JP3761283B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性の改善された感熱記録材料、詳しくは、スルホアニリド構造を2個有する化合物を感熱記録層中に含有する、耐熱性、耐光性、耐油性などの保存性の改善された感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
感熱記録材料は、通常無色ないし淡色の発色性物質と熱の作用を受けると発色性物質を発色させる顕色剤とを、増感剤、バインダーおよびその他の添加剤とともに、紙、合成紙、プラスチックフィルムもしくはシートなどの支持体表面に塗布することにより製造されている。そして、記録装置において、サーマルヘッドや熱ペンなどの発熱素子が接触した時に、発色性物質と顕色剤とが反応して黒色などに発色して記録される。かかる記録材料は、他の記録材料に比較して現像や定着などの煩雑な処理を施すことがなく、比較的簡単な装置でしかも短時間で記録が得られること、騒音の発生が少ないことや環境汚染が少ないこと、コストが安いことなどの利点があるために、図書、文書などの複写用としてばかりでなく、各種計測用記録紙、コンピューター、ファクシミリ、テレックス、乗車券等自動販売機、プリペイドカード、ラベルなどの記録材料として広く使用されている。
【0003】
従来の感熱記録材料においては、発色性物質(ロイコ染料)、これを熱的に発色させる顕色剤および必要に応じて用いられる増感剤を適切に組み合わせて用いることにより、初期の発色感度および地肌部の汚れ(地肌カブリ)の観点からは実用上満足しえるものが得られている。
【0004】
しかし、これらの感熱記録材料を塩化ビニル製の袋に保存したり塩化ビニル製のデスクマットと接触したりした場合、あるいは、感熱記録材料に手で触れたりした場合に、塩化ビニルに含有される可塑剤や皮脂により発色部が消色したりする欠点があった。
【0005】
また、これらの感熱記録材料を日光や照明などに長時間暴露した場合には、印字部がかすんだりあるいは消えてしまうばかりでなく、地肌部が黄変してしまう欠点があり、ファクシミリ受信紙やワープロ、パソコンなどのプリントアウトしたものを机上に放置した場合には、記録画像が不鮮明となり、文書保存面でも問題となっている。
【0006】
顕色剤として、スルホアニリド構造を有する化合物を用いることは従来から知られており、例えば、特開平1−141786号公報、特開平2−25372号公報、特開平2−145560号公報等には、フェノール性ヒドロキシル基を有するスルホアニリド化合物を顕色剤として用いることで発色画像の安定性あるいは地肌部の安定性などが改善することが提案されている。しかしながら、従来提案されたこれらの化合物はスルホアニリド構造を1個のみ有する化合物であり、これら化合物による保存性の改善効果は満足のいくものではなかった。
【0007】
また、特開昭58−211493号公報には、スルホアニリド化合物を増感剤および保存性改善剤として用いることが提案されているが、この化合物もスルホアニリド構造を1個のみ有する化合物であり、保存性の改善効果は実用上満足のいくものではなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、耐熱性、耐油性、耐光性に優れる感熱記録材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、スルホアニリド構造を1分子中に2個有する特定の化合物を顕色剤として用いることにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、感熱記録層中に、下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有させたことを特徴とする感熱記録材料を提供するものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられる上記一般式(1)で表される化合物は、顕色剤として用いられるものである。
上記一般式(I)においてR1〜R7で示される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等があげられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル等があげられ、R1〜R6で示されるアルコキシ基としては、上記アルキル基から誘導されるアルコキシ基があげられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素があげられ、R7で示されるアリールまたはアルキルアリール基としては、フェニル、ナフチル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル等があげられる。
【0014】
また、Xで示される炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、エチリデン、トリメチレン、プロピレン-2,2- イル- 、テトラメチレン、ブチリデン、ペンタメチレン、ペンチリデン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。
【0015】
前記一般式(I)で表される化合物(スルホアニリド構造を2個有する化合物)の具体的な代表例としては、下記〔化3〕〜〔化13〕に示す化合物No. 1〜11等があげられる。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
上記一般式(I)で表される化合物の中で、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の何れか1個以上がヒドロキシル基である化合物を用いた場合には、初期の発色感度が高く好ましい。ヒドロキシル基を有していない化合物を用いた場合は、それ単独でも顕色剤として作用するものの発色感度が低いことがある。実用上、初期の発色感度が不足する場合は、他の顕色剤との併用が好ましい。この場合、他の顕色剤と併用することで、初期発色感度と保存性とに優れた感熱記録材料を提供できる。
【0028】
上記一般式(I)で表される化合物は、感熱記録材料の保存安定性に特に優れる。
【0029】
上記一般式(I)で表される化合物の合成方法は特に制限されるものではなく、例えば、スルホン酸クロライド類とアニリン類とを常法により反応させることで合成できる。
【0030】
次に、上記一般式(I)で表される化合物の具体的な合成例を示す。尚、次の合成例は、該化合物の代表として、化合物No. 2の合成例を示す。
〔合成例〕
2−アミノフェノール2.18g(0.02モル)のピリジン溶液10gに、ビス(4−スルホニルクロリドベンゼン)オキサイド3.67g(0.01モル)のアセトン溶液20mlを1時間で滴下し、さらに1時間反応させて赤紫の液体を得た。得られた液体から減圧脱溶媒し、酢酸エチルに溶解して水洗した。油層を乾燥して脱溶媒して得られた固体をクロロホルムで洗浄して融点186℃の白色固体3.48g(収率59%)を得た。
【0031】
得られた化合物は、赤外分光分析により、
3500cm-1、3450cm-1、3250cm-1、1580cm-1、1480cm-1、1380cm-1、1320cm-1、1300cm-1、1240cm-1、1220cm-1、1150cm-1、1080cm-1、1030cm-1、1010cm-1、940cm-1、900cm-1
