JPH0857755A - 圧延用ロールの表面研磨方法 - Google Patents

圧延用ロールの表面研磨方法

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JPH0857755A
JPH0857755A JP19831694A JP19831694A JPH0857755A JP H0857755 A JPH0857755 A JP H0857755A JP 19831694 A JP19831694 A JP 19831694A JP 19831694 A JP19831694 A JP 19831694A JP H0857755 A JPH0857755 A JP H0857755A
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JP
Japan
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roll
grindstone
polishing
width
rolling
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JP19831694A
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Hideo Yamamoto
秀男 山本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた光沢と平面形状が得られるロールの研磨
方法の提供。 【構成】円周面を鼓状に窪ませた円筒状砥石の回転軸
とロールの回転軸とを研削面と平行な面内において交差
させ、ロールの周速度ベクトルVR と研磨速度ベクトル
0 とのなす角θを80°〜100 °とし、かつ砥石の送り
量ST を、砥石のロール軸方向投影幅の1/2 以下とする
ロールの表面研磨方法。 粒度の異なる2つの砥石を送り方向に対して前面側を
粗く、それらの幅は10以下の整数比の配分で貼り合わ
せ、かつ円周面を鼓状に形成した砥石を用い、θを80°
〜100 °とし、送り量(ST ) を幅の狭い側の砥石のロー
ル軸方向投影幅(Ws)以下とする圧延用ロールの表面研
磨方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面光沢と平面形状
とに優れた金属板を得るための冷間圧延用のワークロー
ルの表面研磨方法に関し、特に研磨したときつけられる
微小な研磨痕(以下、研磨目と記載する。)が、均一で
ロール軸方向とほぼ平行となるようなロールの表面研磨
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板の圧延においては、ワークロール
(以下、単にロールと記載する。)の表面の凹凸(研磨
目)が金属板に転写されるから、製品金属板に要求され
る表面粗さに応じた表面を有するロールが使用される。
従って、使用されるロールは、その製品の表面粗さに応
じた表面粗さに研磨される。例えば、優れた光沢が必要
とされる冷延鋼板などの圧延には、砥粒の細かい砥石で
研磨した表面粗さの小さいロールを使用する。しかし、
ロール表面の粗さを小さくすることは、研磨作業に時間
がかかり、ロールの研磨コスト、ひいては金属板の製造
コストの増大を招く。
【0003】薄鋼板、特に表面光沢を重視するステンレ
ス鋼板等の冷間圧延は、直径 100mm以下の小径ロールを
配置したゼンジミアミルで行われるのが普通である。し
かし、近年、直径 180mm以上の大径ロールを配置した普
通鋼用圧延機であるタンデムミルやレバースミルによる
圧延が行われるようになつてきた。これはロール径が大
きく、また圧延油に冷却能力の高い水溶性エマルション
を使用するため高速圧延が可能となり、高い生産性が期
待できるからである。
