JPH11156405A - ステンレス鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents
ステンレス鋼板の冷間圧延方法Info
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- JPH11156405A JPH11156405A JP33037797A JP33037797A JPH11156405A JP H11156405 A JPH11156405 A JP H11156405A JP 33037797 A JP33037797 A JP 33037797A JP 33037797 A JP33037797 A JP 33037797A JP H11156405 A JPH11156405 A JP H11156405A
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Abstract
を、600mpm以上の高い圧延速度で圧延しても、巻き疵、
ロール押込み疵、光沢むら、焼付き等のない表面品位と
することができ、特にフェライト系ステンレス鋼の場
合、Gs60°で400以上の光沢度が得られる冷間圧延方法
を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼板をロール径50mm以上120
mm以下の小径ワークロールを有したリバース式圧延機で
エマルション油を使用して冷間圧延するに際し、少なく
とも1つのパス後の巻取り時に、6cSt 以上20cSt 未満
の粘度の圧延油原液を鋼板に供給する。圧延入側では鋼
板へのエマルション油の供給は行わず、ロールのみと
し、出側ではロールおよび鋼板に供給するようにしても
よい。また、エマルション油の使用濃度が5vol%以下、
平均粒径が5μm以下としてもよい。
Description
油を使用するステンレス鋼板の冷間圧延方法であって、
特に表面品質を損なうことがなく、かつ高能率に圧延す
ることを可能にするステンレス鋼板の冷間圧延方法に関
する。
された製品の表面光沢が高いことが要求される。しか
し、ステンレス鋼板はその変形抵抗が高く、加工硬化し
易いことから、そのような鋼板の圧延には圧延油の導入
量が少なく、高い圧延圧力が得られる小径ワークロール
のセンジミアミルが使用されていた。そして、それに使
用する圧延油は、低粘度の鉱油を基油とした不水溶性圧
延油 (以下、ニート油) 、あるいはこれをエマルション
化した圧延油 (エマルション圧延油、あるいは単にエマ
ルション油とも云う) であった。しかし、センジミアミ
ルは圧延ロールが20段と圧延機の構造が複雑でかつロー
ル径が50〜80mmと小径であるため圧延速度が制約され、
生産性が低いという問題があった。
ール径が大きいタンデムミルでの高光沢圧延が試みら
れ、特開昭2−110195号公報、特開平5−305326号公報
に示すような低粘度圧延油の使用、特開平4−118101号
公報、特開昭5−78690 号公報に示すような高粘度油の
細粒径エマルション圧延油を用いた圧延が行われてき
た。
報には、冷間圧延の前の工程もしくは圧延機入側で粘度
5cSt 以下の液体を鋼板に塗布し、第1パス以降は粘度
5cSt 以上の液体を鋼板に用いることが開示されてい
る。
レス鋼板の焼付けと表面あれとを防止する冷間圧延法と
して、粘度80 cSt/40 ℃以上の高粘度の圧延原液を使用
することが開示されている。
度4 〜15cSt/50℃(5〜18cSt/40℃に相当) の圧延油を用
いて冷間圧延することが開示されている。確かに、その
ような手段によって圧延能率の向上が図られるようにな
ったが、依然センジミアミルでニート油を用いて圧延し
た際と同様の高光沢度を得ることはできない。
御機能の良い、圧延ロールが12段のクラスターミル (ロ
ール径:80〜120 mm) 、同じく6段のUCミルが開発さ
れ、600mpm以上の高速圧延が試みられている。そのよう
な高速圧延に用いる圧延油として鉱油系のニート油を使
用した場合には、冷却性不足および潤滑性不足から焼付
き疵の発生、さらには破断事故時に圧延油に着火する等
の問題があった。また高潤滑性とした場合においては圧
