JPH079008A - 表面光沢の優れたチタニウム板及びチタニウム合金板の製造方法 - Google Patents

表面光沢の優れたチタニウム板及びチタニウム合金板の製造方法

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JPH079008A
JPH079008A JP15641693A JP15641693A JPH079008A JP H079008 A JPH079008 A JP H079008A JP 15641693 A JP15641693 A JP 15641693A JP 15641693 A JP15641693 A JP 15641693A JP H079008 A JPH079008 A JP H079008A
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rolling
roll
oil
rolled
titanium
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Hideo Yamamoto
秀男 山本
Ryotaro Oyagi
亮太郎 大八木
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】表面の鏡面光沢性に優れたチタニウム板および
チタニウム合金板を冷間圧延により製造する方法を提供
する。 【構成】(1) 中間圧延と仕上げ圧延とよりなる冷間圧延
方法において、直径が 200mm以上のワークロールと粘度
が50℃で30〜200cStの圧延油とを用いて、中間圧延およ
び仕上げ圧延で被圧延材に付加する総圧下量の少なくと
も70%の圧下量で中間圧延したのち、直径が20〜150mm
であり、表面粗さがRa0.05μm以下であり、表面硬度が
Hv 850以上であるワークロールと粘度が50℃で5〜20cS
t の圧延油とを用いて、少なくとも10%の圧下率で仕上
げ圧延をすることを特徴とする表面光沢の優れたチタニ
ウム板およびチタニウム合金板の製造方法。 (2) 冷間圧延の後工程として、被圧延材を洗浄したの
ち、不活性ガス雰囲気もしくは真空中で焼鈍することを
特徴とする表面光沢の優れたチタニウム板およびチタニ
ウム合金板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面の光沢性に優れ
たチタニウム板およびチタニウム合金板を冷間圧延によ
り製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家電製品、その他の部品に用いられる金
属板の品質の一つとして表面光沢がある。例えば、優れ
た表面光沢が必要とされるステンレス鋼板などの圧延に
は、微細粒の砥石で研磨した表面粗さの小さい小径ワー
クロールが使用され、且つ、低速度の圧延条件が採用さ
れている。これは、圧延速度または圧下率を増大させて
高能率で圧延をしようとすると、焼付き疵の発生がある
ためである。また、ワークロール(以下、単にロールと
記す)の表面を微細に研磨しているのは、金属板の冷間
圧延においては、ロールの表面の凹凸が金属板に転写さ
れるので、これを防ぐため製品金属板に要求される表面
粗さに応じて、ロール表面を研磨する必要があるからで
ある。
【0003】また、冷間圧延では潤滑剤として圧延油が
使用されるが、圧延油も表面光沢に影響を及ぼす。圧延
油がロールと被圧延材との界面に引き込まれると、被圧
延材にオイルピットと称する微小な凹凸を発生させ、表
面光沢を低下させる。これを防止するには、圧延油の粘
度を低下させるなどの方法があるが、過度に圧延油の粘
度を低下させると、潤滑不良を生じて焼付き疵が発生
し、逆に表面光沢を低下させる場合がある。特に、チタ
ニウム板およびチタニウム合金板は低炭素鋼板、ステン
レス鋼板、その他の金属板に比べ、難加工性のため微小
な焼付き疵が発生し易く、冷間圧延後の被圧延材の表面
