JP2004223567A - 高炭素ブライト鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素含有率が0.2〜1.3重量%である高炭素鋼を冷間圧延した後、焼鈍を行い、次いでブライトロールによる調質圧延を行う高炭素ブライト鋼板の製造方法であって、前記冷間圧延の全てのパスを表面粗さRaが0.4〜1.4μmのロールを用いて行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高炭素ブライト鋼板の製造方法に係り、特に、製造の際に生じやすい巻き締まりを防止することが可能な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋼中の炭素含有率が0.2〜1.3重量%で、鋼板表面粗さRaが0.05〜0.2μmの高炭素ブライト鋼板は、ブライトロールによる冷間圧延を行った後に焼鈍を行い、次いでブライトロールによる調質圧延を行うことにより製造されている。
【0003】
かかる高炭素ブライト鋼板は、普通鋼に比べて高強度であるため、コイル巻取り、巻き戻し時の巻きズレによる疵が発生しやすい。また、普通鋼に比べて焼鈍温度が高いためバッチ焼鈍時に焼き付き疵が発生しやすい。特に冷間圧延において表面粗さの小さなブライトロールを使用した場合、コイル巻取り、巻き戻し時に、鋼板表面間の摩擦係数が小さなものとなるため、いわゆる巻き締まりがおきて、巻きズレによる疵が発生しやすくなる。また、鋼板表面間の接触が起こりやすくなり、バッチ焼鈍時の焼き付き疵が発生しやすくなる。
【0004】
このような問題に対して特許文献1には、冷間圧延の最終パスをブライト圧延に代えてダル圧延とし、焼鈍後の調質圧延を伸び率1.0〜4.0%のウエット圧延とする技術が開示されている。この技術によれば、冷間圧延の最終パスをブライト圧延に代えてダル圧延とすることにより、バッチ焼鈍時の焼き付き疵、及び、最終パス以降の巻きズレによる疵の発生を抑制することができるとされている。
【特許文献1】
特開平9−85305号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし冷間圧延時のロール表面粗さを大きくしすぎると(例えばRa≧1.5μmとすると)、鋼板表面にその影響が残留するため、調質圧延後の鋼板表面のブライトネス(高い光沢)を回復することが困難になる。また、特許文献1に開示された技術によっても最終パス以前に発生する巻き締まりによる疵の発生を抑制することはできない。
【0006】
そこで本発明は、巻き締まりによる疵の発生を抑制し、高い光沢を得ることができる高炭素ブライト鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、炭素含有率が0.2〜1.3重量%である高炭素鋼を冷間圧延した後、焼鈍を行い、次いでブライトロールによる調質圧延を行う高炭素ブライト鋼板の製造方法であって、前記冷間圧延の少なくとも最終パスを表面粗さRaが0.4〜1.4μmのロールを用いて行うことを特徴とする高炭素ブライト鋼板の製造方法を提供するものである。ここに「表面粗さRa」とは、JIS B0601(2001)に規定する中心線平均粗さ(算術平均粗さ)をいう。
【0008】
冷間圧延の少なくとも最終パスに使用するロールの表面粗さRaを上記のような範囲に設定することにより、鋼板表面間の接触が起こりにくくなり、バッチ焼鈍時の焼き付き疵の発生を抑制することができる。また、鋼板表面間の摩擦係数が所定値以上となるので、コイル巻取り、巻き戻し時のいわゆる巻き締まりが抑制され、巻きズレによる疵が発生しにくくなる。
【0009】
上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、前記冷間圧延の少なくとも最終パスに用いられるロールの表面粗さRaは、0.4〜0.8μmであることが好ましい。
【0010】
冷間圧延最終パスにおいて使用するロールの表面粗さを上記範囲に設定することによって、調質圧延後の鋼板表面光沢をさらに高いものとすることが可能となる。
【0011】
また、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、冷間圧延の全てのパスを上記表面粗さ、すなわちRaが0.4〜1.4μm、またはRaが0.4〜0.8μmのロールを用いて行うことが好ましい。
【0012】
このような表面粗さのロールを冷間圧延の全てのパスにおいて使用することによって、冷間圧延中の全てのパスにおいて巻き締まりが抑制され、巻きズレによる疵が発生しにくくなる。
【0013】
