JP7317188B2 - 変性油溶性ポリアルキレングリコール - Google Patents

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Description

本開示は、ポリアルキレングリコールに関し、より具体的には、変性油溶性ポリアル
キレングリコールに関する。
近年装置で使用されている潤滑剤の大部分は、炭化水素基油を使用して製造されてい
る。これは、典型的には、鉱油または合成炭化水素油(ポリアルファオレフィンなど)で
ある。米国石油協会(API)は、炭化水素基油を、それらの粘度指数、飽和レベル、お
よび硫黄レベルに基づいて、グループI、II、III、およびIVの基油に区分した。
業界のマクロトレンドは、より良好な摩擦制御(より低い摩擦係数)を有する流体を
使用して、よりエネルギー効率の高い潤滑剤を開発することである。加えて、より高い粘
度指数を有する潤滑剤の必要性が存在する。グループIVの基油(ポリアルファオレフィ
ン、PAO)は、最も高いVI値を有するが、高価である。グループIIIの基油は、グ
ループIおよびIIの基油よりも高い値を有する。
粘度指数は、温度範囲にわたって油の粘度がどの程度変化するかを示す尺度である。
これは、ASTM D2270を使用して、40℃および100℃での動粘度に基づく計
算から導き出される。より高い粘度指数値は、この温度範囲にわたって粘度の変化が少な
いことに対応する。高い粘度指数を有する潤滑剤は、広い温度範囲にわたってより一貫し
た粘度を維持するために望ましい。油粘度が高くなりすぎた場合、例えば、自動車のエン
ジンでは、燃料効率が低下する。油粘度が低くなりすぎた場合、過度のエンジンの摩耗が
発生し得る。この温度範囲にわたって粘度のわずかな変化のみを示す流体(すなわち、そ
れらは高い粘度指数を有する)が望まれている。
粘度指数向上剤は、温度範囲にわたる油粘度の変化を低減させる傾向がある添加剤で
ある。典型的な粘度指数向上剤としては、例えば、ポリアルキルメタクリレートおよびオ
レフィンコポリマーが挙げられる。粘度指数向上剤は、エンジンオイルの粘度指数を増加
させ得るが、残念ながら一方では、低温(例えば、0℃または-10℃)でのエンジンオ
イルの粘度を増加させる傾向もある。低温粘度は、低温環境下でエンジンを始動する場合
に考慮することが重要である。エンジンオイルは、エンジン部品を保護するために、摩耗
を防ぐのに十分な粘性のある膜を形成することが重要であるが、一方では、エンジンオイ
ルは、油からの過剰な粘性抵抗による大きい摩擦損失を引き起こすため、それほど粘性を
有さないことも重要である。したがって、低温粘度(例えば、0℃)も低減させる添加剤
または共基流体を見出すことが非常に望まれる。
UCON(商標)OSPの商品名で販売されている油溶性ポリアルキレングリコール
(OSP)は、3~150センチストークス(cSt)の100℃での動粘度(KV10
)を有する。エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)から誘導さ
れる従来のポリアルキレングリコール(PAG)とは異なり、OSPは炭化水素油に可溶
である。近年、潤滑剤の大部分は、炭化水素油に基づいている。OSPは、その優れた可
溶性によって炭化水素系調合物の共基油(全組成物の重量に基づいて10~50重量パー
セント(重量%))および添加剤(全組成物の重量に基づいて最大10重量%)として使
用されている。OSPは、優れた性能機能性を提供し、摩擦制御(自動車用潤滑剤の燃費
に役立つ)および堆積制御(流体の長寿命に役立つ)を改善し得る。
上記のOSPのより低い粘度の部材は、自動車の潤滑剤調合者にとって特に興味深い
ものである。残念ながら、低粘度のOSPはまた、低粘度指数値(例えば、粘度指数=1
20)も有する。化学変性を通してOSPの粘度指数値を改善し、炭化水素油の成分とし
て使用することが好ましいであろう。したがって、これを達成するためにOSPを開発す
る必要性が、当技術分野において存在し、それによって、それらが炭化水素油に添加され
ると、それらは可溶し、粘度指数値を高め、加えてそれらの低温特性を改善する。
本開示は、可溶性であり、炭化水素油の粘度指数値を高めると同時に、得られる潤滑
剤調合物の低温特性も改善する、油溶性ポリアルキレングリコール(OSP)を提供する
。これらの驚くべき予想外の特性は、エステル化OSPの結果であり、それは、潤滑剤調
合物に使用される炭化水素基油に添加される場合、効果的な粘度指数向上剤および効果的
な低温粘度低下剤として機能する。加えて、本開示のエステル化OSPは、炭化水素基油
中で摩擦調整剤としての利益も示す。
本開示は、基油と、式Iのエステル化油溶性ポリアルキレングリコール(E-OSP
)とを含む潤滑剤調合物を提供する。
[O(RO)(RO)(C=O)R 式I
式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子
を有する分岐アルキル、または6~30個の炭素原子を有するアリールであり、ROは
、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、
ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブ
ロックまたはランダム分布であり、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル
、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するア
リールであり、nおよびmは、それぞれ独立して、0~20の範囲の整数であり、n+m
は、0より大きく、pは、1~4の整数である。本開示はまた、内燃機関用の潤滑剤調合
