JPH1071404A - 光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法 - Google Patents
光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法Info
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- JPH1071404A JPH1071404A JP22980396A JP22980396A JPH1071404A JP H1071404 A JPH1071404 A JP H1071404A JP 22980396 A JP22980396 A JP 22980396A JP 22980396 A JP22980396 A JP 22980396A JP H1071404 A JPH1071404 A JP H1071404A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】高光沢で光沢むらのないばね用冷間圧延鋼帯を
能率よく製造することのできるばね用ステンレス鋼帯の
製造方法を提供する。 【解決手段】ステンレス熱延鋼帯を冷間圧延し、光輝焼
鈍を行った後、ロール径が250mm以下のワークロー
ルを備えた圧延機で、40℃における粘度が15cSt
以下の圧延油原液と水からなる水中油型エマルション圧
延油を用い、300m/分以下の圧延速度で仕上げ冷間
圧延することを特徴とする光沢の良好なばね用ステンレ
ス鋼帯の製造方法。
能率よく製造することのできるばね用ステンレス鋼帯の
製造方法を提供する。 【解決手段】ステンレス熱延鋼帯を冷間圧延し、光輝焼
鈍を行った後、ロール径が250mm以下のワークロー
ルを備えた圧延機で、40℃における粘度が15cSt
以下の圧延油原液と水からなる水中油型エマルション圧
延油を用い、300m/分以下の圧延速度で仕上げ冷間
圧延することを特徴とする光沢の良好なばね用ステンレ
ス鋼帯の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高光沢度で均一な
表面光沢を有するばね用ステンレス鋼帯の製造方法に関
する。
表面光沢を有するばね用ステンレス鋼帯の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ばね用ステンレス冷間圧延鋼帯
は、熱間圧延ステンレス鋼帯に焼鈍、酸洗、疵取りを施
し、次いで冷間圧延を行い、焼鈍、酸洗もしくは光輝焼
鈍を行った後、目標とする機械的性質を付与するため
に、所定の圧下率(加工率)の仕上げ冷間圧延(「調質
圧延」と呼称する場合もある)を行って製造される。
は、熱間圧延ステンレス鋼帯に焼鈍、酸洗、疵取りを施
し、次いで冷間圧延を行い、焼鈍、酸洗もしくは光輝焼
鈍を行った後、目標とする機械的性質を付与するため
に、所定の圧下率(加工率)の仕上げ冷間圧延(「調質
圧延」と呼称する場合もある)を行って製造される。
【0003】前記機械的性質は、用途に応じて種々のレ
ベルのものが要求されるため、仕上げ冷間圧延における
圧下率も8〜70%と広い範囲にわたる。なお、1パス
で前記圧下率を得るのが困難な場合には、複数パスの仕
上圧延を行う。また、製品板厚が薄い場合には、加工硬
化が大きいため、1回(複数パス)の冷間圧延(仕上げ
圧延)では目標とする板厚が得られないので、圧延の途
中で適当な回数の焼鈍(中間焼鈍)が行われる。
ベルのものが要求されるため、仕上げ冷間圧延における
圧下率も8〜70%と広い範囲にわたる。なお、1パス
で前記圧下率を得るのが困難な場合には、複数パスの仕
上圧延を行う。また、製品板厚が薄い場合には、加工硬
化が大きいため、1回(複数パス)の冷間圧延(仕上げ
圧延)では目標とする板厚が得られないので、圧延の途
中で適当な回数の焼鈍(中間焼鈍)が行われる。
【0004】従来から、ステンレス鋼の冷間圧延には、
高光沢の鋼帯表面を得るために、圧延油として鉱油にエ
ステルや脂肪酸を添加し、40℃における粘度を7〜2
0cStに調整したニート油が用いられている。ばね用
ステンレス鋼帯の仕上げ圧延においても前記鉱油系ニー
ト油が用いられる。ところが、高光沢度の表面を得るこ
とを目的として、仕上げ圧延直前の仕上げ焼鈍を無酸化