また従来技術では、冷間圧延でのレバースミルを用いる多パス圧延においては、表面粗さの小さなロールを使用して、数コイルから30コイル程度まとめて仕上げ板厚近傍まで圧延し、一旦仮置きしてから、ロールを表面粗さの大きなものに交換して、再度最終パスのみ仮置きしたコイル群をまとめて圧延する方法がとられていた。しかし、上記のように所定表面粗さのロールを冷間圧延の全てのパスにおいて使用することによって、冷間圧延における全てのパスで同一ロールを使用して圧延を行うことができる。それゆえ、ロール交換、並びに圧延機からのコイルの取り外し、及び圧延機へのコイルのマウントに要する時間を節約して、設備稼働率及び生産性を高めることができる。
【0014】
また、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、冷間圧延において使用するロールの表面にクロムメッキを施すことが好ましい。
【0015】
高炭素鋼板は変形抵抗が大きく、圧延荷重が大であるためロールの摩耗が激しく、ロールの表面粗さの変動が大きい。通常、圧延を繰り返してゆくと、ロール表面粗さは次第に小さくなってゆき、上記した巻き締まり、及び焼鈍時の焼き付きが発生しやすくなってくる。このため、ブライトネスの確保、及び上記した鋼板表面疵発生を抑制するためには頻繁なロール交換を必要としていた。しかし、ロールの表面にクロムメッキを施すことにより、ロール表面の摩耗が抑制されて、ロール交換の周期を延長することが可能になる。
【0016】
また、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、冷間圧延において使用するロールの径を330mm以下としてもよい。
【0017】
上記したように、高炭素鋼板は変形抵抗が大きく、普通鋼と比較した場合、大きな圧下率がとりにくく、パス回数が多くなりがちである。このような場合に圧延理論上、ロール径を小さなものにすれば、ロールと鋼板との接触面積が小さくなるので、さらに圧下をかけることできることになる。しかし実際には、ロール径を小さくすると、ロールバイト内に持ち込まれる圧延潤滑剤の油膜厚さが薄くなる。すなわち潤滑剤の巻き込み量が少なくなるので、潤滑不良による圧延鋼板表面の欠陥、たとえばヒートスクラッチ、焼き付き疵等が目立つようになる。特に従来のように冷間圧延においてロール表面粗さを小さくしてブライトロールにより多パス圧延する場合、ロール表面及び圧延後の鋼板表面粗さが小さいため、ロールバイト内に持ち込まれる圧延潤滑剤の量が少なく、焼き付き等が発生しやすいものであった。
【0018】
しかし、本発明に規定する所定範囲のロール粗さに設定することにより、たとえロール径を小さなものにして大きな圧下をとった場合でも、ロール表面及び圧延鋼板の表面粗さが十分にあるため、必要十分な量の圧延潤滑剤がロールバイト内に持ち込まれる。このため焼き付き等が発生せず、良好な圧延状態を実現することが可能となる。したがって、冷間圧延において、パス数を少なくすることが可能となり、生産性の向上に資することができる。
【0019】
さらに、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、前記調質圧延において使用するブライトロールの表面粗さRaを0.17μm以下とすることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、冷間圧延において所定の表面粗さのロールにより圧延された鋼板の表面粗さを小さなものに戻して、良好なブライトネス(高い表面光沢)を持った高炭素ブライト鋼板を得ることが可能となる。
【0021】
本発明による上述の作用および利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、全パス同一ロールを使用した場合の効果、ロール表面粗さが鋼板表面性状に与える影響、ロール表面にクロムメッキを施すことによる効果、及び、ワークロール径を小さくした場合の効果について、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0023】
(1)第一実施例(全パス同一ロールを使用した場合の効果)
板厚2.0mm、炭素含有量0.51%の熱延板を、板厚1.0mmまでレバースミルにて20コイル冷間圧延して、従来法と本発明の方法に要した作業時間を比較した。
【0024】
比較例1(従来法)ではロール表面粗さRaが0.15μmのロールA1により6パス、ロール表面粗さRaが0.70μmのロールB1により1パスの合計7パス圧延を実施した。20コイルの圧延に当たっては、ロールA1による6パス圧延をまず全20コイルについて行い、仮置きした。その後、圧延機のロールをロールB1に交換して、仮置きしあった全20コイルについて7パス目の圧延を実施した。
