JP6540631B2 - 冷間タンデム圧延機及び冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

冷間タンデム圧延機及び冷延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷間タンデム圧延機及び該圧延機を用いて行う冷延鋼板の製造方法に関し、より具体的には圧延荷重を低減しつつ圧下率を向上させることで板厚の薄い冷延鋼板を製造することのできる冷間タンデム圧延機及び冷延鋼板の製造方法に関する。
一般に、冷延鋼板は、熱延鋼板から冷間圧延、焼鈍、及び調質圧延という工程を経て製造される。冷間圧延は、鋼板を所望の板厚へ圧下することに加えて、焼鈍、調質圧延後の製品の加工性にも影響を与える工程として広く知られている。また、冷間圧延は、複数の圧延スタンドが直列に配列された冷間タンデム圧延機によって行われる。圧延スタンドでは、上下のワークロール(「WR」と略されることもある。)によって鋼板を挟みつけることにより、圧延が行われる。また、圧延時の摩擦係数を低減するために、ワークロールと鋼板との接触部には潤滑剤が噴霧される。
現在、自動車や容器用として使用される鋼板は、軽量化や高強度化へのニーズが高まっており、冷間圧延によって硬質材をより薄肉化する必要性が高まっている。硬質材を薄肉化する際は多大な荷重を鋼板に加えることが必要であり、圧延スタンドに加わる負荷が増大する。従来の冷間タンデム圧延機では、硬質材を被圧延材とした場合に十分な圧下率を付与することができず、所定の板厚に成形できない、又は所定の材質を作り込めないという問題が発生している。
従来、冷間圧延時の圧延スタンドの負荷を低減する方法を開示した文献として、特許文献1〜3が挙げられる。特許文献1には、鋼板の表面にテクスチャー加工を施すことによって、圧延時における潤滑剤の巻き込み量を増やす技術が開示されている。特許文献2には、複数種類のエマルション圧延油を用いることで圧延時における潤滑剤の巻き込み量を増やし、摩擦係数を下げる技術が開示されている。
また、特許文献3には、圧延機のワークロール径を小径化することによって、圧延スタンドの負荷を低減する方法が開示されている。
特開2005−177774号公報 特開2007−144472号公報 特許第4928653号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているような潤滑剤の巻き込み量を多くするという方法では、摩擦力を制御することが難しく、過潤滑によるスリップやチャタリング等の別の問題が発生しうるという問題がある。また、潤滑剤の巻き込み量の増加によって摩擦係数を低減したとしても、圧延荷重の低減効果には限界があるので、高強度鋼の圧下率を向上させる目的で特許文献1及び2に開示された技術を適用することは現実には難しい。
また、特許文献3に開示された方法を従来の冷間タンデム圧延機に適用するためには、圧延スタンドのワークロールを小径のロールに付け替える作業や、これに伴うロールベンダー等の付帯設備の大規模な改造等が必要であり、莫大なコストがかかってしまうという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、潤滑剤の噴霧調節によることなく、また圧延設備の大規模な改修等を行わずとも、硬質材に十分な圧下率を付与することのできる冷間タンデム圧延機及び該圧延機を用いた冷延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の手段は、次の通りである。
[1]3つ以上の圧延スタンドを備えた冷間タンデム圧延機であって、最終スタンドは、ダル加工を施したロールをワークロールとして備え、最終スタンド以外の少なくとも一つの圧延スタンドは、表層部のヤング率が500GPa以上である超硬ロールを、ワークロールとして備える冷間タンデム圧延機。