に吸収を示した。
【0032】
本発明に用いられる上記一般式(I)で表される化合物の使用量は、要求される性能および記録適性、後述の発色性染料あるいは併用される他の添加剤の種類および使用量によっても変わるため、特に限定されるものではないが、通常、発色性染料1重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が使用され、発色性染料1重量部に対して0.01重量部未満の場合には、発色濃度が小さく、また、10重量部を越えた場合でも、その効果はそれ以上大きくならず不経済となることがある。
【0033】
本発明の感熱記録材料においては、通常無色ないし淡色の発色性物質が使用され、該発色性物質としては各種の染料(発色性染料)が周知であり、一般の感熱記録紙などに用いられているものであれば特に制限を受けない。
【0034】
上記発色性染料の具体例としては、例えば、(1)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリド、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタンなどのトリアリールメタン系化合物;(2)4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物;(3)ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−テトラヒドロピロリル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−(N−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオランなどのキサンテン系化合物;(4)ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物;(5)3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピランなどのスピロ系化合物;(6)その他3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オン、2−(3−メトキシ−4−ドデシロキシスチリル)キノリンなどがあげられ、また、これらの染料は数種類を混合して用いることもできる。
【0035】
また、前記一般式(I)で表される化合物は、それ自身顕色剤としての効果を奏するので、他の顕色剤を用いる必要はないが、発色感度を増大させる必要がある場合は、フェノール系、カルボン酸系あるいは金属塩系などの周知の顕色剤を併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによって、上記一般式(I)で表される化合物の使用量を低減することもできる。
【0036】
上記の他の顕色剤としては、例えば、p−オクチルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−第三オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノール−A、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ第三ブチルサリチル酸、2,4−ジヒドロキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’,4’−ジメチルベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−メチルベンズアニリド、ビス(4−(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)−3−メトキシフェニル)メタンなどのフェノール類、レゾルシノール類、安息香酸などの有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛などの金属塩があげられ、特にフェノール系の顕色剤を用いることが好ましい。これらの他の顕色剤は、通常、発色性染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0037】
また、本発明の感熱記録材料の発色感度を高めるために、各種の増感剤を併用することも可能であり、該増感剤としては、例えば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの有機酸の金属塩;ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミド、アセト酢酸アニリド、o−クロロアセト酢酸アニリド、アセト酢酸トルイジド、アセト酢酸キシリドなどのアミド化合物;1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸アニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、メチレンジベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、4−ニトロ安息香酸メチル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニルなどを用いることができ、これらの増感剤は、通常、発色性染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0038】
また、特に高度の保存安定性が要求される場合には、必要に応じて公知の保存安定剤を併用することもできる。
【0039】
本発明の感熱記録材料に使用することのできる上記保存安定剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、トリス(2,6−ジメチル−4−第三ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(2−(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼンなどのヒンダードフェノール化合物、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートなどがあげられ、これらの保存安定剤は、通常、発色性染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0040】
本発明の感熱記録材料は、保存安定性に優れたものであるが、より高い保存安定性を付与する目的で、感熱記録層上にオーバーコート層を設けてもよい。該オーバーコート層としては、ポリビニルアルコール等の従来公知の樹脂成分を用い、公知のいかなるコーティング方法を用いてもよく、また、該オーバーコート層の厚さもなんら限定されるものではなく、所望の性能になるよう適宜選択される。
【0041】
本発明の感熱記録材料は、長期の耐光性を付与を要求される場合には、オーバーコート層または感熱記録層中に、紫外線吸収剤が添加されているものが好ましい。該紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジンなどのトリアリールトリアジン類などがあげられる。
【0042】
本発明の感熱記録材料を作製するには、例えば、下記に示すようにして得ることができる。