【0025】
これに対して本発明の方法にかかる実施例1では、ロール表面粗さRaが0.70μmのロールB1のみを用いて、全パス圧延した。
【0026】
表1に使用したロールの表面粗さ、及びロール径を示す。
【表1】
【0027】
また、表2に比較例(従来法)、及び実施例のパス回数を示す。実施例1では全体のパス数は比較例1(従来法)の7パスから9パスへと2パス増加した。ロールB1はロールA1に比較してロール表面粗さが大であるため、圧延荷重が高くなるからである。
【表2】
【0028】
さらに、表3に各作業に要した時間、全20コイルを圧延終了するのに要した時間の内訳及び合計を示す。また図1に表3の結果概要を示す。
【表3】
【0029】
参考までに、比較例1(従来法)、及び実施例1の作業順序を下記する。
比較例1(従来例):A→(B→C)(20回繰り返し)→D→(B→F)(20回繰り返し)
実施例1:D→(B→E)(20回繰り返し)
【0030】
上記したように、ロールB1はロールA1に比較してロール表面粗さが大であるため圧延荷重が高くなり、実施例1では全体のパス数は比較例1(従来法)の7パスから9パスへと2パス増加した。しかし、実施例1ではロール交換時間及びコイル準備時間を従来の方法より削減できるため、20コイルを圧延完了する全作業時間を比較すると、比較例1(従来例)の936分に対して、実施例1は803分であり、14.2%の作業時間削減が実現されている。
【0031】
以上の冷間圧延を実施した実施例1にかかるコイル20本をその後焼鈍し、さらに所定のブライト圧延を行った。焼鈍工程における焼き付き、各圧延工程における巻き締まり疵の発生はなかった。またブライト圧延後の鋼板表面の光沢は、所定の基準を満たすものであった。
【0032】
(2)第二実施例(ロール表面粗さが鋼板表面性状に与える影響)
板厚2.0mm、炭素含有量0.51%の熱延板全16コイルを、板厚1.0mmまで冷間圧延した。レバースミルを使用し、同一パススケジュールにて多パス圧延を行った。各コイルにおいては、全パスを同一ロールにより圧延したが、コイルごとにワークロールを交換して、ロール表面粗さを変化させた。
【0033】
冷間圧延後、バッチ焼鈍を行い、次いでブライトロールにより伸び率3.0%にて調質圧延を行った。冷間圧延に使用したロールの表面粗さRa(μm)、冷間圧延後の鋼板表面粗さRa(μm)、調質圧延に使用したロールの表面粗さRa(μm)、ブライト調質圧延後の鋼板表面粗さRa(μm)、ブライト調質圧延後の鋼板表面のブライトネス評価、及び作業全般を通じた鋼板表面疵の発生状況を表4に示す。なお、比較例8を除き調質圧延時のロール表面粗さは一般的なブライト鋼板製造に用いられている表面粗さRaで0.17μm以下のロールを使用した。また、ブライトネスの評価においては、優:◎、良:○、不可:×の3段階に分類して評価した。
【表4】
【0034】
上記第二実施例により、以下の点が結論付けられた。
1.冷間圧延に使用したロールの表面粗さRaが1.5μm以上になると、ブライト調質圧延後の鋼板表面粗さRaが0.4μmを超えるようになり、製品のブライトネスの確保が困難になる(比較例5〜7参照)。
2.さらに、ブライトネスが重要視される製品(表面粗さRaが0.20μm以下)には、冷間圧延に使用するロールの表面粗さRaが0.8μm以下であることが望ましい(実施例2〜6参照)。
3.冷間圧延に使用するロールの表面粗さRaが0.3μm以下であると、冷間圧延時の巻き締まりにより、あるいはバッチ焼鈍時の焼き付きにより、鋼板表面に傷が発生しやすい(比較例2〜4参照)。したがって、冷間圧延において、高炭素鋼板の表面疵の発生を抑制するためには、ワークロール表面粗さRaを0.4μm以上にすることが必要であり、この場合に冷間圧延後、バッチ焼鈍前の鋼板表面粗さRaは、0.15μm以上であることが好ましい。
4.調質圧延に使用するブライトロールの表面粗さが1.7μmを超えるとブライトネスが悪化する(比較例8)。
【0035】
(3)第3実施例(ロール表面にクロムメッキを施すことによる効果)
本実施例においてはロール表面にクロムメッキを施すことにより得られる効果を確認した。参考例として、ショット加工後の初期表面粗さRaが1.1μmのロールをそのまま使用した。本発明にかかる実施例としては、ショット加工後に表面にクロムメッキ層(メッキ膜厚10μm)を形成し、表面粗さRaが1.1μmのロールを使用した。全パスにこれらのロールを用いて、板厚2.0mm、炭素含有量0.51%の熱延板をレバースミルで、板厚1.0mmまで冷間圧延した。この多パス圧延を繰り返し行って、各ロールの累積圧延距離に対する製品表面粗さRaを測定して記録した。各ロールの仕様をまとめて表5に示し、測定結果をグラフ化したものを図2に示す。
