JP3769461B2 - 窒素酸化物除去用光触媒 - Google Patents

窒素酸化物除去用光触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP3769461B2
JP3769461B2 JP2000370850A JP2000370850A JP3769461B2 JP 3769461 B2 JP3769461 B2 JP 3769461B2 JP 2000370850 A JP2000370850 A JP 2000370850A JP 2000370850 A JP2000370850 A JP 2000370850A JP 3769461 B2 JP3769461 B2 JP 3769461B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photocatalyst
oxide
titanium
zirconium
nitrogen oxides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000370850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002172334A (ja
Inventor
真也 北口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2000370850A priority Critical patent/JP3769461B2/ja
Publication of JP2002172334A publication Critical patent/JP2002172334A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3769461B2 publication Critical patent/JP3769461B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は各種用途に適用可能な光触媒に関するものであり、特に太陽光等を利用して効率的に大気中の窒素酸化物を除去することのできる窒素酸化物除去用光触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒素酸化物は石油、石炭の燃焼などに伴い空気中の窒素が酸化されることにより生成し、光化学スモッグや酸性雨の要因となる。そこで火力発電所や石油化学工場等の固定発生源には脱硝設備が付設されアンモニア接触還元法により処理されている。また自動車等の移動発生源においてもガソリンエンジン車には3元系触媒が搭載されており窒素酸化物と一酸化炭素、炭化水素の同時除去がなされている。
【0003】
しかしながらディーゼルエンジン車に対する窒素酸化物対策が遅れており、大都市圏の自動車道路近傍においては環境基準が満たされていないのが現状である。従って、このような一旦排出された大気中の低濃度の窒素酸化物を効率よく経済的に処理する技術がもとめられている。
【0004】
最近、酸化チタン等の光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射することによりと発現する強力な酸化力によって窒素酸化物を浄化する方法が検討されている。例えば路面や道路周辺のビル側壁、ガードレールや防音壁等の建材表面に光触媒を塗工することにより太陽光を利用して環境中の低濃度窒素酸化物を処理することが可能となる。ただし従来の光触媒では窒素酸化物の処理能力が不十分でありNOが光触媒により酸化されて一部NOを生成するという問題があった。すなわち厳しい環境基準が設定されているNO濃度が光触媒との接触により増加するというものであり好ましくないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光触媒による窒素酸化物の浄化は以下のサイクルが考えられている。最初に光触媒に光が照射されて表面に電子と正孔を生成する。これらはスーパーオキサイドやOHラジカルといった強力な酸化剤を生成する。この酸化剤により燃焼排ガス中の窒素酸化物の主成分であるNOはNOを経て硝酸にまで酸化される。光触媒に硝酸が付着するとガスとの接触が阻害され経時的に性能が低下してくる。光触媒に付着した硝酸は降雨等により洗い流され排水中に流出する。この際、排水中に含まれる硝酸は低濃度であり酸性度は弱いため環境への影響はほとんどない。洗浄された光触媒は再生され性能を回復する。
【0006】
前述のように従来の光触媒においては上記サイクルにおいてNOからNO2への酸化は比較的容易に進行するがNOから硝酸への反応速度が遅いためNOが気相にリークしてくることが問題となっていた。そこで対策としては光触媒と共に活性炭やゼオライト等の吸着剤を併用することが提案されている。これにより使用初期はNOのリークは抑制されるが、徐々に効果が弱まったり洗浄によって十分再生できないことが見られる。これらは酸化が起こる反応点と吸着点が異なることに起因すると予測される。
【0007】
