JP2923095B2 - 圧延用ロール、その研磨方法および金属板圧延方法 - Google Patents

圧延用ロール、その研磨方法および金属板圧延方法

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JP2923095B2
JP2923095B2 JP20824791A JP20824791A JP2923095B2 JP 2923095 B2 JP2923095 B2 JP 2923095B2 JP 20824791 A JP20824791 A JP 20824791A JP 20824791 A JP20824791 A JP 20824791A JP 2923095 B2 JP2923095 B2 JP 2923095B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ロール周方向に対し
て傾斜した研磨目をもつ金属板圧延用ロールおよびその
ようなロールを製造するためのロールの表面研磨方法、
並びにこのようなロールを使用し光沢の良い金属板を製
造する圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板の圧延においては、ワークロール
(以下、単にロールと記す)の表面の凹凸が金属板に転
写されるから、ロール表面は製品金属板に要求される表
面粗さに応じてその表面が研磨される。例えば、優れた
光沢が必要とされる冷延鋼板などの圧延には、高番手の
砥石で研磨した表面粗さの小さいロールを使用する。し
かし、ロール表面粗さを小さくするほどロール表面の研
磨作業には時間がかかり、ロールの作製、補修(再研
磨)のコスト、ひいては金属板の製造コストの増大を招
く。
【0003】従来、薄鋼板、特にステンレス薄鋼板の冷
間圧延はセンジミアミルで 100mmφ以下の小径ワークロ
ールを用いて圧延されてきたが、最近、表面品質がそれ
ほど厳しくない製品では、例えば 180φmm以上という大
径ロールを用いた普通鋼用圧延機であるタンデムミルや
レバースミルによる圧延が行われるようになってきた。
これはワークロールのロール径が大きく、また圧延油に
冷却能力の大きい水溶性エマルジョンを使用するため高
速圧延が可能となり、高生産性が期待できるためであ
る。しかし、普通鋼用圧延機で圧延した薄鋼板はセンジ
ミアミル圧延で得られる薄鋼板に比較して表面の光沢度
が劣る。上述のような大径ワークロールで高速圧延を行
うと、ワークロールと鋼板との間に油膜ができ、油圧に
より鋼板が部分的に凹状(オイルピット)となるためで
ある。
【0004】上記のオイルピットによる光沢の低下を防
ぐという発想で、特開昭60−227904号公報には、圧延材
表面に存在する研削目の方向とワークロール表面の研削
目の方向を交叉させて圧延する方法が開示されている。
この方法では、圧延前の金属板の表面研削目が分断され
てオイルピットが減るという効果が述べられているが、
そこで使用されるロールの研削目の傾斜角度(後述する
θ)は高々10°である。また、ロールの作製方法として
も、研削砥石を回転させながらロール軸に平行に通常よ
り早送りするという方法が記述されているに過ぎず、そ
れだけではθを20°以上とすることは極めて困難であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、圧延用ロー
ルの表面状態の改良によって、従来のロールを使用する
圧延では得られないような優れた光沢度をもつ金属板を
製造すること、特に、生産性の高い高速圧延ミルを用い
ても、センジミアミルで低速圧延した製品のそれに匹敵
する優れた光沢をもつ金属板、特にステンレス薄鋼板を
高能率で生産し得る冷間圧延技術の開発を課題としてな
されたものである。
【0006】本発明の具体的な目的は、適当な表面形状
(研磨目の付け方や粗さ)を有する金属板圧延用ロー
ル、およびそのような表面形状を得るための研磨方法、
