JP3763499B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は保存性の改善された感熱記録材料に関し、詳しくは、スルホン誘導体を含有することによって、耐熱性、耐光性、耐油性等の保存性の改善された感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
感熱記録材料は、通常無色ないし淡色の発色性物質と熱の作用を受けると発色性物質を発色させる顕色剤とを、増感剤、バインダーおよびその他の添加剤とともに、紙、合成紙、プラスチックフィルムもしくはシート等の支持体表面に塗布することにより製造されている。そして、記録装置において、サーマルヘッドや熱ペン等の発熱素子が接触した時に、発色性物質と顕色剤が反応して黒色等に発色して記録される。かかる記録体は、他の記録体に比較して現像や定着等の煩雑な処理を施すことがなく、比較的簡単な装置でしかも短時間で記録が得られること、騒音の発生が少ないことや環境汚染が少ないこと、コストが安いこと等の利点があるために、図書、文書等の複写ばかりでなく、各種計測用記録紙、コンピューター、ファクシミリ、テレックス、乗車券等自動販売機、プリペイドカード、ラベル等の記録材料として広く使用されている。
【0003】
従来の感熱記録材料においては、発色性物質(ロイコ染料)、これを熱的に発色させる顕色剤および必要に応じて用いられる増感剤を適切に組み合わせて用いることにより、初期の発色感度および地肌部の汚れ(地肌カブリ)の観点からは実用上満足しえるものが得られている。
【0004】
しかしながら、これらの感熱記録体を日光や照明等に長時間暴露した場合には、印字部がかすんだりあるいは消えてしまうばかりでなく、地肌部が黄変してしまう欠点があり、ファクシミリ受信紙やワープロ、パソコン等のプリントアウトしたものを机上に放置した場合には、記録画像が不鮮明となり、文書保存面でも問題となっている。
【0005】
さらに、従来の感熱記録材料は耐光性に劣るばかりでなく、高温および/または多湿の条件下に保存した場合にも同様に、印字部が消色したり地肌カブリが発生する等の欠点があり、感熱記録材料の保存性を改善することが強く求められていた。
【0006】
これまでもこの保存性の改善のための試みはいくつか行われてきた。例えば特開昭62−121769号公報、特開昭62−169681号公報、特開平3−38996号公報、特開平5−148220号公報等のように新たな化合物を導入して、可塑剤に対する発色画像の安定性等を改善することが提案されており、いずれも発色部の保存性は向上している。しかしながら、感度、耐熱性、非発色部の安定性、またはコストの点で何らかの欠点を有しており、実用上は到底満足できるものではなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の現状に鑑み、感熱記録材料の保存安定性を著しく改善するために鋭意検討を重ねた結果、特定のスルホン誘導体を感熱記録材料に含有させることによってこの目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、該感熱記録層に次の一般式(I)で表されるスルホン誘導体を含有させたことを特徴とする感熱記録材料を提供するものである。
【0009】
(式中、Aは、ベンゾイミダゾール、インドール、プリン、カルバゾ−ル、フェノチアジン、ピラゾ−ル、ピロール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、及び1,2,4−トリアゾールから選択される環状有機アミンのNH基からHを除いた残基、又は上記環状アミンのNH基をNOH基に置換した環状ヒドロキシルアミンのNOH基からHを除いた残基、Xは下記[0012]に記載した芳香族基を表し、nは0または1であり、nが0のときはX−に水素原子が結合しているものとする。)
【0010】
以下、上記要旨をもってなる本発明の感熱記録材料についてさらに詳細に説明する。
【0011】
Aで表される環状有機アミンのNH基からHを除いた残基は、ベンゾイミダゾール、インドール、プリン、カルバゾール、フェノチアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールのNH基からHを除いた残基であり、環状有機ヒドロキシルアミンのNOH基からHを除いた残基は、上記環状有機アミンの残基に酸素原子が結合した構造である。またそれぞれの構造式中には置換基があってもよい。また、Xで表される芳香族基は、次に示す構造である。
【0012】
【化3】
【0013】
R1、R2であらわされる炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等があげられ、アルコキシ基としては上記アルキル基から誘導されるアルコキシ基があげられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素があげられる。Yで表される炭素原子数1〜3のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレンがあげられる。R3であらわされる炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチルがあげられる。
【0014】
Aであらわされる環状有機アミン、環状有機ヒドロキシルアミンの置換基としては、R1、R2で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子と同様の基があげられる。更にはニトロ基を有してもよい。
【0015】
本発明の感熱記録材料に添加される上記一般式(I)で表されるスルホン誘導体の具体的な代表例としては、次に示す化合物があげられる。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