また酸性ガスであるNOの吸着を促進するために例えば特開平11−192436号においてはSr,Ba,Mg,Ca,Rb,Na,K等の塩基性金属の酸化物等を配合することが開示されている。しかしこのようなアルカリ金属やアルカリ土類金属は光触媒反応により生成した硝酸と反応して水溶塩となり流出するため効果が消失すると予測される。
【0008】
また光触媒の性能を向上するためにPt,Pd,Rh,Ru,Ir等の白金族金属やFe,Co,Ni,Cu,Zn,Ag,Cr,V,W等の各種遷移金属を添加することが検討されている。特に白金族金属の添加は光触媒の活性を高める効果が得られることがよく知られている。例えば特開平11−151406号においては光触媒として酸化チタン−パラジウム複合触媒が好ましいことが開示されている。パラジウムの添加量としては0.05〜1.5重量%であり0.1%以上添加することにより飛躍的にNOx分解性能が向上すると明細書に記載されている。しかしながら高価な白金族金属を多量に使用することは光触媒の各種用途への適用性を損なうものであり好ましくない。
【0009】
本発明は光触媒により窒素酸化物を除去するに際して有害なNOの副生を抑制し、効率よく処理することが可能な窒素酸化物除去用光触媒を提供することを目的とする。すなわち、従来の光触媒と比較して本発明に開示される光触媒はNOから硝酸への反応速度を高めることによってNOとして脱離することを防止することができる。また本発明の光触媒は白金族金属を含有するものであるが、極微量の添加で優れた効果を発揮することを特徴とする。従って安価であるため建材等の広範囲の面積に塗工することが可能であり、太陽光を利用して環境中の窒素酸化物を除去することに適している。
【0010】
本発明は次のとおりである。
(1)光照射により大気中の窒素酸化物除去に適した光触媒であり、光半導性を有した光触媒基材に白金族金属が0.003〜0.03重量%担持されており、該光触媒基材は、酸化チタンと、酸化物として0.5〜50重量%のジルコニウムおよび/またはアルミニウムとを含有していることを特徴とする窒素酸化物除去用光触媒。
(2)光触媒基材がチタンとジルコニウムおよび/またはアルミニウムとの複合酸化物である請求項1記載の窒素酸化物除去用光触媒。
(3)複合酸化物中のジルコニウムおよび/またはアルミニウムの含有量が酸化物として5〜50重量%である請求項1記載の窒素酸化物除去用光触媒。
(4)上記(1)の窒素酸化物除去用光触媒を表面に被覆してなる建材。
【0011】
この光触媒基材としては光照射により励起する光半導性を有したものが使用可能であり、代表として酸化チタンを挙げることができる。またチタンを含む複合酸化物としてチタンとジルコニウム複合酸化物等も使用可能である。
【0012】
以下、チタンを代表例として説明すると、酸化チタンに加えてジルコニウムおよび/またはアルミニウムを酸化物として0.5〜50重量%含有せしめたものを使用することが好ましい。例えば酸化チタンに酸化ジルコニウムおよび/または酸化アルミニウムを0.5〜20重量%分散担持することにより上記光触媒基材を得ることができる。あるいはチタンとジルコニウムおよび/またはアルミニウムよりなる複合酸化物を光触媒基材として使用することより更に好ましい窒素酸化物除去用光触媒を得ることができる。尚、上記複合酸化物においてジルコニウムおよび/またはアルミニウムを酸化物として5〜50重量%含有していることが好ましい。
【0013】
光触媒基材に担持する白金族金属としてはPt、Pd、Rh、Ru、Ir等が挙げられるが白金を使用することが好ましい。また、本発明に示す光触媒基材を用いることにより白金の担持率を0.03重量%以下にしても良好な窒素酸化物除去性能を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の窒素酸化物除去用光触媒は光照射により大気中の窒素酸化物除去に適した光触媒であって、光半導性を有した光触媒基材に白金族金属が0.1重量%以下で担持されている。白金族金属としてはPt、Pd、Rh、Ru、Ir等が挙げられるが、PtおよびPdが微量の添加で窒素酸化物除去速度を速める効果を得ることができる。特に白金は硝酸の生成速度を著しく高める効果を有しているため好ましい。白金族金属の好ましい担持率としては0.003〜0.03%であり、担持率が少なくなるとNO副生の抑制効果が弱まる。白金族金属の担持率が0.1重量%以上である場合は光触媒の単価アップを招き建材等への塗工費用も高くなるため、本発明の目的とする広範囲の面積に光触媒を適用して環境中の窒素酸化物を除去することが困難となる。
【0015】
光半導性を有した光触媒基材としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛や酸化タングステン等の酸化物、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物や硫化カドミウム、硫化亜鉛、炭化ケイ素等の化合物やそれらの混合物が使用可能である。好ましくは酸化チタンを含有するものが好ましい。また特公平5−55184号公報に示されるチタン−ケイ素、チタン−ジルコニウム等のチタン系の複合酸化物も光半導性を有する光触媒基材として使用することができる。
【0016】