が乳白色となり、表面の鏡面光沢性が劣るという問題が
あった。
【0004】冷間圧延時に発生する微小な焼付き疵は、
ロールに被圧延材の成分が移着して生じる、いわゆるロ
ールコーティングの発生によるものである。ロールコー
ティングが発生するとロールの粗度が荒くなり、被圧延
材の表面光沢は劣化する。このロールコーティングは圧
延量に応じて徐々に増大し、ロール表面に乳白色のコー
ティングを形成し、このロールで圧延した冷延板は遂に
は製品としては許容できないまでに表面光沢が悪化す
る。
【0005】チタニウムおよびチタニウム合金を冷間圧
延する場合、ロールコーティングの組成はチタニウムお
よびチタニウム合金そのもの、またはそれらの酸化物を
含んだ組成物であり、ロールおよび被圧延材の表面は難
加工性の同一組成となるため、ますます微小焼付き疵が
発生し易くなる。このため、チタニウムおよびチタニウ
ム合金圧延材の表面光沢は急速に低下することになる。
【0006】更に、ロール表面にロールコーティングが
発生すると被圧延材の表面光沢の低下だけでなく、ロー
ル表面の摩擦係数が著しく増大して圧延荷重が過大とな
り、所定板厚に仕上げることが困難になる場合がある。
【0007】上記の対策として、冷間圧延時に、超硬ロ
ール、またはセラミックロールを使用することが試みら
れている(材料とプロセス、1990年春季講演、CAMP-ISI
J Vol.3-343 参照)。更に、圧延材表面に 200Å程度の
極めて薄い酸化皮膜を形成させたのち圧延する方法(特
開昭54−88858 号公報参照)または、圧延油の導入量を
増すため、被圧延材表面に無方向性の粗さ(凹凸)を付
与する方法(特開平4−200908号公報参照)など潤滑状
態を改善する方法が提案されている。
【0008】しかし、ロール材質を変更する方法では、
圧延初期には極めて良好な光沢が得られるが、その効果
が持続し安定した圧延ができるのは、圧延長さにしてせ
いぜい数百m(1パス程度)の範囲である。5〜9パス
の圧延が必要な冷間圧延では、光沢を維持するには頻繁
にロールを交換する必要があり、これが生産性が上げら
れない一因であった。また、これらのロールは極めて高
硬度のため、研磨が難しく、ロールの補修、再使用は容
易でなかった。
【0009】一方、極めて薄い酸化皮膜を形成して圧延
する方法では、その条件が厳しいため、被圧延材の幅お
よび長さ方向に均一な酸化皮膜を形成させることが難し
く、製品としては許容できない程の表面光沢のバラツキ
が生じていた。また、被圧延材表面に無方向性の粗さを
付与して導入油量を増やす方法では、ロールコーティン
グの発生防止には一定の効果を奏するが、いわゆるオイ
ルピットが発生し、製品として満足できる表面光沢は得
られなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、表面の
鏡面光沢性に優れたチタニウム板およびチタニウム合金
板を製造する技術は未だ確立されていない。このような
状況に鑑み、本発明は表面の鏡面光沢性に優れたチタニ
ウム板およびチタニウム合金板を高能率に製造すること
ができる冷間圧延の方法を提供することを目的とするも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記のチタニ
ウム板およびチタニウム合金板の製造方法を要旨とす
る。
【0012】(1) 中間圧延と仕上げ圧延とよりなる冷間
圧延方法において、直径が 200mm以上のワークロールと
粘度が50℃で30〜200cStの圧延油とを用いて、中間圧延
および仕上げ圧延で被圧延材に付加する総圧下量の少な
くとも70%の圧下量で中間圧延したのち、直径が20〜15
0mm であり、表面粗さがRa0.05μm以下であり、表面硬
度がHv 850以上であるワークロールと粘度が50℃で5〜
20cSt の圧延油とを用いて、少なくとも10%の圧下率で
仕上げ圧延をすることを特徴とする表面光沢の優れたチ
タニウム板およびチタニウム合金板の製造方法。
