JP2001504142A

JP2001504142A - 航空タービン油のデポジット形成傾向を低減させると共に抗酸化性を改善する硫黄含有カルボン酸誘導体

Info

Publication number: JP2001504142A
Application number: JP50615798A
Authority: JP
Inventors: キム・ジーノク・ティ; ゴディシ・パトリック・イー; ベルロウィッツ・ポウル・ジェイ; ベルトザー・モートン
Original assignee: エクソンリサーチアンドエンジニアリングカンパニー
Priority date: 1996-07-12
Filing date: 1997-07-11
Publication date: 2001-03-27
Also published as: US5856280A; EP0914408A4; EP0914408A1; CA2259187A1; WO1998002509A1

Abstract

(57)【要約】本発明は、抗酸化性及びデポジットの形成されにくさを増したターボ油組成物にあり、及びターボ油にその成果をもたらす方法に関する。本発明のガスタービン潤滑油は、大きな比率のジエステル及びポリオールエステルなどの合成ポリオールエステルを主成分とする基材油、好ましくはポリオールエステルを主成分とする基材油と、小さな比率の酸化防止剤/デポジット制御添加剤、具体的には硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体とを含む。極圧、流動点降下、酸化安定、消泡、加水分解安定、粘度指数向上、耐摩耗、及び腐食防止添加剤などの他の従来の添加剤及びその他の添加剤も用いてもよい。ＳＣＣＡ誘導体の使用により、ＳＣＣＡ誘導体を用いないターボ油が示す酸化安定性及びデポジット制御性能よりも著しくすぐれた酸化安定性及びデポジット制御性能を示すターボ油が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】航空タービン油のデポジット形成傾向を低減させると共に抗酸化性を改善する硫黄含有カルボン酸誘導体発明の背景発明の技術分野本発明は、すぐれた抗酸化性及び低減されたデポジット形成傾向を示す、エステルを主成分とした、特にジエステル及びポリオールエステルを主成分としたターボ油に関する。特に、それは、基油としてのペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステルと、酸化安定性を増大させデポジット形成を低減させる二元機能添加剤として用いられる硫黄含有カルボン酸誘導体とを含むターボ油に関する。関連技術の説明鉱油及び潤滑組成物などの有機組成物は、酸化による劣化を受けやすく、特に、空気の存在下の高温でそのような劣化を受けやすい。この劣化は、しばしば、エンジン部品を汚し、性能を劣化させ、保守を煩わしくする不溶性のデポジットの形成につながる。これは特に、温度範囲が広く操作条件が極端になりそうなジェット航空機に用いられる潤滑油の場合である。航空機ガスタービンの適当な潤滑は、例えば、最低−６５°Fから最高４５０〜５００°Ｆのバルク油温度で作用することができる必要がある。大部分の潤滑剤は、それらの酸化を抑制する添加剤を含有する。例えば、米国特許第3,773,665号には、ジオクチルジフェニルアミン及び置換ナフチルアミンの抗酸化添加剤の混合物を含有する潤滑油組成物が開示されている。米国特許第 3,759,996号、3,573,206号、3,492,233号、3,509,214号には、アルキル化ジフェニルアミンと置換ナフチルアミンとを酸化結合するいろいろな方法が開示されている。米国特許第4,820,430号には、好適なチオジプロピオン酸誘導体と好適なアルコールまたはアミン含有化合物とを反応させることによって調製された多官能性及び抗酸化特性を付与するプロピオン酸誘導体または添加物の銅塩含有潤滑油組成物が開示されている。米国特許第4,189,388号には、ペンタエリスリトールエステルを基油とする油を含み、ペンチル-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ポリヒドロキシアントラキノン、ホスフェートエステル及びチオ酸誘導体を含有する酸化安定性を改善した合成潤滑油組成物が開示されている。上記のチオ酸誘導体は、ジラウリルチオジプロピオネート及びN,N'-ジ（β-ウンデシル）チオジプロピオンアミドなどのチオジエステルまたはジアミドである。米国特許第4,157,971号には、チオ酸誘導体がアルキルチオ酸エステルと取り替えられている点が異なるが米国特許第4,189,388号に記載されたのと同様の潤滑油組成物が述べられている。アルキルチオ酸エステルの例は、２-ブチルチオ-イソオクチルグリコレ-ト、３-ブチルチオ-イソヘキシルプロピオネートなどである。米国特許第4,174,284号には、ヒドロカルビルポリチオ安息香酸の存在下で改善された抗酸化特性を示す液体炭化水素含有有機組成物が開示されている。ポリチオ結合内の硫黄原子の数は、２〜８の範囲であり、説明されたこのような化合物の例は、２-n-ヘキシル-ジチオ安息香酸及び２-n-ドデシルテトラチオ-４-シクロヘキシル安息香酸などである。