本発明の目的である窒素酸化物の処理においては反応により硝酸が生成するため、硝酸により溶解等が予測される光触媒基材の使用は好ましくない。また本発明は微量の白金族金属を光触媒基材に担持することを特徴としているが、一般的に白金族金属は熱処理により固定化するために光触媒基材は耐熱性が必要となる。酸化チタンあるいは前記チタン系の複合酸化物は光触媒活性が高く、且つ化学的に安定であり使用可能である。特にチタン系複合酸化物は優れた耐熱性を有しているため好ましい。
【0017】
このような光触媒基材として酸化チタンの含有率が少なくとも50重量%以上であり、比表面積が30〜100m/gであるものを使用することが好ましい。この際、比表面積が30m/g以下である場合は白金族金属の分散性が悪くなるため高価な白金族金属の添加効果が得られにくくなる。また比表面積が100m/g以上である場合は、光触媒基材がアモルファスであり白金族金属を担持して焼成する際に粒子成長と同時に著しい比表面積の低下を招く可能性が高い。特に光触媒用として市販されている酸化チタンは数百m/g以上の比表面積を有しているが300℃以上の高温で焼成することにより著しい熱収縮を起こして白金族金属が光触媒基材の中に埋もれてしまうため好ましくない。従ってこのような熱処理に対して安定な上記範囲の比表面積を有した光触媒基材を使用することが好ましい。上記光触媒基材の例としては酸化チタン単独でも良いし、前述のようにチタンとその他成分の二元系あるいは三元系の複合酸化物でも良いし、酸化チタンと活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄等との混合物でも良い。光触媒基材における酸化チタンの含有率は50%以下の場合は光触媒活性や耐久性能が不十分となり窒素酸化物を効率的に除去することが困難となる。
【0018】
次に酸化チタンの熱的な不安定さを改善するために更に好ましい方法として酸化チタンを改質したり、前述のように酸化チタンと他の成分と複合化させることが考えられる。本発明者等は光触媒基材に白金族金属を担持せしめるに当り種々の検討を加えた結果、光触媒基材にジルコニウムおよび/またはアルミニウムを酸化物として0.5〜50重量%含有せしめることによって白金族金属を分散良く担持することが可能となり、白金族金属添加量を大幅に低減しても良好な窒素酸化物除去性能を有している光触媒が得られることが判った。
【0019】
具体的には酸化チタンの粉末にジルコニウムおよび/またはアルミニウムの金属塩溶液またはゾル溶液を含浸して乾燥焼成することによって酸化チタンの表面に酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムを分散担持することにより目的を達成することができる。上記方法において酸化チタンを改質する場合は酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムの合計の担持率が0.5〜20重量%とすることが好ましい。特に酸化ジルコニウムを微量に添加することにより顕著な効果が得られ0.5〜5重量%の酸化ジルコニウムを添加することがより好ましい。ジルコニウムあるいはアルミニウムの担持量が0.5重量%以下では改質の効果は得られない。また20重量%を超える場合は酸化チタンの表面が光不活性物質により被覆されてしまい光触媒性能が十分発揮できなくなってしまう。尚、酸化チタンに酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムを担持してから白金族金属を担持しても良いし、ジルコニウムまたはアルミニウム化合物の溶液と同時に白金族金属を担持しても良い。
【0020】
また光触媒基材としてチタンとジルコニウムおよび/またはアルミニウムからなる複合酸化物を用いることによって更に好ましい窒素酸化物除去用光触媒を得ることができる。すなわちTiO−ZrO,TiO−AlまたはTiO−Al−ZrO複合酸化物が用いられ、特にTiO−ZrOが窒素酸化物除去に対して優れた効果を発揮する。
【0021】
複合酸化物は既知の手法により調製することが可能であるが、例えばチタンとジルコニウムの複合酸化物を調製する方法としては以下の方法を例示する。
▲1▼四塩化チタンをオキシ塩化ジルコニウム水溶液と共に混合し、アンモニアを添加して沈殿を生成せしめ、この沈殿を洗浄、乾燥後に焼成する方法。
▲2▼硫酸チタニル硫酸水溶液と硫酸ジルコニウム水溶液を混合して、共沸して加水分解により沈殿を生成させ、これを洗浄、乾燥後に焼成する方法。
▲3▼チタニウムテトラプロポキシドとジルコニウムテトラ−n−2プロポキシドのアルコール溶液に水を添加して加水分解することにより沈殿を生成させ、これを洗浄、乾燥後に焼成する方法。
【0022】
上記調製方法において▲1▼の方法が特に好ましいものであり、安価で容易な製造方法により優れた光触媒特性を有するチタン系複合酸化物を得ることができる。またチタン源、ジルコニウム源およびアルミニウム源のモル比を所定量とすることにより同様にしてチタン系各複合酸化物よりなる光触媒基材を得ることができる。複合酸化物の焼成温度は500〜900℃にて実施することにより、光触媒基材に好適な比表面積を有した複合酸化物を得ることができる。このようにして得られた複合酸化物は耐熱性が良好であり、光触媒性能の発現に必要である結晶化も十分なされている。
