JP4111784B2 - 顕色剤及びこれを含有してなる記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性色素等の電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤の発色反応を利用した記録材料に用いられる顕色剤及び該顕色剤を用いた記録材料に関し、詳しくは、4−ヒドロキシ安息香酸と脂肪族ジオールとの反応から生じる特定の分子構造を持つ顕色剤、及びこれを用いた記録材料に関する。本発明の記録材料は、感熱記録材料として良好な発色感度を有し、記録を終えた記録体の耐熱性、耐油性、耐水性等の保存性に優れる。
【0002】
【従来の技術】
塩基性色素等の電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤の発色反応を利用した記録材料には、例えば、無色ないし淡色の発色剤と発色剤を発色させる顕色剤とを、増感剤、バインダー及びその他の添加剤とともに、紙、合成紙、プラスチックフィルム或いはシート等の支持体表面に塗布し、記録装置において、サーマルヘッドや熱ペンなどの発熱素子を接触させて黒色などに発色させる感熱記録材料や、発色剤を溶解した液滴を内包するマイクロカプセルを含有する層と顕色剤を含有する層とを重ね合わせ、適切な圧力でマイクロカプセルを破壊することにより、発色剤が顕色剤を含有する層に転移し、発色が起こる感圧記録材料等がある。
【0003】
これら記録材料に用いられる顕色剤については、例えば、特開昭58−188842号公報、特開昭59−199286号公報、特開昭60−64890号公報、特開昭63−252782号公報等に4−ヒドロキシ安息香酸と脂肪族ジオールとのエステル誘導体が提案されている。しかしながら、これらの化合物を顕色剤として用いた記録材料は、熱、水分、油分等により、記録材料を発色させて得られる記録部分(印字部)がかすんだりあるいは消えてしまう褪色等、記録の保存安定性に問題があった。
【0004】
上記問題に対し、下記特許文献1、特許文献2にトリメチロールプロパンやペンタエリスリトールに代表される多価アルコールと(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸とのエステル誘導体が提案されている。しかしながら、この顕色剤は、発色感度が不足する場合があり、また、非記録部分(地肌部)が地肌カブリを起こす欠点を有している。
【0005】
【特許文献1】
WO99/51444号公報
【特許文献2】
特開2001−096923号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、発色感度と保存安定性に優れた記録材料及びそれに使用する顕色剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、4−ヒドロキシ安息香酸と脂肪族ジオールとの反応から生じる特定の分子構造を持つ化合物、及び、特定の(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と二価有機カルボン酸を必須成分とするカルボン酸成分と脂肪族ジオールを必須成分とするアルコール成分とから得られる複合エステルからなる顕色剤を、記録層に含有させることにより、発色感度に優れると共に、記録体の保存安定性にも優れた記録材料が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、下記一般式(II)で表される化合物を5〜50質量部、及び、下記一般式( III )で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と二価有機カルボン酸を必須成分とし、一価の有機カルボン酸を任意成分として含有してなるカルボン酸成分(A)と、一種類又は二種類以上の脂肪族ジオールを必須成分とし三価以上の脂肪族ポリオール成分を任意成分として含有してなるアルコール成分(B)とから得られる複合エステル成分を、1〜50質量部含有してなる記録材料用顕色剤、並びに該記録材料用顕色剤及び発色剤が層状に設けられてなる記録材料である。
【0009】
上式中のRは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、式(I)と( II )におけるRは同じでも、異なっていてもよく、pは0〜4の整数を表す。
【0010】
前記一般式(I)及び(II)のRは、ヘキサン−1,6−ジイルであることが好ましい。また、前記複合エステル成分の数平均分子量が500〜5000であることが好ましく、前記カルボン酸成分(A)の二価有機カルボン酸は、芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
【0013】
以下、本発明の顕色剤及び記録材料について更に詳細に説明する。
【0014】
本発明の記録材料用顕色剤は、上記一般式(I)及び(II)で表される化合物、及び、下記一般式( III )で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と二価有機カルボン酸を必須成分とし、一価の有機カルボン酸を任意成分として含有してなるカルボン酸成分(A)と、一種類又は二種類以上の脂肪族ジオールを必須成分とし三価以上の脂肪族ポリオール成分を任意成分として含有してなるアルコール成分(B)とから得られる複合エステル成分の特定比率の混合物を必須成分とし、任意成分として、それらのオリゴマーである後述する(i)及び(ii)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0015】
前記一般式(I)及び(II)で表される化合物は顕色能を有する化合物である。一般式(II)表される化合物の含有量は、一般式(I)で表される化合物の100質量部に対して、50質量部より大きいと充分な感度を得ることができず、5質量部より小さいと記録材料に対して充分な保存安定性を付与することができないので、5〜50質量部である必要があり、10〜30質量部であることが好ましい。
【0016】
上記一般式(I)及び(II)において、Rで表される炭素数1〜12のアルカンジイル基は、脂肪族ジオール(D)から誘導されるものである。該基を誘導する脂肪族ジオール(D)としては、メチレングリコール(化合物として安定に存在しないが、炭素数1のアルカンジイル基を与える成分としての意味であり、製造時には、その誘導体であるメチレングリコールジエステル、メチラール、エチラール、メチレンクロライド等の形で使用される。)、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも1,6−ヘキサンジオールが、発色感度が良好であるので好ましい。
脂肪族ジオール(D)は二種以上の混合物であってもよいが、中でも1,6−ヘキサンジオールの割合が50〜100モル%のものは、記録材料に対して、優れた発色感度を与えるので好ましく、75〜100モル%のものがより好ましい。
【0017】
また、本発明の顕色剤は、耐熱性、耐水性等の記録体の保存安定性を向上させるために、更に、前記一般式(III)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と二価有機カルボン酸を必須成分とすると共に、一価の有機カルボン酸を任意成分として含有してなるカルボン酸成分(A)と、一種類又は二種類以上の脂肪族ジオールを必須成分とすると共に、三価以上の脂肪族ポリオール成分を任意成分として含有してなるアルコール成分(B)とから得られる特定の複合エステル成分を含有する。該複合エステル成分の数平均分子量は500〜5000、好ましくは1000〜3000である。該複合エステル成分も顕色能を有する化合物である。該複合エステル成分の含有量は、一般式(I)で表される化合物100質量部に対して1〜50質量部であり、2.5〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。複合エステル成分の含有量が1質量部より小さいと効果が得られず、50質量部より大きいと地肌カブリが生じる。
【0018】
本発明に係る上記の複合エステル成分において、カルボン酸成分(A)に使用される上記一般式(III)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸とは、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸単位が5個以内のポリ4−ヒドロキシ安息香酸又はこれらの任意の割合の混合物のことである。ポリ4−ヒドロキシ安息香酸は、後述するように、上記一般式 ( I ) 及び (II) で表される化合物を製造する際に、原料の4−ヒドロキシ安息香酸が縮合反応して生成したものであってもよい。また、予めポリ4−ヒドロキシ安息香酸を合成してこれを用いてもよい。
【0019】
上記のカルボン酸成分(A)に使用される二価有機カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、1,20−イコサメチレンジカルボン酸、1,21−ヘンイコサメチレンジカルボン酸、1,22−ドコサメチレンジカルボン酸、1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸、1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸、1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸、水添ダイマー酸等脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン等の脂環式ジカルボン酸が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、二種類以上混合して用いてもよい。該二価有機カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が記録材料に対して、特に優れた地肌白色度を与えるので好ましい。
【0020】
カルボン酸成分(A)における上記二価有機カルボン酸の使用量は、上記一般式(III)で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸100モル部に対して、0.1モル部より小さいと使用効果が発揮されない場合があり、50モル部を超えて使用すると印字部の保存性低下を招く場合があるので、0.1モル部〜50モル部であり、0.5モル部〜20モル部が好ましく、1〜10モル部がより好ましい。
【0021】
また、本発明に係る上記カルボン酸成分(A)は、顕色剤の効果を阻害しない限り、必要に応じて、一価有機カルボン酸を含んでもよい。該一価有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ナフテン酸、アビエチン酸等が挙げられる。
【0022】
また、本発明に係る複合エステル成分において、使用されるアルコール成分(B)の脂肪族ジオール(E)としては、メチレングリコール(化合物として安定に存在しないが、製造時には、その誘導体であるメチレングリコールジエステル、メチラール、エチラール、メチレンクロライド等の形で使用される。)、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらは一種類又は二種類以上混合して用いられる。該脂肪族ジオール(E)としては、中でも1,6−ヘキサンジオールの割合が50〜100モル%のものは、記録材料に対して、優れた発色感度を与えるので好ましく、75〜100モル%のものがより好ましい。なお、上記脂肪族ジオール(E)としては、前記脂肪族ジオール(D)と、同じものであっても、異なるものであってもよい。
【0023】
また、本発明に係る上記アルコール成分(B)は、必要に応じて、三価以上の脂肪族ポリオールを使用してもよい。該三価以上の脂肪族ポリオールの使用量は、地肌カブリに大きな影響を及ぼさない範囲、即ち、アルコール成分(B)中の脂肪族ジオール(D)と前記の脂肪族ジオール(E)の合計100モル部に対して、10モル部以下が好ましい。
【0024】
上記の三価以上の脂肪族ポリオールとしては、例えば、ヘキシトール類、ペンチトール類、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、グリセリン、これら三価以上の多価アルコール同士の縮合物、三価以上の多価アルコールと二価の低分子アルコールの縮合物等が挙げられる。
【0025】
本発明の記録材料用顕色剤の製造方法については、特に制限をされることなく、周知一般のエステル結合形法を用いて製造することができる。エステル結合形成法としては、カルボン酸とアルコールを酸触媒等により縮合させる方法、酸ハライドとアルコールを塩基触媒等により縮合させる方法、カルボン酸低級アルキルエステルとアルコールとのエステル交換による方法が挙げられ、これらは、単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0026】
例えば、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物の混合物は、それぞれ合成してから混合してもよいが、4−ヒドロキシ安息香酸と脂肪族ジオール(D)を、カルボキシル基1モルに対して、ヒドロキシ基0.8〜1.1モルの割合で酸触媒により縮合反応させてもよい。後者の方法を用いた場合には、上記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外にも、下記式(i)及び/又は(ii)で表されるオリゴマー成分が1質量%〜30質量%生成することがある。該オリゴマー成分は、必要に応じて再結晶等の精製操作により除去してもよいが、本発明の顕色剤の効果を阻害しないこと、保存安定性を更に向上させる場合があることから、特に除去しなくともよい。
このようにして得られた、前記化合物の混合物に、更に前記した複合エステル成分を混合することにより、本発明の顕色剤が得られる。
【0027】
【化5】
(式中、lは2〜4の整数を表し、m及びnは、1以上であり、n+mが4以下の整数を表す。)
【0028】
また、所定の組成が得られる割合で、4−ヒドロキシ安息香酸と脂肪族ジオール(D)、カルボン酸成分(A)及びアルコール成分(B)を一括して反応させてもよい。
【0029】
一括して反応させる方法としては、4−ヒドロキシ安息香酸とカルボン酸成分(A)と脂肪族ジオール(D)とアルコール成分(B)とを、エステル化反応に寄与するカルボキシル基1モルに対して、これと反応してエステル結合を形成するヒドロキシル基が0.9〜1.1モルとなるように配合してエステル化反応させる方法が、製造操作が容易なので好ましい。
この場合、得られる顕色剤の成分は、一般式(I)に相当する化合物、一般式(II)に相当する化合物、複合エステル成分並びに上記一般式(i)及び(ii)に該当するオリゴマー成分である。
【0030】
本発明の記録材料とは、基体上に上記顕色剤及び発色剤が層状に設けられる基材からなる記録材料であれば、用途、構造、製法等で制限されることはないが、感圧記録材料及び感熱記録材料が保存安定性について特に優れた効果を発現するので好ましく、感熱記録材料がより好ましい。
【0031】
本発明の記録材料における前記の顕色剤の使用量は、要求される性能及び記録適性、発色剤或いは併用される他の添加剤の種類及び使用量によっても変わるため特に限定されるものではないが、通常、発色剤1質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部が使用される。顕色剤の使用量が0.01質量部未満の場合には発色感度が不十分となることもあり、また、10質量部を超えて使用してもその効果はそれ以上大きくならないことがあり不経済である。
【0032】
本発明に係る記録材料において記録層中に使用される通常無色ないし淡色の発色剤としては各種の染料が周知であり、一般の記録材料等に用いられているものであれば特に制限を受けない。
これらの発色剤の具体例を挙げると、例えば、
(i)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのトリアリールメタン系化合物;
【0033】
(ii)4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物;
(iii)ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオランなどのキサンテン系化合物;
【0034】
(iv)ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物;
(v)3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロジベンゾピランなどのスピロ系化合物;
(vi)その他3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’−(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、フェノキサジン誘導体などが挙げられ、また、これらの染料は数種類を混合して用いることもできる。
これらの内、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が好ましく用いられる。
【0035】
また、本発明の記録材料には必要に応じて、脂肪族第二鉄等のキレート発色剤を併用してもよい。
【0036】
また、本発明に係る記録材料において更なる発色感度を増大させる必要がある場合は、必要に応じてフェノール系、カルボン酸系あるいは金属系などの周知の顕色剤を一種類または二種類以上併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによって本発明の顕色剤の使用量を低減することもできる。
【0037】
上記他の顕色剤としては、例えば、p−オクチルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−第三オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ第三ブチルサリチル酸、2,4−ジヒドロキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’,4’−ジメチルベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−メチルベンズアニリド、ビス(4−(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)−3−メトキシフェニル)メタン、4−メチルベンゼンスルホン酸−2−ヒドロキシアニリド、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と三価以上の多価アルコールとのエステル化合物などのフェノール類、ノボラックフェノールなどのフェノール樹脂類、レゾルシノール類、安息香酸などの有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛などの金属塩が挙げられ、特にフェノール系の顕色剤を用いることが好ましい。
【0038】
さらに、本発明の記録材料に必要に応じて保存安定剤を一種類または二種類以上使用することができる。該保存安定剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)等のヒンダードフェノール化合物、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートなどが挙げられ、これらの保存安定剤は、通常、発色剤(染料)1質量部に対して好ましくは0.01〜10質量部が使用される。
【0039】
記録材料が感熱記録材料の場合、発色感度を高めるために一種類または二種類以上の増感剤を併用することも可能である。該増感剤としては、例えば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの有機酸の金属塩;ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ベンゾイル酢酸アニリド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミドなどのアミド化合物;
1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、メチレンベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、ジフェニルスルホン、p−トルエンスルホン酸アニリド、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニル、4−クロロフェニルフェニルスルホンなどを用いることができる。この中では、特にビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ジフェニルスルホン、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、2−ベンジロキシナフタレンなどが好ましく用いられる。
【0040】
これらの増感剤は、通常、発色性物質(染料)1質量部に対して0.01〜10質量部が使用される。原料として上記増感剤を別個に用いる方法以外に、本発明に係る顕色剤と溶融混合して原料とすることもできる。
【0041】
本発明に係る記録材料において、使用される顕色剤、保存安定剤、増感剤などは、通常、ボールミル、アトライター、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒子化され、目的に応じてさらに各種の添加剤を加えて塗液として調製される。
【0042】
上記塗液には、通常、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、でんぷん類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体あるいはこれらの変性物などの結合剤、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミンなどの充填剤が配合されるが、この他に金属石けん類、アマイド類、ワックス類、光安定剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤などを必要に応じて使用することができる。
【0043】
また、感熱記録材料の場合は、より高い保存安定性を付与する目的でオーバーコート層を設けてもよく、また、発色感度を向上させるためにアンダーコート層を設けてもよい。
【0044】
上記オーバーコート層としては、例えば、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などを塗布した後、硬化させて皮膜を形成するか、皮膜の形成が可能なラテックスや水溶性高分子をコーティングして形成され、エポキシ化合物などの架橋剤または硬化剤を併用してもよい。コーティングには、公知のいかなる方法を用いてもよく、コート層の厚さも何ら限定されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
【0045】
また、上記アンダーコート層としては、例えば、無機顔料及び/又は有機顔料と接着剤とを主成分とする層、発泡性フィラーと接着剤とを主成分とする層、粒状及び/又は繊維状の無機及び/又は有機中空材料と接着剤とを主成分とする層、水溶性高分子または水分散性高分子化合物を含有する水溶液を機械的に発泡させて得た塗液で形成された発泡層などの断熱性に優れた素材を用いることで、少ないエネルギーによる発色が可能となる。該アンダーコート層においてもそのコーティング方法やコート層の厚さは特に制限されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
【0046】
感熱記録体に特に高度の耐光性、地肌部の保存安定性が要求される場合には、上記感熱記録層及び/又は上記オーバーコート層中に、公知のヒンダードアミン系光安定剤、及び/又は紫外線吸収剤を一種類または二種類以上添加することもできる。
【0047】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、
【0048】
3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジシクロ−s−トリアジン/N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物等が挙げられる。
【0049】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾールなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;
【0050】
2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;
フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;
2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類;
各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類などが挙げられるが、特に、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が好ましい。
【0051】
これらの光安定剤、紫外線吸収剤の添加量は発色剤1質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.05〜5質量部であり、0.01質量部未満ではその安定化効果が充分に得られず、10質量部を超えて使用しても無駄であるばかりでなく、むしろ塗膜物性に悪影響を及ぼすおそれがあり好ましくない。
【0052】
上記の記録材料は、複写セット、自己発色性感圧記録紙、図書、文書等の複写、各種計測用記録紙、コンピューター、ファクシミリ、テレックス、乗車券等自動販売機、プリペイドカード、ラベル、レシートなどの記録用分野に用いられる。
【0053】
【実施例】
以下製造実施例、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
以下、化合物の略号を下記に示す。
4-HBA:4−ヒドロキシ安息香酸
DMT:テレフタル酸ジメチル
【0054】
[製造実施例]
表1〜2に記載の原料を下記の操作により反応させ、顕色剤No.1〜No.11を製造した。
(操作)
反応フラスコに、表1〜2に記載の原料比で、4−ヒドロキシ安息香酸、ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール、三価以上のポリオール、これらの合計質量の2.2倍のソルベッソ150TM(エッソ社製、芳香族系溶剤)を仕込み、撹拌混合したサスペンションに9.4質量%硫酸水溶液を4−ヒドロキシ安息香酸とジカルボン酸のエステル形成基に対して硫酸が0.0066倍モルになる量を仕込み、130℃に加熱した。生成する水を留去しながら130℃から20℃/時間で210℃まで昇温し、210℃で1時間反応させた。これにジグライムをソルベッソの2.5倍質量、キョーワード500(協和化学工業社製、酸吸着剤:Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O)を硫酸の6倍質量加え、110℃で1時間撹拌した後、固相を濾別し、溶媒を留去した。得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、これにヘキサンを徐々に加えながら晶析を行った。固相を濾取し、乾燥して顕色剤を得た。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
上記で得た顕色剤No.1、No.6、No.7、No.10について、GPCによる組成分析と示差熱分析による吸熱ピークの測定を行った。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
(実施例1(実施例1−2〜1−4、参考例1−1)及び比較例1(比較例1−1〜1−2))
発色剤として3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン10gを2質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;ポバールKL−318)水溶液52.5gに加え、ボールミルで充分に粉砕して分散液Aとした。又、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート10gを2質量%のポリビニルアルコール水溶液52.5gとともにボールミルで充分に粉砕して分散液Bを得た。次に、製造実施例で得た顕色剤10gを2質量%ポリビニルアルコール水溶液52.5gとともにボールミルで充分に粉砕して各種の分散液Cを得た。
上記分散液A、BおよびCを1:2:2の質量比で混合し、混合液50gに対し二酸化ケイ素3.7g、炭酸カルシウム4.6g、ワックス(中京油脂株式会社製;ハイドリンZ−7−30)0.85gを添加し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ16μm(乾燥時)で塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
並行して、上記顕色剤に代えて、比較例用顕色剤として比較化合物1(1,6−ヘキサンジオールの4−ヒドロキシ安息香酸ジエステル)、又は比較化合物2(アデカアークルズK−5;旭電化工業社製;ペンタエリスルトールと4−ヒドロキシ安息香酸の縮合物)を使用して比較例用感熱記録材料を得た。
【0060】
得られた感熱記録材料を用い、感熱印字装置(TH−PMD:株式会社大倉電機製)を用いてパルス幅0.8msecで印字した記録像の発色濃度および地肌部の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。この発色させた感熱記録体について、耐熱保存安定性試験(60℃、乾燥の条件下、24時間保存)、耐水安定性試験(食器用洗剤;ライオン株式会社製チャーミーVの1ml/l溶液に浸漬後引き上げ、4時間放置)、耐油保存安定性試験(感熱記録材体の印字部および地肌部にジオクチルフタレートをスタンプ後、40℃、乾燥の条件下、6時間保存)を行い、印字部、地肌部の濃度を測定した。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
(実施例2(実施例2−2〜2−4、参考例2−1)及び比較例2(比較例2−1))
発色剤として3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン10gおよび2質量%ポリビニルアルコール水溶液52.5gをボールミルで充分に粉砕して分散液Aを得た。又、ステアリン酸アミド分散液(中京油脂株式会社製ハイミクロンG−270)を分散液Bとした。上記製造実施例で得た顕色剤10gを2質量%ポリビニルアルコール水溶液52.5gとともにボールミルで充分に粉砕して分散液Cを得た。
上記分散液A、BおよびCを1:2:2の質量比で混合し、混合液50gに対し、二酸化珪素3.7g、炭酸カルシウム4.6g、ワックス(中京油脂株式会社製ハイドリンZ−7−30)0.85gを添加し、十分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ16μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
並行して、顕色剤比較化合物1を使用し、比較例としての感熱記録材料を得た。得られた感熱記録体を用い、実施例1と同様の試験を行った。
これらの測定結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
以上の実施例と比較例から明らかなように、本発明に係る顕色剤を用いた場合は、初期の発色感度が良好でかつ保存安定性に優れており、保存試験後においても発色部の褪色及び地肌カブリが極めて少ないことが明らかである。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る顕色剤を感熱記録層中に含有させることにより、発色感度に優れ、感熱記録体の発色部及び地肌部の変色が少ない、保存安定性に優れた感熱記録材料が得られる。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、下記一般式(II)で表される化合物5〜50質量部、及び、下記一般式( III )で表される(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と二価有機カルボン酸を必須成分とし、一価の有機カルボン酸を任意成分として含有してなるカルボン酸成分(A)と、一種類又は二種類以上の脂肪族ジオールを必須成分とし三価以上の脂肪族ポリオール成分を任意成分として含有してなるアルコール成分(B)とから得られる複合エステル成分を、1〜50質量部含有してなる記録材料用顕色剤。
但し、上式中のRは、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、式(I)と(II)におけるRは同じでも、異なっていてもよく、pは0〜4の整数を表す。 - 上記一般式(I)及び(II)のRが、ヘキサン−1,6−ジイルである、請求項1に記載された記録材料用顕色剤。
- 前記複合エステル成分の数平均分子量が500〜5000である、請求項1又は2に記載された記録材料用顕色剤。
- 前記カルボン酸成分(A)の二価有機カルボン酸が芳香族ジカルボン酸である、請求項1〜3の何れかに記載された記録材料用顕色剤。
- 基体上に請求項1〜4の何れかに記載された記録材料用顕色剤及び発色剤が層状に設けられた記録材料。
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