雰囲気の光輝焼鈍装置で実施した鋼帯(光輝焼鈍材)で
は、前記鉱油系ニート油を用いて、仕上げ圧延を行う
と、鋼帯表面に圧延方向と平行に帯または線状の光沢の
異なる部分(光沢むら)が発生する。このような光沢む
らの発生した鋼帯は、美観が重視されるステンレス製品
として健全なものとは見なされず、不良品として排除さ
れるため、歩留の大幅な低下を招来する。
高光沢の鋼帯表面を得るために、圧延油として鉱油にエ
ステルや脂肪酸を添加し、40℃における粘度を7〜2
0cStに調整したニート油が用いられている。ばね用
ステンレス鋼帯の仕上げ圧延においても前記鉱油系ニー
ト油が用いられる。ところが、高光沢度の表面を得るこ
とを目的として、仕上げ圧延直前の仕上げ焼鈍を無酸化
雰囲気の光輝焼鈍装置で実施した鋼帯(光輝焼鈍材)で
は、前記鉱油系ニート油を用いて、仕上げ圧延を行う
と、鋼帯表面に圧延方向と平行に帯または線状の光沢の
異なる部分(光沢むら)が発生する。このような光沢む
らの発生した鋼帯は、美観が重視されるステンレス製品
として健全なものとは見なされず、不良品として排除さ
れるため、歩留の大幅な低下を招来する。
【0005】このため、光沢むらを軽減する手段とし
て、仕上げ圧延を100m/分以下程度の低速で行う方
法が用いられており、品種によっては30m/分以下の
極低速を必要とする場合もある。このように、鉱油系ニ
ート油を用いたばね用ステンレス鋼帯の仕上げ圧延は、
通常の冷間圧延に比較して能率が著しくわるい。
て、仕上げ圧延を100m/分以下程度の低速で行う方
法が用いられており、品種によっては30m/分以下の
極低速を必要とする場合もある。このように、鉱油系ニ
ート油を用いたばね用ステンレス鋼帯の仕上げ圧延は、
通常の冷間圧延に比較して能率が著しくわるい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高光沢で光
沢むらのないばね用冷間圧延鋼帯を効率よく製造するこ
とのできるばね用ステンレス鋼帯の製造方法を提供す
る。
沢むらのないばね用冷間圧延鋼帯を効率よく製造するこ
とのできるばね用ステンレス鋼帯の製造方法を提供す
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光輝焼鈍
を施したステンレス鋼帯の仕上げ圧延に水中油型エマル
ション圧延油を適用することに着目し、鉱油系ニート圧
延油および水中油型エマルション圧延油を用いて種々の
条件下で仕上げ圧延を行い、圧延後の鋼帯および圧延に
使用したワークロールの表面の観察を重ねた結果、以下
のような知見を得た。
を施したステンレス鋼帯の仕上げ圧延に水中油型エマル
ション圧延油を適用することに着目し、鉱油系ニート圧
延油および水中油型エマルション圧延油を用いて種々の
条件下で仕上げ圧延を行い、圧延後の鋼帯および圧延に
使用したワークロールの表面の観察を重ねた結果、以下
のような知見を得た。
【0008】(1)鉱油系ニート圧延油を用いた圧延で
は、圧下率が10〜50%の場合に光沢むらが発生し、
50%を超えると光沢むらはなくなるが、光沢度が低下
する。 (2)焼鈍−酸洗材を鉱油系ニート圧延油で圧延した場
合、ロール表面に高光沢の鋼帯表面を得るのに有効であ
る黒褐色のロールコーティングが比較的容易に生成され
るのに対し、光輝焼鈍材の表面組成が、酸洗材の表面と
異なるため、健全な黒褐色のロールコーティングが生成
されず、不均一な銀灰色のロールコーティングとなり、
それが光沢むらの原因となっている。
は、圧下率が10〜50%の場合に光沢むらが発生し、
50%を超えると光沢むらはなくなるが、光沢度が低下
する。 (2)焼鈍−酸洗材を鉱油系ニート圧延油で圧延した場
合、ロール表面に高光沢の鋼帯表面を得るのに有効であ
る黒褐色のロールコーティングが比較的容易に生成され
るのに対し、光輝焼鈍材の表面組成が、酸洗材の表面と
異なるため、健全な黒褐色のロールコーティングが生成
されず、不均一な銀灰色のロールコーティングとなり、
それが光沢むらの原因となっている。
【0009】(3)一方、エマルション圧延油を用いた
圧延では、40℃における粘度が15cSt以下の圧延
油原液と水からなる水中油型エマルション圧延油を用
い、300m/分以下の圧延速度で冷間圧延すること、
圧下率に関わりなくロール表面にロールコーティングが