並びにこのロールを使用して光沢度の高い金属板を製造
する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属板圧
延用のロールに関する研究の過程で、ロール表面の研磨
目(ロール研磨の際に表面に付与される微細な研磨筋)
の方向が、圧延後の金属板の性状に大きな影響を及ぼす
ことを知った。即ち、通常の研磨では、ロールを回転さ
せながら砥石をロール表面に押し当てるために、研磨目
はロールの軸方向にほぼ直角の方向(ロール周方向)に
揃ったものとなる。ところが、この研磨目をロール周方
向に対して傾斜させたロール(以下、傾斜研磨ロールと
いう)で圧延を行うと、表面粗さが同等の通常のロール
での圧延に較べて表面光沢度が大きく向上するのであ
る。
【0008】本発明の要旨は下記の (1)〜(3) にある。
【0009】(1) 表面にロール周方向に対して20°以上
の傾きをもつ研磨目を有し、ロール軸方向または周方向
の中心線平均粗さ(Ra)のうち、大きい方の粗さが 0.1〜
0.5μm である金属板圧延用ロール。
【0010】(2) 半径r(mm)の円盤状砥石の回転軸を
ロールの法線と一致させて配置した後、砥石の回転軸を
ロール軸方向に傾けて砥石の一端をロール表面に接触さ
せるか、又はそのまま砥石の回転軸をロールの法線から
ずらして砥石の一端をロール表面に接触させ、この接触
点と砥石の回転軸との間にロール軸に直角の方向にX
(mm)の距離を持たせ、その状態で砥石を回転させつつ
ロールの軸方向に相対的に移動させながらロールを回転
させてロール表面を研磨する方法であって、下記式で
定義される角度θを20°以上とすることを特徴とする上
記(1) の圧延用ロールの表面研磨方法。
【0011】
【数2】
【0012】ただし、VT は砥石の回転速度(m/分)
、VF は砥石のロール軸方向相対移動速度(m/分)
、VR はロールの回転速度(m/分) 、α= sin
-1(X/r)、である。
【0013】(3) 上記(1) のロールを冷間圧延のワーク
ロールとして使用することを特徴とする光沢の優れた金
属板の圧延方法。
【0014】図1は、本発明の傾斜研磨ロールの概念を
示すロール表面の一部拡大図である。図示のように、本
発明のロール1は、ロール周方向に対して傾斜した研磨
目6をもつ。この研磨目6は、実際には極めて微細な断
続した筋目であるが、図にはこれを誇張して描いてあ
る。この研磨目の傾斜角度をθとするとθ≧20°でなけ
ればならない。なお、この傾斜の向きは左右どちらでも
よい。ここでは便宜的に図示の時計回りの方向を+、そ
の反対を−とするが、上記の20°以上というのは絶対値
で20°以上を意味する。そして、ロール表面の粗さは、
図1に示すロール軸方向またはロール周方向の中心線平
均粗さ(Ra)の大きい方が 0.1〜0.5 μmの範囲になけ
ればならない。
【0015】図2は、本発明のロール研磨方法と前記
式中の記号の定義を説明する図であり、(a)はロール
と砥石の位置関係を示す側面図、(b)は平面図、
(c)は(b)のベクトルの拡大図、(d)は砥石端部
をロール表面に接触させる一つの態様を示す図である。
【0016】まず(a)図において、1はロール、2は
その軸(回転軸)、3は砥石、4はその回転軸、5はロ
ールの法線である。
【0017】図2(b)は砥石を当てる方向(この場合
は上方)から見た平面図である。本発明の研磨方法で
は、まず、半径r(mm)の円盤状 (カップ状を含む) の
砥石3の回転軸4をロールの法線5に一致させて配置す
る。次に、砥石回転軸4を法線5に対して傾ける。この
傾斜角をψとする。なお、(d)図に示すように特殊な
状態ではψは0でもよい。こうすることにより砥石の研
削面の周辺部の一部(以下、端部という)をロール表面
に接触させる。接触点をPとする。
【0018】上記のように砥石の端部とロール表面との
接触を保ったまま、砥石回転軸4をロール軸2から直角
