JP5351428B2 - 圧延油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延油組成物に関し、詳しくは、各種金属、特に銅または銅合金材などの非鉄金属の冷間圧延に好適な圧延油組成物に関する。
圧延に用いられる圧延油には、一般に、低圧延荷重で高圧下率の圧延が可能であること、苛酷な条件下で圧延しても、ヒートスクラッチなどの焼付きを生じないこと、及び圧延板表面の光沢が高いことが要求される。
また、圧延板表面の光沢に関しては、金属の圧延過程において、ロール表面にロールコーティングむらが発生し、これが転写することにより光沢むらを引き起こすことが知られている。
ここで、ロールコーティングとは、金属の圧延において、圧延が正常に行われる場合には、圧延材が通過した部分のワークロールに一定の色調で着色が起こることをいう。
従来から、圧延油におけるこのような要求を満たすことを目的に、種々の研究が行われており、例えば、基油と特定のジエステル、モノエステル、及びリン系化合物を含むことを特徴とするステンレス鋼板の圧延に好適な冷間圧延油組成物が提案されている(特許文献1、請求項3参照)。
ところで、近年、電子関連分野の著しい発展に伴う電子製品の需要の増大により、コネクタ材など各種電子関連材料を大量に生産することが必要になってきた。
上記電子関連材料の製造においては、被加工材料として銅又は銅合金などの非鉄金属が多く用いられ、またその加工製品は、使用上バネ性を有することが好ましいことから、被加工材料として硬質な合金を使用することも多い。
したがって、これらの銅又は銅合金などを圧延する際に用いる圧延油としては、以下のような課題を解決する必要がある。
例えば、銅又は銅合金の中でも、黄銅などのCu−Zn系合金などの圧延においては、圧延時にロールコーティングが厚く生成しやすい特徴がある。生成するロールコーティングが厚いと、ワークロールと圧延板表面との凝着が発生しやすくなるため、圧延荷重が増大して生産効率が低下する。したがって、生産効率を上げるためには圧延圧下率を高くすることが必要となるが、圧延圧下率を高くすると、圧延板表面に凝着による表面損傷が発生して、製品品質が著しく低下する場合がある。
さらに、圧延板の光沢度を上げるためには、ワークロールの表面を圧延板に転写させる必要があるが、ロールコーティングが厚く生成すると転写が十分に行われず、高い光沢度の圧延板を得ることが困難となる。
このような課題を解決するために、本発明者らは、これまでに、基油に、特定構造を有するジエステル、特定炭素数のモノエステル、及び多価アルコールの脂肪酸部分エステルを配合してなる黄銅材用圧延油を提案した(特願2006−254577)。本発明者らは、その性能を一層高めるべく、さらに研究を重ねてきた。
国際公開2003/097774号公報
本発明は、このような状況下でなされたもので、圧延性能が優れ、圧延板表面の光沢が高い圧延油組成物であり、特に、銅又は銅合金などの非鉄合金の圧延に際し、低い圧延加重で圧延が可能であり、高い圧下率で圧延しても、焼付(ヒートスクラッチ)やチャタリングなどによる圧延板表面の損傷を抑制できるとともに、ロールコーティングの生成を抑制し、圧延板表面の光沢を高めることができる圧延油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、基油に、特定のグリセリンの脂肪酸エステルを配合してなる圧延油組成物が、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、
〔1〕基油に、グリセリンと炭素数6〜10の脂肪酸から得られるグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜50質量%配合してなる圧延油組成物、
〔2〕グリセリン脂肪酸エステル脂肪酸が、炭素数8の脂肪酸を主成分とするものである前記〔1〕に記載の圧延油組成物、
〔3〕グリセリン脂肪酸エステルが、部分エステルである前記〔1〕又は〔2〕に記載された圧延油組成物、
〔4〕前記グリセリン脂肪酸エステル(A)とともに、(B)(b−1)炭素数13〜48のモノエステル0.5〜40質量%及び/又は(b−2)炭素数13〜34の脂肪族ジカルボン酸エステル0.5〜30質量%を配合してなる前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の圧延油組成物、
〔5〕さらに、(C)ベンゾトリアゾール系化合物を100〜1000質量ppmを配合してなる前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の圧延油組成物、
〔6〕銅又は、銅合金の冷間圧延に用いる前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の圧延油組成物、
〔7〕銅合金が、Cu−Zn系合金である前記〔6〕に記載の圧延油組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、圧延性能が優れ、圧延板表面の光沢が高い圧延油組成物が得られ、特に、銅又は銅合金の圧延に際し、低い圧延加重で圧延が可能であり、かつ高い圧下率で圧延しても、焼付(ヒートスクラッチ)、チャタリングなどによる圧延板表面の損傷を抑制できるとともに、ロールコーティングの生成を抑制し、圧延板表面の光沢を高めることができる圧延油組成物を提供することができる。