生成せず、鋼帯表面は光輝焼鈍後の良好な光沢が維持さ
れ光沢むらの発生が防止できる。
圧延では、40℃における粘度が15cSt以下の圧延
油原液と水からなる水中油型エマルション圧延油を用
い、300m/分以下の圧延速度で冷間圧延すること、
圧下率に関わりなくロール表面にロールコーティングが
生成せず、鋼帯表面は光輝焼鈍後の良好な光沢が維持さ
れ光沢むらの発生が防止できる。
【0010】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、その要旨は、「ステンレス熱延鋼帯を冷間圧延し、
光輝焼鈍を行った後、ロール径が250mm以下のワー
クロールを備えた圧延機で、40℃における粘度が15
cSt以下の圧延油原液と水からなる水中油型エマルシ
ョン圧延油を用い、300m/分以下の圧延速度で仕上
げ冷間圧延することを特徴とする光沢の良好なばね用ス
テンレス鋼帯の製造方法」にある。
で、その要旨は、「ステンレス熱延鋼帯を冷間圧延し、
光輝焼鈍を行った後、ロール径が250mm以下のワー
クロールを備えた圧延機で、40℃における粘度が15
cSt以下の圧延油原液と水からなる水中油型エマルシ
ョン圧延油を用い、300m/分以下の圧延速度で仕上
げ冷間圧延することを特徴とする光沢の良好なばね用ス
テンレス鋼帯の製造方法」にある。
【0011】光沢むらが発生した鋼帯表面は、光輝焼鈍
後の良好な表面光沢がほぼそのまま維持されている部分
と、圧延によって帯または線状に鋼帯の極表層が剥ぎ取
られて光沢が鈍くなった部分とからなっている。
後の良好な表面光沢がほぼそのまま維持されている部分
と、圧延によって帯または線状に鋼帯の極表層が剥ぎ取
られて光沢が鈍くなった部分とからなっている。
【0012】一般にステンレス鋼の冷間圧延において
は、ロールと被圧延材の界面における圧力と温度が高
く、相対的なすべりも起こるため、被圧延材の極表層の
酸化物がロール表面へ移着する現象が起こる。この酸化
物がロール表面に移着したものがロールコーティングで
あり、かつ黒褐色のロールコーティングの生成が高光沢
化に有効と考えられている。
は、ロールと被圧延材の界面における圧力と温度が高
く、相対的なすべりも起こるため、被圧延材の極表層の
酸化物がロール表面へ移着する現象が起こる。この酸化
物がロール表面に移着したものがロールコーティングで
あり、かつ黒褐色のロールコーティングの生成が高光沢
化に有効と考えられている。
【0013】酸洗材では板表面の粒界溝に起因して光沢
が著しく劣り、これを冷間圧延で高光沢化するには、被
圧延材の表層の酸化物を積極的にロール表面に移着さ
せ、ロールコーティングを生成させることが必要である
が、本発明では、光輝焼鈍材を用いるので、冷間圧延前
に既に光沢が良好な状態にあるため、ロールコーティン
グを生成させる必要がなく、むしろ不均一なロールコー
ティングによる光沢むらを防止する観点からは、ロール
コーティングの発生を防止することが有効である。
が著しく劣り、これを冷間圧延で高光沢化するには、被
圧延材の表層の酸化物を積極的にロール表面に移着さ
せ、ロールコーティングを生成させることが必要である
が、本発明では、光輝焼鈍材を用いるので、冷間圧延前
に既に光沢が良好な状態にあるため、ロールコーティン
グを生成させる必要がなく、むしろ不均一なロールコー
ティングによる光沢むらを防止する観点からは、ロール
コーティングの発生を防止することが有効である。
【0014】本発明は、ロールコーティングの発生を防
止するためにロール表面と鋼帯表面間に過大とならない
範囲の適度な厚さの油膜を介在させるのであり、そのた
めにはエマルション圧延油が最適である。
止するためにロール表面と鋼帯表面間に過大とならない
範囲の適度な厚さの油膜を介在させるのであり、そのた
めにはエマルション圧延油が最適である。
【0015】エマルション油を用いて光輝焼鈍材を冷間
圧延すると、広い圧下率範囲にわたってロールコーティ
ングが発生しないのは、エマルション圧延油は、前記ニ
ート圧延油に比べて、冷却能が大きいために、ロールと
材料の界面での温度が低く、粘度が低下しないので適度
の厚さの油膜が存在することや、潤滑性に優れ、摩擦係
数が低いためと考えられる。
圧延すると、広い圧下率範囲にわたってロールコーティ