【0004】しかし、普通鋼用圧延機で圧延した薄鋼板
はゼンジミアミル圧延で得られる薄鋼板に比較して表面
の光沢が劣る。これは、大径ロールで高速圧延を行う
と、ロールと薄鋼板との間の油膜が厚くなり、拘束され
ずに自由変形する部位の薄鋼板表面が油圧により部分的
に凹状となる、いわゆる、オイルピットと呼ばれる微小
な欠陥が表面に生じ、光沢が低下する。
【0005】これまで普通鋼用圧延機で圧延した場合で
も、金属板の光沢を良好にするための提案が種々なされ
ている。
【0006】例えば、特開昭60−227904号公報には、回
転する研磨砥石(円筒状砥石)をロール軸方向に通常よ
り早送りさせ、ロール円周方向に対して傾斜した研磨目
をもつたロールを作製し、そのロールで圧延する方法が
開示されている。この方法によると、前段のベルト研削
で生成された圧延方向に平行な研磨目とロール表面の研
磨目とを交差させることができ、圧延前の研磨目が分断
されてオイルピットの発生を抑制し、金属板表面の光沢
を良好にすることができると述べられている。
【0007】しかし、このような研磨方法で得られる研
磨目の傾斜角( 後述するθ) は、ロールの円周方向に対
して10°以下であり、オイルピット発生の防止効果はあ
るが、圧延中の滑りを利用した光沢の改善効果は期待で
きない。
【0008】本発明者は、特開平4−200908号公報で、
ロール表面の円周方向の粗さを軸方向粗さの1〜4倍と
したロール、例えば研磨目の方向がロール軸方向に平行
なロールを用いて圧延する方法を提案した。研磨目の方
向をロール軸方向に対して平行にすると、圧延中にロー
ルと圧延材との間に滑りが発生するので、ロール表面の
円周方向粗さ(凹凸)によって金属板が平滑化され、光
沢が良くなる。しかし、上記のロール表面はエメリー紙
による手研磨、または円筒鏡面研磨機による研磨で得た
もので、時間と熟練を必要とするものであった。
【0009】図6は、ロール表面に形成された研磨目を
示す図であり、(a) はロール円周方向に傾斜した研磨目
を示す図、(b) はロール円周方向に平行な研磨目を示す
図、(c) はロール軸方向と実質的に平行な研磨目を示す
図、(d) はロールの軸方向に不均一な研磨目を示す図で
ある。
【0010】ここで研磨目の傾きとは、図6(a)に示すよ
うに研磨目1-2の方向とロールの円周方向とのずれをい
い、その傾き角をθとする。
【0011】従来の円筒状砥石による研磨方法は、円筒
状砥石の軸とロール軸とを同一平面内で平行になるよう
に配置し、砥石を高速回転させ、ロールを低速で砥石の
回転方向と逆の方向に回転させ、砥石をロール軸方向に
送る。これによって得られたロール表面は、図6(b)に示
すように研磨目の傾斜はロール円周方向とほぼ等しく
(θ≒0°)なり、このようなロールで通常圧延を行う
とゼンジミアミルで圧延したものに比し金属板の光沢が
低下する。
【0012】図6(c)に示すようなロール軸方向に平行な
研磨目は、後述する高速回転するカップ状砥石の縁の端
部を回転するロール表面に接触させ、砥石の速度ベクト
ルのロール円周方向成分とロール円周方向速度ベクトル
に合わせ、かつ砥石をロール軸方向に送ることによって
形成させることができる。
【0013】図6(d)に示すような研磨目の方向が不均一
な研磨目は、摩耗したカップ状砥石で研磨したときに発
生する。
【0014】このようにロールの軸方向に傾斜または平
行な研磨目をもつロールで金属板を圧延すると、金属板
の光沢が良くなることは知られている。しかし、ロール
の軸方向に平行な研磨目をもつロールを研磨する方法に
ついては、殆ど知られていなかった。本発明者はその研
磨する方法について、次の2つの方法を提案した。
【0015】図7は、本発明者が特願平3−208247号と
して提案したカップ状砥石で研磨中の状況を示す図であ
り、(a) は正面図、(b) は研磨中の砥石を上から見た