[2]前記超硬ロールの表層部は、タングステンカーバイト(WC)とコバルト(Co)とを含む[1]に記載の冷間タンデム圧延機。
[3]前記超硬ロールの直径は、400mm以上である[1]又は[2]に記載の冷間タンデム圧延機。
[4]前記超硬ロールを備えた圧延スタンドは、最終スタンドの一つ手前の最終直前スタンドである[1]から[3]までのいずれか一つに記載の冷間タンデム圧延機。
[5]最終スタンドの一つ手前の最終直前スタンドが6個以上のロールを有し、最終スタンド及び最終直前スタンド以外の少なくともいずれか一つの圧延スタンドが、前記超硬ロールをワークロールとして備える[1]から[3]までのいずれか一つに記載の冷間タンデム圧延機。
[6]前記超硬ロールを備えた圧延スタンドは、最終直前スタンドの一つ手前の圧延スタンドである[5]に記載の冷間タンデム圧延機
[7]超硬ロールを備えた圧延スタンドよりも手前における少なくともいずれか一つの圧延スタンドは、被圧延材の幅方向端部の圧延方向における変形を促進する[1]から[6]までのいずれか一つに記載の冷間タンデム圧延機。
[8][1]から[7]までのいずれか一つに記載の冷間タンデム圧延機を用いて圧延を行う冷延鋼板の製造方法。
[9]圧延前の引張強度が850MPa以上の鋼板について圧延を行う[8]に記載の冷延鋼板の製造方法。
本発明によると、圧延に必要な荷重の大きい硬質材等を冷間圧延する際に、圧延スタンドにかかる負荷を抑えつつ、硬質材に十分な圧下率を付与することができ、ひいては十分に板厚の薄い高強度鋼を製造することが可能となる。
図1は、本発明に係る冷間タンデム圧延機の一例を示す説明図である。 図2は、本発明に係る冷間タンデム圧延機の他の一例を示す説明図である。 図3は、超硬ロールの直径と超硬ロールを使用することによる圧下率増加効果との関係を示すグラフである。 図4は、鋼板の引張強度と超硬ロールを使用することによる圧下率増加効果との関係を示すグラフである。
まず、図1を用いて、本発明の適用対象である冷間タンデム圧延機について説明する。
図1のように、冷間タンデム圧延機71では、複数の圧延スタンド(図3では1〜5)が直列に配置される。冷間タンデム圧延機71を構成する圧延スタンドの数は特に制限されないが、通常、3〜8個である。
冷間タンデム圧延機71では、入側の圧延スタンド1から出側の圧延スタンド5に向けて、鋼板61が一方向へ連続的に通板される。この間、鋼板61は圧延されるにつれて厚みが薄くなっていく。各圧延スタンド1〜5における圧延前の板厚に対する、圧延後の板厚の減少量の割合を計算することによって、各圧延スタンド1〜5における圧下率が求められる。圧延スタンドは、それぞれ鋼板を押圧し、圧下させる一対のワークロールを備える。
図1に示すように、圧延スタンド1には、ワークロール11A、11Bを支持するためにバックアップロール12A、12Bが設けられる。図1の圧延スタンド1〜5は、それぞれ1対のワークロールと1対のバックアップロールとからなり、合計4つのロールを備えた4Hi型の圧延スタンドである。
冷間圧延を行う際には、1スタンドあたりの負荷を低減するために、圧延スタンドの前後で張力をかけながら圧延を行っている。また、各圧延スタンドの入側にはスプレーノズル13A、13Bが設けられ、鋼板61の表面側と裏面側とに向かって潤滑剤を噴霧する。
最終の圧延スタンド(最終スタンド)5のワークロール51A及び51Bには、算術平均粗さ(「表面粗さ」、又は「Ra」と記載することもある。)の大きい、いわゆるダルロールが用いられる。ダルロールの表面粗さの一例として、Ra0.6μm〜5.0μmが挙げられる。ダルロールを用いて鋼板61の表面を粗くすることにより、ロールと鋼板61との間の摩擦力を大きくすることができる。これにより、特に板幅の広い自動車用鋼板等を製造する際に、冷間タンデム圧延機71の後段に設けられる連続焼鈍ラインにおいて、鋼板の蛇行を防止することができる。このように、最終スタンド5のワークロール51A、51Bはその表面粗さが大きく、摩擦係数が大きいので、最終スタンド5において圧下率を大きく設定することは難しい。