方向にX(mm)だけずらしてセットする。このXをオフ
セット量という。さらに(a)図に示すように、この状
態で砥石およびロールを回転させ、かつ砥石とロールを
ロール軸2の方向に相対的に移動させる。相対的に移動
させるというのは、ロールを一定位置で回転させておい
て、回転する砥石をロール軸方向に送るか、砥石を一定
位置で回転させておいて、回転するロールを軸方向に送
るか、または両者の移動方向または速度を変えて相対的
に位置を変えていくことを意味する。
【0019】(b)図に示した接触点でのベクトルの拡
大図が(c)である。砥石の回転速度VT 、砥石のロー
ル軸方向相対移動速度VF 、およびロールの回転速度V
R のベクトルを示した。図中のαは sin-1(X/r)で
あり、これらの関係から研磨目の傾斜角θは下記−1
式で算出されることが明らかである。
【0020】
【数3】
【0021】また、図2(a)で砥石の傾け方向を逆に
した場合、傾斜角θは下記−2式で算出される。
【0022】
【数4】
【0023】ロール回転方向が逆方向の場合は、−1
式と−2式のVR の正負が逆になる。なお、本発明に
おいて用いる砥石の半径およびオフセット量に特に限定
はないが、研磨能率から砥石半径rは30〜300mm 、オフ
セット量Xは砥石半径の20%以上が望ましい。
【0024】図2の(d)は砥石の回転軸4を傾けず、
法線5と平行な状態(ψ=0)で法線5からロール軸に
直角の方向にずらした状態を示している。この場合は、
砥石端部とロール表面の接触点から砥石回転軸までの距
離、即ち、オフセット量Xは砥石の半径rに等しくな
る。砥石端部とロール表面の接触点におけるベクトルは
(c)の場合と同じである。即ち、このような状態でも
本発明の研磨方法は実施できる。
【0025】
【作用】以下、上記本発明の傾斜研磨ロールを用いて高
光沢度の金属板を製造する圧延方法を例として本発明の
作用効果を説明する。
【0026】図3は、圧延時のロールと圧延材との関係
を模式的に示す図である。圧延材Sが板厚t1 からt2
に圧延されるとき、ロール入側(A点)での圧延材の速
度をv1 、出側(B点)でのそれをv2 とすれば、当
然、v1 <v2 となる。圧延材の速度vがロールの周速
Vと同じになる点(N点)を中立点と呼び、この点から
前方(ロール出側)を先進域、後方(ロール入側)を後
進域と呼ぶ。
【0027】図4の(a)は通常のロールを使用した金
属板の圧延を概念的に示した平面図、同(b)はこの圧
延によって金属板表面に形成されるパターン(以下、転
写パターンという)の説明図である。いまロール表面の
凸部の一点に着目すれば、この点の圧延材Sの表面での
軌跡は、前記のような先進域と後進域との速度差がある
ために、(b)図のA→N→Bのようになる。即ち、ロ
ール凸部は圧延材表面に転写されるだけでなく、ロール
表面と圧延材表面でのA→N→B方向の辷りによるパタ
ーンが形成される。この辷り方向はロール回転方向と同
じである。従って、ロールの研磨目の数だけ、しかも研
磨目の長さ以上に強調されて圧延材表面には転写パター
ン(凹凸)が形成されることになる。
【0028】図5の(a)は本発明の傾斜研磨ロールを
使用する圧延を概念的に示した平面図で、同(b)はこ
の圧延によって金属板表面に形成されるパターンの説明
図である。この場合もロール研磨目は圧延材表面でA→
N→Bのように移動するのであるが、研磨目の方向とロ
ール回転方向とが異なる(θの角度をもつ)から、研磨
目は横滑りする状態になる。この辷りによって隣接する
幾つかの転写パターンは削られ、または押しつぶされる
ことになる。即ち、(b)の斜線部は平滑化されること
になる。ロール研磨目が傾斜している場合、転写されて
残る研削目は出側近傍でのものであり、入側で転写され
た研磨目は上記の研削または押しつぶし作用によりほと
んど消滅する。
【0029】図4に示したように、表面の研磨目がロー
ル周方向に平行になった通常のロールで圧延された後の
