JP6354072B2 - 調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法 - Google Patents

調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板のウェット式の調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法に関し、特に、鋼板の外観ムラを改善する調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法に関する。
一般に、冷延鋼板は、熱間圧延、酸洗した後に、冷間圧延、焼鈍という工程を経て製造される。また、焼鈍後には、表面性状の調整(表面粗さや硬度の調整等)を目的として、必要に応じて調質圧延が行われる。このような工程を経て製造された冷延鋼板には、冷間圧延起因の外観ムラが存在する場合がある。外観ムラには、モトリングや粗度ムラといったものがある。
モトリングとは、白っぽく見える箇所や黒光りして見える箇所が点在した模様となっている表面外観の不良である。例えば、エマルション潤滑剤を用いた冷間圧延後の鋼板は、モトリングが発生することが知られている。モトリングが発生している鋼板では、総じて、圧延中のエマルション潤滑剤の影響により発生する凹部(以降、オイルピットとも呼ぶ)が多く、表面粗さが大きい場所では、白っぽく見える。これに対して、オイルピットが少なく、表面粗さが小さい場所では、黒光りして見える。そのため、モトリングの発生は、油分の付着ムラ等によるものとされている。
粗度ムラは、鋼板表面の粗度にバラつきがある表面外観の不良である。
このような冷間圧延後の表面状態が不均一となっていることに起因する外観不良を、調質圧延により、改善することが行われている。調質圧延には、調質圧延液を用いないドライ式調質圧延と、調質圧延液を用いるウェット式調質圧延とがあり、比較的低圧下である調質圧延は、ドライ式調質圧延が主流であった。しかしながら、近年では、比較的低圧下の調質圧延と比較的高圧下の2次冷間圧延とを同一の設備で連続して製造したり、硬度を圧下率で調節したりと、広範囲の圧下率を同様の圧延方式で行う場合もあり、比較的低圧下である調質圧延もウェット式調質圧延で行う要求が出てきている。
ドライ式調質圧延では、鋼板に調質圧延液を介することなくワークロールが直接接触するため、ワークロールとしてダルロールを用いることによりダルロールの凹凸を高い転写率で鋼板に転写させることができ、冷間圧延で発生した外観ムラを、ドライ式調質圧延にて解消することができる。
しかしながら、ウェット式調質圧延では、鋼板とワークロールとの間に調質圧延液が存在し、ワークロールとしてダルロールを用いても、ダルロールの凹凸を鋼板に転写させづらくなる。低圧下では、よりダルロールの凹凸を鋼板に転写させづらくなり、調質圧延後にも鋼板に外観ムラが残るという場合があった。この調質圧延後に残る外観ムラは、特に、缶に使用される鋼板では意匠性を損ねる要因として忌避される。
このような問題に対し、例えば、特許文献1では、冷間圧延において、スプレーノズルとして2流体ノズルを備えた2流体ノズルヘッダーを配置し、そこから鋼板表面にエマルション圧延油を噴射することで、噴射されるエマルション圧延油を空気によりアトマイズする。これにより、供給されるエマルション圧延油の粒径分布を安定化および均一化させ、タンデム圧延工程において、エマルション圧延油の粒径の不均一に起因するモトリングの発生を防止することが開示されている(段落[0062])。
特許文献2では、モトリング等を解消することを目的としてなされたものではないが、調質圧延機よりも下流で、圧延された金属ストリップの平均表面粗度RaおよびPPIを連続的にあるいは断続的に測定し、RaおよびPPIの目標値と測定値との偏差を基に、予めワークロールの粗度毎に実験によって求めたRaおよびPPIについての伸び率、入側張力及び出側張力との関係を表す回帰式を用いて、調質圧延機の伸び率、入側張力、出側張力のいずれか2つ以上を調整し、金属ストリップの平均表面粗度Ra及びPPIを目標の値になるように制御することが開示されている。
特開2008−212940号公報 特開2008−6453号公報
しかしながら、特許文献1の手法は、2流体ノズルを備えた2流体ノズルヘッダーを新たに設置する必要があり、既存の設備を利用することができない。