従来、冷間圧延では鋼板をワークロール間に連続的に通板することから、圧延を長時間行っている間にワークロールの表面粗さが減少してしまい、鋼板のスリップの発生が懸念される。そこで、通板の間におけるワークロールの表面粗さの減少を抑えるために、研削されにくい鍛鋼ロールがワークロールとして広く用いられている。より具体的には、初期の表面粗さを粗めに仕上げた鍛鋼ロールが、ワークロールとして好適に用いられている。尚、鍛鋼ロールとは、鋼を鍛錬により成形することにより製造されるロールである。
しかし、鍛鋼ロールを用いた圧延では、硬質材や厚み0.8mm以下の薄物材を圧延した際に、荷重をかけても板厚がほとんど減少しない状態が発生する。これは、鍛鋼ロールのヤング率が十分に高くない(通常、150GPa〜250GPa程度である)ことによると考えられる。硬質材、薄物材を圧延する際には大きな圧延荷重がワークロールにかかるが、前述した鍛鋼ロールではその扁平変形が顕著であり、ロールと被圧延材との接触長さが極端に大きくなると推察される。このような状態では、圧延スタンドにおいて加える圧延荷重を大きくしても、ワークロールの変形が進行するばかりで板厚が思ったように減少せず、所定の板厚まで薄くすることが困難となる。尚、硬質材とは、例えば引張強度が850MPa以上の鋼板を挙げることができる。
本発明の発明者らは、理論的検討及びモデル実験により、超硬ロールを用いることにより、硬質材を圧延する場合であっても圧延荷重を抑えつつ、板厚を薄くすることが可能であることを見出した。
前述した超硬ロールは、表層部のヤング率が500GPa以上である。また、表層部のビッカース硬さは1050HV以上であることが好ましい。超硬ロールは、従来の鍛鋼ロールに比べてヤング率が高いことから、大きな圧延荷重が加わった際にも扁平変形をしにくく、接触弧長が増大してしまうのを防ぐことができる。また、超硬ロールのビッカース硬さを大きくすることによって、摩擦によってその表面が研削されにくいという効果も奏する。尚、表層部の一例として、ロールの表面から5mm以上200mm以下の深さの領域を挙げることができる。
超硬ロールの表層部の主成分としては、例えば、タングステンカーバイト(WC)とコバルト(Co)とが挙げられる。WCが多くなればなるほど硬度が上がることになり、前述した硬性を実現するためには、WCが85重量%以上含まれることが望ましい。
Coは、WCのバインダーとしての作用を有し、適宜含有率を調節することができる。また、WCのバインダーとしては、Co以外にもNiやCr等を使用することもできる。
超硬ロールとしては、鍛鋼系の胴部(基材)の表面に、溶射皮膜形成用材料(例えば、WC系のサーメット等)を溶射することによって作製することができる。また、超硬の材質からなるスリーブロールを、鍛鋼系の胴部に焼き嵌めて組み立てることもできる。
超硬ロールは、圧延荷重を低減するという観点から、ダルロールではなく研磨のされたブライトロールであることが好ましい。ブライトロールの一例としては、表面の算術平均粗さが0.15μm〜3.0μm程度であるロールを挙げることができる。
上述したように、超硬ロールはブライトロールとすることが望まれるので、ダルロールを用いる最終スタンド以外の圧延スタンドに適用しうる。例えば、図1の例では、圧延スタンド1〜4のいずれにも超硬ロールを適用しうるし、これら全ての圧延スタンドに適用することもできる。一方で、鍛鋼ロールに比べて超硬ロールの製造コストは著しく大きいことから、既存の圧延設備における全てのワークロールに超硬ロールを適用することは凡そ現実的ではない。そこで、許容コストの範囲内で最大の効果を得るという観点から、タンデム圧延設備のいずれの圧延スタンドに超硬ロールを適用するとより効果が大きいかを検討する必要がある。
