JP3370616B2 - 光沢の優れた金属板の冷間圧延方法 - Google Patents
光沢の優れた金属板の冷間圧延方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板の冷間圧延
方法に関するもので、特に光沢の優れた金属板を圧延す
るのに好適な冷間圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】金属板の光沢は、圧延された鋼板の表面
粗度に左右される。金属板の表面には、結晶粒の変形の
相違に起因した、しわ状または凹み状の深さ数μm 程度
の、オイルピットと呼ばれるミクロ欠陥と、スクラッチ
と呼ばれるロールの研磨目の転写に起因する深さ1μm
程度のミクロ欠陥が存在している。そのため金属の光沢
は、ロールバイト内に引き込まれる圧延油量が増大し、
油膜厚さが厚くなるとオイルピットが多くなって低下
し、またロール粗度が大きく、その転写率が増大すると
スクラッチによる表面粗度が大きくなって低下すること
となるのである。 【0003】ところで、従来、上下一対の圧延用ロール
( 以下、ロールと称す。) を用いた金属板の冷間圧延、
例えば、最も光沢が要求されるステンレス鋼板の圧延
は、ロール直径80mmφ程度で鏡面研磨(Ra=0.04 μm 以
下 )された小径のロールを備えたリバース圧延機を用い
て、低粘度(10cSt (40℃) 程度) の鉱物系圧延油をニー
トで供給しつつ、低速で行われている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、リバース圧
延の能率を上げるために高速圧延にすると、鏡面状態に
研磨した小径ロールを組み込みかつ低粘度油を用いてい
るので、ロールと金属板との焼付き(ヒートストリー
ク)やスリップが発生する問題があった。また、リバー
ス圧延において高粘度油を用いると、ロールバイト内に
引き込まれる圧延油量が増大し、オイルピットが多くな
って、光沢が低下する問題やスリップが発生して安定し
た圧延ができない問題があった。 【0005】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記の問題点を解消することにあり、光沢度900
(Gs20°) 以上の光沢の優れた金属板を製造でき、ま
た、この光沢度を保ちつつスリップや焼付きが発生する
ことなく、圧延速度300m/min以上の安定した高速圧延が
可能な、冷間圧延方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、金
属板圧延用ロールを備えたリバース圧延機で所定パス回
数の圧延を行う金属板の冷間圧延方法において、粘度5
〜50cSt(40℃) の範囲内の圧延油を用いて、ロール粗度
Ra: 0.04〜1.0 μm のクロス研磨目が付与された、直
径:35 〜150mm の範囲内の圧延用ロールで、前記所定パ
ス回数の内の少なくとも1パスの圧延を施すことを特徴
とする金属板の冷間圧延方法である。 【0007】 【発明の実施の形態】まず、周方向に対して傾斜し、互
いに交差させてなる研磨目を有するクロス研磨目の効果
について説明する。本発明に用いるクロス研磨目とは、
例えば図1に示すように、円周方向に対して、時計回り
方向に傾斜角度θ1 をなす研磨跡(研磨目と称す。)
と、反時計回り方向に傾斜角度θ2 をなす研磨目とが、
互いに交差するようにロール表面に付与された研磨目で
ある。クロス研磨目を付与されたロールで圧延すると、
ロールバイト内において鋼板表面近傍の圧延方向の剪断
変形が大きくなり、鋼板表面を平滑化して、ロール粗度
の転写によるスクラッチを削減できるとともに、クロス
研磨目であることによる圧延油封入抑制効果によりオイ
ルピットの発生を少なくできる。さらに圧延方向の剪断
変形が大きいので、圧延前の鋼板粗度も平滑化できて、
圧延後の鋼板粗度が小さくなる。このため、鋼板の光沢
を向上できるものと考えられる。 【0008】ここで、図 1(a)に示したクロス研磨目
は、研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2をそれぞれ均一とし
た研磨目であって、傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ
2 の平均値が略同じ場合を示しているが、研磨目の傾斜
角度はこれに限られるものでない。図1(b)に示すよ
うに、研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2 をそれぞれ均一と
し、傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値を異