図、(c) は砥石とロールの速度ベクトルを示す図であ
る。
【0016】この方法は、図7(a)に示すようにカップ状
砥石3'の回転軸4をロール法線5に対して傾斜(β)さ
せ、砥石の縁の一端をロールに接触させて研磨する方法
である。この場合、ロールと砥石との接触は、図7(b)に
示すように幾何学的には点接触Pであり、研磨目の方向
は、P点における砥石の周速度ベクトルVT 、砥石のロ
ール軸方向送り速度ベクトルVF 、ロールの周速度ベク
トルVR から下記(1)式によって計算される研磨速度ベ
クトルV0 の方向に等しい。ここで砥石のロール軸方向
送りとは、砥石とロールとの相対移動を表し、砥石が移
動する場合もあり、ロールが移動する場合もある。
【0017】即ち、同図(c) に各ベクトルを示すよう
に、接触点での砥石の周速度ベクトルVT とロールの周
速度ベクトルVR とのなす角をαとすれば、研磨目の傾
斜角θは下記(2) 式で表すことができる。ここではベク
トルVT 、VF 、VR の大きさをそれぞれVT 、VF
R と表すこととする。
【0018】 V0 =VT +VF +VR ・・・・(1) θ = tan-1(VT sin α+VF )/(VT cos α−VR ) ・・・・(2) 上記接触点での速度ベクトルVT 、VF 、VR の大き
さ、およびVT とVR とのなす角αを設定すれば、任意
の傾斜角θをもった研磨目をロール表面に形成すること
ができ、ロール軸方向とほぼ平行な研磨目が形成され、
圧延中にロールと圧延材との間に発生する滑りによって
金属板が平滑化され、光沢が良くなる。
【0019】図8は、本発明者が特願平5−34967 号と
して提案した円筒状砥石の回転軸をロール回転軸に対し
て交差させて研磨中の接触部の状況を示す図であり、
(a) は正面図、(b) は研磨中の砥石を上から見た図、
(c) は砥石とロールの速度ベクトルを示す図である。
【0020】この方法は、図8(b)に示すように、円筒状
砥石3の回転軸4をロール回転軸2に対して研磨面と平
行な面内において交差(交差角α)させて研磨する方法
(以下、この方法を交差研磨法と記載する。)である。
この場合、ロールと砥石の接触は幾何学的には点接触Q
であり、各ベクトルの方向は前述のカップ状砥石の場合
と同様である。即ち、接触点での砥石周速度ベクトルV
T とロール周速度ベクトルVR とのなす角度α(この場
合は砥石の回転軸とロールの回転軸とのなす角に等し
い)、ベクトルVT 、VF 、VR の大きさを設定すれ
ば、任意の研磨目の傾斜角θが得られ、カップ状砥石の
場合と同様な効果が得られる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】特願平3−208247号で
提案したカップ状砥石の縁端部でロールを研磨する方法
は、ロールと砥石との接触部が点である場合には図6(c)
に示すようなθ=90°の研磨目が得られるが、実際には
研磨中に砥石、または砥石の支持体などが変形したり、
砥石が摩耗するので均一な研磨目が得られなくなる。
【0022】図9は、摩耗した砥石で研磨中の接触部の
状況を示す図であり、(a) はカップ状砥石の縁端面で研
磨する場合を示す図、(b) は円筒状砥石の円周部で研磨
する場合を示す図である。
【0023】摩耗したカップ状砥石で研磨すると、接触
部は図9(a)に示すように面P'となり、砥石の周速度(V
T1>VT2>VT3)が場所によって異なり、研磨目の方向
が一定にならず図6(d)に示すような不均一な研磨目とな
ることがある。
【0024】このような研磨目の方向が不均一なロール
を用いて金属板を圧延した場合には、圧延材に光沢のむ
らや形状不良を生じる。
【0025】図10は、圧延によって板材に発生する形状
不良を示す図であり、(a) はロール円周方向に傾斜した