ングが発生しないのは、エマルション圧延油は、前記ニ
ート圧延油に比べて、冷却能が大きいために、ロールと
材料の界面での温度が低く、粘度が低下しないので適度
の厚さの油膜が存在することや、潤滑性に優れ、摩擦係
数が低いためと考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法における
限定理由および作用を説明する。
限定理由および作用を説明する。
【0017】1)ステンレス熱延鋼帯 本発明の製造方法が対象とするステンレス熱延鋼帯は、
通常の方法で製造されたものでよく、焼鈍を施した後、
デスケーリング、疵取りを行い、次いで冷間圧延に供す
る。
通常の方法で製造されたものでよく、焼鈍を施した後、
デスケーリング、疵取りを行い、次いで冷間圧延に供す
る。
【0018】熱延鋼帯の化学成分は、通常のばね用ステ
ンレス鋼の化学成分のものであればよく、特に限定する
ものではないが、オーステナイト系のSUS301−C
SP、SUS304−CSPなどが好適である。
ンレス鋼の化学成分のものであればよく、特に限定する
ものではないが、オーステナイト系のSUS301−C
SP、SUS304−CSPなどが好適である。
【0019】2)光輝焼鈍 仕上げ冷間圧延を行う前の冷間圧延鋼帯を焼鈍するの
は、次の仕上げ冷間圧延で所定の機械的性質を付与する
ために軟化するためであり、オーステナイト系ステンレ
スであれば、通常実施されている1100℃程度の温度
で行えばよい。
は、次の仕上げ冷間圧延で所定の機械的性質を付与する
ために軟化するためであり、オーステナイト系ステンレ
スであれば、通常実施されている1100℃程度の温度
で行えばよい。
【0020】本発明の方法では、仕上げ冷間圧延で鋼帯
表面を高光沢にするものでなく、仕上げ圧延前に光輝焼
鈍で得られた高光沢の鋼帯表面を、仕上げ冷間圧延で劣
化させることなく、そのまま維持させる方法である。し
たがって、仕上げ圧延前の段階で鋼帯表面を高光沢にし
ておくためには、焼鈍後に酸洗を必要としない光輝焼鈍
した鋼帯を用いる必要がある。また、光輝焼鈍雰囲気
は、通常の水素と窒素の混合ガスでよい。
表面を高光沢にするものでなく、仕上げ圧延前に光輝焼
鈍で得られた高光沢の鋼帯表面を、仕上げ冷間圧延で劣
化させることなく、そのまま維持させる方法である。し
たがって、仕上げ圧延前の段階で鋼帯表面を高光沢にし
ておくためには、焼鈍後に酸洗を必要としない光輝焼鈍
した鋼帯を用いる必要がある。また、光輝焼鈍雰囲気
は、通常の水素と窒素の混合ガスでよい。
【0021】3)圧延機のロール径(250mm以下) ばね用ステンレス鋼帯は、概して0.5mm 以下の薄物
が多く変形抵抗も高いため、本発明を実施する冷間圧延
機として小径ワークロールのステンレス鋼専用圧延機が
好適である。直径が250mmを超えると、圧延荷重の
増大を来たして1パス当たりの圧下率を小さくせざるを
得ないため、効率的な仕上げ冷間圧延を行うには不向き
である。また、ロール表面と鋼帯の間(以下ロールバイ
トと記す)に介在する油膜も過大となって良好な光沢が
得られ難くなるため、250mm以下とした。下限は限
定しないが、あまり直径の小さいロールを用いると、圧
延荷重により圧延中にロールが撓み、平坦な鋼帯が得ら
れなかったり、圧延効率が低下するので、50mm以上
の直径のロールが好ましい。
が多く変形抵抗も高いため、本発明を実施する冷間圧延
機として小径ワークロールのステンレス鋼専用圧延機が
好適である。直径が250mmを超えると、圧延荷重の
増大を来たして1パス当たりの圧下率を小さくせざるを
得ないため、効率的な仕上げ冷間圧延を行うには不向き
である。また、ロール表面と鋼帯の間(以下ロールバイ
トと記す)に介在する油膜も過大となって良好な光沢が
得られ難くなるため、250mm以下とした。下限は限
定しないが、あまり直径の小さいロールを用いると、圧
延荷重により圧延中にロールが撓み、平坦な鋼帯が得ら
れなかったり、圧延効率が低下するので、50mm以上
の直径のロールが好ましい。
【0022】4)水中油型エマルション圧延油 仕上げ圧延前に光輝焼鈍で得られた高光沢の鋼帯表面
を、仕上げ圧延において劣化させることなく、かつロー
ルコーティングを生成させないために、ロールバイトに
適度の厚さの油膜を介在させるとともに摩擦係数の低下
