JP3317234B2 - オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法

Info

Publication number
JP3317234B2
JP3317234B2 JP04381598A JP4381598A JP3317234B2 JP 3317234 B2 JP3317234 B2 JP 3317234B2 JP 04381598 A JP04381598 A JP 04381598A JP 4381598 A JP4381598 A JP 4381598A JP 3317234 B2 JP3317234 B2 JP 3317234B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
steel sheet
oil
temperature
pass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP04381598A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11239807A (ja
Inventor
秀男 山本
哲 松下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP04381598A priority Critical patent/JP3317234B2/ja
Publication of JPH11239807A publication Critical patent/JPH11239807A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3317234B2 publication Critical patent/JP3317234B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーステナイト系
ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法に係わり、さらに詳
しくは、圧延中の耳割れ、チャタマークの発生を防止す
ることができ、かつ高能率で良好な鋼板表面品質が得ら
れるオーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ステンレス熱延鋼板の冷間圧延
では、圧延された製品の表面光沢度が高いことが要求さ
れる。ステンレス鋼は変形抵抗が高く、加工硬化し易い
ため、ロールバイト内への圧延油の導入量が少なく、高
い圧延圧力が得られる小径ワークロールのセンジミアミ
ルが使用されていた。この圧延では低粘度の鉱油を基油
とした不水溶性圧延油(以下、ニート油)、あるいはこ
れをエマルション化した圧延油が使用されていた。
【0003】しかし、センジミアミルは圧延ロールが2
0段にもなり圧延機の構造が複雑で、かつロール径が5
0〜80mmと小径であるため圧延速度が制約され、生
産性が低いという問題があった。
【0004】そこで近年、生産性を向上させるためにロ
ール径が大きいタンデムミルでの高光沢圧延が試みられ
るようになった。
【0005】特開平2−110195号公報には、低粘
度圧延油を使用したタンデムミルによる圧延方法が開示
されている。また、特開平4−118101号公報には
高粘度で油粒子が細粒の水中油型エマルション油(以
下、単にエマルション油と記す)を用いてた圧延方法が
開示されている。しかし、これらの方法によれば圧延能
率は向上するが、圧延材表面に発生するオイルピットの
占める面積が多くなり光沢度が低下し、センジミアミル
でニート油を用いて圧延した場合と同様の高光沢度を得
ることはできない。
【0006】最近では、構造が簡便でかつ形状制御機能
のよい、圧延ロールが12段のクラスターミル(ロール
径:80〜120mm)や6段のUCミルが開発され、
600m/分以上の高速圧延が試みられている。これら
の圧延で鉱油系のニート油を使用した場合には、冷却能
および潤滑性に欠け焼付き疵の発生、さらには破断事故
時の圧延油への着火等の問題があった。
【0007】また、高潤滑性の圧延油を用いると圧延ロ
ールと被圧延材との間(以下ロールバイトと記す)に導
入される油量が増加し、光沢度の低下が問題となる。一
方、エマルション油の場合は、着火事故の恐れはなくな
るが、冷却能が増すためニート油よりロールバイトでの
圧延油粘度が高くなり、油膜が厚くなってオイルピット
発生面積が増加し、十分な光沢度が得られない。また、
エマルション油の鋼板やロールへの付着の不均一、およ
び摩耗粉がエマルション油中に取り込まれた粘凋なスカ
ムの部分的付着による油模様の発生等の問題があった。
【0008】オーステナイト系ステンレス鋼板の圧延で