【表5】
【0036】
本実施例の結果を示す図2から、以下の点が明らかとなった。
1.実施例12においては、累積圧延距離が200kmを超えても製品表面粗さの変化は僅かであり、巻き締まりに起因する疵や、焼鈍時の焼付き疵を防止するのに有効である圧延後の製品表面粗さが維持されている。これは、ロール表面にクロムメッキを施したことにより、ロール表面の耐摩耗性が向上して、初期のロール表面粗さが維持され続けたことによるものであると考えられる。
2.ロール表面にクロムメッキを施さない参考例では、累積圧延距離の増加に伴い、圧延後の製品表面粗さが低下してゆき、累積圧延距離約90kmの時点で表面疵が発生しやすい表面粗さの範囲、すなわちRa<0.15μmとなる。
3.すなわち本実施例である、冷間圧延ロール表面にクロムメッキを施す高炭素ブライト鋼板の製造方法によれば、冷間圧延後の製品表面粗さをほぼ一定に管理することができるので、最終製品の表面粗さ管理、表面疵の防止が容易となる。
4.また、ロール表面にクロムメッキを施すことにより、メッキを施さない参考例の場合と比較して、2倍以上の累積圧延距離でもロール表面粗さを維持することが可能となるので、ロール交換数を大幅に削減することができ、設備稼働率、作業能率を高め、ロール購入・維持費用を大幅に削減することができるという利点がある。
【0037】
なお、本実施例12においてはロール表面にクロムメッキを施した例を示したが、メッキの種類はクロム以外であっても、耐摩耗性に優れる元素をメッキすれば、同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
(4)第4実施例(ワークロール径を小さくした場合の効果)
本実施例においては、第一実施例における実施例1と同一条件下、ワークロールBの径を変化させ(490mm〜240mm)、それとともに総パス数を9パスから7パスに削減して冷間圧延に要する総作業時間を比較した。表6に第4実施例で使用したロールの表面粗さ、及びロール径を示す。
【表6】
【0039】
また、表7に各実施例、及び比較例の各パスに使用したロールの種類を示す。なお、比較例1及び実施例1は第一実施例に示したものと同一である。
【表7】
【0040】
表8には各作業の種類とそれに要する作業時間を示す。
【表8】
【0041】
また表9には各実施例、及び比較例における各作業の内訳とそれぞれに要した時間、及び冷間圧延に要した合計作業時間を示す。また、図3には、表9に示した結果の概要をグラフで示した。
【表9】
【0042】
参考までに、実施例13〜16、及び参考例2の作業順序を下記する。
実施例13:D→(B→E2)(20回繰り返し)
実施例14:D→(B→E3)(20回繰り返し)
実施例15:D→(B→E3)(20回繰り返し)
実施例16:D→(B→E3)(20回繰り返し)
【0043】
第4実施例の結果から、以下の事項が明らかとなった。
1.ロール径が330mm以下、好ましくは300mm以下のロールB3、B4、B5で全パスを圧延すれば、圧延パス回数の合計が比較例1、及び参考例2で行った圧延と同一(7パス)となる。また実施例1(9パス)の場合よりパス回数を2回減少させることができる。
2.ロール交換時間、及びコイル準備時間を含めて総作業時間を比較すると、実施例14〜16の場合695分となり、比較例1の910分に比べ24%の作業時間削減となった。
【0044】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う高炭素ブライト鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0045】
【発明の効果】
冷間圧延の少なくとも最終パスに使用するロールの表面粗さRaを0.4〜1.4μmに設定することにより、鋼板表面間の接触が起こりにくくなり、バッチ焼鈍時の焼き付き疵の発生を抑制することができる。また、鋼板表面間の摩擦係数が所定値以上となるので、コイル巻取り、巻き戻し時のいわゆる巻き締まりが抑制され、巻きズレによる疵が発生しにくくなる。
【0046】
また、冷間圧延最終パスにおいて使用するロールの表面粗さRaをさらに狭い所定の範囲(Ra=0.4〜0.8μm)に設定することによって、調質圧延後の鋼板表面光沢をさらに高いものとすることが可能となる。
【0047】
