JP2017101149A - 潤滑剤用基油 - Google Patents

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康行 中村
広明 小畑
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Abstract

【課題】
本発明の課題は、引火点が高く、動粘度が低く、耐摩耗性の高い潤滑剤用基油を提供することである。
【解決手段】
上記課題を解決するために、下記の式(1)で示され、ヨウ素価が65〜100 I2g/100gであり、平均分子量が420〜550である化合物を含有する潤滑剤用基油を提供する。
Figure 2017101149

(R1は炭素数1〜6の飽和の炭化水素基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、2〜6である。R2はヨウ素価が100〜150 I2g/100gである1種または2種以上の混合脂肪酸由来の炭化水素基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、摩擦摺動する機械要素等の潤滑に用いられる潤滑剤の基油に関する。
潤滑剤は、液体潤滑剤、半固体状潤滑剤および固体潤滑剤に大別される。このうち、液体潤滑剤としては金属加工油、機械油、各種エンジン用潤滑油などが挙げられ、半固体状潤滑剤としてはグリースなどが挙げられる。近年の潤滑剤においては、安全性の向上の点から引火点の高い基油が求められている。具体的には、日本国消防法の危険物に非該当である点から、引火点が250℃以上であることが望ましい。また、省エネルギー化の点から摩擦損失の小さい低粘度な基油が求められている。近年の動向として具体的には、温度40℃における動粘度が14mm2/sec以下のものが求められている。一般に、分子量の増大により引火点の上昇は達成されるが、動粘度の上昇を招くという課題がある。また近年、さらなる潤滑性向上のために潤滑が必要な接触面に従来以上の圧力がかかることがあり、低粘度な潤滑剤用基油は潤滑膜が破断されやすく耐摩耗性が十分でない場合があった。このような理由により、引火点が高く、動粘度が低く、耐摩耗性の高い潤滑剤用基油が求められている。
これまでに潤滑剤用基油として、油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換により得られるエチレングリコールモノアルキルエーテルの脂肪酸エステルを使用する方法(例えば特許文献1)が報告されており、具体的にはエチレングリコールモノtert−ブチルエーテルの大豆油脂肪酸エステルなどが記載されている。このような潤滑剤用基油は、動粘度が低く、耐摩耗性を有するが、引火点が250℃未満であり高い安全性が得られていない。また、大豆油を使用する方法では、引火点が250℃以上と高いが、十分な耐摩耗性が得られず、40℃における動粘度が32mm2/secと高いことが問題であった。さらに、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用する方法(例えば特許文献2、3)が報告されており、具体的にはポリオキシエチレンモノメチルエーテルのオレイン酸エステルやポリオキシプロピレンモノメチルエーテルのオレイン酸エステルなどが記載されている。このような潤滑剤用基油は、引火点が250℃以上と高く、40℃における動粘度が約12mm2/secと低いが、耐摩耗性が十分ではない。
このように、引火点が高く、動粘度が低く、耐摩耗性の高い潤滑剤用基油は未だ得られていない。
特開2007−112993号公報 国際公開2012/008442号 特開2011−132470号公報
上記の通り、本発明の課題は、引火点が高く、動粘度が低く、耐摩耗性の高い潤滑剤用基油を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、原料脂肪酸の不飽和度と、ポリオキシアルキルレン基導入によって希釈される分子全体の不飽和度、これらヨウ素価で特定される両方の不飽和度を特定範囲に有する化合物を含有する潤滑剤用基油によって、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次の〔1〕である。
〔1〕式(1)で示され、ヨウ素価が65〜100 I2g/100gであり、平均分子量が420〜550である化合物を含有する潤滑剤用基油。
Figure 2017101149
(R1は炭素数1〜6の飽和の炭化水素基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、2〜6である。R2はヨウ素価が100〜150 I2g/100gである1種または2種以上の混合脂肪酸由来の炭化水素基である。)
本発明の潤滑剤用基油は、引火点が高く、動粘度が低く、耐摩耗性が高いため、安全性が高く、摩擦損失を抑制しながら耐摩耗性に優れるため省エネルギー化の点からも有効に使用することができる。
本発明の潤滑剤用基油は、下記の式(1)で示され、ヨウ素価が65〜100 I2g/100gであり、平均分子量が420〜550である化合物を含有する。
Figure 2017101149
