JP6836037B2 - 塑性加工用潤滑油組成物 - Google Patents

塑性加工用潤滑油組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6836037B2
JP6836037B2 JP2017193883A JP2017193883A JP6836037B2 JP 6836037 B2 JP6836037 B2 JP 6836037B2 JP 2017193883 A JP2017193883 A JP 2017193883A JP 2017193883 A JP2017193883 A JP 2017193883A JP 6836037 B2 JP6836037 B2 JP 6836037B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ester
lubricating oil
plastic working
group
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017193883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019065222A (ja
Inventor
和樹 島田
和樹 島田
良彦 喜多
良彦 喜多
忠之 松本
忠之 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Chemical Co., Ltd.
Original Assignee
Daido Chemical Co., Ltd.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Chemical Co., Ltd. filed Critical Daido Chemical Co., Ltd.
Priority to JP2017193883A priority Critical patent/JP6836037B2/ja
Publication of JP2019065222A publication Critical patent/JP2019065222A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6836037B2 publication Critical patent/JP6836037B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有する塑性加工用潤滑油組成物に関する。本発明における塑性加工用潤滑油組成物は、圧延加工や転造加工など、スリップが発生し易い塑性加工における潤滑油として好適に使用することができる。
塑性加工には、鍛造加工、押出し加工、圧延加工、曲げ加工、引抜き加工、しごき加工、転造加工、プレス加工などがあり、工具と加工材の摩擦低減や焼付き防止のために、それぞれの加工に合った潤滑油が求められる。
従来、塑性加工用潤滑油として種々の組成物が用いられており、加工が困難な難加工材の増加、生産効率の向上、加工製品の精度向上、工具寿命の向上などを目的として、塑性加工用潤滑油には常に潤滑性の向上が求められている。
しかしながら、圧延加工や転造加工においては、工具と加工材との間の潤滑油の摩擦係数が低すぎると、ロール入口部で咬み込み不良が生じたり、工具と加工材との間でスリップが起こったりする問題が生じるおそれがある。スリップが起こると、工具や加工材に疵が発生することがあり、また、加工が十分に行なえず加工製品の寸法精度が出ないことがある。したがって、塑性加工用潤滑油は適正な摩擦係数を有することが必要である。
一般に鉱油や合成油は摩擦係数が高いものの、焼付き性と耐摩耗性に劣る。一方、エステル化合物は焼付き性と耐摩耗性が良いものの、摩擦係数が低いため、圧延加工や転造加工ではスリップの危険性がある。また、エステル化合物を循環使用し続けると、酸化劣化、加水分解、脂肪酸石鹸の生成により摩擦係数がさらに低くなる現象が見られる。そのためエステル化合物は高い酸化安定性を有することが必要になる。
従来、塑性加工用潤滑油としては、潤滑油基油にエステル化合物を使用し、各種添加剤を配合した潤滑油が知られている。これら添加剤は各用途において要求性能に合わせて適宜組み合わせて使用されている。
例えば特許文献1には、天然油脂、その誘導体及び合成エステル油からなる群から選ばれる潤滑油基油とリン脂質とを含み、極微量油剤を含有する塑性加工油剤組成物が潤滑性に優れることが開示されている。また、特許文献2には、油脂であるゴマ油、非イオン性界面活性剤及び含硫黄有機化合物からなる塑性加工用油性潤滑剤組成物が潤滑性に優れ、かつ環境汚染を惹起しないことが開示されている。さらに、特許文献3には、ジチオリン酸亜鉛、ポリフェニレンサルファイドなどの硫黄化合物を含有する塑性加工用潤滑油組成物が極めて高い耐焼付き性を有しており、摩擦係数が小さいなどの潤滑性に優れることが開示されている。
しかしながら、これら先行文献の技術では、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れる潤滑油を得ることはできなかった。例えば特許文献3に記載された実施例は、いずれも摩擦係数が0.1以下であり、比較例の摩擦係数よりも低いため、例えば転造加工ではスリップが起こる危険性が予測される。
上記スリップの発生を防止するためには、潤滑油組成物の摩擦係数を増大させることが有効な手段ではあるものの、摩擦係数を増大させることで、潤滑油自体の耐摩耗性が低下し、加工する金属に摩耗が発生することも知られている。
このように上記の先行文献や従来の技術では、この問題を解決できる塑性加工用潤滑油組成物を得ることができないため、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有する塑性加工用潤滑油組成物の開発が望まれていた。
特開2007−269875号公報 特開2003−155489号公報 特許第5351810号公報
