JP3767106B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字情報及び／又は映像などの画像が表示される表示装置を備えたアップライトピアノのような竪型の鍵盤楽器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、例えば、アップライトピアノにおいは、特開平６−５９６６７号などに開示されているように、打弦により通常に発音させるとともに、電子音源を組み合わせて電子ピアノとしても演奏可能となるよにし、更に液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）を備え、楽譜情報などを表示するようにしたものがある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶ディスプレイを表示装置として組み込むことは、自然楽器であり工芸的に製作されるアップライトピアノの外観の趣を損なうものであり、また、このような表示装置を使用せずに演奏を行う場合、あるいは全く使用していない状態においては表示装置の画像表示面が常に露呈した状態となっており、違和感を払拭することができず、更に、露呈されたままの画像表示面は損傷を受け易い危険性を大きく残すものであった。
【０００４】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたもので、アップライトピアノのような竪型の鍵盤楽器の上前板に表示装置を備える場合においても、表示装置の露呈による違和感を可及的に少なくなるようにしたもので、併せて、表示装置の画像表示面の損傷に対する危険性が低くなるようにしたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項１記載の発明では、文字情報及び／又は映像などの画像が表示される画像表示面に対する裏面を本体の上前板と同様の塗装を施して仕上げてなる平板パネル状の表示装置を、該上前板へ支軸により回転可能に設ける。
【０００６】
請求項２記載の発明では、上記請求項１記載の発明において、本体の上前板に発音機能を設ける。
【０００７】
請求項３記載の発明では、文字情報及び／又は映像などの画像が表示される平板パネル状の表示装置を上前板に配設し、該表示装置の画像表示面を前記上前板の表面に露呈させる一方、前記画像表示面を覆う開閉可能な左右一対の扉を設け、且つ、該左右一対の扉の裏面に発音機能を設ける。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、竪型の鍵盤楽器としてアップライトピアノを例とし、これに基づいて説明する。
【０００９】
図１において、ピアノ本体１は図２に示すように背面側の支柱枠２と、この支柱枠２の左右両側面側に配置された親板３、３と、これら親板３、３間の前面側に配置された上前板４及び下前板５と、これら上下両前板４、５の中間に位置する腕木６、６間に配置されかつ底部の妻土台７、７上に立設された脚柱８、８にて支持された棚板９上に設けた鍵盤１０と、この鍵盤１０の上面を開閉可能に施蓋する鍵盤蓋１１と、前記親板３，３間の上面側に配置された屋根板１２とで構成されていて、この屋根板１２は、上方に開閉可能な前屋根板１２Ａと、前記親板３、３間に固定された後屋根板１２Ｂとからなるとともに、その内部には、前記鍵盤１０に連動する打弦機構２０が組み込まれている。なお、同図において符号１３は打弦機構２０における後述のダンパー機構５０のダンパーロッド５６を駆動するためのペダルである。
【００１０】
前記打弦機構２０は、図３に示すように、弦Ｓを打撃するハンマーアッセンブリ４０と、弦Ｓを押すダンパー機構５０とから構成され、前記ピアノ本体１の両側及び中間部の複数位置に配置されたアクションブラケット２１と、このアクションブラケット２１に架設されたセンターレール２２とで骨組みが形成されているとともに、このセンターレール２２には、各鍵盤１０毎に板状のウイペン２３がウイペンフランジ２４を介して回転自由に取り付けられ、このウイペン２３には、ウイペンヒール２５が設けられ、このウイペンヒール２５は、前記鍵盤１０に設けたキャプスタン２６に支持されることにより、前記ウイペン２３を略水平な初期位置を保つようになっている。
【００１１】
また、前記ウイペン２３には、略Ｌ字状をなすジャック２７がジャックフランジ２８を介して回転自在に支持されていて、このジャック２７は、ジャックスプリング２９により時計廻り方向に付勢されているとともに、前記センターレール２２にジャックストップレール３０を介して位置調整可能に取り付けたジャックストップフェルト３１により、その回転範囲が規制されるようになっている。