ならせてもよい。また、図1(c)に示すように研磨目
の傾斜角度θ1 及びθ2 を不均一とし、傾斜角度θ1 の
平均値と傾斜角度θ2 の平均値を同じとしてもよいし、
異ならせてもよい。本発明のクロス研磨目の傾斜角度の
平均値は、5 〜85°とするのが好ましい。この理由は、
クロス研磨目の傾斜角度の平均値が5 °未満では、平滑
化効果が小さくなって光沢が向上せず、一方、クロス研
磨目の傾斜角度の平均値が85°を超えると、クロス研磨
目の圧延油封入抑制効果が小さくなり光沢が向上しない
からである。 【0009】ところで、従来のリバース圧延は、上記し
たように10cSt (40 ℃) 程度の圧油を使用し、鏡面研磨
(Ra=0.04 μm 未満 )された小径ロールを用いれば、光
沢を良好にできると考えていた。しかしながら、圧延す
る前の鋼板表面に存在する、熱延板の焼鈍・酸洗による
しわ状欠陥や凹み欠陥を平滑にできないだけでなくオイ
ルピット欠陥も重複するために光沢に限界があったので
ある。 【0010】本発明で用いる圧延油の粘度を、5 〜50cS
t(40℃) の範囲内とする理由は次のとおりである。圧延
油の粘度が5 cSt(40℃) 未満では、圧延速度300(m/min)
未満で、ロールとステンレス鋼板が焼き付き、安定した
圧延ができない。このため圧延油の粘度を5 cSt(40℃)
以上とする。一方、圧延油の粘度が50cSt(40℃) を超え
ると、クロス研磨目を付与しても、オイルピットが増大
して光沢が向上しない。このため、圧延油の粘度を5 〜
50cSt(40℃) とする。圧延油の粘度を20〜50cSt(40℃)
とすると、300m/min以上でも焼き付きもなく高光沢な鋼
板を得ることができるので好ましい。 【0011】また、本発明のロールに付与するクロス研
磨目のロール粗度を、Ra:0.04 〜 1.0μm とする理由は
次のとおりである。クロス研磨目の粗度が、Ra:0.04 μ
m 未満では、鋼板表面の平滑化が十分に行われないので
光沢を向上する効果が十分でなく、またスリップが発生
するので、Ra:0.04 μm 以上とする。一方、クロス研磨
目の粗度がRa:1.0μm を超えると、ロール粗度の転写に
よりスクラッチ欠陥が増大して、光沢が向上しないの
で、Ra:1.0μm 以下とする。クロス研磨目のロール粗度
を0.20μm 以上とすることにより、圧延速度300pmp以上
にできるので好ましい。 【0012】また、本発明で用いるロールの直径を、35
〜150mm の範囲内とする理由は次のとおりである。ロー
ルの直径が35mm未満では、圧延された鋼板の形状が平坦
とならないので、ロールの直径を35mm以上とする。ロー
ルの直径が150mm を超えると、パス回数が増加して圧延
能率が従来よりも低下するので、ロールの直径を150mm
以下とする。 【0013】以上説明した本発明の範囲でリバース圧延
することにより、表裏平均の光沢度900(Gs 20 °) 以上
のステンレス鋼板を製造でき、好ましくは、圧延速度30
0m/min以上と高速にしても高光沢を維持できるのであ
る。ここで、本発明のクロス研磨目は、小径ロールで
も、ロールバイト内の相対滑り距離が数mmになり、数μ
m のオイルピット欠陥の大きさの数百倍以上になってい
るので、連続でなくてもよい。研磨目が断続的でよいの
で、連続するスパイラルマーク状の研磨目のように、研
磨前にロール表面を鏡面仕上げする必要がなく、研磨目
を深くする必要もないので、研磨目を容易かつ効率的に
付与できる。 【0014】本発明に用いるリバース圧延機は、12段圧
延機に限らず、20段圧延機や6段圧延機でもよく、段数
に制限されない。また、本発明は、鋼板以外のアルミニ
ウムや銅等の金属板の圧延にも適用できるけれども、ス
テンレス鋼板の圧延が好適である。 【0015】 【実施例】(実施例1) 熱間圧延・焼鈍・酸洗を施し
た素材厚4.0mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を、
5スタンドからなる冷間タンデム圧延機で、圧延油の粘
度40cSt(40℃) 、濃度5.0 %、圧延速度400m/minとし
て、厚さ1.5mm までタンデム圧延した後、タンデム圧延
されたステンレス鋼板を、ロール直径:80mm以上は、12
段式リバース圧延機で、ロール直径:80mm未満は、20段
式ゼンジミア・リバース圧延機で、圧延油の粘度、ロー
ル直径、クロス研磨目のロール粗度、圧延速度およびク
ロス研磨目の適用パスを変えて、厚さ0.5mm まで6パス
でリバース圧延して、比較例(B2〜B8) 、発明例(C1 〜
C17)とした。ここで、タンデム圧延機のロール条件は、
ロール直径:600mm、ロール粗度Ra:1.0〜0.20μm( 第1
〜第5スタンド) の円周方向に平行な研磨目とし、リバ