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、詳しくは、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有する塑性加工用潤滑油組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のネオペンチルポリオールと特定の分岐飽和脂肪酸とのエステル化合物、および特定のジチオリン酸エステル誘導体を含有する塑性加工用潤滑油組成物が、高い摩擦係数を有するためスリップを抑制することができ、かつ良好な耐摩耗性と高い酸化安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記のエステル化合物(A)および下記のジチオリン酸エステル誘導体(B)を含有し、エステル化合物(A)100重量部に対して、ジチオリン酸エステル誘導体(B)を0.01〜5重量部含有する塑性加工用潤滑油組成物である。
(A)炭素数が5〜10であり、アルコールの価数が2〜6価のネオペンチルポリオールと、炭素数が5〜12の分岐飽和モノカルボン酸とのエステル化合物
(B)下記式で表されるジチオリン酸エステル誘導体
Figure 0006836037
(RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Aは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有するので、圧延加工や転造加工など、スリップが発生し易い塑性加工における潤滑油として好適に使用することができる。
以下、本発明の塑性加工用潤滑油組成物の実施形態について説明する。なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、下記のエステル化合物(A)および下記のジチオリン酸エステル誘導体(B)を含有する。エステル化合物(A)およびジチオリン酸エステル誘導体(B)について以下に順次説明する。
〔エステル化合物(A)〕
本発明で用いられるエステル化合物(A)は、ネオペンチルポリオールと、分岐飽和脂肪酸とのエステル化合物である。
ネオペンチルポリオールとは、水酸基に対するβ位の炭素に水素原子を持たないネオペンチル骨格を有するアルコールである。ネオペンチル骨格を有するアルコールを使用することで、酸化安定性の高いエステル化合物(A)が得られる。
本発明におけるネオペンチルポリオールは、炭素数が5〜10であり、かつアルコールの価数が2〜6価のネオペンチルポリオールである。2価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコールが挙げられ、3価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられ、4価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、6価のネオペンチルポリオールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのネオペンチルポリオールの中から1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ネオペンチルポリオールのうち、炭素数が5〜8であり、かつアルコールの価数が2〜4価のネオペンチルポリオールが好ましく、特に好ましくは3価のトリメチロールプロパン、4価のペンタエリスリトールを使用することができる。
本発明における分岐飽和モノカルボン酸とは、総炭素数が5〜12であり、分岐鎖を有する飽和の一価カルボン酸である。炭素数が小さすぎると、合成されたエステル化合物(A)の粘度が低くなり、塑性加工用潤滑油としては適さない場合がある。一方、炭素数が大きすぎると、摩擦係数が小さくなり、スリップ抑制に効果を示し難くなる傾向がある。分岐飽和モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは6〜11であり、特に好ましくは7〜10である。本発明におけるカルボン酸は特に一価のものが使用される。2価以上のカルボン酸を使用すると、得られたエステル化合物が複合エステルとなり、粘度が高くなるため適さない。
分岐飽和モノカルボン酸における分岐鎖としては、例えば、メチル分岐、エチル分岐、プロピル分岐など、種々のものを使用することができる。また、その分岐の位置についても制限はなく、例えば、イソ分岐、ターシャリー分岐など、種々のものを使用できる。好ましくはα位もしくはβ位、またはその両位に分岐を有する飽和モノカルボン酸が用いられる。例えば、2−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、3, 5, 5−トリメチルへキサン酸などが好ましく、特に好ましくは2−エチルヘキサン酸、3, 5, 5−トリメチルへキサン酸である。上述の分岐飽和モノカルボン酸の中から1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いられるエステル化合物(A)は、ネオペンチルポリオールと上記の分岐飽和モノカルボン酸とを直接反応させる方法、エステル交換により合成する方法等の既知の方法で製造することができる。また、エステル化後、必要に応じ、未反応の直鎖不飽和カルボン酸等の除去を目的として、減圧留去、アルカリ中和後の水洗処理等の除去方法を使用してもよい。
上述のネオペンチルポリオールと分岐飽和脂肪酸とをエステル化することにより得られたエステル化合物(A)は、部分エステル化物、完全エステル化物、またはこれらの混合物であっても良いが、完全エステル化物の割合が高いことが好ましい。部分エステル化物の含量が多いと、耐摩耗性が劣る場合がある。完全エステル化物の好ましい割合は、エステル化合物(A)全量に対して、好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。