延ロールと圧延材との間 (ロールバイト) に導入される
油量が増し、光沢性の低下が問題となる。
事故の恐れは解決するが、冷却性が増すため、ニート油
よりロールバイトでの圧延油粘度が高くなり、油膜が厚
くなって十分な光沢性が得られないばかりか、エマルシ
ョン油の鋼板やロールへの付着の不均一、および摩耗粉
がエマルション中に取り込まれて生じる粘凋なスカムの
部分的付着による油模様が発生する等の問題があった。
また、エマルション圧延油で圧延した鋼板はニート油圧
延の場合に比べ、表面に付着した摩耗分の量が多く、圧
延油に混じり合って粘度を高め、油膜厚の増大につなが
っていた。
付着する油量が多く、コイル巻取り時に高い張力で巻か
れても、巻き疵の発生がないが、エマルション圧延油の
場合は油量が少ない上に摩耗粉量が多く、巻き疵が発生
し表面品質を低下させる。かかる巻き疵防止のため、合
紙を挿入してコイルに巻く方法もあるが、高速での巻取
り・巻き出しが困難であること、コイル温度が高いと合
紙が鋼板上に焼付き、剥がれない等の問題から、低速圧
延でしかできない。また、鋼板上に摩耗粉が多いことか
ら、摩耗粉が圧延時に押込められた疵や模様、さらには
ロールに押込まれると、ロール疵となり、鋼板上に繰り
返し転写されてコイル全長に及ぶ疵となる。
が要求されるフェライト系ステンレス鋼板を600m/min以
上の高速で圧延することはできないのが現状であった。
一方、冷間圧延による加工硬化が大きいオーステナイト
系ステンレス鋼板の圧延時には、エマルション油では圧
延後の鋼板に付着する油量が少ないため、油膜厚が低減
することから潤滑不足となり、高荷重あるいは焼付きの
発生から十分な圧下率が得られず、パス回数が増し、あ
るいは高い圧延速度が得られず圧延能率が低い状態であ
った。また、コイル巻取り時の巻き疵やロール押し込み
疵の発生は、フェライト系ステンレス鋼板圧延より張力
が高いこと、高面圧のため摩耗粉の発生が多いこと等か
らフェライト系ステンレス鋼の圧延時と同様に問題であ
った。
ト系ステンレス鋼板、高潤滑性が必要なオーステナイト
系ステンレス鋼板のいずれもエマルション圧延油を用い
たリバース式圧延機においては高能率で圧延できないの
が現状であった。
の問題点を解決する圧延方法、すなわち、エマルション
圧延油を使用する冷間圧延において、フェライト系、オ
ーステナイト系のいずれのステンレス鋼板をも同一のエ
マルション圧延油を用いて高速・高能率圧延を行い、高
光沢度・高表面品位度の鋼板を得ることができる冷間圧
延方法を提供することにある。
フェライト系、オーステナイト系のいずれのステンレス
鋼板の場合でも、600 mpm 以上の高い圧延速度で圧延し
ても、巻き疵、ロール押込み疵、光沢むら、焼付き等の
ない表面品位とすることができ、特にフェライト系ステ
ンレス鋼の場合、Gs60°で400 以上の光沢度が得られる
という優れた作用効果を実現できる冷間圧延方法を提供
することである。
要求されるフェライト系ステンレス鋼板をエマルション
油を用いて冷間圧延する際の圧延油原液の粘度と、それ
から得られたエマルション圧延油の濃度および平均粒径
とをそれぞれ変えて圧延時の潤滑性と圧延後の鋼板付着
油量および摩耗粉量、圧延油中の摩耗粉量、さらに巻き
疵、ロール押込み疵、表面光沢度、光沢むらとの関係
を、従来のニート油圧延と比較して種々検討した結果、
次のような知見を得た。
度低粘度、低濃度、細粒径にしないと高光沢が得られな
い。 (2) 圧延による摩耗粉の発生は、鋼板に付着した摩耗粉
量、圧延油中の摩耗粉量の測定から、ニート油とエマル
ション油でほとんど差がないが、エマルション油の場合
は鋼板上に多く残り、圧延油中に少ない。しかも、エマ
ルション油の原液粘度が低いほど、平均粒径が小さいほ
ど鋼板に付着した摩耗粉量が増す。
ば、エマルション油の方が少なく、エマルション油の場
合は平均粒径が小さいほど少なくなる。また、エマルシ
ョン油の場合、原液粘度の影響は、ニート油よりは軽微
であるが粘度が低いほど付着油量は減る。 (4) 圧延油原液に摩耗粉が混入すると、圧延油の粘度が
高くなる。したがって、摩耗粉の多い場合は、少ない場
合より潤滑性が増すが、光沢性は低下する。