【0013】(2) 上記中間圧延と仕上げ圧延とよりなる
冷間圧延の後工程として、被圧延材を洗浄したのち、不
活性ガス雰囲気または真空中で焼鈍することを特徴とす
る表面光沢の優れたチタニウム板およびチタニウム合金
板の製造方法。
【0014】
【作用】本発明者らは、チタニウム板およびチタニウム
合金板の圧延時に発生するロールコーティングを防止し
て、表面光沢に優れる冷延板を製造する方法について詳
細に検討した結果、次の知見を得た。
【0015】 被圧延材の表面光沢は、最少量の潤滑
剤を供給した場合に優れたものとなるが、潤滑剤を最少
量に制限することは、潤滑剤不足にも結びつき易く、焼
付き疵の発生を伴い易くなる。従って、冷間圧延を2段
階に分け、最初は表面光沢を得るのではなく、高潤滑状
態(高油膜厚状態)で高圧下量の圧延をし、その後、潤
滑剤の供給を制限し高光沢圧延を実施する。即ち、中間
圧延と仕上げ圧延の組み合わせが、被圧延材にロールコ
ーティングを発生させず、表面光沢に優れたチタニウム
板およびチタニウム合金板の製造方法として適切な冷間
圧延のプロセスである。
【0016】 冷間圧延したチタニウム板およびチタ
ニウム合金板は、そのまま、優れた表面光沢を有する製
品として使用される場合もあるが、製品の規格によっ
て、その後に焼鈍処理されて使用される場合がある。そ
の場合に焼鈍処理によって表面光沢が変化する。即ち、
冷間圧延後の洗浄、焼鈍条件の選択により、被圧延材の
表面光沢を維持し、更に、向上させることが可能であ
る。
【0017】本発明は、上記の知見に基づいてなされた
ものであり、製造プロセスを高潤滑圧延である中間圧延
と高光沢圧延である仕上げ圧延に役割を分担させ、それ
らを組み合わせることにより完成された。
【0018】図1に本発明の製造工程を示し、比較とし
て図2に従来の製造工程を示す。
【0019】図2の従来の製造工程では、小径ロールに
より仕上板厚まで圧延する方法が主に行われ、また、大
径ロールにより仕上板厚まで圧延する方法も一部行われ
ていたが、図1の本発明の製造工程では、大径ロールに
よる中間圧延ののち、小径ロールによる仕上げ圧延を行
うことにより、表面光沢の優れたチタニウム板およびチ
タニウム合金板の製造が可能になる。更に、冷間板圧延
の後工程として、被圧延材を洗浄したのち、不活性ガス
雰囲気または真空中で焼鈍することにより、チタニウム
板およびチタニウム合金板製品の表面光沢は維持され、
更に、鏡面化される。
【0020】以下、工程に沿って、本発明の限定理由に
ついて説明する。
【0021】(1) 中間圧延 この工程では、板圧延の圧下量を確保しつつ、ロールコ
ーティングの発生を防止しなければならない。ロールコ
ーティングは前述のように潤滑不良から生じるため、潤
滑条件は高粘度油および大径ロールを用いて圧延油導入
油量を多くする方法を採用した。
【0022】潤滑剤が十分に供給された場合の潤滑剤の
導入油量 (td ) は、一般に (1)式で示される。
【0023】 td =η (U1 +U2 ) /α・P ・・・ (1) 但し α= (△h/R)1/2 η:圧延油粘度 U1 :ロール周速度 U2 :入り側圧延材速度 P:圧延材の降伏応力 △h:圧延材圧下量 R:ロール半径 (1)式から明らかなように、所定の材質および寸法の被
圧延材を高能率で圧延する場合、導入油量 (td ) を調
整するために変更できる因子としてはロール半径および
圧延油粘度である。
【0024】本発明ではロール径は 200mm以上とした。
これはロールコーティングが発生しない最低値であり、
例えば、ロール径が 200mm未満であると、導入油量が少
なく潤滑不良となり、微小焼付やロールコーティングが
発生するなどの問題がある。
【0025】ロール径の上限については特に限定しない
が、大径になるに従い圧延荷重が大きくなり、大きなエ
ネルギーを必要とするので 500mm程度までが望ましい。
【0026】使用する圧延油粘度は50℃で30〜200cStと