上述の方法で得られたエステル化合物(A)は、分岐鎖を有するネオペチルポリオールのエステル化合物である。好ましいエステル化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールと2−エチルヘキサン酸とのエステル、ネオペンチルグリコールと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと3, 5, 5- トリメチルへキサン酸とのエステルが挙げられ、特に好ましくはネオペンチルグリコールと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと3, 5,5−トリメチルへキサン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステルであり、さらに好ましくはトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと3, 5, 5−トリメチルへキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステル、ペンタエリスリトールと3, 5, 5- トリメチルへキサン酸とのエステル、ジペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのエステルである。
本発明のエステル化合物(A)を塑性加工用潤滑油における基油として使用することで、得られた塑性加工用潤滑油組成物は高い摩擦係数を有することができるので、圧延加工や転造加工などにおいて発生し得るスリップを抑制することができ、また高い酸化安定性を有することができるので、酸化劣化などによる摩擦係数の低下を抑制することができる。
〔ジチオリン酸エステル誘導体(B)〕
本発明で用いられるジチオリン酸エステル誘導体(B)は、下記式で表されるジチオリン酸エステル誘導体である。
Figure 0006836037
ここで、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表す。アルキル基は直鎖であっても分岐であっても良い。RおよびRは、好ましくはプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基であり、特に好ましくはイソプロピル基、イソブチル基である。またRおよびRは同一のアルキル基であることが好ましい。
は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。アルキル基は直鎖であっても分岐であっても良い。Rは、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基である。
また、Aは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、直鎖状または分岐状のアルキレン基が含まれる。Aとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基であり、特に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基である。
ジチオリン酸エステル誘導体(B)は、潤滑油用極圧剤や摩耗防止剤等として市販されているものを使用することができる。例えば、上記式中のRおよびRがともにイソブチル基、Rが水素原子、Aがプロピレン基である化合物としては、BASF社製IRGALUBE 353、AFTON社製HiTEC 511、HiTEC 511Tなどが挙げられ、上記式中のRおよびRがともにイソブチル基、Rがエチル基、Aがエチレン基である化合物としては、BASF社製IRGALUBE 63などが挙げられる。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物におけるジチオリン酸エステル誘導体(B)の含有量は、エステル化合物(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜2重量部であり、特に好ましくは0.1〜1重量部である。ジチオリン酸エステル誘導体(B)の含有量が少なすぎる場合、十分な耐摩耗性能が得られないことがある。一方、ジチオリン酸エステル誘導体(B)の含有量が多すぎる場合、含有量に見合った耐摩耗性能が得られないことがあるだけでなく、高温に晒されるとスラッジや析出物が発生することがあり、熱安定性が著しく悪化することがある。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、同じ動粘度を有する鉱物油系塑性加工用潤滑油組成物と比較して、より高い引火点を有する。このため、塑性加工においては機器の仕様に適した動粘度を有する潤滑油が用いられることから、通常使用される鉱物油系塑性加工油に代えて、当該加工油とほぼ同じ動粘度を有する本発明の塑性加工用潤滑油組成物を選択して使用することで、火災時のリスクを大幅に低減することが期待でき、より安全に取り扱うことができる。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、エステル化合物(A)、ジチオリン酸エステル誘導体(B)に対して、通常使用される種々の添加剤をさらに配合することができる。配合できる添加剤としては、例えば、酸化防止剤、極圧剤、金属不活性化剤、消泡剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、増粘剤、清浄剤、無灰分散剤などが挙げられる。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、エステル化合物(A)およびジチオリン酸エステル誘導体(B)をそれぞれ所定量配合し、必要に応じて、上記各種添加剤を配合することにより製造することができる。各添加剤の配合、混合、添加方法としては、特に制限されることがなく、種々の方法を採用することができる。配合、混合、添加の順序についても特に制限されることがなく、種々の方法を採用することができる。例えば、潤滑油の基油に直接各種添加剤を添加し、加熱して混合する方法や、予め添加剤の高濃度溶液を調製し、これらと基油とを混合する方法などを用いても良い。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<エステル化合物(A)〔表2中、A成分と表記する。〕の調製>
