JP2507562B2 - 冷間圧延油剤 - Google Patents

冷間圧延油剤

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JP2507562B2 JP26157188A JP26157188A JP2507562B2 JP 2507562 B2 JP2507562 B2 JP 2507562B2 JP 26157188 A JP26157188 A JP 26157188A JP 26157188 A JP26157188 A JP 26157188A JP 2507562 B2 JP2507562 B2 JP 2507562B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、変形抵抗が低い低炭素鋼等の圧延材及び変
形抵抗が高い難圧延材(引張り強さ50kg/mm2以上の高張
力炭素鋼、低合金高張力鋼、けい素鋼及びステンレス鋼
をいう。以下難圧延材という)を一種の油で冷間圧延可
能で、しかも潤滑性が優れ、かつ圧延後の鋼板表面の光
沢及び、表面粗度が優れる効果を有する冷間圧延油剤に
関するものである。
(従来の技術) 従来、低炭素鋼や高張力鋼の冷間圧延において、圧延
油は、パーム油又は牛脂を主成分としたものあるいは、
圧延後の板の洗浄工程を省略出来るミルクリーン性を有
し、潤滑性を兼ね備えた脂肪酸アルコールエステルを主
成分としたものが使われている。この場合圧延油は、加
温水に乳化分散して、4段あるいは6段圧延機(レバー
スミル、タンデムミル)にて使われている。ステンレス
鋼の冷間圧延において、圧延油は、40℃における粘度が
20cSt以下の低粘度鉱油を主成分とし、アルコールや脂
肪酸アルコールエステルを添加したものであり、水に希
釈せず、ゼンジミア・ミルのような多段式圧延機で使わ
れている(特開昭59-75994号公報)。けい素鋼の圧延油
は精製鉱油を主成分とし、脂肪酸アルコールエステルを
一部添加したものを、多段式圧延機にて水へ乳化させて
使用されている。
(発明が解決しようとする課題) 従来は、かように低炭素鋼等の圧延材及び難圧延材の
冷間圧延においては、それぞれ圧延する鋼種により、圧
延油が使い分けられている。それは低炭素鋼等に比べ、
難圧延材は、変形抵抗が大である。鋼板表面の光沢
や表面粗度が要求される事により、圧延加工方法が鋼種
により異なり、圧延油に対する必要性能が低炭素鋼と違
うためである。すなわち、難圧延材の圧延作業は、圧延
時の単位面積当たりの圧延荷重を大きくする為、小径の
作業ロールにて圧延される。小径ロールは圧延後の鋼板
表面の光沢(あるいは粗度)の点からも、圧延時にロー
ルと鋼板表面の凹凸間に入り込んだ圧延油により、圧延
後の鋼板表面に生じる模様(以後、オイルピットとい
う)が起こりにくく有利である。しかし、小径ロールの
圧延機では圧延速度がおそく、生産性が低い為、生産性
向上が望まれている。この点を解決する為、複数の圧延
機で同時にしかも高速で圧延可能なダンデム式圧延機
(ワークロール径300mm以上)を用いて難圧延材を牛脂
等を主成分とする圧延油で圧延すると、圧延後の鋼板表
面の光沢(あるいは粗度)は小径ロール圧延時に比べ、
きわめて悪く市場で求める様な表面性状が得られない。
従って、低炭素鋼等及び難圧延材を一種の圧延油で、
ロール径の大きいダンデム式圧延機を用い、高速で冷間
圧延でき、それぞれ鋼種の目的を完全に達成する圧延油
が得られていないのが現状である。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、かような目的を達成する為に圧延油の
各成分の種類及び含有量と、その潤滑効果および鋼板表
面性状に対する作用について研究を進めたところ、特定
の組成を有する圧延油剤によってこの目的が完全に達成
し得る事を見い出したのである。
鋼の圧延において優れた潤滑性を得る為には、圧延油