その部分は光沢むらとなる。さらに摩耗粉の比率が多く
なると、ロール押し込み疵が発生する。 (6) エマルション圧延油を使って圧延した鋼板に圧延油
原液を巻取り前に塗布すると、巻き疵が減少する。ま
た、次パス圧延時に摩耗粉量が減少する。
た、ロール押込み疵も減少する。さらに圧延荷重が減少
し、焼付き疵の発生も減少する。 (8) このような作用効果は、圧延機入側で鋼板表面にエ
マルション圧延油を供給しない方が原液の脱落が少な
く、より顕著に発揮される。
エマルション圧延油の使用濃度を低濃度としても十分な
潤滑性が得られ、また、光沢性も向上するため、平均粒
径を過度に下げる必要もなくなり、エマルション圧延油
の管理が容易になる。以上の知見、基礎的事実を総合し
て、本発明を完成するに至った。
有したリバース式圧延機でエマルション圧延油を使用し
てステンレス鋼板を冷間圧延するに際し、少なくとも1
つのパス後の巻取り時に、6cSt 以上20cSt 未満の粘度
の圧延油原液を鋼板に供給するステンレス鋼板の冷間圧
延方法。
延油の供給は行わず、ロールのみとし、出側ではロール
および鋼板に供給する上記(1) に記載のステンレス鋼板
の冷間圧延方法。 (3) エマルション圧延油の使用濃度が5vol%以下、平均
粒径が5μm以下である上記(1) または(2) に記載のス
テンレス鋼板の冷間圧延方法。
水中油型エマルション圧延油を使用してステンレス鋼板
をロール径が50mm以上、120 mm以下の小径ワークロール
を有したリバース式圧延機で600mpm以上の高速度で冷間
圧延する際に必要とする冷間圧延方法である。
おけるステンレス鋼板の走行方向とエマルション圧延油
および圧延油原液の供給方式の説明図であり、図中、ロ
ール10により圧下されるステンレス鋼板20は各圧延パス
毎に巻取り機30により巻取られる。各圧延パスに際して
ノズル40、42、44からはエマルション圧延油が、ノズル
50からは圧延油原液がそれぞれ鋼板に供給できるように
構成される。圧延油原液を鋼板に供給するノズル40はロ
ール10にエマルション圧延油を供給する。ノズル50はロ
ールコータであってもよい。図中、矢印は鋼板の走行方
向を示す。
ト系ステンレス鋼板を、ロール径が50mm以上、120 mm以
下の小径ワークロールを有した圧延機で例えば600 mpm
以上の高速度で冷間圧延する。その際の最終圧延パス後
の圧延材表面光沢は、ニート油を使用した圧延速度400m
/min未満の低速で圧延した際に得られるGs60°で400 〜
500 という優れた表面光沢ではなく、200 〜350 と低
い。
消するため、油膜厚さを低減する方法としてエマルショ
ン圧延油の原液粘度と、好ましくはエマルション平均粒
径の最適化を図り、さらに、圧延後の鋼板表面の摩耗粉
と圧延油の比率に注目し、少なくとも1つの圧延パス、
好ましくは各圧延パスのコイル巻取り前に、6cSt 以上
20 cSt未満の粒度の圧延油原液を鋼板に塗布するのであ
って、これにより摩耗粉比率が小さくなり、疵や光沢む
らが少なく、かつ高光沢が得られる。図1においてノズ
ル50からの圧延油原液の供給は各圧延パス毎に行っても
よく、前段のパスあるいは後段のパスの巻取り時だけに
行ってもよい。
給は行わず、ロールのみとし、出側ではロールおよび鋼
板に供給して上述の本発明の第1の発明による効果を更
に高めたのが本発明の第2の特徴である。例えば図1に
おいて左から右に走行するパスを考えると、ノズル42は
停止して出側ノズル44だけを作動させてエマルション圧
延油を鋼板に供給する。
粒径を5μm以下として光沢性の向上を図ったのが本発
明の第3の特徴である。
る。エマルション油を使用した場合の光沢性低下の原因
は、冷却性が増すため、ニート油よりロールバイトでの
圧延油粘度が高くなり、油膜が厚くなることにある。油
膜厚さは、一般に下記(1) 式の油膜厚さ等量(td ) で示
される。
量がある場合に限られ、(1) 式に示される量より少ない
場合にはその量となる。なお、本明細書において「粘
度」は特にことわりがない限り、40℃におけるそれを表
わすものである。
し、さらにエマルション圧延油を使用して圧延した結果
を、摩耗粉と圧延油の比率と粘度との関係にまとめて示
す。比較のため圧延油原液を塗布しない場合についても