物の形成方法も提供する。この方法は、本明細書に記載されるように、基油を用意するこ
とと、本明細書に記載されるように、式IのE-OSPを基油と混合して、内燃機関用の
潤滑剤調合物を形成することと、を含む。潤滑剤調合物は、好ましくは内燃機関で使用さ
れる。
本開示は、ROが、1,2-ブチレンオキシドから誘導される潤滑剤調合物の実施
形態をさらに含む。式IのE-OSPの他の好ましい値は、Rが、1~8個の炭素原子
を有する直鎖アルキルであることを含む。好ましくは、Rは、10~14個の炭素原子
を有する直鎖アルキルである。
本開示の潤滑剤調合物は、式IIの油溶性ポリアルキレングリコール(OSP)をさ
らに含み得る。
[O(RO)(RO)-H 式II
式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子
を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、ROは
、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、
ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブ
ロックまたはランダム分布であり、nおよびmは、それぞれ独立して、0~20の範囲の
整数であり、n+mは、0より大きく、pは、1~4の整数であり、式IIのOSPは、
基油中で可溶である。本開示の潤滑剤調合物はまた、式IIIの油溶性酸も含み得る。
-COOH 式III
は、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有す
る分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、式IIIの酸は
、基油中で可溶である。式IIおよびIIIの化合物は、式IのE-OSPの加水分解か
ら形成され得る。式I、II、およびIIIのそれぞれにおけるnおよびmの好ましい値
は、それぞれ独立して、5~10の範囲の整数である。
本開示の潤滑剤調合物は、90~99.9重量パーセント(重量%)の基油と、10
~0.01重量%の式IのE-OSPとを含み得、重量%は、潤滑剤調合物の総重量に基
づく。好ましい実施形態では、潤滑剤調合物は、95重量%の基油と、5重量%の式Iの
E-OSPとを含む。潤滑剤調合物の基油は、米国石油協会(API)のグループIの炭
化水素基油、APIのグループIIの炭化水素基油、APIのグループIIIの炭化水素
基油、APIのグループIVの炭化水素基油、およびこれらの組み合わせからなる群から
選択される。好ましくは、潤滑剤調合物の基油は、APIのグループIIIの炭化水素基
油である。
本開示の上記概要は、開示された各実施形態または本開示のすべての実装形態を説明
することを意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示
するものである。本出願全体にわたるいくつかの箇所では、例のリストを通じて指針が提
供され、これらの例は、種々の組み合わせで使用することができる。各例において、列挙
されたリストは、代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈される
べきではない。
本開示は、可溶性であり、炭化水素油の粘度指数値を高めると同時に、得られる潤滑
剤調合物の低温特性も改善する、OSPを提供する。これらの驚くべき予想外の特性は、
エステル化OSPの結果であり、それは、潤滑剤調合物に使用される炭化水素基油に添加
される場合、効果的な粘度指数向上剤および効果的な低温粘度低下剤として機能する。加
えて、本開示のエステル化OSPは、炭化水素基油中で摩擦調整剤としての利益も示す。
本開示のエステル化OSPは、基油の添加剤(全組成物の重量に基づいて最大10重量%
)として特に有用であり、内燃機関において有用である潤滑剤調合物を形成する。
本開示は、基油と、式Iのエステル化油溶性ポリアルキレングリコール(E-OSP
)とを含む潤滑剤調合物を提供する。
[O(RO)(RO)(C=O)R 式I
は、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有す
る分岐アルキル、または6~30個の炭素原子を有するアリールである。好ましくは、R
は、10~14個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。ROは、1,2-プロピ
レンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、式IのROの得られる構造
は、[-CHCH(CH)-O-]または[-CH(CH)CH-O-]のいず
れかであり得る。ROは、ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり
、式IのROの得られる構造は、ROが、1,2-ブチレンオキシドから誘導される
場合、[-CHCH(C)-O-]または[-CH(C)CH-O-]
のいずれかであり得る。ROが、2,3ブチレンオキシドから誘導される場合、オキシ
ブチレン部分は、[-OCH(CH)CH(CH)-]となる。様々な実施形態につ
いて、ROおよびROは、式Iにおいてブロックまたはランダム分布である。R
、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アル
キル、または6~18個の炭素原子を有するアリールである。好ましくは、Rは、1~
8個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。nおよびmの値は、それぞれ独立して、0
~20の範囲の整数であり、n+mは、0より大きい。pの値は、1~4の整数である。