は、圧延により加工誘起マルテンサイトが生成して加工
硬化し、さらに圧延を難しくしている。この加工誘起マ
ルテンサイトは低温ほど発生し易いことが知られてい
る。
【0009】特開昭64−21013号公報には、初期
パスの鋼板温度を50〜250℃に高めて圧延する方法
が開示されており、また特公平6−6206号公報には
圧延前に短時間で鋼板温度を100℃前後に均一に高め
る方法が示されている。
【0010】しかし、これらの方法では、鋼板は比較的
高い温度であるので圧延油により圧延開始直前で冷却さ
れ降温幅が大きくなり、所定の温度にするのが困難であ
る。特に、エマルション油を使用した場合には、冷却能
の違いからニート油圧延時より鋼板温度が20〜30℃
低くなる。また、圧延油温度を高めて使用することが考
えられるが、中間パスで焼付きが発生するなどの問題が
あった。
【0011】さらに、オーステナイト系ステンレス鋼の
圧延では、フェライト系ステンレス鋼に比べ耳割れが生
じ易く、またチャタマークが発生し易いという問題があ
った。これらの問題は、ニート油圧延に比べエマルショ
ン油圧延で発生し易いが、ニート油圧延時においても総
圧下率が約50%を超えると耳割れがエッジ部に発生す
る。耳割れは板破断の原因になるため、張力を下げ、軽
圧下率で圧延することが必要となるので圧延パス回数が
増え圧延能率が低下する。エマルション油で圧延する場
合は、鋼板が冷却される度合いが大きいため、耳割れが
内部まで及びチャタマークも発生する。特に、リバース
式圧延機においては各圧延パスで圧延速度の加減速部の
鋼板が冷却過剰となり、耳割れ、チャタマークの発生が
著しい。チャタリングが発生すると圧延は不安定とな
り、鋼板表面に鋼板の幅方向に板厚の約2倍程度のチャ
ターマークが発生して表面品質が低下する。また、チャ
タマークが著しくなると鋼板が破断して圧延が中断され
る。チャタマークは、耳割れと同様に総圧下率が50%
以上、1パス圧下率が15%以上および圧延速度が30
0m/分以上の圧延条件になると発生する。したがっ
て、その対策としては、軽圧下あるいは低速圧延を採用
しなければならないので、圧延能率が著しく低下する。
【0012】チャタマークの原因については潤滑状態に
起因する説、機械的な原因とする説など諸説があるが未
だ解明されていない。しかし、チャタマークが著しくな
ると圧延材が破断して圧延ができなくなるため、この原
因を究明し、防止することがオーステナイト系のステン
レス鋼を安定して高速圧延する上での最大の課題であ
る。
【0013】以上のようにオーステナイト系ステンレス
鋼の冷間圧延においては、光沢度の維持に加え、耳割
れ、チャタマークなどの発生を防止しなければならない
ので、300m/分以上の高速で高能率に圧延すること
ができないのが現状であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、オー
ステナイト系ステンレス鋼を高速で冷間圧延する場合に
発生する、圧延荷重の変動、耳割れ、チャタマークおよ
び板破断等を防止することができ、高光沢性、表面性状
に優れた鋼板を得ることができる熱延鋼板の冷間圧延方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】オーステナイト系ステン
レス鋼板の冷間圧延方法に係わる本発明の要旨は以下の
通りである。
【0016】「総圧下率50%以上、各パスの圧下率1
5%以上でオーステナイト系ステンレス熱延鋼板を冷間
圧延する方法であって、第1パスの入側での鋼板温度を
25℃以上、50℃未満の温度範囲とすることにより、
冷間圧延時の鋼板の耳割れおよびチャタマークの発生を
防止することを特徴とするオーステナイト系ステンレス
熱延鋼板の冷間圧延方法」。
【0017】ここで、圧延機の入側での鋼板温度とは、
第1パスの入り側で圧延油が鋼板に塗布される直前の鋼
板温度をいう。また、当然のことながら鋼板温度が25
度未満の場合に本発明の冷間圧延方法を適用する。
【0018】本発明者らは、リバース圧延での圧延速度
の加減速部における荷重変動、チャタマーク、板破断を
防止するため、圧延油としてエマルション油を使用し
て、リバース式圧延機で300m/分以上の高圧延速度
でオーステナイト系ステンレス鋼の圧延試験を繰り返
し、検討した結果次のような知見を得るに至った。
【0019】(a)圧延機の駆動系の振動は、100〜
200Hzの低周波であるのに対し、チャタマーク発生
時に鋼帯の振動は、数キロHzにもなることがあり、圧
延機の振動が、直接チャタマークの発生原因とはなって
いない。
【0020】(b)耳割れは、鋼板エッジで鋼板表面か
ら45〜50゜傾斜し、鋸切り歯状に連続しており、剪
断変形から派生する現象である。
【0021】(c)チャタマークは、鋼板表面から肉厚
方向に45〜50゜傾斜して連続して発生する剪断変形