した。下限を30cSt としたのは、ロール径の下限値で述
べた理由と同様に、導入油量が少なく潤滑不良となり、
微小焼付やロールコーティングが発生し、更に、圧延荷
重が高くなるためである。また、上限を200cStとした
は、仕上げ圧延油の粘度を一定範囲に保つためである。
【0027】後記する仕上げ圧延時に板表面上に付着し
た中間圧延油が、仕上げ圧延油中に混入して仕上げ圧延
油の粘度を上昇させる。従って、中間圧延油の粘度が20
0cStを超すと、仕上げ圧延油の粘度を望ましい限度を超
えて上昇させ、仕上げ圧延時に優れた光沢が得られなく
なる。
【0028】次に、中間圧延で、中間圧延および仕上げ
圧延で被圧延材に付加する総圧下量の少なくとも70%の
圧下量を加えなければならないことについて説明する。
【0029】中間圧延でいわゆるオイルピットが発生す
る場合がある。このオイルピットが発生した中間圧延材
の表面光沢を上げるには、仕上げ圧延の高光沢圧延の段
階で少なくとも10%の圧下率が必要である。しかし、仕
上げ圧延で過度の圧下を行って、圧下率が30%を超える
ようになると、最終板厚まで圧延するには多パス圧延が
必要になってくる。その場合にはロールの総圧延長さが
増大し、ロールコーティングが発生し易くなる。一方、
仕上げ圧延で多パス圧延を避け、1パスで圧延する場合
は圧下率が大きくなり過ぎて、潤滑不良を起こし、焼付
き疵を発生し易くなり、表面光沢を劣化させる事にな
る。従って、仕上げ圧延での圧下率を適切にするため、
中間圧延で総圧下量の少なくとも70%の圧下量を加える
ことが必要になってくる。
【0030】例えば、板厚 3.2mmのチタニウム板を最終
板厚 1.2mmに冷間圧延する場合、中間圧延および仕上げ
圧延で付加する総圧下量は 2.0mmとなる。中間圧延で分
担する圧下量は少なくとも70%であるから、 1.4mm以上
の圧下量が必要となる。一方、中間圧延での圧下量の上
限は、仕上げ圧延で確保しなければならない少なくとも
10%の適切な圧下率との関係から、自ずから決定され
る。
【0031】(2) 仕上げ圧延 この工程では、被圧延材に光沢を付与する圧延を行う。
中間圧延材の表面にオイルピットが発生している場合に
は、これを潰す圧延を行う。そのためには、仕上げ圧延
油の導入油量を少なくすることが必要である。圧延油の
導入油量を少なくするには、前記 (1)式より明らかなよ
うに、使用するロールの径は小さく、圧延油の粘度は低
い方がよい。
【0032】本発明では、使用するロールの直径は20〜
150mmとした。あまり圧延油膜を薄くし過ぎると潤滑不
足となり、ロールコーティングを生じ、焼付き疵が発生
する。そのため、ロール径の下限はが20mmとした。一
方、ロール径の上限の 150mmは、オイルピットを潰しき
れる最大油膜厚さにより決められている。
【0033】仕上げ圧延油の粘度は、50℃で 5〜 20cSt
の範囲が必要である。圧延油粘度の下限を5cSt とした
のは、過度に圧延油膜を薄くしないためであり、上限を
20cSt としたのは、この粘度を超えると油膜が厚くなり
すぎて、オイルピットを潰しきれなくなるためである。
【0034】更に、使用するロールについては、その表
面粗さが圧延材に転写されることから、ロールの表面粗
さはRa(中心線平均粗さ)で 0.05 μmを上限値とし
た。表面粗さがRa0.05μmを超えると十分な表面光沢が
得られない。
【0035】ロール磨耗もロールコーティングの発生に
影響を及ぼす。ロール表面の磨耗によりロールの表面粗
さが荒くなり、ロールコーティングが発生し易くなる。
ロール磨耗はロールの硬度と関係があり、硬いほど磨耗
しにくい。更に、ロール研磨において硬度が高いと表面
粗さが微細に仕上がる。そこで、ロールの硬度をHv 850
以上に限定した。
【0036】ロール表面硬度をHv 850以上とする手段と
しては、ロール全体の組成を変更する方法、表面を硬質
物質で被覆する方法のいずれでもよい。具体的な例とし