本発明で用いられるスルホン誘導体の製造は、有機溶媒中にスルホン酸クロライドと、環状有機アミンまたは環状有機ヒドロキシルアミンとを溶解した溶液に、トリエチルアミン等の酸アクセプターを滴下することで簡単に合成することができる。
【0028】
本発明で用いられるスルホン誘導体の使用量は、要求される性能および記録適性、発色性物質染料あるいは併用される他の添加剤の種類および使用量によっても変わるため、特に限定されるものではないが、通常、発色性物質染料1重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が使用され、スルホン誘導体の使用量が発色性物質染料1重量部に対して0.01重量部未満の場合には保存性の改善効果が乏しく、また、10重量部を越えて使用してもその効果はそれ以上大きくならず不経済である。
【0029】
本発明の感熱記録材料には、通常使用される無色ないし淡色の発色性物質等の各種の染料を、通常使用できる配合量で使用できる。
【0030】
これらの発色性物質染料の具体例をあげると、たとえば、(1)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のトリアリールメタン系化合物;(2)4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;(3)ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン等のキサンテン系化合物;(4)ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;(5)3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン等のスピロ系化合物;(6)その他3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等があげられ、また、これらの染料は数種類を混合して用いることもできる。
【0031】
また、本発明で用いられるスルホン誘導体は、それ自身顕色剤としての効果を奏するので、他の顕色剤を用いる必要はないが、発色感度を増大させる必要がある場合は、フェノール系、カルボン酸系あるいは金属塩系等の周知の顕色剤を併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによって本発明のスルホン誘導体の使用量を低減することもできる。
【0032】
これらの顕色剤としては、たとえば、p−オクチルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−第三オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノール−A、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ第三ブチルサリチル酸、2,4−ジヒドロキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’,4’−ジメチルベンズアニリド、2,4,−ジヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−メチルベンズアニリド、ビス(4−(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)−3−メトキシフェニル)メタン、4−メチルベンゼンスルホン酸−2−ヒドロキシアニリド等のフェノール類、レゾルシノール類、安息香酸等の有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛等の金属塩があげられ、特にフェノール系の顕色剤を用いることが好ましい。
【0033】
本発明の感熱記録材料の発色感度を高めるために増感剤を併用することも可能であり、たとえば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の有機酸の金属塩;ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミド等のアミド化合物;1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、メチレンジベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、p−トルエンスルホン酸アニリド、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニル等を用いることができる。
【0034】
また、特に高度の保存安定性が要求される場合には必要に応じて公知の保存安定剤を併用することもできる。
【0035】
本発明の感熱記録材料に使用することのできる保存安定剤としては、たとえば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)等のヒンダードフェノール化合物、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等があげられ、これらの保存安定剤は、通常、発色性物質染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0036】
本発明で用いられる前記一般式(I)で表されるスルホン誘導体は、通常、ボールミル、アトライザー、サンドグラインダー等の磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒化され、目的に応じてさらに各種の添加材料を加えて塗液とする。
【0037】
この塗液には、通常、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド重合体、澱粉類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体あるいはこれらの変性物等の結合剤、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミン等の充填剤が配合されるが、この他に金属石けん類、アマイド類、ワックス類、光安定剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤等を必要に応じて使用することができる。