本発明の圧延油組成物は、基油に、グリセリンと炭素数6〜10の脂肪酸から得られるグリセリン脂肪酸エステル0.01〜50質量%を配合してなることを特徴とする。
本発明で用いる基油としては特に限定されず、鉱油及び/又は合成油を使用することができる。鉱油としては、種々のものを挙げることができ、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留した残渣油、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油等を挙げることができる。
また、合成油としては、例えば、炭素数8〜14のポリ−α−オレフィン、オレフィンコポリマー(例えば、エチレン−プロピレンコポリマーなど)、あるいはポリブテン、ポリプロピレン等の分岐オレフィンやこれらの水素化物、さらにはポリオールエステル(トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど)等のエステル系化合物、アルキルベンゼン等を用いることができる。
本発明においては、基油として、前記鉱油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよく、前記合成油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、該鉱油一種以上と合成油一種以上を併用することもできる。そして、該基油としては、温度40℃における動粘度が、3〜30mm2/sの範囲にあるものが好ましい。この動粘度が3mm2/s以上であると十分に引火点が高く、引火による火災などの危険性がない。一方、30mm2/s以下であると、巻きズレが発生する恐れが少なく、さらには焼鈍性の点からも好ましい。以上の点から、より好ましくは、4〜20mm2/sである。
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステル(以下、「A成分」と称することがある。)は、グリセリンと炭素数6〜10の脂肪酸から得られるエステルであることを要する。
該エステルを構成する脂肪酸の炭素数が6未満のものでは、耐ヒートスクラッチ性能に劣り、一方脂肪酸の炭素数が10を超えるものは、ロールコーティングの生成を充分に抑制できないため好ましくない。
炭素数6〜10の脂肪酸としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、また、飽和でも、不飽和でもよい。直鎖状、及び分岐状の飽和脂肪酸としては、例えば、n−ヘキサン酸(カプロン酸)、イソヘキサン酸などの各種ヘキサン酸、n−ヘプタン酸(エナント酸)、イソヘプタン酸などの各種ペンタン酸、n−オクタン酸(カプリル酸)、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸などの各種オクタン酸、n−ノナン酸(ペラルゴン酸)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸などの各種ノナン酸、n−デカン酸(カプリン酸)、イソデカン酸、3,7−ジメチルオクタン酸、2−プロピルヘプタン酸などの各種デカン酸、が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸としては、各種ヘキセニル酸、各種ヘプテニル酸、各種オクテニル酸、各種ノネニル酸、各種デセニル酸などを挙げることができる。これらの中で、効果及び入手性の点から、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸が好ましい。
本発明においては、上記直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸の中でも、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸などの炭素数8の脂肪酸を主成分とする脂肪酸が好ましく、特にn−オクタン酸(カプリル酸)を主成分とする脂肪酸が好ましい。
このことは、主成分が炭素数8の脂肪酸、さらには、主成分がn−オクタン酸である脂肪酸を用いて得られたグリセリン脂肪酸エステルが好ましいことを示している。
ここで「主成分」とは、通常60モル%以であり、好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上のものをいう。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンの末端水酸基を全てエステル化した完全エステルと、一部の水酸基をエステル化した部分エステルが含まれる。
本発明においては、これらの中でも、効果の点で、部分エステルが好ましく、特に、モノエステルが好ましい。
本発明の用いるグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンモノカプロネート、グリセリンジカプロネート、グリセリンモノエナンテート、グリセリンジエナンテート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンジカプリレート、グリセリンモノカプロレート、グリセリンジカプロレート、グリセリンモノペラルゴネート、グリセリンジペラルゴネート、グリセリンモノカプリネート、グリセリンジノカプリネートなどを好適なものとして挙げることができる。