【0023】
複合酸化物においてジルコニウムおよびアルミニウムの合計が酸化物として5〜50重量%の範囲であることが好ましい。5重量%以下では複合化の効果が不十分であり白金族金属の担持量を低減することができなくなる。また50重量%を超えると酸化チタンの含有率が低下して光触媒性能も低下するので好ましくない。
【0024】
光触媒基材に担持する白金族金属としてはPt、Pd、Rh、Ru、Ir等が挙げられるが、いずれも高価な貴金属であり担持率が高くなると光触媒単価の大幅アップを招いてしまう。従って白金族金属の添加を実施するに際しては極微量の添加により著しい性能向上が得られるべく組成比や調製方法等を検討する必要がある。これらのことを考慮して本発明者は鋭意研究を進めた結果、実質的に酸化チタンよりなる光触媒を前述のようにジルコニウムあるいはアルミニウムで改質することにより極微量の白金族金属の添加により窒素酸化物除去に適した光触媒が得られることが知見され本発明を完成するに至っている。白金族金属の中でも特に白金が硝酸の生成速度を著しく向上するため窒素酸化物の処理に適しており、本発明に示す光触媒は0.03重量%の極微量の白金担持量にて良好な性能を得ることができるようになった。
【0025】
本発明の光触媒は路面や道路周辺の建材等の表面に被覆することにより、太陽光を利用して環境中の窒素酸化物を効率よく処理することが可能である。また人工光源を利用してトンネルや地下駐車場の排ガスに含まれる窒素酸化物を処理するシステムに適用することも考えられる。
【0026】
光触媒を建材等の表面に被覆する方法に関しては特に限定されるものではないが、無機系および/または有機系の結合材と共に路面や防音壁に吹き付けたり、塗料として各種建材に塗布したり、コンクリートやセメントと混練りして利用する方法が考えられる。結合材としてはアクリル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂やポリビニルアルコール等の有機系結合材およびシリカゾル、アルミナゾル、セメント、水ガラスやりん酸塩等の無機系結合材を使用することができる。
【0027】
【実施例1】
最初にチタンおよびジルコニウムからなる複合酸化物を以下に述べる方法で調製した。オキソ硝酸ジルコニウム水溶液83.3kg(ZrO濃度18重量%)と硫酸チタニルの硫酸水溶液180L(TiO濃度250g/L,全硫酸濃度1100g/L)を水250kgで希釈して十分に混合した。次にこの溶液を攪拌しながら徐々にアンモニア水800kg(濃度10重量%)を滴下して共沈ゲルを生成し15時間静置した。得られたゲルを濾過、水洗後200℃で10時間乾燥し、650℃で4時間焼成した後にハンマーミルにて粉砕しチタンとジルコニウムの複合酸化物TZ−1を得た。この複合酸化物の組成は酸化物換算でTiO/ZrO=75/25の比率で含有されており、比表面積は50m/gであった。このようにして得られたTZ−1を光触媒基材として硝酸白金水溶液に浸漬し乾燥後に400℃で2時間焼成することにより、Ptが0.02重量%担持された光触媒Aを得た。
【0028】
【実施例2】
実施例1の複合酸化物の調製においてオキソ硝酸ジルコニウムの代わりに硝酸アルミニウムを使用した以外は実施例1と同様にしてチタンとアルミニウムの複合酸化物TA−1を調製した。この複合酸化物の組成は酸化物換算でTiO/Al=75/25の比率で含有されており、比表面積は80m/gであった。このようにして得られたTA−1を光触媒基材として実施例1と同様にしてPtが0.02重量%担持された光触媒Bを得た。
【0029】
(比較例1〜4)
実施例1において、比表面積が75m/gであり結晶形がアナターゼの市販されている酸化チタンを光触媒基材として用いた以外は実施例1と同様にしてPtが0.02重量%担持された比較例1の触媒を得た。触媒aの組成を表1に示す。また、比較例1において白金族金属を担持しない市販の酸化チタンを比較例(光触媒c)とした。また比較例1において白金族金属の種類や担持量を変更して比較例2、4の各光触媒(触媒b、d)を調製し表1に示した。
【0030】
(実施例3〜7)
比較例3において、比較例3で使用した市販酸化チタンを用いて白金族金属と同時に硝酸ジルコニウム水溶液またはアルミナゾルを添加した以外は比較例3と同様にして触媒D〜H(実施例3〜7)を得た。各光触媒の組成を同様に表1に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0003769461
【0032】
【試験例1】
実施例1〜13および比較例1〜3の光触媒を以下に示す流通式試験方法で窒素酸化物処理性能を確認した。試験試料は光触媒をエタノールと共にガラスビーズで湿式粉砕し得られた光触媒含有スラリーを、150×70mmのガラス板の片面に光触媒が20g/mとなるように塗布し室温で乾燥したものを使用した。上記試料を反応器に設置し紫外線を照射して光触媒による窒素酸化物処理性能を調べた。処理ガスはNO濃度が1ppmの窒素酸化物含有空気とし5.5L/minで通ガスして、反応部におけるガス線速が0.4m/sに調整した。入口及び出口のガスを化学発光式のNOx計を用いて窒素酸化物濃度を測定し、出口NO濃度からNO除去率を、出口NO濃度からNOx除去率をもとめた。尚、光源としてブラックライトを用いて反応器の窓板より光を照射し試料表面における365nm付近の紫外線強度は1mW/cmであった。各光触媒の性能試験結果を表2に示した。