式(1)におけるR1は炭素数1〜6の飽和の炭化水素基であり、直鎖であっても分岐であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの直鎖または分岐の炭化水素基が挙げられる。R1は、好ましくは直鎖の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。R1の炭素数が6より大きい場合は引火点の上昇の度合いに比べて動粘度の上昇の度合いが大きくなる。また、R1が水素原子の場合は動粘度が高くなる。
式(1)におけるAOは、炭素数2〜4の1種以上のオキシアルキレン基である。AOが2種以上である場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。AOは、好ましくは炭素数2のオキシアルキレン基である。
式(1)におけるnは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、2〜6である。nが2より小さい場合は引火点が低下し、6より大きい場合は動粘度が高くなる。nは好ましくは2〜4である。
(AO)nに占める炭素数2のオキシアルキレン基の割合は、引火点の上昇に有利である点から40モル%以上であることが好ましい。
式(1)におけるR2は、ヨウ素価が100〜150 I2g/100gである1種または2種以上の混合脂肪酸由来の炭化水素基である。
ここで、混合脂肪酸とは、1種又は2種以上の脂肪酸を含む脂肪酸組成物として特定の性質を有するものであり、混合脂肪酸由来の炭化水素基とは、この混合脂肪酸のカルボキシル基が、不飽和結合を有する1価のアルコールのアルキレンオキシド付加物の水酸基と脱水縮合反応して生成したエステル結合により構成された炭化水素基である。すなわち、式(1)におけるR2は、ヨウ素価が100〜150 I2g/100gである1種または2種以上の混合脂肪酸のカルボキシル基を除いた残基で構成される。
混合脂肪酸のヨウ素価は、100〜150 I2g/100gであり、好ましくは110〜140 I2g/100gである。混合脂肪酸のヨウ素価が100 I2g/100gより小さい場合は、耐摩耗性が不十分である。一方、混合脂肪酸のヨウ素価が150 I2g/100gより大きい場合は、繰り返し使用時や長期保管時において着色が著しく高くなる。
また、混合脂肪酸は、炭素数8〜22の脂肪酸を80質量%以上含む脂肪酸組成物であることが好ましく、より好ましくは、炭素数14〜18の脂肪酸を85質量%以上含む脂肪酸組成物である。
さらに好ましくは、リノール酸とリノレン酸の含有率の合計が20〜70質量%である脂肪酸組成物である。
式(1)で示される化合物のヨウ素価は65〜100 I2g/100gである。ヨウ素価が65 I2g/100gより小さい場合は耐摩耗性が不十分であり、100 I2g/100gより大きい場合は、繰り返し使用時や長期保管時において着色が著しく高くなる。
式(1)で示される化合物の分子量は420〜550であり、好ましくは440〜540である。分子量が420より小さい場合は引火点が低く、分子量が550より大きい場合は動粘度が高くなる。本発明における「平均分子量」は、数平均分子量であり、基準油脂分析試験法2.3.2−1996に従って試料1g中の遊離酸の中和及びエステルのけん化に要する水酸化カリウムのmg量で測定されるけん化価から、次式によって算出される。
平均分子量=1000×56.1/けん化価
式(1)で示される化合物は、特定量の不飽和結合を有しているために、動粘度が低く引火点が高いが、それと同時に意外にも、潤滑性を付与する金属面などへの吸着性が高くなり、高い耐摩耗性を発現する。
式(1)で示される化合物は、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物を、必要に応じて塩基性または酸性の触媒下において脂肪酸とエステル化する方法、脂肪酸アルキルエステルとエステル交換する方法、または油脂とエステル交換する方法によって得られる。
1価アルコールのアルキレンオキシド付加物は、塩基性または酸性の触媒下において1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加する方法により得られ、より引火点を上昇させるために蒸留により低分子量成分を除去したものを用いたり、蒸留して低分子量成分を除去したものにさらに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加したものを用いてもよい。
本発明の潤滑剤用基油は、各種潤滑油や半固体状潤滑剤の基油として用いることができる。具体的な潤滑油の用途として、金属加工油、機械油、ガソリンエンジン用潤滑油、ディーゼルエンジン用潤滑油、エンジン用を除く各種車両用潤滑油、船舶エンジン用潤滑油、離型油、プロセス油、印刷インキ油などが挙げられ、半固体状潤滑剤の用途としてグリースが挙げられる。さらに具体的な金属加工油の用途として、切削油、研削油が挙げられ、機械油の用途として油圧油、摺動面油などが挙げられる。本発明の潤滑剤用基油の好ましい用途は、切削油、研削油、油圧油、摺動面油、離型油、プロセス油、印刷インキ油、グリースであり、より好ましい用途は、切削油、研削油、油圧油、摺動面油、グリースである。