本発明者らの検討によると、超硬ロールを適用するのは、最終スタンドを除いてより後段であればあるほど好ましく、最終直前の圧延スタンド(最終直前スタンド)が特に好ましいことが見出された。これは、冷間タンデム圧延機の後段にいくに従って、材料が加工硬化により硬質となるとともに薄くなっていくので、後段では圧延荷重によってワークロールがより扁平に変形しやすいからである。例えば、図1の例では圧延スタンド4のワークロールに、超硬ロール41A及び41Bを用いることが好ましい。
次に、図2を用いて本発明を適用することのできる他のタンデム圧延設備について説明する。
図2の例では、最終スタンド5と最終直前スタンド4とが、ワークロール、バックアップロールに加えて、中間ロールを備えた6Hi型の圧延スタンドとなっている。このように、ワークロールを中間ロールとバックアップロールとによって支持するタンデムでは、ロールを小径化しつつも強固にワークロールを支持することができ、大きい圧延荷重にも耐えることができる。尚、ロールを6個以上備えた圧延スタンド(「多数ロール型のスタンド」ともいう。)として、具体的には8Hi型や20Hi型等の圧延スタンドを適用することもできる。多数ロール型のスタンドは、タンデム全体としての高い圧下率を確保するという観点から、最終直前スタンドに適用されることが多い。
また、図1のように全ての圧延スタンドを4Hi型とする例に比べて、図2のように最終直前スタンドを多数ロール型のスタンドとする例では、硬質材をより薄肉化することができる。
超硬ロールを適用する圧延スタンドでは、超硬ロールのヤング率が高いことからワークロールベンダーによるロールのたわみ矯正が行いにくいという問題がある。そこで、図2の圧延スタンド4のような多数ロール型のスタンドに超硬ロールを用いることは好ましくない。この場合には、多数ロール型のスタンドの一つ前の圧延スタンド3に、超硬ロールを適用することが特に好ましい。これにより、硬質材の板厚をより薄く圧延することが可能となる。
また、本発明者らの検討によると、超硬ロールのロール直径は400mm以上で特に効果が大きいことが見出された。具体的に、図3において、引張強度が1010MPaの鋼板について、圧延スタンドにおけるワークロールの直径(横軸)と、鍛鋼ロールを用いた場合に対する超硬ロールを用いた場合における圧下率の増加率(横軸)を示している。尚、圧延スタンドとしては4Hi型の圧延機を用い、圧延荷重は2800tonfとした。ロールの直径が350mm以下と比較的小径のロールを使用する場合には、超硬ロールを用いることによる圧下率の向上がそれほど見られない。これは、比較的小径の超硬ロールを使用する場合には、潤滑剤の巻き込みが少ないことや、ロール表面への潤滑剤の吸着が進行しないこと等により、摩擦係数が鍛鋼ロールに比較して大きくなってしまうことによる。図3に示されるように、ロールの直径を400mm以上とすると、超硬ロールの適用によって圧下率を1.5倍以上向上させることができる。圧下率を1.5倍以上向上させることができると、超硬ロールを適用することによる顕著な効果があると評価される。よって、超硬ロールの直径は400mm以上とすることが好ましい。尚、ワークロールの直径は、表層部も含んで測定される。
このように、小径の超硬ロールを用いると圧下率を十分に向上させることができないという観点からも、多数ロール型のスタンドに超硬ロールを適用することは好ましくない。一例として、図2の圧延スタンド4のような多数ロール型では、ワークロールの径が340mm〜450mm程度と小さく設計されている。このように、上述したたわみ矯正が難しいという問題に加えて、硬質材に十分な圧下率を加えられないという観点からも、多数ロール型のスタンドに超硬ロールを適用することは好ましくない。