研磨目をもつロール(図6(a))で圧延した場合を示す
図、(b) はロール円周方向に平行な研磨目をもつロール
(図6(b))で圧延した場合を示す図、(c) はロール軸方
向に平行な研磨目をもつロール(図6(c))で圧延した場
合を示す図、(d) はロール軸方向に不均一な研磨目をも
つロール(図6(d))で圧延した場合を示す図である。
【0026】研磨目の方向が不均一なロールを用いて金
属板を圧延すると、ロールと金属板との間の摩擦係数や
ロール軸に作用するスラスト力が局部的に変化するの
で、板幅方向で圧延伸びが異なり、図10(d) に示すよう
な耳波または中伸びの形状不良や図10(a) に示すような
捻れが発生する。
【0027】特願平5−034967号で提案した円筒状砥石
で交差研磨(交差角α)する方法は、ロール軸に平行な
研磨目が得られるが、軸方向の研磨幅との兼ね合いで送
り速度に制限があり、研磨効率を低下させている。
【0028】円筒状砥石で交差研磨すると、ロールと円
筒状砥石の接触部Q'は図9(b)に示すように、点あるいは
微小な面(楕円)となり、その接触部のロール軸方向の
投影幅W(wcosα) が小さく、研磨断面(切り込み深さ)
は、「研磨断面」として示すような円弧状の凹部とな
る。これがロール1回転ごとにロール表面に溝状に形成
される。
【0029】図11は、円筒状砥石で交差研磨したときの
ロール表面を拡大して示す図であり、(a) および(b) は
砥石の送り量ST を変えた場合のロール表面を示す図で
ある。同図(a) および(b) に示すように、ロール1回転
当たりの砥石送り量ST の大きさに関係なく、微小な凹
凸が規則的に残り、螺旋状の凹凸(砥石の送りマーク)
が形成される。このようなロールで圧延すると金属板の
表面には幅方向に縞状の凹凸が形成され、表面性状を低
下させる。また、バレル長さの長いロールを研磨する場
合には、長時間の研磨によって砥石が摩耗すると、ロー
ルと砥石との接触部が点から面へと変化するので、砥石
の研磨能力が低下し、ロール幅(軸)方向に徐々に粗さ
が細かくなったり、焼け等が発生するという問題があっ
た。
【0030】このように、ロールの軸方向に対して平行
な研磨目を持つロールを用いて圧延すると、圧延材表面
の光沢を改善できることは知られているが、方向の揃っ
た研磨目をロール表面に簡便かつ安定して形成する方法
は知られていない。
【0031】本発明の目的は、通常の冷間圧延機を用い
て優れた表面光沢と良好な平面形状をもつ金属板を製造
するための圧延ロールの表面の研磨方法を提供すること
にある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者は、圧延後の金
属板の表面光沢と平面形状とを良好にすることのできる
ロール表面について研究し、交差研磨する円筒状砥石の
円周面を鼓形に成形し、ロール1回転当たりの砥石のロ
ール軸方向送り量を特定し、さらに砥粒の粒径が異なる
砥石を貼り合わせて用いることにより、螺旋状の研磨む
らを防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0033】本発明の要旨は、図1に示す砥石を用い、
下記およびに示すロールの研磨方法にある。
【0034】円周面を鼓状に窪ませた円筒状砥石の回
転軸とロールの回転軸とを研削面に平行な面内において
交差させ、ロールの表面に鼓状円周面を面接触させ、ロ
ールの周速度ベクトル(VR ) と研磨速度ベクトル(V0)と
のなす角(θ)を80°〜100 °とし、ロール1回転当た
りの砥石のロール軸方向の送り量(ST ) を、円筒状砥石
のロール軸方向投影幅(W)の1/2 以下として、砥石を
回転させながらロール軸方向に送る圧延用ロールの表面
研磨方法。
【0035】砥粒の粒径が異なる2つの砥石を砥石の
送り方向に対して前面側の砥粒を後面側より粗く貼り合