本発明の潤滑剤用基油は、単独で基油として使用することができるが、鉱物油、ポリアルファオレフィン、1価アルコール脂肪酸エステル系基油、多価アルコール脂肪酸エステル系基油、ポリアルキレングリコール誘導体系基油などの1種以上を配合して使用することもできる。
本発明の潤滑剤用基油は、各種添加剤を配合して使用することができる。具体的には、酸化防止剤として、ジチオリン酸亜鉛、有機硫黄化合物、ヒンダートフェノール、芳香族アミンなどが挙げられる。油性向上剤として、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、アルキルアミンなどが挙げられる。摩耗防止剤として、リン酸エステルなどが挙げられる。極圧剤として、有機硫黄、リン化合物、有機ハロゲン化合物が挙げられる。金属不活性剤として、ベンゾトリアゾール、N,N’−ジサリシリデン−1,2−ジアミノプロパンなどが挙げられる。消泡剤として、ポリメチルシロキサン、有機フッ素化合物、金属石鹸、リン酸エステル、高級アルコール、ポリアルキレングリコール系化合物などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
<合成例1>
5L容量オートクレーブ中にメタノール160g(5.0モル)および水酸化カリウム1.04g(仕込み原料の合計に対して0.1質量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、撹拌しながら120℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置よりエチレンオキシド882g(20.0モル)を4時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。その後、オートクレーブより生成物を取り出して、撹拌羽根および窒素導入管を備えた2L容量4つ口フラスコに移し、キョーワード700SL(協和化学工業(株)製)10.4g(生成物に対して1.0質量%)を加えて窒素を吹き込みながら80℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、メタノールのエチレンオキシド4モル付加物を得た。
撹拌羽根、冷却管および窒素導入管を備えた1L容量4つ口フラスコに、脂肪酸としてNAA−300(日油(株)製、質量比パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸:リノレン酸:その他=3:1:50:37:7:2、ヨウ素価129 I2g/100g、中和価199mgKOH/g、中和価から算出される平均分子量282)を425g(1.50モル)、メタノールのエチレンオキシド4モル付加物を319g(1.53モル、モル比カルボキシル基:水酸基=1:1.02)およびパラトルエンスルホン酸0.744g(仕込み原料の合計に対して0.1質量%)を仕込み、窒素を吹き込みながら140℃で4時間撹拌し、さらに−0.095Mpa(ゲージ圧、50mmHg)以下に減圧して140℃で6時間撹拌した。その後、キョーワード700SLおよびKW−2000(協和化学工業(株)製)を各11.2g(仕込み原料の合計に対して1.5質量%)、水を37.2g(仕込み原料の合計に対して5.0質量%)加えて80℃で1時間撹拌し、さらに−0.095Mpa(ゲージ圧、50mmHg)以下に減圧して110℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、メタノールのエチレンオキシド4モル付加物とNAA−300とのエステル化物a1を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は3.6mgKOH/g、けん化価は119mgKOH/g、ヨウ素価は77 I2g/100gであった。また、エステル化物の平均分子量をけん化価から次式により算出したところ471であった。
平均分子量=1000×56.1/けん化価
<合成例2>
合成例1に記載の方法と同様に、n−ブタノールにエチレンオキシドを4.5モル付加してn−ブタノールのエチレンオキシド4.5モル付加物を合成し、さらにNAA−300とエステル化して、n−ブタノールのエチレンオキシド4.5モル付加物とNAA−300とのエステル化物a2を得た。得られたエステル化物の酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.8mgKOH/g、けん化価は104mgKOH/g、ヨウ素価は68 I2g/100g、平均分子量は539であった。
<合成例3>
合成例1に記載の方法と同様に、ヘキシルジグリコール(日本乳化剤(株)製)にエチレンオキシドを1.5モル付加してn−ヘキサノールのエチレンオキシド3.5モル付加物を合成し、さらにNAA−300とエステル化して、n−ヘキサノールのエチレンオキシド3.5モル付加物とNAA−300とのエステル化物a3を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は1.2mgKOH/g、けん化価は108mgKOH/g、ヨウ素価は70 I2g/100g、平均分子量は519であった。
<合成例4>