本発明の冷間タンデム圧延機を準備するには、従来の設備における鍛鋼ロールを超硬ロールに交換することで足りるので、簡便かつ低コストである。例えば、図1の例では既存の設備における圧延スタンド4のワークロールを鍛鋼ロールから超硬ロールへと交換すればよい。
さらに、冷間圧延工程では、延性の低い被圧延材を圧延する場合、被圧延材の幅方向端部で材料の幅方向への変形が進行し、圧延方向への変形が足りずに幅方向端部に亀裂が入る現象が発生することがある。この亀裂は、連続焼鈍工程等での破断の原因となることから避けるべきものであるが、超硬ロールによる圧延ではその傾向が顕著となる。よって、延性の低い被圧延材を圧延する際には、超硬ロールを備えた圧延スタンドの手前に、被圧延材の幅方向端部の圧延方向における変形を促進する圧延スタンドを設けることが望ましい。
被圧延材の幅方向端部の圧延方向における変形を促進する圧延スタンドの具体例としては、HCミル及びペアクロスミルを挙げることができる。HCミルは、6Hi型の圧延機であって、ワークロールの少なくとも一方の軸線方向端部がテーパ形状であり、中間ロールが板幅方向に変位することでワークロールの変形をコントロールする圧延機である。また、ペアクロスミルは、上下のワークロールの軸心を、被圧延材の板面と平行な面内において圧延方向に垂直な方向から僅かにずらすことによって、幅方向の上下ロール間隔を変えることで、被圧延材の形状をコントロールすることができる圧延機である。
次に、本発明に係る冷延鋼板の製造方法について説明する。
デスケーリングを行った熱延鋼板を、本発明に係る冷間タンデム圧延機によって冷間圧延し、次いで焼鈍等を行うことにより、冷延鋼板を製造することができる。本発明では、超硬ロールをいずれかの圧延スタンドに使用することによって、一例として850MPa以上の引張強度を有する高強度鋼について、板厚1.2mm以下の薄さの製品を製造することができるようにもなる。また、冷延鋼板の用途としては、自動車用鋼板、ステンレス鋼板、及び容器用の鋼板等が挙げられる。
超硬ロールを適用して高強度鋼板を圧延することで、圧下率を向上させられることについて図4を用いて具体的に説明する。具体的に図4において、直径500mmの超硬ロールを用いて、各種の引張強度を有する鋼板に対して同一圧延荷重(1.3tonf/mm)をかけて、鍛鋼ロールを使用した場合に対して超硬ロールを使用した場合に圧下率が向上する割合を示す。尚、圧延スタンドとしては4Hi型の圧延機を用いた。
図4では、引張強度の低い軟質材よりも引張強度の高い硬質材を圧延する場合の方が、超硬ロールを用いることによる圧下率向上の効果が大きいことが示されている。特に、超硬ロールの適用によって圧下率を1.5倍以上向上させるには、圧延前の引張強度が850MPa以上の鋼板が望ましいことが示された。これは、ワークロールの変形による圧延荷重の増加が軟質材よりも硬質材でより顕著に現れるが、超硬ロールを適用することによって圧延荷重の増加を抑制できるからである。
(実施例1)
実施例1では、図1に示される4Hi型の圧延スタンドを合計5スタンド備えた冷間タンデム圧延機を用いて圧延を行った。5スタンド目のワークロールには、ダルロールを用いた。十分に多量のエマルション系の潤滑剤(濃度:2体積%)を、各圧延スタンドに供給しながら圧延を行った。供試材は、1スタンド入側の厚みが2.6mm、板幅が1400mmの高張力鋼板であり、引張強度は1010MPaであった。圧延のストリップ速度は、5スタンド目の出側で200mpmとした。その他、圧延に使用した各圧延スタンドのワークロール(WR)の直径、ワークロールの表面粗さ(Ra)を以下の表1にまとめた。
本発明例1〜4では、1〜4スタンド目のいずれか一つに超硬ロールを使用して圧延を行った結果を示す。尚、実験に用いた超硬ロールは、表層から50mmの深さまでCoで焼結させたWC系のスリーブロールを、鍛鋼素材の軸材に焼き嵌めて製造されたものである。結果を以下の表2に示す。尚、表中の「std」は「スタンド」の略とする。
