは、表11に示すように、No.2、3
では各パス同一 (ロール交換を行わず) とし、No.1、4
、5 ではロール交換を行ってパスによって表面粗さを
変えた。No.2〜5 で使用したロールは、α=90°の本発
明のロールであり、No.1で用いたのは通常のロールであ
る。
【0062】圧延スケジュールは、表11のNo.1〜4 に
ついては表8に示したスケジュールとし、表11のNo.5
については表10に示すスケジュールで圧延した。
【0063】各パス後の鋼板表面の光沢度を実施例4と
同様に測定した。その結果を図8に示す。
【0064】図8から明らかなように、本発明のロール
を使用し、しかもその周方向粗さおよびパス当たりの圧
下率を適宜選択することにより、鋼板表面の光沢度がさ
らに向上することがわかる。
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】
【発明の効果】本発明のロールを使用して、特に前記の
本発明方法で圧延を行えば、大径ロールを使用する高速
圧延の場合に問題となる金属板表面の微小欠陥の発生、
ロール肌の転写による製品の表面光沢度の低下、更に表
面光沢度の測定方向による差が著しく減少し、高光沢度
で優れた表面性状の金属板を高能率で圧延できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を説明するための図で、
(a)はロール表面の研磨目の傾斜角αを説明する図、
(b)は通常のロールの研磨目を示す図、(c)は本発
明ロールの研磨目を示す図、(d)は圧延時のロールと
圧延材との関係を示す図、である。
【図2】通常のロールによる圧延と、その際のロール研
磨目の転写機構等を説明する図である。
【図3】本発明のロールによる圧延と、その際のロール
研磨目の転写機構等を説明する図である。
【図4】本発明のロールと圧延材の相対的な滑りによる
光沢改善機構を説明する図である。
【図5】圧延材表面粗さ形態のパス(スタンド)毎の変
化を説明する図である。
【図6】本発明ロールを製造する研磨方法の一例を示す
図である。
【図7】本発明ロールと通常のロールを使用する冷間圧
延で得られたステンレス鋼の測定方向別の表面光沢度を
示す図である。
【図8】パスごとに表面粗さの異なる本発明ロールを使
用して多パス圧延を行ったときの表面平均光沢度を通常
のロールを使用した場合と比較して示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松平 行彦 新潟県上越市港町2丁目12番1号日本ス テンレス株式会社直江津製造所内 (56)参考文献 特開 平2−92402(JP,A) 特開 平3−264102(JP,A) 特開 平7−265912(JP,A) 特開 平2−192802(JP,A) 特開 平2−175005(JP,A) 特開 平2−127903(JP,A) 特開 平3−142004(JP,A) 特開 平7−265913(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 27/02 B21B 1/22 B21B 1/28 B21B 27/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロールの回転軸に平行な研磨目を有し、か
    つロール周方向の中心線平均粗さ(Raθ)が0.10〜0.60
    μm である直径が 150mm以上の金属板の冷間圧延用ロー
    ル。
  2. 【請求項2】レバースミルでの圧延の場合は少なくとも
    最終パス、タンデムミルでの圧延の場合は少なくとも最
    終スタンドで請求項1のロールをワークロールとして使
    用する金属板の冷間圧延方法。
  3. 【請求項3】レバースミルで金属板を冷間圧延する方法
    であって、第1パスではロールの周方向の中心線平均粗
    さ(Raθ)が0.25〜0.60μm である請求項1記載のロー
    ルを、最終パスではロール周方向の粗さRaθが 0.1〜0.
    4 μm のロールをワークロールとして使用し、その他の
    第2パス以降に請求項1記載のロールをワークロールと
    して使用する場合には該ロールの周方向の中心線平均粗
    さ(Raθ)が0.10〜0.40μm であって、しかも第1パス
    で使用するロールよりもRaθが小さいロールを使用する
    ことを特徴とする冷間圧延方法。
  4. 【請求項4】タンデムミルで金属板を冷間圧延する方法
    であって、第1スタンドではロールの周方向の中心線平
    均粗さ(Raθ)が0.25〜0.60μm である請求項1記載の
    ロールを、最終スタンドではロール周方向の粗さRaθが
    0.1〜0.4 μm のロールをワークロールとして使用し、
    その他の第2スタンド以降に請求項1記載のロールをワ
    ークロールとして使用する場合には該ロールの周方向の
    中心線平均粗さ(Raθ)が0.10〜0.40μm であって、し
    かも第1スタンドで使用するロールよりもRaθが小さい
    ロールを使用することを特徴とする冷間圧延方法。
  5. 【請求項5】レバースミルでは1パス当たり、タンデム
    ミルでは1スタンド当たりの圧下率を15%以上とする請
    求項2、3または4の冷間圧延方法。
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