【００１２】
さらに、前記センターレール２２には、各鍵盤１０の配列方向の全長に亘って延在するレギュレーティングレール３２には、レギュレーティングボタン３３が位置調整可能に設けられ、このレギュレーティングボタン３３は、前記ウイペン２３が所定位置まで回動したときに、前記ジャック２７の下端部２７ａが当接し得るようになっている。
【００１３】
前記弦Ｓを打撃するハンマーアッセンブリ４０は、基部となるバット４１と、このバット４１に斜め上方に向けて延在させたハンマーシャンク４２と、このハンマーシャンク４２の上端部に取り付けたハンマ４３とで構成されていて、前記バット４１は、前記センターレール２２にバットフレンジ４４を介して回転自在に取り付けられ、このバット４１には、前記ハンマーシャンク４２と略直交させてキャッチャシャンク４５が取り付けられているとともに、このキャッチャシャンク４５の先端部には、キャッチャ４６が取り付けられている。また、前記バット４１は、バットスプリング４７にて反時計廻り方向に付勢されているとともに、その下面が前記ジャック２７の上端部２７ｂに当接させてなる構成を有する。
【００１４】
さらに、前記ピアノ本体１両側及び中間部の複数位置に配置されたアクションブラケット２１には、各鍵盤１０の配列方向の全長に亘って延在するハンマーレール３４が取り付けられ、このハンマーレール３４には、プランジャ３５がホルダー３６及びプランジャブラケット３７を介して各ハンマーアッセンブリ４０毎に設けられているとともに、このプランジャ３５は、前記ホルダー３６にて軸方向に移動可能にかつ振動吸収可能に支持されている。
【００１５】
即ち、前記プランジャ３５には、打弦して跳ね返されたハンマー４３のハンマーシャンク４２が当接して、ハンマー４３の運動エネルギを吸収することにより、ハンマーシャンク４２の跳ね返りを防止するようになっているもので、この場合、プランジャ３５とハンマーシャンク４２との初期当接位置は、前記バット４１を反時計廻り方向に付勢するバットスプリング４７の付勢力により保持されるようになっている。
【００１６】
なお、図３において符号３８は前記ウイペン２３の自由端側に取り付けられたバックチェックで、このバックチェック３８は、初期位置に回動復帰する前記ハンマーアッセンブリ４０のキャッチャ４６を弾性的に受け止めることにより、前記ハンマーアッセンブリ４０の跳ね返りに起因する弦Ｓの二度打ちを防止するようになっている。
【００１７】
一方、前記弦Ｓを押すダンパー機構５０は、前記センターレール２２に上下方向の中間部が回動自在に支持されたダンパーレバー５１と、このダンパーレバー５１の上端部にダンパーワイヤ５２を介して取り付けたダンパー５３と、このダンパー５３が取り付けられたダンパーレバー５１を時計廻り方向に回動自在に付勢するダンパーレバースプリング５４と、前記ウイペン２３に前記ダンパーレバー５１の下端部が当接するように取り付けられたダンパースプーン５５と、前記ピアノ本体１のペダル１３の操作に連動させて全てのダンパー５３を弦Ｓから離間させる方向に駆動させるダンパーロッド５６とで構成され、通常、前記ダンパー５３は、弦Ｓを押さえて他の弦Ｓが打弦されたときの共振を防止するようになっている。
【００１８】
即ち、前記ダンパー機構５０は、演奏時の押鍵によりウイペン２３が時計廻り方向に回動すると、ダンパースプーン５５がダンパーレバー５１をダンパースプリング５４の付勢力に抗して反時計廻り方向に回動させることにより、ダンパー５３を弦Ｓから離間させ、その後のハンマー４３による弦Ｓの打弦音を発生させることにより、通常演奏が行われるようになっている。
【００１９】
つぎに、図において符号８０は後述するコントローラ２００にて制御される文字情報及び／又は映像などが表示される表示装置で、この表示装置８０は、平板パネル状の液晶ディスプレイ（ＬＣＤ：２１１）からなり、ピアノ本体１の上前板４にこの表示装置８０を組み付ける際、図４に示すように支軸Ｏ−Ｏを介して１８０°回転可能に組み付けてなる構成を有するもので、表示装置８０の表示面８０ａに対する裏面８０ｂを上前板４の表面と同様な塗装を施している。
【００２０】
このように構成したことにより、表示装置８０を１８０°回転すると、表示装置８０の画像表示面８０ａまたは裏面８０ｂのいずれも上前板４と同一表面に露呈させることができる。したがって、裏面８０ｂを露呈させた場合は、上前板４と同様な塗装表面が露呈され、表示装置４が存在することによる違和感を払拭することができ、画像表示面８０ａの保護が可能となる。
【００２１】
図５は、表示装置８０をピアノ本体１の上前板に組み付ける際、表示装置８０を上前板４に観音開き状に開閉可能な左右一対の扉４Ａ、４Ｂにて閉扉可能にし、使用時に、図６に示すように、扉４Ａ、４Ｂを開扉することにより、表示装置８０を露呈可能にしてなる構成を有するもので、この場合、扉４Ａ、４Ｂの裏面にスピーカ９１、９１をそれぞれ配置することも可能である。