【0038】
この塗液を紙あるいは各種フィルム類に塗布することによって目的とする感熱記録材料が得られ、得られた感熱記録材料はファクシミリ用紙、プリンター用紙、ラベル、値札、切符等の感熱記録材料が応用される各種の用途に用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によってなんら制限を受けるものではない。
【0040】
(参考例1)化合物No.1の製造
4,4’−ビフェニルエーテルジスルホニルクロライド7.34g、ベンゾトリアゾール4.77gをTHFに溶解し、0〜5℃でトリエチルアミンを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌し、反応液を氷水中に注いで、組成生物を得た。これをクロロホルムから再結晶し、目的物8.94g(純度99.9%、収率84%)を得た。
【0041】
(参考例2)化合物No.2の製造
4,4’−ビフェニルエーテルジスルホニルクロライド7.34g、ヒドロキシベンゾトリアゾール5.41gをTHFに溶解し、0〜5℃でトリエチルアミンを滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、反応液を氷水中に注いで、組成生物を得た。これをクロロホルムから再結晶し、目的物9.93g(純度99.9%、収率88%)を得た。
【0042】
(実施例)
3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Aとした。
試料化合物20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で充分に磨砕して分散液Bを得た。
ジフェニルスルホン20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミルで充分に磨砕して分散液Cを得た。
【0043】
上記分散液A、BおよびCを1:2:2の重量比で混合し、混合液200gに対し炭酸カルシウム50gを添加し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
【0044】
得られた感熱記録材料を用い、感熱印字装置(REX−F4:株式会社大倉電機製)を用いて、温度250℃×3secで印字した記録像の発色濃度および地肌部の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。
【0045】
この発色させた感熱記録材料を60℃、乾燥の条件下で48時間保存し、地肌および発色部の濃度変化を測定し、耐熱保存安定性を評価した。
【0046】
また、この発色させた感熱記録材料をカーボンアークフェードメーター中に入れ、6時間照射した後の印字部の濃度を測定し、耐光保存安定性を評価した。尚、地肌部の濃度については黄色フィルターを用いて測定した。
【0047】
さらに、この発色させた感熱記録材料の印字部および地肌部にジオクチルフタレートをスタンプした後、40℃、乾燥の条件下で48時間保存した後の濃度を測定し、耐油性を評価した。
【0048】
その結果を次の表−1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
実施例から明らかなように、比較化合物1,2を使用した感熱記録材料は、耐光性、耐油性の試験において、保存性の低下が著しく、満足できるものではない。また比較化合物3のような構造の芳香族スルホン酸アニリドでは初期の発色が弱く、実用的な発色部の濃度として満足出来るものではない。
【0054】
これに対し、本発明のスルホン誘導体を含有した感熱記録材料は、初期の感度はやや劣るものの、耐熱性、耐光性、耐油性のいずれの試験においても発色部の褪色がほとんどなく、極めて信頼性の高い記録が可能になる。
【0055】
【発明の効果】
特定のスルホン誘導体を含有させることにより、過酷な条件下に保存した後にも、発色部の消色および地肌部の変色の少ない、保存安定性に優れた感熱記録材料が得られる。
Claims (3)
- 感熱記録層中に、下記一般式(I)で表されるスルホン誘導体を含有させたことを特徴とする感熱記録材料。
(式中、Aは、ベンゾイミダゾール、インドール、プリン、カルバゾ−ル、フェノチアジン、ピラゾ−ル、ピロール、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、及び1,2,4−トリアゾールから選択される環状有機アミンのNH基からHを除いた残基、又は上記環状アミンのNH基をNOH基に置換した環状有機ヒドロキシルアミンのNOH基からHを除いた残基、Xは下記の芳香族基を表し、nは0または1であり、nが0のときはX−に水素原子が結合しているものとする。)
(式中、R 1 、R 2 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子あるいは炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、またはヒドロキシル基をあらわす。Yは−O−、−S−、−SO 2 −、−CO−、−OCH 2 CH 2 O−、−NR 3 −、炭素原子数1〜3のアルキレン、または直接結合を表し、R 3 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。) - 前記一般式(I)で表される化合物のうち、nが1である請求項1記載の感熱記録材料。
- 前記環状有機アミンがベンゾトリアゾールまたはヒドロキシベンゾトリアゾールである請求項2記載の感熱記録材料。
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