を図るために、水中油型エマルション圧延油を用いる。
を、仕上げ圧延において劣化させることなく、かつロー
ルコーティングを生成させないために、ロールバイトに
適度の厚さの油膜を介在させるとともに摩擦係数の低下
を図るために、水中油型エマルション圧延油を用いる。
【0023】40℃における圧延油原液粘度を15cS
t以下とした理由は、前記粘度が15cStを超える
と、圧延中ロールバイトに介在する油膜厚さが過大とな
って、オイルピットと称する微小凹みの量が増大し、目
標とする鋼帯表面の光沢レベルが得られなくなるためで
ある。また、下限は限定しないが、あまり低粘度になり
すぎるとロールバイトに適当な油膜厚さが得られにくく
なるため4cSt以上にするのが好ましい。
t以下とした理由は、前記粘度が15cStを超える
と、圧延中ロールバイトに介在する油膜厚さが過大とな
って、オイルピットと称する微小凹みの量が増大し、目
標とする鋼帯表面の光沢レベルが得られなくなるためで
ある。また、下限は限定しないが、あまり低粘度になり
すぎるとロールバイトに適当な油膜厚さが得られにくく
なるため4cSt以上にするのが好ましい。
【0024】また、エマルション濃度については、特に
限定しないが、通常の圧延に適用される3〜10%が望
ましい。圧延条件にもよるが、濃度が10%以上になる
と潤滑過多となって、ロール間スリップ発生の危険性が
高くなり、原単位も悪化する。また、3%以下では、潤
滑不足となって焼付き発生の危険性が高くなる。
限定しないが、通常の圧延に適用される3〜10%が望
ましい。圧延条件にもよるが、濃度が10%以上になる
と潤滑過多となって、ロール間スリップ発生の危険性が
高くなり、原単位も悪化する。また、3%以下では、潤
滑不足となって焼付き発生の危険性が高くなる。
【0025】5)圧延速度、300m/分 圧延速度を300m/分以下とするのは、300m/分
を超えた場合に、前記油膜厚さが過大となって前記オイ
ルピットが多発し、目標とする光沢レベルが得られない
ためである。光沢度の観点からは圧延速度の下限はない
が、あまり低速度にすると圧延効率が低下するので、2
00〜300m/分程度が好ましい。
を超えた場合に、前記油膜厚さが過大となって前記オイ
ルピットが多発し、目標とする光沢レベルが得られない
ためである。光沢度の観点からは圧延速度の下限はない
が、あまり低速度にすると圧延効率が低下するので、2
00〜300m/分程度が好ましい。
【0026】以下、実施例に基づき本発明の効果につい
て説明する。
て説明する。
【0027】
【実施例】表1に示す化学組成の板厚3.0mm、幅7
00mm のオーステナイト系ステンレス(SUS30
4)熱延鋼帯に、焼鈍、デスケール、酸洗、疵取りを施
し、次いでワークロール径が80mmの6段冷間圧延機
により、1回の中間焼鈍を施して冷間圧延を行った。冷
間圧延後の鋼帯の板厚は、0.48mmであった。
00mm のオーステナイト系ステンレス(SUS30
4)熱延鋼帯に、焼鈍、デスケール、酸洗、疵取りを施
し、次いでワークロール径が80mmの6段冷間圧延機
により、1回の中間焼鈍を施して冷間圧延を行った。冷
間圧延後の鋼帯の板厚は、0.48mmであった。
【0028】
【表1】
【0029】この冷延鋼帯を、竪型光輝焼鈍炉により、
水素75%、窒素25%の雰囲気で、1100℃の光輝
焼鈍を施した。光輝焼鈍後に得られた鋼帯表面の圧延方
向と平行な方向の光沢度は、JISZ8741に定める
方法の入射角60゜で測定した値で493であった。
水素75%、窒素25%の雰囲気で、1100℃の光輝
焼鈍を施した。光輝焼鈍後に得られた鋼帯表面の圧延方
向と平行な方向の光沢度は、JISZ8741に定める
方法の入射角60゜で測定した値で493であった。
【0030】次いで、ワークロール径が130mmの6
段冷間圧延機において、この光輝焼鈍した鋼帯を、表2
に示す圧延油を用いて、表3または表4に示す条件で仕
上げ冷間圧延した。
段冷間圧延機において、この光輝焼鈍した鋼帯を、表2
に示す圧延油を用いて、表3または表4に示す条件で仕
上げ冷間圧延した。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】圧延油は、比較のために用いた従来の鉱油
系ニート油を含め4種類であり、油温は、ニート油で4