ース圧延機のロールに付与したクロス研磨目は、傾斜角
度θ1 の平均値、傾斜角度θ2 の平均値: 45°、傾斜角
度θ1 、θ2 の標準偏差:2°とした。また、リバース圧
延での圧延油の濃度は、5.0%で一定とした。 【0016】一方、従来例は、表1の(A1)に示すよう
に、鏡面研磨されたロール( ロール粗度Ra:0.03 μm )
で、圧延油の粘度10cSt(40℃) 、圧延速度100m/min、6
パスでリバース圧延を行った。従来例では、圧延速度を
100m/minを超えて上昇させたところスリップが発生した
ので、この速度を超えると安定して圧延できなかった。
比較例と発明例の圧延状況および従来例、比較例と発明
例のリバース圧延後、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板
の光沢度(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)の測
定結果を、表1に合わせて示す。 【0017】 【表1】【0018】 【表2】【0019】この結果より、本発明例C1〜C15 は、圧延
速度300m/min以上で、本発明例C1〜C17 は圧延速度100m
/minで、安定して圧延できるとともに、表裏平均の光沢
度が900(Gs 20 °) 以上の、比較例や従来例より光沢が
良好なステンレス鋼板を製造できることがわかった。 ( 実施例2) 熱間圧延・焼鈍・酸洗を施した素材厚2.
5mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を、ロール直
径:80mmの12段式リバース圧延機で、圧延油の粘度:30c
St(40 ℃) 、クロス研磨目のロール粗度Ra:0.30(μm )
、圧延速度:400m/min として、厚さ0.8mm まで6パス
でリバース圧延し、発明例とした。ただし、クロス研磨
目を付与したロールを用いて、全パス( 6パス) の圧延
を施した。ここで、リバース圧延機のロールに付与した
クロス研磨目は、傾斜角度θ1 の平均値、傾斜角度θ2
の平均値: 45°、傾斜角度θ1 、θ2 の標準偏差:2°と
した。また、リバース圧延での圧延油の濃度は、5.0 %
とした。 【0020】一方、従来例は、鏡面研磨されたロール(
ロール粗度Ra:0.03 μm ) で、圧延油の粘度10cSt(40
℃) 、圧延速度100m/min、6パスでリバース圧延を行っ
た。従来例では、圧延速度を100m/minを超えて上昇させ
たところスリップが発生したので、この速度を超えると
安定して圧延できなかった。従来例(A1)と発明例のリバ
ース圧延後、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度
(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)の測定結果を
次に示す。 【0021】 従来例の光沢度(GS20 °) :600(表裏の平均) 発明例の光沢度(GS20 °) :920(表裏の平均) この結果より、本発明例は、圧延速度300m/min以上で安
定して圧延できるとともに、表裏平均の光沢度が900(Gs
20 °) 以上の、従来例より光沢が良好なステンレス鋼
板を製造できることがわかった。 【0022】 【発明の効果】本発明によれば、光沢の優れた金属板を
製造できる。また、スリップや焼付きが発生することな
く、安定した高速圧延とすることができるので、光沢の
優れた金属板を能率良く製造できる。
方法に関するもので、特に光沢の優れた金属板を圧延す
るのに好適な冷間圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】金属板の光沢は、圧延された鋼板の表面
粗度に左右される。金属板の表面には、結晶粒の変形の
相違に起因した、しわ状または凹み状の深さ数μm 程度
の、オイルピットと呼ばれるミクロ欠陥と、スクラッチ
と呼ばれるロールの研磨目の転写に起因する深さ1μm
程度のミクロ欠陥が存在している。そのため金属の光沢
は、ロールバイト内に引き込まれる圧延油量が増大し、
油膜厚さが厚くなるとオイルピットが多くなって低下
し、またロール粗度が大きく、その転写率が増大すると
スクラッチによる表面粗度が大きくなって低下すること
となるのである。 【0003】ところで、従来、上下一対の圧延用ロール
( 以下、ロールと称す。) を用いた金属板の冷間圧延、
例えば、最も光沢が要求されるステンレス鋼板の圧延
は、ロール直径80mmφ程度で鏡面研磨(Ra=0.04 μm 以
下 )された小径のロールを備えたリバース圧延機を用い
て、低粘度(10cSt (40℃) 程度) の鉱物系圧延油をニー