本開示のE-OSPは、様々な用途に望ましい1つ以上の特性を有し得る。例えば、
粘度指数は、潤滑剤の粘度が温度とともにどのように変化するかを示す尺度である。潤滑
剤について、比較的低い粘度指数値は、比較的高い粘度指数値を有する潤滑剤と比較して
、高温での潤滑剤の粘度のより大きな低減を示し得る。したがって、多くの用途について
、比較的高い粘度指数値が有益であり、その結果、潤滑剤は、低温から高温に移行する極
端な温度での粘度変化があまり目立たず、一般に安定した粘度を維持する。本明細書に開
示されるE-OSPは、いくつかの他の潤滑剤と比較して、より高い粘度指数値を提供し
得る。
本明細書に開示されるE-OSPはまた、40℃で25センチストークス(cSt)
未満の動粘度、100℃で6cSt以下の動粘度を有するため(両動粘度は、ASTM
D7042に従って測定された)、低粘度潤滑剤でもある。したがって、E-OSPは、
低粘度潤滑剤として、および/または様々な低粘度潤滑剤用途に有益に利用され得る。E
-OSPは、ASTM D7042によって決定されると、40℃で下限である8.0ま
たは9.0cSt~上限である24.5または24.0cStの動粘度を有し得る。E-
OSPは、ASTM D7042によって決定されると、100℃で下限である1.0ま
たは2.5cSt~上限である6.0または5.5cStの動粘度を有し得る。上記のよ
うに、本明細書に開示されるE-OSPは、同様の非エステル化油溶性ポリアルキレング
リコールなどの他のいくつかの潤滑剤と比較して、低温で比較的低い粘度を有益に提供し
得る。加えて、0℃以下などの低温で比較的低い粘度、例えば、動粘度および/または動
的粘度を有する低粘度潤滑剤は、自動車のエンジンの周りに潤滑剤を注入するときなど、
より低いエネルギー損失の提供に有益に役立ち得る。本明細書に開示されるエステル化油
溶性ポリアルキレングリコールは、他のいくつかの潤滑剤と比較して、低温で比較的低い
粘度、例えば、動粘度および/または動的粘度を提供し得る。
式IのE-OSPは、油溶性ポリアルキレングリコールと酸との反応生成物である。
鉱油基油とは異なり、油溶性ポリアルキレングリコールは、ポリマー主鎖中の酸素の有意
な存在を有する。本開示の実施形態は、油溶性ポリアルキレングリコールが、プロピレン
オキシドおよびブチレンオキシドのアルコール開始コポリマーであり、そこで、ブチレン
オキシドから誘導される単位が、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから誘導さ
れる単位の合計に基づいて、50重量%~95重量%であることを提供する。50重量%
~95重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、油溶性ポリアルキレ
ングリコールは、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから誘導される単位の合計
に基づいて、下限である50、55、または60重量パーセント~上限である95、90
、または85重量パーセントのブチレンオキシドから誘導される単位を有し得る。様々な
実施形態について、プロピレンオキシドは、1,2-プロピレンオキシドおよび/または
1,3-プロピレンオキシドであり得る。様々な実施形態について、ブチレンオキシドは
、1,2-ブチレンオキシドまたは2,3-ブチレンオキシドから選択され得る。好まし
くは、1,2-ブチレンオキシドは、油溶性ポリアルキレングリコールを形成するのに使
用される。
油溶性ポリアルキレングリコールのアルコール開始剤は、モノオール、ジオール、ト
リオール、テトロール、またはこれらの組み合わせであり得る。アルコール開始剤の例と
しては、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、およびドデカノールなど
のモノオールが挙げられるが、これらに限定されない。ジオールの例は、エチレングリコ
ール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、および1,4ブ
タンジオールである。トリオールの例は、グリセロールおよびトリメチロールプロパンで
ある。テトロールの例は、ペンタエリスリトールである。モノール、ジオール、トリオー
ル、および/またはテトロールの組み合わせが使用され得る。アルコール開始剤は、1~
30個の炭素原子を含み得る。1~30個の炭素原子のすべての個々の値および部分範囲
が含まれ、例えば、アルコール開始剤は、下限である1、3、または5個の炭素原子~上
限である30、25、または20個の炭素原子を有し得る。
油溶性ポリアルキレングリコールは、既知のプロセスおよび既知の条件によって調製
され得る。油溶性ポリアルキレングリコールは、商業的に入手され得る。市販の油溶性ポ
リアルキレングリコールの例としては、両方ともDow Chemical Compa
nyから入手可能である、UCON(商標)OSP-12およびUCON(商標)OSP
-18などの商品名UCON(商標)下の油溶性ポリアルキレングリコールが挙げられる
が、これらに限定されない。
油溶性ポリアルキレングリコールと反応して、本明細書に開示されるエステル化油溶
性ポリアルキレングリコールを形成する酸は、カルボン酸であり得る。このようなカルボ
ン酸の例としては、酢酸、プロパン酸、ペンタン酸、例えば、n-ペンタン酸、吉草酸、
例えば、イソ吉草酸、カプリル酸、ドデカン酸、これらの組み合わせが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
本明細書に開示されるE-OSPを形成するために、油溶性ポリアルキレングリコー
ル10モル:酸1モル~油溶性ポリアルキレングリコール1モル:酸10モルのモル比で