の内容組成物による事は無論であるが、作業ロールと鋼
板が接している面(以後ロールバイトという)における
油膜厚さが厚い方が有利である事は明らかである。ロー
ルバイトの入口における油膜厚さは、次に示す水野に式
によると、同じ圧延条件において圧延油剤が同一量供給
されたときは、油剤の粘度が高い程厚くなる。
V0:入側板速度 V:ロール周速 P1:2次元降伏応力 α:かみ込角 η0:圧延油の粘度 td:入側油膜厚さ当量 従って、圧延油剤の粘度が高い程潤滑性に優れた傾向を
示す。反面、粘度が高い圧延油剤を用いると、圧延後の
鋼板表面にオイルピットを生じる傾向がある。よって粘
度が低く、しかも潤滑性が優れた圧延油剤が出来れば良
好な潤滑性をもち、良好な鋼板表面性状が達成出来ると
いう相反する性能を両立させ、低炭素鋼及び難圧延材を
一種の圧延油剤にて冷間圧延可能にする事が出来る。本
発明者らはこれを目的として、鋭意研究を重ねた結果、
はからずも特定の低粘度の脂肪酸低分子量アルコールエ
ステルを基油とし、その中へ特定のモノカルボン酸アル
コールエステルを1種、多価カルボン酸アルコールエス
テル及び、特定のカルボン酸3種の合計5成分を特定な
量及び特定な比率にて含有させる事により、圧延油剤の
粘度が従来の技術の圧延油剤より遥に低い粘度領域で、
上記両性能を満足させ得る特定の範囲に入る事となり、
ここに本発明の目的を達成出来る事を見い出したのであ
る。
すなわち、本発明は、脂肪酸低分子量アルコールエス
テルを基油とし、その中へ、(1)脂肪酸高分子量アル
コールエステル(2)多量体脂肪酸エステル(3)多量
体脂肪酸(4)コハク酸の炭素数50以上の炭化水素置換
体(5)9−ヒドロキシ・フェニルカルボン酸の5種を
必須成分として、それぞれ特定量を特定比に含有させ
て、油剤の50℃における粘度を4〜15cStとした事によ
り、目的を達成させるようにしたものであって、その他
に界面活性剤、防錆剤、酸化防止剤、付着向上剤も副成
分として含有し得るものである。
(作用) 本発明において用いる基油の脂肪酸低分子量アルコー
ルエステルは低粘度であり、圧延後の鋼板表面性状を良
好にする作用を有するもので、代表的なものとして、ラ
ウリン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステ
ル、ステアリン酸イソノニルエステル、ベヘニン酸イソ
プロピルエステル、ベヘニン酸ブチルエステル、パルミ
チン酸オクチルエステル等のモノカルボン酸アルコール
エステルがある。分子量が450以下でかつ、脂肪酸の炭
素数がアルコールの炭素数1.5倍以上のものであり、50
℃の粘度が10cSt以下のものが適当である。
本発明に用いる添加剤の第1の成分(1)の脂肪酸高
分子量アルコールエステルは、例えばパルミチン酸オレ
イルエステル、ステアリン酸イソペンタコシルエステ
ル、ベヘニン酸イソセリールエステル、モンタン酸オレ
イルエステル、モンタン酸イソオクタコシルエステル等
が挙げられるが、これ等に限定するものではなく、高級
脂肪酸と高分子量アルコールとのエステルであって、基
油に比べ、潤滑性に優れ、基油や本発明の他成分との溶
解性が良好である特性を有するもので、分子量が500〜8
50でかつ炭素数28以下の脂肪酸と炭素数28以下のアルコ
ールとのエステルのすべてを包含するものである。
分子量が500未満の脂肪酸アルコールエステルは、基
油と同程度の潤滑性であり、分子量が850を超え、ある
いは炭素数が28を超える脂肪酸あるいはアルコールを用
いた脂肪酸高分子量アルコールエステルは、市場性、経
済性を考慮した場合の潤滑性の向上は、認められず、圧
延後の鋼板表面性状の点で、悪化が顕著となる。添加量
は、1重量%未満では、潤滑性及び鋼板表面性状の改善
が認められず、5重量%を超えると、鋼板表面性状の悪
化が顕著となる。
本発明に用いる第2の成分(2)の多量体脂肪酸エス
テルは、例えば、C36ダイマー酸ステアリルエステル、C
54トリマー酸セチルエステル等で、牛脂と同等以上の潤
滑性がある事は公知である。従って潤滑性向上を目的と
する成分であり、金属に対する吸着性が優れ、粘度は50
℃で50〜120cStである。添加量は3重量%以上加える事
により、添加量を増す程、潤滑性の向上が顕著に認めら
れる。しかし、15重量%より多く加えると、難圧延材に
おける鋼板表面性状が急激に低下する。その時の粘度が
50℃で15cStであった。第2の成分(2)に用いる多量
体脂肪酸は、2塩基酸、3塩基酸、4塩基酸を意味し、
乾性油、半乾性油から得られる精製脂肪酸を熱重合して
合成したC36ダイマー酸、C54トリマー酸、C72テトラマ
ー酸をいう。
アルコールは直鎖が一番望ましい。2重結合を分子内
に2個以上有するアルコールは、潤滑性及び熱安定性の
点より、不適である。炭素数16未満のアルコールは潤滑
性に乏しく、炭素数28を超えると、潤滑性は、それほど
向上せず、むしろ作業性や鋼板表面性状に問題が生じて
くる。
尚、第1の成分(1)と第2の成分(2)は、重量比
率で1:1〜6のときにのみ、基油の鋼板表面性状を維持
しつつ、潤滑性が、成分(2)との相乗効果で一層良好
になった。この作用機構は解明された訳ではないが、成
分(1)脂肪酸高分子量アルコールエステルが成分
(2)の多量体脂肪酸エステルを基油中への均一溶解性
を一層高め、金属表面における油膜形成の折に、多量体
脂肪酸エステルの均一油膜形成を助け、それがオイルピ
ット生成をも防止しているのではないかと考えられる。
従って、ある限定比率のときのみ効果が顕著に表われた
ものと考える。
本発明に用いる第3の成分(3)多量体脂肪酸は、潤
滑性の向上において、もっとも有効である。成分(3)
は、成分(2)の多量体脂肪酸エステルの多量体脂肪酸
と同一のものであり、乾性油、半乾性油から得られる精
製脂肪酸を熱重合した合成したC36ダイマー酸、C54トリ
マー酸、C72テトラマー酸をいう。成分(3)はモノカ
ルボン酸に比べ、潤滑性が優れており、粘度も高い。特
に全組成中に1重量%以上加える事により、潤滑性の向
上が認められる。しかし、全組成中に8重量%より多く
添加しても加えただけの潤滑性の向上が顕著ではない。
むしろ難圧延材における鋼板表面性状の悪化が進む他、
油剤全体の酸化安定性及び熱安定性の点で、弊害を生
じ、好ましくない。成分(3)の多量体脂肪酸の炭素数
はダイマー酸で34〜44、トリマー酸で48〜66、テトラマ
ー酸で64〜88のものを使用し得るが、現在一般に市販さ
れ入手し易いものはC36ダイマー酸及びC54トリマー酸の
みであるので、実用上便宜であり、実施例にもC36ダイ
マー酸とC54トリマー酸を用いているが範囲を限定して
いる訳ではない。
しかし、本発明において用いる第3の成分(3)の多
量体脂肪酸は、このまま使用すると、発生した摩耗粉と
反応し、鉄石鹸を生成する。この多量体脂肪酸の鉄石鹸
は、圧延油中に溶解しにくい為、圧延油中で摩耗粉を凝
集させるバインダーとなり、摩耗粉の凝集物を作る場合
がある。この凝集物は、圧延材料やミル等に付着し汚れ
の原因となり、さらに、板上に付着したものはまれに板
上に疵を発生し、板の表面性状を著しく損う原因となる
ことがある。そこで、本発明者らはこの鉄石鹸について
研究を行なった結果、第4の成分(4)のコハク酸のC
50以上の炭化水素置換体を1〜15重量%の範囲で、かつ
成分(3)と(4)の重量比率を1:1〜3の割合として
配合する事により、多量体脂肪酸鉄石鹸の生成を抑制す
ると共に、生成した多量体脂肪酸鉄石鹸を圧延油中に均
一に溶解分散する事により、発生した摩耗粉の凝集を防
止すると共に良好な表面性状が得られる事を見出した。
この作用は、多量体脂肪酸と成分(4)のコハク酸のC
50以上の炭化水素置換体が有機概念図(「有機概念図」
甲田善生,三共出版,1984年)において、同族列線に族
する事により、無機性の高い鉄石鹸を高い有機性を示す
コハク酸のC50以上の炭化水素置換体により、圧延油中
に均一に溶解分散せしめる事が可能になったと考える。
成分(4)のコハク酸のC50以上の炭化水素置換体は、
具体的にはコハク酸のC58のポリブデン及び、コハク酸C
80のポリブデン等があり、炭素が大きい為高粘度を示
す。従って成分(4)の添加量が多いと圧延油の粘度が
上昇する為、添加量は、1〜15重量%にする必要があ
る。又、成分(3)の多量体脂肪酸に対する重量比率が
1:1より小では上記効果がなく、更に、1:3を超えると、
多量体脂肪酸の良好な潤滑性を阻害する。
本発明における第5の成分(5)の炭素数16〜26の9
−ヒドロキシ・フェニルカルボン酸は、冷間圧延油剤の
成分として新規に使われたもので、この物質なしでは、
本発明の完成は、あり得なかった程、重要なものであ
り、優れた潤滑性と鋼板表面性状を良好にする効果が少
量で認められる。特に成分(3)の多量体脂肪酸との併
用による効果が著しい。成分(3)は油剤中へ、1重量
%加えると潤滑性の向上が認められ、増量する程潤滑性
は向上する。反面、3重量%以上においては鋼板表面性
状において悪影響が表われる。そこで成分(5)を
(3):(5)=10:1〜2の重量比で添加する事によ
り、成分(3)の油剤中への添加量を8重量%まで増し
ても、鋼板表面性状は、非常に良好となる。又、潤滑性
も成分(3)のみのときに比べ併用による相乗効果が認
められた。しかし、成分(5)の9−ヒドロキシフェニ
ルカルボン酸は、油剤中へ0.1重量%未満の添加では、
その効果が潤滑性にも、鋼板表面性状の良化にも明確に
表われず、又、1重量%以上あるいは、成分(3)多量
体脂肪酸を重量比で、10に対し、成分(5)9−ヒドロ
キシフェニルカルボン酸を2より多く含有すると、成分
(3)の潤滑性を低下させる傾向が認められる。
この作用機構は充分解明出来ていないが、成分(2)
の多量体脂肪酸エステルと成分(1)の脂肪酸高分子量
アルコールエステルとの相乗効果と同様にロールバイト
内における油膜の拡がり(新生面に対する油膜のぬれ性
あるいは追従性)において成分(3)の多量体脂肪酸が
金属へ吸着する時、適量の成分(5)のヒドロキシルフ
ェニルカルボン酸が共存する事により、均一でより薄い
膜で、しかも新生面に対し、速やかに吸着するような挙
動を示すものと考える。これは、成分(5)のヒドロキ
シルフェニル基がロールバイト内のような高圧下で、し
かも大気中に比べ、酸素が欠乏した環境での金属に対す
る吸着性やぬれ性が優れ、又、ヒドロキシルフェニル基
が分子の中央に位置する事が、他成分との均一溶解性を
向上させているのではないかと考える。
従って、成分(3)と成分(5)の特定の比率をはず
れると、潤滑性と鋼板表面性状が良好になるような2つ
の相応する性能を両立させるような油膜形成あるいは、
拡がりが得られなくなるものと考える。炭素数16〜26の
9−ヒドロキシフェニルカルボン酸において、炭化水素
鎖は直鎖に限る。又、直鎖のほぼ中心付近にヒドロキシ
ルフェニル基が付加したカルボン酸、例えば9−ヒドロ
キシフェニルステアリン酸が好ましく、これが水酸基あ
るいはフェニル基のみの付加したものでは、本発明のよ
うな効果は得られない。又、炭素数では、16未満では、
潤滑性及び相溶性が低下し、27以上では表面性状を良化
する傾向が顕著に認められなくなる。
本発明の潤滑性及び鋼板表面性状を良化する効果につ
いて各成分については、上記の通りであるが、本発明は
あくまでも、基油に5成分を特定量しかも特定比で含有
させる事により効果が認められるものであり、特に、本
発明の油剤の作用機構は充分に解明出来ていないが、圧
延材が塑性変形していく過程において、潤滑面で油剤は
金属組織の中でも結合力が弱い結晶粒界へ侵入あるいは
集中しやすいと考えられる。この時市販の低炭素鋼用牛
脂系圧延油は、牛脂が拡がり性に乏しい為、圧延時に潤
滑面で速やかに、しかも均一な拡がりを示さず、結晶粒
界を中心にオイルピットを形成してしまう。本発明の油
剤は基油、成分(3)および(5)が特に拡がり性に富
んでおり、5成分を特定の比率にて組合わせる事によ
り、油剤全体が圧延時の潤滑性でぬれ性に富み、均一な
拡がりを示す為、潤滑性が優れ、鋼板表面も平滑な面が
得られるものと考える。
尚、圧延油剤の粘度について本発明の5成文をすべて
含有していても、50℃にて4cSt未満では、潤滑性が乏し
く、15cStを超えるものは、鋼板表面性状は良好になら
ないでのいずれも不適当である。その他の成分として
は、圧延油剤に一般的に使用されるポリオキシエチレン
ノニルフェノールエーテルHLB10.5等の界面活性剤(ア
ニオン系、ノニオン系等)、防錆剤(アルケニルコハク
酸系、アミン系、アマイド系等)、酸化防止剤(フェノ
ール系、アミノ系、エステル系等)を使用することも適
当である。
すなわち、本発明は低炭素鋼及び難圧延材がそれぞれ
求めている潤滑性を満足し、鋼板表面性状を低下させな
い事を目的としたものであり、基油に(1)脂肪酸高分
子量アルコールエステル1〜5重量%、(2)多量体脂
肪酸エステル3〜15重量%、(3)多量体脂肪酸1〜8
重量%、(4)コハク酸の炭素数50以上の炭化水素置換
体1〜15重量%、(5)9−ヒドロキシフェニルカルボ
ン酸0.1〜1重量%を必須成分とし、かつ(1)と
(2)の重量比率が1:1〜6、(3)と(4)の重量比
率が1:1〜3、(3)と(5)の重量比率が10:1〜2の
割合で含有し、50℃における粘度が4〜15cStであるこ
とを特徴とする冷間圧延油剤であって、この範囲内のも
ののみが本発明の目的を達し得るものである。
本発明の圧延油剤の製造方法は、各成分を混和し、均
一な組成物とすれば良いのであって、特定を要しない
が、成分(5)の9−ヒドロキシフェニルカルボン酸、
成分(3)の多量体脂肪酸、成分(2)の脂肪酸高分子
量アルコールエステル、基油の各々全量を順次加え、70
℃以下で加熱混合しついで必要に応じ、他の添加剤を加
え撹拌し、均一にする方法が安定な性状の製品が得ら
れ、より好ましい。製造当初において、成分(5)の9
−ヒドロキシフェニルカルボン酸と成分(3)の多量体
脂肪酸に対し、防錆剤のアルキルアミン等のアルカリを
加え、65〜70℃にて加熱撹拌し反応させることも可能で
あるが、アミンとしては、油溶性である事。成分
(3)に対し、アルカリ量は当量以下にしなければなら
ない。
かようにして、得られた本発明の圧延油剤は通常0.5
〜30重量%の水分散剤として、スプレー給油して使用す
る。
(実施例) 次に本発明を実施例及び比較例により説明する。
実施例1〜8,比較例1〜7 第1表に示す組成の成分を均一に混和し、実施例1〜
8及び比較例1〜5の圧延油剤試料をつくった。これ等
の試料及び更に比較の為、低炭素鋼用市販牛脂系圧延油
(比較例6)、ステンレス鋼用市販鉱油系圧延油(比較
例7)の試料につき、次に示す試験法により、性能試験
を行い、得た結果を第1表に併記する。
A.性状試験による確認 1.粘度 (方法) 石油製品の動粘度試験方法(JIS K 2283)に基づき、
ウッベローデ型粘度計にて50℃の粘度を測定する(単位
センチストークス)。
B.性能試験による確認 1.圧延試験 (方法) E−24型潤滑試験機(直径240mmの2段ロール;最高
速度1000m.p.m)にて回転入側よりギヤーポンプで試料
圧延油の5重量%の水溶液を6l/min給油しつつ短冊状試
験片を通板する。
尚、比較例7は、原液にて給油した。
(試験片) 試験片は次のものを使用した。
表面粗さ(Ra)μm 普通鋼(SPCC-SB) .5mm×20mm×200mm 0.25 ステンレス鋼(SUS 430) 0.5mm×20mm×200mm 0.04 (圧延条件) 各パスの圧延条件は次の様にする。
(評価) 3パス後の全荷重にて判定する。(単位トン/mm) (普通鋼)(ステンレス鋼)(表示) ・優れている…… 1.2以下 1.5以下 ○ ・優れるが目標まで達して いない…… 1.2〜1.5 1.5〜1.8 △ ・劣る …… 1.5以上 1.8以上 × 2.圧延後の表面性状 (方法) 上記圧延試験にて3パス圧延後の鋼板の表面の粗さ
を、粗さ計にて測定する(Raにて求める)。
(評価)(Ra;μm) (ステンレス鋼)(表示) ・優れている…… 0.05以下 ○ ・優れるが目標まで達して いない …… 0.05〜0.10 △ ・劣る …… 0.10以上 × C.鉄粉凝集による疵発生試験 下記条件により圧延油を劣化し、劣化油を一般材(SP
CC材)の入側3cmの所に付着させ、B・1による圧延試
験1パス目を行なう。
圧延後、劣化油を付着させた部分の表面を観察する。
(評価) 疵あり × 疵なし ○ (劣化条件) 試油12g鉄粉(200Å真空冶金製)0.5g水388gをホモジ
ナイザーで8000rpm×1分撹拌後、エマルションが200cc
になるまで、煮沸濃縮後、80℃の空気恒温槽にて4日間
放置して劣化する。
(発明の効果) 以上説明してきたように本発明の冷間圧延油剤は、基
油に(1)脂肪酸高分子量アルコールエステル、(2)
多量体脂肪酸エステル、(3)多量体脂肪酸、(4)コ
ハク酸のC50以上の炭化水素置換体および(5)9−ヒ
ドロキシフェニルカルボン酸の5成分を必須成分として
それぞれ特定量及び特定の比率にて含有させた事によ
り、ロール径の大きい圧延機を用いても、第1表からも
明らかなように本発明は潤滑性のよい比較例6(低炭素
鋼用市販牛脂系圧延油)と比較して潤滑性は圧延試験に
おける圧延荷重の示す通り同等であるが、粘度が1/3〜1
/6で低いので圧延後の表面性状ははるかに優れている。
また粘度が低く圧延後の表面性状の優れている比較例7
(ステンレス鋼用市販鉱油系圧延油)と比較すると潤滑
性は圧延試験における圧延荷重の示す通りはるかに優れ
ている。すなわち本発明品は比較例6および7の両市販
品の長所を兼ね備えたことが示されており、ここに本発
明の目的とする潤滑効果と鋼表面性状を優良ならしめる
効果とを兼ね備えた冷間圧延油剤がはじめて得られたこ
とが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 129:93 C10M 129:93 129:44) 129:44) C10N 20:02 C10N 20:02 40:24 40:24 Z (72)発明者 内藤 粛 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 北村 邦雄 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 菅沼 七三雄 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭61−246293(JP,A) 特開 昭61−213296(JP,A) 特開 昭61−163998(JP,A) 米国特許4384138(US,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪酸低分子量アルコールエステルを基油
    とし、その中へ、 (1)脂肪酸高分子量アルコールエステル1〜5重量% (2)多量体脂肪酸エステル 3〜15重量% (3)多量体脂肪酸 1〜8重量% (4)コハク酸の炭素数50以上の炭化水素置換体1〜15
    重量% (5)炭素数16〜26の9−ヒドロキシフェニルカルボン
    酸 0.1〜1重量% を、次の比率 (1)と(2)の重量比率が 1:1〜6 (3)と(4)の重量比率が 1:1〜3 (3)と(5)の重量比率が 10:1〜2 で含有し、かつ50℃における粘度が4〜15cStであるこ
    とを特徴とする冷間圧延油剤。
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