が鋼板表面に至った痕跡である。
【0022】(d)チャタマークは、周期的な剪断変形
による塑性変形の不均一に起因する現象で、圧延時の鋼
帯の温度に大きく影響している。
【0023】(e)チャターマークは、総圧下率が50
%を超え、1パスの圧下率が15%以上となる条件で発
生し、第1パスの入側での鋼板温度が25℃未満の場合
顕著となる。
【0024】(f)したがって、第1パスの鋼板温度を
25℃以上とすると、耳割れとチャタマークは実用上問
題とならない程度まで軽減する。
【0025】(g)また、第1パスの鋼板温度を50℃
以上にすると、4〜6パス目の中間圧延パスにおける鋼
板温度が150℃以上となり、焼付き疵や光沢むらが発
生する。
【0026】図1は、SUS304の冷間圧延で発生し
たチャタマークの平面外観図である。
【0027】図2は、SUS304の冷延鋼のチャタマ
ーク発生部の縦断面を顕微鏡でみた状態を示す。
【0028】図2に示されるように、剪断変形は鋼板表
面から肉厚方向に45〜50゜傾斜して連続して発生し
ており、その剪断変形が鋼板表面に至ったところにチャ
タマークが発生している。
【0029】図3は、SUS304の鋼板を総圧下率5
9%で圧延した際に鋼板のエッジに発生した耳割れ部を
顕微鏡で見た図である。図3(a)は鋼板エッジ部のに
側面図、図3(b)は同(a)の下面の平面図である。
【0030】図3(a)から明らかなように、耳割れA
は鋼板表面から肉厚方向に45〜50゜傾斜して連続し
て発生した剪断変形と同じ形で発生している。また、図
3(b)が示しているように、チャタマークBは剪断変
形が鋼板表面に達した所に発生している。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の冷間圧延における
実施の形態について説明する。
【0032】(1)オーステナイト系ステンレス熱延鋼
板 本発明の冷間圧延方法は、熱間圧延されたオーステナイ
ト系ステンレス鋼板が対象となり、18%Cr−8%N
iを基本とするSUS301、302、303304を
代表的なステンレス鋼としてあげることができる。
【0033】熱延鋼板は、通常の温度(1000〜11
50℃)で軟化焼鈍され、次いで鋼板表面の酸化スケー
ルがメカニカルデスケーリング、酸洗等により除去さ
れ、冷間圧延に供される。
【0034】(2)第1パス入り側での鋼板温度 第1パス入側での鋼板温度とは、前記したように第1パ
スの入り側で圧延油が鋼板に塗布される直前の鋼板温度
をいう。圧延油は通常40〜50℃に加熱された状態で
使用されるので、鋼板温度が圧延油の温度以下であれば
圧延油が鋼板に塗布されると鋼板温度は上昇する。
【0035】第1パス入り側での鋼板温度が25℃未満
では、加工誘起マルテンサイトが10%以上生成し、チ
ャタマークが発生するので、下限温度を25℃とした。
一方50℃以上になると圧延中に鋼板温度が高くなり過
ぎ、焼き付き疵が発生したり下記する理由で光沢むらの
原因となるので50℃未満とする必要がある。
【0036】特にエマルション油を使用して圧延する場
合、鋼板温度が高くなるとエマルション中の油粒子の鋼
板への付着がミクロ的に不均一になり易く、油粒子が多
く付着した部分と少ない部分が圧延後に光沢むらとな
る。第1パスの入側鋼板温度が50℃以上となると、そ
の後の圧延パスでの鋼板温度は従来法による圧延の場合
より20〜30℃高い150〜160℃と高くなり光沢
むらが助長される。また、鋼板温度が高くなると、圧下
量の大きい中間パスの4〜6パスでは、油粒子の付着が
少ない部分を起点として焼付き疵が発生する。
【0037】第1パス入り側での鋼板温度を25以上、
50℃未満の温度範囲にするために、鋼板を加熱しても
よいが、新たに加熱装置を必要としない下記する方法に
よるのが好ましい。
【0038】熱延鋼板の焼鈍後の酸洗工程、および酸洗
後の鋼板表面に欠陥がある場合における欠陥除去のため
の研削工程等の各工程を出る際の鋼板温度は、50〜7
0℃と高い温度になっている。酸洗では50〜60℃に
保温されている酸浴に鋼板が浸漬されて昇温され、さら
にスケール除去時の化学反応熱により鋼板温度は浴温と
同等以上になる。また、研磨される場合は、鋼板表面が
ベルト研磨布により数μm程度研磨除去されるが、この
際の摩擦熱で鋼板温度が上昇する。
【0039】したがって、この鋼板温度が低下しない間
に冷間圧延を実施すればよい。前記酸洗工程または研削
工程を経た熱延鋼板は、通常幅1m前後で重量が10〜
15トンの大きなコイルとして巻き取られるため、外気
温が低い冬季においても25℃以下に下がるまでに7〜
8時間の時間がある。したがって、この間に圧延を開始
すればよく、生産管理を十分行えば比較的容易に実現で
きる。
【0040】なお、気温が25℃以上ある場合は鋼板の