、油溶性ポリアルキレングリコールと酸とが反応し得る。10:1の油溶性ポリアルキレ
ングリコールのモル対酸のモル~1:10の油溶性ポリアルキレングリコールのモル対酸
のモルのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、油溶性ポリアルキレングリ
コールと酸は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、
2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、
または1:10の油溶性ポリアルキレングリコールのモル対酸のモルのモル比で反応し得
る。
E-OSPは、既知のプロセスおよび既知の条件によって調製され得る。例えば、本
明細書に開示されるエステル化油溶性ポリアルキレングリコールは、エステル化プロセス
、例えば、フィッシャーエステル化(Fisher Esterification)に
よって形成され得る。一般に、エステル化プロセスのための反応は、大気圧(101,3
25Pa)、60~110℃の温度で、1~10時間行われ得る。加えて、他の既知の成
分の中でも、酸触媒、中和剤、および/または塩吸収剤などの既知の成分が、エステル化
反応に利用され得る。好ましい酸触媒の例は、中でも、p-トルエンスルホン酸である。
中和剤の例は、中でも、炭酸ナトリウムおよび水酸化カリウムである。塩吸収剤の例は、
中でも、ケイ酸マグネシウムである。
上述のように、本開示のE-OSPは、式Iの構造を有する。
[O(RO)(RO)(C=O)R 式I
は、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有す
る分岐アルキル、または6~30個の炭素原子を有するアリールである。好ましくは、R
は、10~14個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。Rは、本明細書で論じら
れる油溶性ポリアルキレングリコールの重合中に使用されるアルコール開始剤の残余に対
応する。本明細書で使用される場合、「アルキル基」とは、飽和一価炭化水素基を指す。
本明細書で使用される場合、「アリール基」とは、単核または多核芳香族炭化水素基を指
し、アリール基は、アルキル置換基を含み得る。存在する場合には、アルキル置換基を含
む、Rのアリール基は、6~30個の炭素を有し得る。
Oは、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり
、式IのROの得られる構造は、[-CHCH(CH)-O-]または[-CH(
CH)CH-O-] のいずれかであり得る。ROは、ブチレンオキシドから誘導
されたオキシブチレン部分であり、式IのROの得られる構造は、ROが、1,2-
ブチレンオキシドから誘導される場合、[-CHCH(C)-O-]または[-
CH(C)CH-O-] のいずれかであり得る。様々な実施形態について、R
OおよびROは、式Iにおいてブロックまたはランダム分布である。
は、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有す
る分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールである。好ましくは、R
は、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。本明細書で使用される場合、「
アルキル基」とは、飽和一価炭化水素基を指す。本明細書で使用される場合、「アリール
基」とは、単核または多核芳香族炭化水素基を指し、アリール基は、アルキル置換基を含
み得る。存在する場合には、アルキル置換基を含む、Rのアリール基は、6~18個の
炭素を有し得る。
nおよびmの値は、それぞれ独立して、0~20の範囲の整数であり、n+mは、0
より大きい。好ましくは、nおよびmは、それぞれ独立して、5~10の範囲の整数であ
る。別の好ましい実施形態では、nおよびmは、それぞれ独立して、3~5の範囲の整数
である。pの値は、1~4の整数である。
本明細書に開示されるE-OSPは、ASTM D2270に従って決定された13
0~200の粘度指数を有し得る。130~200のすべての個々の値および部分範囲が
含まれ、例えば、E-OSPは、下限である130または135~上限である200また
は195の粘度指数を有し得る。この改善された粘度指数は、類似の非エステル化油溶性
ポリアルキレングリコールなどの他のいくつかの潤滑剤と比較して、粘度指数を上げるた
めの以前の以前のプロセス、すなわち、アルキル化キャッピングプロセスよりも有益であ
り、なぜなら、エステル化は、より単純なプロセスを介して、かつ/または低コストで達
成され得るためである。
本開示の潤滑剤調合物はまた、基油も含み、そこで、E-OSPは、基油中で油溶性
(相溶性)である。本開示の潤滑剤調合物は、90~99.9重量パーセント(重量%)
の基油と、10~0.01重量%の式IのE-OSPとを含み得、重量%は、潤滑剤調合
物の総重量に基づく。好ましい実施形態では、潤滑剤調合物は、95重量%の基油と、5
重量%の式IのE-OSPとを含む。
潤滑剤調合物の基油は、米国石油協会(API)のグループIの炭化水素基油、AP
IのグループIIの炭化水素基油、APIのグループIIIの炭化水素基油、APIのグ
ループIVの炭化水素基油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ま
しくは、潤滑剤調合物の基油は、APIのグループIIIの炭化水素基油である。API
のグループI~IVの炭化水素油の組成は以下の通りである。グループIIおよびグルー
プIIIの炭化水素油は、典型的には、過酷な水素化工程を使用して従来のグループIの