わせ、かつ2つの砥石幅は10以下の整数比となる配分と
し、さらにその円周面を鼓状に窪ませた曲面に形成した
円筒状砥石を用い、θを80°〜100 °とし、砥石の送り
量(ST ) を幅の狭い側の砥石のロール軸方向投影幅(Ws)
以下とする圧延用ロールの表面研磨方法。
【0036】
【作用】本発明のロール研磨方法と、その作用について
説明する。
【0037】I.砥石について:図1は、本発明の鼓状
砥石をロールに交差させて研磨する方法を示す図であ
り、(a) は正面図、(b) は上から見た平面図である。本
発明の円筒状砥石3の円周面33は、ロールと交差して接
触させたとき砥石幅全面で接触するように曲面(鼓型)
に仕上げられている。図1には、円筒状砥石として砥石
の送り方向の前面側(前方砥石31)を砥粒の粗い砥石で
構成し、後方砥石32を砥粒の細かい砥石を貼り合わせて
構成したものを示したが、1種類の粒度の砥石で構成す
るものでもよい。
【0038】図3は、本発明のロール研磨方法に用いる
鼓状砥石の円周部の形状を示す図である。円筒状砥石3
の円周面33は、砥石をロールの研磨面に対して交差(交
差角α)させて接触させたとき、ロールを砥石の回転軸
を含む平面で切断した断面(楕円、(3) 式で計算できる
曲線)の曲率の最も大きい部分の曲率に等しい表面に窪
ませて、いわゆる鼓形状に仕上げられている。
【0039】(x/a)2 + (y/b)2 =1・・・・・(3) ここに、aはロールの半径(楕円の短軸の半径mm)、b
は楕円の長軸の半径(a/sinα)、αは砥石の回転軸と
ロール回転軸との交差角である。
【0040】図2は、鼓状砥石をロールに交差させて研
磨したときの接触部の状況を示す図であり、(a) は接触
部の平面と研磨部の断面を示す図、(b) は砥石の送りに
よるロール表面の仕上げ状態を示す図である。このよう
に鼓形状とした砥石で研磨すると、(a) に示すように砥
石とロールとの接触部Lは幾何学的には線で接触するの
で、(b) に示すように凹凸のない平面が得られる。実際
には研磨中に砥石、または砥石の支持体が変形したり、
砥石が摩耗したりするので線接触から面接触に変化する
が、鼓形の円周面で研磨する方法によれば、面接触とな
っても砥石の周速度(VT1=VT2=VT3)が場所によっ
て殆ど変化しない。従って、図2(a)に示すベクトルV0
の大きさと方向が接触する砥石のどの位置においても同
じとなり、均一な方向の等しい研磨目を得ることができ
る。
【0041】II.研磨目の傾斜角度を80°〜100 °に限
定する理由について:図6(a)のように研磨目がロールの
円周方向に対し大きく傾斜するロールで圧延した場合、
ロール軸方向にスラストが発生し、圧延材が蛇行するば
かりか、圧延材の幅方向に残留応力が残り、圧延後の金
属材に図10(a) に示すような捻れが発生する。従って、
研磨目の方向は理想的にはロールの軸方向と等しい(90
°)ことが望ましいが、80°〜100 °であればスラスト
力は小さくなり、許容できる程度となる。
【0042】また、ロールと金属板とは圧延時に滑りが
生じているので、ロール円周方向に対して傾斜した研磨
目を持つロールで圧延すると、その傾斜した研磨目が金
属板にその前に発生した転写疵やオイルピットを押しつ
ぶし、その表面を平滑にする。この平滑化(光沢を付与
する)作用は研磨目の方向がロール軸方向と等しいほど
顕著となるが、80°〜100 °であれば優れた光沢が得ら
れる。
【0043】本発明の研磨方法で得られた研磨目は、図
6(c)に示すように研磨目の方向がロール軸方向に平行で
あり、均一に揃っている場合は、捻れや耳波、中伸びな
どの形状不良を起こすことがない。
【0044】III .ロール表面の仕上面粗さについて:
一般に鋼の研削(研磨)加工における砥石の送りは、粗
研削(研磨)の場合砥石幅の1/2 〜3/4 、仕上げ研削の
