JPS5927241B2 - ブリキ表面鏡面材の調質圧延法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はブリキ表面鏡面材の調質圧延法に関するもので
ある。

ブリキ表面鏡面鋼板は飲食物充填容器として広（使用さ
れているが、このブリキ鋼板は冷間圧延された繊維状組
織の冷延板に再結晶焼鈍を施した後、調質圧延を行い、
その後錫メッキを施すことにより製造されている。

ブリキ原板の調質圧延は一般に圧延油を使用しない完全
ドライ圧延のため、ウェット圧延に比ベロールとブリキ
原板との間の摩擦係数が著しく高い。

さらにブリキ成品は板厚が０．１８〜０．５ ｍｍと薄
いため、通常のスクラッチロールやブライドロールで圧
延する場合、極めて伸び難く、スキンパス効果も著しく
弱くなる。

スキンパス効果とは焼鈍板にスキンパス圧延を行うこと
により、降伏点伸びが消失すること、歪時効による降伏
点伸びの回復が他の加工法に比べ緩慢であることなどを
総称していう。

このスキンパス効果により降伏点が消失し製缶性が向上
されるがスキンパス効果が弱くなると製缶時にダイヤモ
ンド缶と呼ばれる多角形の不良缶が発生する。

このため、ニ般に２スタンド以上の調質圧延機を用い、
かつ前段スタンドにはダルロールを使用する調質圧延法
が採られている。

前段スタンドにダルロールを使用すると前段で板の表面
に凹凸が付与され、この凹凸部が最終スタンドのブライ
ドロールでつぶされることにより伸び率が確保され、ス
キンパス効果も増すと考えられている。

ブリキ表面鏡面材の調質圧延においては、最終スタンド
に表面粗度０．２μＲａ以下の鏡面ロールを使用するが
、通常のスクラッチロールに比べ、前段ダルロールによ
る鋼板表面凹凸部がつぶされ難く、鋼板表面にダル目残
りと称するダルプロフィルが一部残存した状態が発生し
易い。

ブリキ表面鏡面材は製缶時に使用される半田（一般には
錫と鉛の合金）に公害対策として鉛を除いた純錫半田が
使用されることが多く、この純錫半田は一般の半田に比
べ半田性が劣っている。

製缶時の半田性の評価法として毛細管現象による半田上
昇量と半田密着力が使用されるが、ブリキ成品表面にダ
ル目残りがあると、毛細管現象を阻害するため半田上昇
量が小さくなり、また半田密着力も弱くなり半田性不良
の原因となる。

ブリキ成品の表面外観としてもダル目残りは見栄えを低
下させ、級落ちの原因となっている。

本発明者等はこのような問題を解決することを目的に多
（の実験を試みた結果、前段ダルロールの表面プロフィ
ルを一定の範囲内に規定すればダル目残りの発生が減少
し図で示すように半田性が向上することを知見した。

その要旨は最終スタンドを除く前段スタンドにロール表
面粗度１．００〜１．７９μＲａ、 カットオフレベ
ル１．２０〜１．３０μでＰＰＩ２５０以上のダルロー
ルを使用し、最終スタンドでブライドロールを使用する
調質圧延法である。

以下本発明について上記のように数値限定した理由を詳
細に説明する。

転炉、電気炉等通常の溶解炉で精錬された溶鋼を造塊・
分塊あるいは連続鋳造法によって鋼片を製造し、さらに
熱延、冷延、焼鈍の過程を経てブリキ用原板を製造する
。

焼鈍後の鋼板は加工性が極めて悪く、鋼板形状も不良で
あり、かつ表面外観も著しく劣るため、これらの問題を
解消するため２スタンド以上のタンデム配列された調質
圧延機において圧下率１％程度の調質圧延を行った後に
錫メッキを施す。

ブリキ表面鏡面材の半田性を向上させるためには、調質
圧延前段スタンドにロール表面粗度１．００〜１．７９
μＲａ、 カットオフレベ／ｌ／１．２〜１．３μ
でＰＰＩ２５０以上のダルロールを使用する必要がある
。

ロール表面粗度の単位Ｒａは中心線平均粗さで１．００
μ未満の粗度では伸び率が低下しスキンパス効果も弱く
なる。

また１、８０μ以上の粗度では最終スタンドのブライド
ロールで鋼板表面のダルプロフィルが完全につぶれず、
ダル目残りが発生する。

カットオフレベルとは粗度を決定する１個１個の山の頂
きを一定の高さ基準にカットしこの基準を越える山のみ
をカウントするもので、１．２０μ未満では基準線のう
ねり部をカウントし、また１、３０μを超えると効果を
もたらす山の数を不当にして少なめにカウントする。

すなわちカットオフレベルの１．２０〜１．３０μは効
果をもたらす山の数が正確にカウントされかつ山の密度
（ＰＰＩ）を犬ならしめる範囲である。

このような１．２０〜１．３０μのカットオフレベルに
お（・てＰＰＩ２５０Ｊ、Ｊ上が必要である。

さらにＰＰＩとは１インチ当りの山数（Ｐｅａｋｓ ｐ
ｅｒｉｎｃｈ ） を表わし、ＰＰＩが２５０未満で
は１山の断面積が大きくなり最終スタンドでつぶされ難
くなりダル目残りが発生する。

このようにして表面に凹凸が付与されたブリキ原板は、
ロール表面が鏡面状に研摩された最終スタンドのブライ
ドロールで光沢外観に仕上げられて、製缶性と半田性を
向上せしめたブリキ表面鏡面材に製造される。

本発明による上記のようなダルロールは放電ダル加工法
あるいは特別に選定したグリッドを使用するショツトブ
ラスト法により作られるが、このようなロールを調質圧
延機の前段スタンドに用いる調質圧延法により製造され
たブリキ表面鏡面材の成品はダル目残りの発生がなく、
従来の成品に比べ半田性が著しく優れている。

次に、本発明の実施例について説明する。

転炉で溶製し、通常のブリキ製造工程を経て製造された
ブリキ表面鏡面材の原板を２スタンド調質圧延機におい
て最終スタンドに鏡面ロールを組込み、前段スタンドに
各種のダルロールを使用して圧延を行い、半田性とダル
目残り発生状況及びスキンパス効果を調査した。

なお、スキンパス効果は凝似製缶によるフルーティング
テストによりダイヤモンド化の発生状況を判断した。

上記の結果から明らかなように本発明による試料番号２
〜４および８．９は、比較材５〜７および１０〜１２に
比し、半田性とダル目残り発生状況及びスキンパス効果
ともに優れている。

なお、表の半田上昇量の値は約２０コイルの平均値であ
り、スキンパス効果とダル目残り発生状況は外観目視判
定結果である。

【図面の簡単な説明】

第１図は２５０前後のＰＰＩが及ぼすブリキ表面鏡面材
の半田性とスキンパス効果への影響をダルロール表面粗
度について示したものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 圧延油を使用しない２スタンド以上のブリキ原板用
   調質圧延機において、ブリキ表面鏡面材の圧延に際し、
   最終スタンドを除く前段スタンドにロール表面粗度ｉ、
   ｏｏ〜１．７９μＲａ、 カットオフレベル１．２０
   〜１．３０μでｐｐ１２５０以上のダルロールを使用し
   、最終スタンドでブライドロールヲ使用することを特徴
   とするブリキ表面鏡面材の調質圧延法。