5L容量オートクレーブ中にメタノール160g(5.0モル)および水酸化カリウム3.55g(仕込み原料の合計に対して0.3質量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、撹拌しながら120℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置よりエチレンオキシド441g(10.0モル)およびプロピレンオキシド581g(10.0モル)を5時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。その後、オートクレーブより生成物を取り出して、撹拌羽根および窒素導入管を備えた2L容量4つ口フラスコに移し、キョーワード700SL(協和化学工業(株)製)11.8g(生成物に対して1.0質量%)を加えて窒素を吹き込みながら80℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、メタノールのエチレンオキシド2モル・プロピレンオキシド2モルランダム付加物を得た。
さらに合成例1と同様の方法で、メタノールのエチレンオキシド2モル・プロピレンオキシド2モルランダム付加物をNAA−300とエステル化して、メタノールのエチレンオキシド2モル・プロピレンオキシド2モルランダム付加物とNAA−300とのエステル化物a4を得た。得られたエステル化物の酸価は0.03mgKOH/g、水酸基価は2.3mgKOH/g、けん化価は112mgKOH/g、ヨウ素価は73 I2g/100g、平均分子量は501であった。
<合成例5>
5L容量オートクレーブ中にエタノール230g(5.0モル)および水酸化カリウム2.89g(仕込み原料の合計に対して0.3質量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、撹拌しながら120℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置よりプロピレンオキシド291g(5.0モル)を1時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。次に滴下装置よりエチレンオキシド441g(10.0モル)を1時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。その後、オートクレーブより生成物を取り出して、撹拌羽根および窒素導入管を備えた2L容量4つ口フラスコに移し、キョーワード700SL(協和化学工業(株)製)9.62g(生成物に対して1.0質量%)を加えて窒素を吹き込みながら80℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、エタノールのプロピレンオキシド1モル・エチレンオキシド2モルブロック付加物を得た。
さらに合成例1と同様の方法で、エタノールのプロピレンオキシド1モル・エチレンオキシド2モルブロック付加物をNAA−300とエステル化して、エタノールのプロピレンオキシド1モル・エチレンオキシド2モルブロック付加物とNAA−300とのエステル化物a5を得た。得られたエステル化物の酸価は0.04mgKOH/g、水酸基価は3.2mgKOH/g、けん化価は123mgKOH/g、ヨウ素価は80 I2g/100g、平均分子量は456であった。
<合成例6>
合成例5に記載の方法と同様に、メタノールのエチレンオキシド3モル・プロピレンオキシド1モルブロック付加物を合成し、さらにNAA−300とエステル化して、メタノールのエチレンオキシド3モル・プロピレンオキシド1モルブロック付加物とNAA−300とのエステル化物a6を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は1.5mgKOH/g、けん化価は115mgKOH/g、ヨウ素価は75 I2g/100g、平均分子量は488であった。
<合成例7>
大豆油(関東化学(株)製)の酸価は0.05mgKOH/g、水酸基価は0.1mgKOH/g、けん化価は192mgKOH/g、ヨウ素価は132 I2g/100g、けん化価から次式で算出される平均分子量は877であった。
平均分子量=3×1000×56.1/けん化価
また、大豆油を脂肪酸に分解した場合の組成を、基準油脂分析試験法(2013年版、公益社団法人日本油化学会制定)の2.4.1脂肪酸誘導体化法および2.4.2脂肪酸組成に従って分析した結果、質量比パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸:リノレン酸:その他=11:4:23:53:8:1であった。各構成脂肪酸のヨウ素価と質量比から、大豆油脂肪酸のヨウ素価を算出したところ138 I2g/100gであった。