トで供給しつつ、低速で行われている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、リバース圧
延の能率を上げるために高速圧延にすると、鏡面状態に
研磨した小径ロールを組み込みかつ低粘度油を用いてい
るので、ロールと金属板との焼付き(ヒートストリー
ク)やスリップが発生する問題があった。また、リバー
ス圧延において高粘度油を用いると、ロールバイト内に
引き込まれる圧延油量が増大し、オイルピットが多くな
って、光沢が低下する問題やスリップが発生して安定し
た圧延ができない問題があった。 【0005】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記の問題点を解消することにあり、光沢度900
(Gs20°) 以上の光沢の優れた金属板を製造でき、ま
た、この光沢度を保ちつつスリップや焼付きが発生する
ことなく、圧延速度300m/min以上の安定した高速圧延が
可能な、冷間圧延方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、金
属板圧延用ロールを備えたリバース圧延機で所定パス回
数の圧延を行う金属板の冷間圧延方法において、粘度5
〜50cSt(40℃) の範囲内の圧延油を用いて、ロール粗度
Ra: 0.04〜1.0 μm のクロス研磨目が付与された、直
径:35 〜150mm の範囲内の圧延用ロールで、前記所定パ
ス回数の内の少なくとも1パスの圧延を施すことを特徴
とする金属板の冷間圧延方法である。 【0007】 【発明の実施の形態】まず、周方向に対して傾斜し、互
いに交差させてなる研磨目を有するクロス研磨目の効果
について説明する。本発明に用いるクロス研磨目とは、
例えば図1に示すように、円周方向に対して、時計回り
方向に傾斜角度θ1 をなす研磨跡(研磨目と称す。)
と、反時計回り方向に傾斜角度θ2 をなす研磨目とが、
互いに交差するようにロール表面に付与された研磨目で
ある。クロス研磨目を付与されたロールで圧延すると、
ロールバイト内において鋼板表面近傍の圧延方向の剪断
変形が大きくなり、鋼板表面を平滑化して、ロール粗度
の転写によるスクラッチを削減できるとともに、クロス
研磨目であることによる圧延油封入抑制効果によりオイ
ルピットの発生を少なくできる。さらに圧延方向の剪断
変形が大きいので、圧延前の鋼板粗度も平滑化できて、
圧延後の鋼板粗度が小さくなる。このため、鋼板の光沢
を向上できるものと考えられる。 【0008】ここで、図 1(a)に示したクロス研磨目
は、研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2をそれぞれ均一とし
た研磨目であって、傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ
2 の平均値が略同じ場合を示しているが、研磨目の傾斜
角度はこれに限られるものでない。図1(b)に示すよ
うに、研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2 をそれぞれ均一と
し、傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値を異
ならせてもよい。また、図1(c)に示すように研磨目
の傾斜角度θ1 及びθ2 を不均一とし、傾斜角度θ1 の
平均値と傾斜角度θ2 の平均値を同じとしてもよいし、
異ならせてもよい。本発明のクロス研磨目の傾斜角度の
平均値は、5 〜85°とするのが好ましい。この理由は、
クロス研磨目の傾斜角度の平均値が5 °未満では、平滑
化効果が小さくなって光沢が向上せず、一方、クロス研
磨目の傾斜角度の平均値が85°を超えると、クロス研磨
目の圧延油封入抑制効果が小さくなり光沢が向上しない
からである。 【0009】ところで、従来のリバース圧延は、上記し
たように10cSt (40 ℃) 程度の圧油を使用し、鏡面研磨
(Ra=0.04 μm 未満 )された小径ロールを用いれば、光
沢を良好にできると考えていた。しかしながら、圧延す
る前の鋼板表面に存在する、熱延板の焼鈍・酸洗による
しわ状欠陥や凹み欠陥を平滑にできないだけでなくオイ
ルピット欠陥も重複するために光沢に限界があったので
ある。 【0010】本発明で用いる圧延油の粘度を、5 〜50cS
t(40℃) の範囲内とする理由は次のとおりである。圧延
油の粘度が5 cSt(40℃) 未満では、圧延速度300(m/min)
未満で、ロールとステンレス鋼板が焼き付き、安定した
圧延ができない。このため圧延油の粘度を5 cSt(40℃)
以上とする。一方、圧延油の粘度が50cSt(40℃) を超え
ると、クロス研磨目を付与しても、オイルピットが増大