供給原料から調製されて、芳香族化合物、硫黄、窒素の含有量を低減させ、続いて、脱ロ
ウ、水素化仕上げ、抽出、および/または蒸留工程を行って、完成した基油を生成する。
グループIIおよびIIIの基原料は、硫黄、窒素、および芳香族化合物の含有量が非常
に低いという点で、従来の溶媒精製されたグループIの基原料とは異なる。結果として、
これらの基油は、従来の溶媒精製された基原料とは組成的に非常に異なる。APIは、こ
れらの異なる基原料の種類を以下のように分類してきた。グループI、>0.03重量%
の硫黄、および/または<90体積%の飽和脂肪酸、80~120の粘度指数、グループ
II、≦0.03重量%の硫黄、および≧90体積%の飽和脂肪酸、80~120の粘度
指数、グループIII、≦0.03重量%の硫黄、および≧90体積%の飽和脂肪酸、>
120の粘度指数。グループIVは、ポリアルファオレフィン(PAO)である。水素化
処理された基原料および触媒的に脱ロウされた基原料は、硫黄および芳香族化合物の低い
含有量のため、一般にグループIIおよびグループIIIの区分に分類される。
本開示のE-OSPは、ASTM D7042に従って測定される40℃での少なく
とも80cStの動粘度を有する基油の粘度指数を増加させることに役立つと同時に、エ
ステル化OSPを基油にブレンドすることによって、潤滑剤の低温(0℃)粘度を減少さ
せる。言い換えれば、E-OSPの炭化水素基油への含有は、炭化水素基油単独、または
炭化水素油とさらなるエステル化がされていない油溶性ポリアルキレングリコール(OS
P)とを含む組成物と比較して、摩擦係数の望ましい改善、粘度指数の増加、低温粘度の
好ましい減少を引き起こす。本開示のE-OSPは、これを達成し、それによって、それ
らが炭化水素油に添加されると、それらは可溶し、粘度指数値を高め、加えてそれらの低
温特性を改善する。さらに、本開示のE-OSPは、OSPに比べ摩擦制御において有益
性を提供する。
本開示はまた、内燃機関用の潤滑剤調合物の形成方法も提供する。この方法は、本明
細書に記載されるように、基油を用意することと、本明細書に記載されるように、式Iの
E-OSPを基油と混合して、内燃機関用の潤滑剤調合物を形成することと、を含む。潤
滑剤調合物は、好ましくは内燃機関で使用される。
内燃機関で使用される場合、本開示のE-OSPは、加水分解反応を経る可能性があ
る。この反応の生成物は、E-OSPSの形成に使用される親酸およびアルコール前駆体
と類似または同一の酸およびアルコール化合物であり得る。例えば、本開示の潤滑剤調合
物は、式IIの油溶性ポリアルキレングリコール(OSP)をさらに含み得る。
[O(RO)(RO)-H 式II
式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子
を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、ROは
、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、
ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブ
ロックまたはランダム分布であり、nおよびmは、それぞれ独立して、0~20の範囲の
整数であり、n+mは、0より大きく、pは、1~4の整数であり、式IIのOSPは、
基油中で可溶である。本開示の潤滑剤調合物はまた、式IIIの油溶性酸も含み得る。
-COOH 式III
は、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有す
る分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、式IIIの酸は
、基油中で可溶である。上記のように、式IIおよびIIIの化合物は、式IのE-OS
Pの加水分解から形成され得る。式I、II、およびIIIのそれぞれにおけるnおよび
mの好ましい値は、それぞれ独立して、5~10の範囲の整数である。
本開示の潤滑剤調合物はまた、酸化防止剤、鉄腐食防止剤、黄色金属不動態化剤、粘
度指数向上剤、流動点降下剤、耐摩耗添加剤、極圧添加剤、消泡剤、解乳化剤、染料など
の他の添加剤も含有し得る。
略語
米国材料試験協会(ASTM)、粘度指数(VI)、グラム(g)、摂氏度(℃)、
モル(mol)、比較例(Comp.Ex.)、実施例(Ex)、動粘度(KV)、水酸
化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、およびp-トルエンスルホン
酸(PTSA)。
試験方法
本明細書に提供される実施例および比較例の特性を測定するために以下の測定方法を
使用する。ASTM D7042に従ってKVを測定する(KV40は40℃での動粘度
、KV100は100℃での動粘度、KV-20は-20℃での動粘度)。ASTM D
97に従って流動点を測定する。ASTM D2270に従ってVIを計算する。
材料
以下の化合物が、Sinopharm Chemical Reagent Co.
Ltdから入手可能である。PTSA、NaCO(中和剤)、KOH(中和剤)、ケ
イ酸マグネシウム(塩吸収剤)、酢酸(酸)、プロパン酸(酸)、カプリル酸(酸)、お
よびドデカン酸(酸)。以下の化合物が、Energy Chemicalから入手可能
である。n-ペンタン酸(酸)およびイソ吉草酸(酸、>99重量パーセントの3-メチ
ルブタン酸を含有)。
OSP-エステルの合成
エステル化OSP18シリーズおよびエステル化OSP12シリーズは、以下の工程
に従って合成された。
エステル化OSP18シリーズ
酢酸によるOSP18のエステル化(OSP18-C2)
UCON(商標)OSP-18(350g、0.749mol)および酢酸(45.