場合1/8 〜1/3 である。
【0045】図4は、鼓状砥石を用いて研磨したときの
ロール表面状態を示す図であり、砥石の送り量ST と砥
石のロール軸方向投影幅Wとの関係がロールの表面状態
に及ぼす影響を示すものであり、(a) はST >W/2とし
た場合の研磨状態を示す図、(b) はST ≦W/2とした場
合の研磨状態を示す図、(c) はピークカットされる状態
を表面粗さプロフィールで示す図である。
【0046】砥石の送り量ST をW/2よりも大きくした
場合には、図4(a)に示したように砥石はロール1回転当
たりST の距離だけロール軸方向に送られるため、先ず
粗い斜線で示した初期研磨部Aが研磨される。次の送り
による研磨では、砥石の送り量ST が砥石幅の1/2 より
も大きいため2回研磨される部分B(ピークカット実施
部)と1回だけの部分C(ピークカット未実施部)が生
じる。1回だけの部分Cはピークカットされず、仕上面
粗さが大きくなり、ロールの表面に螺旋状にむらとなっ
て残る。
【0047】これに対し砥石の送り量ST をW/2以下と
すると、図4(b) に示すように全ての面がピークカット
され、仕上げ面が均一なものとなる。2回目の研磨では
(c)に示すように1回目の研磨でできた表面粗さプロフ
ィールA(破線)の山部がカットされ、実線で示される
ピークカットされた部分Bのようになる。砥石の送り量
T をW/2とすると、砥石エッジ部が摩耗した場合、ロ
ール表面にはピークカット未実施部が残るが、特に支障
はない。従って、厳密には砥石の送り量ST をW/2未満
とすることが好ましい。
【0048】砥粒の粒径の異なる砥石を貼り合わせ、ピ
ークカットする部分の砥石の粒度を細かくして、ピーク
部をより細かくカットして、ピーク部の平滑さを増す。
【0049】このピークカツトを砥粒の異なる2種類の
砥石を別々に用いて行うと、最後に使用した砥石の研磨
粗さに仕上がり、ピークカットの効果が低下する。
【0050】異なる砥粒の砥石のそれぞれの幅は任意で
あるが、砥石のロール軸方向送り量(ST )を研磨むら
を少なくする意図から、狭い側の砥石幅(WS )のロー
ル軸方向投影接触幅(WS cos α)以下とする必要があ
り、研磨効率を考慮すると狭い側の砥石幅は広い側の1/
10以上が好ましい。
【0051】図5は、貼り合わせた砥石で研磨するとき
の砥石幅と砥石送り量との関係を示す図であり、(a) は
細粒砥石幅を粗粒砥石幅の2倍にした場合を示す図、
(b) は両者が等しい場合を示す図、(c) は粗粒砥石幅を
細粒砥石幅の2倍にした場合を示す図、(d) は細粒砥石
幅と粗粒砥石幅との比を3:4とした場合を示す図であ
る。(a) の場合は細粒砥石幅が大きいので、砥石の送り
量ST を粗粒砥石幅WRと等しくできるが、(c) および
(d) のように粗粒砥石幅が細粒砥石幅よりも大きくなる
と、砥石の送り量ST は幅の狭い砥石幅以下にする方が
好ましい。
【0052】
【実施例】本発明を実施例により更に詳しく説明する。
【0053】表1に示す(平均)直径 300mmの円筒状砥
石12個(No.8は比較例のカップ状砥石)を用意し、直径
450mmのロールを表2に示す条件で、砥石のロールへの
押付力50kgf で研磨を行い、ロールの表面粗さを中心線
平均粗さRa=0.3〜0.4 μmに仕上げた。研磨機は、従来
の円筒研磨機の砥石取付け角度を変更できるようにした
円筒研磨機を用い、No.8にはミラック社製の円筒研磨機
を用いた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】砥石No.1,2,9,10 および12は1種類の砥粒
粒度で構成した砥石、No.3〜7 ,11および13は異なる砥
粒粒度の砥石を2つ貼り合わせ構成したものである。ま
た、No.1〜7,12および13は円周面の軸方向に曲面が形成