日本特許第63-210,194-A号には、チオジプロピオン酸及び第三アルコールから得られるチオジプロピオネートエステルを含有する、圧縮機油、ターボ過給油などとして有用な熱及び酸化性に安定な潤滑油が開示されている。欧州特許第227,948-A号には、トリス-アルキル-フェニルホスファイト（Ｉ）及びジアルキル-チオ-ジプロピオネート（II）を含有するポリオレフィン安定化組成物について開示されている。IIは、Ｉの安定化効果を相垂的に高め、ポリオレフィンの溶融加工及び色安定性を改善する。ポリオールエステルを基油とするターボ油のデポジット防止及び抗酸化特性は、硫黄含有添加剤、具体的には、チオサリチル酸（ＴＳＡ）などの硫黄含有カルボン酸誘導体またはチオジプロピオン酸（ＴＤＰＡ）などのチオエステルを少量添加することによって非常に高めることができる。発明の要約本発明は、抗酸化性及びデポジットの形成されにくさを増したターボ油組成物にあり、及びターボ油にその成果をもたらす方法に関する。本発明のガスタービン潤滑油は、大きな比率のジエステル及びポリオールエステルなどの合成ポリオールエステルを主成分とする基材油、好ましくはポリオールエステルを主成分とする基材油と、小さな比率の抗酸化/デポジット制御添加剤、具体的には硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を含有する。極圧、流動点降下、酸化安定、消泡、加水分解安定、粘度指数向上、耐摩耗、及び腐食防止添加剤などの他の従来の添加剤及びその他の添加剤も用いてもよい。ＳＣＣＡ誘導体の使用により、ＳＣＣＡ誘導体を用いないターボ油が示す酸化安定性及びデポジット制御性能よりも著しくすぐれた酸化安定性及びデポジット制御性能を示すターボ油を生じる。発明の詳細な説明予想以上にすぐれたデポジット性能を有するターボ油は、合成エステル基油の油主成分とＳＣＣＡ誘導体の微量成分とを含有する。合成エステルは、ジエステル及びポリオールエステルなどである。本発明の改善されたデポジット防止ターボ油のために用いうるジエステルは、線状及び分岐のＣ₆-Ｃ₁₅脂肪族アルコールと、アジピン酸、セバシン酸、またはアゼライン酸などの二塩基酸の一つとのエステル化によって合成される。ジエステルの例は、ジ-２-エチルヘキシルセバケート及びジオクチルアジペートである。合成ポリオールエステル基油は、脂肪族ポリオールとカルボン酸とのエステル化によって合成される。脂肪族ポリオールは、４〜１５の炭素原子を含有し、２〜８のエステル化可能なヒドロキシル基を有する。ポリオールの例は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリペンタエリスリトール及びそれらの混合物である。合成ポリオールエステル基油を合成するために用いられるカルボン酸反応体は、脂肪族モノカルボン酸または、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の混合物から選択される。カルボン酸は、４〜１２の炭素原子を含有し、直鎖または分岐鎖脂肪族酸などであり、モノカルボン酸の混合物を用いてもよい。好ましいポリオールエステル基油は、工業ペンタエリスリトール及び、Ｃ₄-Ｃ₁₂ カルボン酸の混合物から調製されるポリオールエステル基油である。工業ペンタエリスリトールは、約８５〜９２％のモノペンタエリスリトール及び約８〜１５％のジペンタエリスリトールを含む混合物である。一般的な市販工業ペンタエリスリトールは、式：によって表されるモノペンタエリスリトール約８８％と、式：によって表されるジペンタエリスリトール約１２％とを含有する。工業ペンタエリスリトールは、また、工業ペンタエリスリトールの製造中に通常、副産物として合成される若干のトリ及びテトラペンタエリスリトールを含有してもよい。アルコール及びカルボン酸からのエステルの調製は、当業者には周知の従来の方法及び技術を用いて行なうことによりできる。一般に、工業ペンタエリスリトールは、任意に触媒の存在下で所望のカルボン酸混合物と共に加熱される。概して、わずかに過剰の酸を使用してその反応を強制的に完了させる。水分が反応中に除かれ、そして過剰の酸は、反応混合物から取り除かれる。工業ペンタエリスリトールのエステルを、更に精製せずに用いてもよく、または蒸留などの従来の技術を用いて更に精製してもよい。本明細書及び次の請求の範囲について、用語「工業ペンタエリスリトールエステル」は、工業ペンタエリスリトール及び、Ｃ₄-Ｃ₁₂カルボン酸の混合物から調製されるポリオールエステル基油を意味するものとして理解される。先述のように、ポリオールエステル基材油に、微量成分の硫黄含有カルボン酸誘導体がデポジット防止及び酸化抑制添加剤として添加される。硫黄含有カルボン酸誘導体は、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁ -Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、水素、またはＣ₁-Ｃ₈アルキルで廊り、Ｒ₂は、水素、または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なったＣ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ ''は、同一または異なるものでもよく、水素、またはＣ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される。