金属板(圧延材)Sの表面は、ロール表面の研磨目(ロ
ール肌)が転写され、さらに強調された筋目状の凹凸を
もつものとなる。従って、ロール研磨目の粗さを極限ま
で小さくしない限り、圧延材の光沢を低下させてしま
う。一方、ロール肌の転写が目立たないほど粗さが小さ
い場合には、粗さの方向性とロール回転方向が一致して
いるため圧延材とロールとの間でスリップが生じる。さ
らに高速圧延になるとオイルピットが発生し、圧延材の
光沢が一層低下する。
【0030】図5に示す傾斜研磨ロールを使用する圧延
の場合は、圧延材Sに転写されたロール肌が、前述の押
しつぶし又は研削作用によって平滑化され、きわめて光
沢度の高いものになる。この作用と、先に示した特開昭
60−227904号公報に述べられているような圧延前の金属
板の研磨筋の分断によるオイルピットの減少とによっ
て、圧延後の金属板の表面光沢は著しく向上するのであ
る。
【0031】図6は、図5の本発明の圧延方法において
研磨目間の距離bを1とした場合に、一つの研磨目が隣
接する研磨目に当たるまでの前述の圧延方向の移動(辷
り)の距離(L)と研磨目の傾斜角θとの関係を示す図
である。θが大きくなるほどすべり方向の長さLは短く
なり、押しつぶされる研削目転写マークの数が増す。
【0032】図6から明らかなようにθが20°未満では
Lが長く、押しつぶし効果が小さい。
【0033】本発明において研磨目の傾斜角θを20°以
上とするのはこの理由による。θが大きい程、上記の効
果は大きくなる。好ましいθの範囲は45°以上であり、
最も好ましいのは60°以上である。
【0034】以上の説明から明らかなように、傾斜研磨
ロールで圧延すれば同じ表面粗さのロール通常研磨のロ
ールで圧延した場合よりも光沢度の高い金属板が得られ
る。
【0035】言い換えれば、同じ光沢度の金属板を製造
するのに傾斜研磨ロールであれば表面が粗くてもよいこ
とになり、ロール研磨の時間、工数を減らすことができ
る。
【0036】次にロール表面の粗さについて説明する。
【0037】本発明の傾斜研磨ロールを特に金属板の表
面光沢度改善に使用する場合は、ロールの軸方向または
周方向の中心線平均粗さ(Ra)のうち、大きい方の粗さを
0.1〜 0.5μm の範囲にするのが望ましい。ロール研磨
目を傾斜させることによる圧延材表面の光沢向上は、前
記のような研磨目による研削または押しつぶし効果であ
る。従って、研磨目はある程度の大きさが必要である。
【0038】図7はロール表面と圧延材表面の断面を拡
大して示す図である。(a)のようにロール表面粗さが
極端に小さい場合は、高速圧延ではスリップが生じやす
い。
【0039】またロール表面と圧延材表面との間に潤滑
油の油膜ができ、その油圧によって圧延材が押圧されて
凹み(オイルピット)が発生し、圧延材の表面は粗くな
って光沢度が低下する。一方、(c)に示すようにロー
ル表面粗さが大きい場合には、ロールの凸部と圧延材凸
部の直接接触による焼付が起きる。また、ロール凸部の
摩耗や圧延材が削られて発生する金属粉が圧延材表面に
疵をつけ、光沢度低下の原因になる。
【0040】図7の(b)に示すように、ロール表面粗
さが適切であれば、オイルピットの発生や焼付がなく、
研磨目の辷りによる平滑化によって圧延材の光沢度が著
しく向上する。なお、表面粗さの測定は方向を定めて行
うのであるが、本発明の傾斜研磨ロールの場合に、これ
までに述べた作用効果に主に影響するのはロール周方向
または軸方向のいずれかの粗い方向である。従って、こ
こでは表面粗さRaは、軸方向または周方向のいずれか大
きい方で 0.1〜 0.5μm の範囲に調整することとした。
このような粗さの調整は、研磨作業の際に使用する砥石
の粗さを選ぶだけで簡単にできる。
【0041】以下、実施例によって本発明をさらに具体
的に説明する。
【0042】
【実施例1】ロール研磨機としては、被加工材であるロ