温度も25℃以上になっているので、特に鋼板の温度調
整をする必要はない。
【0041】(3)各パスの圧下率が15%以上、総圧
下率が50%以上での圧延 オーステナイト系ステンレス鋼板の冷間圧延では、耳割
れやチャタマークは総圧下率が50%を超え、かつ1パ
スの圧下率が15%以上になると発生する。したがっ
て、本発明の冷間圧延方法は前記欠陥が発生する各パス
の圧下率が15%以上、総圧下率が50%以上の高能率
の冷間圧延において有効である。耳割れ、およびチャタ
マークの発生を防止する効果をより確実なものとするた
め、第1パスの圧下率を20%以上とし第1パスでの圧
延による加工熱の利用により2パス目の鋼板温度を65
℃以上にするのが好ましい。これはマルテンサイトの生
成は第1パスだけでなく、鋼板温度が低いと2パス目で
も多くなるからであり、65℃以上ではマルテンサイト
生成量が10%以下となる。
【0042】次に、冷間圧延に使用する圧延油について
以下に説明する。
【0043】使用する圧延油が水中油型のエマルション
油の場合は、ニート油に比べ冷却能が大きいため、圧延
により上昇した鋼板温度を下げてしまう。そのため、従
来の圧延方法ではマルテンサイトが生成し難い温度であ
る80℃以上には上昇していなかった。しかし、入側鋼
板温度を25℃以上とすることによりエマルション油を
用いても鋼板温度が80℃以上となり、耳割れ、チャタ
マークの発生を抑制することができる。
【0044】また、ニート油を使用する場合は、冷却能
が低いので第1パスの入り側鋼板温度をあまり高くする
のは好ましくなく、上限を40℃程度とし、加工熱を抑
制するために圧下率も2パス目以降は15〜20%程度
と比較的低くするのが好ましい。
【0045】次に、使用するニート油およびエマルショ
ン油等の圧延油の組成および性状について説明する。
【0046】本発明の冷間圧延に使用する圧延油の組成
および性状については特に限定しないが、以下のものが
使用できる。
【0047】エマルション油の原油は低粘度の鉱油、合
成炭化水素等を基油とし、これに合成エステル類を添加
したものである。例えば、ラウリル酸、パルミチン酸等
炭素数が10〜18の何れかの脂肪酸と炭素数が1〜1
8の何れかのアルコールとのモノエステルである。ま
た、前述の脂肪酸とトリメチロールプロパン等の多価ア
ルコールとのモノエステル、ジエステルおよびトリエス
テルのうちの1種以上である。さらに、アジピン酸等の
二塩基酸と前述のアルコールとのジエステルなどがあげ
られる。上記合成エステルの配合量は、エマルション油
原油全体としての鹸化価で50〜120mgKOH/g
の範囲になるようにすることが好ましい。原油の好適な
粘度範囲は40℃で7cSt〜15cStである。ま
た、水中に分散させる際の濃度は5〜20%が好まし
く、油粒子の平均径は1.5〜5μmの範囲が好まし
い。なお、使用する際の圧延油温度は40〜50℃とす
るのが好ましい。
【0048】本発明の冷間圧延方法は、オーステナイト
系ステンレス鋼板を300m/分以上の高速度で冷間圧
延する際に必要とする圧延方法であり、特に圧延油と水
からなる水中油型エマルション油を使用して、リバース
式圧延機で圧延する際に有効である。
【0049】
【実施例】実施例により、本発明の効果について説明す
る。
【0050】直径が100mm、表面粗さがRa0.1
3μmであり、材質がSKD11のワークロールと直径
が350mmのバックアップロールを備えた4Hiリバ
ース式圧延機を用い、以下に示す条件で冷間圧延をおこ
なった。
【0051】被圧延材として表1に示すオーステナイト
系ステンレス熱延鋼板を用意し、表2および表3に示す
圧延条件で9パスの圧延を実施した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】圧延油は表4に示す組成、性状のものを用
いた。圧延条件と圧延油の組み合わせを表5〜表7に示
す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】総圧下率:43〜49%の圧延パス(表2
の*印のパス)後と総圧下率:59〜64%の圧延パス
(表2の**印のパス)後の鋼板について、定常圧延部
とコイル先後端との圧延荷重変化量、耳割れの発生程
度、チャタマークのエッジからの発生幅(鋼板幅方向の
長さ)を測定すると共に、磁力式フェライトメーターに
よるマルテンサイト量を測定した。
【0061】さらに、総圧下率:59〜64%の圧延パ
ス後の鋼板について、表面の光沢むらおよび焼付き疵発
生状況を観察した。また、最終の9パスまでの圧延にお
ける板破断の有無と発生パスを下記の基準で判定した。
これらの結果を表5〜表7に示す。