Ｒ'及びＲ''の少なくとも一つが水素であるのが好ましい。上記の説明に対応する硫黄含有カルボン酸誘導体の代表例は、式：によって表されるメルカプトカルボン酸またはそれらのエステル、及びそのいろいろな異性体（Ｒ₂及びＲ'が上記の通りであり、好ましくはＲ₂及びＲ'が水素である）、及び構造式：［式中、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表されるチオエーテルカルボン酸（ＴＥＣＡ）またはそれらのエステルである。Ｒ'及びＲ''の少なくとも一つが水素であるのが好ましい。好ましいＴＥＣＡは、Ｒ₁及びＲ₃がＣ₂-Ｃ₄線状アルキレンであり、Ｒ'及びＲ ''のいずれかまたは両方が水素であり、好ましくは両方が水素である。ＳＣＣＡ誘導体は、１００〜２０００ppm、好ましくは２００〜１０００ppm、最も好ましくは３００〜６００ppmの範囲の量で用いられる。デポジット低減油、好ましくは合成ポリオールエステルを基油とするデポジット低減油は、また、以下の種類の添加剤の一つ以上を含む：消泡剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、加水分解安定剤、金属不活性化剤、清浄剤及び他の酸化防止剤。このような他の添加剤の合計量は、０．５〜１５重量％、好ましくは２〜１０重量％、最も好ましくは３〜８重量％の範囲でありうる。用いうる酸化防止剤は、アリールアミン、例えば、アルキル化フェニルナフチルアミン及びジアルキルジフェニルアミン及びそれらの混合物、ヒンダードフェノール、フェノチアジン、及びそれらの誘導体などである。酸化防止剤は、一般に、１〜５％の範囲の量で用いられる。耐摩耗添加剤は、ヒドロカルビルホスフェートエステル、特に、そのヒドロカルビルラジカルがアリールまたはアルカリールラジカルまたはそれらの混合物であるトリヒドロカルビルホスフェートエステルなどである。特定の耐摩耗添加剤は、トリクレジルホスフェート、t-ブチルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、及びそれらの混合物などである。耐摩耗添加剤は、一般に、０．５〜４重量％、好ましくは１〜３重量％の量で用いられる。腐食防止剤は、いろいろなトリアゾール、例えば、トリルトリアゾール、１, ２,４ベンゼントリアゾール、１,２,３ベンゼントリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アルキル化ベンゾトリアゾール及び有機二価酸、例えば、セバシン酸などであるがこれらに制限されない。腐食防止剤は、０．０２〜０．５重量％、好ましくは０．０５〜０．２５重量％の量で用いられる。上記のように、加水分解安定剤、流動点降下剤、消泡剤、粘度及び粘度指数向上剤などの他の添加剤も用いることができる。潤滑油添加剤は、概して『Lubricants and Related Products』（ディーター・クラマン著、ケミー出版、フロリダ州、デアフィールド、１９８４年）及び『 Lubricant Additives』（Ｃ.Ｖ.スマルヒーア及びＲ・ケネディ・スミス共著、１９６７年、１〜１１ページ）（その内容を本願明細書に引用したものとする）に記載されている。添加剤の組合せは、潤滑油などのエステル流体、特に高温航空電子工学用途（タービンエンジン油）に有用なそれらのエステル流体に有用である。本発明の添加剤の組合せは、傾斜パネルデポジット試験（Inclined Panel Deposition Test ）で測定すると、すぐれたデポジット抑制性能及び改善された酸化安定性を示す。本発明は更に、以下の非制約的な実施例を参照することによって説明される。実施例１この実施例では、傾斜パネルデポジット試験（「ＩＰＤＴ」）で十分に配合された油を評価することによって、本発明の最も好ましい実施例のデポジット性能について説明する。最も好ましいＴＥＣＡ誘導体は、３,３'チオジプロピオン酸（ＴＤＰＡ）、化合物VII（Ｒ'及びＲ''がＨ、Ｒ₁及びＲ₃がＣ₂Ｈ₄）である。ＴＤＰＡは、MIL-L-23699規格の扱う範囲の用途に好適な完成ターボ油調合物にブレンドされた。これらの調合物において用いられる基材油は、Ｃ₅〜Ｃ₁₀の市販の酸の酸混合物によって作製された工業ペンタエリスリトール（ＰＥ）エステルであった。添加剤パッケージは、ジアリールアミン酸化防止剤の他、トリアリールホスフェートを含有する普通に用いられる金属不活性化剤（パシベータ）、アルキル化ベンゾトリアゾールからなる腐食防止剤、加水分解安定剤を含む。ＩＰＤＴは、ステンレス鋼パネル（パネル本体の孔に挿入された２つのヒーターによって電気加熱された）からなる卓上試験である。試験温度は、２４時間の試験全体にわたり一定の高さに保持され、記録熱電対を用いてモニターされる。パネルを４°の角度に傾け、油を加熱されたパネル上に上面付近で滴下し、その油をパネル表面の長さ方向を流動させ、加熱された表面の端部から滴らせ、油リザーバに再利用する。その油は、試験室中を流動する空気と接触して薄い可動薄膜を形成する。パネル上に形成されたデポジットが、ベアリングリグ試験（FED ．