特許文献2の手法は、高圧下の場合を前提としており、本発明が課題とする低圧下の場合の外観ムラの解消方法については何ら言及されていない。また、特許文献2の手法は、調質圧延機の伸び率、入側張力、出側張力のいずれか2つ以上を調整して、所望の金属ストリップ(鋼板)の平均表面粗度Ra及びPPIを得るものであり、どのようにして、外観ムラを解消させることができるかについては、何ら言及されていない。
本発明は、既存の設備を用いて、冷間圧延で発生した外観ムラを、その後のウェット式調質圧延にて解消することができる調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、以下のような特徴を有している。
[1] 冷間圧延および焼鈍した鋼板を、少なくとも1つのスタンドにダルワークロールを備えた圧延機を用いてウェット式調質圧延を行う調質圧延方法であって、
調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上となる算術平均粗さRaを有するダルワークロールを用いて、鋼板のウェット式調質圧延を行う調質圧延方法。
[2] [1]に記載の調質圧延方法において、ダルワークロールが式1を満たすPPIを有する調質圧延方法。
(A×Ra)+PPI−B≧0 (式1)
ただし、Ra:ダルワークロールの表面算術平均粗さ(μm)
PPI:peaks per inch
AおよびB:予め得られている定数
[3] 式1を式2とする[2]に記載の調質圧延方法。
(200×Ra)+PPI−570≧0 (式2)
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載の調質圧延方法を用いて冷延鋼板を製造する鋼板の製造方法。
本発明に係る調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法は、既存の設備を用いて、冷間圧延で発生した外観ムラを、その後のウェット式調質圧延にて解消することができる。
実験で用いた調質圧延機を示す図である。 本発明が適用される調質圧延機の一例を示す図である。 調質圧延前の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示す図である。 冷延鋼板A1を、外観ムラがない従来条件でドライ式調質圧延を行った後の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示す図である。 冷延鋼板A1を、外観ムラが残存している条件(比較例)でウェット式調質圧延した後(表1のNo.1 比較例)の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示す図である。 冷延鋼板A1を、外観ムラが残存していない条件(本発明例)でウェット式調質圧延した後(表1のNo.4 本発明例)の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示す図である。 ウェット式調質圧延におけるロール表面のPPIと転写率との関係を示す図である。 ウェット式調質圧延におけるロール表面の算術平均粗さRaと転写率との関係を示す図である。 ロール表面の算術平均粗さRaとロール表面のPPIとの関係を示す図である。
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、冷間圧延にて発生した外観ムラを、その後のウェット式調質圧延において解消する手法を提供するものである。
まず、発明者らは、調質圧延の前後で、凹部の深さがどのように変化しているのか実験により確認した。鋼成分調整後(成分C:0.04質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.03質量%)、熱間圧延、冷間圧延を行い、連続焼鈍した冷延鋼板A1を用いた。冷延鋼板A1では、冷間圧延の際にエマルション平均粒径10μm、動粘度40mm/s、濃度3体積%のエマルション潤滑剤を用いており、冷間圧延後の鋼板の表面にはモトリング(外観ムラ)が発生していた。
冷延鋼板A1:エマルション平均粒径10μm、動粘度40mm/s、濃度3体積%
凹部最大深さ:2.7μm、各凹部の面積が0〜1000μm
図1は、実験で用いた調質圧延機を示す図である。実験に使用した調質圧延機は、4Hi、2スタンドの圧延機である。なお、図1では、各スタンドのワークロールのみを示している。