て、ロールの材質を炭化物量の多い高速度鋼やWC−Co系
超硬合金にすること、および通常の材質のロール表面に
硬質Crメッキを施すこと、溶融塩浴処理によるVC(バナ
ジュウム・カーバイト)をコーティングすること、イオ
ン窒化等による表面硬化処理を施すことが挙げられる。
【0037】(3) 後工程 冷間圧延したチタニウム板およびチタニウム合金板はそ
のまま使用される場合もあるが、焼鈍処理して使用され
る場合もある。焼鈍処理の際に、焼鈍条件により表面光
沢が変化する。例えば、酸化雰囲気中で焼鈍すると表面
に酸化皮膜が形成され光沢が低下する。一方、窒素ガ
ス、水素ガス等の無酸化雰囲気で焼鈍すると、表面光沢
は損なわれないが、窒素あるいは水素が材料中に吸収さ
れ、機械的性質が低下する。従って、Arガス、Neガス、
Heガス等の不活性ガスもしくはこれらの混合雰囲気中、
または、10-4Torr以下の真空中で焼鈍すれば、機械的性
質を劣化させずに、被圧延材の表面光沢を維持し、或い
は更に、向上させることができる。
【0038】焼鈍は冷間圧延により変形、破壊された結
晶粒を再結晶させ、冷延板を軟化させる処理であるが、
チタニウム板およびチタニウム合金板の場合、不活性雰
囲気中で焼鈍すると表面光沢が更に向上することが多
い。特に、Arガス雰囲気中での処理は、その効果が著し
い。被圧延材の表面をミクロ観察すると、複雑な方向に
残留応力があり、これにより微小な表面粗さを形成して
いる。焼鈍処理によって残留応力が消滅すると、微小な
表面粗さが平滑化されるため光沢が良くなるものと考え
られる。また、圧延時に被圧延材の表面は圧延油との反
応あるいは酸化により汚染されるが、焼鈍処理によりそ
の汚染が内部に拡散することも光沢度が上がる一因と考
えられる。
【0039】焼鈍処理をする場合、被圧延材をそのまま
焼鈍すると、表面に付着している圧延油および磨耗粉の
焼鈍残渣が汚れとなって残るため、焼鈍処理前に洗浄が
不可欠である。
【0040】チタニウム板、チタニウム合金板の一般的
な焼鈍温度は 600〜850 ℃でこの範囲での焼鈍が望まし
い。 600℃未満では再結晶が不完全で十分な機械的性質
が得らず、表面光沢も向上しない。 850℃を超えると結
晶粒が粗大化し、また、前記の雰囲気での焼鈍でも、若
干表面が酸化されるため成形性および表面性状が低下す
る。
【0041】図3は、本発明および従来の製造工程にお
ける工程別の光沢度の推移を示す図である。ここで、供
試材は、共に板厚 3.2mmのチタニウム板( JIS規格TP28
C )を使用した。従来の工程における冷間圧延は、粘度
が50℃で10cSt の鉱油系ニート圧延油を用いて、直径が
100mmで表面粗さがRa0.05μmの小径鍛鋼ロールで板厚
0.8mmまで圧延したのに対し、本発明の工程における冷
間圧延は、粘度が50℃で90cSt の鉱油系エマルション圧
延油を用いて、直径が 350mmで表面粗さがRa0.08μmの
大径鍛鋼ロールで板厚 1.2mmまで圧延した後、粘度が50
℃で10cSt の鉱油系ニート圧延油を用いて、直径が 100
mmで表面粗さがRa0.05μmの小径鍛鋼ロールに硬質Crメ
ッキを施したロールで板厚 0.8mmまで2パスで圧延し
た。更に、洗浄後、焼鈍はそれぞれArガス雰囲気中で 6
50℃×1Hrの条件とした。また、光沢度(Gs)は JIS
法による測定角度60°の鏡面光沢度(Gs60 °) 測定方法
で測定した。
【0042】同図に示すように、圧延のままでも、焼鈍
した状態でも、本発明の方法で製造したチタニウム板お
よびチタニウム合金板(図中、本発明の製造例)の光沢
度は、従来の工程で製造したもの(同、従来の製造例)
に比べ、著しく優れている。
【0043】特に、冷間圧延ののち、本発明の条件で焼
鈍処理を行うことにより、表面光沢の向上が図れること
が明らかである。
【0044】
【実施例】本願発明を、実施例により更に詳しく説明す
る。
【0045】供試材は、表1に示すチタニウム板(JIS-