Test Method STD．No.791C，Method 3410.1）において形成されたデポジットのために用いられたスケールと同じスケールで評価される。ワニスデポジットは、０（きれいな金属）〜５（ヘビーワニス）に評価される。スラッジデポジットは、６（ライト）〜８（ヘビー）に評価される。カーボンデポジットは、９（ライトカーボン）〜１１（ヘビー／厚いカーボン）に評価される。より高い評価（１２〜２０）は、試験中に縮れたり金属表面から薄片状に剥離するカーボンデポジットに与えられる。２４時間で形成されたデポジットの合計の重量も測定される。更に、使用された油の、４０℃で測定された最終粘度、mgKOH/gで表された全酸価（「ＴＡＮ」）が、試験の完了後に測定される。測定された粘度及びＴＡＮの守化により、油の酸化安定性を評価する。表１は、（基材油に対して）０．０５重量％のＴＤＰＡを使用することにより有意に、５６０、５７０、５８０°Fの３つの異なった温度の試験において完成ターボ油の抗酸化性を改善し、デポジット形成を低減させることを示す。ＴＤＰＡの効果を評価するときに、一連の完成基礎ターボ油（ＦＴＯ１、ＦＴＯ２、ＦＴＯ３）を用いた。これらの基礎ＦＴＯ調合物の各々に、０．０５重量％のＴＤＰＡを添加し、ＴＤＰＡを使用及び不使用の場合の二つの性能を直接比較する。ＦＴＯ１、ＦＴＯ２、ＦＴＯ３の組成物は、脂肪酸の分布がやや異なり（すなわち、ＦＴＯ１及びＦＴＯ２中４０モル％のn-Ｃ₅酸、ＦＴＯ３中５５モル％のn- Ｃ₅酸）、アリールアミン酸化防止剤の濃度がやや異なる（ＦＴＯ１では２．７重量％、ＦＴＯ２では１．９重量％、ＦＴＯ３では２．５重量％）。これらの基礎ＦＴＯ調合物の各々において、０．０５％のＴＤＰＡを添加することにより、評価が改善され、ＴＤＰＡを含有しない調合物と比較してデポジットの形成、粘度及びＴＡＮ増加を劇的に低減させた。粘度及びＴＡＮ増加の低減は予想以上である。デポジット重量の低減は、溶けた高分子量の部分酸化された分子の濃度をより大きくする油により初期デポジットを可溶化しうるためであり、このため粘度及びＴＡＮを増加させることがある。しかしながら、表１は、明らかに、このような効果がみられないことを示す。ＴＤＰＡ含有調合物の粘度及びＴＡＮの変化が劇的により小さくなるが、それは、ＴＤＰＡが存在するときデポジットが低減されるだけでなく、同量の初期デポジット及び他の部分酸化種が形成されないことを示す。表１は、また、ＴＤＰＡの半エステル及び完全エステルの使用に関するデータを含む。完全エステルであるチオジプロピオンメチルエステル（ＴＤＭＥ）は、ＴＤＰＡの半エステルであるn-ヘプチル-β-(２カルボキシエチルメルカプト)- プロピオネート（ＨＣＰ）と同様に、有効なデポジット制御添加剤であることがわかった。驚くべきことに、チオ二酢酸（ＴＤＡＡ）は、デポジット制御添加剤として有効でないことがわかった。ＴＤＡＡのこの不活性は、ＴＥＣＡ誘導体が基材油の酸化によるラジカルを除去するのに必要な移動β-Ｈが存在しないためであるかもしれない。実施例２別のＳＣＣＡ誘導体、すなわち、チオサリチル酸（ＴＳＡ）、化合物VI（Ｒ₂ 及びＲ'がＨ）を用いて、実施例１に示されるのと同様なデポジット及び抗酸化性の利点が示される。実施例１と同様に、ＦＴＯ４及びＦＴＯ５の２つの異なった完成ターボ油調合物を用いてＴＳＡの性能の利点を評価した。ＦＴＯ4のPEエステル基材油がＦＴＯ３のＰＥエステル基材油よりもn-Ｃ₅酸のモル％が高く（５７％）、ＦＴＯ５がＦＴＯ３よりも低いアミン酸化防止剤処理比率（約１．６重量％）を含有することを除き、ＦＴＯ４及びＦＴＯ５の組成は、ＦＴＯ３の組成と同様である。５６０°Fまたは５７０°Ｆの実験において、ＴＳＡの使用に伴いデポジット及び酸化安定性が改善されるが、後者は基礎調合物と比較して粘度及びＴＡＮ増加が劇的に低くなることを示す。実施例３表３は、チオフェンカルボン酸（ＴＣＡ）及び２-ドデシルチオ-５-メルカプト-１,３,４-チアジアゾール-５-酢酸（ＤＴＡＡ）などの他のＳＣＣＡ化合物の使用は、ＴＤＰＡ及びＴＳＡなどのデポジット及び酸化安定性の利点を提供しないことを示す。ＴＣＡ及びＤＴＡＡにブレンドするのに用いられた基礎ターボ油調合物は、実施例１に示されたＴＤＰＡ含有調合物の２つと同じである。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項【提出日】平成１０年７月２日（１９９８．７．２）【補正内容】請求の範囲１．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素である］によって表される硫黄含有カルボン酸(ＳＣＣＡ) 誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。２．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈ アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、異なっており、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される硫黄含有カルボン酸(ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。