0g、0.749mol、43.0mL)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)
で撹拌して、第1の混合物を形成する。p-トルエンスルホン酸(PTSA、1.42g
、0.00749mol)を撹拌しながら第1の混合物に添加して、第2の混合物を形成
する。第2の混合物を135℃で4時間ディーン・スタークで還流させて、13.0mL
の水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合物を室温に冷却し、次いでNa
CO(50g)を添加して、第4の混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、
PTSAを中和する。ケイ酸マグネシウム10gを第4の混合物に添加して、第5の混合
物を形成し、60℃で3時間撹拌して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5
の混合物を濾紙を通して濾過する。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄
色の液体(300g、収率=79%、モルキャッピング率=96%)を得る。
プロパン酸によるOSP18のエステル化(OSP18-C3)
UCON(商標)OSP-18(350g、0.749mol)およびプロピオン酸
(55.5g、0.749mol、56.0mL)をトルエン(500mL)中で室温(
23℃)で撹拌して、第1の混合物を形成する。PTSA(1.42g、0.00749
mol)を撹拌しながら第1の混合物に添加して、第2の混合物を形成する。第2の混合
物を135℃で5時間ディーン・スタークで還流させて、13.0mLの水を除去して、
第3の混合物を形成する。第3の混合物を室温に冷却し、次いでケイ酸マグネシウム(1
0g)を添加して、第4の混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを
中和する。ケイ酸マグネシウム(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形
成し、60℃で3時間撹拌して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合
物を濾紙を通して濾過する。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液
体(310g、収率=79%、モルキャッピング率=99%)を得る。
n-ペンタン酸によるOSP18のエステル化(OSP18-C5)
UCON(商標)OSP-18(350g、0.749mol)およびn-ペンタン
酸(76.5g、0.749mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹
拌して、第1の混合物を形成する。PTSA(1.42g、0.00749mol)を撹
拌しながら第1の混合物に添加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を165℃
で一晩中ディーン・スタークで還流させて、13.0mLの水を除去して、第3の混合物
を形成する。第3の混合物を室温に冷却し、次いでNaCO(50g)を添加して、
第4の混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マ
グネシウム(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時
間撹拌して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾
過する。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、濃黄色の液体(330g、収率
=80%、モルキャッピング率=98%)を得る。
イソ吉草酸によるOSP18のエステル化(OSP18-iC5)
UCON(商標)OSP-18(350g、0.749mol)およびイソ吉草酸(
76.5g、0.749mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌し
て、第1の混合物を形成する。PTSA(1.42g、0.00749mol)を撹拌し
ながら第1の混合物に添加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を165℃で一
晩中ディーン・スタークで還流させて、13.0mLの水を除去して、第3の混合物を形
成する。第3の混合物を室温に冷却し、次いでNaCO(50g)を添加して、第4
の混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネ
シウム(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹
拌して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過す
る。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、濃黄色の液体(335g、収率=8
0%、モルキャッピング率=97%)を得る。
カプリル酸によるOSP18のエステル化(OSP18-C8)
UCON(商標)OSP-18(350g、0.749mol)およびカプリル酸(
108g、0.749mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して
、第1の混合物を形成する。PTSA(1.42g、0.00749mol)を撹拌しな
がら第1の混合物に添加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を165℃で5時
間ディーン・スタークで還流させて、13.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成
する。第3の混合物を室温に冷却し、次いでNaCO(50g)を添加して、第4の
混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシ
ウム(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌
して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する
。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(356g、収率=80
%、モルキャッピング率=99%)を得る。
エステル化OSP12シリーズ
酢酸によるOSP12のエステル化(OSP12-C2)
UCON(商標)OSP-12(374g、1mol)および酢酸(60g、1mo
l)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して、第1の混合物を形成する
。PTSA(1.90g、0.001mol)を撹拌しながら第1の混合物に添加して、
第2の混合物を形成する。第2の混合物を135℃で3時間ディーン・スタークで還流さ
せて、18.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合物を室温に冷
