JP4980119B2 - 調質圧延時の圧延安定性を高めた鋼板の冷間圧延方法、冷間圧延設備、及びその方法に使用する冷延鋼板 - Google Patents
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また、缶用鋼板は、調質圧延工程において圧下率範囲を制御することで、硬度、伸び、引張り強さなどの材質の異なる鋼板に造り分けることが行われており、その際、乾式調質圧延に比べて圧下率が大きく取れる湿式調質圧延が用いられることがある。
しかし、それぞれの文献においてダルロールを用いる目的は、特許文献2では、鋼板表面の鮮映性と加工性の向上のためであり、また、特許文献3では、連続焼鈍における蛇行防止などの通板安定性のためであり、湿式調質圧延における上述の問題解決のための方法については示されていなかった。
(1)タンデム冷間圧延あるいはリバース冷間圧延の後、湿式調質圧延される鋼板の圧延方法において、タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスの圧延を、ロール表面に、直径が60〜250μmで深さが2.0〜250μmであり、穴の周囲の盛り上がり部の高さが5μm以下である微細な穴が、ピッチ80〜1500μmで複数配列された圧延ロールを用いて行うことにより、その後の湿式調質圧延時の圧延安定性を高めたことを特徴とする鋼板の冷間圧延方法。
(2)タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスの圧下率を1.0〜40%とすることを特徴とする前記(1)に記載の冷間圧延方法。
本発明者らは、冷間圧延で形成した所定形状の突起が多数所定のピッチで配列する粗面を調質圧延後も引き継ぐことができ、前記課題を達成できる圧延ロールの表面形状について検討した。
ここで、加工穴が複数個、規則的に配列するように加工された圧延ロールは、特許文献3に記載されているような、ロール表面にレーザービームなどの高エネルギービームを照射するダル加工によって、表面に加工穴を規則的に形成させたロールをいう。
圧延ロール1の表面に規則的に配列される加工穴2は、穴の直径(穴径)3が60〜250μmの範囲で、穴深さ4が2.0〜250μmの範囲であり、穴ピッチ(加工穴の中心間距離)5が80〜1500μmの範囲で配列されている必要がある。また、穴の加工の際に、穴の周囲に盛り上がり部6が形成される場合があるが、その場合は、その高さ7を5μm以下とする。
加工穴の深さをそのように定めたのは、2.0μm未満であると鋼板の突起高さが2.0μm未満になってしまい、調質圧延の際の摩擦係数を確保することができなくて、圧延が安定せず、他方、250μmを超えるとロール表面の疲労強度が低下し、ロール表面の欠損事故が発生しやすくなるためである。
鋼板8の突起9の直径とピッチは、ロールの加工穴の直径とピッチと同じで、直径10は60〜250μm、ピッチは80〜1500μmである。また、鋼板の突起の高さ11は2.0〜95μmである。
鋼板の突起の高さをこのような範囲としたのは、2.0μm未満では調質圧延での摩擦係数を上げることができず、圧延安定化の効果を享受できないためであり、他方、95μmを超えると調質圧延後に模様が残ってしまい、外観上好ましくないためである。
湿式調質圧延は、2スタンドの圧延機を用いて、第1スタンドではスクラッチのロールを用い、第2スタンドではブライトのロールを用い、3.8%の圧下率で行った。
その結果、ジャンピングの発生なく、硬度60を有し、Ra0.38μmの表面粗度を有する鋼板が得られた。
その結果、レーザダルロールを使用しないで場合は、ジャンピングが4.5%の圧下率で発生した。
得られた結果を表1、2に示す。表1、2より、本発明に従った実施例は、種々の表面状態の鋼板がジャンピングの発生がなく得られることがわかる。これに対し、比較例では、ジャンピングが発生する場合や、好ましい表面状態の鋼板が得られない場合があることがわかる。
2 加工穴
3 穴の直径(穴径)
4 穴の深さ
5 穴のピッチ
6 盛り上がり部
7 盛り上がり部の高さ
8 鋼板
9 鋼板に形成された突起
10 突起の直径
11 突起の高さ
Claims (5)
- タンデム冷間圧延あるいはリバース冷間圧延の後、湿式調質圧延される鋼板の冷間圧延方法において、
タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスの圧延を、ロール表面に、直径が60〜250μmで深さが2.0〜250μmであり、穴の周囲の盛り上がり部の高さが5μm以下である微細な穴が、ピッチ80〜1500μmで複数配列された圧延ロールを用いて行うことにより、その後の湿式調質圧延時の圧延安定性を高めたことを特徴とする鋼板の冷間圧延方法。 - タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスの圧下率を1.0〜40%とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷間圧延方法。
- タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスにおける冷間圧延によって、表面に、直径60〜250μmで高さ2.0〜95μmの突起が、ピッチ80〜1500μmで複数形成されていることを特徴とする湿式調質圧延用冷延鋼板。
- 請求項3に記載の冷延鋼板を圧下率2.5〜10%で湿式調質圧延することを特徴とする調質圧延方法。
- タンデム冷間圧延あるいはリバース冷間圧延の後、湿式調質圧延される鋼板の冷間圧延設備において、
タンデム冷間圧延の最終スタンドまたはリバース冷間圧延の最終パスにおける圧延ロールが、ロール表面に、直径が60〜250μmで深さが2.0〜250μmであり、穴の周囲の盛り上がり部の高さが5μm以下である微細な穴が、ピッチ80〜1500μmで複数配列されたものであることを特徴とする冷間圧延設備。
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