ールの回転方向および回転速度が可変で、かつ、円盤状
の回転砥石の回転軸の取付位置、角度が変更できる機構
を備えたものを使用した。
【0043】ロールは、直径 100mm、胴長 450mm、全長
850mmの4Hi圧延機用ワークロール(材質SUJ-2 、硬度H
s≧95) を種々の研磨条件で仕上げた後、それを上下の
ワークロールとし、 SUS 430鋼の厚さ 2.5mm、幅50mmの
熱間圧延−焼鈍材 (酸洗済)を供試材としてレバース圧
延を行い、圧延後の表面粗さを測定した。
【0044】表1に研磨条件および研磨後の表面粗さ
(軸方向または周方向の粗い方)および研磨目の傾斜角
θを示す。表2に圧延パススケジュールを示す。なお、
圧延速度は20m/minとし、圧延油は40℃で90cSt の鉱油
系圧延油をニート (原液のまま) で使用した。5パス圧
延後の表面光沢(入射角20°) を表1に併記した。
【0045】実施例1〜6では砥石をロール軸の法線に
対し傾け、図2(a)のψを−2°または+2°とし、
かつロール軸に対しオフセットして取付け、ロール表面
の研磨目が35〜70°に傾斜するように研磨したロールで
圧延を行った。
【0046】比較例1は従来の研磨方法でロール粗度を
小さくした例、2、3は本発明の研磨方法で研磨してい
るが、ロール粗度が本発明の範囲から外れた例である。
【0047】表1に併記した圧延後の光沢度を見ると、
本発明の傾斜研磨ロールを使用した場合の圧延後の表面
光沢は著しく高いことがわかる。研磨目の傾斜角θが大
きいほど光沢向上程度が大きい。これに対して、比較例
1では傾斜研磨ではなく、ロール表面の粗さも小さいた
め圧延時にスリップが発生し、光沢度も低い。比較例の
2は研磨目の傾斜角度θは適切であるが、ロール表面粗
さが小さすぎて光沢度の向上がない。比較例3は逆にロ
ール表面が粗すぎて光沢度が悪く、圧延時に焼付も発生
している。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【実施例2】ロール径 380mm、胴長1450mm、全長3400mm
の4Hiタンデムミル#5スタンド用ワークロール(材質
5%Cr鍛鋼、硬度Hs≧97) を表3に示した条件で研磨し
た。
【0051】圧延は、 SUS 430鋼、厚さ 2.5mm、幅1000
mmの熱間圧延−焼鈍材 (酸洗済) を表4のパススケジュ
ールで行った。
【0052】#1〜#4スタンドのワークロールとして
は表3の比較例5に示す従来の方法で研磨したロールを
用い、#5スタンドの上下のワークロールを表3に示し
た種々の研磨方法で研磨したロールとした。圧延後の表
面光沢を表3に併記した。
【0053】比較例4は従来の方法で研磨したロールに
よる圧延である。ロール表面の研磨目の角度はほとんど
ない(θ=0°)。それに対し、本発明例では砥石をロ
ール軸の法線に対し傾け(ψ=−2°〜+2°)、かつ
ロール軸に対してオフセット(X=20〜99mm)すること
でロール表面の研磨目を21°〜約90°まで変化させた。
このように研磨目を傾斜させたロールを使用することに
よって圧延後の光沢が飛躍的に向上している。ただし、
研磨目の傾きが比較例5のように10°と小さすぎる場合
には光沢向上効果は小さい。
【0054】研磨目の傾斜角度θはロール回転速度VR
および砥石回転速度VT にも影響されるが、最も影響が
大きいのは砥石のオフセット量であり、オフセット量を
できるだけ大きくすることが必要なことも実施例から明
らかである。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明の傾斜研磨ロールは、金属板の圧
延において製品の表面光沢の向上に著しい効果を発揮す
る。このロールを使用すれば、タンデムミルやレバース
ミルにおいて大径のワークロールで高速圧延を実施して
もオイルピットやスリップ疵等の発生が少なくなり、光
沢度に優れた金属薄板が製造できる。特に、きわめて高