実験では、1スタンド目のワークロール8、9として、PPI=180、算術平均粗さRa=0.8μmのダルロールを使用した。また、2スタンド目のワークロール10、11として、Ra=0.5μmのブライトロールを使用した。ここで、Raは、JIS B 0601号に規定されている表面粗さを示す指標であり、算術平均粗さを示すものとする。また、PPIは、粗さ曲線の中心線からの高さが所定の基準値(2.5μinchとした)以上となる凸部の粗さ曲線25.4mmあたりのピーク数である。
ここで、ダルロールとは、ショットブラスト、放電加工、レーザ加工などにより表面に方向性の弱い(一般にはランダム性の強い)ダル目をつけたロールであり、ブライトロールは研磨加工による研磨筋を残したものを指す。
ドライ式調質圧延では、調質圧延液を使用せずに調質圧延を実施し、ウェット式調質圧延では、1スタンド目の上側ワークロール8の入側に設けられた上側ノズルヘッダ4と、下側ワークロール9の入側に設けられた下側ノズルヘッダ5とから、鋼板3に、濃度が1%の調質圧延液を10L/minで供給しながら、圧下率2.0%にて調質圧延を実施した。また、2スタンド目の入側からも調質圧延液を10L/minで供給した。なお、図1では、2スタンド目の入側から調質圧延液を供給するノズルヘッダについては省略して示している。
図3−1に、外観ムラがある冷延鋼板A1表面の調質圧延前の各凹部の深さの分布を示す。図3−2に、冷延鋼板A1を、外観ムラがない従来条件でドライ式調質圧延を行った後の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示し、図3−3に、冷延鋼板A1を、外観ムラが残存している条件(比較例)でウェット式調質圧延した後(表1のNo.1 比較例)の冷延鋼板A1表面の各凹部の深さの分布を示す。
外観ムラがある調質圧延前の冷延鋼板A1の表面では、凹部の深さの分布が0〜2.7μm、凹部の大きさの分布が0〜1200μmであった。次に、ドライ式調質圧延後で外観ムラが改善されている場合の鋼板表面では、凹部の深さの分布が0〜1.5μm、凹部の大きさの分布が0〜2900μmとなり、ロールのダル目が転写されていることがわかる。
次に、外観ムラが改善されていない従来条件のウェット式調質圧延後(表1のNo.1 比較例)の鋼板表面で、凹部の深さと大きさの分布を調査したところ、凹部の深さの分布が0〜2.2μm、凹部の大きさの分布が0〜1700μmとドライ式調質圧延の場合よりもロールのダル目が転写されていないことがわかった。
ウェット式調質圧延では、調質圧延液を各スタンド前で10L/minで供給したが、この調質圧延液がロールと鋼板の間に存在し、ロール突起部の転写が少なかったため、鋼板表面の凹部を外観不良にならないレベルまで浅くすることが出来なかったものと思われる。
このことから、ウェット式調質圧延でもロールのダル目を転写できる条件を見出すことが必要と考え種々検討したところ、外観が良好になる条件を見出した。ウェット式調質圧延により外観が良好になった鋼板の表面を調査した結果を図3−4に示す(表1のNo.4本発明例)。
これらより、冷延鋼板表面の凹部の深さが1.8μm以上の深い凹部がある場合には、目視での外観ムラがあると判定されることが推測される。凹部を浅くするためには、ロールのダル目を転写できるように圧延する必要がある。しかし、ウェット式調質圧延を、従来のドライ式調質圧延と同様の条件で行っても、ロール粗度が転写されにくいため、凹部の深さが1.8μm以上のように深い凹部を消すことが出来なかったものと思われる。そこで、ウェット式調質圧延でも凹部の深さを浅くできる圧延条件を鋭意検討した。この結果を表1に示す。
発明者らは、調質圧延前の鋼板に存在する凹部の深さに応じた算術平均粗さRaを有するダルワークロールを用いて調質圧延することで、外観ムラを減少させることができるのではないかと考えた。
ここで、発明者らは、算術平均粗さRaが、鋼板の調質圧延前における凹部の最大深さの1/2以上であるダルワークロールを用いて、ダルワークロールの凸部を鋼板に転写させ、外観ムラの原因となる凹部と同程度もしくはそれ以上の凹部を鋼板全体に亘って均一に形成し、外観ムラの原因となる凹部を目立たなくさせて、外観ムラを低減させることを想到した。
ダルワークロールの表面の算術平均粗さRaの上限は特に定めないが、算術平均粗さRaが大きすぎると、ダル加工が困難になるため、算術平均粗さRaは8.0μm以下とすることが好ましい。