示す。これからも分かるように原液塗布の作用により原
液粘度20 cSt未満のとき、平均粒径が一般的な7.0 μm
まで大きくても優れた光沢性が得られるようになる。
板に5〜11パスの圧延を行うと、前の圧延パス後の鋼板
表面に付着している油量や摩耗粉量が光沢や焼き付きに
大きく影響するためである。すなわち、摩耗粉が多いと
圧延油の粘度が高くなり、油膜厚を増すためである。
(摩耗粉比率) と粘度との関係、圧延荷重および光沢性
との関係を検討した結果をそれぞれ図3および図4に示
す。図3から分かるように、圧延油原液に摩耗粉が混入
すると、圧延油の粘度が飛躍的に高くなる。したがっ
て、圧延後の鋼板へ圧延油原液を塗布することで、鋼板
上での摩耗粉比率を下げ、また余分な油分がロールバイ
ト入り口で排除される際に摩耗粉を一緒に排出させるた
め、ロールバイト内での圧延油の粘度を低下させ、図4
に示すように、光沢性が改善する。このことは高光沢が
要求されるフェライト系ステンレス鋼板の圧延には好都
合である。したがってエマルション油の細粒径化はそれ
ほど必要でなくなる。
を越えると優れた表面光沢が得られない。また、原液の
粘度が6cSt 未満になると、焼付き疵が発生する。した
がって、第1の発明の原液粘度は6cSt 以上20cSt 未満
に限定した。
径が直径120 mmを越えると圧延中の滑り長さが長くな
り、焼付き疵が発生するためであり、また、オーステナ
イト系ステンレス鋼板では圧延荷重が増し、圧延し難
い。一方、ロール径が直径50mm未満では600 m/min 以上
の高速圧延が困難なこと、およびロール摩耗が著しく、
圧延材の形状不良を生じやすくなるためである。
おいて鋼板表面の表面品質上でさらに有用な効果があ
る。それはコイル巻取り時の巻き疵、および圧延時の摩
耗粉のロール押込み疵の防止である。巻き疵は、コイル
巻取り時に高い張力で巻かれた際にコイル層間の面圧と
滑りにより発生した疵であり、鋼板上に付着した油分が
少な過ぎる場合、および摩耗粉量が多い場合に発生し易
い。また、押込み疵は鋼板上の摩耗粉が多く、凝集した
場合にロールに押し込められて発生する。したがって、
圧延後の鋼板への原液塗布は油量を確保し、かつ摩耗粉
量を減少するため、これらの疵防止に効果がある。図5
にこれらの効果を示す。さらに、前述の図4の結果から
も分かるように、オーステナイト系ステンレス鋼板の圧
延時には圧延荷重が軽減する。
ー、ロールコーター等の方法でよく、鋼板上へ塗布でき
ればいかなる方法でもよい。必ずしも表裏面に塗布する
必要はない。巻取られた際に反対面にも転着するため、
図1に示すように表面のみに塗布してもよい。塗布量は
むやみに多量とすると、コイル巻取り時にしみ出し、無
駄になるばかりか周囲を汚すため、50g/m2以下が好まし
く、摩耗粉を排出させる作用のためには最低1g/m2以上
を塗布することが好ましい。より好ましい範囲は2〜20
g/m2である。
パス毎に変更してもよい。フェライト系ステンレス鋼板
の圧延時は前半パスは少なく、後半パスほど多くするこ
とが好ましく、オーステナイト系ステンレス鋼板の場合
はフェライト系より全体的に多くすることが好ましい。
巻取り時に鋼板に塗布しない場合には、2.0 μm未満と
しないと優れた光沢性が得られないが、原液塗布の作用
により粒径が7.0 μm程度まで大きくても優れた光沢性
が得られるようになる。エマルションを2.0 μm未満の
細粒径に維持するには摩耗粉、スカム等の除去、新油の
補給などの維持管理が大変で、維持できないことが多々
発生する。7.0 μm程度まで、粒径が大きくなると維持
管理が十分に行え、従って容易に優れた光沢性の維持が
可能になる。
る。圧延機への圧延油の供給の目的は鋼板およびロール
への潤滑と冷却である。したがって、従来より圧延機入
側および出側から鋼板とロールに向けスプレーノズルで
2〜5kg/cm2の圧力で供給している。特に入側ではロー
ルバイト (圧延材がロールに噛み込まれる部分) に集中
して供給されている。本発明にしたがって圧延油原液を
コイル巻取り時に塗布した場合は圧延機入側で鋼板表面
にエマルション圧延油がスプレーされると、その圧力お
よび圧延油原液の乳化力で圧延油原液の一部が脱落して