【0062】 (圧延荷重変化) ○:10%未満の増加 □:15%未満の増加(許容範囲内) ▲:20%以上増加 (耳割れ深さの程) ○:発生無し □:軽微な発生(許容範囲内) ▲:著しい発生(不良) (光沢むらの程度) ○:確認できない □:僅かであり品質上問題ない ▲:顕著で品質不適 (焼付き疵の程度) ○:発生無し □:軽微な発生(許容範囲内) ▲:著しい発生(不良) (板破断の有無) ○:発生無し ▲:発生 これらの表から明らかなように、本発明の圧延方法では
総圧下率が50%を超えたパスにおいても加工誘起マル
テンサイト量が10%未満となり、定常圧延部とコイル
先後端との圧延荷重変化量が15%未満と小さく、耳割
れの発生程度が無しか軽微で、チャタマークのエッジか
らの発生幅は3mm以内であった。また、表面の光沢む
らおよび焼付き疵発生状況は軽微で、最終の9パスまで
の圧延において板破断の発生はなかった。
【0063】それに対し、入側鋼板温度が25℃未満の
比較例では加工誘起マルテンサイト量が10%以上で、
定常圧延部とコイル先後端との圧延荷重変化量が20%
以上となり、耳割れの発生程度が著しかった。チャタマ
ークについては各パスの圧下率が15%を超えるIII、I
V、Vの圧下率条件では、エッジからの発生幅は5mm以
上で、最終の9パスまでの圧延に至らない内に板破断が
生じた。圧下率条件がI、IIの場合は耳割れやチャタマ
ークの幅の程度は小さく、板破断には至らなかったが荷
重変化が大きかった。また、板厚0.68mm(総圧下
率74%)までの圧延に9パスあるいは8パスを必要と
し、能率が低い。圧下率がIVの条件でも圧延速度を1
(250m/分)とすれば(比較例7)、耳割れやチャ
タマークの幅の程度は小さく、板破断には至らないが荷
重変化が大きく、速度が遅いため、能率が低い。
【0064】本発明の圧延方法のように入側鋼板温度を
25℃以上とし、かつ初期パスの圧下率を20%以上と
することにより(実施例9から16)、5パスあるいは
6パスで圧延でき、かつ高速圧延が可能で高能率化が図
れる。なお、本発明の中でも、入側鋼板温度が50℃を
超えると軽度ではあるが光沢むらや焼付き疵が発生する
ため、入側鋼板温度の最適な温度範囲は25℃以上、5
0℃以下であることが分る。
【0065】
【発明の効果】本発明の冷間圧延方法によれば、オース
テナイト系ステンレス鋼の冷間圧延において、耳割れの
発生、圧延荷重の変動、チャタマーク、板破断を防止す
ることができ、圧延の安定化、高能率圧延ができる。特
に、リバース式圧延機を用いた外気温が低く、入側鋼板
温度が低くなる冬季において、エマルション油を使用
し、300m/分以上の高圧延速度で圧延しても、加減
速部における荷重変動、チャタマーク、板破断の防止が
でき圧延を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SUS304冷延鋼板の表面に発生したチャタ
マークと呼ばれる表面欠陥の平面外観図である。
【図2】チャターマークの発生したSUS304冷延鋼
板の縦断面を示す図である。
【図3】SUS304冷延鋼板のエッジに発生した耳割
れとチャタマークを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 3/02 B21B 1/00 - 1/46 C21D 8/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】総圧下率50%以上、各パスの圧下率15
    %以上でオーステナイト系ステンレス熱延鋼板を冷間圧
    延する方法であって、第1パスの入側での鋼板温度を2
    5℃以上、50℃未満の温度範囲とすることにより、冷
    間圧延時の鋼板の耳割れおよびチャタマークの発生を防
    止することを特徴とするオーステナイト系ステンレス熱
    延鋼板の冷間圧延方法。
JP04381598A 1998-02-25 1998-02-25 オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法 Expired - Lifetime JP3317234B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04381598A JP3317234B2 (ja) 1998-02-25 1998-02-25 オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04381598A JP3317234B2 (ja) 1998-02-25 1998-02-25 オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11239807A JPH11239807A (ja) 1999-09-07
JP3317234B2 true JP3317234B2 (ja) 2002-08-26