なお、鋼板の調質圧延前の凹部の最大深さの計測には、接触式の3次元粗さ計による計測や、レーザ顕微鏡を用いればよい。例えば、鋼板表面の3次元粗さ計により測定された3次元の表面データを、圧延方向へのデータの平均化によって冷間圧延の際についた圧延方向への筋模様の影響を削除し、中心線より標準偏差分だけ低い深さ以下となる部分を凹部とし、各凹部の一番深い位置を最大深さと定義する。
今回の実験は、接触式3D粗さ計Surfcom1500 D3−22((株)東京精密製)を用いた。圧延方向の筋を明確に認識できるように、鋼板の圧延方向の直角の方向(C方向)をx方向(摺動する方向)に、圧延方向(L方向)をy方向に設定し計測した。計測されたデータは、各x方向データを最小二乗法で近似した二次多項式により補正し、凹部を抽出する信号処理に用いた。凹部の抽出は、3D粗さ計データの圧延方向データを最小二乗法で二次関数近似した表面を作成し、元のデータから引いた残りのデータ(以下、「ダル面」という)から、L方向の標準偏差を計算し、ダル面が標準偏差の1.5倍より低い箇所を凹部とした。
次に、発明者らは、ダルワークロールの算術平均粗さRaとPPIが、外観ムラに与える影響について検討した。外観ムラは、鋼板表面にできた凹部が局所的に発生することに起因する。そのため、この局所的に発生した凹部が目立たなくなるように、鋼板全体の凹部の面積率を増大させることができれば、外観ムラを解消することができると考えた。
発明者らは、鋼板の凹部の面積率を増大させるためには、ダルワークロールの算術平均粗さRaとPPIを調整すればよいと考えた。そこで、発明者らは、これを立証するために、ダルワークロールの算術平均粗さRaおよびPPIと、調質圧延時の転写率(%)との関係について検討した。ここで、転写率(%)とは、下記の式で定義される値である。
Figure 0006354072
発明者らは、図3で用いた冷間圧延後に外観ムラがある冷延鋼板A1に対し、算術平均粗さRaを1.5μmに調整した様々なPPIを持つダルワークロールを用いてウェット式調質圧延を行った。調質圧延は、2スタンドの圧延機を用い、各スタンドにおいて、濃度が1体積%の調質圧延液を10L/minで供給しながら、圧下率2.0%にて調質圧延を実施した。この結果、図4に示すように、ダルワークロール表面のPPIを大きくすれば、鋼板にダルロール表面の粗度を転写することが可能であることが分かった。なお、原板の状態で軽い外観ムラ(モトリング)であれば、めっきを施すことにより外観ムラを改善できるため、外観評価は、調質圧延後の外観の目視評価と、10μmの錫めっき後の外観の目視評価で行った。本発明において、外観評価はすべてこの基準にて行った。
◎:外観ムラ無し
○:外観ムラがわずかにあっても、10μmの錫めっきを付与すれば外観ムラが無くなる場合
△:外観ムラがわずかにあり10μmの錫めっきを付与してもわずかに外観ムラが残る場合
×:外観ムラがあり10μmの錫めっきを付与しても外観ムラが残る場合
また、発明者らは、PPI=290に調整したダルワークロールを用い、圧下率2.0%で調質圧延を行った。圧延に使用した鋼板は、冷延鋼板A1と同様のものであり、モトリング(外観ムラ)が発生していたことを確認している。調質圧延は、2スタンドの圧延機を用い、各スタンドにおいて、濃度が1体積%の潤滑剤(調質圧延液)を10L/minで供給しながら調質圧延を実施した。なお、ダルワークロールは、1スタンドに配置した。この結果、図5に示すように、ダルワークロールの表面の算術平均粗さRaが増大すれば、鋼板にロール表面の粗度を転写することが可能であることが分かった。
図4および図5から、ダルワークロールの算術平均粗さRaまたはPPIを増大させれば、鋼板にロール表面の粗度を転写することができることが分かった。
なお、ダルワークロールのダル表面の転写率として8%以上を保つことで、外観ムラが解消できることが分かったため、ダルワークロールの転写率を8%以上とすることが好適である。
次に、外観ムラを解消することができるダルワークロールの算術平均粗さRaとPPIには、何らかの関係があると考えた。
そこで、ダルワークロールの算術平均粗さRaおよびPPIを変化させてウェット式調質圧延を行った。ただし、ダルワークロールの算術平均粗さRaは、いずれも調質圧延前の鋼板の凹部の最大深さの1/2以上である。調質圧延後の外観ムラを目視により評価した。外観ムラの評価には、モトリングの発生の有無を用いて判定した。なお、調質圧延でモトリングが解消されていれば、モトリングに至らない凹凸ムラも同時に解消したとみなすことができる。