された鼓状の円筒状砥石であり、その他(No.8を除く)
は円周面が平坦な円筒状砥石である。No.8は比較例であ
り、カップ状砥石であり、図7に示すように砥石の縁端
面の円周部を1ヶ所だけ当てて研磨を行った。
【0057】表2に示す砥石の交差角とは、その接触点
での砥石の周速度ベクトルとロールの周速度ベクトルと
のなす角に等しく、No.8は前記ベクトルのなす角が30°
である。ロールおよび砥石の回転方向は図1に示す速度
ベクトルの矢印で示す方向を「正」、その反対を「負」
と定義し、表2に示すNo.10 の砥石の回転方向のみ逆回
転で行った。また、速度の単位はm/min 、砥石の送り量
はmmである。
【0058】このような条件で製作されたロールを、表
3に示す圧延条件を有する冷間圧延機に組み込み、板厚
3.2mm 、板幅1000mmのSUS430ステンレス鋼板(熱延・酸
洗材、表面粗さが中心線平均粗さRa=2.5μm)を50℃で
の粘度が35 cStの合成エステル系圧延油(濃度3%エマ
ルション)を用いて圧延した。
【0059】
【表3】
【0060】これらのロールを、圧延の全パスに使用す
る場合と、最終パス(5パス目)のみに使用する場合の
圧延を行い、圧延後の金属板表面の光沢、光沢むら、捻
れおよび形状を観察し、その結果を表4に示した。
【0061】
【表4】
【0062】光沢の評価は、JIS 法による測定角度45°
の鏡面光沢度(Gs45°)で 450を超えるものを○、 400
〜450 を△、 400未満を×として併記して示した。ま
た、鋼板の捻れ、中伸び、耳波は目視で観察し、無しを
○、有りを×とした。総合評価は、全て○の場合を◎、
×があれば×とした。
【0063】本発明のロール研磨方法で研磨したロール
No. 1〜7を用いて圧延したステンレス鋼板は、表4に
示すように、表面光沢および板形状のいずれも良好であ
る。
【0064】これに対し比較例のNo.8は、カップ状砥石
を用いてロールを研磨したので、接触部が点となり、ロ
ール表面は不均一な研磨目が形成され、圧延後の金属板
表面に光沢のむらが観察され、中伸び・耳波が発生し
た。
【0065】No.9は、円周面が平坦な円筒状砥石を用
い、砥石の軸を交差させることなくロールを研磨したた
め、研磨目の傾斜が10°と小さく、表面光沢に劣り、し
かも光沢むらが発生した。
【0066】No.10 は、円周面が平坦な円筒状砥石を用
い、砥石の軸を交差角30°としてロールを研磨したの
で、接触部が点となり図11に示すような送りマークがロ
ール表面に形成され、金属板表面には光沢むらが発生し
た。また、砥石の回転方向が負(−)としたため、砥石
の周速度に対して砥石の送り量とロールの周速度が小さ
く、研磨目の傾斜が45°となって、金属板に捻れが発生
した。
【0067】No.11 は、異なる粒度の砥石を貼り合わ
せ、円周面が平坦な円筒状砥石を用い、砥石の軸を交差
角60°としてロールを研磨したが、砥石の周速度に対し
て砥石の送り量とロールの周速度が小さく、研磨目の傾
斜が70°となって、圧延材に捻れが発生した。
【0068】No.12 は、1種類の砥石を鼓状に形成した
砥石を用い、砥石の軸を交差角60°としてロールを研磨
したが、砥石の送り量(17.4mm/r)が砥石のロール軸方向
投影幅(15mm)よりも大きいため、光沢むらが発生した。
【0069】No.13 は、粒度の異なる砥石を鼓状に形成
した砥石を用い、砥石の軸を交差角60°としてロールを
研磨したが、表1に示すように最適交差角度が30°であ
るため、接触部が点となり図11に示すような送りマーク
がロール表面に形成され、金属板表面には光沢むらが発
生した。
【0070】
【発明の効果】本発明のロール研磨方法によれば、ロー
ル軸方向にほぼ平行な研磨目を安定して付与することが
でき、長時間研磨しても、砥石の摩耗による研磨目方向
の乱れやロール軸方向の研磨むらが殆どない。しかも、