0℃、エマルション油で50℃とした。また、使用した
ワークロールの表面粗さは、中心線平均粗さRaで0.
10μmであった。
系ニート油を含め4種類であり、油温は、ニート油で4
0℃、エマルション油で50℃とした。また、使用した
ワークロールの表面粗さは、中心線平均粗さRaで0.
10μmであった。
【0035】冷間圧延した鋼帯を脱脂洗浄した後、表面
の圧延方向と平行な方向の光沢度の測定と目視による光
沢むらの評価を行った。光沢度は、JISZ8741に
定める方法の入射角60度で測定した。
の圧延方向と平行な方向の光沢度の測定と目視による光
沢むらの評価を行った。光沢度は、JISZ8741に
定める方法の入射角60度で測定した。
【0036】脱脂洗浄後の鋼帯表面の光沢度測定結果を
表3に、目視による光沢むらの評価結果を表4に示す。
表3に、目視による光沢むらの評価結果を表4に示す。
【0037】表3および表4に示すように、従来の鉱油
系ニート油で冷間圧延した場合、圧下率が10%以下で
あれば、光輝焼鈍後の良好な表面光沢がほぼそのまま維
持され、ロールコーティングの生成も抑制されるため、
光沢むらの発生もない。しかし、圧下率が10%を超え
ると不均一なロールコーティングが生成しはじめ、50
%までの圧下率範囲の圧延では前記ロールコーティング
の不均一性が解消せず、したがって鋼帯表面には、明瞭
な光沢むらが発生した。さらに、圧下率が50%を超え
る圧延では、ロールコーティングが板幅相当部の全長に
亘って生成することによって、幅方向の不均一性が解消
され、したがって鋼帯表面には光沢むらが発生しなかっ
た。
系ニート油で冷間圧延した場合、圧下率が10%以下で
あれば、光輝焼鈍後の良好な表面光沢がほぼそのまま維
持され、ロールコーティングの生成も抑制されるため、
光沢むらの発生もない。しかし、圧下率が10%を超え
ると不均一なロールコーティングが生成しはじめ、50
%までの圧下率範囲の圧延では前記ロールコーティング
の不均一性が解消せず、したがって鋼帯表面には、明瞭
な光沢むらが発生した。さらに、圧下率が50%を超え
る圧延では、ロールコーティングが板幅相当部の全長に
亘って生成することによって、幅方向の不均一性が解消
され、したがって鋼帯表面には光沢むらが発生しなかっ
た。
【0038】なお、生成したロールコーティングは銀灰
色で、55%の圧下率で圧延した鋼帯表面の光沢はむら
はないが、やや鈍かった。
色で、55%の圧下率で圧延した鋼帯表面の光沢はむら
はないが、やや鈍かった。
【0039】これに対し、表2に示したいずれのエマル
ション油で冷間圧延した場合も、圧下率の大小によら
ず、ロールコーティングの生成がないか、もしくは極め
て薄く、したがって光沢むらの発生はなかった。しかし
ながら、比較法として行った40℃での原液粘度が18
cStのエマルション油を用いた圧延では、圧延後鋼帯
表面の目標とする光沢度480以上が得られず、目視の
光沢も不良であった。また、本発明法によるところの4
0℃での原液粘度が15cSt以下のエマルションを用
いても、圧延速度を320m/分まで増加すると、鋼帯
表面の光沢は前記目標光沢度480以上とならず、不良
と判定された。
ション油で冷間圧延した場合も、圧下率の大小によら
ず、ロールコーティングの生成がないか、もしくは極め
て薄く、したがって光沢むらの発生はなかった。しかし
ながら、比較法として行った40℃での原液粘度が18
cStのエマルション油を用いた圧延では、圧延後鋼帯
表面の目標とする光沢度480以上が得られず、目視の
光沢も不良であった。また、本発明法によるところの4
0℃での原液粘度が15cSt以下のエマルションを用
いても、圧延速度を320m/分まで増加すると、鋼帯
表面の光沢は前記目標光沢度480以上とならず、不良
と判定された。
【0040】40℃での原液粘度が15cSt以下のエ
マルション圧延油を用いて、300m/分以下の速度で
仕上げ圧延を行った場合には、鋼帯表面には光沢むらの
発生がなく、光沢も良好であった。
マルション圧延油を用いて、300m/分以下の速度で
仕上げ圧延を行った場合には、鋼帯表面には光沢むらの
発生がなく、光沢も良好であった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、仕上げ焼鈍として光輝