この結果を図6に示す。図6より、以下の関係式が得られた。すなわち、ダルワークロールの算術平均粗さRaが、調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上であり、かつ、以下の関係式を満たす条件では、調質圧延後の鋼板の外観ムラをより低減することができる。
(200×Ra)+PPI−570≧0
ただし、Ra:ロールの算術平均粗さ(μm)
PPI:peaks per inch
定数200および570は、鋼種、圧下率、調質圧延液の種類などの圧延条件に応じて変化する値である。そのため、上式を一般化すると、式1に示すようになる。すなわち、AおよびBは、圧延条件に応じて定まる定数であり、適正な式1の定数A、Bを設定することにより、安定して外観ムラを改善できる、ダルワークロールの算術平均粗さRaおよびPPIを設定することができる。
(A×Ra)+PPI−B≧0 (式1)
定数AおよびBは、以下のような手順で設定すればよい。具体的には、ダルワークロールの表面の算術平均粗さRa(ただし、算術平均粗さRaは調質圧延前の鋼板の凹部の最大深さの1/2以上)およびPPIを変化させてウェット式調質圧延を行い、調質圧延後の外観ムラを評価する。そして、この外観ムラの評価に基づいて、式1の定数AおよびBを決定すればよい。
このように、種々の圧延条件に対して、予め実験を行い、定数AおよびBを求めておき、以降は、圧延条件に応じた定数AおよびBの組み合わせを用い、(式1)を満たすようにダルワークロールの算術平均粗さRaおよびPPIを決定すればよい。なお、定数AおよびBは、実験を行う以外にも、操業実績などから決定してもよい。
また、算術平均粗さRaやPPIを調整するにあたっては、ショットブラストに比べて制御が容易な放電加工やレーザ加工などを用いればよい。
このように、本発明では、調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上の算術平均粗さRaを有するダルワークロールを用いてウェット式調質圧延を行い、ダルワークロールの凸部を鋼板に転写させることで、凹部を鋼板全面に均一に形成して、外観ムラの原因となる凹部を目立たなくさせることで、外観ムラを解消させることができる。
さらに、本発明は、式1を満たすPPIを有するダルワークロールを用いることで、より外観を良好にすることができる。
なお、ウェット式調質圧延における低圧下の場合に、ダルワークロールのダル目を十分に転写できないことにより、調質圧延前に鋼板表面にあるモトリングが解消できなかったり、調質圧延時に鋼板表面にモトリングに至らない程度の新たな凹凸ムラ(総じて外観ムラという)が発生したりしやすいが、本発明を適用することにより、外観を良好に出来る。すなわち、ウェット式調質圧延における低圧下の場合に本発明を適用することで、より効果を奏する。具体的には、圧下率が2.0%以下のウェット式調質圧延に適用することが好ましい。
また、図1では、2スタンドの圧延機を示したが、本発明は、図2に示すような1スタンドの圧延機や、3スタンド以上の圧延機に適用しても良い。図2の例では、上側ダルワークロール6の入側に設けられた上側ノズルヘッダ4と、下側ダルワークロール7の入側に設けられた下側ノズルヘッダ5とから、鋼板3に、調質圧延液を供給する。この場合には、ダルワークロール6、7の表面の算術平均粗さRaを、調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上となるように決定すればよい。さらに、決定されたダルワークロール6、7の算術平均粗さRaに対し、式1を満たすようにダルワークロール6、7のPPIを決定してもよい。
なお、最終製品で求められている鋼板の表面算術平均粗さが本発明で形成した表面算術平均粗さと異なっている(特に低い算術平均粗さが指定されている)場合には、本発明によるモトリング解消のためのダルワークロールを用いた調質圧延をするスタンドの後に、表面粗度調整用のブライトロール等を有するスタンドを設け、該スタンドにより圧延を施すことが望ましい。
本発明は、冷間圧延および焼鈍後に調質圧延を行う種々の冷延鋼板の製造方法として実施することができる。なお、この説明における「冷間圧延」には、200℃〜300℃で行われる温間圧延も含むものとする。
例えば、本発明は、缶用鋼板の製造方法に適用することができる。この場合には、適切な化学成分範囲に調整された鋼を、連続鋳造によりスラブとし、粗圧延した後、仕上げ圧延を行う。次いで、酸洗等で酸化皮膜を除去した後、冷間圧延し、焼鈍する。焼鈍後、調質圧延を行い、この調質圧延の際に用いられるダルワークロールの算術平均粗さRaを、調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上とすればよい。
缶用鋼板では、より外観ムラの低減が要求されるため、本発明を缶用鋼板の製造方法に適用すれば、缶用鋼板の外観ムラを低減でき、缶の意匠性を高めることができるため好適である。
図1に示すような、4段圧延機構(4Hi)、2スタンドの圧延機を用い、ウェット式調質圧延を実施した。実験条件およびその結果を表1にまとめる。
Figure 0006354072
調質圧延の1スタンド目で、直径φ530mmのダルワークロールを用い、800tonfの荷重をかけた。1スタンド目のダルワークロールのRa、PPIを表1に示すとおり種々変更し、外観ムラへの影響を調べた。
調質圧延の2スタンド目では、直径φ620mmのブライトワークロール(表面算術平均粗さRa=0.5μm)を用い、500tonfの荷重をかけ、表面調整を行った。
スタンド間の張力値を調整することで、鋼板の圧下率を1.2%から1.7%に調整した。
なお、上記調質圧延に使用した鋼板は、前述したC:0.04質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含む材料を、連続鋳造、熱間圧延し、熱延仕上温度870℃とし、巻き取り温度を560℃とし、エマルション潤滑剤を用いて圧下率90%で冷間圧延後に連続焼鈍した冷延鋼板で外観ムラ(モトリング)が発生したものを用いた。外観ムラの程度が異なる2種類の鋼板とするために、冷間圧延時のエマルション潤滑剤を2水準用いた。なお、前述の冷延鋼板A1がこのうちの1水準である。
冷延鋼板A1:エマルション平均粒径10μm、動粘度40mm/s、濃度3体積%
凹部最大深さ:2.7μm、各凹部の面積が0〜1000μm
冷延鋼板A2:エマルション平均粒径15μm、動粘度30mm/s、濃度7体積%
凹部最大深さ:4.0μm、各凹部の面積が0〜2000μm
調質圧延には、調質圧延液として、アルカノールアミンを主成分とするものを使用し、濃度1%、流量10L/minに固定して、1および2スタンドの双方に供給した。
外観ムラの程度が異なる2種類の鋼板を用いて、調質圧延を実施した。2種類の鋼板は、いずれも厚み0.20mm、上降伏点は430MPa、下降伏点は360MPaであった。外観評価結果を表1に示す。本発明範囲となっている本発明例では、外観評価結果が優れた結果を示している。
表1の結果から、本発明を実施することで、外観ムラの発生が抑制されることが分かった。
3 鋼板
4 上側ノズルヘッダ
5 下側ノズルヘッダ
6、8 上側ダルワークロール
7、9 下側ダルワークロール
10 上側ブライトワークロール
11 下側ブライトワークロール

Claims (4)

  1. 冷間圧延および焼鈍した鋼板を、少なくとも1つのスタンドにダルワークロールを備えた圧延機を用いて圧下率1.2%以上2.0%以下のウェット式調質圧延を行う調質圧延方法であって、
    調質圧延前の鋼板表面の凹部の最大深さの1/2以上で、かつ、8.0μm以下となる算術平均粗さRaを有するダルワークロールを用いて、鋼板のウェット式調質圧延を行う調質圧延方法。
  2. 請求項1に記載の調質圧延方法において、ダルワークロールが式1を満たすPPIを有する調質圧延方法。
    (A×Ra)+PPI−B≧0 (式1)
    ただし、Ra:ダルワークロールの表面算術平均粗さ(μm)
    PPI:peaks per inch
    AおよびB:予め得られている定数
  3. 式1を式2とする請求項2に記載の調質圧延方法。
    (200×Ra)+PPI−570≧0 (式2)
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の調質圧延方法を用いて冷延鋼板を製造する鋼板の製造方法。
JP2016164536A 2015-08-26 2016-08-25 調質圧延方法およびこれを用いた鋼板の製造方法 Active JP6354072B2 (ja)

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