〔エステルIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)を800g、3, 5, 5−トリメチルヘキサン酸を2674g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
〔エステルIIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を750g、2−エチルヘキサン酸を2660g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は98%であった。
〔エステルIIIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を700g、3, 5, 5−トリメチルヘキサン酸を2684g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
〔エステルIVの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール(PE)を600g、2−エチルヘキサン酸を2796g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
〔エステルVの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機および空冷管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)を500g、イソステアリン酸を2868g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は96%であった。
〔エステルVIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機および空冷管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を450g、NAA−34(日油社製、工業用オレイン酸)を2984g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は97%であった。
〔エステルVIIの合成〕
温度計、窒素導入管、攪拌機、ジムロート、および検水管を取り付けた5Lの4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン(TMP)を600g、カプリン酸を2542g仕込み、窒素気流下、240℃で反応水を留去しつつ常圧で24時間反応させた。エステル化反応後、240℃、5torrで残存カルボン酸を留去した。ガスクロマトグラフィーで分析した結果、得られたエステルの純度は99%であった。
上記エステルI〜VIIのエステル合成において使用した原料を表1にまとめる。
Figure 0006836037
<摩耗防止剤 ジチオリン酸エステル誘導体(B)〔表2中、B成分と表記する。〕>
摩耗防止剤としては、ジチオリン酸エステル誘導体(B)であるAW−1、AW−2、その他摩耗防止剤のAW−3、AW−4を使用した。
(AW−1)プロパン酸, ビス(2−メチルプロポキシ)フォスフィノチオールチオ−2−メチル(BASF社製、IRGALUBE 353)
(AW−2)エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル] チオ] プロピオネート(BASF社製、IRGALUBE 63)
(AW−3)リン酸トリクレジル(LANXESS 社製、DISFLAMOLL TKP-P)
(AW−4)アミン, C11〜14−側鎖アルキル, モノヘキシルおよびジヘキシルフォスフェート(BASF社製、IRGALUBE 349)
<塑性加工用潤滑油組成物の調製>
上記で得られたエステルI〜VII またはパラフィン系鉱物油(JXTGエネルギー社製スーパーオイルK22)に、摩耗防止剤(AW−1〜AW−4)を表2記載の配合量で配合し、70℃で1時間混合することで、実施例1〜7、および比較例1〜14の塑性加工用潤滑油組成物を得た。
なお、表2中のB成分の配合量は、A成分の含有量100重量部に対する配合量である。
〔塑性加工用潤滑油組成物の評価〕
表2に記載の塑性加工用潤滑油組成物について以下の評価を実施した。
(摩擦係数の測定:SRV試験)
ボールオンディスク型SRV試験機において、10mm鋼球を用い、40℃、130N、10Hz、ストローク2mmにて35分間試験を実施した。その際、試験開始から15分後、30分後の摩擦係数を測定し、その平均値を摩擦係数Ave.として表2に記載した。
(摩耗痕径の測定:SRV試験)
上記摩擦係数測定にて使用した35分後の鋼球の摩耗痕径を、落射型光学顕微鏡を用いて測定した。摩耗痕径は、摩耗痕の縦の長さ、横の長さの平均値として表2に記載した。
(酸化安定性:RBOT試験)
日本工業規格JIS K2514(1996)に従いタービン油酸化安定度試験(RBOT)を実施した。表2に記載した数字は、最大圧力から急激な圧力降下が確認されるのに要した時間(分)を表し、数値が大きいほど、酸化安定性が高いことを示す。
Figure 0006836037
表2に記載の実施例1〜7に示されるように、本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、高い摩擦係数を有し、優れた耐摩耗性を有し、酸化安定性にも優れることが分かる。
例えば、実施例2,5と比較例2との対比から、エステルIIにジチオリン酸エステル誘導体(AW−1またはAW−2)を配合することによって、摩擦係数を低下させずに摩耗痕径を低減することができ、酸化安定性も低下しないことが分かる。
一方、比較例5,6と比較例2との対比から、エステルIIにジチオリン酸エステル誘導体(B)と異なる摩耗防止剤を配合することによって、摩耗痕径は低減するものの、摩擦係数が低下するので圧延加工や転造加工でスリップ発生のおそれがあることが分かる。
また、比較例7〜14に示されるように、本発明におけるエステル化合物に代えて、他のエステルやパラフィン系鉱物油を用いた場合には、耐摩耗性や酸化安定性の点で本発明ほどの効果が得られないことも分かる。