Family

ID=12674252

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04381598A Expired - Lifetime JP3317234B2 (ja) 1998-02-25 1998-02-25 オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3317234B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2507562B2 (ja) * 1988-10-19 1996-06-12 協同油脂株式会社 冷間圧延油剤
JPH06339702A (ja) * 1993-05-31 1994-12-13 Nippon Steel Corp 耳割れを防止したステンレス鋼板の冷間圧延法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11239807A (ja) 1999-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0387361A1 (en) Production method of stainless thin steel sheet having excellent surface luster and high corrosion resistance
JP3317234B2 (ja) オーステナイト系ステンレス熱延鋼板の冷間圧延方法
JP3815075B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板の冷間圧延方法
JPS643562B2 (ja)
JP3575175B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼帯の冷間圧延方法
JP3557899B2 (ja) ステンレス鋼板の冷間圧延方法
JP4256531B2 (ja) 冷間圧延方法
JP3129228B2 (ja) ステンレス鋼板の冷間圧延方法
JPH1071404A (ja) 光沢の良好なばね用ステンレス鋼帯の製造方法
JP4830888B2 (ja) 金属板の冷間圧延方法および冷間タンデム圧延機
JP3090032B2 (ja) ステンレス鋼帯の冷間圧延方法
JP2008194721A (ja) 金属板の冷間圧延方法
JP4305814B2 (ja) 高光沢冷延鋼板の製造方法
JP2642571B2 (ja) 高光沢ステンレス鋼板及びその製造方法
JP4212684B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板の冷間圧延方法及びチャタマーク発生防止方法
JPH11156405A (ja) ステンレス鋼板の冷間圧延方法
JP3562084B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JPH0222117B2 (ja)
JPH09103803A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板の温間圧延方法
JP5239694B2 (ja) 冷間圧延機列、冷間圧延ライン、金属板の冷間圧延方法、ならびに、冷延金属板の製造方法
JP2898824B2 (ja) 高光沢度金属板の製造方法
JPH11226607A (ja) ステンレス鋼板の冷間圧延方法
JP5463640B2 (ja) 冷間圧延ライン
JPH0156126B2 (ja)
JPH0578690A (ja) ステンレス薄鋼帯の冷間圧延方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090614

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100614

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100614

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110614

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110614

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120614

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130614

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130614

Year of fee payment: 11

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130614

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term