撹拌羽根、冷却管および窒素導入管を備えた1L容量4つ口フラスコに、大豆油351g(0.40モル)、合成例2に記載のn−ブタノールのエチレンオキシド4.5モル付加物327g(1.20モル)および水酸化カリウム6.78g(仕込み原料の合計に対して1.0質量%)を仕込み、窒素を吹き込みながら110℃で4時間撹拌し、さらに−0.095Mpa(ゲージ圧、50mmHg)以下に減圧して110℃で6時間撹拌した。その後、水を203g加え80℃で1時間静置して下層のグリセリン水溶液を除去して水洗を行った。水洗を3回行った後、キョーワード700SLおよびKW−2000(協和化学工業(株)製)を各10.2g(仕込み原料の合計に対して1.5質量%)、水を33.9g(仕込み原料の合計に対して5.0質量%)加えて80℃で1時間撹拌し、さらに−0.095Mpa(ゲージ圧、50mmHg)以下に減圧して110℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、n−ブタノールのエチレンオキシド4.5モル付加物と大豆油脂肪酸とのエステル化物a7を得た。得られたエステル化物の酸価は0.04mgKOH/g、水酸基価は1.3mgKOH/g、けん化価は106mgKOH/g、ヨウ素価は71 I2g/100gであった。また、エステル化物の平均分子量をけん化価から算出したところ529であった。
<比較合成例1>
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤(株)製メチルポリグリコール)およびオレイン酸(日油(株)製EXTRA OLEIN 99、オレイン酸含有率99%以上、ヨウ素価90 I2g/100g、中和価199mg、中和価から算出される平均分子量283)を用い、合成例1と同様の方法でエステル化して、メタノールのエチレンオキシド4.2モル付加物とオレイン酸とのエステル化物b1を得た。得られたエステル化物の酸価は0.03mgKOH/g、水酸基価は3.0mgKOH/g、けん化価は116mgKOH/g、ヨウ素価は53 I2g/100g、平均分子量は484であった。
<比較合成例2>
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび混合脂肪酸a(質量比パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸=3:10:70:17、ヨウ素価94 I2g/100g、中和価200mgKOH/g、中和価から算出される平均分子量281)を用い、合成例1と同様の方法でエステル化して、メタノールのエチレンオキシド4.2モル付加物と混合脂肪酸aとのエステル化物b2を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は1.2mgKOH/g、けん化価は117mgKOH/g、ヨウ素価は55 I2g/100g、平均分子量は479であった。
<比較合成例3>
5L容量オートクレーブ中にメタノール160g(5.0モル)および水酸化カリウム3.55g(仕込み原料の合計に対して0.3質量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、撹拌しながら120℃にて触媒を完全に溶解させた。次に滴下装置よりプロピレンオキシド872g(15.0モル)を5時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。その後、オートクレーブより生成物を取り出して、撹拌羽根および窒素導入管を備えた2L容量4つ口フラスコに移し、キョーワード700SL(協和化学工業(株)製)10.3g(生成物に対して1.0質量%)を加えて窒素を吹き込みながら80℃で1時間撹拌し、ろ過を行い、メタノールのプロピレンオキシド3モル付加物を得た。
さらに合成例1と同様の方法で、メタノールのプロピレンオキシド3モル付加物を混合脂肪酸aとエステル化して、メタノールのプロピレンオキシド3モル付加物と混合脂肪酸aとのエステル化物b3を得た。得られたエステル化物の酸価は0.03mgKOH/g、水酸基価は1.3mgKOH/g、けん化価は120mgKOH/g、ヨウ素価は56 I2g/100g、平均分子量は468であった。
<比較合成例4>
合成例7に記載の方法と同様に、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(東京化成工業(株)製)および大豆油を用い、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテルと大豆油脂肪酸とのエステル化物b4を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は1.8mgKOH/g、けん化価は147mgKOH/g、ヨウ素価は104 I2g/100g、平均分子量は382であった。
<比較合成例5>
合成例1に記載の方法と同様に、ラウリルアコールにエチレンオキシドを2モル付加してラウリルアルコールのエチレンオキシド2モル付加物を合成し、さらにNAA−300とエステル化して、ラウリルアルコールのエチレンオキシド2モル付加物とNAA−300とのエステル化物b5を得た。得られたエステル化物の酸価は0.03mgKOH/g、水酸基価は1.0mgKOH/g、けん化価は104mgKOH/g、ヨウ素価68 I2g/100g、平均分子量は539であった。
<比較合成例6>