却し、次いでKOH(1.12g、0.002mol)を添加して、第4の混合物を形成
し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシウム(10g
)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌して、生成さ
れた塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する。濾過後、残
留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(380g、収率=91%、モルキャ
ッピング率=99%)を得る。
プロピオン酸によるOSP12のエステル化(OSP12-C3)
UCON(商標)OSP-12(374g、1mol)およびプロピオン酸(74g
、1mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して、第1の混合物を
形成する。PTSA(1.90g、0.001mol)を撹拌しながら第1の混合物に添
加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を135℃で4時間ディーン・スターク
で還流させて、18.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合物を
室温に冷却し、次いでKOH(1.12g、0.002mol)を添加して、第4の混合
物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシウム
(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌して
、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する。濾
過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(390g、収率=90%、
モルキャッピング率=99%)を得る。
n-ペンタン酸によるOSP12のエステル化(OSP12-C5)
UCON(商標)OSP-12(374g、1mol)およびn-ペンタン酸(10
2g、1mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して、第1の混合
物を形成する。PTSA(1.90g、0.001mol)を撹拌しながら第1の混合物
に添加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を135℃で一晩中ディーン・スタ
ークで還流させて、18.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合
物を室温に冷却し、次いでKOH(1.12g、0.002mol)を添加して、第4の
混合物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシ
ウム(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌
して、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する
。濾過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(388g、収率=84
%、モルキャッピング率=94%)を得る。
イソ吉草酸によるOSP12のエステル化(OSP12-iC5)
UCON(商標)OSP-12(374g、1mol)およびイソ吉草酸(102g
、1mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して、第1の混合物を
形成する。PTSA(1.90g、0.001mol)を撹拌しながら第1の混合物に添
加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を135℃で一晩中ディーン・スターク
で還流させて、18.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合物を
室温に冷却し、次いでKOH(1.12g、0.002mol)を添加して、第4の混合
物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシウム
(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌して
、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する。濾
過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(376g、収率=82%、
モルキャッピング率=96%)を得る。
カプリル酸によるOSP12のエステル化(OSP12-C8)
UCON(商標)OSP-12(374g、1mol)およびカプリル酸(144g
、1mol)をトルエン(500mL)中で室温(23℃)で撹拌して、第1の混合物を
形成する。PTSA(1.90g、0.001mol)を撹拌しながら第1の混合物に添
加して、第2の混合物を形成する。第2の混合物を135℃で5時間ディーン・スターク
で還流させて、18.0mLの水を除去して、第3の混合物を形成する。第3の混合物を
室温に冷却し、次いでKOH(1.12g、0.002mol)を添加して、第4の混合
物を形成し、第4の混合物を一晩中撹拌して、PTSAを中和する。ケイ酸マグネシウム
(10g)を第4の混合物に添加して、第5の混合物を形成し、60℃で3時間撹拌して
、生成された塩を第5の混合物中に吸収する。第5の混合物を濾紙を通して濾過する。濾
過後、残留溶媒を真空蒸留によって除去して、淡黄色の液体(420g、収率=84%、
モルキャッピング率=95%)を得る。
調合物の調製
表2~4に特定されるように、調合物の各成分を200mLガラスビーカーに添加し
て、100mLの試料を形成することによって調合物を調製する。得られた各調合物は、
透明で均質であった。
炭化水素油中のOSP-エステルの摩擦挙動の評価
摩擦試験方法
ミニトラクションマシン(Mini-Traction Machine)(MTM
)を使用して、鋼球が鋼製ディスク上で回転する摩擦を測定する。鋼製ディスクは、直径
45mm、硬度750HV、Ra<0.02マイクロメートルを有する鋼(AISI 5
2100)である。ボールは、直径19mm、硬度750HV、Ra<0.02マイクロ
メートルを有する鋼(AISI 52100)である。負荷37N、速度範囲2000m
m/秒~3mm/秒、スライドロール比50%、温度80℃および120℃を使用して、
ストライベック曲線を生成する。摩擦係数は、10および30mm/秒で報告される。
摩擦実験における炭化水素基油中のOSPまたはOSP-エステルの処理レベルは、
5(重量)%であった。
表2は、グループIIIの炭化水素基油中でのUCON OSP-18(比較例B)
と比較して、3種のOSP18-エステルの摩擦挙動を示す。80℃および120℃の温
度で、純粋な炭化水素基油(比較例A)が、最も高い摩擦値を示し、グループIIIの基
油中でのOSP-18が続く。グループIIIの基油中でのOSP-18のエステルの組
成は、改善された摩擦低減挙動を実証した。