して光沢が向上しない。このため、圧延油の粘度を5 〜
50cSt(40℃) とする。圧延油の粘度を20〜50cSt(40℃)
とすると、300m/min以上でも焼き付きもなく高光沢な鋼
板を得ることができるので好ましい。 【0011】また、本発明のロールに付与するクロス研
磨目のロール粗度を、Ra:0.04 〜 1.0μm とする理由は
次のとおりである。クロス研磨目の粗度が、Ra:0.04 μ
m 未満では、鋼板表面の平滑化が十分に行われないので
光沢を向上する効果が十分でなく、またスリップが発生
するので、Ra:0.04 μm 以上とする。一方、クロス研磨
目の粗度がRa:1.0μm を超えると、ロール粗度の転写に
よりスクラッチ欠陥が増大して、光沢が向上しないの
で、Ra:1.0μm 以下とする。クロス研磨目のロール粗度
を0.20μm 以上とすることにより、圧延速度300pmp以上
にできるので好ましい。 【0012】また、本発明で用いるロールの直径を、35
〜150mm の範囲内とする理由は次のとおりである。ロー
ルの直径が35mm未満では、圧延された鋼板の形状が平坦
とならないので、ロールの直径を35mm以上とする。ロー
ルの直径が150mm を超えると、パス回数が増加して圧延
能率が従来よりも低下するので、ロールの直径を150mm
以下とする。 【0013】以上説明した本発明の範囲でリバース圧延
することにより、表裏平均の光沢度900(Gs 20 °) 以上
のステンレス鋼板を製造でき、好ましくは、圧延速度30
0m/min以上と高速にしても高光沢を維持できるのであ
る。ここで、本発明のクロス研磨目は、小径ロールで
も、ロールバイト内の相対滑り距離が数mmになり、数μ
m のオイルピット欠陥の大きさの数百倍以上になってい
るので、連続でなくてもよい。研磨目が断続的でよいの
で、連続するスパイラルマーク状の研磨目のように、研
磨前にロール表面を鏡面仕上げする必要がなく、研磨目
を深くする必要もないので、研磨目を容易かつ効率的に
付与できる。 【0014】本発明に用いるリバース圧延機は、12段圧
延機に限らず、20段圧延機や6段圧延機でもよく、段数
に制限されない。また、本発明は、鋼板以外のアルミニ
ウムや銅等の金属板の圧延にも適用できるけれども、ス
テンレス鋼板の圧延が好適である。 【0015】 【実施例】(実施例1) 熱間圧延・焼鈍・酸洗を施し
た素材厚4.0mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を、
5スタンドからなる冷間タンデム圧延機で、圧延油の粘
度40cSt(40℃) 、濃度5.0 %、圧延速度400m/minとし
て、厚さ1.5mm までタンデム圧延した後、タンデム圧延
されたステンレス鋼板を、ロール直径:80mm以上は、12
段式リバース圧延機で、ロール直径:80mm未満は、20段
式ゼンジミア・リバース圧延機で、圧延油の粘度、ロー
ル直径、クロス研磨目のロール粗度、圧延速度およびク
ロス研磨目の適用パスを変えて、厚さ0.5mm まで6パス
でリバース圧延して、比較例(B2〜B8) 、発明例(C1 〜
C17)とした。ここで、タンデム圧延機のロール条件は、
ロール直径:600mm、ロール粗度Ra:1.0〜0.20μm( 第1
〜第5スタンド) の円周方向に平行な研磨目とし、リバ
ース圧延機のロールに付与したクロス研磨目は、傾斜角
度θ1 の平均値、傾斜角度θ2 の平均値: 45°、傾斜角
度θ1 、θ2 の標準偏差:2°とした。また、リバース圧
延での圧延油の濃度は、5.0%で一定とした。 【0016】一方、従来例は、表1の(A1)に示すよう
に、鏡面研磨されたロール( ロール粗度Ra:0.03 μm )
で、圧延油の粘度10cSt(40℃) 、圧延速度100m/min、6
パスでリバース圧延を行った。従来例では、圧延速度を
100m/minを超えて上昇させたところスリップが発生した
ので、この速度を超えると安定して圧延できなかった。
比較例と発明例の圧延状況および従来例、比較例と発明
例のリバース圧延後、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板
の光沢度(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)の測
定結果を、表1に合わせて示す。 【0017】 【表1】【0018】 【表2】【0019】この結果より、本発明例C1〜C15 は、圧延
速度300m/min以上で、本発明例C1〜C17 は圧延速度100m
/minで、安定して圧延できるとともに、表裏平均の光沢
度が900(Gs 20 °) 以上の、比較例や従来例より光沢が
良好なステンレス鋼板を製造できることがわかった。 ( 実施例2) 熱間圧延・焼鈍・酸洗を施した素材厚2.
5mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を、ロール直
径:80mmの12段式リバース圧延機で、圧延油の粘度:30c
St(40 ℃) 、クロス研磨目のロール粗度Ra:0.30(μm )
、圧延速度:400m/min として、厚さ0.8mm まで6パス
でリバース圧延し、発明例とした。ただし、クロス研磨
目を付与したロールを用いて、全パス( 6パス) の圧延
を施した。ここで、リバース圧延機のロールに付与した
クロス研磨目は、傾斜角度θ1 の平均値、傾斜角度θ2
の平均値: 45°、傾斜角度θ1 、θ2 の標準偏差:2°と
した。また、リバース圧延での圧延油の濃度は、5.0 %
とした。 【0020】一方、従来例は、鏡面研磨されたロール(
ロール粗度Ra:0.03 μm ) で、圧延油の粘度10cSt(40
℃) 、圧延速度100m/min、6パスでリバース圧延を行っ
た。従来例では、圧延速度を100m/minを超えて上昇させ
たところスリップが発生したので、この速度を超えると
安定して圧延できなかった。従来例(A1)と発明例のリバ
ース圧延後、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度
(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)の測定結果を
次に示す。 【0021】 従来例の光沢度(GS20 °) :600(表裏の平均) 発明例の光沢度(GS20 °) :920(表裏の平均) この結果より、本発明例は、圧延速度300m/min以上で安
定して圧延できるとともに、表裏平均の光沢度が900(Gs
20 °) 以上の、従来例より光沢が良好なステンレス鋼
板を製造できることがわかった。 【0022】 【発明の効果】本発明によれば、光沢の優れた金属板を
製造できる。また、スリップや焼付きが発生することな
く、安定した高速圧延とすることができるので、光沢の
優れた金属板を能率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるクロス研磨目の傾斜を概念的に
示すロール表面の一部拡大図である。
示すロール表面の一部拡大図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 小廣 善丈
千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎
製鉄株式会社 千葉製鉄所内
(72)発明者 星野 将史
千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎
製鉄株式会社 千葉製鉄所内
(56)参考文献 特開 平5−253604(JP,A)
特開 平2−169108(JP,A)
特開 平11−226607(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B21B 1/22
B21B 3/02
B21B 27/00
B21B 45/02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 金属板圧延用ロールを備えたリバース圧
延機で所定パス回数の圧延を行う金属板の冷間圧延方法
において、粘度5 〜50cSt(40℃) の範囲内の圧延油を用
いて、ロール粗度Ra: 0.04〜1.0 μm のクロス研磨目が
付与された、直径:35 〜150mm の範囲内の圧延用ロール
で、前記所定パス回数の内の少なくとも1パスの圧延を
施すことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36825998A JP3370616B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 光沢の優れた金属板の冷間圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36825998A JP3370616B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 光沢の優れた金属板の冷間圧延方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000190005A JP2000190005A (ja) | 2000-07-11 |
JP3370616B2 true JP3370616B2 (ja) | 2003-01-27 |
Family
ID=18491366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36825998A Expired - Fee Related JP3370616B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | 光沢の優れた金属板の冷間圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3370616B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP5298225B1 (ja) * | 2012-06-29 | 2013-09-25 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 圧延銅箔及びその製造方法、並びに、積層板 |
-
1998
- 1998-12-24 JP JP36825998A patent/JP3370616B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000190005A (ja) | 2000-07-11 |
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