焼鈍を行い、仕上げ冷間圧延においてエマルション圧延
油を用い、不均一なロールコーティングの生成を防止す
ることによって、鋼帯表面に発生する光沢むらを防止
し、高光沢の表面を有するばね用ステンレス鋼帯を容易
に得ることができる。
焼鈍を行い、仕上げ冷間圧延においてエマルション圧延
油を用い、不均一なロールコーティングの生成を防止す
ることによって、鋼帯表面に発生する光沢むらを防止
し、高光沢の表面を有するばね用ステンレス鋼帯を容易
に得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C10M 173/00 101:02) C10N 20:02 40:24
Claims (1)
- 【請求項1】ステンレス熱延鋼帯を冷間圧延し、光輝焼
鈍を行った後、ロール径が250mm以下のワークロー
ルを備えた圧延機で、40℃における粘度が15cSt
以下の圧延油原液と水からなる水中油型エマルション圧
延油を用い、300m/分以下の圧延速度で仕上げ冷間
圧延することを特徴とする光沢の良好なばね用ステンレ
ス鋼帯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22980396A JPH1071404A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22980396A JPH1071404A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1071404A true JPH1071404A (ja) | 1998-03-17 |
Family
ID=16897919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22980396A Pending JPH1071404A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | 光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1071404A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000026878A (ja) * | 1998-07-07 | 2000-01-25 | Kyodo Yushi Co Ltd | ステンレス鋼板用水溶性冷間圧延油剤及び圧延方法 |
JP2010089111A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Jfe Steel Corp | 冷延鋼板の製造方法および製造設備 |
CN105032957A (zh) * | 2015-08-12 | 2015-11-11 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种消除铬钢表面纵向轧制色差的方法 |
-
1996
- 1996-08-30 JP JP22980396A patent/JPH1071404A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000026878A (ja) * | 1998-07-07 | 2000-01-25 | Kyodo Yushi Co Ltd | ステンレス鋼板用水溶性冷間圧延油剤及び圧延方法 |
JP2010089111A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Jfe Steel Corp | 冷延鋼板の製造方法および製造設備 |
CN105032957A (zh) * | 2015-08-12 | 2015-11-11 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种消除铬钢表面纵向轧制色差的方法 |
CN105032957B (zh) * | 2015-08-12 | 2017-04-26 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种消除铬钢表面纵向轧制色差的方法 |
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