全スタンドを鍛鋼ロールとする比較例1では、第4スタンドにおいて圧延荷重が上限(3000tonf)に達してしまい、板厚を目標値(1.4mm)よりも薄くすることができなかった。
それに対して、超硬ロールを第1スタンドから第3スタンドまでに適用した本発明例1〜3では、いずれも板厚を目標値(1.4mm)よりも薄くすることができた。特に、超硬ロールを4スタンド目に適用した本発明例4では、板厚を1.3mm未満まで薄くすることができた。以上より、本発明の有効性が確認された。
(実施例2)
実施例2では、図2に示されるように第4、第5スタンドに6Hi型の圧延機を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件により圧延を行った。圧延に使用した各圧延スタンドのワークロールの直径、ワークロールの表面粗さ(Ra)を以下の表3に示す。
全スタンドを鍛鋼ロールとした例(比較例1)、1〜4スタンド目のいずれかに超硬ロールを適用した例(本発明例1〜3及び比較例2)の結果を以下の表4に示す。
全スタンドを鍛鋼ロールとする比較例2では、3スタンド目で圧延荷重が上限値(3000tonf)を超えてしまい、板厚を目標値(1.17mm)よりも薄くすることができなかった。
それに対して、1スタンド目〜3スタンド目のいずれかに超硬ロールを適用した本発明例5〜7では、いずれも板厚を目標値(1.17mm)よりも薄くすることができた。
一方で、比較例として4スタンド目に超硬ロールを使用した比較例3では、目標板厚未満まで薄肉化することができなかった。これは、ワークロール径の小さい6Hi型の圧延機に超硬ロールを適用する場合は、鍛鋼ロールを適用する場合に比べて、摩擦係数が大きくなってしまい、圧延負荷が高くなってしまったことによると考えられる。以上より、本発明の有効性が確認された。
1、2、3、4、5 圧延スタンド
11A、11B、51A、51B ワークロール
12A、12B バックアップロール
13A、13B スプレーノズル
31A、31B、41A、41B 超硬ロール
53A、53B 中間ロール
61 鋼板
71 冷間タンデム圧延機

Claims (8)

  1. 3つ以上の圧延スタンドを備えた冷間タンデム圧延機であって、
    最終スタンドは、ダル加工を施したロールをワークロールとして備え、
    最終スタンド以外の少なくとも一つの4Hi型圧延スタンドは、表層部のヤング率が500GPa以上で、直径が400mm以上の超硬ロールを、ワークロールとして備える冷間タンデム圧延機。
  2. 前記超硬ロールの表層部は、タングステンカーバイト(WC)とコバルト(Co)とを含む請求項1に記載の冷間タンデム圧延機。
  3. 前記超硬ロールを備えた圧延スタンドは、最終スタンドの一つ手前の最終直前スタンドである請求項1又は2に記載の冷間タンデム圧延機。
  4. 最終スタンドの一つ手前の最終直前スタンドが6個以上のロールを有し、
    最終スタンド及び最終直前スタンド以外の少なくともいずれか一つの圧延スタンドが、前記超硬ロールをワークロールとして備える請求項1又は2に記載の冷間タンデム圧延機。
  5. 前記超硬ロールを備えた圧延スタンドは、最終直前スタンドの一つ手前の圧延スタンドである請求項に記載の冷間タンデム圧延機。
  6. 超鋼ロールを備えた圧延スタンドよりも手前における少なくともいずれか1つの圧延スタンドは、HCミル又はペアクロスミルである請求項1からまでのいずれかの1項に記載の冷間タンデム圧延機。
  7. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の冷間タンデム圧延機を用いて圧延を行う冷延鋼板の製造方法。
  8. 圧延前の引張強度が850MPa以上の鋼板について圧延を行う請求項に記載の冷延鋼板の製造方法。
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