表2はまた、グループIIIの炭化水素基油中でのUCON OSP-18(比較例
B)と比較して、3種のOSP12-エステルの組成の摩擦挙動も示す。80℃および1
20℃の温度で、純粋な炭化水素基油(比較例A)が、最も高い摩擦値を示し、グループ
IIIの基油中でのOSP-18の組成が続く。OSP-12のエステルは、改善された
摩擦低減挙動を実証した。
表2はまた、PAO基油中でのOSPエステルの効果の例も示す。OSP-エステル
を含有する組成物(実施例7)の摩擦係数値は、参照のPAO-6およびOSP18を含
むPAO-6(比較例D)に対して低い。したがって、この効果は、単にグループIII
の基油に対してだけではなく、グループIV(PAO)にも独特のものである。
まとめると、表2のデータは、OSP(非エステル化)に比べて、OSP-エステル
の改善された摩擦性能を実証している。
炭化水素油中でのOSP-エステルの粘度指数および低温特性の評価
多くの工業用潤滑剤調合物(ギアオイルなど)および一部の自動車用潤滑剤では、高
い粘度指数を有する組成物が望まれる。炭化水素基油は、典型的には、低い粘度指数値、
多くの場合<200を有する。ポリイソブチレンなどの他の基油の添加によって、粘度指
数が改善され得る。高い粘度指数値に加えて、潤滑剤は、低温(例えば、0℃)での低い
粘度を有するものが好ましい。これによって、ポンプ能力が改善され得る。一般に、グル
ープI~IIIの炭化水素油は、0℃で高い粘度を有する。グループIV(PAO)は、
良好な低温特性を有する。以下は、エステル化OSPの含有によって、炭化水素油(PA
O)単独およびOSPを含む炭化水素油とも比較して、粘度指数が増加し得、KV値が
減少し得るかどうかを調査する。
ASTM D7042に従って動的粘度を測定することによって、0℃、40℃、お
よび100℃での動粘度(KV、KV40、およびKV100)を計算する。ASTM
D7042を使用して、組成物の粘度指数を計算する。低温挙動を評価するために、0
℃での動粘度を使用する。より低い値が好ましい。粘度指数については、より高い値が好
ましい。
表3は、比較例E~Hおよび実施例8~11を記載する。これらの調合物は、PAO
-100であるグループIVのPAO基油を使用する。比較例EおよびF、ならびに実施
例8および9は、KV100が約70cSである組成物を作成することを目指していた。
比較例Eは、VIが198である単純なPAO混合物であった。比較例Bは、PAOとO
SP-18とのブレンドであった。OSP-18の含有によって、VIがわずかに増加し
、KVが減少することが示された。実施例8および実施例9は、比較例Fと直接比較さ
れ得る。実施例8および実施例9は、どちらも、エステル化OSPの10%の処理レベル
について、VIのさらなる増加およびKVの減少を示している。比較例GおよびH、な
らびに実施例10および11は、KV100が約17cStである生成物を作成すること
を目指していた。OSP-18を含有する比較例Hは、VIが181であった。OSP-
18の代わりに50%のエステル化OSPを含有する実施例10および11は、VIのさ
らなる増加およびKVのさらなる減少を示した。
比較例Gは、VIが177である単純なPAO混合物であった。それは、より高いK
100値を有するが、VIは最も低く、KVは最も高い。
OSP18、OSP18-C2エステル、およびOSP18-C3エステルは、PA
O中に共基流体として含まれている場合、それらの差異の直接比較を現実的にする、同様
のKV40およびKV100値を有することに留意されたい。
表4は、比較例IおよびJ、ならびに実施例12を記載する。比較例IおよびJ、な
らびに実施例12は、KV100値が約35cStであることを目標としてきた。エステ
ル化OSP(OSP12-C5)を含有する実施例12は、はるかに高いVIおよびより
低いKV値を示した。

Claims (5)

  1. 潤滑剤調合物であって、
    基油と、
    式Iのエステル化油溶性ポリアルキレングリコール(E-OSP)と、を含み、
    [O(RO)(RO)(C=O)R 式I
    式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~30個の炭素原子を有するアリールであり、ROは、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブロックまたはランダム分布であり、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、nおよびmは、それぞれ独立して、3~5の範囲の整数であり、pは、1~4の整数である、潤滑剤調合物。
  2. Oが、1,2-ブチレンオキシドから誘導される、
    が、1~8個の炭素原子を有する直鎖アルキルである、または
    が、10~14個の炭素原子を有する直鎖アルキルである、請求項1に記載の潤滑剤調合物。
  3. 前記潤滑剤調合物が、式IIの油溶性ポリアルキレングリコール(OSP)をさらに含む、
    [O(RO)(RO)-H 式II
    式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、ROは、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブロックまたはランダム分布であり、nおよびmは、それぞれ独立して、0~20の範囲の整数であり、n+mは、0より大きく、pは、1~4の整数であり、式IIの前記OSPは、前記基油中で可溶である、または、
    前記潤滑剤調合物が、式IIIの油溶性酸をさらに含む:
    -COOH 式III
    :Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、式IIIの前記酸は、前記基油中で可溶である、
    請求項1または2に記載の潤滑剤調合物。
  4. 前記基油が、米国石油協会(API)のグループIの炭化水素基油、APIのグループIIの炭化水素基油、APIのグループIIIの炭化水素基油、APIのグループIVの炭化水素基油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑剤調合物。
  5. 内燃機関用の潤滑剤調合物の形成方法であって、
    前記基油を用意することと、
    式Iのエステル化油溶性ポリアルキレングリコール(E-OSP)を前記基油と混合して、
    [O(RO)(RO)(C=O)R 式I
    式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~30個の炭素原子を有するアリールであり、ROは、1,2-プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分であり、ROは、ブチレンオキシドから誘導されたオキシブチレン部分であり、ROおよびROは、ブロックまたはランダム分布であり、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル、4~18個の炭素原子を有する分岐アルキル、または6~18個の炭素原子を有するアリールであり、nおよびmは、それぞれ独立して、3~5の範囲の整数であり、pは、1~4の整数であり、前記内燃機関用の前記潤滑剤調合物を形成することと、を含む、方法。
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