い光沢度を要求されるステンレス鋼板を高能率で圧延す
ることができるという実益は大きい。
【0058】本発明の研磨方法ではロールに付与される
研磨目の角度を周方向に対し、20°以上傾斜させてつけ
ることも容易である。このように傾斜した研磨目にする
ことによって、ロール表面の粗さを極端に小さくしなく
ても高光沢度の金属板が製造できるから、ロール研磨の
作業時間が短縮でき、研磨条件の管理および砥石管理等
も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の傾斜研磨ロールの表面を説明する図で
ある。
【図2】本発明のロール研磨方法を説明する図で、
(a)はロールと砥石の位置関係を示す側面図、(b)
は同じく平面図、(c)は(b)のベクトルの拡大図、
(d)はロールと砥石のセット状態の一例をロール軸方
向から見た図である。
【図3】圧延時のロールと圧延材の関係を示す図であ
る。
【図4】従来のロールによる金属板の圧延を説明する図
で(a)は平面図、(b)は金属板表面の転写パターン
の形成を説明する模式図である。
【図5】本発明の傾斜研磨ロールによる金属板の圧延を
説明する図で(a)は平面図、(b)は金属板表面の転
写パターンの形成と平滑化の状態を説明する模式図であ
る。
【図6】研磨目の傾斜角(θ)と、研磨目の転写疵が隣
の研磨目により押しつぶされて平滑化されるための最少
すべり長さ(L)との関係を示す図である。
【図7】圧延時のロール表面と圧延材表面の接触状態を
示す断面拡大図で、(a)はロール粗さが小さすぎる場
合、(c)は大きすぎる場合、(b)は適切な場合であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B24B 5/37 B24B 5/37 (72)発明者 益居 健 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 松平 行彦 新潟県上越市港町2丁目12番1号日本ス テンレス株式会社直江津製造所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/22 B21B 27/00 - 29/00 B24B 5/00 - 7/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にロール周方向に対して20°以上の傾
    きをもつ研磨目を有し、ロール軸方向または周方向の中
    心線平均粗さ(Ra)のうち、大きい方の粗さが 0.1〜0.5
    μmである金属板圧延用ロール。
  2. 【請求項2】半径r(mm)の円盤状砥石の回転軸をロー
    ルの法線と一致させて配置した後砥石の回転軸を傾け、
    または傾けずにそのまま法線からずらして砥石の一端を
    ロール表面に接触させ、この接触点と砥石の回転軸との
    間にロール軸に直角の方向にX(mm)の距離を持たせ、
    その状態で砥石を回転させつつロールの軸方向に相対的
    に移動させながらロールを回転させてロール表面を研磨
    する方法であって、下記式で定義される角度θを20°
    以上とすることを特徴とする請求項1の圧延用ロールの
    表面研磨方法。 【数1】 ただし、VT は砥石の回転速度(m/分) 、 VF は砥石のロール軸方向相対移動速度VF (m/分) 、 VR はロールの回転速度(m/分) 、 α= sin-1(X/r)、である。
  3. 【請求項3】請求項1のロールを冷間圧延のワークロー
    ルとして使用することを特徴とする光沢の優れた金属板
    の圧延方法。
JP20824791A 1991-08-20 1991-08-20 圧延用ロール、その研磨方法および金属板圧延方法 Expired - Lifetime JP2923095B2 (ja)

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