したがって、本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、圧延加工や転造加工などにおいてスリップの発生を抑制し、耐摩耗性にも優れることが分かる。
本発明の塑性加工用潤滑油組成物は、高い摩擦係数を有し、かつ耐摩耗性に優れ、高い酸化安定性を有する。このため、本発明の組成物は、塑性加工分野において、特にスリップが発生し易い、圧延加工や転造加工などの塑性加工における潤滑油として好適に使用でき、製品の不具合発生等を大幅に減らすことができる。

Claims (1)

  1. 下記のエステル化合物(A)および下記のジチオリン酸エステル誘導体(B)を含有し、エステル化合物(A)100重量部に対して、ジチオリン酸エステル誘導体(B)を0.01〜5重量部含有する塑性加工用潤滑油組成物。
    (A)炭素数が5〜10であり、アルコールの価数が2〜6価のネオペンチルポリオールと、炭素数が5〜12の分岐飽和モノカルボン酸とのエステル化合物
    (B)下記式で表されるジチオリン酸エステル誘導体
    Figure 0006836037
    (RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Aは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
JP2017193883A 2017-10-03 2017-10-03 塑性加工用潤滑油組成物 Active JP6836037B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193883A JP6836037B2 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 塑性加工用潤滑油組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193883A JP6836037B2 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 塑性加工用潤滑油組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019065222A JP2019065222A (ja) 2019-04-25
JP6836037B2 true JP6836037B2 (ja) 2021-02-24

Family

ID=66339025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017193883A Active JP6836037B2 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 塑性加工用潤滑油組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6836037B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019065222A (ja) 2019-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101373967B1 (ko) 산업 유체의 산화 안정도 향상 방법
JP5412116B2 (ja) 分枝状アルキル基含有エステルの滑剤としての使用
JP4466850B2 (ja) 軸受用潤滑油
US8742149B2 (en) Metalworking fluid base oil
MX2014001304A (es) Composiciones lubricantes con estabilidad de oxidación y vida de servicio mejoradas.
KR20130028033A (ko) 윤활 조성물
EP0819754A1 (de) Beta-Dithiophosphorylierte Propionsäure in Schmierstoffen
JP6884332B2 (ja) 潤滑油組成物
KR20170002628A (ko) 윤활유
EP2825621B1 (en) Friction modifier composition for lubricants
JP6578902B2 (ja) 油圧作動油組成物
EP0193870A2 (en) Cold rolling mill lubricant and method of manufacturing steel sheets
EP3052598B1 (en) GEAR OIL COMPOSITION
WO2019155739A1 (ja) 潤滑油用添加剤組成物及び潤滑油組成物
KR102124103B1 (ko) 개선된 마모방지 특성을 갖는 윤활제 조성물
JP5231053B2 (ja) 潤滑油組成物
JP6836037B2 (ja) 塑性加工用潤滑油組成物
JP5140070B2 (ja) ギヤ油組成物
US10544172B2 (en) Phosphate composition
JP2001504142A (ja) 航空タービン油のデポジット形成傾向を低減させると共に抗酸化性を改善する硫黄含有カルボン酸誘導体
JP2004162067A (ja) 短鎖酸を含む高温安定性潤滑剤組成物及びその製造方法
JPH11209775A (ja) 工作機械油組成物
JP2017101149A (ja) 潤滑剤用基油
JP4376701B2 (ja) 導電性潤滑油組成物
JP2018188495A (ja) 金属加工用潤滑油組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200529

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6836037

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250