３．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレン、アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₁及びＲ₃は、異なっており、Ｃ₂-Ｃ₄アルキレン、アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、異なっており、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される硫黄含有カルボン酸(ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。４．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレン、アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₄アルキレン、アリーレンであり、Ｒ''は、水素である］によって表される硫黄含有カルボン酸 (ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。５．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素である］によって表される硫黄含有カルボン酸(ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。６．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'及びＲ''は、異なっており、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。７．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₄アルキレンであり、Ｒ'及びＲ''は、水素である］によって表される硫黄含有カルボン酸( ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。８．ＳＣＣＡ誘導体が、１００〜２０００ppmの範囲の量で用いられる請求項１、２、３、４、５、６または７のいずれかに記載のターボ油組成物。９．合成ポリオールエステルを主成分とする基材油が、４〜１２の炭素原子を含有するカルボン酸と、４〜１５の炭素原子及び２〜８のエステル化可能なヒドロキシル基を有する脂肪族ポリオールとの反応させられたエステル化生成物である請求項１、２、３、４、５、６または７のいずれかに記載のターボ油組成物。１０．合成エステルを主成分とする基材油が、工業ベンタエリスリトールとＣ₄- Ｃ₁₂カルボン酸の混合物とのエステル化生成物である請求項９に記載のターボ油組成物。１１．硫黄含有カルボン酸誘導体が、構造式：［式中、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₃は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、異なっており、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される請求項２に記載のターボ油組成物。１２．Ｒ₃が、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレンであり、Ｒ₁が、アリーレンである請求項４に記載のターボ油組成物。１３．ターボ油に１００〜２０００ppmの量の硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁ -Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素である］によって表される方法。１４．ターボ油に１００〜２０００ppmの量の硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁ −Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈ アルキルである］によって表される方法。１５．ターボ油に１００〜２０００ppmの量の硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレン、アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、基：であり、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレン、アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される方法。１６．ターボ油に１００〜２０００ppmの量の硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素である］によって表される方法。１７．ターボ油に１００〜２０００ppmの量の硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素または基：り、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシまたはエステル基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される方法。