この方法を行うには、従来の研磨機を簡単に改造するだ
けでよく、新しい研磨機を必要としない。本発明の方法
で研磨したロールは、圧延材の平滑化作用に優れ、タン
デムミルやレバースミルの大径ワークロールとして使用
するのに特に好適である。このようなロールをワークロ
ールとして高速で圧延して得た金属板は、表面性状(光
沢度)に優れるだけでなく、捻れや耳波、中伸びといっ
た形状不良を生じないので、圧延材として平坦さが要求
される薄鋼板、例えばステンレス鋼板を高能率で圧延で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鼓状砥石をロールに交差させて研磨する方法を
示す図である。
【図2】鼓状砥石をロールに交差させて研磨中の接触部
の状況を示す図である。
【図3】鼓状砥石の円周部の形状を示す図である。
【図4】鼓状砥石で研磨したときのロール1回転当たり
のロール軸方向送り量と砥石のロール軸方向投影幅との
関係を示す図である。
【図5】張り合わせ砥石で研磨するときの砥石幅と砥石
の送り量との関係を示す図である。
【図6】ロール表面に形成された研磨目を示す図であ
る。
【図7】カップ状砥石で研磨中の接触部の状況を示す図
である。
【図8】円筒状砥石で研磨中の接触部の状況を示す図で
ある。
【図9】摩耗した砥石で研磨中の接触部の状況を示す図
である。
【図10】圧延によって板材に発生する形状不良を示す
図である。
【図11】円筒状砥石で交差研磨したときのロールの表
面を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1.ロール 2.ロール軸
3.円筒状砥石 3'.カップ状砥石 4.砥石回転軸
5.ロール法線

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円周面を鼓状に窪ませた円筒状砥石の回転
    軸とロールの回転軸とを研磨面に平行な面内において交
    差させ、ロールの表面に鼓状円周面を面接触させ、ロー
    ルの周速度ベクトル(VR ) と研磨速度ベクトル(V0)との
    なす角(θ)を80°〜100 °とし、ロール1回転当たり
    の砥石のロール軸方向の送り量(ST ) を、円筒状砥石の
    ロール軸方向投影幅(W)の1/2 以下として、砥石を回
    転させながらロール軸方向に送ることを特徴とする圧延
    用ロールの表面研磨方法。
  2. 【請求項2】砥粒の粒径が異なる2つの砥石を砥石の送
    り方向に対して前面側の砥粒を後面側より粗く貼り合わ
    せ、かつ2つの砥石幅は10以下の整数比となる配分と
    し、さらにその円周面を鼓状に窪ませた曲面に形成した
    円筒状砥石を用い、砥石の回転軸とロールの回転軸とを
    研磨面に平行な面内において交差させ、ロールの表面に
    鼓状円周面を面接触させ、ロールの周速度ベクトル
    (VR ) と研磨速度ベクトル(V0)とのなす角(θ)を80°
    〜100 °とし、ロール1回転当たりの砥石のロール軸方
    向の送り量(ST ) を幅の狭い側の砥石のロール軸方向投
    影幅(Ws)以下として、砥石を回転させながらロール軸
    方向に送ることを特徴とする圧延用ロールの表面研磨方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103240280A (zh) * 2013-04-28 2013-08-14 首钢总公司 一种消除热轧带钢纵向条纹缺陷的方法
CN107081671A (zh) * 2017-06-28 2017-08-22 青岛云路先进材料技术有限公司 一种在线抛光装置

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