しまい、原液供給による前述の作用が十分に発揮されな
い。また、鋼板が過度に冷却されることから、鋼板上に
付着した圧延油の粘度が高まり、圧延時の油膜を厚くし
て光沢性を低下させる。したがって入側では鋼板へのエ
マルション圧延油の供給は行わず、ロールのみとし、出
側では冷却のため、ロールおよび鋼板に供給するのであ
る。
る。圧延油原液を鋼板に塗布することで、エマルション
圧延油の使用濃度を低濃度としても十分な潤滑性が得ら
れ、また優れた光沢性も確保できるのでエマルション油
の平均粒径を過度に下げる必要もなくなり、エマルショ
ン油の維持管理が容易になる。具体的にはエマルション
圧延油の使用濃度、つまりエマルション濃度は5vol%以
下でよい、下限値は原液塗布量が最適であれば原理的に
は0%、すなわち温水でも可能であるが、循環使用する
と鋼板に塗布した原液が洗浄されて混入するため、実質
的には0.5 %程度が下限となる。エマルションの平均粒
径は第1および第2の発明では特に限定しないが、細粒
径ほど光沢性が高くなるため5μm以下が好ましい。ま
た、2μmより細粒になると塗布した圧延油原液の洗浄
性が増し、原液塗布の効果が減少するため、より好まし
い範囲は2μm〜5μmの範囲である。つまり、2μm
未満では乳化剤の使用量が多くなり、洗浄力が増し圧延
機や配管内の汚れを取り込みやすく、エマルション粒径
の経時的な劣化を生じ、維持管理が行い難い。
て更に詳しく説明する。圧延油原液の粘度を本発明の範
囲とするためには、40℃で、5〜10cSt 低粘度の鉱油、
合成炭化水素および粘度や融点の比較的低い合成エステ
ルを使用することが好ましい。合成エステルとしては例
えばラウリル酸、パルミチン酸等、炭素数が10〜18の何
れかの脂肪酸と炭素数が1〜18の何れかのアルコールと
のモノエステル、また、前述の脂肪酸とトリメチロール
プロパン等の多価アルコールとのモノエステル、および
/またはジエステル、および/またはトリエステル、さ
らに、アジピン酸等の二塩基酸と前述のアルコールとの
ジエステルなどが挙げられる。
合量は、鹸化価で50〜120 mg-KOH/gの範囲が好ましい。
50mg-KOH/g未満では潤滑不足となり焼付き疵が発生し易
くなる。また、120 mg-KOH/gを越えると、摩耗粉への吸
着・反応が進みスカムが粘凋となり、油模様が発生し易
くなる。
5μm以下とするには、乳化剤の量を増量することで容
易に粒径が調整できる。特に、乳化剤の種類を限定する
ものではないが、乳化剤は粘度が30cSt 以上の高粘度で
あり、多量に使用すると圧延油原液の全体粘度が高くな
るため、圧延油原液の粘度が上限の20cSt 未満となる範
囲であれば、乳化剤の種類および量を限定するものでは
ない。
アルコール類等の濡れ性改善剤、極圧添加剤、防錆剤、
酸化防止剤等の添加剤を適宜使用してもよい。次にエマ
ルション濃度について補足する。
度および平均粒径は特に限定していないが、濃度が0.5
vol%未満では濃度の維持管理が困難となること、および
焼付きが発生し易くなるため、濃度は0.5 vol%以上とす
ることが好ましい。なお、濃度が15vol%を越えると油膜
厚が大きくなり、また、冷却能が低下することおよび潤
滑性の向上効果が飽和するため、上限は15%以下が好ま
しい。
る。直径が100 mm、表面粗さRaが 0.13 μm の材質SKD1
1 のワークロールとバックアップロールの直径が350 mm
の4Hiリバース式圧延機により、表1に示す圧延材を、
表2および表3に示す圧延条件で7パスおよび9パスの
圧延に実施した。
のを用いた。また、表5に原液塗布の条件を示し、表6
に供試材、圧延条件、圧延油条件および原液塗布条件の
組み合わせを示す。
パスの巻取りに先立って鋼板に供給する場合と、後半の
パスだけに圧延油原液を塗布する場合と2通りの形態を
採用した。原理的には少なくとも1回のパス時の巻取り
時に塗布すればよい。
ISに規定するGs60°で測定) 、目視判定による光沢む
ら、焼付発生の程度、圧延荷重を測定し、表6に併記し
た。なお、光沢度は高光沢が要求される供試材1につい
て実施し、光沢むら、焼付発生の程度、巻き疵、押込み
疵は供試材1、2について、下記に示す記号で表示して