また、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、このような表面粗さのロールを冷間圧延の全てのパスにおいて使用することによって、冷間圧延中の全てのパスにおいて巻き締まりが抑制され、巻きズレによる疵が発生しにくくなる。
【0048】
また、所定表面粗さのロールを使用することによって、冷間圧延における全てのパスで同一ロールを使用して圧延を行うことができる。それゆえ、ロール交換、並びに圧延機からのコイルの取り外し、及び圧延機への他のコイルのマウントに要する時間を節約して、設備稼働率及び生産性を高めることができる。
【0049】
また、冷間圧延に使用するロールの表面にクロムメッキを施すことにより、ロール表面の磨耗が緩和されて、ロール交換の周期を延長することが可能となる。
【0050】
また、上記冷間圧延において、ロールの径を330mm以下にして大きな圧下率をとった場合でも、本発明に規定する所定範囲のロール粗さに設定することにより、ロール表面及び圧延鋼板の表面粗さが十分にあるため、必要十分な量の圧延潤滑剤がロールバイト内に持ち込まれる。このため焼き付き等が発生せず、良好な圧延状態を実現することが可能となる。したがって、圧延パス数を少なくすることが可能となり、生産性の向上に資することができる。
【0051】
さらに、上記高炭素ブライト鋼板の製造方法において、前記調質圧延を行うブライトロールの表面粗さRaを0.17μm以下とすることにより、冷間圧延において所定の表面粗さのロールにより圧延された鋼板の表面粗さを小さなものに戻して、良好なブライトネス(高い表面光沢)を持った高炭素ブライト鋼板を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全パス同一ロールで冷間圧延した場合の合計作業時間を従来例と比較して示すグラフである。
【図2】ワークロール表面にクロムメッキを施した場合の効果を示すグラフである。
【図3】第4実施例における各圧延の合計作業時間を比較して示すグラフである。
Claims (6)
- 炭素含有率が0.2〜1.3重量%である高炭素鋼を冷間圧延した後、焼鈍を行い、次いでブライトロールによる調質圧延を行う高炭素ブライト鋼板の製造方法において、前記冷間圧延の少なくとも最終パスを表面粗さRaが0.4〜1.4μmのロールを用いて行うことを特徴とする高炭素ブライト鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延の少なくとも最終パスに用いられるロールの表面粗さRaが0.4〜0.8μmである請求項1に記載の高炭素ブライト鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延の全てのパスを前記表面粗さのロールを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の高炭素ブライト鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延において使用するロールの表面にクロムメッキが施されている請求項1〜3のいずれかに記載の高炭素ブライト鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延において使用するロールの径が330mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高炭素ブライト鋼板の製造方法。
- 前記調質圧延において使用するブライトロールの表面粗さRaが0.17μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高炭素ブライト鋼板の製造方法。
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JP2006274068A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Toray Ind Inc | 液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
JP2015066583A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 日新製鋼株式会社 | 高光沢度の金属板の製造方法 |
JP2019507014A (ja) * | 2015-12-10 | 2019-03-14 | ノベリス・インコーポレイテッドNovelis Inc. | 金属基材用テクスチャー加工されたワークロール |
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