【0033】
【表2】
Figure 0003769461
【0034】
試験条件は光触媒が実際に使用される環境を想定したものであるが、ガスと光触媒が二次元で接触しており、しかも0.4秒以下の短い接触時間であるため比較例に示されるように従来の酸化チタン単独の光触媒ではNOがNOに転化するのみでNOxの除去率としてはほとんど得られていない。そこでこれらの不足性能を補うために従来の光触媒は活性炭、ゼオライト等の吸着剤やアルカリ成分等のトラップ剤を共存させる必要があった。あるいは比較例に示すように多量の白金を担持することにより性能は大幅に改善されるが触媒コストが大幅アップとなり広く適用すること不可能である。一方、本発明に開示される光触媒は微量の白金族金属を担持することにより実用レベルのNOx除去率が得られており、白金族金属の中でも白金が有効であることが判る。特に光触媒基材としてチタンとジルコニウムまたはアルミニウムを複合化あるいは共存せしめることにより極微量の白金担持量で著しく優れた窒素酸化物除去効果が得られていることは明らかである。
【0035】
【発明の効果】
本発明の光触媒は環境中の窒素酸化物処理に優れた効果を発揮し、窒素酸化物を硝酸にまで酸化する速度が極めて速い。これにより従来、耐久性が問題視されていた吸着剤やトラップ剤が不要であり光触媒のみの効果により窒素酸化物を除去することが可能となる。すなわち生成した硝酸により光触媒は変質されることなく雨水等により洗浄されて再生されるため、本発明の光触媒は長期的に効果が持続することが可能となる。また白金族金属の担持量は極微量で良いため、安価に製造することが可能であり広く各種用途に適用することができる。

Claims (4)

  1. 光照射により大気中の窒素酸化物除去に適した光触媒であり、光半導性を有した光触媒基材に白金族金属が0.003〜0.03重量%担持されており、該光触媒基材は、酸化チタンと、酸化物として0.5〜50重量%のジルコニウムおよび/またはアルミニウムとを含有していることを特徴とする窒素酸化物除去用光触媒。
  2. 光触媒基材がチタンとジルコニウムおよび/またはアルミニウムとの複合酸化物である請求項1記載の窒素酸化物除去用光触媒。
  3. 複合酸化物中のジルコニウムおよび/またはアルミニウムの含有量が酸化物として5〜50重量%である請求項2記載の窒素酸化物除去用光触媒。
  4. 請求項1の窒素酸化物除去用光触媒を表面に被覆してなる建材。
JP2000370850A 2000-12-06 2000-12-06 窒素酸化物除去用光触媒 Expired - Fee Related JP3769461B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000370850A JP3769461B2 (ja) 2000-12-06 2000-12-06 窒素酸化物除去用光触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000370850A JP3769461B2 (ja) 2000-12-06 2000-12-06 窒素酸化物除去用光触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002172334A JP2002172334A (ja) 2002-06-18
JP3769461B2 true JP3769461B2 (ja) 2006-04-26

Family

ID=18840662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000370850A Expired - Fee Related JP3769461B2 (ja) 2000-12-06 2000-12-06 窒素酸化物除去用光触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3769461B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040033900A (ko) * 2002-10-16 2004-04-28 주식회사 포스코 수중 암모니아 탈질용 백금 담지 광촉매 및 이를 사용한암모니아 탈질 방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031967A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Inax Corp 建築材料及び建築構造体
CN113083339B (zh) * 2021-04-15 2022-11-08 万华化学(四川)有限公司 一种用于制备维生素e的催化剂及其制备方法和应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08252461A (ja) * 1995-03-17 1996-10-01 Ebara Corp 光触媒の製造方法