いる。また、圧延荷重については、潤滑性が要求される
供試材2について、各圧延パスの合計圧延荷重を圧延パ
ス数で割った平均圧延荷重を供試材および圧延条件が同
じである比較例との差を同じく下記の記号で表示してい
る。
△:顕著で品質不適 (焼付発生の程度) ○:発生無し、□:軽微な発生 (許容範囲内) 、△:著
しい発生 (不良) (巻き疵発生の程度) ○:発生無し、□:軽微な発生 (許容範囲内) 、△:著
しい発生 (不良) (押し込み疵発生の程度) ○:発生無し、□:軽微な発生 (許容範囲内) 、△:著
しい発生 (不良) (圧延荷重) ○:比較例より15%以上低減、□:比較例より10%以上
低減、△:比較例と同等か5%未満の減少。
ェライト系ステンレス鋼板 (供試材1) の場合には、い
ずれも光沢度 (Gs60°) が400 以上の光沢度が得られ、
かつ高速圧延を行っても焼付や巻き疵、押し込み疵、光
沢むらの発生がないか軽微である。また、潤滑性が要求
されるオーステナイト系ステンレス鋼板 (供試材2)の
場合には、比較例に比べ、焼付や巻き疵、押し込み疵の
発生がないか軽微である。特にエマルション油の供給は
入側では鋼板への供給は行わない場合、各種の疵の発生
がない。
以下、平均粒径が5μm以下である場合にはフェライト
系ステンレス鋼の圧延において、光沢度がさらに向上す
る。以上に示すように本発明の圧延油は、フェライト系
ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板のい
ずれを圧延しても要求される性能を発揮できる。
mm以下の小径ワークロールを有したリバース式圧延機で
エマルション圧延油を使用して600mpm以上の高速度で冷
間圧延するに際し、フェライト系ステンレス鋼板におい
てはニート油で得られるGs60°で400 以上の高光沢を可
能にし、かつ、フェライト系、オーステナイト系のいず
れのステンレス鋼板においても焼付き疵、巻き疵、押し
込み疵等の発生により表面品質を損なうことなく、高能
率で圧延することが可能となる。
油原液の供給の様子の説明図である。
ョンの平均粒径と圧延材の光沢度との関係および焼き付
きの発生との関係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
よび光沢度との関係を示すグラフである。
り時の巻き疵およびロール押込み疵との関係を示すグラ
フである。
Claims (3)
- 【請求項1】 ロール径50mm以上120 mm以下の小径ワー
クロールを有したリバース式圧延機でエマルション圧延
油を使用してステンレス鋼板を冷間圧延するに際し、少
なくとも1つのパス後の巻取り時に、6cSt 以上20cSt
未満の粘度の圧延油原液を鋼板に供給するステンレス鋼
板の冷間圧延方法。 - 【請求項2】 圧延入側では鋼板へのエマルション圧延
油の供給は行わず、ロールのみとし、出側ではロールお
よび鋼板に供給する請求項1に記載のステンレス鋼板の
冷間圧延方法。 - 【請求項3】 エマルション圧延油の使用濃度が5vol%
以下、平均粒径が5μm以下である請求項1または2に
記載のステンレス鋼板の冷間圧延方法。
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---|---|---|---|
JP33037797A JP3785769B2 (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | ステンレス鋼板の冷間圧延方法 |
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JP33037797A JP3785769B2 (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | ステンレス鋼板の冷間圧延方法 |
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JP (1) | JP3785769B2 (ja) |
Cited By (5)
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