本発明においては、前記グリセリン脂肪酸エステルを一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。グリセリン脂肪酸エステルの配合量は、圧延油組成物全量基準で0.01〜50質量%である。配合量が0.01質量%未満であると、圧下力の低減効果が十分に発揮されず、50質量%を超えると、その量に見合う効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる恐れがある。したがって、グリセリン脂肪酸エステルの配合量は、圧延油組成物全量基準で0.1〜20質量%の範囲がより好ましい。
本発明の圧延油組成物においては、さらに(B)成分として(b−1)炭素数13〜48のモノエステル及び/又は(b−2)炭素数13〜34の脂肪族ジカルボン酸エステル(ジエステル)配合することが好ましい。
該モノエステルやジエステルを配合することにより、光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能の向上効果が発揮される。しかも、このモノエステルを用いることにより、(A)成分であるグリセリンの脂肪酸エステルの使用量を低減させることができる。
前記(b−1)成分のモノエステルとしては、例えば一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。
RCOOR’ …(I)
式中、Rは炭素数11〜22のアルキル基、R’は炭素数1〜25のアルキル基を示し、RとR’の合計炭素数は12〜47である。
前記一般式(I)で表されるモノエステルの好ましい炭素数は13〜36の範囲である。該モノエステルの具体例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチルなどが好ましく挙げられるが、これらの中で、性能及び入手の容易さなどの点から、ステアリン酸ブチル及びパルミチン酸オクチルが好ましい。
本発明においては、(b−1)成分として、前記モノエステルを一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における(b−1)成分の配合量は、0.5〜40質量%の範囲が好ましい。配合量が0.5質量%以上であれば圧延板の光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能の向上効果が充分に発揮され、一方40質量%以下であれば、低温流動性が悪化することもない。(b−1)成分のより好ましい配合量は3〜30質量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜20質量%の範囲である。
前記(b−2)成分の脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、主骨格が飽和又は不飽和の分岐炭化水素鎖からなる炭素数12〜28の脂肪族ジカルボン酸と炭素数1〜6の直鎖脂肪族アルコールとの反応生成物であるジエステルが挙げられる。
該脂肪族ジカルボン酸の炭素数が12以上のものであれば、耐ヒートスクラッチ性能を良好に発揮し、一方炭素数が28以下のものであれば、低粘度の基油を用いた場合でもジエステルの溶解性が悪くなることはない。好ましい炭素数は14〜24であり、さらには好ましくは16〜20である。
また、該脂肪族ジカルボン酸は主骨格として分岐鎖を有することが好ましい。分岐鎖を有することにより、ジエステルの基油に対する溶解性が向上し、所望の性能を有する圧延油組成物が容易に得られるという利点がある。
本発明においては、前記脂肪族ジカルボン酸として、飽和及び不飽和のいずれも用いることができるが、飽和脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。この飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば下記一般式(II)で表される化合物を好ましく挙げることができる。
Figure 0005351428
式中、kは0〜3の整数、m及びnは、それぞれ1〜23の整数を示し、k、m及びnの合計は8〜24の整数である。
本発明において、(b−2)成分であるジエステルに用いられる、主骨格が飽和又は不飽和の分岐状炭化水素鎖からなる炭素数12〜28の脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、下記の化学式で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 0005351428
一方、脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜6のものが用いられる。この炭素数が6以下のものであればジエステルの溶解性が良好である。好ましい炭素数は1〜4である。また、該脂肪族アルコールは性能の点で、直鎖状であることが好ましくい。
このような直鎖状脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどを挙げることができる。