前記一般式(I)で表される化合物の分散液を調製する。この分散液は、発色性染料などの他の成分の分散液と別々に調製したものを混合したものでもよく、他の成分と一緒に加えた分散液としてもよく、また、混合溶融したのち分散液としてもよい。これらの分散液は、通常、ボールミル、アトライザー、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒化され、目的に応じてさらに各種の添加材料を加えて水または有機溶剤を媒体とする塗液とする。
【0043】
上記塗液には、通常、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド重合体、澱粉類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体あるいはこれらの変成物などの結合剤、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、けい酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミンなどの充填剤が配合されるが、この他に金属石けん類、アマイド類、ワックス類、光安定剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤などを必要に応じて配合することができる。
【0044】
上記塗液を紙あるいは各種フィルム類に塗布することによって、目的とする感熱記録材料が得られる。
【0045】
本発明の感熱記録材料は、ファクシミリ用紙、プリンター用紙、ラベル、値札、切符などの感熱記録材料が応用される各種の用途に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によってなんら制限を受けるものではない。
【0047】
実施例1
3−(N,N−ジペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gおよび10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Aとした。
【0048】
試料化合物(下記〔表1〕に記載)20gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で充分に磨砕して分散液Bを得た。
【0049】
o−クロロアセト酢酸アニリド20gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Cを得た。
【0050】
保存剤として、トリス(2,6−ジメチル−4−第三ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート10gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で充分に磨砕して分散液Dを得た。
【0051】
上記分散液A、B、CおよびDを1:2:2:1の重量比で混合し、混合液200gに対し炭酸カルシウム50gを添加し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
【0052】
得られた感熱記録材料を80℃で48時間処理後に感熱印字装置(TH−PMD:株式会社大倉電機製)を用いてパルス幅0.8msecで印字した記録像(印字部)の発色濃度および地肌の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。
【0053】
この発色させた感熱記録材料を60℃、乾燥の条件下で24時間保存し、印字部および地肌の濃度変化を測定し、耐熱保存安定性を評価した。
【0054】
また、この発色させた感熱記録材料をカーボンアークフェードメーター中に入れ、6時間照射した後の印字部および地肌の濃度を測定し、耐光保存安定性を評価した。尚、地肌の濃度については黄色フィルターを用いて測定した。
【0055】
さらに、この発色させた感熱記録材料にジオクチルフタレートで可塑化された塩化ビニル樹脂フィルムを室温で24時間貼り合わせた後の印字部および地肌の濃度を測定し、耐油性を評価した。
【0056】
それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gおよび10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Aを得た。
【0059】
試料化合物(下記〔表2〕に記載)20gおよび10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Bを得た。
【0060】
2−ベンジロキシナフタレン20gおよび10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gをボールミルで充分に磨砕して分散液Cを得た。
【0061】
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン20gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で充分に磨砕して分散液Dを得た。
【0062】
紫外線吸収剤としてメチレンビス(2−ヒドロキシ−3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−第三オクチルフェニル)10g、ステアリン酸亜鉛10g、ジメチロールウレア1g、炭酸カルシウム1gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で充分に磨砕して分散液Eを得た。
【0063】
上記分散液A、B、CおよびDを重量比1:2:2:1の割合で混合し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して感熱記録原紙を得た。
【0064】
得られた感熱記録原紙に、上記分散液Eを50g/m2 になるよう発色層(感熱記録層)上に塗布し、保護層(オーバーコート層)を有する感熱記録材料を得た。
【0065】
得られた感熱記録材料を用い、実施例1と同様の試験を行った。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
上記〔表1〕および〔表2〕より、前記一般式(I)で表される化合物(スルホアニリド構造を2個有する化合物)を顕色剤として用いることにより、初期の発色濃度が良好で、可塑剤等による発色部の消色が少なく、また、光による褪色が小さい、保存安定性に優れた感熱記録材料が得られることが判る(実施例1-1〜1-3 、2-1 〜2-3 )。
【0068】
【発明の効果】
本発明の感熱記録材料は、耐熱性、耐光性、耐油性などの保存性の改善されたものである。
Claims (2)
- 感熱記録層中に、下記〔化1〕の一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有させたことを特徴とする感熱記録材料。
- 上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5およびR6の何れか1個以上が、ヒドロキシル基である請求項1記載の感熱記録材料。
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