合成例1に記載の方法と同様に、n−ヘキサノールにエチレンオキシドを6モル付加してn−ヘキサノールのエチレンオキシド6モル付加物を合成し、さらにNAA−300とエステル化して、n−ヘキサノールのエチレンオキシド6モル付加物とNAA−300とのエステル化物b6を得た。得られたエステル化物の酸価は0.02mgKOH/g、水酸基価は0.8mgKOH/g、けん化価は89mgKOH/g、ヨウ素価は58 I2g/100g、平均分子量は630であった。
<比較合成例7>
メタノールのエチレンオキシド2モル付加物(日本乳化剤(株)製メチルジグリコール)を用い、合成例1と同様の方法でNAA−300とエステル化して、メタノールのエチレンオキシド2モル付加物とNAA−300とのエステル化物b7を得た。得られたエステル化物の酸価は0.03mgKOH/g、水酸基価は3.0mgKOH/g、けん化価は146mgKOH/g、ヨウ素価は95 I2g/100g、平均分子量は384であった。
合成例1〜7、比較合成例1〜7により得られた化合物を表1、表2にまとめた。
Figure 2017101149
Figure 2017101149
表1、表2中に注記した、潤滑剤用基油として用いた化合物の合成に用いた混合脂肪酸の詳細は次の通りである。
i)日油(株)製「NAA−300」
<質量比>パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸:リノレン酸:その他=3:1:50:37:7:2
<ヨウ素価>129 I2g/100g
<中和価>199mgKOH/g
<平均分子量>282
ii)大豆油脂肪酸
<質量比>パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸:リノレン酸:その他=11:4:23:53:8:1
<ヨウ素価>138 I2g/100g
iii)混合脂肪酸a
<質量比>パルミチン酸:ステアリン酸:オレイン酸:リノール酸=3:10:70:17
<ヨウ素価>94 I2g/100g
<中和価>200mgKOH/g
<平均分子量>281
iv)オレイン酸(日油(株)製「EXTRA OLEIN 99」)
<オレイン酸含有率>99%以上
<ヨウ素価>90 I2g/100g
<中和価>199mgKOH/g
<平均分子量>283
[実施例1]
<引火点の評価>
合成例1で得られた化合物の引火点を測定し、以下の基準で評価した。
◎:引火点が260℃以上である
○:引火点が250℃以上260℃未満である
×:引火点が250℃未満である
<動粘度の評価>
合成例1で得られた化合物の40℃における動粘度を測定し、以下の基準で評価した。なお、動粘度の測定方法は、JIS K2283に準じる。
◎:動粘度が12.0mm2/sec以下である
○:動粘度が12.0mm2/secより大きく14.0mm2/sec以下である
×:動粘度が14.0mm2/secより大きい
<摩耗痕の測定および耐摩耗性評価>
シェル式高速4級摩擦試験機(神鋼造機(株)製)を用い、荷重40kgf、回転数1200rpm、25℃、15分の条件で摩耗痕の直径を測定した。耐摩耗性を以下の基準で評価した。
○:摩耗痕直径が0.50mm以下である
×:摩耗痕直径が0.50mmより大きい
[実施例2〜7]
実施例1に記載の方法と同様に、合成例2〜7の化合物の引火点、40℃における動粘度および摩耗痕直径を測定し耐摩耗性を評価した。
[比較例1]
実施例1に記載の方法と同様に、大豆油の引火点、40℃における動粘度および摩耗痕直径を測定し耐摩耗性を評価した。
[比較例2〜8]
実施例1に記載の方法と同様に、比較合成例1〜7の化合物の引火点、40℃における動粘度および摩耗痕直径を測定し耐摩耗性を評価した。
実施例、比較例の潤滑剤用基油の性能評価結果を、表3、表4に示す。
Figure 2017101149
Figure 2017101149
表3の結果から、実施例1〜7で用いた化合物は、引火点が十分に高く、40℃の動粘度が十分に低く、耐摩耗性が高いことが分かる。
これに対し、比較例1は本発明の式(1)で示される化合物を用いていないために、40℃の動粘度が高い。比較例2、3および4は、本発明の式(1)で示される化合物のヨウ素価が本発明の範囲より小さいために、耐摩耗性が低い。比較例5は、式(1)で示される化合物のオキシアルキレン基の付加モル数が本発明の範囲より小さいために、引火点が低い。
比較例6は、式(1)で示される化合物のR1の炭化水素基の炭素数が本発明の範囲より大きいために、40℃の動粘度が高い。比較例7は、式(1)で示される化合物のヨウ素価が本発明の範囲より小さく、かつ、平均分子量が本発明の範囲より大きいために、耐摩耗性が低く、40℃の動粘度が高い。比較例8は、式(1)で示される化合物の分子量が本発明の範囲より小さいために、引火点が低い。

Claims (1)

  1. 式(1)で示され、ヨウ素価が65〜100 I2g/100gであり、平均分子量が420〜550である化合物を含有する潤滑剤用基油。
    Figure 2017101149
    (R1は炭素数1〜6の飽和の炭化水素基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、2〜6である。R2はヨウ素価が100〜150 I2g/100gである1種または2種以上の混合脂肪酸由来の炭化水素基である。)
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