TP)およびチタニウム合金板の4種類を使用した。
【0046】
【表1】
【0047】冷間圧延に使用した圧延ロールは、表2に
示す15種のロールであり、本発明例としてNo1〜10、比
較例としてNo11〜15を揚げてある。
【0048】
【表2】
【0049】使用した圧延油は、表3に示す鉱油系圧延
潤滑油であり、粘度および使用形態を表中に纏めた。
【0050】
【表3】
【0051】圧延ミルはレバースミルを使用している
が、一部、タンデムミルも使用している。圧延条件は、
表4に示す9種類の条件を採用した。
【0052】
【表4】
【0053】本発明例の圧延結果を表5に、比較例の圧
延結果を表6に纏めた。ここでは、圧延後の性状評価を
表面粗さと光沢度によっている。表面粗さの評価は中心
線平均粗さ(Ra)により、Raが 0.1μm未満を○、それ
以上を×として表中に表している。また、光沢度の評価
は前記の JIS法により、光沢度が 300以上を○、 150以
上を△、それ未満を×として示した。これらの結果に基
づき、それぞれの圧延結果の総合評価を表5および表6
に纏めている。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】表5、6から明らかなように、本発明例
は、いずれも光沢度は 300以上で、表面粗さを加味した
総合評価は良好であるが、いずれかの条件が本発明の範
囲外となる比較例では、光沢度および表面粗さ共に劣化
している。また、タンデムミムのような大径のロールを
使用して冷間圧延しても、圧延後の性状は良好である。
【0057】次に、冷間圧延したチタニウム板およびチ
タニウム合金板を焼鈍処理した場合について説明する。
冷間圧延した供試材(表5中の本発明例)を、表7に示
す焼鈍条件で処理したのち、光沢度の変化を調査した。
その結果を表7に纏めた。
【0058】
【表7】
【0059】表7より、本発明例の焼鈍条件によって、
いずれの供試材も焼鈍後の光沢度が向上している。
【0060】
【発明の効果】本発明の製造方法により、表面の鏡面光
沢性に優れたチタニウム板およびチタニウム合金板を安
定して、高能率に製造することが可能になる。特に、タ
ンデムミルのような大径ロールの圧延機で中間圧延を実
施できることから、圧延能率を大幅に向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す図である。
【図2】従来の製造工程を示す図である。
【図3】本発明および従来の製造工程における工程別の
光沢度の推移を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中間圧延と仕上げ圧延とよりなる冷間圧延
    方法において、直径が 200mm以上のワークロールと粘度
    が50℃で30〜200cStの圧延油とを用いて、中間圧延およ
    び仕上げ圧延で被圧延材に付加する総圧下量の少なくと
    も70%の圧下量で中間圧延したのち、直径が20〜150mm
    であり、表面粗さがRa0.05μm以下であり、表面硬度が
    Hv 850以上であるワークロールと粘度が50℃で5〜20cS
    t の圧延油とを用いて、少なくとも10%の圧下率で仕上
    げ圧延をすることを特徴とする表面光沢の優れたチタニ
    ウム板およびチタニウム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の中間圧延と仕上げ圧延と
    よりなる冷間圧延の後工程として、被圧延材を洗浄した
    のち、不活性ガス雰囲気または真空中で、 600〜 850℃
    の温度範囲で焼鈍することを特徴とする表面光沢の優れ
    たチタニウム板およびチタニウム合金板の製造方法。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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