１８．ターボ油に硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって、合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₄線状アルキレンであり、Ｒ'及びＲ''は、水素である］によって表される方法。１９．ＳＣＣＡが添加され、合成ポリオールエステルを主成分とする基材油が、４〜１２の炭素原子を含有するカルボン酸と、４〜１５の炭素原子及び２〜８のエステル化可能なヒドロキシル基を有する脂肪族ポリオールとの反応させられたエステル化生成物である請求項１３、１４、１５、１６、１７または１８のいずれかに記載の方法。２０．合成エステルを主成分とする基材油が、工業ペンタエリスリトールとＣ₄- Ｃ₁₂カルボン酸の混合物とのエステル化生成物である請求項１９に記載の方法。２１．硫黄含有カルボン酸において、Ｒ₁は、アリーレンである請求項１４に記載の方法。２２．硫黄含有カルボン酸において、Ｒ₁は、アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、両方とも水素である請求項１５に記載の方法。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＣＡ，ＪＰ，ＳＧ (72)発明者ゴディシ・パトリック・イーアメリカ合衆国、ニュージャージー州 07946、ミリングトン、ノースフィールドロード 183 (72)発明者ベルロウィッツ・ポウル・ジェイアメリカ合衆国、ニュージャージー州 08520、イーストウインドザー、ジェイムスタウンロード 939 (72)発明者ベルトザー・モートンアメリカ合衆国、ニュージャージー州 07090、ウエストフィールド、ノーマンプレイス 724

Claims

【特許請求の範囲】１．合成エステルを主成分とする基材油主成分と、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁ -Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素、または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される硫黄含有カルボン酸(ＳＣＣＡ)誘導体の微量成分とを含む、増大したデポジットの形成されにくさ及び改善された酸化安定性を示すターボ油組成物。２．ＳＣＣＡ誘導体が、１００〜２０００ppmの範囲の量で用いられる請求項１に記載のターボ油組成物。３．合成ポリオールエステルを主成分とする基材油が、４〜１２の炭素原子を含有するカルボン酸と、４〜１５の炭素原子及び２〜８のエステル化可能なヒドロキシル基を有する脂肪族ポリオールとの反応させられたエステル化生成物である請求項１に記載のターボ油組成物。４．合成エステルを主成分とする基材油が、工業ペンタエリスリトールとＣ₄-Ｃ₁₂ カルボン酸の混合物とのエステル化生成物である請求項３に記載のターボ油組成物。５．硫黄含有カルボン酸誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）であり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される請求項１、２、３、または４のいずれかに記載のターボ油組成物。６．Ｒ'及びＲ''のいずれかまたは両方がＨであり、Ｒ₁及びＲ₃がＣ₂-Ｃ₄ 線状アルキレンである請求項５に記載のターボ油組成物。７．硫黄含有カルボン酸誘導体が、構造式：［式中、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素、または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₃は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される請求項１、２、３、または４のいずれかに記載のターボ油組成物。８．Ｒ'及びＲ''のいずれかまたは両方が水素である請求項７に記載のターボ油組成物。９．ターボ油に硫黄含有カルボン酸（ＳＣＣＡ）誘導体を添加することによって合成エステルを主成分とするターボ油のデポジットの形成されにくさを増大させると共に酸化安定性を改善するための方法において、該ＳＣＣＡ誘導体が、構造式：［式中、Ｒ₁は、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁ -Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'は、水素またはＣ₁-Ｃ₈アルキルであり、Ｒ₂は、水素、または基：であり、Ｒ₂が、であるとき、Ｒ₁及びＲ₃は、同一または異なるものでもよく、Ｃ₂-Ｃ₁₂アルキレン（カルボキシ基が、少なくとも２個の炭素を含有する線状アルキレン基によってＳから分離されている）、アリーレン、Ｃ₁-Ｃ₈アルキル置換アリーレンであり、Ｒ'及びＲ''は、同一または異なるものでもよく、水素、Ｃ₁-Ｃ₈アルキルである］によって表される方法。