JP3731217B2 (ja) * 1995-03-28 2006-01-05 日本板硝子株式会社 光反応リアクター
JPH1071323A (ja) * 1996-08-30 1998-03-17 Aqueous Res:Kk 空気浄化フィルタ及び自動車用空気浄化装置
JP4011705B2 (ja) * 1996-12-10 2007-11-21 Toto株式会社 光触媒配合物と光触媒含有物並びに光触媒機能発揮材およびその製造方法
JPH1160315A (ja) * 1997-08-18 1999-03-02 Mitsubishi Materials Corp 第3成分を含むメタチタン酸使用の大気浄化用製品
JP2001070800A (ja) * 1999-09-07 2001-03-21 Sharp Corp 光触媒膜組成物及びこれを用いた光触媒体
JP2001081412A (ja) * 1999-09-17 2001-03-27 Nippon Parkerizing Co Ltd NOx浄化用光触媒塗料およびその塗膜の形成方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040033900A (ko) * 2002-10-16 2004-04-28 주식회사 포스코 수중 암모니아 탈질용 백금 담지 광촉매 및 이를 사용한암모니아 탈질 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002172334A (ja) 2002-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5982280B2 (ja) 排気ガスを選択的に接触還元するための触媒組成物
CN101528324B (zh) Ce-Zr-R-O催化剂、包含该Ce-Zr-R-O催化剂的制品以及制造和使用该Ce-Zr-R-O催化剂的方法
JP6558560B2 (ja) 触媒反応装置
EP2558196B1 (en) Use of a catalyst composition for selective catalytic reduction of exhaust gases
RU2426583C2 (ru) Композиция с повышенной кислотностью на основе оксида циркония, оксида титана и оксида вольфрама, способ получения и применение для обработки выхлопных газов
WO2008150462A2 (en) Catalyst for selective reduction of nitrogen oxides, method for making same and use thereof
KR101629483B1 (ko) 바나듐계 탈질촉매 및 그 제조방법
CN110605114B (zh) 莫来石型氧化物负载型催化剂用于低温选择性催化还原脱硝的用途
WO2010132358A2 (en) Layered catalyst to improve selectivity or activiity of manganese containing vanadium-free mobile catalyst
US20160177794A1 (en) Method for removing soot from exhaust gases
JP2006326437A (ja) 窒素酸化物接触還元用触媒
JP2004283646A (ja) 光触媒および光触媒の製造方法
CN107233895B (zh) 一种机动车尾气净化用氧化催化剂及其制备方法
EP1484109B1 (en) Catalyst for removing nitrogen oxides, method for production thereof and method for removing nitrogen oxides
KR101571660B1 (ko) 디젤 차를 포함하는 상용 차량을 위한 산화 촉매
JP5164821B2 (ja) 窒素酸化物選択的接触還元用触媒
JP3769461B2 (ja) 窒素酸化物除去用光触媒
CN107376893A (zh) 一种处理含no废气的复合催化剂及其制备方法
JP3986786B2 (ja) 窒素酸化物除去用光触媒
JP2001252562A (ja) 低温脱硝触媒及び低温脱硝方法
JP3749078B2 (ja) 脱硝触媒および脱硝方法
JP3857883B2 (ja) 窒素酸化物除去用組成物および窒素酸化物の除去方法
JP4147300B2 (ja) 窒素含有酸化チタン系光触媒及びそれを用いる環境汚染ガスの浄化方法
JP2004081995A (ja) 脱硝触媒および当該触媒を用いた脱硝方法
JPH05138026A (ja) デイーゼルエンジンの排気浄化用触媒

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050819

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees