JP4226167B2 - 顕色剤および記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色感度及び記録後の保存性の改善された記録材料、及びそれに使用する記録材料用顕色剤に関し、詳しくは、特定の構造を有する顕色剤を記録層中に含有することにより、発色感度に優れるばかりでなく、発色による記録を終えた記録体の耐熱性、耐光性、耐油性、耐水性等の保存性の改善された感熱用、感圧用等の記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩基性色素等の電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤の発色反応を利用した記録材料には、感熱記録材料や感圧記録材料等がある。
例えば、感熱記録材料は、無色ないし淡色の発色剤と該発色剤を発色させる顕色剤とを、増感剤、バインダー及びその他の添加剤とともに、紙、合成紙、プラスチックフィルム或いはシート等の支持体表面に塗布したものであり、記録装置において、サーマルヘッドや熱ペンなどの発熱素子を接触させて黒色などに発色させる。
感圧記録材料は、発色剤を溶解した液滴を内包するマイクロカプセルを含有する層と顕色剤を含有する層からなり、両層を重ね合わせ、適切な圧力でマイクロカプセルを破壊することで、発色剤が顕色剤を含有する層に転移し、発色が起こる。
【0003】
しかし、従来の記録材料は、記録体(情報を記録するために記録材料を発色させたものを示す。)の保存安定性について満足できるものではなく、記録体を日光や照明などに長時間暴露した場合には、印字部がかすんだりあるいは消えてしまう褪色が起きるばかりでなく、地肌部が黄変してしまう地肌カブリが起こる欠点があり、記録画像が不鮮明となり、長期間の保存安定性が問題となっている。
【0004】
これら記録材料に用いられる顕色剤については、発色感度の向上のために、例えば特開昭56−144193号公報、特開昭58−188842号公報、特開昭60−64890号公報、特開昭63−252782号公報などに示されるように、4−ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を顕色剤とする提案が以前からあり、現在でも使用されている。しかしながら、これらの化合物は、発色感度は満足できるものの、記録体の保存安定性に関しては充分でなく、さらなる改善が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、優れた発色感度、保存安定性を与える顕色剤及び該顕色剤を用いた発色感度、保存安定性に優れた記録材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸及び特定の基によりヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸からなるカルボン酸成分(A)と、三価以上の多価アルコール成分(B)とのエステルを顕色剤として、これを記録層に含有させることにより、発色感度及び記録体の保存安定性に優れた記録材料を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の要旨は以下の通りである。
第1の発明は、下記一般式(I)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸及び下記一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸が必須成分であるカルボン酸成分(A)と、ヘキシトール類、ペンチトール類、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、グリセリン、これらの多価アルコール同士の縮合物;これら三価以上の多価アルコールと二価の低分子アルコールの縮合物からなる群より選択される三価以上の多価アルコールが必須成分である多価アルコール成分(B)とのエステル化反応生成物で表される構造を有する記録材料用顕色剤に関する。
【0008】
【化3】
【0009】
(式(I)中、pは、0〜2の整数を表す。)
(式(II)中、qは、0〜2の整数を表し、Xは、ホルミル基;アルキル基の炭素数が1〜18のアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルバモイル基もしくはアルキルスルホニル基;アリール基の炭素数が6〜30のアリール基、アリールカルボニル基、アリールカルバモイル基もしくはアリールスルホニル基;又はアセトアセチル基を表す。)
第2の発明は、一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のXが、アルキル基の炭素数1〜18のアルキルカルボニル基である第1の発明に記載の記録材料用顕色剤に関する。
第3の発明は、一般式(I)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸1モルに対し、一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸が0.01〜2モルの比率である第1又は2の発明に記載の記録材料用顕色剤に関する。
第4の発明は、三価以上の多価アルコールが下記一般式(III)で表される化合物である第1〜3のいずれかの発明に記載の記録材料用顕色剤に関する。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、nは0〜9の整数を表し、R1及びn個のR2はそれぞれ独立に、ヒドロキシメチル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
第5の発明は、一般式(III)で表される多価アルコールのR1及びn個のR2がそれぞれ独立に、ヒドロキシメチル基又はエチル基である第4の発明に記載の記録材料用顕色剤に関する。
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に記載の記録材料用顕色剤、発色剤、並びに、該顕色剤及び該発色剤が層状に設けられる基材からなる記録材料に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、上記要旨をもってなる本発明の顕色剤および記録材料について更に詳細に説明する。
本発明に係る顕色剤は、上記一般式(I)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸、及び特定の基によりヒドロキシル基が修飾された上記一般式(II)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸(以下、修飾(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と記載する。)からなるカルボン酸成分(A)と、三価以上の多価アルコール成分(B)とのエステル化反応生成物で表される構造を有するものであり、縮合反応、交換反応等どのような製造方法により合成されたものであってもよい。
【0013】
上記カルボン酸成分(A)において、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸とは、4−ヒドロキシ安息香酸、ポリ4−ヒドロキシ安息香酸又はこれらの任意の割合の混合物のことであり、修飾(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸も同様である。
原料として4−ヒドロキシ安息香酸を用いると、ポリ4−ヒドロキシ安息香酸は、4−ヒドロキシ安息香酸の縮合反応により生成する。
或いは、4−ヒドロキシ安息香酸の二量化合物である4−ヒドロキシ安息香酸(4’−カルボキシ)フェニル等を予め合成し、これを原料として用いてもよい。
4−ヒドロキシ安息香酸又は上記二量化合物等の鎖状オリゴマーは、エステル化反応生成物を合成する際に、フリーのカルボン酸の状態で使用される他、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成誘導体の形で使用することができる。
【0014】
また、上記一般式(II)中のXで表される修飾基の導入法は、特に制限を受けないが、例えば上記(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のエステル形成誘導体と修飾基を導入するための修飾剤を反応させる方法、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のエステル形成誘導体と多価アルコール成分(B)と修飾剤を同時に反応させる方法、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と多価アルコール成分(B)とのエステル化反応生成物と修飾剤を反応させる方法等が挙げられる。
【0015】
上記のXで表される修飾基に関して、炭素数1〜18のアルキル基;アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルカルボニル基、アルキルカルバモイル基又はアルキルスルホニル基における炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、1−エチルヘプチル、オクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、パルミチル、ヘプタデシル、ステアリル等が挙げられる。
また、炭素数6〜30のアリール基;アリール基の炭素数が6〜30のアリールカルボニル基、アリールカルバモイル基又はアリールスルホニル基における炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル、メチルフェニル、ブチルフェニル、オクチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0016】
また、本発明に係るカルボン酸成分(A)は、顕色剤の効果を阻害しない限り、必要に応じて、他のカルボン酸を含んでもよい。例えば、顕色剤の分子量を大きくすることにより、記録体の保存安定性の向上を計る場合には、他のカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、1,3−ブタンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二価カルボン酸、及びこれらの混合物等を使用することができる。
【0017】
本発明に係る多価アルコール成分(B)において、必須成分である三価以上の多価アルコールは、特にその種類は制限されるものではないが、ヘキシトール類、ペンチトール類、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、グリセリン、これらの多価アルコール同士の縮合物;これら三価以上の多価アルコールと二価の低分子アルコールの縮合物等が挙げられる。上記二価の低分子アルコールとは、下記に、必要に応じて含められる他の多価アルコールとして、述べるものが使用できる。
特に上記一般式(III)で表される多価アルコールを用いた場合には、発色感度、発色後の記録体の保存安定性等に優れた記録材料が得られるので好ましく、更にペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び/又はその縮合物を用いた場合がより好ましい。
【0018】
また、本発明に係る多価アルコール成分(B)は、顕色剤の効果を阻害しない限り、必要に応じて、他の多価アルコールを含んでもよい。例えば、顕色剤の記録層への分散性の向上を計る場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の二価の低分子アルコール、及びこれらの混合物等を使用してもよい。
【0019】
本発明に係る顕色剤を得るための各原料の配合比は特に限定されるものではないが、通常好ましくは、三価以上の多価アルコールのヒドロキシル基のモル数に対し、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と修飾(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のモル数の和{ポリ4−ヒドロキシ安息香酸及び修飾ポリ4−ヒドロキシ安息香酸の場合は、それらを構成する4−ヒドロキシ安息香酸単位の数に換算して比率を算出する。}が0.5〜3倍数の範囲で使用される。
(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と修飾(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸の数の和が0.5倍未満では顕色剤中の(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸エステル基の含有率が低くなり、発色感度が不充分となりやすい。また、3倍を超えると、未反応の(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸及び/又は修飾(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸が残存し地肌カブリが生じやすくなる傾向がある。
【0020】
また、本発明の顕色剤において、前記一般式(I)で表される(ポリ)ヒドロキシ安息香酸1モルに対し、前記一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のモル比率は、特に限定されるものではないが、0.01〜2の範囲が好ましい。モル比率が0.01未満では肌カブリが生じやすくなる傾向があり、2を超えると発色感度が不充分になりやすい。
【0021】
上記顕色剤の使用量は、要求される性能及び記録適性、発色剤或いは併用される他の添加剤の種類及び使用量によっても変わるため特に限定されるものではないが、通常、発色剤1重量部に対して好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部が使用される。顕色剤の使用量が0.01重量部未満の場合には発色感度が不十分となることもあり、また、10重量部を超えて使用してもその効果はそれ以上大きくならないことがあり不経済である。
【0022】
本発明に係る記録材料とは、上記顕色剤及び後述する発色剤が層状に設けられる基材からなる記録材料であれば、用途、構造、製法等で制限されることはないが、感圧記録材料及び感熱記録材料が保存安定性について特に優れた効果を発現するので好ましく、感熱記録材料がより好ましい。
【0023】
本発明に係る記録材料において記録層中に使用される通常無色ないし淡色の発色剤としては各種の染料が周知であり、一般の記録材料等に用いられているものであれば特に制限を受けない。
これらの発色剤の具体例を挙げると、例えば、
(i)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのトリアリールメタン系化合物;
【0024】
(ii)4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物;
(iii)ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオランなどのキサンテン系化合物;
【0025】
(iv)ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物;
(v)3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロジベンゾピラン等のスピロ系化合物;
(vi)その他3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’−(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、フェノキサジン誘導体等が挙げられ、また、これらの染料は数種類を混合して用いることもできる。
これらのうち、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が好ましく用いられる。
【0026】
また、本発明の記録材料において、上記発色剤には必要に応じて、脂肪族第二鉄等のキレート発色剤を併用してもよい。
【0027】
また、本発明に係る記録材料において更なる発色感度を増大させる必要がある場合は、必要に応じてフェノール系、カルボン酸系あるいは金属系などの周知の顕色剤を一種類または二種類以上併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによって本発明の顕色剤の使用量を低減することもできる。
【0028】
上記他の顕色剤としては、例えば、p−オクチルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−第三オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス−((3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ第三ブチルサリチル酸、2,4−ジヒドロキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’,4’−ジメチルベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−メチルベンズアニリド、ビス(4−(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)−3−メトキシフェニル)メタン、4−メチルベンゼンスルホン酸−2−ヒドロキシアニリド、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と3価以上の多価アルコールとのエステル化合物などのフェノール類、フェノールノボラックなどのフェノール樹脂類、レゾルシノール類、安息香酸などの有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛などの金属塩が挙げられ、特にフェノール系の顕色剤を用いることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明の記録材料に必要に応じて保存安定剤を一種類または二種類以上使用することができる。該保存安定剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)等のヒンダードフェノール化合物、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートなどが挙げられ、これらの保存安定剤は、通常、発色剤(染料)1重量部に対して好ましくは0.01〜10重量部が使用される。
【0030】
記録材料が感熱記録材料の場合、発色感度を高めるために一種類または二種類以上の増感剤を併用することも可能であり、例えば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの有機酸の金属塩;ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ベンゾイル酢酸アニリド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミドなどのアミド化合物;1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、メチレンベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、ジフェニルスルホン、p−トルエンスルホン酸アニリド、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニル、4−クロロフェニルフェニルスルホンなどを用いることができる。この中では、特にビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ジフェニルスルホン、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミドなどが好ましく用いられる。
【0031】
これらの増感剤は、通常、発色性物質(染料)1重量部に対して0.01〜10重量部が使用される。原料として上記増感剤を別個に用いる方法以外に、本発明に係る顕色剤と溶融混合して原料とすることもできる。
【0032】
本発明に係る記録材料において、使用される顕色剤、保存安定剤、増感剤などは、通常、ボールミル、アトライター、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒子化され、目的に応じてさらに各種の添加剤を加えて塗液として調製される。
【0033】
上記塗液には、通常、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、でんぷん類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体あるいはこれらの変性物などの結合剤、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミンなどの充填剤が配合されるが、この他に金属石けん類、アマイド類、ワックス類、光安定剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤などを必要に応じて使用することができる。
【0034】
また、感熱記録材料の場合は、より高い保存安定性を付与する目的でオーバーコート層を設けてもよく、また、発色感度を向上させるためにアンダーコート層を設けてもよい。
【0035】
上記オーバーコート層としては、例えば、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などを塗布した後、硬化させて皮膜を形成するか、皮膜の形成が可能なラテックスや水溶性高分子をコーティングして形成され、エポキシ化合物などの架橋剤または硬化剤を併用してもよい。コーティングには、公知のいかなる方法を用いてもよく、コート層の厚さも何ら限定されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
また上記アンダーコート層としては、例えば、無機顔料及び/又は有機顔料と接着剤とを主成分とする層、発泡性フィラーと接着剤とを主成分とする層、粒状及び/又は繊維状の無機及び/又は有機中空材料と接着剤とを主成分とする層、水溶性高分子または水分散性高分子化合物を含有する水溶液を機械的に発泡させて得た塗液で形成された発泡層などの断熱性に優れた素材を用いることで、少ないエネルギーによる発色が可能となる。該アンダーコート層においてもそのコーティング方法やコート層の厚さは特に制限されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
【0036】
感熱記録体に、特に高度の耐光性、地肌部の保存安定性が要求される場合には、上記感熱記録層及び/又は上記オーバーコート層中に、公知のヒンダードアミン系光安定剤、及び/又は紫外線吸収剤を一種類または二種類以上添加することもできる。
【0037】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジシクロ−s−トリアジン/N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾールなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−炭素数12〜13の混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類などが挙げられるが、特に、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が好ましい。
【0039】
これらの光安定剤、紫外線吸収剤の添加量は発色剤1重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.05〜5重量部であり、0.01重量部未満ではその安定化効果が充分に得られず、10重量部を超えて使用しても無駄であるばかりでなく、むしろ塗膜物性に悪影響を及ぼすおそれがあり好ましくない。
【0040】
上記の記録材料は、複写セット、自己発色性感圧記録紙、図書、文書等の複写、各種計測用記録紙、コンピューター、ファクシミリ、テレックス、乗車券等自動販売機、プリペイドカード、ラベルなどの記録用分野に用いられる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。
芳香族系溶剤として使用したソルベッソ150TMはエッソ社製のものである。酸吸着剤として使用したキョーワード500TMは、協和化学工業社製、組成:Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oのものである。
軟化点は、DTAによるピークトップ温度(℃)である。
【0042】
(中間体原料の合成1)(多価アルコール:ジペンタエリスリトール)
1,000mlの丸底フラスコに、230gのソルベッソ150TM、ジペンタエリスリトール25.4g、4−ヒドロキシ安息香酸54.5g、硫酸0.25gを仕込み、生成する水を留去しながら190℃で5時間反応させた。冷却後、水洗し、溶媒を留去した後、残留物をエタノール100gに溶解し、キョーワード500TM、活性炭、シリカゲルをそれぞれ4g加え、30分撹拌した。固形分を濾過し、濾液をトルエン200gに滴下して結晶を析出させ、軟化点:約115℃、数平均分子量2,030の白色結晶である中間体135gを得た。
【0043】
(製造実施例1)試験試料No.1の合成(修飾:アセチル化)
200mlの丸底フラスコに、上記中間体19.5g、ジエチレングリコールジメチルエーテル60.0g、無水酢酸6.12gを仕込み、100℃で3時間、さらに190℃で1時間反応させた。溶媒をエタノールに交換し、この溶液をトルエンに滴下して得た固体を乾燥し、軟化点:約106℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1760cm-1、1195cm-1(以上酢酸エステル由来)、1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、1110cm-1(エーテル由来)、数平均分子量2,305の試験試料No.1を19.3g得た。この試料についてPMR(1H−NMR)を測定し、環プロトンと修飾基のプロトン数から計算した結果、未修飾のフェノール性OH基と修飾されたフェノール性OHの比(未修飾−修飾比)は1.0:1.0であった。
【0044】
(製造実施例2)試験試料No.2の合成(修飾:アセチル化)
無水酢酸の量を3.06gに変え、製造例実施1と同様の方法で試験試料No.2を18.8g得た。
軟化点:約110℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1760cm-1、1195cm-1(以上酢酸エステル基由来)1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、1110cm-1(エーテル由来)、数平均分子量2170、未修飾−修飾比は1.0:0.33であった。
【0045】
(製造実施例3)試験試料No.3の合成(修飾:アセチル化)
無水酢酸の量を1.53gに変え、製造実施例1と同様の方法で試験試料No.3を18.0g得た。
軟化点:約113℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1760cm-1、1195cm-1(以上酢酸エステル基由来)1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、1110cm-1(エーテル由来)、数平均分子量2090、未修飾−修飾比は1.0:0.11であった。
【0046】
(製造実施例4)試験試料No.4の合成(修飾:アセト酢酸エステル化)
100mlの丸底フラスコに、上記中間体9.75g、ジエチレングリコールジメチルエーテル30.0g、ジケテン1.33gを仕込み、ピリジンを三滴加え、30分撹拌した後、100℃で3時間反応させた。溶媒をエタノールに交換し、この溶液をトルエンに滴下して得た固体を乾燥し、軟化点:約110℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1600cm-1、1755cm-1(以上アセト酢酸エステル基由来)1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、1110cm-1(エーテル由来)、数平均分子量2300の試験試料No.4を9.9g得た。未修飾−修飾比は1.0:0.33であった。
【0047】
(製造実施例5)試験試料No.5の合成(修飾:フェニルカルバメート化)
100mlの丸底フラスコに、上記中間体9.75g、ジエチレングリコールジメチルエーテル30.0g、イソシアン酸フェニル1.88gを仕込み、ピリジンを三滴加え、30分撹拌した後、100℃で3時間反応させた。溶媒をエタノールに交換し、この溶液をトルエンに滴下して得た固体を乾燥し、軟化点:約111℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1685cm-1、1495cm-1(以上フェニルカルバモイル基由来)、1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、1110cm-1(エーテル由来)、数平均分子量2410の試験試料No.5を10.2g得た。未修飾−修飾比は1.0:0.33であった。
【0048】
(中間体原料の合成2)(多価アルコール:テトラトリメチロールプロパン)
1,000mlの丸底フラスコに、230gのソルベッソ150TM、テトラトリメチロールプロパン48.3g、4−ヒドロキシ安息香酸83.0g、硫酸0.30gを仕込み、生成する水を留去しながら190℃で5時間反応させた。冷却後、水洗し、溶媒を留去した後、残留物をエタノール100gに溶解し、キョーワード500TM、活性炭、シリカゲルをそれぞれ4g加え、30分撹拌した。固形分を濾過し、濾液をトルエン200gに滴下して結晶を析出させ、軟化点:約100℃、数平均分子量1,560の白色結晶である中間体127gを得た。
【0049】
(製造実施例6)試験試料No.6の合成(修飾:アセチル化)
100mlの丸底フラスコに、上記中間体原料の合成2で得られた中間体10.3g、ジエチレングリコールジメチルエーテル30.0g、無水酢酸1.50gを仕込み、100℃で3時間反応させた。さらに190℃で1時間反応させた後、溶媒をエタノールに交換し、この溶液をトルエンに滴下して得た固体を乾燥し、軟化点:約93℃、IR吸収波数:1715cm-1、1320cm-1、1100cm-1(以上芳香族エステル由来)、1760cm-1、1195cm-1(以上酢酸エステル基由来)1375cm-1、610cm-1(以上フェノール類由来)、1115cm-1(エーテル由来)、1380cm-1、620cm-1(以上フェノール類由来)、数平均分子量1,640の試験試料No.6を9.8g得た。未修飾−修飾比は1.0:0.33であった。
【0050】
(実施例1)
発色剤として3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gを10重量%のポリビニルアルコール水溶液25gに加え、ボールミルで充分に粉砕して分散液Aとした。又、増感剤としてビス(4−メチルベンジル)オキザレート5gを10重量%のポリビニルアルコール水溶液25gとともにボールミルで充分に粉砕して分散液Bを得た。
次に、各製造実施例で得られた試験試料5gをそれぞれ10重量%ポリビニルアルコール水溶液25gとともにボールミルで充分に粉砕して各分散液Cを得た。
上記分散液A、BおよびCを1:2:2の重量比で混合し、混合液50gに対し充填剤として炭酸カルシウム12.5gを添加し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ16μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
並行して、上記縮合反応物に代えて、従来の4−ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体として、下記表1の下に記した比較化合物1及び比較化合物2を使用し、比較例1としての感熱記録材料を得た。
【0051】
得られた感熱記録材料を用い、感熱印字装置(TH−PMD:株式会社大倉電機製)を用いてパルス幅0.8msecで印字した記録像の発色濃度および地肌部の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。この発色させた感熱記録体について、耐熱保存安定性試験(60℃、乾燥の条件下、24時間保存)、耐光保存安定試験(カーボンアークフェードメーター中、6時間照射)、耐油保存安定性試験(感熱記録材体の印字部および地肌部にジオクチルフタレートをスタンプ後、40℃、乾燥の条件下、24時間保存)を行い、印字部、地肌部の濃度を測定した。尚、耐光試験時の地肌部の測定には黄色フィルターを用いた。これらの測定結果は表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例2)
発色剤として3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン5gおよび10重量%ポリビニルアルコール水溶液25gをボールミルで充分に粉砕して分散液Aを得た。又、増感剤としてアセト酢酸−o−クロロアニリド5gを10重量%ポリビニルアルコール水溶液25gとともにボールミルで充分に粉砕して分散液Bを得た。
次に、各製造実施例で得られた試験試料5gをそれぞれ10重量%ポリビニルアルコール水溶液25gとともにボールミルで充分に粉砕して分散液Cを得た。上記分散液A、BおよびCを1:2:2の重量比で混合し、混合液50gに対し充填剤として炭酸カルシウム12.5gを添加し、十分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ16μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
並行して、本発明に係る縮合反応物に代え、前記比較化合物1及び2を使用し比較例2としての感熱記録材料を得た。得られた感熱記録体を用い、実施例1と同様の試験を行った。これらの測定結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
以上の実施例及び比較例から明らかなように、本発明に係る顕色剤を用いた場合は、初期の発色感度が良好でかつ保存安定性に優れており、保存試験後においても発色部の褪色及び地肌カブリが極めて少ないことが明らかである。
これに対して、比較例1,2に示すように、従来公知の4−ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を使用した場合は、感熱記録材料の印字部の濃度低下が著しく、又、感熱記録体の保存安定性は満足できるものではない。
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る顕色剤を感熱記録層中に含有させることにより、発色感度に優れ、感熱記録体の発色部及び地肌部の変色が少ない、保存安定性に優れた感熱記録材体が得られる。
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸及び下記一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸が必須成分であるカルボン酸成分(A)と、ヘキシトール類、ペンチトール類、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、グリセリン、これらの多価アルコール同士の縮合物;これら三価以上の多価アルコールと二価の低分子アルコールの縮合物からなる群より選択される三価以上の多価アルコールが必須成分である多価アルコール成分(B)とのエステル化反応生成物で表される構造を有する記録材料用顕色剤。
(式(II)中、qは、0〜2の整数を表し、Xは、ホルミル基;アルキル基の炭素数が1〜18のアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルバモイル基もしくはアルキルスルホニル基;アリール基の炭素数が6〜30のアリール基、アリールカルボニル基、アリールカルバモイル基もしくはアリールスルホニル基;又はアセトアセチル基を表す。) - 一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸のXが、アルキル基の炭素数1〜18のアルキルカルボニル基である請求項1に記載の記録材料用顕色剤。
- 一般式(I)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸1モルに対し、一般式(II)で表されるヒドロキシル基が修飾された(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸が0.01〜2モルの比率である請求項1又は2に記載の記録材料用顕色剤。
- 一般式(III)で表される多価アルコールのR1及びn個のR2がそれぞれ独立に、ヒドロキシメチル基又はエチル基である請求項4に記載の記録材料用顕色剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の記録材料用顕色剤、発色剤、並びに、該顕色剤及び該発色剤が層状に設けられる基材からなる記録材料。
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