【００２２】
このようにして設けられた表示装置８０は、図７に示すコントローラ２００により表示制御される。このコントローラ２００は、装置各部を制御するＣＰＵ２０１、このＣＰＵ２０１において用いられるプログラムが記憶されているＲＯＭ２０２及び各種データが一時記憶されるＲＡＭ２０３を備え、このＲＡＭ２０３は、前記ＣＰＵ２０１が行う制御に使用される制御データの記憶エリアとして使用される。
【００２３】
また、コントローラ２００は、操作パネル２０４、センサインターフェイス２０５、通信インターフェイス２６０、アクチュエータインターフェイス２０７、モータ駆動回路２０８、外部記憶装置２０９を備え、自動演奏、消音演奏に対応可能となるようにしている。
【００２４】
さらにまた、前記コントローラ２００は、前記ＣＰＵ２０１から供給される演奏データに応じた楽音信号を合成する音源回路２１０及びスピーカＳＰ及び／又はヘッドホーンＨＨが接続される効果装置２１２を備え、この音源回路２１０で作成された楽音信号は、効果装置２１２を介してスピーカＳＰ及び／又はヘッドホーンＨＨに出力されるようになっているもので、この効果装置２１２には、例えばカラオケ用の外部マイク２１３が接続されている。
【００２５】
また、前記コントローラ２００は、例えばビデオあるいはＤＶＤなどの映像信号や音声信号あるいはオーディオ信号などを記録及び／または再生する記録再生装置２１４を備え、この記録再生装置２１４から出力される映像信号は、前記ＬＤＣ２１１に表示させるようになっている。さらに、前記コントローラ２００は、例えばデジタルビデオカメラなどからなる撮像装置２１５を備え、この撮像装置２１５にて撮影された画像は、前記記録再生装置２１４に記録したり、前記ＬＣＤ２１１に表示させるようになっている。
【００２６】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、本体の上前板に文字情報及び／又は映像などの画像が表示される画像表示面に対する裏面を本体の上前板と同様の塗装を施して仕上げた平板パネル状の表示装置を回転可能に前記上前板に設けるようにしたので、画像の表示を行わない場合は、この表示装置を回転して裏面を上前板と同一表面に露呈させることができるので、表示装置が存在することによる違和感を払拭し、アップライトピアノの外観の趣を損なわないようにすることができ、画像表示面の保護が可能となる。
【００２７】
また、平板パネル状の表示装置の画像表示面を前記上前板の表面に露呈させる一方、この画像表示面を覆う開閉可能な左右一対の扉を設けたので、画像の表示を行わない場合は、前記扉により画像表示面が視認不能となるようにしたので、アップライトピアノの外観の趣を損なわないようにすることができ、画像表示面の保護が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を実施した鍵盤楽器であるアップライトピアノを示す図である。
【図２】アップライトピアノの内部構成を説明する図である。
【図３】アップライトピアノの打弦機構を説明する図である。
【図４】本発明の要部の構成を示す図である。
【図５】本発明を実施した鍵盤楽器であるアップライトピアノを示す図である。
【図６】図５のアップライトピアノの使用状態を示す図である。
【図７】表示装置の表示制御などを行うコントローラのブロック図である。
【符号の説明】
１・・・・・・ピアノ本体
２・・・・・・支柱
３、３・・・・親板
４・・・・・・上前板
５・・・・・・下前板
６・・・・・・腕木
１０・・・・・鍵盤
１１・・・・・鍵盤蓋
２０・・・・・打弦機構
４０・・・・・ハンマーアッセンブリ
５０・・・・・ダンパー機構
８０・・・・・表示装置（液晶ディスプレイ）
９１・・・・・スピーカ

Claims (3)

1. 文字情報及び／又は映像などの画像が表示される画像表示面に対する裏面を本体の上前板と同様の塗装を施して仕上げてなる平板パネル状の表示装置を、該上前板へ支軸により回転可能に設けたことを特徴とする鍵盤楽器。
2. 本体の上前板に発音機能を設けたことを特徴とする請求項１記載の鍵盤楽器。
3. 文字情報及び／又は映像などの画像が表示される平板パネル状の表示装置を上前板に配設し、該表示装置の画像表示面を前記上前板の表面に露呈させる一方、前記画像表示面を覆う開閉可能な左右一対の扉を設け、且つ、該左右一対の扉の裏面に発音機能を設けたことを特徴とする鍵盤楽器。

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