本発明においては、(b−2)成分として、前記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族アルコールから得られたジエステルが用いられるが、該ジエステルは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(b−2)成分の配合量は、0.5〜30質量%の範囲で選定されることが好ましい。配合量が0.5質量%以上であれば、耐ヒートスクラッチ性能の向上効果が充分に発揮され、一方30質量%以下であれば、流動性を悪化させる恐れがない。(b−2)成分のより好ましい配合量は1〜20質量%の範囲であり、特に1〜15質量%が好ましい。
本発明の圧延油組成物は、さらに(C)成分として、ベンゾトリアゾール系化合物を配合することが好ましい。本発明の圧延油組成物においては、ベンゾトリアゾール系化合物を前記(A)成分、若しくは(A)成分及び(B)成分と併用することで、圧下率をさらに向上させることができる。ここで用いられるベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(III)で表されるベンゾトリアゾール及びこれの誘導体が該当する。該誘導体としては、下記一般式(IV)で表されるアルキルベンゾトリアゾール、一般式(V)で表されるN−アルキルベンゾトリアゾール、及び一般式(VI)で表されるN−(アルキル)アミノアルキルベンゾトリアゾールを含むものである。
Figure 0005351428
Figure 0005351428
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、好ましくは1または2のアルキル基を示す。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。aは1〜3、好ましくは1又は2の数を示す。またR1が複数ある場合には、それらは互いに同一でも異なってもよい。
Figure 0005351428
式中、R2及びR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、好ましくは1又は2のアルキル基を示す。具体的には前記R1の例示と同じである。bは0〜3、好ましくは0または1の数である。R2及びR3が複数ある場合には、それらは互いに同一でも異なってもよい。
Figure 0005351428
式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基、好ましくは炭素数1又は2のアルキル基を示す。具体的には前記R1の例示と同じである。R5はメチレン基またはエチレン基を示し、メチレン基が特に好ましい。R6およびR7はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、及び各種ドデシル基を挙げることができる。これらは互いに同一でも異なっていてもよい。cは0〜3、好ましくは0又は1の数である。
本発明においては、上記ベンゾトリアゾール又はその誘導体の中で、特にベンゾトリアゾール及びN−メチルベンゾトリアゾールが好ましい。
また、本発明の圧延油組成物における(C)ベンゾトリアゾール系化合物の配合量は,100〜1000質量ppmの範囲が好ましい。100質量ppm以上であると、十分な圧下率の向上が得られるとともに、本発明の圧延油組成物に対して、十分な防錆・防食効果を付与することができる。また、経済性及び溶解性の点から、1000質量ppm以下であることが好ましい。以上の点から、配合量は200〜500質量ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明の圧延油組成物には、さらに(D)フェノール系酸化防止剤を配合することができる。フェノール系酸化防止剤を配合することにより、圧延油の酸化劣化の抑制の効果がある。
フェノール系酸化防止剤酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、などが挙げられ、これらのうち、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが特に好ましい。フェノール系酸化防止剤の配合量は、圧延油組成物全量基準で0.01〜5質量%の範囲が好ましく、さらには0.1〜1質量%の範囲が好ましい。
本発明の圧延油組成物の粘度については特に制限はないが、40℃での動粘度が2〜20mm2/sであることが好ましい。該動粘度が2mm2/s以上であると十分な潤滑性が得られ、一方、20mm2/s以下であると十分な光沢性が得られる。以上の点より、40℃での動粘度が3〜10mm2/sであることがさらに好ましい。
さらに、本発明の圧延油組成物は、所望に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することができる。
防錆剤及び腐食防止剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン,ポリアクリレート等が挙げられる。
これらの添加剤は、それぞれ一種単独で、又は二種以上を混合して使用することができる。また、これらの添加剤の配合量は、通常、それぞれ組成物基準で0.1〜10質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
本発明の圧延油組成物は、さらに水、若しくは、水とともに乳化剤を配合して、エマルジョン型圧延油組成物として利用することができる。
前記乳化剤としては、特に制限はなくアニオン系乳化剤、カチオン系、ノニオン系乳化剤、両性乳化剤が使用でき、また、これら乳化剤を二種以上混合して使用することができる。好適な例としては、例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、又はそれらの乳化剤の混合物が挙げられる。
本願発明で用いるグリセリンの脂肪酸エステルは、優れた乳化剤として作用するため、さらに配合する乳化剤は、通常より少量で目的を達成することができ、グリセリンの脂肪酸エステルの配合量によっては、配合を要しない。
本願発明の圧延油組成物は、鉄や鉄合金、銅やアルミなどの非鉄金属及びそれらの各種合金の圧延において、良好な圧延性を有する圧延油として、利用することができる。中でも、非鉄金属及びそれらの各種合金の圧延、特に銅及び銅合金、例えば、Cu−Zn系、合金の圧延において、優れた圧延性を発現し、また優れた光沢を付与する効果を有する。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
評価方法
(1)圧延実験
第1表に示す圧延機と圧延条件で圧延実験を行い、以下の方法で、限界圧下率、圧延荷重、ロールコーティング量、圧延板光沢度を測定した。圧延材は以下のものを用いた。
〈圧延材〉
黄銅(C2680R)、0.6mm厚50mm幅
(a)限界圧下率
圧延材を圧下率20%から段階的に上昇させ、正常に圧延できなくなるまで圧延し、正常に圧延できた最大の圧下率を限界圧下率(%)とした。
(b)圧延荷重
圧下率30%で圧延し、そのときの圧延荷重を測定した。
(c)ロールコーティング量
圧下率30%で圧延し、圧延後に生成したロールコーティング部を塩酸で溶解し、CuとZnをICPで測定し、ロールコーティング量(mg/m2)を求めた。
(d)圧延板光沢度
圧下率30%で圧延し、圧延後の圧延板について、ASTM D523に準拠し、60°グロス光度〔Gs(60°)〕を測定した。
Figure 0005351428
実施例1〜7及び比較例1〜3
第2表に示すように、基油に、各添加剤成分を配合し、圧延油組成物を調整製し、それらを上記方法によって評価した。その結果を第2表に示す。
Figure 0005351428
(注)
*1;パラフィン系鉱油(40℃動粘度8.0mm2/s)
*2;グリセリンのモノ‐n−オクチルエステル、原料脂肪酸(n−オクタン酸)として純度が90%のものを用いた。
*3;ステアリン酸ブチル
*4;下記式で表される脂肪族ジカルボン酸とメチルアルコールとのジエステル
Figure 0005351428
*5 ベンゾトリアゾール
*6 フェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
第2表によれば、本発明の圧延油組成物(実施例1〜7)は、限界圧下率が45%以上、圧延荷重が95kN以下、ロールコーティング量が100mg/m2以下、かつ圧延板光沢度が430以上であり、いずれの点においても優れていることが分る。これに対し、グリセリン脂肪酸エステルを含まない比較例1〜3の圧延油組成物は、これらいずれの性能についても劣っている。
本発明の圧延油組成物は、圧延性能が優れ、圧延板表面の光沢が高い圧延油組成物であり、特に、銅又は銅合金などの非鉄合金の圧延に際し、低い圧延加重で圧延が可能であり、高い圧下率で圧延しても、焼付(ヒートスクラッチ)はチャタリングなどによる圧延板表面の損傷を抑制できるとともに、ロールコーティングの生成を抑制し、圧延板表面の光沢を高めることができる圧延油組成物である。したがって、各種金属、特に銅又は銅合金などの非鉄合金の圧延油として有効に利用することができる。

Claims (7)

  1. 基油に、グリセリンと炭素数6〜10の脂肪酸から得られるグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜50質量%配合してなる、銅又は、銅合金の冷間圧延に用いる圧延油組成物。
  2. グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が、炭素数8の脂肪酸を主成分とするものである請求項1に記載の圧延油組成物。
  3. グリセリン脂肪酸エステルが、部分エステルである請求項1又は2に記載された圧延油組成物。
  4. 前記グリセリン脂肪酸エステル(A)とともに、(B)(b−1)炭素数13〜48のモノエステル0.5〜40質量%及び/又は(b−2)炭素数13〜34の脂肪族ジカルボン酸エステル0.5〜30質量%を配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の圧延油組成物。
  5. さらに、(C)ベンゾトリアゾール系化合物を100〜1000質量ppmを配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の圧延油組成物。
  6. 銅合金が、Cu−Zn系合金である請求項に記載の圧延油組成物。
  7. 基油の温度40℃における動粘度が4〜20mm 2 /sであり、
    グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が、炭素数8の脂肪酸を主成分とするものである請求項1〜6のいずれかに記載の圧延油組成物。
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